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2018-11-19 11:12

「負担先送り圧力に抗えなかった時代」平成の財政<犯人は誰だったのか


 今朝の読売新聞1面記事が興味深い。
財政運営について、こんな提言を出すそうだが、はたして犯人は誰なのか。肝心なその一点が抜けている。

<以下引用>
「負担先送り圧力に抗えなかった時代」平成の財政を批判…財政審提言案
2018年11月19日5時0分

 財政制度等審議会(財務相の諮問機関)が、2019年度予算編成に向け、20日に麻生財務相に提出する建議(提言)の原案が判明した。国の借金が大きく膨張した平成30年間の財政運営に対し「受益の拡大と負担の軽減・先送りを求める圧力に抗あらがえなかった時代」と厳しく総括している。こうした状況から脱却するため、高齢者の医療費負担の引き上げなどの歳出抑制を求めた。

 財政審が過去の財政運営を批判するのは異例だ。財政審は企業経営者や学識経験者らで構成され、毎年、春と冬の2回、財政運営のあるべき姿を提言している。

 原案では「圧力」の具体的な内容を明示していないが、社会保障など「受益の拡大」を訴える一方で、その財源となる国民の負担増の議論を避けがちな政治の動きなどが念頭にあるとみられる。

 与党からの圧力に財務省が十分に抵抗せず、毎年、国の借金が積み上がる構図に警鐘を鳴らした形だ。実際、平成元年度末(1989年度末)に161兆円だった公債残高は、今年度末に883兆円へと約5・5倍も膨らむ見通しで、原案は「極めて厳しい財政状況を後代に押しつける格好」になったと指摘している。

 こうした財政運営から脱却する方策として、原案は社会保障制度の改革を目指し、「年齢ではなく能力に応じた負担」への転換を示した。具体的には、75歳以上の後期高齢者の窓口負担の引き上げや、介護の利用者負担の見直しを求めている。

 「平成最後の予算編成」となる19年度については、財政規律を順守した「新たな時代の幕開けにふさわしい予算」とするように訴えている。このほか、国立大に支給される運営費交付金のうち、約1割に当たる約1000億円分の配分見直しを掲げた。防衛装備品の調達では、今後5年間で計1兆円以上を効率化する必要性を強調した。

<財政審提言案のポイント>

▽平成30年間の財政運営を厳しく総括。将来世代に負担を先送りと指摘

▽社会保障制度の改革を目指し、「年齢ではなく能力に応じた負担」に転換

▽後期高齢者の窓口負担の引き上げや、介護の利用者負担の見直し

▽国立大に支給される運営費交付金の配分見直し

▽防衛装備品の調達は、今後5年間で計1兆円以上、効率化が必要

<引用終り>

最初に赤字の部分、「与党からの圧力」だが、これを見ると現在与党は自民党なので、何となく自民党の圧力のように読める。これが新聞の巧妙な言論誘導で、これを見ると何となく「自民党はダメだなあ」と読める。しかし実態は大違い。

これを見てください。

これは何度も利用したグラフだが、

2017-4-16税収歳出グラフ

このグラフは通称「ワニの口」、歳入と歳出が大きく乖離し、ワニがパックリ口を開けているように見える所からそう言われる。

特に見て欲しいのは、過去の自社さ連立政権時代、そして民主党に国を盗まれた土鳩・空き缶・野豚政権時代発狂状態と言ってよい歳出の爆発的増加国債の暴発的増発

今の財務省の頑ななまでの緊縮財政政策はこの時の苦い経験から来ている。


所でその民主党時代について、産経の名物記者阿比留さんがご自身のFBにこんな事を書いている。11月14日のFB記事だが、6年前の記事を見てこんな感想を。

https://www.facebook.com/rui.abiru/posts/2159801840731122
(以下はスクリーンショット)
2018-11-19阿比留さんのFB 

Rui Abiru shared a memory.
November 14 at 8:39 AM · 
 あれから6年か。衆院解散の日の解放感、重く垂れ込み、太陽光を遮っていた暗い雲が吹き飛び、燦々とした日差しを浴びるような思いでした。
6 Years Ago

Rui Abiru
November 14, 2012 · 
 民主党内でも四面楚歌の窮鼠状態となった野田首相がやっと、16日解散を事実上、表明しました。それはいいとして、自民党の安倍総裁との党首討論で今なお「みなさんのつくってきた負の遺産があんまり大きすぎて、3年間では、解消しきれない、と思っております」と述べたのには呆れました。
 これから、民主党政権時代の負の遺産に泣かされるのは我々国民でしょうに。次期政権ももちろんそうですし、なんというか、民主党の人たちがいまだに根本的に自分自身の姿が全く目に見えていないことに哀しくなります。
<引用終り>


野豚ちゃんは自分らが悪いとは全く思っていなかったらしい。

しかし上掲グラフを見れば、日本の国債を乱発した第一の犯人は、橋龍政権の自社さ連立政権時代。そして悪夢の民主党時代である。
その民主党、いまは党名ロンダリングで民主党⇒民進党⇒立件民主党その他となっている。
この連中にこんな問題の責任を獲れと言ってもカエルの面にションベン。
責任など欠片も持っていない。
そしてその民主党を煽りに煽ったマスゴミはというと、全く知らん顔である。

しかし本当に責任を感じねばいけないのは、『マスゴミに騙されたとはいえ、その民主党に一票を投じた有権者・国民』ではないだろうか。
もう二度と騙されまい、そう固く心に言い聞かせている。

  1. 政治
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2018-11-13 17:03

メジャー代表 ヒロシマで祈り


 今朝の読売新聞朝刊にいい話が載っていた。
こんな話である。

<以下引用>
メジャー代表 ヒロシマで祈り
2018年11月13日5時0分

2018-11-13本日の読売新聞懲戒委1面写真 
原爆死没者慰霊碑に献花するMLBの(手前左から)ミッチ・ハニガー外野手、前田健太投手、ドン・マッティングリー監督ら(12日、広島市の平和記念公園で)=野本裕人撮影

 「2018日米野球」(読売新聞社など主催)で来日した米大リーグ機構(MLB)オールスターチームの監督と選手ら4人が12日、広島市中区の平和記念公園で、原爆死没者慰霊碑に献花した。

 マツダスタジアム(広島市)で13日に第4戦が行われるのを前に、ドン・マッティングリー監督や元広島東洋カープの前田健太投手(ドジャース)らが訪問。慰霊碑前に並んで花輪を手向けた後、祈りをささげ、広島平和記念資料館も見学した。

<引用ここまで>


良い話である。がしかし、つい数年前にこんな事があったことを思い出すと感無量だ。

<以下ロイターより引用>
https://jp.reuters.com/article/l3n0k50dm-yasukui-wrapup-idJPTYE9BP06V20131226
2013年12月26日 / 19:37 / 5年前
安倍首相の靖国参拝に米国が「失望」を表明、中韓は強く反発

[東京 26日 ロイター] -安倍晋三首相の靖国神社参拝は、中国と韓国の反発を招いただけでなく、米国が「失望」を表明する異例の展開となった。
・・・以下略 詳細はリンク先参照ください。
<引用ここまで>


しかしアメリカの本音はと言えばもっと凄い。これは日本人にはにわかには信じられない話だが・・・。
アメリカのジャーナリスト、学者などに聞いた20世紀最大のニュースは何か、それは「ヒロシマ・ナガサキへの原爆投下」なのだという

この記事を見て、流石に私も半信半疑であった。20世紀最大のニュースが人類が月に行った事でもなければ飛行機の発明でもない。共産主義の台頭と崩壊ナチスのホロコーストでもない。「日本に原爆を二発も落としてやった」ことなのだと。そして3番目が「生意気にもジャップが真珠湾を攻撃してきたこと」

以下参照ください
国連の日本叩きは文明の衝突  2017-06-10
http://tansoku159.blog.fc2.com/blog-entry-1401.html

このニュースの原文を見るとそれが一層良く分かる。

https://www.cbsnews.com/news/top-news-of-20th-century/
2017-6-9top news of 20th century 
原文はこう書いてある。
The top news event of the 20th century was written in the ashes of Hiroshima and Nagasaki, where the terrifying power of America's new atomic bomb brought World War II to an end in 1945.
That turning point was ranked No. 1 by prominent U.S. journalists and scholars who selected the top 100 news events of the last 100 years for the Newseum, a museum about newsgathering.

Their No. 2 choice was a scientific achievement, one as peaceful as it was wondrous: U.S. astronaut Neil Armstrong's walk on the moon in 1969.

Third place went to Japan's bombing of Pearl Harbor.

自動翻訳は

20世紀のトップニュースイベントは、広島と長崎の灰で書かれました。広島と長崎では、アメリカの新しい原爆の恐ろしい力が第二次世界大戦を終結させ、1945年に終了しました。 この転換点は、報道関係についての博物館であるNewseumの過去100年のニュースイベント100件を選んだ有名な米国のジャーナリストや学者たちによって、第1位に選ばれました。 彼らの第2の選択肢は科学的な成果であり、1969年に米国の宇宙飛行士Neil Armstrongが月の上を歩いているという驚異的な平和なものでした。 3位は日本の真珠湾爆撃に行きました。

<引用終り>

The top news event of the 20th century was written in the ashes of Hiroshima and Nagasaki
ヒロシマナガサキの灰によって書かれた・・・、ヒロシマナガサキの灰によって書かれた・・・。
(・・・う~~ん 頭に血が上っておりますが・・・)
これが永年続いてきたアメリカの本音である。

それが有るからこそ安倍さんが第二次安倍内閣発足後訪米したら冷遇されたとか、靖国に参拝したら失望したと言われる状況がある。


しかしこのアメリカの国民感情がわずかな間に激変した。日本にとっては良い事だが、その結果として先ずこれが挙げられる。

安倍首相の米議会希望の同盟演説演説  2015年4月29日




そしてオバマ大統領の広島訪問  2016年5月27日
安倍首相に真珠湾訪問      2016年12月27日


こう見てくると2013年頃までは猛烈な反日感情が有った。それが急速に変化したきっかけ。
多分それは
オバマ・習近平会談 2013年6月  中国が太平洋を分割管理するよう提案した
中国の覇権主義がむき出しになったという事。

この頃からアメリカでは中国の本性はこういう風だという本などが相次いで出版された。
代表的なのが「ピルズベリーのチャイナ2049 2015年刊」、以下参照ください。
http://tansoku159.blog.fc2.com/blog-entry-1189.html
   ・・・・・
http://tansoku159.blog.fc2.com/blog-entry-1195.html


もう一つが
イギリスのAIIB参加をきっかけに主要国が全てAIIB参加 2015年3月
孤立するアメリカに対し、唯一日本だけがアメリカ側に立ち、AIIB不参加。
これでアメリカの真の友人が誰かハッキリした。

こんな事が言えると思う。

冒頭揚げた読売記事。良いニュースで、この一歩はとても大きいと思う。
前田健太投手、アメリカのメンバーとして皆をヒロシマに連れてきた、素晴らしいことをしてくれました。
小さな一歩だが、とても大きな一歩になると思います。

  1. アメリカ
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2018-11-05 15:35

ジャパン・ハンドラーの言いたい事


 アメリカのジャパン・ハンドラーと言われるジョセフ・ナイが11月4日の読売新聞に一文を寄せている。これが読んでみると「アア~、やっぱりなあ」と思わせる所が沢山ある。
どんな所なのか、日本の失われた20年と合わせて考えてみたい。


最初にジョセフ・ナイの寄稿文から抜萃
以下読売新聞11月4日朝刊1面より (全文は本文末尾に有ります)

 「東アジアの命運を握る戦略的課題は、中国の力の台頭である。」という書き出しで始まるこの論稿、特に注意を引いた点は・・・

[地球を読む]東アジアの将来 「トランプ流」 日米同盟に影…ジョセフ・ナイ 国際政治学者
2018年11月4日5時0分
・・・前段略・・・
 日中間の力の均衡はここ数十年で著しく変化した。中国の国内総生産(GDP)は2010年にドル換算で日本を追い越した(中国は1人当たりGDPでは依然、日本に大きく遅れているが)。今や想像することも困難だが、①つい20年ほど前、多くの米国民が恐れたのは中国ではなく、日本に追い越されることだった。米国を抜きにした日本主導の太平洋ブロックの出現はもとより、日本と米国の戦争さえ予測する本がいくつも出版されたものだ

 だが、そうはならなかった。クリントン政権は日本との安全保障同盟を再確認すると同時に、中国の台頭を容認して世界貿易機関(WTO)加入を後押ししたのである。

 1990年代初頭、多くの識者が日米同盟は冷戦の遺物として捨て去られると信じていた。貿易摩擦が高まる中、92年大統領選に名乗りを上げたポール・ソンガス元上院議員のスローガンは「冷戦が終わり、日本が勝利した」であった。

 この選挙で勝利した②クリントン大統領の政権は「ジャパン・バッシング(日本たたき)」で始動した。しかし、③96年にクリントン氏と橋本首相は日米安保共同宣言を発表し、日米同盟は冷戦後の東アジアの基盤であることを明確にした

 ただ、④病巣はもっと深いところにあった。公然と語られることはめったになかったが、日本側は、米国が中国の方を向けば自分たちはおろそかにされるという懸念を抱いていたのだ。

 90年代中頃、筆者が日米同盟再定義の交渉に参加していた時、国旗の置かれたテーブルで向かい合う日本側当局者たちが公式発言で中国を論じることはほとんどなかった。④だが後刻、酒の席になると彼らは、中国が力を付ければ米国の関心は日本から中国に移るのではないか、と筆者に尋ねてきたものである

・・・以下略、全文は末尾に有ります・・・

<引用終り>

つい20年ほど前、多くの米国民が恐れたのは中国ではなく、日本に追い越されることだった。米国を抜きにした日本主導の太平洋ブロックの出現はもとより、日本と米国の戦争さえ予測する本がいくつも出版されたものだ

この件こそ日本人がアメリカを見るうえで重要なポイントだと思う。
日本とアメリカが再び戦争?、日本人なら一笑に付す考え方だがアメリカは違う。その根底にはアメリカ人の白人優位思想と三つの原罪意識(アメリカ原住民(インディアン)虐殺、黒人奴隷売買、原爆による一般市民大虐殺)が潜んでいる。

昨年こんなテーマでブログを書いた。
国連の日本叩きは文明の衝突  2017-06-10 

この中に20世紀の終りに20世紀最大の事件は何かというアンケートをアメリカのジャーナリストなどにした結果が載っている。20世紀と言えば、人間が初めて月に到達したとか、飛行機が初めて空を飛んだとか、第一次、第二次大戦、共産主義国家ソ連の成立と崩壊など色々あるが、その最大のモノは日本への原爆投下、そして3番目が日本の真珠湾攻撃なのだという。
この記事を見て、流石に私も半信半疑であった。20世紀最大のニュースが人類が月に行った事でもなければ飛行機の発明でもない。共産主義の台頭と崩壊やナチスのホロコーストでもない。「日本に原爆を二発も落としてやった」ことなのだと。そして3番目が「生意気にもジャップが真珠湾を攻撃してきたこと」

であるからこそ、アメリカの反日感情が極度に高まっていたのがこの時期だった。

私の経験で言えば、この時期はバブルの崩壊で日本が苦しんでいた時期。個人的にも仕事上で大変な苦労をした。そんな時、こんなアメリカの反日感情について報道したものを(有ったかもしれないが)見たことは無かった。
矢張り日本の報道だけでは世の中を見誤るという事だと思う。



クリントン大統領の政権は「ジャパン・バッシング(日本たたき)」で始動した。、

ジャパン・バッシングはいろんな面があるが、日米構造協議だとか、為替政策とか。
為替は95年4月には80円台割れを記録する所まで円高が進んだ。しかし日本への最大のダメージは多分これ、中国の元安と相場固定だったと思う。

元相場がどんな風だったか、こんなグラフを見てください。現在では考えられない異常なグラフです。
2018-7-7ドル元レート推移 

このグラフは以下エントリーで詳細を書いています。

以下は日高義樹さんの著書からの引用
中国の人民元を大幅に切り下げたのはクリントン大統領だった。一九九三年一月に登場してからほぼ一年後、クリントン大統領は中国政府の強い要望を入れて、それまで一ドル五.・七二人民元であった交換レートを一挙に六〇パーセント切り下げた。一ドルを八・七二元にしてしまったのである。(引用者注:数字が若干合わないが、まあ良しとします)

こうしたクリントン大統領の暴挙に近い切り下げは、明らかに日本に対する悪意に基づいていた。クリントン大統領は日本が嫌いで中国が好きだったことで知られている。彼は中国と協力して日本を経済的な二流国家におとしめようと考えた。そこで中国の経済力を拡大し、輸出を増やすために人民元を一挙に切り下げたのである。
<引用ここまで>


96年にクリントン氏と橋本首相は日米安保共同宣言を発表し、日米同盟は冷戦後の東アジアの基盤であることを明確にした

ここで日米が仲直りしたかのような書きっぷりだがそうでは無い。この後橋龍は消費税を3→5%に引き上げ、更に金融ビッグバンによる金融機関再編へと突っ走った。
これ以前とこの後で大手都市銀行の前が全部替わり、幾つかの銀行が消滅した。
日本は莫大な損害を被ったわけだが、それで金融機関の透明性が確保されたという面もある。



病巣はもっと深いところにあった。公然と語られることはめったになかったが、日本側は、米国が中国の方を向けば自分たちはおろそかにされるという懸念を抱いていた
だが後刻、酒の席になると彼らは、中国が力を付ければ米国の関心は日本から中国に移るのではないか、と筆者に尋ねてきたものである


この中国との問題はアメリカ、特に民主党は170年を超える親中国の歴史がある。そんな中で日本人は中国の持つ問題点も理解しているので・・・(それにしてはよく騙されるが・・)、アメリカの行動が信じられないという事だと思う。

参考ブログ


大変長くなりました。ジョセフ・ナイ氏の寄稿文全文は以下の通りです。
URLを書いてありますが、会員以外では読めないので全文掲載。

<全文>
http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20181104-118-OYTPT50082/search_list_%25E3%2582%25B8%25E3%2583%25A7%25E3%2582%25BB%25E3%2583%2595%25E3%2583%25BB%25E3%2583%258A%25E3%2582%25A4__

[地球を読む]東アジアの将来 「トランプ流」 日米同盟に影…ジョセフ・ナイ 国際政治学者
2018年11月4日5時0分

 東アジアの命運を握る戦略的課題は、中国の力の台頭である。中国はいずれ何らかの形で東アジアの覇権を追求し、それが紛争につながると信じている専門家もいる。欧州と異なり、東アジアは1930年代の相克を完全に過去のものにできなかったうえ、東西冷戦による分断で和解は限定的なままとなっている。

 そして今、トランプ米大統領は中国に貿易戦争を仕掛け、日本とも対米貿易黒字を標的にした交渉を開始した。9月に発表された2国間合意では、トランプ氏が警告していた自動車関税の発動は先送りされたが、日本を中国側に追いやってしまいかねないとの懸念も出た。中国の習近平国家主席が10月に安倍首相と首脳会談を行う予定であったこともそうした批判的意見の背景にあった。

 日中間の力の均衡はここ数十年で著しく変化した。中国の国内総生産(GDP)は2010年にドル換算で日本を追い越した(中国は1人当たりGDPでは依然、日本に大きく遅れているが)。今や想像することも困難だが、つい20年ほど前、多くの米国民が恐れたのは中国ではなく、日本に追い越されることだった。米国を抜きにした日本主導の太平洋ブロックの出現はもとより、日本と米国の戦争さえ予測する本がいくつも出版されたものだ。

 だが、そうはならなかった。クリントン政権は日本との安全保障同盟を再確認すると同時に、中国の台頭を容認して世界貿易機関(WTO)加入を後押ししたのである。

 1990年代初頭、多くの識者が日米同盟は冷戦の遺物として捨て去られると信じていた。貿易摩擦が高まる中、92年大統領選に名乗りを上げたポール・ソンガス元上院議員のスローガンは「冷戦が終わり、日本が勝利した」であった。

 この選挙で勝利したクリントン大統領の政権は「ジャパン・バッシング(日本たたき)」で始動した。しかし、96年にクリントン氏と橋本首相は日米安保共同宣言を発表し、日米同盟は冷戦後の東アジアの基盤であることを明確にした。

 ただ、病巣はもっと深いところにあった。公然と語られることはめったになかったが、日本側は、米国が中国の方を向けば自分たちはおろそかにされるという懸念を抱いていたのだ。

 90年代中頃、筆者が日米同盟再定義の交渉に参加していた時、国旗の置かれたテーブルで向かい合う日本側当局者たちが公式発言で中国を論じることはほとんどなかった。だが後刻、酒の席になると彼らは、中国が力を付ければ米国の関心は日本から中国に移るのではないか、と筆者に尋ねてきたものである。

中国台頭 日米はどう抑制
 日本側の示した不安は別に驚きでなかった。二つの同盟国の防衛能力が同等でない場合、より相手に依存する側がその同盟関係に不安を持つようになるのは必然である。

 日本には長年、一通りの軍事能力を十分に備えた「普通の国」になるべきだという主張があった。非核三原則の一部を破棄して核兵器を開発しろという専門家すらいた。

 だが、こうした行動を取っても、おそらくは解決できる問題よりも多くの新たな問題を生み出してしまうだけである。「普通の」国(それがどのような意味合いであれ)を目指しても、日本の力は決して、米国とも中国とも対等になることはないだろう。

 今日、日本には改めて米国に見捨てられるのではないかと懸念するだけの理由がある。トランプ大統領の「米国第一」主義と保護主義的政策は、同盟に新たな危険を突きつけるものだ。環太平洋経済連携協定(TPP)からの脱退は日本に衝撃を与えた。安倍首相は巧みにトランプ氏の機嫌を取る形で衝突を回避したが、日米間には深刻な相違が残った。

 トランプ政権が国家安全保障を口実に鉄鋼製品やアルミニウムへの関税を課したことは安倍首相にも驚きだったはずで、日本国内の不安に油を注いだ。

 さらにトランプ政権は、アジアの同盟諸国がもっと自国の防衛に努めるべきだとの考えを示し、米軍の前方展開配備の価値についても公然と疑問を投げかけたのである。

 こうしたトランプ流のやり方を見て、日本はリスク分散のため中国ににじり寄ることを余儀なくされるのではないか、と懸念する専門家も現れた。これは現段階では杞憂きゆうだろう。たとえそうした選択肢が検討されても、広がりは見せないはずだ。中国の力が支配的になることに対する日本人の懸念は大きい。

 日本にとって米国との同盟は依然、最良の選択だ。ただそれも、トランプ氏がこれ以上余計なことをしなければの話である。

 これまでのところ、日米同盟はなお際立って強固だ。安倍首相は2年前、トランプ氏が大統領に当選するといち早く接近してまずニューヨークのトランプタワーで会い、その後も首都ワシントンやフロリダ州パームビーチにある大統領の別邸「マール・ア・ラーゴ」で会談を重ねた。

 両首脳の関係は、国防総省にとっては安全保障問題で緊密な日米協力を維持することを可能にした。北朝鮮問題で同盟の焦点は絞られ、トランプ氏にとっては、米国が日本を「100%」支えると確約する機会にもなったのである。

 安倍、トランプ両氏は北朝鮮に「最大限の圧力」を加える戦略を支持し、国連制裁への国際的な支援の構築に尽力した。この間に日本は、弾道ミサイル防衛のための新たな大規模投資を発表し、日米共同開発に協力した。

 一方、6月のシンガポールでの米朝首脳会談後にトランプ氏が見せた金正恩朝鮮労働党委員長に対する態度の変化には驚くべきものがあった。日本にとっては、米国に到達可能な大陸間弾道弾(ICBM)の問題に絞った取り決めが米朝間で結ばれ、日本に届く中距離ミサイルが無視されるのではないかという懸念を生むものだった。

 防衛分担に関するトランプ氏の物言いも、日本の不安を高めた。日本の防衛支出は国内総生産(GDP)の1%ほどだが、駐留米軍のために財政面で大きな貢献を行っている。

 米国防総省の推計によれば、日本政府は在日米軍の支援に必要な経費の約75%を支出している。今年(2018年度)だけでも、駐留経費負担には約1970億円、米軍再編や様々な形の基地周辺住民支援にもそれぞれ相当額の予算が計上されているのだ。

 四半世紀前にクリントン政権が認めたように、中国の台頭は東アジアに日米中3か国の力の均衡を生み出した。米国と日本が同盟を続けられれば、勃興する中国の力が穏健なものになっていくための一助となる環境を形成することもできる。だが、その成否は、トランプ政権が同盟をうまく維持できるかという一点にかかっているのである。

 (C)Project Syndicate
ジョセフ・ナイ氏 1937年生まれ。米国防次官補などを歴任。リチャード・アーミテージ元国務副長官と共同で4回目の日米同盟への提言を10月3日に発表した。
<全文引用ここまで>


最後にオマケ
ナイ氏の略歴の所に「4回目の日米同盟への提言を10月3日に発表」とあります。
これが日本では殆ど報道されていない重要なものですが、特に防衛関係について以下で概要が分かります。

日米同盟が直面する深刻なチャレンジ
第4次アーミテージ・ナイ報告書(安全保障編)
岡崎研究所 

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2018-11-04 13:46

安田純平騒動が炙り出したモノ


 安田純平氏が記者会見で謝罪し、この騒動も収束に向かいそうだ。何せ政府の制止を振り切って危険なところに行き、行った途端に拉致され、カタールに身代金を払ってもらって帰国したのだから、非難されるのが当然。謝罪は当然だったと思う。
所で今回の騒動で炙り出したものは、それは日本のメディアの無責任体質だった。
日本のマスゴミは危険な所には自分らは行かない。フリーのジャーナリストから写真や記事を高額のカネで買い取り、それを自分らが取材してきたかの如く報道する。そして今回のようにジャーナリストの身が危険になると、邦人保護は政府の仕事とばかり政府に解決を任せ知らんふり。全く無責任なものだ。

この件を欧米のメディアはどうしているか、BBCのレポーター/キャスターの大井真理子さんが自身のツィッターに書いている。
日本のメディアの問題点を考えるうえで大変いい話なので紹介したい。

その前に大井真理子と言っても多分分からない人が多いと思う。私は自宅で見るTVはBBCが中心なので時々見かける顔なのだがこんな人。

2018-11-3BBCの大井真理子 
ツイッターの自己紹介では
 日本人初BBCレポーター/キャスター。在シンガポール、日本にもちょく取材に帰ります。二児の母


それでは大井真理子さんのツィッターから
<以下引用>
Mariko Oi 大井真理子 
@BBCMarikoOi 2018年11月1日

BBCでは危険地域からフリージャーナリストのレポートは使わないルールです、シリアではイアン・パネル記者やダレン・コンウェイカメラマン、イエメンではオーラ・ゲリン記者、イラクではクエンティン・サマーヴィル記者など社員記者に元英国兵などからなる「ハイリスクチーム」が同行し取材しています。
https://twitter.com/BBCMarikoOi/status/1058212660397756421


Mariko Oi 大井真理子
@BBCMarikoOi 2018年11月1日

その理由はスクープを追って身の安全を顧みずに取材に行くリスクがあるから。社員記者が3年起きに受ける危険地域トレーニングでは、防弾チョッキを着て走る練習、誘拐された時の交渉方法などを学びます。パルの被災地でも、被災者が暴徒化する可能性がゼロではなかったため、ハイリスクチームが同行。
https://twitter.com/BBCMarikoOi/status/1058215532518752258




Mariko Oi 大井真理子
@BBCMarikoOi 2018年11月2日

で、、、私はこの危険地域トレーニングに2度も乳飲み子連れで参加しました😅でも元兵士の先生たちは暖かく受け入れてくれた。日本では「幼い子を人に預けて仕事続ける悪い母親」論と「社会復帰しない=専業ママは活躍してない」論のバトルがすごいけど、個人のチョイスをサポート、応援しませんか?
https://twitter.com/BBCMarikoOi/status/1058310269103796224
 

参考までにこれも。
大井真理子さんの所に返信されたKen Sugarさんのツィッター。

Ken Sugar 🌏
返信先: @BBCMarikoOiさん
【参考資料:2014年記事】
AFP(フランス通信社)は13年8月以降(ジェームズ・フォーリー事件以降)、フリー記者による紛争危険地帯潜入取材の素材不使用を決定。
「外国人記者はもはや目撃者として地元住人にも歓迎されておらず、身代金のための『商品』」

<引用ここまで>


こんな事例を見ると、流石世界を股にかけて活躍しているイギリスやフランスは違いますね。
安全についても、悲惨な事件を教訓にすぐ手を打っている。日本のメディアにも見せてやりたい事例です。でも日本のゴミメディアは労組の力が強く、危険なところなど下請けにやらせりゃいいんだ、こうなんでしょうね。

それにしても大井真理子さん、乳飲み子を連れて安全訓練に参加ですか。凄いですねえ。唯々感心するばかりです。

  1. マスコミ
  2. TB(0)
  3. CM(8)

2018-11-02 17:28

メキシコの罠<タカタの場合


 メキシコの罠に嵌って倒産してしまったタカタ。しかし私にとってこの話は他人ごとではない。第一タイ時代にはタカタと取引していたこともあり、タカタは厳しいことも言うが良い会社だと思っていたからだ。

所でそのタカタはどうなったか。これは4か月ほど前の報道。

タカタ民事再生1年、連鎖倒産なし 昨年6月26日に申請
2018.6.27 05:00  

 欠陥エアバッグのリコール(回収・無償修理)問題で経営が悪化したタカタが昨年6月26日に民事再生法を申請してから1年が経過し、これまで1件も連鎖倒産が発生していないことが26日、帝国データバンクの調査で分かった。タカタが関係の深い取引先約560社に債務を全額弁済したことが大きく寄与したほか、自治体や自動車メーカーの資金繰り支援も連鎖倒産を回避できた背景にある。

 タカタの負債総額は1兆823億円に上り製造業で戦後最大の倒産となった。事業は中国・寧波均勝電子傘下の米自動車部品キー・セイフティー・システムズ(KSS)をスポンサーにした新会社が引き継いだ。帝国データバンクによると、旧タカタ時代から引き継がれた滋賀県や佐賀県にある主な生産拠点が移転する事態になれば、周辺の取引先を中心に一定の影響が出るリスクは否定できないという。

<引用ここまで>

所でこの倒産劇、日本の報道を見ていてもサッパリ実態が見えない。これは1年前の倒産時の報道だが、3代目社長の無能のために倒産したことだけを取り上げている。
これは産経の報道。詳細は下記参照ください。
https://www.sankei.com/economy/news/170626/ecn1706260031-n1.html
【タカタ破綻】
終始逃げ回った3代目の罪…追い込まれ破綻へ
2017.6.26 21:25


3代目の道楽であんな優良会社がみすみす破綻。だがその原因はアメリカの問題とメキシコの問題がある。
最初にアメリカの問題をキチンと報道したものは少ないが、その少ない報道の一つがこれ。

<以下mag2newsより>
タカタも米国にハメられた?リコール問題に残る不可解な事実
2017.07.20  by 大村大次郎
https://www.mag2.com/p/news/257636


詳細はリンク先参照ください。大変いいところを見ていますが、何せ証拠の無い話。問題点を指摘するだけになっています。

要点は
・発端はタカタの自発的なリコール
・そのリコール後、急増したアメリカのエアバッグ死亡事故
・事故の原因がエアバッグの欠陥と明確に判明したケースもほとんどない
・日本ではタカタ製エアバッグ暴発による死亡事故はない(けがを負った事故が2件のみ)
・NHTSA(米運輸省道路交通安全局)は無理やりエアバッグの火薬の問題にしてしまった

こんなことで、ここまで見てくると2009年~2010年のトヨタ叩きと殆ど同じ経過をたどっていることが分かる。このトヨタ叩きは最終的に「ニュースの見出しを狙った政治的に引き起こされた集団ヒステリー(wp2011.2.9)」という評価で決着しているが、タカタは対応に失敗し、倒産という悲劇となった。
このアメリカの問題は指摘するにとどめ、本題のメキシコの罠について考えます。


タカタのエアバッグ問題で焦点の一つがメキシコ工場製だけが問題だったこと。この件を追求した報道はこれまた極端に少ないが以下のロイターの記事は大変示唆に富んでいる。特にモノ作りに携わる人には大いに参考になる事例。そこで少々長いが全文引用します。

<以下ロイターより引用・・4年前の記事ですが>
https://jp.reuters.com/article/takata-idJPKCN0J50U120141121

ビジネス2014年11月21日 / 19:12 / 4年前
特別リポート:タカタ欠陥エアバッグ、尾を引く「メキシコの誤算」

[フロンテラ(メキシコ)/デトロイト 21日 ロイター] - 米国を中心に相次ぐ死傷事故と大規模なリコール(回収・無償修理)を引き起こしているタカタ7312.tの欠陥エアバッグ問題。人命を守るはずの安全機器がなぜ一瞬にして凶器に変わったのか。

その原因をたどると、米国との国境から車で3時間余り、メキシコ北東部の小さな町で起きたある出来事が浮かび上がってきた。

原因不明の爆発、想定外の生産遅延

メキシコ・コアウイラ州フロンテラ。タカタは2000年、人口7万5000人あまりの同地域に北米向けを中心とするエアバッグの製造工場を建設した。死傷事故やリコールにつながった同社製品は2001─2002年と2012年頃に製造されているが、リコール記録や当局、自動車メーカーによると、そうした欠陥品はこの工場で作られていたことがわかっている。

エアバッグ生産コストの削減策として大きな期待を寄せていた同工場が、タカタにとって「誤算」に転じた出来事は2006年に起きた。皮肉にも、同社が東証第一部に上場した記念すべき株式新規公開(IPO)の年だった。

同年3月30日の夕方、工場内で数回にわたり原因不明の爆発が発生。工場からは無数の火の玉が飛び散り、外壁は吹き飛び、1キロ離れた家の窓も壊れるほどのすさまじい爆発だった。

爆発の際、工場内には数百人の作業員がいた。幸いにして彼らは全員が無事に脱出し、近くの住民にも死傷者はでなかったが、この爆発についてはタカタからの公式説明はなく、原因は不明のままだ。同社は事故対応に2100万ドルを特別費用として計上。同年11月のIPOに向けた祝賀ムードに水を差す出来事になった。

事故後、1カ月もしないうちに同工場は生産を再開、ホンダ(7267.T)やフォード(F.N)が部品不足を理由に自社工場を停止する事態は避けられた。復帰して仕事を続けた従業員には、特別奨励金が支払われ、さらにテレビや冷蔵庫を賞品にしたくじ引きやイースターの礼拝も行われた。会社側の手厚い配慮もあり、爆発事故の衝撃はほどなくして癒えた。

マネージャーらは工場の復旧を誇りにし、記念に、爆発の写真が載った大型豪華本を製作したり、最初の爆発の日時が刺繍された野球帽を作るなど、今では従業員をつなぐ記念の出来事にさえなっている。

しかし、この爆発によって同社のメキシコ戦略は生産遅延という大きな問題に直面した。操業強化のため、作業員への容赦ないプレッシャーがかかり、特にメキシコに赴任してきた米国人のマネージャー達からの圧力は強かった、と同工場で2008年まで管理職として勤務していたアレハンドロ・ペレス氏らは語る。

生産目標達成へ容赦ない圧力

エアバッグの基幹部品であるインフレーター(ガス発生装置)については生産個数の割当があり、時には一日200個を超す数をこなさなければならなかった。「もしそれを達成できなければ、遅れているということになり、ボーナスももらえなくなる」と2004年から2010年まで同工場で働いたホセ・サンチェスさんはいう。

生産強化に向けて突然に高まったプレッシャーが、同社製品の品質にどういう影響を与えたかは明確になっていない。しかし、2010年と2011年、同工場は運転者エアバッグ用の新しい種類のインフレーターについては、一貫して生産割り当てを達成できなかった。

その状況を打破するため、経営側は工場にセキュリティーカメラを設置、製造ラインでなまけていたり、しゃべって仕事に集中していない作業員を監視。その画像を社内メールに添付して回覧することもあった。これについて会社側は、カメラは窃盗の防止で作業員の監視用ではないと説明している。

この時期、同工場では、インフレーターの製造ラインで、欠陥部品の修理をするという「問題行為」も発覚した。生産目標の達成を容易にするためだ。しかし、本来、欠陥部品は誤って出荷される事がないよう、赤い容器に分別され、検証を経た上で、可能であれば修理を行うという手間をかけるのが工場のルールだった、と元従業員たちは言う。

ロイターが入手した2011年5月にスペイン語で書かれたメールが当時の状況を物語っている。当時、工場の管理をまかされていたギアルモ・アプード氏は、「ライン上での補修は禁止!リーダー/担当者/オペレーターは勝手に補修をしてはいけない。不良品発生の原因になるからだ」と叱責。「今すぐに変える必要がある」と強く呼びかけた。これについて同氏はコメントを拒否している。

タカタと自動車メーカーが米道路交通安全局(NHTSA)に提出した書類によると、2012年、タカタはメキシコ工場から出荷予定だったインフレーターに誤った部品を装着した。その部品を入れる容器が近過ぎる状態で置かれていたためだ。これによって自動車メーカー3社の35万台以上がリコールとなった。

しかし、このミスはすぐには発覚しなかった。2013年10月、米国人のブランディ・オーウェンズ(当時25歳)が新車のGM「シボレー・クルーズ」を運転中、別の車に衝突、エアバッグが破裂して彼女は左目を失明した。2014年4月に起こされた訴訟で、タカタのメキシコ工場でのミスが明らかになり、2か月後のリコールにつながった。

<メキシコ投資、需要確保への賭け>

タカタにとって、2000年のメキシコでの工場建設は、より安い労働力を活用し、北米を中心とするエアバッグのおう盛な需要に応えるという戦略的な意味を持っていた。

同社の社内プレゼンテーション資料によると、インフレ―ター生産を米国の2つの工場からメキシコへ移管させた結果、インフレ―ター生産の1個当たりの労働コストは2ドルから約75セントに低下。2006年までの5年間に、同社は7000万ドルの労働コストを削減した。タカタの顧客である完成車メーカーにとっても、インフレータ―の購入コストが1個当たり20ドル未満と20%以上も引き下げとなり、大きな恩恵が及んだ。

同工場では、従業員が両手を挙げてバンザイのようなしぐさをうかがわせるような記念写真が撮られている。それが象徴するように、メキシコへの生産移管という「賭け」は、2005年春までに大きな成果をもたらした。一方、タカタは米アトランタの南東、ジョージア州ラグランジェ工場を閉鎖。4年間のうちに、タカタはアトランタ工場と米国にある2つ目の工場、ワシントン州のモーゼスレイクでの生産を減らしていった。

しかし、米軍基地の跡地に建てられていたモーゼスレイク工場では、現場のやる気が大きく損なわれていった、と複数の従業員らがロイターの取材に語った。彼らによると、工場では生産量(ノルマ)の達成が最優先され、乗用車やSUV(スポーツ多目的車)の需要増加に追いつくため、長時間労働も強制された。「われわれはみんな燃え尽きた」と一人の元従業員は振り返る。2002年、工場は100人の従業員を解雇。一方で、当時のメディアは、タカタのメキシコでの生産増加を伝えている。

<「目が行き届いていなかった」>

インフレーターはエアバッグの安全性を左右する最も重要な部品の一つだ。その生産を担う現地工場の状況について、東京にあるタカタ本社がどの程度把握していたかは明らかになっていない。生産量を増やした際、タカタは正社員を本社からメキシコ工場へ送り込まなかった、と従業員らは話す。

メキシコ工場については、タカタの安全監査役は2011年5月に米国から派遣されている。ロイターが入手した監査レポートによると、不安定な硝酸アンモニウムの取り扱いに問題があり、十分にしっかりと詰め込まれた構成物質の袋が閉じられていない、良い材料の近くに、スクラップされたもしくは不純物の混ざったプロペラント(推進剤)が保管されているといった、リスクと隣り合わせにある状態が見つかった。しかし、その監査役はリポートの中で、タカタ本社に監査結果を送ることはないと述べていた。

「米国市場も当時、非常に拡大していたこともあり、残念ながら、われわれの目が行き届いていなかった状況が発生した」。今年6月のタカタの株主総会で、創業者の孫である高田重久会長兼最高経営責任者(CEO)は、こうコメントした。彼がもっとも直近で公の場に姿を見せたのがこの株主総会だった。

JOANNA ZUCKERMAN BERNSTEIN、 BEN KLAYMAN 日本語版編集:北松克朗、加藤京子、白木真紀
<引用終り>


ここで私の見る所を書いてみます。独断と偏見もありますがご了承を。

この問題の根底にあるモノ

① タカタはアメリカの工場を閉鎖、縮小してメキシコ工場に重点を移し、メキシコの低賃金で利益を上げた。
これがアメリカから見ると、アメリカを裏切ってメキシコに生産を移し金儲けをした、タカタは裏切り者だ。・・・この構図はアメリカの製造業がNAFTAで壊滅し、アメリカ自身が苦しんでいる事に繋がる。現在のトランプのNAFTA改造論と同根。
但し、これをやったのがアメリカ企業なら、アメリカが儲けたのだからとなるが、アメリカを蹴飛ばしてメキシコに工場を作り、儲けたのが日本。これがアメリカには鼻持ちならんという事だと思う。
これがあるがためにカーメーカーではなく部品メーカーのタカタを叩いた。


② マネージャーにアメリカ人を使用し、アメリカ流の管理をやっていた。
上手く行っている時は良いのだが、問題があると解決が難しい。
特に問題発生時、日本から技術陣を大量投入し、解決するべきだったが多分人材不足でできなかったと思われる。(メキシコ工場側は問題が有っても日本人は来てくれなかったと言っている)

「生産個数の割り当てが有り、達成できなければボーナスももらえなくなる」、こんな管理は諸悪の根源であることは日本では良く分かっている。絶対やってはいけない方法だ。
日本式なら改善チームを組織し、未達の現場に張り付いて問題点を摘出し改善していく。こんな方法でないと成功はおぼつかない。

また不良品をライン内で手直しするのを禁止するスペイン語のメールを出しているが、こんな事で解決はできない。現場に入って「どうしてそうせざるを得なかったのか、人や場所、そして道具類とか図面指示書の類まで一つずつ潰さないと解決しない。これを一片のメールで解決しようなどというのは、モノ作りを知らない机上論者のやることである。


③ メキシコ人は英語が分からない人が多い(多分分かろうとしない)、これがコミュニケーション不足を招いた。

④ メキシコ人の潜在的な意識
 ・ メキシコ人は侵された女の子供たち(メスティーソ[スペイン語: Mestizo]メスチソ)との心のシミを持っている。世界で一番殺人事件が多いのが中南米諸国であることでも分かる。

 ・ スペインからの独立(1821-1822)後、アメリカに米墨戦争(1846-1848)を仕掛けられ、国土の約半分を失った(盗まれた)。
どれくらい失ったかというと
2018-11-2メキシコの領土喪失 

この戦争前後に失った領土は現在アメリカの「カリフォルニア、ネバダ、ユタ、テキサス、アリゾナ、ニューメキシコ、ワイオミング、コロラド」にほぼ相当する。しかもこの割譲直後カリフォルニアで金鉱が発見され、ゴールドラッシュが始まったとか、テキサスで大油田が発見されたとか、現在のアメリカの繁栄の元がこのメキシコ領土分捕りだった訳。これではメキシコ人の反米感情が残る訳だ。
メキシコ人は「メキシコとは天国に一番遠い国、しかしアメリカには一番近い国」、こんな事を言うそうだが、これがメキシコ人の率直な感情なのだろう。
こんなことでメキシコ人には潜在的な反米感情嫌英語感情がある。メキシコからアメリカに移民しても英語を話さず、スペイン語だけで生活する人たちがカリフォルニアなどには多いが、こんな事の裏に潜む事情があるということでしょう。


⑤ NAFTAでメキシコは貧困になった
 もう一つ見逃せないのがNAFTAの問題。NAFTAでアメリカの製造業がほとんど壊滅状態なのだが、逆にメキシコが豊かになったのかというとそうでは無い。メキシコの農業もアメリカの大規模農業に敗北し壊滅。
最近ではメキシコ北部の労働者の所得は中国より5~7%安いと言われている。


こんなことで、メキシコに進出する企業を待ち受けるメキシコの罠。解決は並大抵ではないと思います。

  1. 自動車
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