2014-02-04 14:43

タイの混乱は続く

 2日にタイの総選挙は終わった。不思議な事に選挙を実施したタクシン派インラック首相も反政府側もどちらも勝ったと言っている。
先ずは選挙の結果から

<以下バンコク週報より引用>

総選挙、無効の可能性も、2割弱の選挙区で投票中止

03/02/2014
中央選管の発表によれば、総選挙の投票が完了した投票所は、全国の9万3952か所の約89%に当たる8万3669か所。
投票が中止となったのは全体の10・90%に当たる1万283か所だった。
投票が完了したのは全国の375区のうち306区で、中止に追い込まれたのは18県の69区。
また、同18県のうち9県はすべての投票所が投票中止となった。

バンコクに関しては、6671か所の投票所のうち6155か所で投票が完了。
投票中止となった投票所は全体の7・73%、516か所となっている。

ソムチャイ中央選管委員は投票締め切り後の記者会見で、「今回の総選挙は3つの大きな問題を抱えている」と指摘。

①候補者が1人だけだった16選挙区では、候補者の獲得票数が有権者全体の20%に満たない場合、再度選挙を行う必要がある。②28選挙区が候補者不在だったことについて、選管は憲法裁判所の判断を仰ぐ必要がある。③再選挙をいつ実施するか。また、選管関係筋によれば、選管にはこれら28選挙区で選挙を実施する権限がないため、今回の総選挙が無効とされる可能性が高いというーー。

法律では、「混乱・不測の事態のため投票ができなかった選挙区では再選挙を実施する」と規定されているものの、対象となるのは候補者のいる選挙区であり、28選挙区は該当しない。

ほか、新たに勅令を発布して総選挙を実施することも可能だが、それ以前の総選挙を補完する形で実施することは不可能で、従って今回の総選挙は無効となるとのことだ。
http://www.bangkokshuho.com/article_detail.php?id=3388

<引用終り>


分かり難い記事だが、掻い摘んでいうと全選挙区375の内完了したのが306選挙区(81.6%)、未完が69選挙区(18,4%)だった、こんな結果だった。
未完の選挙区はこれから再選挙が行われる、それまではすべての投票結果は公表されない(再選挙への影響?)見込みだ。現政権が再選挙をやろうとしても再選挙などには4~6ヶ月かかる見通し。
それまでは現内閣が存続できるが選挙管理内閣なので憲法規定で重要な決定は出来ない。

先月のエントリー「タイの今」で紹介したように既に政府の金も底をついてきた、コメの代金も支払えない事態になっている。金が入らないため自殺する農民も出ているようだが、そんな混乱が未だ半年くらい続きそうなのだ。


そこでこんな政治の混乱の歴史的背景を見てみたい。
最初に先回の紹介したのだが、前回2011年の総選挙でタクシン派と反タクシン派どちらが優勢だったのか。

2014-1-14タイのタクシン派と反タクシン派分布2011

こんな風なのだが、これだけでは何が問題か分からない。
タイは大きく分けて三つの言葉と民族が有る(勿論同じタイ語の仲間だが)
その分布はと言うと
2014-2-4タイ国地図北部東北部明示


此れで見るとタクシン派が強い地域と言うのはタイ北部、100年ほど前まで別の独立国(タイの属国)だったところ。それとタイ東北部、こちらもタイの保護下だがラオスの影響下にあった所。
どちらも田舎である。そしてタイ共産党の根拠地だったところでもある。
特に東北部は土地がやせている。日本人には信じられないが場所によっては乾季には田んぼの真ん中で塩がとれる、そんな所だ。


歴史を紐解くとタイは普通、昔はスコータイ王朝、それからアユタヤ王朝、そして現王朝と変わったと言われています。
しかしそれはタイ中央部だけの事。
タイ北部・タイ東北部は全く違う歴史が有る。

タイ北部
1894年(日本で言えば明治27年)まではラーンナー・タイ王国と言う独立国だった。それが現在のタイ王国に併合された。民族的には勿論広義のタイ族、言葉もタイ語だが北部方言。

タイ東北部
1700年頃まではラオスのランサン王国の支配地域だった。(その頃ラオスからラオ族がこの地に入植してきた)。言葉はタイ語の方言でラオ語、又はイサーン語。隣国ラオスと同じ言葉である。

注意してほしいのは北部にしても東北部にしても武力による併合ではなく、中央部(アユタヤ朝、トンブリ朝、バンコク朝)が経済的に非常に強いため、その庇護下に入って行ったと言うのが実態。それが今日まで続いている。

さてではタイの各民族の人口はどうなっているかと言うと
これは20年くらい前のデータだが、比率はあまり変わらないと思う。

タイ国住民の民族的構成
・タイ語グループ
 ・シャム(タイ中央部)   25、0%
 ・ラオ (タイ東北部)   31、0%
 ・ユアン(タイ北部)    20、0%
 ・その他タイ語族       7、0%
 ( 計            83、0%)
・移民グループ
 ・華人(主に都市地域)   10,5%
 ・その他移民         0,3%
・マレー系           3,0%
・山地民その他         3,2%

こんな風になっています。
タイ中央部が経済的には圧倒的に強く、永年田舎の貧しい民を保護し、タイ周辺の属国からタイに吸収してきた歴史。
この歴史の上に今日が有る。
しかし田舎の貧しい民をカネで買収してきたのがタクシン。
一人1票ならこんな人口構成なのでタクシン派が勝てる、そう言う事になっている。

しかし金をどんどんばら撒けば国の金庫も空になる、それが現在だと言う状況。

しかしこの困った事はまだまだ解決には時間がかかるだろう。少なくとも甘い汁を吸った連中がそれに気が付くにはもっととんでもない事が必要かもしれない。
  1. タイ
  2. TB(0)
  3. CM(4)

コメント

イサーンが人口比率ではトップとは意外でした。
しかし中央のタイ人にイサーンの話をするとなんとなくネガティブな反応でした。
どんなところかは想像がつきます。

しかし、日本の地方自治法の話ですが、予算的に実現不能な条例案が可決してしまったら長は拒否権を発動できます。

タイの行政にこのような安全装置はないのでしょうか?。

タクシンの妹の選挙管理内閣化に成功したのは僥倖ではあるでしょうが、米の買い上げは続くということですよね。

時限爆弾の解除には成功したけど船は浸水沈降中といった状態ですね。
  1. 2014-02-04 18:17
  2. URL
  3. ガンダム #-
  4. 編集

To:ガンダムさん

> イサーンが人口比率ではトップとは意外でした。
> しかし中央のタイ人にイサーンの話をするとなんとなくネガティブな反応でした。
> どんなところかは想像がつきます。
>
> しかし、日本の地方自治法の話ですが、予算的に実現不能な条例案が可決してしまったら長は拒否権を発動できます。
>
> タイの行政にこのような安全装置はないのでしょうか?。
>
> タクシンの妹の選挙管理内閣化に成功したのは僥倖ではあるでしょうが、米の買い上げは続くということですよね。
>
> 時限爆弾の解除には成功したけど船は浸水沈降中といった状態ですね。


タイの事情、良くご存知ですね。
北部、東北部の人間に対する一般的な(つまりタイ中央部の)見方です。
タイ北部の人(チェンマイの人)⇒色が白くて女性は美人、しかし狡すっからいから気をつけろ。
タイ東北部の人(イサーンの人)⇒色黒でブス、頭は悪いが馬鹿正直、召使に丁度いい。
こうなっています。
特にタイ北部(チェンマイを中心にしたラーンナー王国)は1558年~1774年までビルマに占領されていました。圧政で苦しんだようです。
こんな歴史が人間性を作ったと思います。
東北部も似たようなものです。

こんな民族性、そして純朴な人たちに目を付けたのがタイ共産党。
その共産党の残党たちに目を付けたのがタクシンです。
タクシンは国を捨ててタイに移住してきた2世なので国家に対する忠誠心は有りません。
嫌ならまたどこかに行くだけと割り切っているのでしょう。

矢張り国を捨てて逃げてきた奴らを信用してはいけませんね。
  1. 2014-02-04 21:39
  2. URL
  3. 短足おじさん二世 #-
  4. 編集

小生のリクエストに答えていただきありがとうございます。

たいという国はある意味まだ国民的統合ができていないんですね。
日本は明治維新のような問題があっても統合は問題がありませんでしたよね。

東北地方と九州地方を非征服地として抱えているというのと同じですよね。
平安時代くらいの感覚なんでしょうか。

それにしても特亜の連中はどこに言っても同化しないのですね。
困った連中です。いい加減に金儲けが巧いから問題なのですよね。
  1. 2014-02-05 22:44
  2. URL
  3. kazk #-
  4. 編集

Re: 小生のリクエストに答えていただきありがとうございます。

> たいという国はある意味まだ国民的統合ができていないんですね。
> 日本は明治維新のような問題があっても統合は問題がありませんでしたよね。
>
> 東北地方と九州地方を非征服地として抱えているというのと同じですよね。
> 平安時代くらいの感覚なんでしょうか。
>
> それにしても特亜の連中はどこに言っても同化しないのですね。
> 困った連中です。いい加減に金儲けが巧いから問題なのですよね。


タイの周辺国併合の歴史は武力による占領統合ではなく外国からの圧力に対する保護として併合した、こんな風に理解していただきたいと思います。
例えばタイ北部、ココは旧ラーンナー王国でしたが、200年以上ビルマに占領されていました。
そのビルマを追い出し独立国(実際は属国でしたが)にし、更に併合した。
ですからラーンナー王朝の末裔は今でもチェンマイの名家で存在しています。
東北部も事情は似たようなもの。但し相手がベトナムだったり、フランスだったりです。

そんな事で今タイは分裂の危機と言いながら声高に独立を叫ぶ勢力はいません。
独立すれば貧しくなるだけ、それが分かっているからです。
学者に言わせるとタイは「保護・被保護の関係」で説明できるそうですが、そんなものかもしれません。

それから二日に頂いたコメントの返事が抜けておりました。失礼しました。
遅ればせながらそちらにも私の考えを書いてあります。
  1. 2014-02-06 11:25
  2. URL
  3. 短足おじさん二世 #-
  4. 編集

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