2009-11-19 22:43

閉塞の十年 (その3)

閉塞の十年の3回目:労働の質の高度化。

 

タイには日系の会社が沢山あるが、その中で最大の会社(従業員数で)はどこかご存知だろうか?。

トヨタ? ホンダ? 実は意外な会社が一番・・・ミネベアである。

 

ミネベア、ミニチュアボールベアリングで世界一のシェアを誇るトップメーカーである。

このミネベアがタイの日系企業ではトヨタやホンダを押しのけトップ。

 

ではどれ位かというと

 このデータはやや古いので現在では「フジクラ」も3万人規模らしい。

またミネベアのHPによれば、タイにはバンパイン・ロッブリ・アユタヤ・ロジャナの4工場あり、合計従業員27248人(2009年3月末現在)となっている。しかしいずれにしてもトップであろう。

 

これはミネベア・バンパイン工場

(ここで15、000人が働いている)

 

 

ミネベアのグローバル展開の中身は

全世界に展開しているミネベアのビジネス、日本向けが売上の25%であるのは理解できる。

しかし従業員数で見ると日本は5.7%、アジアが88.6%である。

 

タイでミネベアがどうしてこんなグローバル展開をしたのか聞く機会があった。

要は新製品開発、生産技術開発、試作・評価、技術・管理指導などで最小限の生産工場は日本に必要なので それだけ残した。

そして量産品は殆ど海外(主にタイ)に移行したとのことだった。

 

これは私自身の経験とも重なる、つまり在来型の仕事は殆ど海外に移行できる、日本人が行って教えればよいわけだ

(だから私も日本空洞化の片棒を担いだ真犯人の1人・・・泣)

 

 

閉塞の十年とは従来型の仕事が海外に出し、高度な仕事だけが残った結果だと言える。

そんなことを裏付けるデータをもうひとつ、

閉塞の十年(その1)で自動車生産の停滞を取り上げたが、

yuyuuさんから「生産台数は確かに横ばいだが、生産金額は大きく伸びている」との指摘があった。

それに対する回答にもなると思う。

 

まず生産台数と金額はこうなっている。

 

乗用車生産台数と金額

         1999年      2008年       比率

台数     809.7万台    992.8万台    122.6%

 

金額    11兆5992億円  17兆5068億円  150.9%

 

台当り     1.43(百万円)   1.76(百万円)

 

これだけ見ると台当り単価が上がっており、車が高級化しているように見える。

しかしこれには数字の中身に違いがある。この統計の中身は

 

つまり早い話、生産台数は完成車+KD輸出車両だが、生産金額は完成車+KD輸出車両+KD輸出部品なのだ。

そしてKD輸出(普通はCKDと言う)がどれくらいかと言うと

 

これは中国インド・タイだけのデータだが

 

 

この様になっており、現地調達化が進んでいるタイでも意外と日本からの輸入品が多い。

これは発展途上国では簡単には現地調達できない難しい部品があり、それは日本から送らざるを得ないと言うこと。

 

長い話になったが、台数がそんなに増えないのに金額が増えたのは部品(普通CKD部品といっている)の分が金額のところに加算されている為である。

そしてこの海外生産なのに日本から送らねばならない部品とは

発展途上国では出来ない難しい部品」のこと、これは生産に携わる人もそれなりのレベルを要求されると言うことでもある。

 

自動車の海外生産が増えた、それは今まで以上に働く人のレベルアップを要求している、こんな事がいえると思う。

 

働く人のレベルアップ、これは言うのは簡単だが非常に難しい、そして例えば教育の現場などで

「時代が変わった、これからは今までよりはるかに高度な人が求められている。その為の教育をどうするか?」こんな視点で教育が進められているだろうか?。

残念ながらノーである。相変わらず「みんな仲良くオテテつないで」といった所。

永年の左巻き教育の弊害が未だ横行している。

 

若者は学校時代は「みんな仲良くオテテつないで」、そしていきなり就職氷河期(今年は一段と酷いらしい)で寒風にさらされ、やっと就職しても厳しい生存競争の真っ只中。

これで未来に希望を持てというのが酷だというのは当然だろう。

 

閉塞の十年、企業は発展途上国との住み分けで仕事の高度化へと大きく舵を切った。

だから人のレベルアップも必然だ。

だがこの時代の変化に社会のシステム、特に教育と情報(マスコミ)に関しては立ち遅れが酷いと思う。

日本を覆うこの閉塞感の一因がこんなところに有ると思えるのだがどうだろう。

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コメント

No title

生産金額は完成車+KD輸出車両+KD輸出部品なのだ。

なるほど現地調達の進展でKDの概念が変わっていたのですね。
上記で、KD輸出車両というのは1台分のキット、KD輸出部品は現地調達できないヤヤコシイ部品と言うことでしょうか?海外生産の伸びに合わせて、この部分は急激に大きくなったと言えそうです。


>閉塞の十年、企業は発展途上国との住み分けで仕事の高度化へと大きく舵を切った。だから人のレベルアップも必然だ。

これは間違いなくそうです。
求められる高度化に挑戦しようという人材が不足しています。
2000年以降は、やれば評価される時代であり、やる気のある者に良い時代でしたが、一方で、勤めているのに仕事をしない社内失業者が増え続けたのです。

  1. 2009-11-20 00:22
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  3. yuyuu #79D/WHSg
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No title

To yuyuuさん

>なるほど現地調達の進展でKDの概念が変わっていたのですね。
>上記で、KD輸出車両というのは1台分のキット、KD輸出部品は現地調達できないヤヤコシイ部品と言うことでしょうか?海外生産の伸びに合わせて、この部分は急激に大きくなったと言えそうです。

細かいことを言えば、KDキットがFOBベースで60%以上有ればそれは1台としてカウント、それ未満なら部品なので台数には関係ないという計算をしています。

>求められる高度化に挑戦しようという人材が不足しています。
>2000年以降は、やれば評価される時代であり、やる気のある者に良い時代でしたが、一方で、勤めているのに仕事をしない社内失業者が増え続けたのです。

私が最後に言いたいことがバレてしまいました。
本当はそれが言いたかったところ、さてどんな事になるのやら・・・
  1. 2009-11-20 06:34
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  3. 短足おじさん #79D/WHSg
  4. 編集

No title

日本は高度基幹部品及びテクノロジーに供給、組立は海外生産拠点と云う事でしょうか。Apple コンピュータなどは、同様に基幹高度テクノロジー部品は世界中から調達、組立は主としてシンガポールとフィリッピンで行い、世界中へ輸出と云う体制の様に感じます。ミネビアは生産拠点をタイに置いたのは正解でしたね。フジクラもタイだったとは知りませんでした。

>>求められる高度化に挑戦しようという人材が不足しています。
>2000年以降は、やれば評価される時代であり、やる気のある者に良い時代でしたが、一方で、勤めているのに仕事をしない社内失業者が増え続けたのです。

政府の議論で「二番で何か不都合が?」「一番になれると云う担保あるの」と云うバカ話が堂々と闊歩する社会です。これからはどうにもならないでしょうね。やる気の有る人材、挑戦しようと云う人材は海外に出て陣取りするしか居場所が無いのかも知れません。学者の世界ではとっくに始まっていますしね。ノーベル賞受賞者が殆ど米国に基盤を置いて研究活動した結果だと云う事を忘れてはいけませんね。
  1. 2009-11-21 08:29
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  3. sonoraone #79D/WHSg
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No title

To sonoraoneさん
>
>政府の議論で「二番で何か不都合が?」「一番になれると云う担保あるの」と云うバカ話が堂々と闊歩する社会です。これからはどうにもならないでしょうね。やる気の有る人材、挑戦しようと云う人材は海外に出て陣取りするしか居場所が無いのかも知れません。学者の世界ではとっくに始まっていますしね。ノーベル賞受賞者が殆ど米国に基盤を置いて研究活動した結果だと云う事を忘れてはいけませんね。

ゴルフでもマラソンでもそうですが、「二番手で良いや」と最初から二番を狙って二番になれた人はいません。
目標は一番、そう思って死に物狂いで努力しても「力及ばず二番」になるのが世の常。
最初から負け犬根性の連中に人の上に立つ資格など有りません。
戦場ではこんな指揮官がいると部隊が全滅するので、やむを得ず指揮官を殺します。日本もそういう時代に入ってきたようです。
  1. 2009-11-21 10:17
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  3. 短足おじさん #79D/WHSg
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>戦場ではこんな指揮官がいると部隊が全滅するので、やむを得ず指揮官を殺します。日本もそういう時代に入ってきたようです。

鋭い話です。
  1. 2009-11-21 12:20
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  3. sonoraone #79D/WHSg
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No title

To sonoraoneさん

>>戦場ではこんな指揮官がいると部隊が全滅するので、やむを得ず指揮官を殺します。日本もそういう時代に入ってきたようです。
>
>鋭い話です。

戦地から九死に一生を得て帰還した方の中に少なからずこんなケースが有ったと聞いています。
でもその方たちはそのことを胸の奥にしまいこんで、全国の戦友、上官の家族の方を訪ね、「勇敢な戦士だった、部下思いの優しい上官だった」とその最後を語っていたそうです。もうその方たちも殆どが黄泉の国へと旅立っていかれました。
  1. 2009-11-21 19:47
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  3. 短足おじさん #79D/WHSg
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