2009-11-17 07:00

閉塞の十年 (その2)

この十年で何が大きく変わったか?。

コンビニがいやに増えた、馴染みの飲み屋のおばちゃんが死んで店が無くなったなどなど、誰でも思い当たることがある。

 

 

中でも特に目に付くのが老人介護施設が雨後の竹の子の如く出来た事。

  

2000年度に介護保険制度が発足、これは1999年10月の自民公明連立体制の産物、そしてその結果できたのが老人介護施設である。

 

私はこの介護施設介護保険制度は大変ありがたいと思う半面批判的でも有る。

ありがたいと思うのはタイに単身赴任している時、私の母はどんどん弱っていき、その介護が家内(やはり仕事をしていた)の大きな負担になっていた。 

救いの神だったのが介護施設、当時出来たばかりの介護施設に母が入所できたことがどんなに有り難かった事か。

然しそのことでこの制度も問題点もみえてきた。

 

 

 

介護施設の一例

こんなものである。病院と同じで市街化調整区域でも建設できるようで、田舎に沢山出来ている。

 

内部はこんな感じ

この写真は介護施設のパンフレットからとったものなので一見和気藹々といった感じ。確かに施設は新しく感じが良い。施設によっては下手なホテル顔負けといった感じ。

働いている人も元気よく挨拶するし、気持ちが良い。

 

然し実態はといえば・・・。

 

この様な介護施設を訪問した経験のある方は分かると思うが、施設に入るのがまず簡単ではない。入り口がロックされていて係りの人を呼ばないと開けられないとか、帰るときも簡単には出られないようになっているところが有る。

理由は簡単、入居している老人が家に帰りたがり、出て行ってしまうのを防ぐ為だ。

だから或る施設などは「これではていの良い軟禁施設」と感じられるところもある。

 

そして中に入ると・・・。老人たちが何するでもなくボォーッとしている。

上の写真にあるような4人掛けとか6人掛けのテーブルに向かっているが、隣の人と会話するでもなく、ただただ時間が過ぎるのを待っている。

 

 

そこで働く人若い人は元気である。日本に社会では忘れられかけた「こんにちわ」という挨拶が有るだけでも気持ちが良い。

だが、介護の職場では働く人の給料は安く、しかも離職率が非常に高い事が問題で、今外国人を入れようとしている

介護の仕事は家族でもいやな下の世話などもせねばならない。

非常に厳しい仕事である。夜勤も或る、盆も正月も無い。

だがそれなのに・・・

 

 

世話をしてもらった老人はほとんどの人が有難うとも言わない事が多い。そしていくら世話をしても認知症などの症状が改善することは無い。

冷暖房完備の居心地の良いところで、手厚い介護を受けながら有難うとも言わずに死んでゆく。これが介護施設なのである。

 

ここに病院の看護婦や保育園の保母さんとの決定的な違いがあると思う。病人は(死ぬ人も有るが)治れば又社会に出てゆく、子どもは手を掛ければ成長し大人になってゆく、いずれも苦労のしがいのある仕事だ。だが介護の仕事はこういった希望が無い、これが実態である。

今ポッポ政権は仕事が無ければ介護の仕事があると言う、その介護とはこんな仕事である。

 

その介護職員の離職率は

2006年・・・ 20.3%

2007年・・・ 21.6%         参考全産業平均16.2%

  内訳 介護職員   25.3% ⇒これが普通の施設職員

      訪問介護員 16.9% ⇒殆どがパートのおばちゃん

2008年・・・ 18.7%

 

一方これだけ離職率が高く、職員の給料も安いがその施設の経営はと言えば・・・、これは儲かっている

以前ある介護施設の決算書を見る機会があった、それによると利益は経常で15%ほど。なるほどこれなら雨後の竹の子の如く介護施設が出来るわけだ。

 

更に介護保険は利用者の負担は一割である。

これは過去に医療費の自己負担が一割で医療保険制度が破綻したのと同じ構図、特に介護保険開始直後の大盤振る舞いで保険制度は早くも破綻寸前である。

 

 

つまり介護とは

1) 介護の必要な老人を抱える家族には実にありがたい存在

2) 介護保険そのものが出来た当初の大盤振る舞い、一割負担で破綻寸前、

   これから団塊の世代が介護が必要になるが全く金が無い。

3) 介護関連の業界は儲かっている(ぼろ儲けもある)

4) 介護職員はきつい労働、安い給料、そして努力の結果の見えない3重苦、

 

こんな事がいえると思う。

 

しかし若い人には仕事が無い、やむを得ず介護の仕事に従事する若者が多い。介護職員の年齢構成を見ると4年ほど前のデータでは20歳代が40%であると言う。多分一般の製造業などでは殆ど無いような若年労働者率と思う。

そして彼らが働いているのが上にあげた「きつい、やすい、努力の結果の見えない」三重苦の職場、こんな実態が有ると思う。

 

この老人福祉の現実が日本の若者の厭世観、将来への不安の原因のひとつだと思う。

つまり介護に従事してみると、

老人はホテル並みの所で、素晴らしい食事を提供してもらって、ボォーッとして暮らし、有難うとも言わずに死んでゆく。だがその為の介護保険は今の一割負担体制では破綻は目に見えている。将来自分たちが介護してもらうとき、最早この制度は破綻しているはず。

こんな事が実感できるのだ。

 

介護職員は4年前のデータで全国で110万人いると言う。

身近にも介護職員がいるはずである。だが彼らはこの制度どう思っているか?。

 

最後にこの制度、どうしてこんな制度になってしまったのか?

そこに自民・公明連立政権の失敗があると見る。

本質的に公明党は「バラマキ」指向である。その失敗は定額給付金の失敗でよく分かるはずだ。

福祉の重要なことはよく理解できる、しかしあまりにも性急に実施してしまった、その結果はじめから介護保険は財政破綻するしくみが出来てしまった。

 

今この制度を廃止することなど出来はしない、然し少なくとも自己負担を一割から二割とか三割に上げる必要があると見ている。

おじいちゃん、おばあちゃん 、あなたのその快適な暮らしが可愛い孫たちに全部負担してもらっていることを知っていますか?。

あなたの可愛い孫はじいちゃんばあちゃんの残した負の遺産でお先真っ暗ですよ。こう言ったらどう思うだろうか?。

負の遺産、それは巨額の介護福祉会計の赤字、つまり借金である。既に死んでしまった人、認知症になった人にはそれがいかに巨額か分からないだろう、こういう施設に入っている人一人当たり年間200万円とか250万円が介護保険から支払われている。その殆どが後の世代の負担である。

 

20代・30代の若い人に自民党に対する反感が強く、それが鳩ポッポ以下のトンデモ政権であっても、とにかく変えたいと考えた原因と思う。

その原因のひとつが高齢者福祉制度ではないか、自民党は今すぐでも公明党との決別を宣言し、負の遺産の解消に向かって苦しい道を選択しなければならない。

 

<続く>

次回は閉塞の十年の一回目で取り上げた産業構造について考えます。

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コメント

No title

介護保険は現在の姨捨山の法制化だったのですね。
平均寿命が伸びるのも悲劇と思います。

昔の人は、皆、死ぬ時を知っていました。
「そろそろだよ。世話になったね」と言って、本当に死んでしまいました。
「お爺ちゃんは死ぬ時期が分かってたんだね」
「きっと、お知らせが来たんだね」
と残された家族が、お通夜で話していました。

最近は、お知らせが来なくなった老人ばかり増えているようです。
何故なのか?
天国への階段を上がっていくように年を取ってないからだと思います。


  1. 2009-11-17 21:08
  2. URL
  3. yuyuu #79D/WHSg
  4. 編集

No title

To yuyuuさん

いつもコメント有難うございます。

>介護保険は現在の姨捨山の法制化だったのですね。
>平均寿命が伸びるのも悲劇と思います。
>
>昔の人は、皆、死ぬ時を知っていました。
>「そろそろだよ。世話になったね」と言って、本当に死んでしまいました。
>「お爺ちゃんは死ぬ時期が分かってたんだね」
>「きっと、お知らせが来たんだね」
>と残された家族が、お通夜で話していました。
>
>最近は、お知らせが来なくなった老人ばかり増えているようです。
>何故なのか?
>天国への階段を上がっていくように年を取ってないからだと思います。

姥捨て山ですが「高級姥捨て山」です。
私などは現在でも家内の母親がお世話になっており、一言も文句の言えない立場。でも一般の人にも一度はこの介護施設を見ていただきたいと思っています。確かに素晴らしい施設、でもその金は何処から出るのか?
若い介護士の人が一年間一生懸命働いて手にする位の金を介護される人一人が介護保険からもらっている。(勿論個人負担も同じ位有りますが)
でもこれは誰も指摘する人がいない、困ったことです。
次々回にエントリーするつもりですが、こんな所にも今のマスゴミの問題点が出てきています。
  1. 2009-11-18 07:03
  2. URL
  3. 短足おじさん #79D/WHSg
  4. 編集

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