2013-09-03 16:33

[書評]気候で読み解く日本の歴史

  今こんな本を読んでいる。

気候で読み解く日本の歴史、著者は田家 康(たんげ やすし)である。

 

 

このテーマ気候と日本の歴史は私が以前から興味のある分野。

そんな事で先日本屋で見かけたので早速買ってきた。

 

 

 

内容はと言えば「真面目な著作」である。

決していい加減なものではないが読んでみると「ガッカリ」する

一言で言えばそんな所。

 

読み終わってなんだコリャ、そんな事で著者の略歴を見ると農林中央金庫、農林水産金融部部長を経て、2011年より(独)農林漁業信用基金 漁業部長をされているのだと言う。

つまり歴史の専門家でもなければ気候の専門家でもないようだ。

ただし気象予報士の資格は有るらしいが、これは天気予報の話である。

 

まあ経歴で著作を評価してはいけないのだが、そんな事は置いといてこの著作の印象を述べてみたい。

 

 

最初にこの著作のいい点は色んな所に先人の著作を引用しているのだが、それがハッキリわかるようになっている。これは大変良い事だと思う。

 

しかしこれで最初の1ページ目からアレッと思うところに出くわす。

1ページ目はこんな書き出しで始まる。

 

「わが国の美しさを讃える表現として、古事記に・・・」こんな風である。

なるほど。

しかしその直後

「日本で四季と言う概念が生まれたのは、水田農耕が広がる時代であった。大和言葉での四季は、「大地を墾(は)ル」が朝鮮古語の春を表すparamによりハルとなり、「田に水をひく」季節がナツ(朝鮮古語でnjarim)収穫を意味する秋(同、karu)「御霊(みたま)を増殖(ふゆ)」(霊の復活)からフユ(同、kara)となった。」

こんな記述が有る。

勿論この記述にも出典が記載されている。

 

まあそんな意味では決して不真面目ではないのだが、日本語の由来を朝鮮古語に求めるのは色んな人がやっている。中には万葉集を現代朝鮮語で読めるなどと言う人までいる位だが、この話は殆ど学術的には意味が無い。

 

朝鮮古語などは実は全く資料不足で殆ど分からないのが現実なのだ。

詳しくはwiki参照

古代朝鮮語

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%A4%E4%BB%A3%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E8%AA%9E

 

ここで述べられているように百済語、高句麗語についてはほとんど何もわからない。勿論発音などもってのほか。

唯一資料が有るのが新羅語である。その唯一の資料が郷札という。

 

郷札

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%83%B7%E6%9C%AD

 

この郷札にしても僅か25首の歌が残っているだけ。此れしかないと言う訳である。

 

 

上掲の1ページ目に日本語の春夏秋冬の起源が云々、

つまりこの著者は自分の専門外の事はさして検証もせず、適当な著作から都合のいい所を引用してきているようだ。

 

 

 

この著作は300ページ近い大作である。

専門外の人がこれだけ調べようとしたら実に大変であったろう。

特に歴史に残る飢饉と気候変動を結び付け、それを纏めている所、実に素晴らしい著作と言える。

しかし残念ながら狙いが大きすぎ、引用した沢山の事項が検証不足であることは否めない。

 

私も同じ狙いでこんなエントリーをした。

http://tansoku159.iza.ne.jp/blog/entry/1340882/

 

全体は上掲ブログを参照いただきたいが、その中に引用した文献にこんなモノに注目してほしい。

 

 

 青森県の「南部八戸藩飢饉一千年小史」という資料が有る。二本柳正一氏が昭和43年に纏めたもので742年からの飢饉の歴史が記載されている。

所がこの中で874年から1229年まで飢饉・凶作の記録が無い

二本柳氏は「357年間凶作関係不明、要研究調査」としているが、私はこの時代が東北地方が豊穣の時代であったひとつの証拠と思っている。

丁度この頃は奥州藤原氏が栄えた時代、平泉の金色堂が出来た時代であった。

 

尚この著者の二本柳氏、資料では水喰中学校長となっているが調べると水喰中学校は見当たらない。青森県東北町立水喰小学校と言うのは有るので多分そこの校長先生をされていた方だと思う。

昭和43年と言えばネットもパソコンも無い時代、ガリ版刷りで発行された資料、実に立派な業績だと思う次第。

 

 

この本は大変良い狙いで、大変な労力をかけた大作、それは分かるのだが残念ながら消化不良、そんな印象である。

 

 

最後にこの本を読んで現在の天候がふと気になった。

点と点で見れば今年の日本は大変な猛暑である。地球温暖化でこれから先どうなるかと思うのは東京以西の人。東北・北海道の人は今年はさして暑くないなあ、それより雨がよく降るなあだと思う。

 

そして目を世界に転ずると北米大陸は空前の寒い夏なのだと言う。

南米は今冬だが、何十年ぶりかの大雪と報道されている。

局地的な事を捉えて全体を見るのは難しい、それがこの著作にも言える事だと思う。

 

  1. 気候変動
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コメント

No title

今年の夏の「寒波」はロシアの火山噴火が原因かどうかの議論が続くアメリカ
世界の気候は「暑さも寒さも大雨も大雪も人が生きていくギリギリのライン」に達しているのかも
http://oka-jp.seesaa.net/article/373787246.html

こんどの冬はむちゃくちゃ寒くなるのかもしれませんね。
  1. 2013-09-04 04:33
  2. URL
  3. taigen #79D/WHSg
  4. 編集

No title

To taigenさん
>今年の夏の「寒波」はロシアの火山噴火が原因かどうかの議論が続くアメリカ
>世界の気候は「暑さも寒さも大雨も大雪も人が生きていくギリギリのライン」に達しているのかも
>http://oka-jp.seesaa.net/article/373787246.html
>
>こんどの冬はむちゃくちゃ寒くなるのかもしれませんね。


情報ありがとうございます。
この火山噴火は実は別の意味で以前から注目していました。
理由は日本とかコリア、北京からアメリカへの航空路のすぐ近くなのです。
だからもし噴煙が成層圏に達したら航空路に重大な影響を与える、そんな意味でも重大だったからです。
私が知る限りでは噴煙は6000メートルくらいまでだったと記憶しています。
しかし何回も何回も爆発してますので予断は許さないですね。

今度の冬は私も心配しています。
地球規模で言えば一寸2,30年前に戻っただけなのかもしれませんが温暖な気候に成れた身には応えるでしょうね。
  1. 2013-09-04 07:07
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  3. 短足おじさん #79D/WHSg
  4. 編集

No title

本日小生もこの本を読了しました。気候というよりは歴史学の造詣の深さの驚かされる本ですが、結局寄せ集めなんですよね。それも完全に消化しきれてるかというと少し疑問な気もします。

マウンダー、ダルトン、シュペーラーと言った各極小期と、日本の気候が微妙にリンクしないことは小生当たりは知るところですが、その原因あたりは少し付けてくれてるかと思うとその点は弱いですし火山活動についての機序はもう少し丁寧に考えても良かった気はします。

ともあれ、マスゴミどもは今年の夏が扱ったことを温暖化などと関連付けて言うんでしょうねえ。世界から見ればアジアの一角だけが異常高温なんだということは明白なのにそのことは見ようともしない。鬱陶しいことです。
  1. 2013-09-05 00:55
  2. URL
  3. kazk #79D/WHSg
  4. 編集

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To kazkさん
>本日小生もこの本を読了しました。気候というよりは歴史学の造詣の深さの驚かされる本ですが、結局寄せ集めなんですよね。それも完全に消化しきれてるかというと少し疑問な気もします。
>
>マウンダー、ダルトン、シュペーラーと言った各極小期と、日本の気候が微妙にリンクしないことは小生当たりは知るところですが、その原因あたりは少し付けてくれてるかと思うとその点は弱いですし火山活動についての機序はもう少し丁寧に考えても良かった気はします。
>
>ともあれ、マスゴミどもは今年の夏が扱ったことを温暖化などと関連付けて言うんでしょうねえ。世界から見ればアジアの一角だけが異常高温なんだということは明白なのにそのことは見ようともしない。鬱陶しいことです。


消化不良、正にその通りでしょう。
良いテーマですし、本当はもっと色んな人が考えるべきテーマ、そう思っています。

しかし今年の日本、中国南部の猛暑を見てこれからもっと騒ぐ連中が出てくるでしょう。
こんな科学分野でのマスゴミの劣化はどうしようもないレベルですね。
  1. 2013-09-05 07:42
  2. URL
  3. 短足おじさん #79D/WHSg
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