2013-09-01 18:43

新幹線とTGV

  昨日韓国の高速鉄道KTXの事故についてエントリーした。

その中で気になった事、世界の高速鉄道について〇〇版新幹線と言う風に書くマスゴミをしばしば見かける。

しかしこれは日本の誇り新幹線をあまりにも知らなさすぎるのではないかと思う。

 

世界の高速鉄道は新幹線の成功に刺激され、新幹線を徹底的に研究、その上で作り上げたモノ

しかし中身は新幹線とは全く違う。

 

そこで新幹線の対抗馬、フランスのTGVがどんなものかちょっと比べてみたい。

 

最初に各国の高速鉄道開業年比較

 

1. 日本 新幹線        1964年

2. イタリア ディレティッシマ 1978年

3. フランス TGV        1981年

4. ドイツ  ICE         1991年

5. スペイン AVE       1992年

・・・以下略

 

こんな風でフランスのTGVは新幹線から17年遅れで開業しているのだ。

 

そしてそのTGVが誕生するまでのいきさつ、これをある方のブログが紹介している。

新幹線の生みの親・島秀雄氏の話なのだが、TGV誕生のいきさつが良く分かるので、最初にこれを。

 

<以下引用>

 人物探訪:島秀雄 ~ 新幹線の生みの親

 

それまでの常識を覆した新幹線は、世界の高速 鉄道を再生させた。

      H16.08.29 

 

■1.新幹線がなかったら■

 

         もし東海道新幹線が建設されていなくて、同じ人数を乗

        用車で運んだとすると、毎年1800人の死者と1万人の

        負傷者が出ることになる。[1,p15]

 

     イギリスの経済雑誌「エコノミスト」はこう書いた。開業以

    来、約40年、一度も大事故を起こしていない新幹線の驚くべ

    き安全性を見事に表現している。

 

     効率性も抜群だ。東海道新幹線の旅客数をバスで運ぼうとす

    ると、10秒ごとに走らせねばならない。東名高速道路がバス

    で数珠つなぎになっていまうだろう。ジャンボジェット機なら

    100機余計に必要だ。

 

     新幹線はまさしく日本の大動脈である。驚くべき安全性と効

    率性を備え、環境にも優しい。もし新幹線がなかったら、戦後

    日本の高度成長は大きく損なわれていたであろう。

 

■2.「東海道の息子たち」■

 

     新幹線は世界の鉄道に強い影響を与えた。新幹線が登場した当時は、鉄道斜陽論が盛んで、米国では線路がどんどん取外されて、ハイウェイ中心の自動車輸送に置き換えられていた。

    21世紀には世界中から長距離列車は消え去っているだろうとさえ言われていた。それを一挙に覆したのが、新幹線の成功だった。

 

     東海道新幹線が開通した翌年の暮れ、フランス国鉄は「TGV(超高速列車)」の構想を策定した。1981年にフランスで出版された「TGVの挑戦」という本には以下の一節がある。

 

     TGVは東海道の息子であり、イタリアのディレティシマの従兄弟だ。

 1950年代の日本での研究、60年代の開業と営業の推移について、フランス国鉄は大変な関心を持って見守っていた。常識をくつがえした全く異なったシステムを採用したことによって日本はそのパートナーたちと競争相手に強い印象を与えた。[1,p247]

 

・・・以下略 詳細は下記リンク先参照ください

http://www2s.biglobe.ne.jp/%257enippon/jogbd_h16/jog359.html

 

<引用終り>

 

新幹線が開業したとき、フランスの国鉄は技術陣を日本に派遣した。

彼らは「メジャーを持ってきて、隅から隅まで測って行った」と言われるような徹底的な調査をしたようだ。

その上で新幹線の一番の問題点。つまり専用線であるため高コスト、これのアンチテーゼとして出したのがTGVだった。

 

上掲引用文にあるように「常識をくつがえした全く異なったシステムを採用」、フランスは最初から分かっていたのである。

そしてこの事が今日に至るまで日本の最大の利点であり、海外に売り込む際の問題点として今日に至っている。

 

フランスの狙いは街中では在来線に乗り入れる事でコストダウンと利便性を高め、郊外では専用線で高速化する、こんな事であった。

 

こんな事だからフランスは新幹線に対し対抗意識むき出しである。

その例が最高速度。

新幹線は最近やっと時速320キロでの営業運転を始めたが、TGVは以前から320キロ運転、最高速度だけ見ればTGVの方が上、そう見えるし国内マスゴミなどもそんな妄言を吐いている。

 

ちょっと息抜きに日本の新幹線の320キロ運転の様子など

 

凄いですね。

 

さて本題に戻って 

だから現在でも世界中に新幹線を輸出しようとするとTGVが低コストで立ちはだかる、こんな事になっている。

 

 

 

新幹線はTGVに比べると非常に大きい、その比較がこんなモノ

 

 

この比較図は新幹線とフランスのTGV(黄色)、そしてドイツICE(緑色)を比べたもの。TGVは日本のJRの通勤電車より小さい。

だからTGVに乗った人は一様にガッカリすることになるのだが・・・

 

そしてTGVのもう一つの特徴

 

これはTGV-POS

 

注意してほしいのは先頭車両、窓が無いのが分かると思うが、これは動力車。

TGVは先頭と最後尾は人が乗れない動力車。そして中間の客車には動力が無い。

TGVに乗った人は音が静かで良かったと言う人がいるのは動力車でないためであった。

しかしこんな編成の為加速減速は苦手、幾ら300キロ走行を自慢しても300キロの達するのに15キロ位走らないと時速300キロにならない。

減速も同様である。

だから最高速度300キロとか320キロと言っても平均速度はずっと遅くなる。

 

例えば最初に開通した新幹線東京大阪間552,6キロをN700は平均時速228キロで走る

TGVで最初に開通したパリリヨン417キロを平均速度216キロで走っている。

大体似たようなものだ。

新幹線とはトップスピードでは目立たないが平均速度は速い。そんな鉄道なのである。

 

 

 

そして安全性については最早言うまでもない。

これについてはフランスが新幹線を調べて最初に言っている。

常識をくつがえした全く異なったシステムを採用

これは現在に至るまで新幹線に追いついている高速鉄道は無い。

 

 

 

最後にもう一つ、新幹線が最初から苦しみぬいてきたもの、それは騒音問題だった。

今でも騒音問題をフランス並みにすれば最高速度などはもっと上がる。

騒音基準は以下のようになっている。

 

騒音規制値

新幹線   Ⅰ類型 : 70dB (主に住居の用に供される地域)

       Ⅱ類型 : 75dB (商工業の用に供される地域)

 

TGV     250㎞/h :87dB

        300㎞/h :91dB

 

良くTGVを日本に持って来ればいい、そんな事を言う人がいる。

東海道新幹線の場合だと機関車が重すぎて(軸重が重すぎて)走れないのだが、若し走ることが出来たと仮定してもトンデモナイ大騒音。

そんなモノなのである。

矢張り新幹線は世界の誇り、日本はもっと自信をもっていいだろう。

  1. 鉄道
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コメント

No title

いいお話、ありがとうございます。
特に、新幹線がなく同じ人数を乗用車で運んだとすると、毎年1800人の死者が出ていたことになるという話には、はっとさせられました。

最前線の現場で英知を絞って努力した技術者のお蔭ですネ。
こういう努力によって、私たちは便利で安全な生活を送ることが出来ていることを、改めて痛感しました。

>良くTGVを日本に持って来ればいい、そんな事を言う人がいる。
>東海道新幹線の場合だと機関車が重すぎて(軸重が重すぎて)走れないのだが、

細かいことですが、上記文章の後半部分は、次のような意味でよろしいでしょうか?
東海道新幹線の(軌道でTGVを走らせようとした)場合だと、(TGVの)機関車が重すぎて(軸重が重すぎて)走れないのだが、
  1. 2013-09-01 21:18
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  3. 道草人 #79D/WHSg
  4. 編集

No title

To 道草人さん
>いいお話、ありがとうございます。
>特に、新幹線がなく同じ人数を乗用車で運んだとすると、毎年1800人の死者が出ていたことになるという話には、はっとさせられました。
>
>最前線の現場で英知を絞って努力した技術者のお蔭ですネ。
>こういう努力によって、私たちは便利で安全な生活を送ることが出来ていることを、改めて痛感しました。
>
>>良くTGVを日本に持って来ればいい、そんな事を言う人がいる。
>>東海道新幹線の場合だと機関車が重すぎて(軸重が重すぎて)走れないのだが、
>
>細かいことですが、上記文章の後半部分は、次のような意味でよろしいでしょうか?
>東海道新幹線の(軌道でTGVを走らせようとした)場合だと、(TGVの)機関車が重すぎて(軸重が重すぎて)走れないのだが、
>


言葉足らずでした。
鉄道でも道路でも同じですが、その上を走る車・列車の車輪にどれだけの重量がかかっているか、それを軸重(車軸一本当たりの重量)と言うのですが、それが重いとレール、路面、地盤を痛めるのです。また特に橋梁などはもろに寿命に影響します。

この関係は丁度「ハイヒールの踵で踏まれると猛烈に痛い、骨折など怪我をする」ことと同じと考えてください。
体重40キロの可愛い女の人のハイヒールの踵で踏まれるのは相撲取りの小錦の足で踏まれるより痛い、それと同じです。

TGVは機関車が重すぎるのです。もし新幹線用としたらもっと車輪の数を増やして軸重を減らすしかない(簡単には出来ませんが)でしょう。
もしTGVが日本を走ったら・・・
恐らく沿線の人はゴジラが発狂して騒いで走っている、それくらいに感じると思います。
それにしても、そんな列車が大手を振って走れる、国土が広いと言うのは良い事ですね。羨ましい話です。
  1. 2013-09-01 22:17
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  3. 短足おじさん #79D/WHSg
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No title

軸重の問題はどう考えてもわからない問題の1つなんです。ただ新幹線の0系は16トン、一応17トンまでは問題なしという設計になってますからこの点はさほどの問題ではありません。

ちなみにフランス在来線は軸重制限が23トン程度、米国はこれが24トンという話です。路盤の硬さが違うので比較にならないとJRあたりは言ってましたが、本当のところは違うはずです。

かつては鉄道の軸重は大きいほど良いというのが通説でした。ちなみに公認ではありませんが、戦前、米国ではブロードウェイリミッティドが軸重24トンこれで時速200キロの運転をしていたと言われます。新幹線はこの常識に挑戦したシステムなのです。

新幹線の本当の価値は開業当初でも7分半に1本の運行を考えていたということにあります。おそらくは、このような比類の無い高頻度運転が与える影響というものについては殆ど何の資料もなかったはずです。しかも現在はかつての砂利敷のバラスト軌道ではなくスラブ軌道が中心になってます。レールの材質に何の問題もない以上軸重を上げるのは簡単なのです。

しかしそれをやった場合の問題点はレールの痛みや保守点検にかかります。だからこれは敢えて相当な余裕を持たしてると考えるのが正解なのです。高軸重にした場合、おそらく加減速性能、即ちブレーキの問題がついて回ります。新幹線が敢えての軽量化を図ってるのはこの問題があるはずです。

フランシの国鉄総裁が新幹線についてその高速性能は何も羨ましくないがあの高頻度運転と運行ダイヤの正確さだけは本当に真似ができないと言ってます。

これがシステムの違いというものなのです。JRの新幹線にまつわる最大の問題点はこの在来線とは違いすぎるシステムです。これを無理やり共存させたのが秋田新幹線、山形新幹線でしたがこれには当然弊害も多いわけでこれをどうするかは大きな問題なのです。

JRは可変軌道電車を考えてますがこれで果たして新幹線車両と併結が出来るでしょうか。新幹線網となった場合実はこれが一番の問題点なのです。この問題の解は全くわかりません。
  1. 2013-09-02 00:16
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  3. kazk #79D/WHSg
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No title

>新幹線の生みの親・島秀雄氏

「新幹線は事故を起こしません。そのように作りましたから。」

島さんの語録の一つだそうですね。いま話題となっている「ホームドア」も島さんの懸案事項だったそうで。

島さんと新幹線を作った十河国鉄総裁も忘れられません。実現のための予算が余りに巨額であったため、国会の審議を通すために過少に見積もり、予算が通るや小出しに増額を要求したとか。

「工事は始まっている、いまさら中止はできない」と国会に脅しをかけながら。
昔の人は入魂の気迫がありました。

しかし十河総裁も島技師長もそれらの「責任」をとって辞任、島さんは開業式には呼ばれなかったそうで、後に文化勲章を受ける方への仕打ちじゃないです。
  1. 2013-09-02 06:17
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  3. 相模 #79D/WHSg
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No title

To kazkさん
>軸重の問題はどう考えてもわからない問題の1つなんです。ただ新幹線の0系は16トン、一応17トンまでは問題なしという設計になってますからこの点はさほどの問題ではありません。

・・・中略
>これがシステムの違いというものなのです。JRの新幹線にまつわる最大の問題点はこの在来線とは違いすぎるシステムです。これを無理やり共存させたのが秋田新幹線、山形新幹線でしたがこれには当然弊害も多いわけでこれをどうするかは大きな問題なのです。
>フランシの国鉄総裁が新幹線についてその高速性能は何も羨ましくないがあの高頻度運転と運行ダイヤの正確さだけは本当に真似ができないと言ってます。

軸重の話は一番効くのは減速時の影響とレール・路面・鉄橋などのメンテなのでしょう。そんな総合的な判断なので部外者には分からないですね。
しかしTGVは安く、しかも最高速度は早く、こんなコンセプトなのでカーブは無い代わりに急勾配を許容している。最大35‰の勾配が有るそうです。だからTGVはジェットコースター並の走りだとか・・・

>JRは可変軌道電車を考えてますがこれで果たして新幹線車両と併結が出来るでしょうか。新幹線網となった場合実はこれが一番の問題点なのです。この問題の解は全くわかりません。

可変軌道は今回のスペインの高速鉄道事故で問題点がハッキリしたと思います。
可変軌道にした分だけばね下重量が増加、多分これが事故の遠因の一つになったんでしょう。
事故を映した衝撃的な監視カメラの動画が残ってますが、あの監視カメラを設置した理由、多分相当後になって公表されるでしょう。
最初から分かっていた、そんな気がします。
  1. 2013-09-02 11:01
  2. URL
  3. 短足おじさん #79D/WHSg
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No title

To 相模さん
>>新幹線の生みの親・島秀雄氏
>
>「新幹線は事故を起こしません。そのように作りましたから。」
>
>島さんの語録の一つだそうですね。いま話題となっている「ホームドア」も島さんの懸案事項だったそうで。
>
>島さんと新幹線を作った十河国鉄総裁も忘れられません。実現のための予算が余りに巨額であったため、国会の審議を通すために過少に見積もり、予算が通るや小出しに増額を要求したとか。
>
>「工事は始まっている、いまさら中止はできない」と国会に脅しをかけながら。
>昔の人は入魂の気迫がありました。
>
>しかし十河総裁も島技師長もそれらの「責任」をとって辞任、島さんは開業式には呼ばれなかったそうで、後に文化勲章を受ける方への仕打ちじゃないです。


昔の人は本当にすごいですね。
島技師長さんなどはその苦労の一部始終を読むだけでも鳥肌の経つ思い。
そんな先人の苦労が有って今が有る。
歴史を紐解くとそんな事をいつも感じています。
  1. 2013-09-02 14:59
  2. URL
  3. 短足おじさん #79D/WHSg
  4. 編集

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