2009-11-13 16:03

閉塞の十年 (その1)

以前のエントリー「ポッポ内閣を炎上させるだけでは問題は解決しない」で1998年がターニングポイント、ここで何が変わったのか自殺件数の急増を例にして、この1998年に変わったことから考えないと解決策が見えないと書いた。

 

ところがいつも含蓄深いコメントを下さるYuyuuさんから、「実業の世界では変化がよく分からない、何が変わったのか」とのコメントを頂いた。

これは私が分かる範囲で考えた1998年に何が変わったか、その回答のひとつ。

しかしこの件、多分「群盲のひとりが象に触る」といった内容と思うが、諸賢の忌憚のないご意見を賜りたいと思う。

 

 

最初に自殺者数がどんな風か、もう少し詳しいデータで説明したい

(身内に自殺者が見えるかたも見えると思うが、ご了承いただきたい)

 

月別に見ても1998年はじめから突如ポンとデータが上がっている。月毎に山谷があるのは以前と同じ、

上にあるのが失業者数だが、データが跳ね上がったところまでは同じだがその後は関係あるようには見えない。

 

 

 

この1998年は就職超氷河期といわれていた。そこで有効求人倍率を見てみると

有効求人倍率で見ると景気後退期とは言われていない94年頃からなべ底状態、98年は鍋の底が抜けた状態。

 

有効求人倍率がごく一時期を除き15年以上1以下、私もこのデータを纏めてみてあらためて愕然とした次第。

 

 

 

では産業はどうなっていたか、代表として自動車を取り上げる。

データが古く07年までしかない、08年・09年は更に大きく落ち込んでいる。

しかしこれだけ見ると98年減ってはいるが大したことは無いように見える。然し車種別に見ると

 

この様にトラックの落ち込みが大きい、その中身は

 

では自家用の中身は

 この様に自動車の国内販売はまあまあ頑張っているようだが、しかし建設関係を中心に自家用トラックが激減していた。

そんな結果、自動車の国内・海外生産がどうなったのかと言うと

これもデータが古く5年前までしかないが問題点は分かると思う。現在自動車メーカーの生産台数は国内は最早延びる余地なし、総生産台数の伸びは全て海外生産である。

最近ホンダが国内生産を縮小すると報道されている。

詳細はこれを参照ください

 

 

さてでは他の業種はどうか

実は今回データを調べていて「コンテンツ・メディア業界の1998年問題」なることを言う人がいることを知った。

詳細はここを参照ください

新聞・雑誌・音楽CDなどの業界でもターニングポイントは1998年らしい。

 

新聞の発行部数は

 

 

 新聞部数も減少に一途

(注:新聞部数は実際は大幅に少ないのが実情なので実態ははるかに悪いと思う、毎日新聞などは37%くらい水増しとか)

 

 新聞・テレビなどの広告収入推移は

98年以降一時的な上昇期はあるが全体としては前年比マイナスが続いている。

 

結果としてテレビ各社の決算状況は

 

親会社の新聞各社の決算状況は

 

新聞各社は軒並み赤字(除く日経)。

 

 

 

 

この様な中で外国人労働者は増加の一途

  

 

 

これは研修生だが実態は労働目的が大部分と思われる

 

 

以上のデータから読み取れることを纏めてみると

 

1) 1997年のアジア通貨危機、山一證券の倒産など金融機関破綻からの不況で、1998 年は就職超氷河期と言われる雇用縮小。

 

2) 自動車などは国内生産は横這いから下降、海外生産だけが伸びた。

 

3) 建設業、出版業なども需要縮小

 

4) 新聞・テレビなども若者の新聞離れ、広告収入減少などで減益傾向、それが一気に出たのが2009年3月期決算。

 

5) この中で外国人労働者は増え続けている。

   これは特に底辺の労働者の仕事(所謂3K仕事)に入り込んでいる。

 

こんな事がいえると思う。このターニングポイントが1998年だった。

これが閉塞の10年の実態(の一部)だと思う。

ではこの間何がどう変わったのか? それは次回に。

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コメント

No title

新連載、期待しております。
自動車から電気、工作機械から鋳物まで、あらゆる機械産業が日本機械工業連合会と言う組織を作り、毎年、業種別のデータを発表しています。
私は、毎年、このデータを分析しておりました。
自動車などの完成品よりも、部品の方が日本のメイン産業と思っていたからです。この団体のHPは、なぜか過去のデータを載せてなくて、記憶だけなのですが2000年以降は絶好調でした。

また、自動車についても「国内生産は横這いから下降、海外生産だけが伸びた」は台数レベルではそうなのですが(とはいえ輸出が伸びています)、金額レベルでは、

国内乗用車の生産金額は
1999年の 11兆 5,992億円から
2008年の 17兆 4,861億円へと増加した。
トラックやバスは、さらにこの傾向が強いのです。
国内販売は、軽自動車など安い車両がメインになりましたが、
輸出については高級化が進んだのですね。

タイヤの輸出も調べたことがあるのですが、日本に輸入されるタイヤは1本当たり3000円程度なのに、輸出するのは7000円以上です。
この単価の上昇は毎年、進んでいました。
このプレミアム路線が裏目に出て、今は苦しいのです。
新興国が需要の中心となれば、中国の競争力が上昇するでしょう。

日本が本当にしんどくなるのは、これからです。
自殺者の増加は10年早かった気がしますが・・・。
  1. 2009-11-14 00:33
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  3. yuyuu #79D/WHSg
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No title

To yuyuuさん

コメント有難うございます。
yuyuu さん のご質問、大変難問なのですがわたしなりに考えた事を書いていこうと思っています。よろしくお願いします。

>自動車などの完成品よりも、部品の方が日本のメイン産業と思っていたからです。この団体のHPは、なぜか過去のデータを載せてなくて、記憶だけなのですが2000年以降は絶好調でした。

自動車に限って言えば、海外生産拡大のため機械類は殆ど日本から持っていっているので、この業界については絶好調だった・・・こんな事は事実です。

>国内乗用車の生産金額は
>1999年の 11兆 5,992億円から
>2008年の 17兆 4,861億円へと増加した。
>トラックやバスは、さらにこの傾向が強いのです。
>国内販売は、軽自動車など安い車両がメインになりましたが、
>輸出については高級化が進んだのですね。

これはびっくりです。99年の数字は私も掴んでいますが、08年が分からない、でも私の感じとは違うので・・さあ、困った。

>日本が本当にしんどくなるのは、これからです。
>自殺者の増加は10年早かった気がしますが・・・。

そう思います。でも自殺者の増加だけはご免蒙りたい、人事ではないと思っています。(タイ時代にこの為急遽とんぼ返りしたことが有ります、これ以上はご勘弁を)
  1. 2009-11-14 09:56
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  3. 短足おじさん #79D/WHSg
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No title

JAMAの統計月報の生産の最後に金額が出ています。
暦年では影響出てませんが、年度で見ると2008年度は激減してます、

http://www.jama.or.jp/stats/m_report/index.html

国内市場が閉塞しているのは事実。
海外向けに、安いのは現地生産、高いのは国内に振り分けたのでしょう。

マスコミは生産金額に言及しません。
日本は駄目駄目よ・・・と洗脳します。
  1. 2009-11-14 10:42
  2. URL
  3. yuyuu #79D/WHSg
  4. 編集

No title

To yuyuuさん

>JAMAの統計月報の生産の最後に金額が出ています。
>暦年では影響出てませんが、年度で見ると2008年度は激減してます、
>
>http://www.jama.or.jp/stats/m_report/index.html
>
>国内市場が閉塞しているのは事実。
>海外向けに、安いのは現地生産、高いのは国内に振り分けたのでしょう。
>
>マスコミは生産金額に言及しません。
>日本は駄目駄目よ・・・と洗脳します。

貴重な情報有難うございます。
目が見えませんでした(泣)、もう少し解析してみます。
次々回あたりで解析結果が報告できるといいのですが・・
  1. 2009-11-14 15:45
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  3. 短足おじさん #79D/WHSg
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No title

なかなか興味深いデータを有り難うございます。これだけ集めるのは大変な労力だった事と思います。暫く自分なりに考えて見たいと思いますが、自殺者と経済の悪化とは関係有るのでしょうか?どうも個人的感覚では自殺者が増えたのは失業や経済的閉塞感の所為だと云うのはマヤカシと云うか牽強付会と云うか、都合の良いイメージ的なサブミナルと云うか釈然としません。これは逆に私の勝手な牽強付会かもしれませんから。

yuyuuさんの仰る、「海外向けに、安いのは現地生産、高いのは国内に振り分けたのでしょう。」はこの通りだと思います。
外国人労働者が増えているのは海外への工場移転より手っ取り早いコスト削減策でしょうね。今後は、工場の海外逃避と、安い労働力輸入のダブルパンチで日本の労働市場は悪化するものと思います。その上派遣禁止でトリプルパンチと云う事で日本経済は破綻に向かうのではと心配しています。


  1. 2009-11-15 18:48
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  3. sonoraone #79D/WHSg
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To sonoraoneさん

いらっしゃいませ、いつもコメント有難うございます。
>自殺者と経済の悪化とは関係有るのでしょうか?どうも個人的感覚では自殺者が増えたのは失業や経済的閉塞感の所為だと云うのはマヤカシと云うか牽強付会と云うか、都合の良いイメージ的なサブミナルと云うか釈然としません。これは逆に私の勝手な牽強付会かもしれませんから。

私は経済の悪化は色々有る自殺者増加の原因の中の「その他大勢」のひとつと見ています。
理由は経済悪化と同時に急激に増加したことは事実ですが、経済が好転しても減少していないためです。

>その上派遣禁止でトリプルパンチと云う事で日本経済は破綻に向かうのではと心配しています。

派遣労働というのは「終身雇用という日本式経営の幻影」が消えた為の止むを得ない形と思っています。
派遣労働禁止は即日本企業の国内脱出加速になるでしょう。こんな暴挙をすれば、仰るとおり日本が恐ろしい勢いで衰退するのは目に見えています。
ミンス連中にはこんな事が全く分かっていません。
  1. 2009-11-16 07:20
  2. URL
  3. 短足おじさん #79D/WHSg
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No title

コンテンツ・メディア産業の衰退に関して言えば、「経済の悪化」とは直接関係ないと思いますよ。端的に言ってしまえば、それらの業界のビジネスモデルが成立しなくなってしまったことに最大の原因があります。現在すでにアメリカヨーロッパ各国では新聞社が次々と破綻していますが、日本への波及が遅れているのは強力な宅配制度でブレーキがかかっているに過ぎません。なにしろ、アメリカドイツでは公的補助を真剣に検討しているほどですから。残念ながら、日本でも全国紙の1,2紙は数年以内に破綻するものと思われます。
詳しくはこちらを参照してみてください。

http://www.bunshun.co.jp/cgi-bin/book_db/book_detail.cgi?isbn=9784166607082
  1. 2009-11-16 23:31
  2. URL
  3. 超級大懶猫 #79D/WHSg
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No title

To 超級大懶猫さん

お帰りなさい、ドイツの写真いつも楽しく拝見しております。

>コンテンツ・メディア産業の衰退に関して言えば、「経済の悪化」とは直接関係ないと思いますよ。端的に言ってしまえば、それらの業界のビジネスモデルが成立しなくなってしまったことに最大の原因があります。現在すでにアメリカヨーロッパ各国では新聞社が次々と破綻していますが、日本への波及が遅れているのは強力な宅配制度でブレーキがかかっているに過ぎません。なにしろ、アメリカドイツでは公的補助を真剣に検討しているほどですから。残念ながら、日本でも全国紙の1,2紙は数年以内に破綻するものと思われます。
>詳しくはこちらを参照してみてください。
>
>http://www.bunshun.co.jp/cgi-bin/book_db/book_detail.cgi?isbn=9784166607082

ご指摘の通りだと思います。そしてそれがいかに日本を悪くしたかと言う視点で考えたものを次々回にエントリーしようと思っています。
それから佐々木俊尚氏の著書の紹介有難うございます。
今日午後丸善に行く予定ですので早速手に入れてきます。
これからもよろしくお願いします。
  1. 2009-11-17 07:16
  2. URL
  3. 短足おじさん #79D/WHSg
  4. 編集

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