2013-07-18 11:11

経済再生の為に銀行に期待するもの

 WSJの週刊記事ランキングでこんな記事が一番人気なのだと言う。

この記事、私も報道された時面白い事を言うと思ったのだが、これからの日本再生に必要なポイントなのだと思うので遅ればせながら紹介したい。

 

 

<以下wsjより引用>

 

2013/07/01 7:40 pm

日本は英語下手でサブプライム危機を免れた?

 

日本の銀行は1980年代のバブル崩壊と90年代の不良債権騒動で教訓を学んだのだろう。米国サブプライム問題と欧州のソブリン危機をうまく免れた。

 

どうやって免れたのか?金融相がその秘訣を披露してくれた。日本人の英語下手が実は功を奏したという。

 

麻生太郎副総理兼財務・金融相は6月28日、読売新聞主催の会合で講演し、サブプライムローンなど多くの怪しげな商品に多くの人が引っかかった。特にヨーロッパの銀行が引っかかった」と述べ、「日本の銀行は健全だなーといった米国人がいる。それは全然違う。日本の銀行経営者はほとんど英語がわからず、それで引っかからなかった。わたしはそう思う」と続けた。

 

面白い理論だ。だが、銀行自体はどう考えているのか。想像しがたい。三菱UFJフィナンシャル・グループみずほフィナンシャルグループはコメントを控えた。三井住友フィナンシャルグループからもコメントを得られなかった

 

麻生氏自身はサブプライム危機から何を学んだのか。財務面での意思決定で慎重になるという美徳か。違う。むしろ逆だ。

 

自身成功した実業家である麻生氏は、企業のリスク回避姿勢が行き過ぎだと指摘した。安全を重視しすぎる日本の銀行には融資先がない。そして、借り手がなければ銀行は利益を得られない。

 

麻生氏によれば、90年代初めのバブル崩壊後を受け、「企業はこれまで利益の最大化を目的としていたが、一斉に債務の最小化に変えた。利益はすべて借金の返済に優先」的に回されたという。

 

ここで節約のパラドックスが登場する。麻生氏が自分の生活を例に挙げた。「例えば麻生太郎が酒も止めた、たばこも止めた、ゴルフも止めたら、みんなハッピーだが、私の体もハッピーだし、私の家族もハッピーなのだが、1億2700万、みんなが『せいの』で止めたら、銀座は間違いなくつぶれる。日本中の酒屋も飲み屋もゴルフ場も日本たばこ産業も全部つぶれる。街に失業者があふれる」

 

麻生氏の政府は企業が借り入れをしたり新規投資をしたりして若干のリスクをとるよう促している。だが、ほとんど誰も聞いていないようだ。20年近い倹約を経て、国内の上場企業の半分近くには実質的に債務がなく、バランスシートには200兆円を超えるキャッシュがあると麻生氏は言う。

 

麻生氏は「そんな簡単にリスクを取ろうという元気な経営者は、どこにいるのか?見かけない」と言い、「そういったところがこれから出てくるようにならないと、日本という国の経済をみた場合、活力が出てこないとだめだと思っている」と話した。

 

しかし、麻生氏からみると、経団連の企業にはそうした経営者はいない。同氏は「われわれがお目にかかるときはどう考えてもかなり、わたしよりは高齢者に見える方ばっかりがいらっしゃる」と語った。

 

http://realtime.wsj.com/japan/2013/07/01/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AF%E8%8B%B1%E8%AA%9E%E4%B8%8B%E6%89%8B%E3%81%A7%E3%82%B5%E3%83%96%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%A0%E5%8D%B1%E6%A9%9F%E3%82%92%E5%85%8D%E3%82%8C%E3%81%9F%EF%BC%9F/

 

<引用終り>

 

 

サブプライムローンなど多くの怪しげな商品に多くの人が引っかかった。特にヨーロッパの銀行が引っかかった」と述べ、「日本の銀行は健全だなーといった米国人がいる。それは全然違う。日本の銀行経営者はほとんど英語がわからず、それで引っかからなかった。

 

麻生さん一流のジョークですね。

しかし最初に引っかかったのがどうもWSJらしい。

 

三菱UFJフィナンシャル・グループみずほフィナンシャルグループはコメントを控えた。三井住友フィナンシャルグループからもコメントを得られなかった

 

早速WSJが銀行に質問しました。曰く

「お宅の社長さんは英語が分からないのでサブプライムローンに引っかからなかったと聞いたんですがホントですか?」・・・(笑)

 

麻生さん、上手いですね。

 

そして更にうまい話、

 

例えば麻生太郎が酒も止めた、たばこも止めた、ゴルフも止めたら、みんなハッピーだが、私の体もハッピーだし、私の家族もハッピーなのだが、1億2700万、みんなが『せいの』で止めたら、銀座は間違いなくつぶれる。日本中の酒屋も飲み屋もゴルフ場も日本たばこ産業も全部つぶれる。街に失業者があふれる

 

 

実はこの話は「合成の誤謬(ごびゅう)」といって、ミクロの視点では正しいことでも、それが合成されたマクロ(集計量)の世界では、かならずしも意図しない結果が生じることを指す経済学の用語とwikiでは解説されている。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%88%E6%88%90%E3%81%AE%E8%AA%A4%E8%AC%AC

 

そして上掲wikiでは現実の事例として以下の様に記述している。

 

現実の例

 

1) 江戸時代において米沢藩の財政改革が成功したのに対して江戸幕府の改革がたびたび失敗している。米沢藩が歳出削減や他藩への輸出興業を図ることができたのに対して、幕府は、自らの改革が自らへ悪影響をもたらすほどに大きかったためである。・・・以下略

 

2) 世界恐慌において、それまでどおりの均衡財政を維持しようとしたアメリカ政府は、自らの歳出削減による経済縮小と歳入減少に苦しんだ。

 

3) 1990年代の日本において財政改革で財政再建や消費増税をした結果、景気が著しく悪化しかえって財政構造が悪化した。これは財政が経済に占める規模が大きいため、一家計や一企業の収支を改善する方法が通用しないことを示している。・・・以下略

 

 

4) 1990年代半ばから2000年代の日本において、企業は傷んだバランスシートを改善するために借金返済を優先した。バランスシートの傷んだ企業がその改善を行うこと自体は適切な行動であると考えられるが、多くの企業が債務の返済に走ると経済全体では設備投資などが落ち込み、景気の悪化を招くこととなる。そして、バランスシートはその景気の悪化によって再度傷つくことになったため、図ったほどには改善しなかった。そこで、企業はバランスシート改善のためにさらなる債務の返済に走り、経済が縮小均衡へと向かうこととなった(バランスシート不況)。

 

5) 円高によって個々人は輸入や海外旅行に行く数を増やすことが出来るため、円高を礼賛するような言説がしばしばなされることがあるが、円高になっても日本全体では輸入量を増やせるわけではない(円高によっては交易条件が改善しないこと、および、経常収支の黒字が資本収支の赤字と一致するよう国全体での純輸出が決まってしまうことから、円高とは関係なく輸入量・輸出量が決まるため。貯蓄投資バランスも参照)。

 

<引用此処まで>

 

このwikiの記述は大変興味深い。

2)項はアメリカの事になっているが、麻生さんがたびたび引き合いに出す「デフレ不況から脱出した事例として高橋是清のケース」と重なる。

アメリカは最終的にこの不況脱出のために戦争を誘導した。

・・・この話は長くなるので別の機会に・・・

 

3)項はこれから決めねばならない消費税を如何するかの話。

 

4)項は今日現在の日本が直面している問題。

 

5)項は超円高を是正していく過程で一般消費者にキチンと理解してほしい事柄。

 

 

 

何故こんなwikiを持ち出したかと言うと、麻生さんが英語が分からないなどと茶化したような言い方をするのは、これからの経済の建て直しと財政再建と言う難しい命題が正に合成の誤謬との戦いであり、特に今現在ユーロ危機と言われ現在進行中の欧州の経済問題、これとは異なる日本独自の対策と言いたいからだ。

 

英語が分からない、つまり欧米のやり方とは違う方法で経済を再生しようとしている、そう言いたいのだと思う。

 

 

 

  1. 政治iza
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コメント

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三菱UFJフィナンシャル・グループみずほフィナンシャルグループはコメントを控えた。三井住友フィナンシャルグループからもコメントを得られなかった。

 「私は英語が苦手なのでサブプライムローンの説明書が読めませんでした。 だから投資は諦めました。」ってコメントを期待していたのでしょうかw?

  
  1. 2013-07-18 11:37
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  3. よもぎ猫 #79D/WHSg
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経団連も銀行も真面目な人が多いですから、麻生さんのジョーク(皮肉?)は余り通用しなかったか?

経団連の親分は昔に比べると今ではは小役人的経営者が鎮座している。
嘗ては石坂泰三土光敏夫平岩外四・・・財界総理と言われた人もいれば、経営者でありながら文化人に並ぶ人もいました。

合成の誤謬といえば、原子力発電の稼働についても「反対」の正論ばかりで、さっぱり展望が見えません。
  1. 2013-07-18 13:11
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  3. 相模 #79D/WHSg
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To よもぎ猫さん
>>三菱UFJフィナンシャル・グループみずほフィナンシャルグループはコメントを控えた。三井住友フィナンシャルグループからもコメントを得られなかった。
>
> 「私は英語が苦手なのでサブプライムローンの説明書が読めませんでした。 だから投資は諦めました。」ってコメントを期待していたのでしょうかw?


そんなコメントをするような豪傑だったら・・・
日本はまだまだ捨てたものではないと思うのですが、残念ながら麻生さん何ちゅうこと喋ってくれんじゃ、精々こんな事でしょう。

麻生さんの狙いはもっと深い所にあると思っています。
世界が新しい価値観、ものの考え方を模索している、そこへの答えになるかどうか、今こそ日本の真価が問われていると思います。
外交の安倍、経済の麻生、このAAコンビが最強ですね。
  1. 2013-07-18 16:45
  2. URL
  3. 短足おじさん #79D/WHSg
  4. 編集

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To 相模さん
>経団連も銀行も真面目な人が多いですから、麻生さんのジョーク(皮肉?)は余り通用しなかったか?
>
>経団連の親分は昔に比べると今ではは小役人的経営者が鎮座している。
>嘗ては石坂泰三土光敏夫平岩外四・・・財界総理と言われた人もいれば、経営者でありながら文化人に並ぶ人もいました。
>
>合成の誤謬といえば、原子力発電の稼働についても「反対」の正論ばかりで、さっぱり展望が見えません。


麻生さんのジョークは多分全く通じなかったと思います。
私には土光さんのようなサムライの再来が期待されるのですが、どうなんでしょうか。

原発問題なんぞは本当にその最たるものなんでしょうね。
誰も自分の裏庭に原発を置いて楽しいなどとは思いません。
しかし原発がある事での安い、安定した電力、この有難味を忘れています。
私はタイ時代、酷い時には毎日停電しましたので日本の停電しない電力の有難味を痛感しています。
東京地区の人は計画停電の怖さを身に染みて感じたと思いますが大阪地区はダメ。
それで未だに可笑しなことを言っています。
  1. 2013-07-18 16:53
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  3. 短足おじさん #79D/WHSg
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主婦目線とやらは政治の世界では害悪にしかならないと言う事ですかね。
  1. 2013-07-19 11:18
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  3. その蜩 #79D/WHSg
  4. 編集

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To その蜩さん
>主婦目線とやらは政治の世界では害悪にしかならないと言う事ですかね。
>


難しい質問です。
個人としては正しい、しかし大局を見ると少し我慢してくれと言わざるを得ない。
今ガマンしないと明日の果実が無い。

私はこの説明に握り飯と柿の種の話をします。
今腹の減っている人に柿の種を与えても空腹は満たされない。
でも握り飯をとっても、次の日もその次の日も握り飯をくれと言って手を出さざるを得ない。
今は苦しくてもなんとか我慢しよう、そのガマンを積み重ねれば将来が明るくなる。そうでしょう。
こんな風に説明します。
でも分からない人がいるんですよね。
  1. 2013-07-19 22:27
  2. URL
  3. 短足おじさん #79D/WHSg
  4. 編集

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しかしなあ、サブプライム全盛の頃は日本の銀行は金融庁に一挙手一投足監視されてたんじゃなかったんでしたっけ。

銀行あたりは、正直に金融庁の顕名な行政指導のお陰で買えませんでした、ありがたいことです。とでも言っときゃあいいんですよ。これってケケ中への皮肉でしょう。

原子力発電御最大の問題は、厳しいようですが不断の改良を怠ったことにあるのだと思ってます。基本的な仕様の変更もなしに50年なんて普通は考えられません。このことを言う人間はほとんどいないのですが…
  1. 2013-07-20 00:09
  2. URL
  3. kazk #79D/WHSg
  4. 編集

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To kazkさん
>しかしなあ、サブプライム全盛の頃は日本の銀行は金融庁に一挙手一投足監視されてたんじゃなかったんでしたっけ。
>
>銀行あたりは、正直に金融庁の顕名な行政指導のお陰で買えませんでした、ありがたいことです。とでも言っときゃあいいんですよ。これってケケ中への皮肉でしょう。
>
>原子力発電御最大の問題は、厳しいようですが不断の改良を怠ったことにあるのだと思ってます。基本的な仕様の変更もなしに50年なんて普通は考えられません。このことを言う人間はほとんどいないのですが…


アメリカ発のサブプライム全盛時代は2000年~2001年頃からでした。
その頃の日本はと言うとデフレ不況の真っただ中。
以前指摘いただいた1998年から給料が下がり始めた時です。
実はその時国債の大増発も始まったのです。
その国債が何処へ行ったか、日本の銀行が買ったのです。
銀行が超低金利を背景に実業の世界にカネを貸し出す代わりに国債を買ってしまった。
銀行はタダ同然のコストの金で安全確実な国債を買えば楽なもの。
銀行が金融と言う仕事を止めてしまった、今その付けが回っているのですね。
色々調べてみると矢張り諸悪の根源の一人が橋龍でした。
橋龍のおかげで自殺者が3万人を超え、国債の大増発、デフレ不況になった。

明日の選挙でこの負の遺産を解消せねば、そう思います。
  1. 2013-07-20 07:27
  2. URL
  3. 短足おじさん #79D/WHSg
  4. 編集

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