2011-08-31 22:58

防災の日に貝塚を見に行く

 最近津波や高潮が来たとき如何しようと言うことがしばしば話題に上る。

私はそんなとき、貝塚のある所より上なら良いよ、大丈夫だ。

そんな事を家族や仲間と話すことがある。

 

 

どうして貝塚なの? 

では貝塚って何処にあるの?

 

 

そんな事で明日が防災の日なので、昔の記憶を辿って半世紀ぶり(いやもっと昔だったかな・・・歳が分かる!)に地元の貝塚を見に行ってきた。

実は私は中学生時代は考古学少年、貝塚や古窯址を探してアチコチさまよったものだった。

最近気候変動の事が気になるのだが、その関係で昔の気候など調べていて面白い事に気がついた。

http://tansoku159.iza.ne.jp/blog/entry/1648626/

http://tansoku159.iza.ne.jp/blog/entry/1652791/

http://tansoku159.iza.ne.jp/blog/entry/1652852/

 

このエントリーで紹介している貝塚は地下深くから発見されたのだが、普通貝塚は現在の海岸線よりかなり内陸よりから発見される。

その理由が縄文海進である。

縄文海進がどの程度かと言うと

 

 このグラフは今から9000年前以降の海面の高さの変化を示す物。

海面の高さは今から2万年位前は今より120メーター以上低かった。それが徐々に海面が高くなり、今から約7000年くらい前は今と同じレベル。

しかしその後も上昇を続け今から6000年位前のピークは今より海面は5メーターくらい高かった。

コレを縄文海進と呼んでいる。

だから貝塚はその高い海面にあわせて、今の海岸線より内陸側にあるのだ。

 

東京周辺の縄文海進の図

 

この様に昔の東京湾は今よりはるかに深く内陸に食い込んでいた。

この様なところは高潮や津波の被害を受けやすいし、元々海だったところに泥が滞積して出来た地層(沖積層という)なので、地盤は極めて軟弱、そして地震だと液状化現象もおきやすい。

 

上の図では分かりにくいので、コレに貝塚の分布図を加えるとこうなる。

注:この図は松山義章著 「貝が語る縄文海進」より借用

 

 

東京近郊にお住まいの方には、幸手や栗橋あたりまでが昔は海だった・・・俄かには信じがたい話だと思う。

だがここで分かるように、縄文時代海だった所の周辺に貝塚が分布している。

そしてその海だったところが災害の危険の多い地域だと言う事。

 

 

長い話になったが、以上の理由で貝塚のあるところなら大丈夫と言えるわけだ。

 

 

 

 

さて今日私の町の貝塚を見に行った。

西宮貝塚と言うのだが、小さな小さな貝塚である。

 

貝塚のあるところの遠景

池の向こうの住宅の間にある。

 

 

狭い路地から更にこんな狭い路地(農道?)を入る。

尚貝塚のある事の表示・案内板の類いは何も無い。

知らない人には全く分からない所だ。

 

 

通路に貝殻が落ちている。

これはこの地方では今は生息していないハイガイ

(今ではハイガイは九州の有明海辺りにしか居ない、温暖な海に住む貝だ)

 

こんな貝がいたことが縄文時代が現在より温暖だった証拠

 

 

こんな物も・・さざえ

 

 

 

そしてこの西宮貝塚から海岸方向を見ると

 

実は写真がヘタクソで分かりにくいが、貝塚のあるところは台地状のところ、其処から4,5メーターの崖が有って、その下はまっ平らな所。

昔はこんな所はみんな田んぼだったが、今では工場や住宅が立ち並んでいる。

 

そしてこんな平らな所は住宅を建てるには便利だが、地盤が悪く地震や台風による高潮などの被害を受けやすいのである。

 

 

 

そしてこの写真の方向の約1キロ先には第2次大戦中日本海軍の飛行機(艦上攻撃機天山と偵察機彩雲)を作っていた工場があった。

そして其処は昭和19年12月の東南海地震(M7.9 一説ではM8.2)で甚大な被害を受けた。

この大震災、大戦末期と言う事で軍事機密とされ、良く分からない事が多い。

 

それで最近NHKが「封印された大震災~愛知・半田」なる番組を報道し、コレをドイツ在住の丸山光三さんが紹介している。

http://marco-germany.iza.ne.jp/blog/entry/2398700/

 

この件についての私の考えを丸山さんのブログにコメントで残してあるのでご参照ください。

 

尚NHKのこの番組はコメントにある様に、この大震災を知るものとしては、極めていやらしい報道の仕方と感じています。

がその話は今回は取り上げないこととします。

 

こんな事で津波で逃げろとなったときの目安の一つが貝塚だったというわけだ。

 

最後に貝塚が何処にあるか全く分からないとの質問を受けるので、その時は江戸時代より前から存在する古いお寺や神社のあるところなら同じだと言っています。

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コメント

No title

小生、この北総台地の育ちなので今回のエントリーはよーーくわかります。

北総台地の東京湾側では田んぼと畑の位置がはっきりと分かれます。
嘗てはコメ増産が叫ばれていたせいか田んぼはかなり入り組んで奥にまであります。そして急な崖とも言える斜面の上に台地が広がり、畑となります。

そして小学生の時に郷土史は必ず習いましたし見学にもよく行きましたので貝塚が台地上にあり、田んぼの位置まで海だったということは体験として分かるものでした。そして教科書に書いてあるんだ。縄文時代は大変暖かく南極の氷が溶け海面が上昇してました、って。

だから、「地球温暖化?海面の上昇?だからなあに?」という至って正常な反応を示す子供が多いのです。人類の危機だと言ったって「縄文時代で滅んでないじゃん」で終わりです。

だから、地球温暖化のインチキぶりは一番最初からわかってました。
先生は大変だという話は聞きました。あんまり最近はまともに触れてないみたいです。

例えば世界最大と言われる加曽利貝塚は標高30メートル位あります。海からたいへん離れてます。先生は3000年くらい前はこのたりまで海だったんだ、と言う口で地球温暖化なんですから、あんたバカあで終わりであります。


中島飛行機の半田工場ですね。東南海地震で名古屋の三菱がやられたことは有名ですがここも被害ありですよね。昭和19年以降の軍需生産の減少は空襲ではなく、この地震と潜水艦の補給線切断のせいであります。

実はこの地震直前に地殻変動があったことが偶然記録されてまして東海地震の予知の根拠にされてるんですが正直どこまで正確だったか小生は疑問です。
  1. 2011-09-01 02:19
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  3. kazk #79D/WHSg
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No title

To kazkさん

kazkさんも小学校時代からそんな話を聞いてましたか。
それなら仰るように昔は何処まで海だったとか、縄文時代は温暖だったとか、そんな事が実感として分かるわけですね。
こんな事を子供の頃から郷土史で学んでいることが、健全な常識的判断のできる人間を作っている。
そして大きく言えば日本人の民度が世界でも例外的に高い、その原因を作っている。
kazkさんのコメントを見てその思いを強くしました。

だから最近ドイツのメルケル首相が多文化共存は失敗した、ドイツ国民になるためにはドイツ語を話し、子供の頃からドイツの教育を受けねば駄目だ。
そんなことを言い出したのも納得です。

所で最後の地震直前の地殻変動の測量結果の話。
実はこの頃の測量技師の技能について多少知識が有ります。
当時のトランシットと水準器だけでの測量なのですが、
その技師の技能についてどの程度の制度で測量できるか、チェックしていたようです。
具体的なやり方は1辺約30キロの四角形を地図上で設定し、ある頂点から出発して順番に測量し、原点に戻ってくる。
それで何ミリの誤差に収まるのか、その測量技師の技能をチェックする。
勿論トランシットですから数百メーター毎に仮の水準点を作ってやっていくわけです。
それで数ミリの誤差に収まると聞いています。(優秀な人は2ミリ位とか)
ですから東南海地震で偶然記録された変動にはかなり説得力があると思います。
  1. 2011-09-01 07:21
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  3. 短足おじさん #79D/WHSg
  4. 編集

No title

ご無沙汰しております。
今日、都内では防災訓練が各所で行われておりました。
わたしの町も訓練があり、子どもを連れて参加して来ました。
若いお母さん方が多く参加されていて、
震災を機に備えようという意識が高まったのでしょうか。

以前、縄文海進のエントリーをお教え頂いてから、
友人・知人にその話をしたところ、熱心に聞いてくれました。

自宅周辺や子供の通う保育園・幼稚園、地域の避難場所が海抜10メートルより下だと被害を受ける可能性があることを伝えると、目安になるものが出来てよかったと喜んでおりました。

じつは、貝塚や縄文海進など、今まで自分と無縁だと思っていた世界に少し興味が出てきました。地元の郷土史や、関東大震災の記録など、柄にもなく探して読んでいたりします。
元々、自分の父が好きな分野なので抵抗感はないのですが、興味を持つまでには至りませんでした。短足おじさんのエントリーがきっかけを作って下さったのだと思います。ありがとうざいました。

大型の台風が近づいております。どうぞご自愛ください。
  1. 2011-09-02 00:59
  2. URL
  3. ねこむすめ #79D/WHSg
  4. 編集

No title

To ねこむすめさん
>ご無沙汰しております。
>今日、都内では防災訓練が各所で行われておりました。
>わたしの町も訓練があり、子どもを連れて参加して来ました。
>若いお母さん方が多く参加されていて、
>震災を機に備えようという意識が高まったのでしょうか。
>
>以前、縄文海進のエントリーをお教え頂いてから、
>友人・知人にその話をしたところ、熱心に聞いてくれました。
>
>自宅周辺や子供の通う保育園・幼稚園、地域の避難場所が海抜10メートルより下だと被害を受ける可能性があることを伝えると、目安になるものが出来てよかったと喜んでおりました。
>
>じつは、貝塚や縄文海進など、今まで自分と無縁だと思っていた世界に少し興味が出てきました。地元の郷土史や、関東大震災の記録など、柄にもなく探して読んでいたりします。
>元々、自分の父が好きな分野なので抵抗感はないのですが、興味を持つまでには至りませんでした。短足おじさんのエントリーがきっかけを作って下さったのだと思います。ありがとうざいました。
>
>大型の台風が近づいております。どうぞご自愛ください。


お久しぶりです。
拙文が少しでもお役に立てば幸いです。

実は私が最近つくづく感じる事、それは子供の頃からの教育の重要性です。
このエントリーのkazkさん との話でも分かるように、子供の頃学んだ事はその後の生活の基礎になっています。
そのことを痛切に感じたのがイギリスで発生した暴動。

多分イギリスはじめ諸先進国では日本は未曾有の大震災でも秩序・規律・思いやりが生きている。
だがほかの国(例えばイギリス)で如何してそれが出来ないか、
日本と何処が違うのか、
こんな事が問題になってくるでしょう。

これから日本が世界の中で生きていくための大きな指針が出来たと思っています。
  1. 2011-09-02 07:19
  2. URL
  3. 短足おじさん #79D/WHSg
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