2009-03-19 09:28

現代自動車がカンボジアに組立工場建設>でもその場所は?そして狙いは?

現代自動車がこの時期にカンボジアに組立工場を建設するそうだ。

未曾有の不況で、世界中の自動車メーカーが一斉に減産・新規投資の見直しを進める中、いかにも奇異に見える。

しかもその工場立地を聞くと耳を疑うようなところ、

では彼らの狙いは何か?

そこにはいかにも韓国らしい狙いが見えてくる。

 

ではまずはその報道から

 

<以下引用>

 

現代自がカンボジアに組立工場建設、現地紙報じる

3月1日14時42分配信 YONHAP NEWS


【ハノイ1日聯合ニュース】現代自動車がカンボジアに初の組立工場を建設すると、現地日刊紙のカンボジア・デイリーがこのほど報じた。
 同紙によると、現代自動車は現地の業者と合弁でカムコ(カンボジア・コリア)自動車を設立、首都プノンペンから南西150キロメートルの海岸に現代自の組立工場を建設することを決めた。すでにフン・セン首相から事業承認を得ており、建設には総額6000万ドルが投じられる。すぐに着工し、来年中盤には生産を開始する予定だ。カムコ自動車関係者は、最初は年間約1000台を組み立て、10年以内に年間3000台に増やすと説明した。
 

<引用終り>

 

 

 

これだけでは何ともよく分からない、

しかも現代自動車は1月29日にブラジル工場の建設計画の凍結、建設中のロシア工場の完成時期延期を発表したばかり。

 

誰が見ても変な話だが、その為か経済情報誌NNAベトナムの遠藤堂太氏が現地を調査、

それが週刊エコノミストに「建設計画の”虚実”」として掲載されている。

 

 

 

要点は

1) 工場予定地はコッコン(koh kong)と言うところで、タイ湾に面したところ、またタイとの国境から2キロの場所である。

しかしコッコンと言う所、およそ自動車の生産に適したところではない。

  (コッコンがどんな所かは後で詳しく述べる)

 

2) 予定地は現在整地完了したところ、まだ電気・水道などは無い。

 

3) しかし上記報道では”すぐに着工し、来年中盤には生産開始する”、

その規模は新聞報道では”最初は年間1000台、十年以内に年間3000台”となっている、

しかし遠藤氏によると”第1期事業で年間12000台(つまり月1000台)、第2期で年間36000台(つまり月3000台)、

恐らく遠藤氏の書いてあるものが正しいのではないか。 

 

4) 自動車の生産に必要な部品はカンボジアでは調達できない。

しかも人口の少ない土地での工場建設は奇異だ。

 

5) カンボジアにとって初めての自動車工場なので、「同業他社のカンボジア進出を認めない」などの恩典を要求しているとの噂がある。

 

 

 

ではその建設予定地がどんなところか?

 

タイとの国境の町コッコン(koh kong)と言っても、又反対側のタイの町ハットレック(hat lek)と言っても、恐らく知っている人は非常に少ないと思う。

タイ在住の人でも何人知っているだろうか?・・・

マリーンレジャー、魚釣り以外に何も無いところだ。

実は私も90キロほど手前のトラート迄しか行った事がない。

 

まずは地図を見て欲しい。

 

こんな所だ。

 

 

次に航空写真で現地周辺を見て欲しい。

 

コッコン一帯が深いジャングルで町らしいものがほとんど見えない。

 

実はこのあたりは非常に特殊な地形になっている。

写真の緑色のところ、急峻な山岳地帯で一帯は深いジャングル。

山と海の間のわずか幅数キロのところがタイ領でこれが約60キロ程突き出ている、

幅は狭い所で約2キロ程しかない。

カンボジア側の条件も同じで平地はほとんど無い。

 

一番近い大きな町が写真の一番下にあるコンポンソム(シアヌークビル)、ここはカンボジアで唯一の外洋貿易港であり、コンテナー取扱港である。

 

ここコンポンソム(シアヌークビル)からコッコンまでは直線距離で125キロほど、

しかし道路は大きく迂回するので250キロほどになる。

しかも約半分は道路が極端に悪く、数年前の情報では小型トラックがかろうじて通れる程度らしい。

(何時間かかるか分からないそうだ)

 

このためコンポンソムからコッコンまで行くには高速船(所要約4時間位らしい)しかないようだ。

 

 

 

カンボジアの道路事情はよく分からないが、

参考までに7年前のものだが、カンボジア一番の観光地アンコールワット周辺の国道6号線の写真、

 

のどかな風景ですねぇ、

でも国道6号線でさえこんなもの・・これがカンボジアの道路事情だった。

多分今でも田舎ではこんなものだろう。

 

 

こんな事情を見るとカンボジア側から大きなコンテナーを積んだトラックや

、完成車運搬トラックが入るのは当面不可能と見てよい。

又何よりも工場建設資材や機械類も運び込むのも無理と見る。

 

 

こんなことで一般的なコッコンへの行き方はタイのバンコクからであろう。

バンコクから国境のハットレックまで約400キロ、しかし途中のトラートまで320キロほどは片側2車線(またはそれ以上の)ハイウェイが整備されている。

トラート~ハットレック間の道路事情は知識が無いので説明できないが、そんなに悪くは無いと思う。

どなたかご存知の方が見えたらご教示いただきたい。

 

 

前置きが長くなったがここで現代自動車の狙いを見てみると、

 

狙いはずばり、全てをタイにおんぶした工場と言うことだ。

 

完成車の輸出はタイのレムチャバン港(約300キロ)、

部品は全てタイの日系自動車部品メーカー(主にタイ東部臨海工業地帯にある、約300キロ)、

ここにはトヨタ・ホンダ系を中心にほとんど全ての材料・部品が揃う。

建設資材も全てタイのものを使うつもりだろう。

そして人の往来もタイの空港を利用する。

 

つまり現代自動車のこの工場はタイの道路、港湾、空港、部品メーカーなど、

あらゆるタイのインフラに只乗りしたコバンザメ工場なのだ。

 

現代自動車のやることは、国境のゲートから工場までの約2キロの道路を舗装することだけ!。

まさにただ乗りである。

 

 

そして未曾有の不況で仕事が無くて困っている日系部品メーカーを取り込む絶好のチャンスととらえているのではないか。

そうでなければ全く自動車工場には不適当なところへ、この時期に工場を作る、この奇異な事象が説明できない。

 

そしてここを突破口にして日系メーカーの技術をパクル、

これが韓国メーカーが永年お手の物としてきたことなのだ。

 

もうすでに日系メーカーへの攻勢が始まっていないだろうか。

日系メーカーの皆さん、相手の手の内をよく読んで、くれぐれもハニートラップなどに引っ掛かりませぬようご用心を!

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コメント

No title

初めまして。
ご隠居さんのところから来ました。
前回の記事も読ませていただき、大変勉強になりました。

私は画家で、北の方、北米、北欧やアイルランドには行きました。
知人にはいま、マレーシアに住んでいるのもおりますが、
私自身、南の方はまだ未体験です。

ブログを読ませていただくと、何となく昔の日本のような
懐かしさがあって興味深いのと、暮らすには大変そうだというのと、
相半ばしていますね。

これから、折にふれ伺わせていただこうと思います。
更新楽しみにしています。
  1. 2009-03-19 13:33
  2. URL
  3. ィノナ #79D/WHSg
  4. 編集

No title

To ikkaiさん

>ブログを読ませていただくと、何となく昔の日本のような
>懐かしさがあって興味深いのと、暮らすには大変そうだというのと、
>相半ばしていますね。

いらっしゃいませ、コメント有難うございます。

カンボジアについて言えば、まさに日本の戦前の田舎と言ったところでしょうか。
ブログの写真はアンコールワットのあるシェムリアップ国際空港から数キロのところです。
長閑そのものですね。
でも観光で来る分にはとても良い所ですが、ここに暮らすとなるとどうでしょうか、
例えばご飯を食べるときに、白いご飯がハエで真っ黒になるのを我慢できないと生きていくのも大変、
そういった意味では確かに「暮らすのには大変」です。

これからもよろしくお願いいたします。
  1. 2009-03-19 21:59
  2. URL
  3. 短足おじさん #79D/WHSg
  4. 編集

No title

 なるほどねえ。敵は本能寺にあり、というわけですか。
 しかし、通関その他はどうするつもりなんでしょう。すべて特別扱いを望んでいるんでしょうか。
  1. 2009-03-20 06:00
  2. URL
  3. ご隠居 #79D/WHSg
  4. 編集

No title

To ご隠居さん

コメント有難うございます

> なるほどねえ。敵は本能寺にあり、というわけですか。
> しかし、通関その他はどうするつもりなんでしょう。すべて特別扱いを望んでいるんでしょうか。

タイには隣国との間で何箇所か国境の通関ポイントが有ります。
この中で自動車部品を通しているのは、今はマレーシアとの国境だけでしょう、
ここは現在相当量の自動車部品がタイからマレーシアへ輸出されています。
ですから通関も多少時間はかかるそうですが問題ないようです。

またタイの税関当局は大体はまじめに仕事をしています、
ですから自動車部品の輸出入は何処でもあまり問題ないようです。
(故意に通関を遅らせたりと言ったことが無いと言う意味です)

ではカンボジア側はといえば、これは不明としか言いようが無い。
自動車部品のようなものを大量に輸入した経験が無いので大変だと思います。
特に韓国からの輸入は品目ごとの税率とか色々有りますが、
タイ製の部品ならアセアン域内の優遇税制が適用されるので大丈夫
そんな事も考慮して決めた立地なのでしょう。
それにしても面倒なことが山積しているので、
多分ご指摘のように特別扱いにするよう要求していると思います。
  1. 2009-03-20 18:17
  2. URL
  3. 短足おじさん #79D/WHSg
  4. 編集

No title

現代自動車はすでに途方もなく過大な生産設備を持ってるんですけどねぇ。昨今の状況を勘案しても、なお40%程度の過剰設備を持ってますよ。むしろ生産ラインの廃棄を進めないといけないくらいの状況で新工場を作るなんざ、完全に経済合理性を無視した施策ですね。
おそらく、「カンボジアでシェア1位!!」もしくは「世界×ヶ国で生産」という発表をしたいだけなのでしょうが、数量的にもほとんど無意味なので、放っておいて良いでしょう。月産1000台程度では、ボリュームディスカウントも利かないので、タイで部品を調達できたとしても、相当高くつきますし。

まあ、「自動車生産国」になりたいカンボジアと、実態を伴わない「世界で躍進中」を謳いたい現代自動車の利害が一致した政治の産物ということで良いと思いますよ。
  1. 2009-03-21 10:27
  2. URL
  3. 超級大懶猫 #79D/WHSg
  4. 編集

No title

To 超級大懶猫さん

コメント有難うございます。

>現代自動車はすでに途方もなく過大な生産設備を持ってるんですけどねぇ。昨今の状況を勘案しても、なお40%程度の過剰設備を持ってますよ。むしろ生産ラインの廃棄を進めないといけないくらいの状況で新工場を作るなんざ、完全に経済合理性を無視した施策ですね。

余剰設備がそんなに有るのなら、その持って行き場所として丁度良いのかもしれません。
以前の話ですが、タイに進出した日本の企業でも日本から中古(いや大古と言うべきか)設備を持ってきた企業がかなり有りました、
皆さん一様にメンテナンスなどで困っていましたね。
(最近は何処でも最新鋭の機械を持ってきているようです)

>
>まあ、「自動車生産国」になりたいカンボジアと、実態を伴わない「世界で躍進中」を謳いたい現代自動車の利害が一致した政治の産物ということで良いと思いますよ。

全くその通りですね。
でもうまく行かないと”日本の部品メーカーが協力しないニダ!”と言いそうな気が・・・。
  1. 2009-03-21 17:48
  2. URL
  3. 短足おじさん #79D/WHSg
  4. 編集

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