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2019-01-16 17:31

池上彰『解説』から左翼脳を考える


 正月にある方からこんな質問をいただいた。
「ねえ短足さん、どうしてインテリとか頭のいい人とかに左翼的な人が多いの?、そんな時どうしたらいいの?」。こんな質問だった。

難問である。

その時は、左翼的な人は理想論を言うけれど実践が伴わないからねえ。やはりそんな人に対抗するには一にもニにも「実践」。これしか無いだろう。
そんな例として、人生二度なしを信条とした実践人にして哲学者、教育者の「森信三(1896-1992)」を例に挙げた。
≪ 日々の生活を真実に生きる人を ”実践人” という≫
一般社団法人 実践人の家 HPより


所でこの話、簡単に済む話ではないし、日本再生のためには避けて通れない話だと思う。そこで左翼脳の持ち主にしてメディアへの登場頻度の高い池上彰、この御仁の言っていることから考えてみたい。


最初にたたき台の紹介から。
シンクタンク日本政策研究センターの情報誌「明日への選択」18年11月号に丁度いい記事が有った。
題して「池上彰『解説』に騙されるな

2019-1-13池上彰-01 

全文は長いので末尾に掲載しました。
この中から「一方的な憲法入門」「日本赤軍派正義の味方?」を取り上げます。


最初に「一方的な「憲法入門」」

・・前段略・・
例えば、『池上彰の憲法入門』(筑摩書房)。この本は憲法の「ギモン点を徹底解説」というのが売り文句だが、その冒頭で池上氏はこう「解説」している。

 「憲法とは、そもそもどういうものなのか。ちょっと考えて見ましょう。(中略)憲法は単に『法律の親分』ではないのです。法律は国民ひとりひとりが守るべきものですが、憲法はその国の権力者が守るべきものだからです」「国家権力を制限する憲法にもとづいて政治を行うことを『立憲主義』といいます」と断言し、また、紙面では太字で「憲法は、権力者が勝手なことをしないように、国民がその力をしばるもの」とも強調している。
・・・以下略・・・


私はこれを読んで仰天した。確かにそんな議論もあるだろうが、「国民は法律さえ守っておればいい。憲法は、権力者が勝手なことをしないように、国民がその力をしばるもの」、こんな議論は始めっから間違っている。憲法とは国の在り方を定めたもの。国民皆がそれによって日本という国土に暮らしていけるものだ。
道理でNHKや朝日新聞などで不祥事が頻発する訳だ。法律の意味が一般人と違っているのだろう。

こんなもの一つを見ても、池上彰は「権力とはどこかからやってきて日本人を隷属させている悪の存在」、こんな日本に対する憎しみが有ると思って間違いないだろう。

なおこの池上彰の憲法論を読んで、エダノンの「立憲民主党」の名前の意味が分かった。立憲というのは「権力が勝手なことをしないように縛るもの」という意味なら、立憲民主党の意味も分かろうというものだ。


さてもう一つの問題

日本赤軍は正義の味方?

・・・前段略・・・

 池上氏はNHK記者の頃、出演者(お父さん役)としてだけではなく、企画にも関わったという「週刊こどもニュース」で有名になった。池上氏のいわば原点とも言うべき番組なのだが、その「週刊こどもニュース」を政治的偏向だと指摘していたのが中村 粲(あきら)濁協大学教授(名誉教授)だった。むろん、今から放映された内容を掘り起こすことは無理だが、有り難いことに中村教授は「NHKウオッチング」(『正論』で長期連載)で、いくつかその実例をビデオテープから起こして紹介してくれている。
(注:中村 粲(あきら)獨協濁協大学名誉教授)

 例えば、「日本赤軍ってナーニ」という質問のあった回「平成十二年十二月二十三日)で、池上氏はロシア革命を起こしたソ連は「赤軍の力でそれまでの政治をひっくり返して国を作った。日本でもその赤軍のように政治のやり方をひっくり返そうとするグループが生まれた」、それが日本赤軍だと「解説」し、そのうえで彼らが「ひっくり返そう」と考えた理由を池上氏はこう「解説」している。

 「その頃の日本には貧しい人達がいたから、その人たちを何とかしなければいけない、今の世の中を変えなければならないという人たちが沢山いて、その中には武器を使っても変えてしまおうという人たちが出てきて、その中の一つのグループが赤軍って名乗ったんですよ」と。

 さらに「国内では活動がうまくいかないので海外へ出て行こうと、赤軍は中東に行ってパレスチナの味方をしようとしたが、赤軍というグループが沢山いたので『日本赤軍』と名乗ってレバノンで活動を始めた。各地で飛行機を乗っ取ったり、大使館を襲ったり、さまざまなことをしたんですね」と言って「質問カイケツ」で終わる(『正論』平成十三年四月号から引用。仮名遣いは引用者が変更)。

 日本赤軍は腐敗社会を立て直そうとして正義の戦士のように美化する一方、日本赤車の凶悪犯罪については国内で起こしたリンチ殺人事件は「国内では活動がうまくいかない」とごまかされ、テルアビブ空港での銃乱射事件は「さまざまなこと」で片付けられてしまう。これがNHKという公共放送で子供向けに放送されていたというのだから、その偏向ぶりには驚く他ない。

 こんな「解説」が池上氏の原点だとすれば、今はただ巧妙になっただけで、やはり考え方には左翼的尻尾が残っていると言わざるをえないだろう。

<引用ここまで>



その頃の日本には貧しい人達がいたから、その人たちを何とかしなければいけない、今の世の中を変えなければならないという人たちが沢山いて


こんな一言でさらりと片づけていますが、この池上彰の話の前提条件こそ大嘘!。このウソを前提に話を進めるから、話の結論もとんでもない結論。
このいい加減な前提で話を進めるのが左翼脳の特徴と言える。

具体的に言えば、その頃というのが日本赤軍(1971年結成)などが暴れまわった1970年前後だとすると、その実態はどうでしょうか。
池上彰は1950年生まれです、この当時は20歳前後。世の中がどうなっていたのか知らないとは言わせませんぜ。

1970年当時の状況です。
日本赤軍などの過激派が活動していた1970年頃がどんな時代だったか。その頃貧しい人が多かったのか?

先ずはこれを見てください。1970年は大阪万博の年。



懐かしいですね。「お客様は神様です」の三波春夫。
この頃の日本は高度成長の真っ只中。日本が戦後の復興から立ち上がった、ピカピカに輝いていた時代でした。東京オリンピックは成功した(1964年)。世界初の高速鉄道である東海道新幹線が開通した(1964年)。そして「ひかりは西へ」のキャッチフレーズで山陽新幹線が1972年に岡山まで伸びた。

そのピカピカに輝いていた時代ということはデータでも分かります。

いまとは全く違う経済成長率
2018-7-5経済成長率推移

年率15%を超える成長率。今では夢のような成長率です。


更に物価と給料がどうだったか。
物価も上がったけれど、それより給料が上がったほうが多かった時代
2018-7-5賃金物価上昇率推移
参考ブログ
年代別内閣支持率に思う事  2018-07-05 16:30

給与が年率で18.7%も上がっています。
今年より来年、来年より再来年・・・、夢が有りましたねえ。すごい時代でした。


では失業率はどうだったか。このグラフでは1980年からしか分かりませんが、経済の好調さから失業率も見当がつくでしょう。そして日本はこの当時も現在も先進国中もっともも失業の少ない国です。

2019-1-15失業率推移(日本と主要国)


時代背景はここまでにして、本題に戻ります。

こんな今から見れば夢のような時代を池上彰は何と言ったか。

その頃の日本には貧しい人達がいたから、その人たちを何とかしなければいけない、今の世の中を変えなければならないという人たちが沢山いて
こう言っている。

貧しい人たちがいた、それはいつの時代にも「相対的に貧しい人たち」は居る。当たり前だ。

こんな所に池上彰の根本的な問題点がある。
池上彰の頭の中にはこんな日本像が刻み込まれている筈だ。
曰く
日本は貧しく弱く悪い国だ。嘘でも何でもいいから徹底的に糾弾すべきだ。」と。
その為には「見せかけの理想論を持っているが、その具体的な方法論は持っていない、あるいはそもそも空理空論に具体策など無い」、こんな事などだと思う。
その上で「徹底的な批判」を行う批判理論である。誰でもそうだが、「批判は簡単、実行は難しい」。


池上彰が「正義の味方」と言わんばかりの取り上げ方をする日本赤軍がどんなものか?

日本赤軍 1971年から2001年まで存在した新左翼系団体。世界同時革命を目指した武装集団
    テルアビブ空港乱射事件(乗降客を中心に26名を殺害73名が重軽傷)を起こした
⇒ 池上彰解説の「さまざまなこと」で片付けられたことはこんな虐殺事件のこと

共産主義者同盟赤軍派  1969年に結成された新左翼系団体。後の日本赤軍や連合赤軍の母体、よど号ハイジャック事件などを起こしている。

連合赤軍  日本共産党の武装路線を継承する過激派が、日本の学生運動が下火になっていく中で過激派各派を統合して1971年に誕生。山岳ベース事件(内ゲバで死者12名)、あさま山荘事件(死者3名(内機動隊員2名、民間人1名)、重軽傷者27名(内機動隊員26名、報道関係1名))などを起こしている。
⇒ 池上彰解説の「国内では活動がうまくいかない」はこんなリンチ殺人事件や人質占拠差殺人事件のこと
(注:この日本の学生運動が下火になっていく中での過激な活動こそ問題の根っこである)



結論です。左翼脳の人たちは「理想(妄想)」を掲げるものの具体的な実践は有りません
そんな人たち、実は身の回りにいくらでもいるわけですが、どう対処したらいいか。これは今回の例のように話の前提が「左翼脳の思い込み」「都合の悪いことは無視(故意落球ですね)」からスタートしているので、そんな事を事実で証明していけばいい訳です。
幸いなことに現代はスマホやパソコンで情報はいくらでも手に入ります。そんな色んな情報から取捨選択して何が正しいのか見ていけばいい。
ネットの情報は玉石混淆ですが、正しい情報はいくらでも見つかります。



そして今の若い人たちにはオールドメディア(新聞テレビ)の情報操作は通用しません。
だから年代別の内閣支持率はこんな風

2018-7-4年代別内閣支持率1
参考ブログ:年代別内閣支持率に思う事  2018-07-05 16:30
http://tansoku159.blog.fc2.com/blog-entry-1540.html

そしてこんな記事も

2018-9-7朝日新聞東京編集局(コブクロウ)

参考ブログ:今の政権でいいんですか?「いいでーす」<朝日の泣き喋り記事  2018-09-07 14:35
http://tansoku159.blog.fc2.com/blog-entry-1563.html

大変長いエントリーになりました。やはり結論は実践しかありません。そんな事でこの話を終わりたいと思います。



最後に、情報誌「明日への選択」にある記事、題して「池上彰『解説』に騙されるな」全文を添付しておきます。


<以下「明日への選択」よりスキャンOCR変換し引用>

池上彰「解説」に瑶されるな

独立国の「固有の自衛権」を語らずに自衛隊と憲法の関係を語り、伝統や歴史を踏
まえることなく「天皇」「世襲」を語る。こんな「解説」に騏されてはいけない。
岡田邦宏(日本政策研究センター所長)


 池上彰氏と言っても、本誌読者には関心のない方も多いと思うが、毎週どこかのテレビ局でニュース解説番組に登場し、週刊誌や新聞に連載をもち、著書は一年間で十数冊も出すなど、ジャーナリストとして広く知られている。取り扱う分野も国内の社会問題から政治課題、さらには中東情勢などの国際情勢に至るまで幅広い。また分かりやすい「解説」ぶりが特徴とされ、テレビ番糾でも出版物でも「池上彰の○○」とタイトルが付けられるほど。今や「池上彰」はブランド化していると言えよう。この九月、その池上氏に「パクリ疑惑」が浮上してネット上で大騒動となった。

 その疑惑というのは、後に紹介するように、他人の取材や見識をその出所を明らかにすることなく、あたかも自分の取材や見識として語っているのではないかというもの。池上氏本人は否定しているらしいが、実は数年前からその手法が批判され、抗議もされてきたというのだから、やはり実態はあったと考えざるを得ないだろう。むろん、「池上彰」を冠した番組や連繊を持つ大手メディアがブランド価値を低下させる疑惑を取り上げるはずはなく、騒動はネット上に留まっている。

 今、問題視されているのは池上氏のいわば取材(と言えるかどうかも疑問だが)の手法だが、では池上氏の「解説」の内容には問題はないのだろうか。記者はたまたま見たテレビ番組や雑誌記事の「池上解説」の偏りを感じることがあったが、その都皮記録したわけではない。そこで、今となっては活字になった池上氏の「解説」を対象とする他ないのだが、改めてのその偏りの正体を考えてみた。


池上「パクリ疑惑」

 先ずは、ネット上のパクリ疑惑騒動をご存じない方のために、簡単にその経緯を紹介しよう。

 発端となったのは、九月七目に放送されたフジテレビの『池上彰スペシャル 池上彰×子供×ニュース』という、政治に対する子供の疑問に答えるという内容の番組。出演した子供が「日本はアメリカのご機嫌取りばかりに見えるのはなぜ?」「トランプ大統領が校長先生で、安倍総理は担任の先生みたいに見える」と発言したことに対してネット上でヤラセではないのかという声があがった。数日のうちに出演した子供のうち約二十人が子役タレントだったことが探し出され、台本のある印象操作ではないのかとの指摘がなされた。このヤラセ疑惑に対して評論家の八幡和郎氏が感想を述べたツイッターのなかで、次のように記したことから問題がパクリ疑惑へと広がっていった。

 「池上彰の番組から取材があつてさんざん時間をとらされたあと、「池上の番組の方針で、番組では八幡さんの意見ではなく池上の意見として紹介しますがご了解いただけるでしょうか」といわれたので、断固、『私が言ったことをいっさい使ったりよく似たことを池上に言わせないように』といって電話を切ったことがある。こんなのがジャーナリストのような顔をしているのがおかしい」

 自分の意見を池上氏の意見として放送したいと言われたら断るのは当然だが、この投稿が契機となって、実は自分も似たような経験をしたとの発言が相次いだ。ジャーナリストの有本香氏、財務省OBの高橋洋一氏、元通訳捜査官の板東忠信氏など、言われた言葉は違うが、取材された本人の名前を出すことなく、池上氏の意見として使いたいと言われた、もしくは使われたという点は共通している。

 池上氏は「あってはならないし、あり得ない」と否定しているらしいが(JーCASTニュース)、その後、既に三年前にイスラム学者の池内恵氏(東大准教授)がオリジナルの知見を引用元の明記なしに自説のように使用したと批判していたことや、別のジャーナリストから「他のジャーナリストや記者が取材した内容をそのまま話していることも少なくない。/かつて私か取材して著作した内容について、池上氏から使用の許諾を求められたことがある。/しかし、その場合でも池上氏が情報のクレジット(参照元)を示すことは一度もなかった」(上杉隆『ニュースをネットで読むとバカになる』)と抗議を受けていたことも明らかとなった。

 要するに、「○○さんによれば」「○○という本にはこう書いている」と言えば済む話にもかかわらず、池上氏は他人の取材内容や知見を出所を明示せずに自分の取材や知見のように語ったり書いたりしていたと批判されているわけで、これではジャーナリストとして失格と言わざるを得ないだろう。



一方的な「憲法入門」

 とは言え、問題はそうした池上氏の手法にとどまるものではない。手法はそのまま「内容」の問題ともなる。他人の意見を出所を明らかにせず借用するのであれば、取捨選択のしようによっては、出所が偏った主張であっても、何か客観的な内容として「解説」されてしまう危険があるからである。

 池上氏のテレビ番組を逐一録画・検証する暇はないので、著書を見てみよう。例えば、『池上彰の憲法入門』(筑摩書房)。この本は憲法の「ギモン点を徹底解説」というのが売り文句だが、その冒頭で池上氏はこう「解説」している。

 「憲法とは、そもそもどういうものなのか。ちょっと考えて見ましょう。(中略)憲法は単に『法律の親分』ではないのです。法律は国民ひとりひとりが守るべきものですが、憲法はその国の権力者が守るべきものだからです」「国家権力を制限する憲法にもとづいて政治を行うことを『立憲主義』といいます」と断言し、また、紙面では太字で「憲法は、権力者が勝手なことをしないように、国民がその力をしばるもの」とも強調している。

 憲法のあり方をこう強調するのだから、自民党が平成二十四年にまとめた改正草案のなかで、国民は「憲法を改重しなければならない」とされたのに対して、池上氏は「憲法は、国民が権力者に対して守るように命令するものであるというのが、立憲主義の精神ですから、国民に憲法を守らせるのは本末転倒なのです」と太字で批判している。

 立憲主義についてそうした主張をする論者がいないわけではないが、ごく一部の限られた解釈と言える。憲法は権力を制限する「制限規範」であるとともに、同時に国会に立法権を、内閣に行政権を授けるといった、国家権力が正当に行使されるための「授権規範」でもあるというのが一般的な立憲主義理解と言えるからである。そもそも権力を制限するにしても、その前提として権力が授権されなければ制限しようがないという話でもある。池上氏は、「授権規範」にはまったく触れることなく、一方的に「制限規範」だけを強調し、「憲法入門」の「解説」を始めているわけで、これは偏向解説とI河わざるを得ない。

 ちなみに、自民党案にある国民の憲法尊重義務は、国民主権のもとでは国民が憲法を尊重するのは「理の当然」(『注解日本国憲法』)というのが多数説であり、国民が定めた憲法を権力だけが遵守すべきで国民が守らなくてよいなどいうのはごく少数の主張でしかない。


その「解説」の出所はどこか?


 では、こうした池上氏の偏向はどこから生まれて来たのだろうか。むろん、池上氏がその「解説」の根拠とした出典が明記されているわけではない。ただ、この『憲法入門』には(珍しいことに)巻末に参考文献が三十数冊掲げられている。そのなかには櫻井よしこ氏や百地章氏の著作も含まれており、掲げられた文献からは偏りがあるとまでは言えないが、問題は、こうした参考文献のなかで池上氏が何を取捨選択しているのかにある。

 いま引用した立憲圭義に関して言えば、明示されてはいないが、参考文献にあげられているなかで言えば、池上氏は弁護士の伊藤真氏の主張を採っていることは明白と言える。憲法は「あくまでも国家を制限するために作られたもの」、憲法は権力に守らせるものであり、国民は法律を守ればよい、というのが伊藤真氏の主張だからである。

 一方、参考文献としてあげられている百地章氏の『憲法の常識 常識の憲法』 では「授権規範」と「制限規範」のバランスが重要だとされている。池上氏が「大学生の基本の教科書」と推奨している芦部信喜氏の『憲法』は、「(憲法は)国家権力を制限する基礎法」だとする一方、国家が「国家による社会生活への積極的な介人」を必要とする「社会国家」(福祉国家)に変わりつつある現代においては、「行政権の役割が飛躍的に増大した」と指摘している。つまり今では授権規範としての憲法の役割も重視されねばならないというのである。

 こう見てくると、池上「解説」が一部の論者の主張に基づいていることは明らかと言えるが、パクリ疑惑問題で明らかとなったようにその出所が明らかにされることはないために、池上氏の見解であるかのように、「池上ブランド」として語られていると言える。


語られない「固有の権利」

 こう見てくると、池上氏が様々な見解を踏まえたうえで「解説」しているのではなく、様々な見解のなかから意識的に取捨選択していることは明らかと言えよう。そうだとすれば、池上氏の「解説」なるものが表面的で浅薄というだけでなく、特定の方向へ誘導する、その危険性を感じざるをえない。

 例えば、『憲法入門』 では、九条問題について一章を使って大きく取り上げている。結論としては「憲法第九条と自衛隊の関係は、どうあるべきなのか。/もし変えるのなら、変えるのはどちらでしょうか。憲法九条か、自衛隊か。それとも変えないでいくという選択をするのでしょうか」と改正について中立的な物言いになっているが、内容は明らかに一つの方向を示唆している。

 詳細を紹介する紙数はないので小見出しのなかからキーワードを拾ってみると(括弧内は引用者の補足)、「(「新しい憲法の話」では)「兵隊も軍艦も持たない」と言ったはず」、「当初の政府は『自衛権も放棄』と説明していた』「軍隊ではない「警察予備隊」を作らせた?」「(予備隊は)法律を作らずこっそりと発足した」「(自衛隊は)米軍を補佐する組織」「『戦力』?それとも『実力』?」「防衛費を抑える基準もなくなった」という具合で、憲法解釈が変わって自衛隊が拡大していくことが強調され、一貫して「第九条があるのに、どうして自衛隊」が存在しているのか」という視点で語られていることが分かる。

 その一方、わが国が主権国家である以上、自衛権を「固有の権利」として持っているという点については何も触れていない。例えば、自衛隊についての政府の憲法解釈はただ「自術のための必要最小限度の実力」とだけ紹介され、その前提となっている「わが国が独立国である以上、この規定(九条二項)は、主権国家としての固有の自衛権を否定するものではない」との解釈はネグレクトされてしまっている。

 こんな「解説」をそのまま受け止めれば、「憲法第九条と自衛隊の関係は、どうあるべきなのか」などという池上氏の問題設定の結論は、九条は変えないという結論に行き着くことは目に見えているのではあるまいか。


「天皇」には歴史も伝統もない?

 また、今年八月に出版した『池上彰の「天皇とはなんですか」』では、皇位継承問題について、池上氏はこう書いている。

 「現在の皇室典範は法律ですから、議会で変えることが出来ます。憲法では、皇位は世襲であるという大原則だけが示されていて、具体的な世襲のあり方は、議会が決めた皇室典範に基づくと定めています。皇室典範第一条には……天皇は男性しかなれないと定められている。でも、これは法律ですから、国会で皇室典範を改正すれば、女性天皇も可能になります」

 「第一条には、天皇の地位は『主権の存する日本国民の総意に基く』とあり、第二条には『皇位は、世襲のもの』とあります。/この二点に着目すれば、私たち国民の総意に基づくのであれば、皇室典範を改正して、女性天皇や女系天皇を認めることは、憲法上何ら問題はありません」

 何とも浅薄な「解説」と言える。確かに皇室典範は国会の議決によって改正することは可能と言えるが、しかし、それは憲法が規定する「天皇」や「世襲」が、この憲法によって新たに創設されたかのようにしか理解できないのが池上解説だということでもある。

 「天皇」は歴史と伝統に基づいた名称であり、憲法の規定としても明治憲法から引き継がれたものである。「世襲」も「皇位の世襲」という特殊な性格が踏まえられるべきであり、一般の商家などでいう世襲と同次元であり得ない。むろん、例外的に女性天皇が即位されたことはあっても男系男子による世襲が大原則であり、女系天皇など一例もないというのが「皇位の世襲」の歴史的事実である。しかし、そうした点に池上氏が触れることはない。

 池上氏は、歴史や伝統を抜きにして法律の文字面だけで「天皇」[世襲]を「解説」しているわけで、浅薄極まりない内容というだけでなく、そこには伝統も歴史もない国としてしか日本を捉えていない池上氏の国家観が透けて見えてくる。


日本赤軍は正義の味方?

 池上氏は自身はただ判断材料を提供するだけで「材料を与えたら、国民や視聴者や読者に判断してもらえるだろう」と述べている(ダイヤモンド・オンライン)が、しかし、ここまで見てきたように池上氏が提供する「材料」は一方的であり、欠くべからざる重要事項が抜け落ちているわけで、池上「解説」には、明示されているわけではないけれども、左翼的偏向があると言わざるをえない。

 池上氏はNHK記者の頃、出演者(お父さん役)としてだけではなく、企画にも関わったという「週刊こどもニュース」で有名になった。池上氏のいわば原点とも言うべき番組なのだが、その「週刊こどもニュース」を政治的偏向だと指摘していたのが中村 粲(あきら)濁協大学教授(名誉教授)だった。むろん、今から放映された内容を掘り起こすことは無理だが、有り難いことに中村教授は「NHKウオッチング」(『正論』で長期連載)で、いくつかその実例をビデオテープから起こして紹介してくれている。

 例えば、「日本赤軍ってナーニ」という質問のあった回「平成十二年十二月二十三日)で、池上氏はロシア革命を起こしたソ連は「赤軍の力でそれまでの政治をひっくり返して国を作った。日本でもその赤軍のように政治のやり方をひっくり返そうとするグループが生まれた」、それが日本赤軍だと「解説」し、そのうえで彼らが「ひっくり返そう」と考えた理由を池上氏はこう「解説」している。

 「その頃の日本には貧しい人達がいたから、その人たちを何とかしなければいけない、今の世の中を変えなければならないという人たちが沢山いて、その中には武器を使っても変えてしまおうという人たちが出てきて、その中の一つのグループが赤軍って名乗ったんですよ」と。

 さらに「国内では活動がうまくいかないので海外へ出て行こうと、赤軍は中東に行ってパレスチナの味方をしようとしたが、赤軍というグループが沢山いたので『日本赤軍』と名乗ってレバノンで活動を始めた。各地で飛行機を乗っ取ったり、大使館を襲ったり、さまざまなことをしたんですね」と言って「質問カイケツ」で終わる(『正論』平成十三年四月号から引用。仮名遣いは引用者が変更)。

 日本赤軍は腐敗社会を立て直そうとして正義の戦士のように美化する一方、日本赤車の凶悪犯罪については国内で起こしたリンチ殺人事件は「国内では活動がうまくいかない」とごまかされ、テルアビブ空港での銃乱射事件は「さまざまなこと」で片付けられてしまう。これがNHKという公共放送で子供向けに放送されていたというのだから、その偏向ぶりには驚く他ない。

 こんな「解説」が池上氏の原点だとすれば、今はただ巧妙になっただけで、やはり考え方には左翼的尻尾が残っていると言わざるをえないだろう。

    *     *
 独立国の「固有の自衛権」を語らずに自衛隊と憲法の関係を語り、伝統や歴史を踏まえることなく「天皇」「世襲」を語る「解説」。それを有り難かってブランド化しているメディア。池上「解説」はまさに今日の言論状況の実に残念な姿を写していると言える。

<引用終り>


  1. 思想
  2. TB(1)
  3. CM(6)

コメント

 池上彰等所謂パヨクには現実の政治も民主主義の意味も理解できないのでしょうね。

 大分前ですが面白い記事を拾いました。

 https://globe.asahi.com/article/11530020

 結構な長文なので申し訳ないのですが、これを読んで思ったのです。
 
 彼等は民主主義の政治とは自分達が、政府に対して好き放題批判するための制度としてしか理解していないのです。

 民主主義の政治はそれで国家や政府を運営するための物ですから、自分の意見に反する事でも一旦決まった事には従うべきなのですが、それが全然わかっていないのです。

 そもそも政治その物がわかっていないのです。

 こういう感覚であるなら、彼等の憲法反対やモリカケのバカ騒ぎもわかります。

 因みにこの池上の「憲法は法の法」論だとヘイトスピーチ規制や差別禁止法などは絶対に憲法違反です。

 だってこれらは権力が法を使って個人を縛る物です。
 しかし憲法のどこを探しても、法の下の平等以外の平等は規定していないのですから。

 一方言論の自由は絶対的に保障されているのですから。

 

 
  1. 2019-01-17 10:19
  2. URL
  3. よもぎねこ #-
  4. 編集

To:よもぎねこ さん

>  池上彰等所謂パヨクには現実の政治も民主主義の意味も理解できないのでしょうね。
>
>  大分前ですが面白い記事を拾いました。
>
>  https://globe.asahi.com/article/11530020
>
>  結構な長文なので申し訳ないのですが、これを読んで思ったのです。
>  
>  彼等は民主主義の政治とは自分達が、政府に対して好き放題批判するための制度としてしか理解していないのです。
>
>  民主主義の政治はそれで国家や政府を運営するための物ですから、自分の意見に反する事でも一旦決まった事には従うべきなのですが、それが全然わかっていないのです。
>
>  そもそも政治その物がわかっていないのです。
>
>  こういう感覚であるなら、彼等の憲法反対やモリカケのバカ騒ぎもわかります。
>
>  因みにこの池上の「憲法は法の法」論だとヘイトスピーチ規制や差別禁止法などは絶対に憲法違反です。
>
>  だってこれらは権力が法を使って個人を縛る物です。
>  しかし憲法のどこを探しても、法の下の平等以外の平等は規定していないのですから。
>
>  一方言論の自由は絶対的に保障されているのですから。





面白い情報有難う御座います。
まあ、池上などの左翼脳は多分仕事が無くなって食い詰めるまで分からないでしょう。
死・ぬまで分からないとはこんな連中ですね。

所で
>政府に対して好き放題批判
これこそフランクフルト学派の批判理論。共産主義はソ連崩壊で失敗したと分かりましたが、フランクフルト学派はその後も地下に潜りました。
特に厄介なのが、戦後のGHQ支配(OSS支配)です。ここで批判理論を日本解体の手段として徹底的に植え付けられました。
未だにその根が残っています。
特に問題なのが戦後の公職追放で官公庁・学校から保守的な人がパージされ、その隙間に左翼連中が大挙して入り込みました。

今年は改元の年。
心機一転、左翼をパージし、新しい時代を次世代に残したいと思います。

  1. 2019-01-17 14:13
  2. URL
  3. 短足おじさん二世 #-
  4. 編集

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
  1. 2019-01-19 15:53
  2. #
  3. 編集

Re: 誤字があります

> 中村粲氏の経歴で獨協大学の獨の字が濁になっています。
> 本文についてはのちほど。



ご教示有難うございます。
早速訂正しました。
  1. 2019-01-19 16:30
  2. URL
  3. 短足おじさん二世 #-
  4. 編集

自由と平等

こんにちは、
たぶん、左翼的な考え方をする人の理想は、自由で平等な社会だと思います。
そんな人に理解してほしい事は、自由で平等な社会は無理であるという事です。
なぜなら、自由な競争の結果は平等ではない、という事です。
また、結果を平等にすれば、誰も真面目に働かない。
では、どうしたらよいか、
自由を少し規制して、納得できる範囲での格差に収める事が大事だと思います。
規制とは、本来 弱者を守る為にあるわけで、
最近の、規制改革は、規制強化、規制撤廃の、どちらになるか気になっています。

名前を入れ忘れたので、再投稿します。
すいません、前のは、消して欲しいです。
  1. 2019-01-20 18:21
  2. URL
  3. 指圧屋 #-
  4. 編集

Re: 自由と平等

> こんにちは、
> たぶん、左翼的な考え方をする人の理想は、自由で平等な社会だと思います。
> そんな人に理解してほしい事は、自由で平等な社会は無理であるという事です。
> なぜなら、自由な競争の結果は平等ではない、という事です。
> また、結果を平等にすれば、誰も真面目に働かない。
> では、どうしたらよいか、
> 自由を少し規制して、納得できる範囲での格差に収める事が大事だと思います。
> 規制とは、本来 弱者を守る為にあるわけで、
> 最近の、規制改革は、規制強化、規制撤廃の、どちらになるか気になっています。
>
> 名前を入れ忘れたので、再投稿します。
> すいません、前のは、消して欲しいです。



了解しました。前のモノは消去しました。
自由と平等が両立しない概念であるのは同感です。
この件は後日もう一度取り上げます。
  1. 2019-01-20 19:02
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  3. 短足おじさん二世 #-
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パブリックコメント締切迫る  外国人労働者受入拡大事案

パブリックコメント中の事案が2件あるので紹介させていただく。 ||||| ここから引用開始 ||||||||||||||||||||||||||||||||||| ■出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令案概要等に係る意見公募手続の実施について http://search.e-gov.go.jp/servl...
  1. 2019-01-19 05:43
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