プレスコードと呼ばれるその言論規制は講和条約発効(1952年)で失効したはずですが、それが66年たった今でも生きている。そんな事を考えてみたい。
プレスコードの規制30項目は本文末に記載してあります。
最初に以下の記事。
<以下引用>
2018.6.2 05:04
【産経抄】
6月2日
「こんなにやつきになつて罵詈(ばり)雑言を浴びせかけなくてもよささうなもの」。劇作家で評論家の福田恆存さんは昭和30年に発表した論文『輿論(よろん)を強ひる新聞』で、当時の新聞による吉田茂首相糾弾をいぶかっている。「どの新聞もどの新聞も、まるで相談したやうに反吉田になつてゐる」。
▼1年間の海外旅行から帰国した福田さんが、日本の新聞から受けた印象は「正常ではない」だった。「吉田内閣が末期的なのではなくて、その攻撃の仕方が末期的」「一度、反吉田の線をだした以上、どうしても辞めてもらはなければ、ひつこみがつかない」。
▼63年も前の論文を引っ張ってきたのは、5月31日付朝日新聞の2本の社説からの連想である。タイトルは「麻生財務相 もはや辞めるしかない」「党首討論 安倍論法もうんざりだ」だった。吉田元首相の孫である麻生太郎氏に、即時辞任を迫っていた。
▼朝日がいう安倍論法とは「質問に正面から答えず、一方的に自説を述べる。論点をすり替え、時間を空費させる」ことだそうだ。残念ながら、いったん攻撃を始めるとエスカレートしていく新聞の体質は、現在も改まっていない。
▼もっともインターネット上では、朝日の社説は自己紹介だと皮肉られもしている。吉田元首相の時代と違うのは、ネットの普及によってマスコミの報道や論調が相対化され、即座に反論や批判を受けることである。
▼マスコミ同士、業界内部での相互批判が増えたのも健全なことだろう。元読売新聞ベルリン特派員の木佐芳男さんは新著『「反日」という病』で、朝日のあり方についてこう分析している。「自己愛がふくれあがり、対日本、対日本人との関係でいちじるしく摩擦を起こしている」。すとんと腑(ふ)に落ちた。
<引用ここまで>
もう一つ、同じ産経の阿比留さんがこんな事を自身のFBに書いている。上掲産経抄を補足するものとして引用します。
<以下阿比留さんのFBより>
Rui Abiru
Yesterday at 9:06am ·
「新聞がいふやうに、一般の国民が吉田首相から離れてしまつてゐるとは、私にはたうてい信じられませんでした。『国民に飽かれ憎まれている吉田』は、事実の報道ではなくて、新聞のーーここではいちおうさういつておきますーー願望にすぎないものではなかつたか。それを既成事実のやうに、くりかへしくりかへし唱へつづけることによつて、さういふ雰囲気を醸成しようといふわけです。いはば吉田首相と国民との関係を断ちきらうとする離間策にほかなりません」(福田恒存『輿論を強ひる新聞』より)
<引用ここまで>
この福田恒存さんの論稿は昭和30年の記事だが、吉田茂内閣は昭和29年(1954年)12月7日に総辞職しているので福田恒存氏の言っていることは昭和29年の事。この年は造船疑獄で指揮権発動が有ったり、保安庁と保安隊が防衛庁と自衛隊に改組されたりといった時代だった。
こんな古い話を持ち出したのは、産経抄にあるこの文言『63年も前の論文を引っ張ってきたのは、5月31日付朝日新聞の2本の社説からの連想である』、つまりそんな頃の思想がいまだにマスメディアの中に蔓延しているという事である。
その原因を産経抄は『自己愛がふくれあがり、対日本、対日本人との関係でいちじるしく摩擦を起こしている』、こう締めくくっているが、私はこれこそプレスコードが現在も生きている証拠と見たい。
GHQによる言論弾圧は空前の焚書を行うことでも分かるが、およそ文明人のやることでは無い。その言論弾圧が今も生きている証拠に2016年にアメリカバイデン副大統領(当時)がこんな事を言っているのでも分かる。
『ジョー・バイデン米国副大統領「我々が日本の憲法を書いた」』
2016/08/16 に公開
【ワシントン時事】バイデン米副大統領は15日、ペンシルベニア州スクラントンで米大統領選の民主党候補ヒラリー・クリントン前国務長官(68)の応援演説を行い、「私たちが(日本が)核保有国になり得ないとうたった日本の憲法を書いた」と発言した。
参考ブログ
この動画を見ると涙が出ます。敗戦から73年、独立回復から66年もたっても自国の憲法をアメリカに「俺たちが書いて与えたものだ」と言われる不甲斐なさ・・・。
しかもその憲法を固守しようとする9条狂徒(教徒)が未だに居ることの情けなさ。
動画でバイデンの回りにいる連中(ヒラリーとその周囲)の表情を見ると意外でも何でもない、そうだそうだという感じにしか見えない情けなさ・・・。嗚呼!
話は変わりますが、焚書については以下エントリー参照ください。
GHQが作った歴史の空白、焚書の話 2016-11-19
この中で西尾幹二先生の言葉として、
「これは米占領軍が、自分たちに都合の悪い書物を日本国民の目から隠すため、戦前・戦中に日本で刊行された七千七百点(7769点)(数百万冊)もの本を廃棄させ、パルプにしてしまった、非文明的な行為のことです」と仰っています。まさにその通りだと思います。
焚書の事例から現代へ 2016-11-20
この焚書の事例などから分かるように、GHQの統治は間接統治で、実際に手を汚して仕事をしたのは日本人だという事、これが重要なポイントです。
そしてその基本的な思想はアメリカの支配階級(エスタブリッシュメント)の考えていることだという事です。
このアメリカ支配階級の走狗となったのが当時の新聞・ラジオ(今はテレビ)・通信社などのメディア。そこでメディアはGHQが無くなっても『アメリカ様に忖度して』未だにプレスコードの規制を守ろうとしている訳です。
上掲wikiのプレスコードには、江藤淳のこんな見解が書かれている。
『江藤淳はGHQによる言論統制についての著書『閉ざされた言語空間』のなかで次のように指摘している。
【検閲を受け、それを秘匿するという行為を重ねているうちに、被検閲者は次第にこの網の目にからみとられ、自ら新しいタブーを受容し、「邪悪」な日本の「共同体」を成立させて来た伝統的な価値体系を破壊すべき「新たな危険の源泉」に変質させられていく。この自己破壊による新しいタブーの自己増殖という相互作用は、戦後日本の言語空間のなかで、おそらく依然として現在もなおつづけられているのである。】』
まだまだ長く苦しい戦いは続きますね。でも負けられません。
* 最後にプレスコードの全30項目は以下の通りです。
1、SCAP(連合国軍最高司令官もしくは総司令部)に対する批判
2、極東国際軍事裁判批判
3、GHQが日本国憲法を起草したことの言及と成立での役割の批判《修正:2018年4月26日、
江藤氏原訳「GHQが日本国憲法を起草したことに対する批判」を英文原文に従い修正。
修正根拠は記載のアメリカ国立公文書館の典拠文書の記述に拠る。(細谷清)》
4、検閲制度への言及
5、アメリカ合衆国への批判
6、ロシア(ソ連邦)への批判
7、英国への批判
8、朝鮮人への批判
9、中国への批判
10、その他の連合国への批判
11、連合国一般への批判(国を特定しなくとも)
12、満州における日本人取り扱いについての批判
13、連合国の戦前の政策に対する批判
14、第三次世界大戦への言及
15、冷戦に関する言及
16、戦争擁護の宣伝
17、神国日本の宣伝
18、軍国主義の宣伝
19、ナショナリズムの宣伝
20、大東亜共栄圏の宣伝
21、その他の宣伝
22、戦争犯罪人の正当化および擁護
23、占領軍兵士と日本女性との交渉
24、闇市の状況
25、占領軍軍隊に対する批判
26、飢餓の誇張
27、暴力と不穏の行動の煽動
28、虚偽の報道
29、GHQまたは地方軍政部に対する不適切な言及
30、解禁されていない報道の公表