2017-07-22 17:47

排ガス問題は日本でも調べている

 先回、ダイムラーの排ガス不正問題をエントリーした。
2017-07-17  ダイムラー、100万台以上で排ガス不正の疑い=南ドイツ新聞
http://tansoku159.blog.fc2.com/blog-entry-1416.html

この話は台数が100万台から300万台になったり、日本はリコール対象外だったり、いや矢っ張りリコールするとなったりで訳が分からない。

そうなると、では日本は大丈夫かと心配になるが、この件に関しては日本の官僚はしっかりしているようで、ちゃんと確認していることが分かった。
尚この事は裏の桜さんも同様で、「日本はちゃんとやっている筈だが」という事をエントリーされている。
http://sakuraura.blog.fc2.com/blog-entry-4318.html


では最初にダイムラー(車名:メルセデス・ベンツ)の日本でのリコールの話から。

<以下引用>
2017.7.22 11:07
ベンツが説明一転、日本でもリコール 対象車種などは不明

 メルセデス・ベンツ日本(東京)は21日、親会社のドイツ自動車大手ダイムラーが実施する高級車「メルセデス・ベンツ」のディーゼルエンジン車のリコール(回収・無償修理)について、日本に輸入された車も対象となると明らかにした。これまでは欧州での販売車と仕様が異なるため、リコールの対象外と説明していたが、本社からの通知で説明を一転した。

 ベンツ日本は「本社から欧州と同様の対応を取ると説明を受けた」と表明。リコールの開始時期や対象車種についての情報はなく「詳細が判明次第、適切に情報提供していく」と説明している。ベンツ日本は、主力の「Eクラス」をはじめ日本でディーゼル車14車種を展開しており、平成28年に販売した6万7千台のうち約2割をディーゼル車が占めている。

 ダイムラーは18日、欧州で販売した300万台のリコール実施を発表した。排ガス規制逃れのための違法ソフトウエアを搭載している疑いが浮上し、ドイツ当局が調査に着手している。不正の有無は明らかにしていない。
<引用終り>


さてでは日本はどうかというと、国土交通省からこんな報告書が出ている。
排出ガス不正事案を受けたディーゼル乗用車等検査方法見直し検討会
(中間とりまとめ)
http://www.mlit.go.jp/common/001129370.pdf
2017-7-22排ガス問題報告書1 

排出ガス路上走行試験等結果取りまとめ
http://www.mlit.go.jp/common/001121838.pdf
2017-7-22排ガス問題報告書2 

ここにこんなグラフがある
2017-7-22排ガス問題報告書3 

日本の官僚はこんな所はしっかりしている。VWの不正が明るみに出たのは2015年9月。直後の10月には「日本は大丈夫か」と検証チームを作り、国産車6台・外国車2台を選んで走行テストを行っている。上掲リポートはその中間報告。

中間報告ではあるが、調査した国産車6台、外国車2台ではVWのような不正は見つからなかったと書いてある。
上掲グラフはその国産車6台の排ガスのうちNOxのデータ。赤線が規制値なので各車とも規制値をクリヤー(*印はドライバーを変えてクリヤー)しているが、これはあくまで台上試験での話。ディーゼルの場合、実際の路上走行では外気温や渋滞などで大きく数値が変わることは分かっており、ある程度は許容されている。このグラフは規制値を飛び出した部分が多いが、この程度は各社とも申告済である。
(注:この現実の路上でのエミッションについてはRDE(Real Driving Emission)と言って、いま世界の自動車メーカーの課題だが、確立されていない)

上掲グラフはこの問題の難しさが良く分かる。例えばランクル・プラドの場合、同じところの往路と復路でまったく違うデータになっているが、これは外気温が下がったことと渋滞でのノロノロ運転が理由らしい。こんな時EGR(排ガス再循環装置)を止め、SCRへの尿素水噴射も止めたりするので、NOxは急増するとの事。難しいですね。

特に外気温の影響は大きく、外気温が10度を下回るとEGRを止めたり、尿素水噴射を止めたりするので、NOxは急増する。上掲報告書には東京の1年間の外気温の変化のグラフが添付されている。

2017-7-22排ガス問題報告書4 

例えば外気温10度未満が問題となれば、東京の場合でも1年の約1/4がそんな時期。難しい問題だと思います。また欧州はもっと寒いのでさらに深刻と言えますね。

尚上掲中間報告書はVW問題から測定方法や問題点など非常に詳しく、大変興味深いです。
また紹介したグラフには外国車2台がデータがありませんが、クルマはベンツとBMWです。どうして外したのか分かりませんが、何かの忖度(???)でしょうかね。
  1. 自動車
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コメント

一緒くたにしてもらいたくない

こんにちは。

拙ブログの紹介ありがとうございます。

このディーゼルの排ガスの話は「二律背反」の話なんですよね。それをまずは踏まえて考えたり、話したりしないと・・短足様には釈迦に説法でありますが・・本当にややこしくなります。そして、VWと言いましょうか、ドイツの自動車メーカーと言いましょうか、欧州の自動車産業とその政策と言いましょうか、の「ヘンテコリン」なことと、真摯に次世代ディーゼルエンジン開発に取り組んでいる、他の自動車メーカーと一緒くたにしてもらいたくない、と本当に思いますね。


しかし、添付された表を見ますと、マツダの方式のエンジンは、やはり際立っていますね。このマツダの努力を知りますと、ディーゼルエンジンもまだまだ「伸びしろがある」「クリーンディーゼルは本当に可能だ」と思えるんですけどね。
  1. 2017-07-22 18:55
  2. URL
  3. 裏の桜 #-
  4. 編集

Re: 一緒くたにしてもらいたくない

> こんにちは。
>
> 拙ブログの紹介ありがとうございます。
>
> このディーゼルの排ガスの話は「二律背反」の話なんですよね。それをまずは踏まえて考えたり、話したりしないと・・短足様には釈迦に説法でありますが・・本当にややこしくなります。そして、VWと言いましょうか、ドイツの自動車メーカーと言いましょうか、欧州の自動車産業とその政策と言いましょうか、の「ヘンテコリン」なことと、真摯に次世代ディーゼルエンジン開発に取り組んでいる、他の自動車メーカーと一緒くたにしてもらいたくない、と本当に思いますね。
>
>
> しかし、添付された表を見ますと、マツダの方式のエンジンは、やはり際立っていますね。このマツダの努力を知りますと、ディーゼルエンジンもまだまだ「伸びしろがある」「クリーンディーゼルは本当に可能だ」と思えるんですけどね。



私が今考えていることをズバリ指摘していただきました。ドイツt日本にはこの分野では基礎技術に大きな差が有るんです。その基礎技術はすそ野も広い。
だからVWの不正問題を受けてすぐにチームを立ち上げ、関連調査を始めた。この基礎技術は官僚にも広がっていまして、官僚がそんなことをr買いして政策に反映させようとしているんですね。
こんなことを近いうちに書いてみようと思っています。各ネタの一つが50年・51年・53年排ガス規制に関する話・・・古いですね(笑)、でも日本とドイツで圧倒的な差が付いた出来事だったので、当時を多少なりとも知った人間には書くべき義務・・・。

それにしてもマツダの技術は実に素晴らしいですね。そしてその裏に見えるのはディーゼル技術に関するデンソーの執念でしょう。
何せ世界初のコモンレールを開発し、実用化してきたのに、どうしても越えられない排ガス問題の壁。そして一旦は国内展開をあきらめたんですが、ドイツ勢にそのスキを突かれてクリーンディーゼルなるマヤカシを世界に広めてしまった。その悔しさから出てきたのがスカイアクティブ、そんな気がします。
  1. 2017-07-23 06:44
  2. URL
  3. 短足おじさん二世 #-
  4. 編集

なんでドイツの技術者はあそこまで堕落したんでしょうかね。
正直それが信じられませんね。

この手の隘路は技術で突破するしかないのに…
コモンレールの魔術に引っかかったんでしょうかね。結局いこの道ではどうやってもダメなようですね。PM2.5は克服できたように見えてもHCの総量は変わらずPM0.1に化けただけらしいし、NOx自体は尿素触媒に頼らざる得ない、ところがこれが能力不足、こんなことは相当前から見通せたはずなのに…

とにかくこうなったら燃焼自体を変えなければいけないんでしょう。
釈迦に説法でしょうが小生はこの状態でCVCCエンジンを思い出します。突破不可能と言われたマスキー法をクリアしたのは技術の力だったはずです。確かあのアイデア自体も完全なオリジナルではなくロシアかどこかの燃焼改善実験を基にしたものと聞いたことがあります。CVCC自体はもう主流ではありませんが燃焼自体の改善というアプローチ自体は間違っていなかったはずです。

マツダは来年本気でHCCIを出すそうですね。こいつを次にスカイアクティブに搭載するとかの話ですね。コモンレール自体は現行のディーゼルの改良にすぎません。しかしHCCIができれば事態は完全に変わるはずです。現行よりも数割の燃費改善が可能であり理論上は廃棄物の大幅削減が可能なはずです。

当初はその動作範囲は限定されたものでしょうが、シリーズハイブリットのメインエンジンあたりには使えるはずです。もし可変圧縮比エンジン(VRC)と組み合わせることができれば大幅な改良が可能かもしれません。日本として技術何たらを目指すならばこのあたりにトライしなければいけません。

下らぬ手合いを相手にしてる暇はないのだと思います。
  1. 2017-07-24 21:36
  2. URL
  3. kazk #cPv2SIBE
  4. 編集

話の技術的レベルが高くてついていけません。(笑)
とにかく、マツダのディーゼルエンジン、スカイアクティブの技術力が素晴らしいということはわかりましたが、それにしてはマツダの株価が上昇していません。売り上げに占めるスカイアクティブの比率が低いのか、まだ技術力が売上に反映されていないのか。
一方、フォルクスワーゲンの株価は2015年に急落後、安定推移しているようにみえます。もっと下がってもいいのにという感覚ですが、欧州の投資家は甘いのでしょうか。
https://www.bloomberg.co.jp/quote/VOW:GR

  1. 2017-07-25 17:26
  2. URL
  3. NINJA300 #/xzFVZWc
  4. 編集

To:kazk さん

> なんでドイツの技術者はあそこまで堕落したんでしょうかね。
> 正直それが信じられませんね。
>
> この手の隘路は技術で突破するしかないのに…
> コモンレールの魔術に引っかかったんでしょうかね。結局いこの道ではどうやってもダメなようですね。PM2.5は克服できたように見えてもHCの総量は変わらずPM0.1に化けただけらしいし、NOx自体は尿素触媒に頼らざる得ない、ところがこれが能力不足、こんなことは相当前から見通せたはずなのに…
>
> とにかくこうなったら燃焼自体を変えなければいけないんでしょう。
> 釈迦に説法でしょうが小生はこの状態でCVCCエンジンを思い出します。突破不可能と言われたマスキー法をクリアしたのは技術の力だったはずです。確かあのアイデア自体も完全なオリジナルではなくロシアかどこかの燃焼改善実験を基にしたものと聞いたことがあります。CVCC自体はもう主流ではありませんが燃焼自体の改善というアプローチ自体は間違っていなかったはずです。
>
> マツダは来年本気でHCCIを出すそうですね。こいつを次にスカイアクティブに搭載するとかの話ですね。コモンレール自体は現行のディーゼルの改良にすぎません。しかしHCCIができれば事態は完全に変わるはずです。現行よりも数割の燃費改善が可能であり理論上は廃棄物の大幅削減が可能なはずです。
>
> 当初はその動作範囲は限定されたものでしょうが、シリーズハイブリットのメインエンジンあたりには使えるはずです。もし可変圧縮比エンジン(VRC)と組み合わせることができれば大幅な改良が可能かもしれません。日本として技術何たらを目指すならばこのあたりにトライしなければいけません。
>
> 下らぬ手合いを相手にしてる暇はないのだと思います。



> なんでドイツの技術者は・・・
この話は難問です。いろんな切り口があり、歴史的に見ても一筋縄ではいきません。
しかし重要なポイントは30年戦争辺りではないかと見ています。日本では江戸時代初期、将軍家光の頃ですが、ドイツは人口が三分の一に激減した、こんな事を体験すれば人間の性格が変わるのも無理ではない。そう思っています。

それから尿素水によるSCR技術は所詮マヤカシです。ドイツは寒い国ですが本当の極端な寒冷地ではない。だから独ソ戦で冬将軍に負けたのです。そんな気候風土ならマヤカシも何とかなるかも知れませんが、それでもダメでしょう。
HCCI(予混合圧縮着火)はハイブリッドと組み合わせるのが多分ベスト。ディーゼルが定格で回すのがベストなのと似たようなものと思います。

日本は技術立国を目指すべき、これはまったく同感ですが最大の問題は教育。でも文科省の改革が進みそうですから期待していいように思っています。
  1. 2017-07-26 07:08
  2. URL
  3. 短足おじさん二世 #-
  4. 編集

To:NINJA300 さん

> 話の技術的レベルが高くてついていけません。(笑)
> とにかく、マツダのディーゼルエンジン、スカイアクティブの技術力が素晴らしいということはわかりましたが、それにしてはマツダの株価が上昇していません。売り上げに占めるスカイアクティブの比率が低いのか、まだ技術力が売上に反映されていないのか。
> 一方、フォルクスワーゲンの株価は2015年に急落後、安定推移しているようにみえます。もっと下がってもいいのにという感覚ですが、欧州の投資家は甘いのでしょうか。
> https://www.bloomberg.co.jp/quote/VOW:GR



マツダの株価については、私は株は分からないので何とも言えません。
でも株は美人コンテストだそうで、私は美人を見る目もない、美人に目がない・・・つまり単なるタルン(タイ語です、英語はLechかな)ですね(笑)。

所でVWの株価チャート、有難う御座います。
株価はともかくブルームバーグの関連記事が実に面白い。そしてドイツのカーメーカーは談合しているとの報道。これは私にはなるほどと納得するものが有ります。恐らく最初はソ連崩壊を受けてのモノ。そこへクリントン政権の日独敵視政策が絡む。
そして談合は排ガス問題やらEU官僚対策、マスコミ対策など色々ある筈ですが、ここには間違いなく「日本対策」がある筈です。
ドイツに関しては色々不可解なことがありましたが、どうやらこれが一本に繋がってきたようです。
この件は別途エントリーします。
  1. 2017-07-26 09:21
  2. URL
  3. 短足おじさん二世 #-
  4. 編集

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