2017-06-24 15:45

ロボット時代の工場と働き方

 年々進化するロボット技術、日経がアメリカの自動車産業のロボットが増加の一途をたどっており、生産の伸びに雇用が追い付いていないことが問題と論じている。
この記事は大変面白いものの私には違和感もある。単に雇用問題というより「ヒトの働き方」に対する問題提起であり、さらに教育にも関係する問題だと思えるからなのだ。

最初にその日経記事、その言わんとすることをかいつまんでみてみたい。全文は下記リンク先参照ください。

【ロボット 自動車の町が直視しない「不都合な真実」】 
2017/6/19 2:00

 米自動車産業の雇用がなかなか改善しない。多くの研究者が原因としてあげるのは、ロボットによる急速な生産効率化だ・・・という書き出しで始まり、ロボットとの共生は可能かをレポートとの記事。
主な内容は
・急増するロボット、6年前の7割増
・しかし労働者の受け止め方は、雇用に対する敵はロボットより自由貿易
・AIの進化で、今回の自動化は別次元

こんなことで、この記事、AIと共存できる人材の育成を進められるか。自動化で先行してきた米自動車メーカーが直面する課題、それは全ての産業にあてはまるといった問題提起したもののその先がなかなか見えてこない。こんな記事を書いた日経の中西豊紀記者さんは何が言いたかったのだろう。

そして最後にこんな図が
2017-6-21ロボット問題まとめ 

だが中西記者さんにはお気の毒ながら、これは結論が出ている。
若し機械と戦うなら・・・最後はラッダイト運動になる。機械の打ち壊しだ。

ラッダイト運動
2017-6-21ラッダイト運動 


ではロボットとヒトはどういう関係になるのか。
・ ヒトがロボットを作る
・ ヒトがロボットを使い、メンテナンスをする⇒これが重要
・ ヒトがロボットを改良進化させ、最後は廃棄する
要するに、人間が機械を、ロボットを使うのである。

私はこの状態を、「現代の生産ラインは保全マンがモノを作るんだ」、こんな言い方をしていました。言うは易くですが、これを実地で行うにはとんでもない努力が要ります。保全マンには毎日の勉強と訓練が欠かせません。
特に現代の保全マンは例えば溶接ロボットのメンテのためには「手作業で溶接がきちんとできるだけの溶接スキルが必要」、こんな事が言えます。難しいですね。


さてそれでは私が一番違和感を感じるのは、本文中に有ったこんなグラフ。

2017-6-21ロボット問題 

このグラフは、付加価値額の伸びに対し雇用者数が頭打ち、こう言いたいためのグラフだ。

しかし考えて欲しい。もし付加価値額の伸びと同じ割合で雇用者数も伸びていたら・・・
この会社は何の改善もせず、仕事量の増には「人海戦術で対応」していると解釈される。現在の厳しい産業でこれは致命傷と言って良い。いくらアメリカの経営がのんびりしていても、今時こんな事はしていないはずだ。
特にアメリカの自動車メーカーは日本との競争の過程で日本式の生産方式を学んでいる。GMならトヨタとの合弁会社NUMMI(今は提携解消されたが)、フォードはマツダとの提携でしっかり学んでいるはずだ。更にトヨタ生産方式はMITでリーン生産方式と名づけられて普及されている。この件はGEでのリーン生産方式について以下ブログで紹介しました。
日本は孤立国では無かった

この記事を見るとアメリカの生産方式も相当部分日本式を取り入れ、量が増えても自動化などで簡単には人を増やさなくてもやっていける。そんな実態が有るのだと思う。
そして新聞記者さんは勉強不足なので、こんな産業の体質の変化が分からないのだ。


所で冒頭書いたこの件が従業員の教育問題に関係するという話、こんな例で考えてみたい。

例えばある「溶接工程」を考えてみる。
従来⇒溶接工は与えられた部分の溶接をするだけ、量が増えれば残業なり人員増加で対応する。勿論教育も必要だが、担当溶接工程だけ。
要点は・・・言われたことをやるだけ、いわば奴隷労働である

ロボット導入後⇒仲間の溶接工の一人は溶接ロボットのメンテナンスで残ったが、部品の清浄度とかシールドガスの管理だとか、それなりに大変らしい。俺たちは新しい切削加工工程を担当。当然新しい工程をイチから覚えねばいけない、とても大変だ。しかし俺たちの仕事は良い車を作ってお客様の期待に応える、その為にこの工程はこんな風にやってゆく。こんな考え方で取り組んでいる。当然ながらCS(customer satisfaction, 顧客満足度)などというものを勉強していかねばいけない。品質管理だの6σ(6シグマ)だのと面倒だなあ・・・。
恐らくこんな事が工場では起こっているだろう。それに耐えて雇用は守られている、こんな発言になっていると思う。
実は最近ナショジオ(ナショナル ジオグラフィック:National Geographic ドキュメンタリー専門のテレビチャンネル)を見ているとこんな番組がしょっちゅう放映されている。ヒトの意識が変わってきた、その一つの現れなのだと思う。
そして要点は
仕事に目的をもって取り組んでいる。仕事の目的が会社の方向と合致している。労働の尊厳というものが有る仕事と言える。

こんな事が言えると思う。

一寸ネガティブな事例を考えたい。エアバッグのトラブルを抱える「タカタ」である。私は問題点を報道で知るだけなのだが、知らない会社でもないので問題が一刻も早く解決してほしいと願っていた。だが民事再生法の適用を申請せねばいけない所まで追い込まれた、残念である。
タカタの製品のうち、メキシコ工場製だけが問題を起こした、しかも原因が良くわからないのだという。率直な感想はメキシコの罠に嵌ったなあ、こんな感想だ。残念ながらメキシコは民度から見てもモノづくりに不向きな国柄。例えばこんな事例がある。
VWのディーラーで日本に輸入されるVWの整備をされていた整備士の方から昨年暮れに聞いた話。日本に入ってくるVWはモデルごとに生産国が分かるのだが、最悪の品質がメキシコ工場製のクルマ。酷いものでは4枚のドアの取り付けボルトが全部ガタガタに緩んでいたこともあったと言っていた。
まあこんなクルマが工場の門を出られる体質の国がメキシコ、そう理解してよいと思う。


こんな体質の所に日本式の物作りなど定着させるのは大変である。私はそんな時、全人格で勝負だぞ、一挙手一投足まで教え込むくらいの覚悟でかからないと教えきれない。そんな事を言ってきました。しかし言うのは簡単ですが実際は並大抵ではない。これからの日本人の課題ですね。

  1. 自動車
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  3. CM(6)

コメント

自衛隊の海外の反応が泣ける【イラク派遣秘話】
https://www.youtube.com/watch?v=E2ooCHQ4YKY

※自衛隊のみでなく短足おじさん二世さん御自身を含む日本の民間人の真摯な姿勢に現地の人々もしだいに変わっていくのでしょうね。

肉体労働の雇用がロボットに奪われてしまう事より、頭脳労働の雇用がAIに奪われる方が早いという人もいます。
NHK Eテレのモーガン・フリーマンの「時空を超えて」で「脳のハッキング」というのをやっていました。究極の個人情報である心を他人に覗き見されてしまったり、思考を書き換えられる危険が有りますが、外部から能力を極度に発揮できる様に調整したり、手足を動かせない人が脳からの指令を機械を動かしたりと夢のような話も提示していました。
私は以前にもお話ししましたが、人間はロボットやAIを道具ではなく、自分の頭脳や肉体の延長の様に感じる様になるのではないでしょうか?
  1. 2017-06-25 12:33
  2. URL
  3. taigen #-
  4. 編集

https://twitter.com/jazznack/status/878852233244299264
jazznack‏ @jazznack
"躾"という字は、国字(日本人の作った文字)のはずですから、この字を見て支那人が解らぬのも無理はないとおもいます。 もっとも支那人が、本来の"しつけ"という概念を持っているかは知りませんが…。

https://twitter.com/tane1251/status/878842494082981888
いくちゃん(2)‏ @tane1251
その他
英国人記者ヘンリーSストークス氏。中国人に「躾」の意味を聞いたら「肉体美のこと」と答えたw。躾はダレが相手であっても自制して振舞うこと。中国人は、権力者や金持ちに対してのみ礼儀正しいから、日本人が譲り合ったり行列を乱さないのを理解出来ない民族。

※twitterで面白い会話が。
  1. 2017-06-25 15:18
  2. URL
  3. taigen #-
  4. 編集

To:taigen さん

> 自衛隊の海外の反応が泣ける【イラク派遣秘話】
> https://www.youtube.com/watch?v=E2ooCHQ4YKY
>
> ※自衛隊のみでなく短足おじさん二世さん御自身を含む日本の民間人の真摯な姿勢に現地の人々もしだいに変わっていくのでしょうね。
>
> 肉体労働の雇用がロボットに奪われてしまう事より、頭脳労働の雇用がAIに奪われる方が早いという人もいます。
> NHK Eテレのモーガン・フリーマンの「時空を超えて」で「脳のハッキング」というのをやっていました。究極の個人情報である心を他人に覗き見されてしまったり、思考を書き換えられる危険が有りますが、外部から能力を極度に発揮できる様に調整したり、手足を動かせない人が脳からの指令を機械を動かしたりと夢のような話も提示していました。
> 私は以前にもお話ししましたが、人間はロボットやAIを道具ではなく、自分の頭脳や肉体の延長の様に感じる様になるのではないでしょうか?



面白い話、有難うございます。
イラクの話は色々言われていますが、どれも感動的ですね。そしてこの動画で言っていることは特に素晴らしい。
曰く
「イラクでは赴く前に、陸自の戦死研鑽室で戦前の日本軍が大陸で行った現地の施政法や異郷の現地明との交流訓などを紐解いて、日本と全く違うイスラム教の宗教と文化圏での行動マニュアルを作って参考にしたとか。
そして現地の文化慣習を優先するやり方も成功し、そうした努力も日本が一人の犠牲も事件も起こさず、イラクでの任務を無事になし得た一因だったと言います。」
これはいい話ですねえ。この動画、何かの機会に私も使うかもしれません。良い話満載です。
良い動画を紹介いただき感謝です。
  1. 2017-06-25 16:32
  2. URL
  3. 短足おじさん二世 #-
  4. 編集

To:taigen さん

> https://twitter.com/jazznack/status/878852233244299264
> jazznack‏ @jazznack
> "躾"という字は、国字(日本人の作った文字)のはずですから、この字を見て支那人が解らぬのも無理はないとおもいます。 もっとも支那人が、本来の"しつけ"という概念を持っているかは知りませんが…。
>
> https://twitter.com/tane1251/status/878842494082981888
> いくちゃん(2)‏ @tane1251
> その他
> 英国人記者ヘンリーSストークス氏。中国人に「躾」の意味を聞いたら「肉体美のこと」と答えたw。躾はダレが相手であっても自制して振舞うこと。中国人は、権力者や金持ちに対してのみ礼儀正しいから、日本人が譲り合ったり行列を乱さないのを理解出来ない民族。
>
> ※twitterで面白い会話が。



面白い話、有難う御座います。
この「躾」の件は間違いなく中国人にはわからないでしょう。類似の件で「働」が有ります。実はトヨタの人(大野耐一氏)
がトヨタ生産方式の講演を中国でしたとき、この「働」を使って「自動化」ではない「自働化」だといくら話してもチンプンカンプン。「働」の字が国字だったためでした。
それから「躾」の件ですが、下記エントリーで紹介したストークス氏と植田氏の対談本「日本が果たした人類史に輝く大革命」にそれが載っています。(p151‐p152)
http://tansoku159.blog.fc2.com/blog-entry-1399.html

しかし中国はもう国が持たないでしょう。大変ですね。
  1. 2017-06-25 16:47
  2. URL
  3. 短足おじさん二世 #-
  4. 編集

ロボットの未来については、よく「欧米には『人間の仕事をロボットに奪われる』などの悲観的な見方が多く、日本には楽観的な見方が多い。」といわれますね。

「そのことが一番よくわかるのが、日本の『ドラえもん』と、ハリウッド映画の『ターミネーター』の違いだ。」という評論を読んだことがあります。「ターミネーター」は、ロボットに支配された未来世界で、人間がロボット相手に戦争を起こすという話でした。
もっとも「ターミネーター」でも続編では、人間の気持ちを理解する正義のロボットが出てきたりしたので、一概には言えませんが、大まかな傾向としてはそうかな、という気が私もします。

アニミズム(原始的精霊信仰)である「神道」には「道具にも魂が宿る」という考えがあることが、日本人が古来、道具を生き物のように大切にしてきたことと無関係ではないと思います。
  1. 2017-06-27 19:39
  2. URL
  3. かんぱち #vF6NeGQU
  4. 編集

To:かんぱち さん

> ロボットの未来については、よく「欧米には『人間の仕事をロボットに奪われる』などの悲観的な見方が多く、日本には楽観的な見方が多い。」といわれますね。
>
> 「そのことが一番よくわかるのが、日本の『ドラえもん』と、ハリウッド映画の『ターミネーター』の違いだ。」という評論を読んだことがあります。「ターミネーター」は、ロボットに支配された未来世界で、人間がロボット相手に戦争を起こすという話でした。
> もっとも「ターミネーター」でも続編では、人間の気持ちを理解する正義のロボットが出てきたりしたので、一概には言えませんが、大まかな傾向としてはそうかな、という気が私もします。
>
> アニミズム(原始的精霊信仰)である「神道」には「道具にも魂が宿る」という考えがあることが、日本人が古来、道具を生き物のように大切にしてきたことと無関係ではないと思います。



なるほどねえ、ロボットの未来ですか。アシモフのロボット工学3原則を思い出しますね。
第一条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。
第二条 ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。
第三条 ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。

実はロボットの関してはロボットを奴隷と見るか、人間の友達・道具と見るか、これは人間の労働観、労働の尊厳とも絡んで難しいですね。
日本では工場のロボットに名前を付けて○○チャンなどと言っていますが、こんな事が西欧では理解されない。

そして突き詰めてゆくと、労働の尊厳(日本)と見るか労働罰(西欧)と見るか、さらに突き詰めると性の倫理観にたどり着きます。日本はイザナミ・イザナギからですが、西欧はアダムとイブから罰としての労働ですから。

こんな話をしていると、昔ロボットを最初に導入したときの安全対策で散々苦労したことが思い出されます。
  1. 2017-06-28 07:59
  2. URL
  3. 短足おじさん二世 #-
  4. 編集

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