2017-03-28 17:36

英科学雑誌 日本の科学研究の失速を指摘

 日本の科学技術が失速している、こんな衝撃的な指摘が報道されている。
指摘したのはイギリスの科学雑誌「ネイチャー」、それをNHKが報道している。

私はこれをDHCシアターで見たのだが、ちょうどその時のコメンテーターが武田先生。武田先生は予算配分の問題という解説をされていたのだが、この問題は根が深そうだ。
最初にどんな報道かというと

<以下引用>
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170323/k10010921091000.html

英科学雑誌 日本の科学研究の失速を指摘
3月23日 4時36分
世界のハイレベルな科学雑誌に占める日本の研究論文の割合がこの5年間で低くなり、世界のさまざまな科学雑誌に投稿される論文の総数も日本は世界全体の伸びを大幅に下回ることが、イギリスの科学雑誌「ネイチャー」のまとめでわかりました。
「ネイチャー」は、「日本の科学研究が失速し、科学界のエリートとしての地位が脅かされている」と指摘しています。イギリスの科学雑誌「ネイチャー」は、日本時間の23日未明に発行した別冊の特別版で日本の科学研究の現状について特集しています。

それによりますと、世界のハイレベルな68の科学雑誌に掲載された日本の論文の数は、2012年が5212本だったのに対し、2016年には4779本と、5年間で433本減少しています。

また、世界のハイレベルな68の科学雑誌に掲載された日本の論文の割合は、2012年の9.2%から2016年には8.6%に低下しています。

さらに、オランダの出版社が集計した、世界のおよそ2万2000の科学雑誌に掲載された論文の総数は、2005年から2015年にかけての10年間で、世界全体では80%増加した一方で、日本の増加は14%にとどまり、日本は世界全体の伸びを大幅に下回っています。
特に、日本が以前から得意としていた「材料科学」や「工学」の分野では、論文の数が10%以上減っているということです。

こうした状況について、「ネイチャー」は、「日本の科学研究がこの10年で失速し、科学界のエリートとしての地位が脅かされている」と指摘しています。
その背景として、ドイツや中国、韓国などが研究開発への支出を増やすなか、日本は大学への交付金を減らしたため、短期雇用の研究者が大幅に増え、若い研究者が厳しい状況に直面していることなどを挙げています。

「ネイチャー」は、特集記事の中で、「日本は長年にわたり科学研究における世界の第一線で活躍してきたが、これらのデータは日本がこの先直面する課題の大きさを描き出している。日本では2001年以降、科学への投資が停滞しており、その結果、日本では高品質の研究を生み出す能力に衰えが見えてきている」と記し、長期的に研究に取り組める環境の整備が求められるとしています。
米留学 学生数も減少
論文の発表数が最も多い、世界最大の科学大国アメリカに留学する学生の数でも日本は減少の一途をたどっています。
アメリカの教育関連の非営利組織「国際教育研究所」によりますと、日本から
アメリカへの留学生の数は、1994年度から1997年度にかけては国別で1位で、ピーク時の97年度には4万7073人でした。
しかし、2005年度に3万8712人と4万人を切って以降、大幅な減少が続き、2015年度には1万9060人まで減り、国別で9位と、中国やインド、サウジアラビアや韓国などよりも少なくなっています。

減少の原因について「国際教育研究所」は、日本の少子高齢化や留学の期間と、日本の就職活動の時期とが合わないことなどを挙げています。

一方で、急速に留学生の数を増やしているのが中国で、アメリカへの留学生の数で1998年度に日本を抜いて1位になって以降、ほぼ増加の一途をたどっています。一時はインドに抜かれたものの、2009年度に12万7628人と10万人を超えて再びトップとなり、昨年度は32万8547人と、アメリカへの留学生全体の31.5%を占めるに至っています。

<引用終り>


衝撃的な話だ。これは10年、20年かけてゆっくり衰退してゆくという事を示している。
それがどんな状況か、ネイチャーにはこんなグラフが載っている。

2017-3-28科学技術論文数比較 
http://www.natureindex.com/news-blog/the-slow-decline-of-japanese-research-in-five-charts

凄いグラフではないか。左側の件数のグラフでは、ほかに国は猛烈な右肩上がりのグラフ、それに対し日本はと言えばまったく横ばい。だから右側のシェアーで見ると大きく数値を下げている訳だ。日本一人負けである。

この件は藤井聡先生も危機感をあらわにした論陣を張っている。

【藤井聡】鮮明になる日本の科学技術の凋落――「PB緊縮財政」が日本をここまでダメにした
https://38news.jp/economy/10268

藤井先生はPB(プライマリー・バランス)緊縮財政が原因だとおっしゃっており、確かにその通りだ。
しかしもっとよく見てみると・・・
実は国立大学の金に関してはこんな事がある。
・ 平成16年(2005年)から国立大学の「法人化」が実施され、従来国の予算で運営されていた国立大学が、気にからの補助金で運営する法人になった。

・ 国からの補助金は平成16年度以降毎年1%づつ、平成22年度以降1.3%づつ削減されることとなった。
おいおい、こんな事を10年以上続けてくれば、そりゃあ金が無いのは当たり前だろう。大学には今は金がない。これは由々しき大問題ではないだろうか。

実はこれが小泉純一郎が郵政民営化の陰で仕掛けた日本貶めの罠だった。小泉純一郎は細川のバカ殿と組んだり、変原発運動をやりだしたり、その言動が元総理大臣と思えないものが有るのだが、こんな事でとんでもない「日本下げ」もやっていたわけだ。
そんな経緯があることも忘れてはいけないと思う。

こんな事のため、大学は予算不足で、新しい研究など出来ない状態のようだ。
日本の大学の国際競争力が下がり続けている背景にはこんなカネの面があるという事だった。
道理で聖徳太子を抹殺しようとするような可笑しな連中が、金目当てに変なことを言い出すわけだ。
私にはこれを見て大いに納得したことがある。
何年も前から地球温暖化詐欺と言われ、温暖化懐疑論が取り沙汰されてきたが、最近さっぱり聞かなくなった。温暖化懐疑論者はお役人から金が出ない、そんな事なのだが、その背景には大学自体がカネがない。だから政府の見解に反する研究などしてもらっては困るわけだ。
だから温暖化懐疑論の学者さんが大学から消えてしまった・・・。

色んな意味で日本の科学技術が危機に瀕していることが良く分かった。
藤井先生には大いに頑張ってほしいものだ。

尚この件について、NHKは海外留学生の人数減少の問題も指摘しているが、それには別の側面がある。
この件は別途エントリーします。

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コメント

 小泉元首相時代の後に少子化や個人の所得が減少したのは彼らのせいではなく、あの時に民営化を進めたのは正しいのだからこれからも聖域なき構造改革をする、というグローバリストが国だけでなく東京にも他の地方にも出現していてまだまだやる気みたいです。

 でもこの改革で中間層や低所得層はどうなったのかと思うと、推進派は高学歴・高収入・意識高い系なのかしらと想像します。

 そして下記のwikiを読むと、小泉さんよりも前の小沢さんの時代から今に至るまで筋書きの書き手は変わっていませんね。どうしてなのでしょうか?

https://ja.wikipedia.org/wiki/日本改造計画
  1. 2017-03-29 08:06
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  3. 都民です。 #-
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To:都民です さん

>  小泉元首相時代の後に少子化や個人の所得が減少したのは彼らのせいではなく、あの時に民営化を進めたのは正しいのだからこれからも聖域なき構造改革をする、というグローバリストが国だけでなく東京にも他の地方にも出現していてまだまだやる気みたいです。
>
>  でもこの改革で中間層や低所得層はどうなったのかと思うと、推進派は高学歴・高収入・意識高い系なのかしらと想像します。
>
>  そして下記のwikiを読むと、小泉さんよりも前の小沢さんの時代から今に至るまで筋書きの書き手は変わっていませんね。どうしてなのでしょうか?
>
> https://ja.wikipedia.org/wiki/日本改造計画



Wiki読んでみました。御厨貴、伊藤元重、竹中平蔵、北岡伸一、毎度おなじみの名前が出てきますね。
実はこの問題は91年~93年の宮澤喜一の時代に遡ってみないと実像が見えません。
その頃から日本の学者を裏で操る連中が暗躍しているという訳です。
アメリカ政府の日本への要望をまとめた年次改革要望書というものが有りまして、そのもとになったものは1993年(平成5年)7月の宮澤喜一首相とビル・クリントン米大統領との会談で決まったものとされています。これが失われた20年の原点、マイルストーンと言えるでしょう。
安倍さんが苦労しているのも、この足枷のせいが大きいと思っています。

この足枷からの脱却の一つのマイルストーンが米議会での希望の同盟演説、それとAIIB問題で日本だけが不参加を貫き、アメリカの孤立を救ったことだと見ています。多分これはオバマからトランプへきちんと引き継がれているはず。
こんな流れに先にトランプの破格の安倍さん歓迎があると見ています。
  1. 2017-03-29 17:27
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  3. 短足おじさん二世 #-
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こんばんは
多分、初めてコメントさせていただきます。
お金の絶対額が減少していることも問題のようですが、そのお金もいわゆる「競争的資金」が多くなり、研究者たちも、国立大学相互間での競争のための学校行事に駆り出され、研究者相互間での競争のための研究助成費申請書作成などにも忙殺され、モチベーションが低下しているようですね。

既にお読みになっているかもしれませんが、そんな研究者のお話です。私個人としては、単なる研究者の我儘と切り捨てる気持ちにはなりません。

http://anond.hatelabo.jp/20170323162129
  1. 2017-03-29 22:39
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  3. ポッペリアン #-
  4. 編集

To:ポッペリアン さん

> こんばんは
> 多分、初めてコメントさせていただきます。
> お金の絶対額が減少していることも問題のようですが、そのお金もいわゆる「競争的資金」が多くなり、研究者たちも、国立大学相互間での競争のための学校行事に駆り出され、研究者相互間での競争のための研究助成費申請書作成などにも忙殺され、モチベーションが低下しているようですね。
>
> 既にお読みになっているかもしれませんが、そんな研究者のお話です。私個人としては、単なる研究者の我儘と切り捨てる気持ちにはなりません。
>
> http://anond.hatelabo.jp/20170323162129



初めまして、コメント有難う御座います。
紹介いただいたブログ、読んでみました。正直言って暗澹たる思いです。
大学がカネの面で追い詰められているようだ、これは私はまったく門外漢なのですがうすうす感づいてはいました。
しかし実態がここまで来ているとは・・・、絶句ですね。

がしかしここからは現役工学系大学教授さんの書いたものを読んで私の感じたこと。
研究論文数の推移で日本失速と言われる訳ですが、それに対しいろんな見方があると思います。

第一は個人として出来ることは、自分の研究を完成させて世に問う、これをもっと頑張る。こんな事ですね。
第二は大学の幹部として、自分の大学のレベルをどう上げるか、日本全体はともかく、自分の大学の研究論文をもっと増やして日本をリードするにはどうするか、これも自分らでやれることです。
第三は国として、文科省などの官僚として、あるいは政府として、政治家としてどうするか考えること。
これをやらせるためにはムシロ旗をかかげて文科省の前に座り込むのも手かもしれません(笑)。

こんな見方でこの問題に取り組まないと何も進みません。

残念なのは現役工科系教授さんはモチベーションが低下してしまったと仰っています。自分でこう言って自己弁護してしまうと、そこから先には前向きなパワーは出ません。
困難な問題ばかりで大変なのは分かりますが、是非その困難の中に解決策を模索していっていただきたい。
その為に大学教授という世間的に見て名誉ある地位を与えられているのですから。

門外漢が勝手なことを言いましたが、現役工科系教授さんは本当は何とかしようと日夜悪戦苦闘されていると思います。
是非そんなものが実を結ぶことを願っています。




“Genius is 1% of inspiration , and 99% of perspiration.”

 直訳すると、“天才とは、1%の霊感と、99%の汗である”
  1. 2017-03-30 14:12
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  3. 短足おじさん二世 #-
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自衛隊や研究者、インフラ整備関連の仕事の人達の声はとても小さく、マスコミを通した財務省の官僚の声だけは途方もなく煩い

潮目は変わり、財務省の緊縮財政と税制改革への抵抗に疑問を持つ人達が増えてきました
  1. 2017-04-02 12:07
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  3. #-
  4. 編集

To:匿名さん

> 自衛隊や研究者、インフラ整備関連の仕事の人達の声はとても小さく、マスコミを通した財務省の官僚の声だけは途方もなく煩い
>
> 潮目は変わり、財務省の緊縮財政と税制改革への抵抗に疑問を持つ人達が増えてきました



コメント有難う御座います。
ご意見は理解できますが、どなたの意見かわかりません。
HNでよいので名前を書いていただけると有り難いです。
  1. 2017-04-03 18:09
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  3. 短足おじさん二世 #-
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