2016-01-29 16:22

「春は二度と来ない」 by 中国政府系シンクタンク

  「春は二度と来ない」、こんな表題の記事が産経に有った。面白い話である。
しかし私にはこの記事もだが、そこで言及している米ボストンコンサルティンググループ(BCG)が発表した報告書「主要輸出国25カ国の生産コスト比較世界の生産拠点の勢力図の変化」、この報告が大変興味深い。

最初に産経に記事から
<以下引用>

「春は二度と来ない」中国政府系シンクタンク、異例の〝弱気〟ついに海外論評にも屈服
http://www.sankei.com/west/news/160126/wst1601260001-n1.html

異例の内容に衝撃

 中国社会科学院は1977年に設立された中国国務院直属の社会科学研究などの最高学術機構。31の研究所や、45の研究センターをはじめ、3200人もの研究者を擁する。中国の五カ年計画策定の基本作業をするなど、政府の経済政策にも大きな影響を与えている。

 その科学院が経済失速を鮮明にしてきた昨秋、「『メイド・イン・チャイナ(中国製造業)』の新常態」と題し、中国経済に最新の分析を加えた報告書を公表。あまりに深刻な内容が、海外の専門家たちも驚かせた。

 まず報告書では、最近の中国の貿易状況について、「振るわない状態が続いているだけでなく、ますます悪化しているとも言える」と指摘。最新の貿易統計を引用し、「品質向上とシェア拡大の痕跡はみられる」と一定の評価はしたものの、「不確かでとらえ所がなく、自分で自分を慰めている感がぬぐえない」と厳しく批判した。

 さらに「心配なのは、中国の製造業が直面しているのは、不景気という一時の落ち込みではなく、国内外の経済環境の変化がつくり出した新常態である」と警告した。

・・・中略・・・

海外の指摘にも“屈服”

 また報告書は、海外の研究機関などが指摘する中国経済の深刻な状況についても、率直に認めた。

 米ボストンコンサルティンググループ(BCG)が発表した報告書「主要輸出国25カ国の生産コスト比較世界の生産拠点の勢力図の変化」によると、中国の生産コストは、すでに米国と差がほとんどなく、米国の生産コストを100とすると、中国の指数は96に達している。

 報告書は、この分析を引用し、「(米報告書は)広く注目され、大きな波紋を起こした。ある一部の製品や事例を用いて刺激的な結果を出すことで、人々の興味を引き付けることが目的であるのは明白」と反論しながらも、「少なくとも一定程度、(中国の)製造業における労働コストという強みが確実に低下していることを説明している」と率直に認めた。

・・・以下略、詳細は上掲リンク先参照ください・・・
<引用終り>


 まあ言っている事は今の中国の現状を追認しただけなのだが、それを中国政府系機関が認めた所が面白い。
「隠せども 色に出にけり・・」と言った所なのだろう。

所でその記事に有る「米ボストンコンサルティンググループ(BCG)が発表した報告書「主要輸出国25カ国の生産コスト比較世界の生産拠点の勢力図の変化」」、これは大変興味深いデータである。

主要輸出国 25 カ国の生産コスト比較:
世界の生産拠点の勢力図の変化

http://www.bcg.co.jp/documents/file172753.pdf

このレポートは2014年8月のモノなので1年半前だが、その後石油価格の大幅下落など有るが、全体の傾向は読み取れる。

そしてこのレポートではこんな前置きで主要25カ国のコストデータを示している。

本レポートでは、世界の工業製品の輸出額の約 90%を占める主要輸出国 25 カ国について、
生産コストの比較を 2004 年/2014 年の 2 時点において行った。
過去 30 年間、中南米・東ヨーロッパとアジアの大部分は低コスト国米国・西ヨーロッパ・日本は高コスト国とみなされてきた。
しかしながら、人件費・生産性・エネルギーコスト・為替などの長年にわたる変化により、以下の例に示されるように、世界の生産コスト競争力は大きく変化した(図表 1)。
 メキシコは、中国よりも生産コストが低い
 イギリスは西ヨーロッパの中で最も生産コストが低い
 ロシアや東ヨーロッパの国々の多くは、米国とほぼ同レベルにまで生産コストが上昇している
なお今回の分析は、1.賃金、2.労働生産性、3.エネルギーコスト(電気代、天然ガス代)、4.為替レートの 4 項目を
変動要因として分析した。


さてその結果は

これはその25カ国のコスト比較(アメリカを100として)

2016-1-29主要輸出国の生産コスト比較1

興味深いのはドイツ・フランス・イタリアなど西ヨーロッパ諸国の高コストである。アメリカと比べてこれだけの高コストではまともな産業の成長は難しい。
(こんな所からドイツが難民を受け入れて人件費抑制を図ったのだろうと思い当たる)
それからオーストラリア・ブラジルの高コストは鉄鉱石などの資源価格高騰によるインフレが原因と思うが、このレポート後の状況として、鉄鉱石・石炭などの価格が絶賛暴落中。だから直近の状況は相当変わってきているのではないかと思う。


これは各国の生産コスト競争力の4パターン
2016-1-29主要輸出国の生産コスト比較2

特徴的な事、新低コスト国には「アメリカ、メキシコ」
そして劣勢国には「オーストラリア、ベルギー、フランス、イタリア、スウェーデン、スイス」が挙げられている。

競争力が低下している国の例
2016-1-29主要輸出国の生産コスト比較3
矢張り「汚職」が足を引っ張っている事が分かる。


新低コスト国、アメリカとメキシコの内容
2016-1-29主要輸出国の生産コスト比較4



こんな数字を見ると、今までの古い感覚を捨てるべき時なのだと痛感する。
さてではどうするか、難しいですね。
  1. 中国
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  3. CM(4)

コメント

 我が国も原発を再稼働させればもっとコストがかからなくなり、製造業が戻って来れるでしょうか?米国で売る分は米国で作っても良いでしょうが、品質はどうなるのか少々心配なのでやはり日本で作った方が良いと思います。
  1. 2016-01-30 15:29
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  3. 都民です。 #-
  4. 編集

To:都民です さん

>  我が国も原発を再稼働させればもっとコストがかからなくなり、製造業が戻って来れるでしょうか?米国で売る分は米国で作っても良いでしょうが、品質はどうなるのか少々心配なのでやはり日本で作った方が良いと思います。


原発再稼働はどうしても必要ですが、コスト低減にはもっと色々な事が必要です。
例えば船で海外に輸出するためには港から出すわけですが、sの港が今の時代の巨大コンテナ船に対応できていない。
だからアメリカなどから日本向けの貨物は巨大コンテナ船で韓国の釜山に入り、そこで小型コンテナ船に積み替えて日本に運ぶ。
こんなバカなことが当たり前になっています。これは一例ですがこんな事を一つずつ解決していかないといけません。

それから海外の製造業が日本に戻るかどうかの話ですが、これは簡単ではありません。
以下私の経験です。
私は海外で仕事をしていましたが、海外進出のポリシーは共存共栄でした。
例えばクルマを日本で造って世界中に売れば、日本の仕事は確保できます。しかし海外のお客様はその車を買うカネが有りません。
勿論サウジのような資源国ならカネが有りますから問題ないですが、これはごく一部。
そうなると海外にも工場を作り、現地の人を雇い、現地にカネを落とすことで現地が発展するとともに日本のモノも売れる。
こんな考え方で無いと仕事が成り立たないのです。

理屈はこうでも実際にやるのは大変でした。
しかしそんな事を多くの日本人がやったおかげで日本は「失われた20年」と言われながらも実は「ステルス成長」していた。
そしてその結果が「日本は海外に1.8個分の日本を持っているなどと言われるようになりました。
http://tansoku159.blog.fc2.com/blog-entry-366.html

それともう一つ、大震災以来原発も停止し、日本の貿易赤字は大変なモノでした。
しかし貿易収支、貿易外収支を合わせた経常収支は(単月では赤字になったりしますが)年間で見れば赤字にはなりません。
海外からの稼ぎ(所得収支)が毎月1兆円以上、最近では2兆円に迫ろうかと言う位あるのです。
だから大震災であれだけ破壊された、そして民主党の日本破壊工作で散々な目にあっても未だに元気でいられるのはこんな理由です。
こんな所も考えて欲しいと思います。
  1. 2016-01-30 17:42
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  3. 短足おじさん二世 #-
  4. 編集

科学院の見解ということは

支那政府の準公式見解と言っていいでしょうね。

この先どうしたいのかは分かりませんが、一般的な感覚ならばもう銭がないから強硬路線はつらぬえません、となるはずですが、彼らのことだからここは一発起死回生を図るしか無い、となるかどちらに転ぶかわからぬところが微妙です。

まあ今年も春節の爆買いが止まらないと言ってますから、支那政府のあと一月二月でどうこうということはないでしょうが、これから先は厳しいから国民に覚悟しとけと言ってるのは間違いないでしょう。だから銭のある連中は今のうち銭をモノに変えようというところなんでしょうか。

支那政府はリーマン後の経済政策を間違えたとしか言えないでしょう。あの場合は設備投資ばかりに銭を振り向けましたが、ここは内需振興に振り向けるのが筋だったはずです。そうして少しでも生活水準の向上と自律的な経済発展に結び付けなくてはいけなかったのですが目先のGDPだけに目が行ったのでしょうね。

だからもう春は来ないとなるんです。

ただ大問題は支那は決して生活コストが安くないという問題でしょう。
満州からの旅行者が去年言ってましたが、とにかくモノは日本のほうが安いものがある(絶対額で安い)というのです。しかも食料品や生活必需品でそうだというのです。

そんなバカなとも猛のですがマック指数を見てみるとそうでもない。これは厳しい世界でしょう。デフレは確定でしょうがバブル崩壊後のデフレで構造的な物価高なんてことは想像もつきません。

日本はあれだけ政府が馬鹿をやって財政支出をしないからデフレを抜けられません。マイナス金利をやっても銭は国債に行くとはどういう構造でしょうか。もう銀行屋共の部長以上を全部首にしても良いような気がしますが、五輪が決まり震災対策支出が必要と皆がわかってるところで増税を論じる馬鹿が多いという奇観は何でしょうか。

今年は放っといても外需はメチャクチャです。その上での原油安という神風が吹いてるのだから今が財政支出のチャンスなんですが一体どうなってるのでしょう。
  1. 2016-02-01 12:43
  2. URL
  3. kazk #cPv2SIBE
  4. 編集

Re: 科学院の見解ということは

> 支那政府の準公式見解と言っていいでしょうね。
>
> この先どうしたいのかは分かりませんが、一般的な感覚ならばもう銭がないから強硬路線はつらぬえません、となるはずですが、彼らのことだからここは一発起死回生を図るしか無い、となるかどちらに転ぶかわからぬところが微妙です。
>
> まあ今年も春節の爆買いが止まらないと言ってますから、支那政府のあと一月二月でどうこうということはないでしょうが、これから先は厳しいから国民に覚悟しとけと言ってるのは間違いないでしょう。だから銭のある連中は今のうち銭をモノに変えようというところなんでしょうか。
>
> 支那政府はリーマン後の経済政策を間違えたとしか言えないでしょう。あの場合は設備投資ばかりに銭を振り向けましたが、ここは内需振興に振り向けるのが筋だったはずです。そうして少しでも生活水準の向上と自律的な経済発展に結び付けなくてはいけなかったのですが目先のGDPだけに目が行ったのでしょうね。
>
> だからもう春は来ないとなるんです。
>
> ただ大問題は支那は決して生活コストが安くないという問題でしょう。
> 満州からの旅行者が去年言ってましたが、とにかくモノは日本のほうが安いものがある(絶対額で安い)というのです。しかも食料品や生活必需品でそうだというのです。
>
> そんなバカなとも猛のですがマック指数を見てみるとそうでもない。これは厳しい世界でしょう。デフレは確定でしょうがバブル崩壊後のデフレで構造的な物価高なんてことは想像もつきません。
>
> 日本はあれだけ政府が馬鹿をやって財政支出をしないからデフレを抜けられません。マイナス金利をやっても銭は国債に行くとはどういう構造でしょうか。もう銀行屋共の部長以上を全部首にしても良いような気がしますが、五輪が決まり震災対策支出が必要と皆がわかってるところで増税を論じる馬鹿が多いという奇観は何でしょうか。
>
> 今年は放っといても外需はメチャクチャです。その上での原油安という神風が吹いてるのだから今が財政支出のチャンスなんですが一体どうなってるのでしょう。


確かにご指摘の銀行屋を首にすべき、大いに納得します。
しかしそれにしても今年の混乱ぶりは酷いものです。ヨーロッパと中国、両方一度にダウンしそうで、最早戦争でもおっぱじめなければ景気は良くならないレベル、そう思います。

アメリカの同様に混乱しそうで、そうなると全く予想外の事が起こる年になりそうです。
  1. 2016-02-01 19:36
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  3. 短足おじさん二世 #-
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