2015-09-09 13:52

繁栄のヒント 直感力を重んじよ  < 日下公人 氏のコラムより

 雑誌WiLLに日下公人氏の「繁栄のヒント」といいコラムがある。この10月号の記事が大変面白い。
ただ紙情報では扱いにくいので記録の為スキャンして電子情報化した。
参考までにブログにアップします。

<以下WiLL10月号から引用>

   日下公人
繁栄のヒント
直感力を重んじよ


 自分が考えたことを他人に伝える話し方には二通りがある。一つはたとえ話でもう一つは論理である、とギリシャ人は考え、それにアナロジーとアナリシスの名前を付けた。翻訳すれば「類比」と「分析」である。

 あるアメリカ人は「日本人は力二でアメリカ人は鷲(わし)だ」と言ったが、この譬え(たとえ)はアメリカ人にはパツと分かるが、日本人には分からない。だから日本で売りたい本なら別の例え話を考えなさい、と返却したことがある。

 例え話はイメージの世界だから、自分にはプラスのイメージがあるものを使い、相手には慰安婦とか高利貸しとかを使うと、それは宣伝戦に勝つ道になる。

 小学生の頃、お互いに悪口の言い合いをしたが、「お前のカアちゃんデペソ」と言われた時、違う、違うと言い返したのは、我ながら喧嘩が下手だった。

 支那事変が二年目に入ると、「お前のトーちゃん支那人か、蒋介石に雇われて一銭五厘の月給で三銭五厘の靴履いて……」という悪口が流行ってきたが、話を貧富の差に転じ、徴兵と雇われ兵の違いに着目した知恵には感心した。

 後年、日米経済摩擦で、日本市場は閉鎖的だからドアを開けろとアメリカに言われた時、國廣道彦公使(当時)は「日本のドアはスライディングドアだから、正面から押しても開かない。丁重に礼儀正しく横に滑らせれば開く」と反論した。アナロジー戦で勝つ好例だと感心したが、アメリカ人はアナロジーで反論するとは交渉に負けた証拠だと思っているらしかった。

 アナロジーに潜む深い含意を考える教育がアメリカにはないためである。

 その点、日本は違う。菅原道真の頃から、文章はアナリシスで書くものとアナロジーで書くものとの両方だと分かっていた。弘法大師も菅原道真も、漢文と和歌の両方で同じ気持ちを書くことができたが、それが文章博士である。

 それは外交で勝利を重ねる道でもあった。安倍首相が米上下院合同のスピーチで大成功を収めたが、それをマスコミはアナリシスで解説しようとして失敗した。マスコミには、心で考えてアナロジーで表現できる人がいないのである。

 子供の時から机上の勉強ばかりしていると、ロジカルシンキングの勝者にはなれても、例え話や冗談の世界の人気者にはなれないのである。

 それからもっともっと大事なことは、理屈ばかりで考えていると閃きやアイデアが消え、直感力や洞察力も低下するということである。それが、ロジカルシンキングを売り物にしている大学に志願者が集まらないという危機にも繋がっている。

 天才は誰でもそうだが、閃きはふっと浮かんでくるものだが、それを他人に言う時はロジカルに再構成して話す。他人は仕立て直して再構成したことだけを聞くからロジカルシンキングした結果だろうと思うが、そんなことはない。

 将棋の名人の加藤一二三氏は「直観精読」と色紙に書かれるが、まず閃くものがあって、それからしらみつぶしに読むという意昧だろうと想像する。ロジカルシンキングは後半の詰めだけでのように思えるが、実際は精読のなかにも新しい思いつきがある。だが、発想を教える大学はない。大学院を作っても同じである。

 直感力大学というのがあればよいと思うが、それでは教えたり書かせたり採点したりできないから、大学は授業料が取れない。

 まるで無言の行をする禅寺のようなものになるが、それを落語は笑い話にして、禅師が蒟蒻(こんにゃく)屋に「仏の道は」とか「三千世界は」と手真似で問い掛けると、蒟蒻屋は自分の商売のことかと考えて手真似で答える。指三本は一丁三文の意味だとか、アカンペーは値下げは断るの意味だが、「眼下にあり」と深遠に解釈して禅師が逃げ出すというオチである。

 アベノミクス論や金融大破局も、アナロジーでやれば面白いのに。


くさかきみんど
一九三〇年生まれ。東京大学経済学部卒。日本長期信用銀行取締役、(株)ソフト化経済センター理事長、東京財団会長を歴任。現在、日本ラッド監査役、三谷産業監査役。近著に「日本の将来はじつに明るい!」(ワック)。

<引用終り>

こんな難しい禅問答みたいな話を具体的に如何するかが問題なのだが、まあ今日は重陽の節句・・・関係ない!!・・
ノンビリ考える事にします(笑)。

尚本文中に日下公人氏がこんな事を言っています。
「「お前のカアちゃんデペソ」と言われた時、違う、違うと言い返したのは、我ながら喧嘩が下手だった。」
これが今も現実に起こっています。
慰安婦がァ~、慰安婦がァ~と言われているのに「違う、違う」、これをいくら言っても効果が無いのが現状。
現代の慰安婦を送り出している国はオマエラだ!、だから慰安婦は全部逮捕するんだ、強制送還だ!、さあ5万人強制送還だ!、これでなくてはいけません。



・・・オマケ・・・

蒟蒻問答とはこんなモノ、これは六代目春風亭柳橋の語り。



尚、話のあらすじはここ参照
http://senjiyose.cocolog-nifty.com/fullface/2005/02/post_6.html
  1. 社会一般
  2. TB(0)
  3. CM(4)

コメント

日下公人氏や小室直樹氏の話は、左脳一本やりの人間から見ると理解が及ばない面があります。

小室氏は論戦に勝つためには現状の一段上の武器を持て、と言いました。例えば一次方程式で議論するときは、二次方程式を使えという具合です。三八式歩兵銃には機関銃で対抗するなど「一段上」を。

安部総理の「70年談話」や米国議会の「和解の演説」などは安部さんは上位の武器を使いました。「お前の母さん出べそ!」の雑言を完全にスルーして、「歴史認識」で蓋をしたと思います。こういう政治家は戦後日本にいなかったのではないかとさえ思います。
  1. 2015-09-10 16:46
  2. URL
  3. 相模 #-
  4. 編集

To:相模さん

> 日下公人氏や小室直樹氏の話は、左脳一本やりの人間から見ると理解が及ばない面があります。
>
> 小室氏は論戦に勝つためには現状の一段上の武器を持て、と言いました。例えば一次方程式で議論するときは、二次方程式を使えという具合です。三八式歩兵銃には機関銃で対抗するなど「一段上」を。
>
> 安部総理の「70年談話」や米国議会の「和解の演説」などは安部さんは上位の武器を使いました。「お前の母さん出べそ!」の雑言を完全にスルーして、「歴史認識」で蓋をしたと思います。こういう政治家は戦後日本にいなかったのではないかとさえ思います。


安倍さんは第一次安倍内閣の挫折から苦節5年数か月、毎日考えていたんだと思います。「お前の母ちゃんデベソ」にどういって反論するか。この苦しい時期が今の安倍さんを作っていたんですね。
だから米議会演説にしても70年談話にしても実に言うべきことをズバリ言っている。その上で相模さんのおっしゃる蓋をする部分はきっちり蓋をしている。此れでしょうね。
こう言う話しはとても難しいですが、特に今の若い人には良く理解してほしい。
その上でこんな話に反論することを訓練してほしいと思っています。
  1. 2015-09-10 18:17
  2. URL
  3. 短足おじさん二世 #-
  4. 編集

 日下さんのお話や文章は、読むと元気になります。この年代の方は、秀才でも子供時代に原っぱを駆け回り喧嘩も存分にやった雰囲気があります。勉強も大事ですが、そういう事がもっと大事なのかもしれないと思います。
  1. 2015-09-11 18:21
  2. URL
  3. 都民です。 #-
  4. 編集

To:都民です さん

>  日下さんのお話や文章は、読むと元気になります。この年代の方は、秀才でも子供時代に原っぱを駆け回り喧嘩も存分にやった雰囲気があります。勉強も大事ですが、そういう事がもっと大事なのかもしれないと思います。


この年代の方はあの苦しい時代を生き抜いてきたと言う気概が有ります。
私は日本人が本当にアメリカ人から学ばなければいけないのは「ポジティブ・シンキング」だと思っていますが、日下さんもそんな考え方ですね。
  1. 2015-09-12 05:38
  2. URL
  3. 短足おじさん二世 #-
  4. 編集

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する