2015-07-13 17:57

メナム河

 タイの首都バンコク、そこを流れるタイ第一の大河をチャオプラヤ河と言う。

此れが今のチャオプラヤ川
2015-7-13チャオプラヤ川

バンコクの王宮の対岸にあるワット・アルン(暁の寺)とチャオプラヤ川の夕景
2015-7-13チャオプラヤ川とワットアルン


この川が昔からメナム川と誤って呼ばれてきた。
メナムとはメー(mae) ナーム(naam又はnam)で、maeとは母、nam又はnaamは水で水の母、つまり大河である。
だから本当はメナムだけでいいんだと思う。

先日のエントリー
「春の小川をタイ語で言うと<再掲」でこの件もとり上げたのだが、この間違えた経緯がどうもよく分からなかった。
http://tansoku159.blog.fc2.com/blog-entry-1136.html

何処かの高名な先生が現地の人に聞いて、現地人が「メーナーム(大きな川)」としか言わないのでこれを川の名前と勘違いしたのだが、この高名な先生は誰? 日本人? 西洋人? よく分からなかった。

しかしついに見つけました。

高名な先生の名は「アンリ・ムオ」、フランス人博物学者でアンコールワットを密林の中から再発見し、西欧に紹介したことで有名な人である。

タイ学の権威者、故石井米雄先生(1929-2010)の「メコン」と言う本を昨日調べもので見ていた時見つけました。
(メコン:1995年刊)
この本はメコン河を踏査してきたことが書いてあるのだが、此処にこんな記述がある。
ムオがラオスの旧都ルアンプラバンから交易の位置中心地パークライまでの旅行の話として
「(1860年)6月24日、わたしはパークライに到着した。この付近のメコンはバンコク付近のメナム川(チャオプラヤ川)より大分大きく、高い山々の狭間を縫って・・・」、とまあこんな風である。
(注:括弧書きのチャオプラヤ川と言うのは多分石井米雄先生が書いたと思う)

このアンリ・ムオ(1826-1861)は1858年から1861年にかけてタイ・カンボジア・ベトナム・ラオスを探検踏査した。根拠地としたのはタイの首都バンコクだった。
この過程で1860年1月にカンボジアのアンコールを約3週間にわたって調査、そこで1860年1月22日に密林の中からアンコールワットを発見した。ムオはそこでアンコールワットの詳細なスケッチや図面などを作っている。

ムオが残したアンコールワットのスケッチ
2015-7-13アンリ・ムオが描いたアンコールワットスケッチ

ムオはカンボジア踏査の後、いったんバンコクに帰り、1860年秋からラオスの踏査に向かった。そして上掲石井米雄先生の引用したルアンプラバン辺りを踏査し、1861年10月、現地で熱病にかかり翌11月に死去。(35歳だった、若い、若すぎる)
しかしムオの二人の従者が日記や収集物をバンコクに持ち帰ったため、ムオの調査記録が残されることとなった。
そしてそれがすぐにフランスに持ち帰られ、ムオの死の2年後の1863年にはフランス語でその踏査記録が出版され、翌1864年には英語版が出版された。
(参考までに日本でいえば明治維新の直前の頃です。明治元年=1868年)

この様な経緯でムオがアンコールワットを発見したことが詳細な記録とともに西欧社会に伝えられた。
大変な衝撃だったようです。

そしてバンコクの大河もムオが書いたメナム川と言う名前で知られるようになったと言う事です。

尚現在の名称チャオプラヤ川ですが、チャオプラヤとはタイのチャクリー王朝の初代国王ラマ一世のアユタヤ朝時代の尊称。
チャオ=人々、プラヤ=公爵、チャクリ=ラマ一世の姓。
此処からは私の推察なのだが、タイ人は別にこの川の名がメーナームで何も困らない。他に類似のモノが無いからだ。
しかし国際的には川の名が「川」では不都合なので、ずっと後になって川の名に初代国王の名前を付けたのだろう。
参考までにムオのいた頃はラマ四世の時代(映画王様と私のあの国王)、その直後からが大王と言われるラマ五世の時代である。

結論として
チャオプラヤ川の名を「メナム川」としたのはアンコールワットを再発見したフランス人アンリ・ムオ。1860年代の事だった。
この当時も今もタイ人はこの川をメーナームと呼んでいる。
しかしそれでは不都合なのでタイではこの川の名を初代国王の名にちなんでチャオプラヤ川とした。

多分そんな事の傍証にこんな事がある。昔懐かしい「兼高かおる」である

2015-7-9兼高かおるのメナム川

懐かしいですね。
多分これは1961年頃のモノではないか。そこで兼高かおるは現在はチャオプラヤ川だがメナム川だと言って紹介している。

私にとっては昔からの謎が解けた話でした。

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コメント

「兼高かおる世界の旅」は、子供の頃よく観ていました。懐かしいです。英語が堪能で、とても上品な日本語を話される素敵な方でした。李香蘭さんのご友人で、番組で対談をされたことが有りました。
 番組の再放送もよく観ていたせいか、わたしはチャオプラヤ川という名前の方を憶えていました。
  1. 2015-07-13 22:01
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  3. 都民です。 #-
  4. 編集

To:都民です さん

> 「兼高かおる世界の旅」は、子供の頃よく観ていました。懐かしいです。英語が堪能で、とても上品な日本語を話される素敵な方でした。李香蘭さんのご友人で、番組で対談をされたことが有りました。
>  番組の再放送もよく観ていたせいか、わたしはチャオプラヤ川という名前の方を憶えていました。


そうですね、懐かしいです。
此れが放映されていた頃は世界について知ることが難しい時代。
それに比べると今は良い時代になりました。
  1. 2015-07-14 08:11
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  3. 短足おじさん二世 #-
  4. 編集

太陽の活動は2030年から2040年にかけて休眠状態となるそうです

ずいぶん前のスレタイで短足おじさんが、問題提起していた小氷河期の件ですが、日本とロシアの科学者以外にも具体的に世間に発表する科学者グループがでてきました。

 アドレスは下記です

 http://kagaku-ch.blog.jp/archives/1033911559.html


太陽の活動は2030年から2040年にかけて休眠状態となり、地球はミニ氷河期に入る可能性がある。英国天文学会議で、ヴァレンティーナ・ジャルコバ教授らの研究グループが発表した。


私の私見ですが、これ本当ならこれからオリンピックなんかやってるどころでない問題です。まず食料と石油などの確保の問題で戦争になりますね。国連など何の解決も小氷河期について機能しないでしょう。どう思われます?
  1. 2015-07-14 10:05
  2. URL
  3. コロ4号 #-
  4. 編集

Re: 太陽の活動は2030年から2040年にかけて休眠状態となるそうです

> ずいぶん前のスレタイで短足おじさんが、問題提起していた小氷河期の件ですが、日本とロシアの科学者以外にも具体的に世間に発表する科学者グループがでてきました。
>
>  アドレスは下記です
>
>  http://kagaku-ch.blog.jp/archives/1033911559.html
>
>
> 太陽の活動は2030年から2040年にかけて休眠状態となり、地球はミニ氷河期に入る可能性がある。英国天文学会議で、ヴァレンティーナ・ジャルコバ教授らの研究グループが発表した。
>
>
> 私の私見ですが、これ本当ならこれからオリンピックなんかやってるどころでない問題です。まず食料と石油などの確保の問題で戦争になりますね。国連など何の解決も小氷河期について機能しないでしょう。どう思われます?


心配される事はご尤もだと思います。
最近この関係はエントリーしていませんが、そろそろ次のエントリーの時期が近いかなあ・・・
現在分かっている事を書いてみます。
地球全体の傾向ですが、江戸時代終りから続いてきた温暖化傾向は1998年で終わりました。
しかし地球と言う巨大なものですのでその後ずっと横ばいから徐々に寒冷化に向かっている、ですから今はまだそんな段階です。
その原因を作ったものとして太陽活動が有ります。現在は大体11年周期の太陽活動の第24期のピーク段階。
この24期は2008年12月に始まりました。私が太陽活動が可笑しいと言ってブログで書いたのがこの前後からです。
そして太陽活動は11年周期と言うものの活動が活発な時は周期が短く、活動が不活発な時は周期が伸びます。マウンダー極小期などの研究からこの不活発な時期にはその直前の周期が伸びることも分かってきました。
現在のひとつ前の周期は12.6年になっています。
今ピークの24期は恐らく周期が14年くらいに伸びるのではないか、でもそれがハッキリするのは2022年位になるのではないかと言われています。
そして次の25期からはマウンダー極小期(1645-1715)並みになると予想されています。
この予測どうりなら気温は大体2度位下がる。年間平均の2度ですからこれは大変な事でして、寒い冬と言うだけではなく、稲作などにも大問題です。
また日本の交通インフラなども気候変動に弱い、江戸時代末期には江戸で90センチの雪が積もった記録があります。
そんな事を踏まえて今から対策を考えるべきなんですね。

其れともう一つ、21世紀に入って地球規模で地震火山の活動の活発期に入っています。
ざっと見て20世紀の7倍位でしょう。
こんな事を踏まえて地道に対策を考えていくべきかと思っています。
  1. 2015-07-14 16:31
  2. URL
  3. 短足おじさん二世 #-
  4. 編集

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