2015-01-21 10:53

アメリカの反日とはこんな考え方

 アメリカの反日に関して調べていて興味深い話を見つけた。
自衛隊の元空将、織田邦男(おりた くにお)氏の書いた記事で、13年7月の記事だが今見ても大変面白い。

この記事はスノーデンの暴露したアメリカの諜報活動に関しての件が主なのだが、織田氏の経験が織り込まれている。
これを読んで私も「なるほど、ヤッパリそうだったのか」と思い当たるのだが、先ずはその記事から。

お断り:この記事はスノーデンの暴露した諜報関係が主、しかしその中の日本叩きについてが面白い。
従って引用文はスノーデン関係を大幅に省略しました。しかし大変面白いので本文末に記事全文を引用しました。

<以下引用>
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/38177

米国の諜報活動では、日本は最大敵国の1つ
スノーデン事件から日本が学び、すべきこと

2013.07.09(火) 織田 邦男

米国中央情報局(CIA)元職員、エドワード・ジョセフ・スノーデン氏による暴露が話題になっている。

 2013年6月、スノーデン氏は香港でメディア(ガーディアン、ワシントン・ポストおよびサウスチャイナ・モーニング・ポスト)の取材を受けた際、米国家安全保障局(NSA)による個人情報収集の手口を告発した。

各国代表団のスマホまで念入りにチェック

・・・中略・・・

 米国による一連の情報収集問題で日本公館への盗聴工作が明らかになったのは初めてという。菅義偉官房長官は記者会見で、外交ルートを通じて米政府に事実関係の確認を求めていることを明らかにした。

 1995年、ジュネーブで行われた日米自動車交渉で、CIAが日本担当官の国際電話を盗聴したことが表面化したことがある。日本の外交関係筋は「盗聴を前提に在外公館では日常業務を行っている」と述べているが、国際社会では盗聴やハッキングは日常行われている行為だと思わなければならない。

 今回の報道振りを見て、筆者は正直なところ「何を今さら」との思いを深くした。

 筆者が1992年から93年にかけて、米国の大学に留学していた頃のことである。学内の関心はもっぱら冷戦の総括と冷戦後の米国戦略についてであり、連日活発な議論がなされていた。
(引用者注:織田氏は83年~米国空軍大学留学、92年~米スタンフォード大学客員研究員)
(だから大学での研究・意見と言うのはこのスタンフォード大学での事。
 当時の議論には大きく3つのポイントがあった。1つは冷戦で巨大化した軍隊をどのようにダウンサイズするか。2つ目は3万人にも膨れ上がった核兵器の技術者を今後どう処遇していけばいいのか。3つ目は冷戦時に対ソ監視に重点を置いてきた情報機関、諜報網をどうするのかの3点である。


冷戦後、米国のターゲットは日本とドイツに

 いずれの議論も大変新鮮であり、興味を引くものであった。1番目と2番目は本稿の主題ではないので省略するが、3番目の論点、つまり情報機関、諜報網については今回のスノーデン事件と直接関連がある。

 学内では、米国に亡命した元KGB(ソ連国家保安委員会)の将軍を招聘して講演させたり、元諜報関係者の生の声を聞いたり、冷戦終焉直後ならではの企画が数多くあった。

 これまで闇に埋もれていた諜報機関の実態を正確に把握したうえで、将来のあるべき姿を模索しようという超大国ならではの矜持と懐の深さを感じ、日本人留学生として非常に感銘を受けた記憶がある。

 ただ、この時、学内での大勢の意見が、「冷戦が終わった現在、今後は情報機関や諜報網を経済戦争に使うべきである」といった驚くべき方向性であったことが印象的だった。

 当時、米国の経済戦争の対象は、日本とドイツであることは明らかであった。セミナーには日本人、ドイツ人留学生が参加していることは、十分承知のうえで、遠慮なく堂々と、このような議論がなされることに対し、ある意味、米国の恐ろしさを感じたものである。

 1993年のビル・クリントン政権発足に当たっては、この議論に参加した多くの研究者がワシントンにノミネートされ、政権の枢要なポストに就いた。その影響もあるのだろう、当時の議論の方向性は、その後の米国政策の方向性と概ね一致している。

 1992年1月、当時のCIA長官ロバート・ゲイツ氏(のちの国防長官)は既に次のように語っていた。

 「これまでCIAの活動は対ソ監視に重点を置いてきたが、今後は全力を挙げてその情報収集と諜報活動の狙いを米国と経済および技術競争の国に向ける」

 クリントン氏は大統領選挙期間中「冷戦が終わった。そして日本とドイツが勝利した」と露骨に日本とドイツに対する非難キャンペーンを実施して勝利した。クリントン大統領は就任後、大胆な経済戦争に打って出る。その際、米国の情報機関による諜報活動を「経済および技術競争の国に向ける」という冷戦後の方向性が決定づけられた。


(引用者注:パパブッシュが大統領時代の91年1月17日~3月3日に湾岸戦争、アメリカはこれに勝利したがその後は疲弊したアメリカ経済の建て直しが叫ばれ、クリントンが93年から大統領になった。尚クリントンの大統領選挙でのスローガンがコレ、"It's the economy, stupid!"「経済こそが問題なのだ、愚か者!」(1992年大統領選挙の際のスローガン)、そして選挙演説では日本が敵国だと叫んでいた。)

日本とドイツから平和の配当を回収せよ

 政権発足後、クリントン大統領がまず手がけたのは「国家経済会議(NEC)」を設置したことである。

 目的は冷戦最大の受益者、日本とドイツから「平和の配当」を回収することであり、これを政権最大の経済戦略とした。CIA本部内には「貿易戦争担当室」まで設置し、手段を選ばず経済戦争に打って出た。このときのCIA長官はロバート・ゲーツ氏が留任していたのである。

(引用者注:1989年、ベルリンの壁が崩壊、そして91年12月25日、ソ連が崩壊する。
そんな中で1992年2月7日に欧州連合条約が署名、1993年11月1日、欧州連合条約が発効し、欧州連合が発足した。
つまりアメリカが日本とドイツ叩きをしようとした時、ドイツはEUと言う新しい枠組みに逃げ込んでしまった。)

 こういった米国の動きは、日本ではなぜかほとんど報道されなかった。冷戦時、漁夫の利を享受しつつ、ぬるま湯にどっぷりと浸かり、惰眠から覚めやらぬ日本は、国益を巡りアンダーテーブルで熾烈な諜報活動が行われる厳しい国際社会の実態が理解できなかった。

 そればかりか、同盟国である米国が日独にかざす刃にも気づかなかった。結局、これが同盟漂流、そして失われた20年の始まりだったわけである。
(引用者注:日独と言うがドイツはEUと言う新しい枠組みに入ってしまった。クリントン大統領が日本は敵国と名指しで言うのはこんな理由である)

 1993年だけでもCIAによって発覚させられた贈収賄事件は51件あり、これによって米企業にもたらされた契約金は約65億ドルと公表されている。公表されるのはもちろん、合法で差し支えないものだけである。

 日本企業が外国との商談を直前になって米企業に取られたり、取引を突然、米企業に奪われた事例も数多くあった。これらは既にゲーツ長官が暗示していたことだ。もちろん、非公然活動ゆえ、真相はすべて闇に葬られ、表に出ることはなかった。

 また、法と秩序を口実とした恐喝まがいの巨額訴訟で大損害を被った日本企業も多かった。

 3400万ドルを支払った三菱セクハラ訴訟、燃料パイプ検知器欠陥訴訟で巨額の民事制裁金を要求されたホンダとトヨタ自動車。パソコンのキーを22万回叩けば1回出るか出ないかのバグにより東芝は1000億円支払わされている。これらも諜報組織が絡んでいたと言われている。

 2000年2月には、電子盗聴網システム「ECHLON」の存在が暴露された。これはNSAが運営する暗号解読部隊を発展させた高度な技術を有する全世界通信傍受システムである。このときも欧州議会は産業スパイ疑惑解明のための暫定委員会を設置している。

・・・以下略、詳細は本文末尾に全文掲載しているので参照ください。・・・

<引用終り>


 さて、ここからは私の思い出話を少々。
バブル崩壊(1989年12月)後の円高不況の中で仕事では七転八倒状態が続いた。
何年も苦しんだのち得た結論、それは「日本ではもはやこれ以上の成長は望めない。だから海外に打って出て新天地で新たな成長を目指そう」、こんなモノだった。
その為海外に工場を作り、やっとそれが操業を始めた途端アジア通貨危機(97年7月、タイから始まった)。
設立直後の工場は1日動かせば1か月分以上の製品が出来てしまうと言う悲惨な状況いなってしまった。
結局私も98年初頭からタイで仕事をする事になり、それが延々と・・・

さてこんな状況だったのだが、この織田國男氏が報告しているアメリカの日本敵視政策。
そして「日本とドイツから平和の配当を回収せよ」、こんな考え方など当時は想像だにしなかった。
しかしタイでアメリカ系の企業などとも付き合ってみると、なるほどこの通りだと納得できる。

今思えば1993年はクリントン大統領が仕掛けた「日米経済戦争」の始まり、そして1998年10月、金融ビッグバンと呼ばれる日米経済戦争の敗戦へとつながり、それがずっと尾を引いて「失われた20年」となった。
物造りの現場で日夜悪戦苦闘している時、こんな大局的な見方などとてもできない。
しかし今思えばこんな背景だったんだなあ・・・ 正に忸怩たる思いである・・・

さて此れが失われた20年。

2015-1-21日本のGDP推移(失われた20年)

但しここで失われた20年間、日本は何もしていなかったかと言うとそうでは無い。
実はステルス成長していたのだ。
以下参照ください。
「誰も知らない1.8個分の日本<レコードチャイナの報道です」
http://tansoku159.blog.fc2.com/blog-entry-366.html
海外で仕事をしている人は皆さんこの「ステルス成長」をしようと頑張っているのだが、この話は別の機会にします。
一つだけ、東日本大震災後とその後の原発停止で膨大な貿易赤字を出し続けながらもトータルの国際収支が赤字にならない原因が此処に有る事だけは留意ください。



所でCIAの話が出てきたが、その当時CIAの長官をしていたのが後の国防長官ゲーツ氏。
そのゲーツ氏の話が下記に載っている。(2010年3月15日のブログ記事)
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-15

<以下引用>
上記短文はゲーツ長官の昨年10月(引用者注:2009年10月の事)の来日時の発言を巧みに引用しています。各種会談を終了した後、防衛省の講堂で日米共同国防相会見に望んだゲーツ長官の発言
私は93年に政権を離れ2006年に復帰しました。この13年間で本当に一つ気づいたのは、日米関係は大変改善された、米日同盟は13年前と比べて大変緊密になってきたと言うことです。
軍事的な観点からは、同盟の一番の目的は日本の安全保障を確保することだと思います。この防衛の傘は日本を50年間守ってきました。お陰で日本の防衛予算はGDPの約1%であることを可能にしています。

話は前後しますが、93年にCIA長官を退任して政権を離れた当時は、日米関係が「数値目標」「ジャパンバッシング」で殺伐としていたときで、当時のゲーツCIA長官も92年1月の会見で・・・
これまでCIAの活動は対ソ監視に重点を置いてたが、今後は全力を挙げてその情報収集と諜報活動の狙いを米国との経済及び技術競争の相手国に向ける。
と明言し、「日本やドイツを冷戦の勝利者」とするクリントン政権を支えた実績があります。


<引用終り>


長々と書きました。こんな事を書く理由は・・・
最近アチコチでアメリカの反日的な言動が目につきます。
特に手下のコリア・チャイナを使った言動が多いと思っています。
そしてこの裏にはアメリカの壮大な戦略が有る、そう見ていいでしょう。

しかしアメリカは一つではありません。二つの全く違う面を持った国、それがアメリカなのだと思います。
だからゲーツ元CIA長官としては経済戦争の仕掛け人としての考え方。
そしてゲーツ元国防長官としてはアメリカの同盟国としての親日的な考え方、それが出ているのではないでしょうか。
そんな中で日本がこれから生きていく道、これを一人一人が考えねばいけない、そう思っています。

丁度昨日イスラム国と名乗るテロ組織から日本人ひと実殺害予告が出てきました。
そんな現実を踏まえて明日を考えていきたいと思います。



最後になりましたが織田氏の記事全文を以下に引用掲載します。

<以下全文引用>

米国の諜報活動では、日本は最大敵国の1つ
スノーデン事件から日本が学び、すべきこと

2013.07.09(火) 織田 邦男

米国中央情報局(CIA)元職員、エドワード・ジョセフ・スノーデン氏による暴露が話題になっている。

 2013年6月、スノーデン氏は香港でメディア(ガーディアン、ワシントン・ポストおよびサウスチャイナ・モーニング・ポスト)の取材を受けた際、米国家安全保障局(NSA)による個人情報収集の手口を告発した。

各国代表団のスマホまで念入りにチェック

 英紙ガーディアンによると、米当局が日本やフランスなど同盟国を含む38の在米大使館や代表部を盗聴の対象にし、特殊な電子機器などを使って情報収集を行っていたという。

38の盗聴対象には、米国と対立関係にある国に加えて、ドイツ、フランス、イタリア、ギリシャといった欧州連合諸国のほか、日本、インド、韓国、トルコなども含まれていた。
 
スノーデン氏が持ち出した極秘文書によると、2009年4月のG20首脳会合と9月のG20財務相・中央銀行総裁会議において、英国政府も通信傍受機関を使って秘密情報を違法に収集していたことが判明した。
 
手口としては各国代表団のノートパソコンを通じ、電子メールを傍受する。代表団のスマートフォンに侵入して電子メールや通信履歴を入手する。通信傍受のために、インターネットカフェを設置するなどが挙げられている。
 
その他、NSAがG20でロシアのドミトリー・メドベージェフ大統領(当時)の衛星通話の盗聴を試みたことも暴露されている。

 米国による一連の情報収集問題で日本公館への盗聴工作が明らかになったのは初めてという。菅義偉官房長官は記者会見で、外交ルートを通じて米政府に事実関係の確認を求めていることを明らかにした。

 1995年、ジュネーブで行われた日米自動車交渉で、CIAが日本担当官の国際電話を盗聴したことが表面化したことがある。日本の外交関係筋は「盗聴を前提に在外公館では日常業務を行っている」と述べているが、国際社会では盗聴やハッキングは日常行われている行為だと思わなければならない。

 今回の報道振りを見て、筆者は正直なところ「何を今さら」との思いを深くした。


 筆者が1992年から93年にかけて、米国の大学に留学していた頃のことである。学内の関心はもっぱら冷戦の総括と冷戦後の米国戦略についてであり、連日活発な議論がなされていた。

 当時の議論には大きく3つのポイントがあった。1つは冷戦で巨大化した軍隊をどのようにダウンサイズするか。2つ目は3万人にも膨れ上がった核兵器の技術者を今後どう処遇していけばいいのか。3つ目は冷戦時に対ソ監視に重点を置いてきた情報機関、諜報網をどうするのかの3点である。

冷戦後、米国のターゲットは日本とドイツに

 いずれの議論も大変新鮮であり、興味を引くものであった。1番目と2番目は本稿の主題ではないので省略するが、3番目の論点、つまり情報機関、諜報網については今回のスノーデン事件と直接関連がある。

 学内では、米国に亡命した元KGB(ソ連国家保安委員会)の将軍を招聘して講演させたり、元諜報関係者の生の声を聞いたり、冷戦終焉直後ならではの企画が数多くあった。

 これまで闇に埋もれていた諜報機関の実態を正確に把握したうえで、将来のあるべき姿を模索しようという超大国ならではの矜持と懐の深さを感じ、日本人留学生として非常に感銘を受けた記憶がある。

 ただ、この時、学内での大勢の意見が、「冷戦が終わった現在、今後は情報機関や諜報網を経済戦争に使うべきである」といった驚くべき方向性であったことが印象的だった。

 当時、米国の経済戦争の対象は、日本とドイツであることは明らかであった。セミナーには日本人、ドイツ人留学生が参加していることは、十分承知のうえで、遠慮なく堂々と、このような議論がなされることに対し、ある意味、米国の恐ろしさを感じたものである。

 1993年のビル・クリントン政権発足に当たっては、この議論に参加した多くの研究者がワシントンにノミネートされ、政権の枢要なポストに就いた。その影響もあるのだろう、当時の議論の方向性は、その後の米国政策の方向性と概ね一致している。

 1992年1月、当時のCIA長官ロバート・ゲイツ氏(のちの国防長官)は既に次のように語っていた。

 「これまでCIAの活動は対ソ監視に重点を置いてきたが、今後は全力を挙げてその情報収集と諜報活動の狙いを米国と経済および技術競争の国に向ける」

 クリントン氏は大統領選挙期間中「冷戦が終わった。そして日本とドイツが勝利した」と露骨に日本とドイツに対する非難キャンペーンを実施して勝利した。クリントン大統領は就任後、大胆な経済戦争に打って出る。その際、米国の情報機関による諜報活動を「経済および技術競争の国に向ける」という冷戦後の方向性が決定づけられた。

日本とドイツから平和の配当を回収せよ

 政権発足後、クリントン大統領がまず手がけたのは「国家経済会議(NEC)」を設置したことである。

 目的は冷戦最大の受益者、日本とドイツから「平和の配当」を回収することであり、これを政権最大の経済戦略とした。CIA本部内には「貿易戦争担当室」まで設置し、手段を選ばず経済戦争に打って出た。このときのCIA長官はロバート・ゲーツ氏が留任していたのである。

 こういった米国の動きは、日本ではなぜかほとんど報道されなかった。冷戦時、漁夫の利を享受しつつ、ぬるま湯にどっぷりと浸かり、惰眠から覚めやらぬ日本は、国益を巡りアンダーテーブルで熾烈な諜報活動が行われる厳しい国際社会の実態が理解できなかった。

 そればかりか、同盟国である米国が日独にかざす刃にも気づかなかった。結局、これが同盟漂流、そして失われた20年の始まりだったわけである。

 1993年だけでもCIAによって発覚させられた贈収賄事件は51件あり、これによって米企業にもたらされた契約金は約65億ドルと公表されている。公表されるのはもちろん、合法で差し支えないものだけである。

 日本企業が外国との商談を直前になって米企業に取られたり、取引を突然、米企業に奪われた事例も数多くあった。これらは既にゲーツ長官が暗示していたことだ。もちろん、非公然活動ゆえ、真相はすべて闇に葬られ、表に出ることはなかった。

 また、法と秩序を口実とした恐喝まがいの巨額訴訟で大損害を被った日本企業も多かった。

 3400万ドルを支払った三菱セクハラ訴訟、燃料パイプ検知器欠陥訴訟で巨額の民事制裁金を要求されたホンダとトヨタ自動車。パソコンのキーを22万回叩けば1回出るか出ないかのバグにより東芝は1000億円支払わされている。これらも諜報組織が絡んでいたと言われている。

 2000年2月には、電子盗聴網システム「ECHLON」の存在が暴露された。これはNSAが運営する暗号解読部隊を発展させた高度な技術を有する全世界通信傍受システムである。このときも欧州議会は産業スパイ疑惑解明のための暫定委員会を設置している。

 今回のスノーデン事件と同様、ECHLONにも英国が一枚噛んでいた。この時も「大多数の先進国がやっていること」と英国が欧州議会沈静化に一役買っている。

 アングロサクソンにとっては、情報を巡っての暗闘、つまり「アヒルの水かき」は日常の所作に過ぎない。歴史をひもといても、事例は枚挙にいとまがない。世界規模の盗聴システムは、ECHLON以外にもフランスやロシアが保有している可能性も指摘されている。


最も利己的な存在が国家であり、米国はその最たるもの

 2000年3月、ジェームズ・ウルジー元CIA長官(ゲイツ長官の前任者)が記者会見で次のように述べている。開き直りとも言える発言はECHLON事案の信憑性を裏づける。

 「我々は過去にヨーロッパの贈収賄活動をスパイしていた。米国は今もその種の活動の監視を続けていることを期待する」「他国の民間企業や政府が行っている不正行為の情報を収集することはずっと以前から米国政府に容認されてきた」

 ウルジー元長官は不正行為の摘発といった合法の分野にのみ言及しているが、合法の分野を炙り出すには非合法の分野まで活動範囲を広げなければならないことは誰でも分かる。

 これら諜報活動は今回のスノーデン事件同様、全く驚くには値しない。また今さら驚くようではいけないのだ。

 国際社会において、国家は最も利己的な存在であり、国益追求のためには、手段は選ばないのが「普通の国」である。日本以外の先進諸国は、どこの国でもやっているいわば公然の秘密活動なのである。

 フランスのフランソワ・オランド大統領は「テロの脅威が存在するのは、我々の大使館やEUではない」と非難した。

 だが、この非難をニュースに真剣に取り上げる国は日本くらいである。自分たちもやっている活動は棚に上げ、実態を百も承知のうえで米国の活動を非難する。これは実は諜報活動での米国との暗闘なのである。米国の諜報活動を萎縮させ、自らの諜報活動にフリーハンドを与えるための手段に過ぎないのだ。

 今回スノーデン氏は、香港紙とのインタビューで、NSAによるハッキング工作は世界全体で 6万1000件以上に達していると述べた。これまでの電話や電信の盗聴から、活動範囲がインターネットに広がり、かつての「不正行為の摘発」という大義名分が「テロの未然防止」に変わっただけである。


 英紙ガーディアンは、英国政府の通信傍受機関「政府通信本部(GCHQ)」が過去1年半、光ファイバーケーブル経由の国際電話や電子メールの通信情報を傍受し、米国のNSAとも共有していたと報じた。

 同紙によると、通信傍受の対象は大西洋を横断する英米間の海底ケーブル、電話の会話、電子メールやソーシャルメディアの内容、インターネット利用者の接続記録などであり、一般市民の通信情報も傍受されていたという。


自国以外すべての国が仮想敵国=チャーチル

 英情報筋は同紙に対し、法律内で行われ、深刻な犯罪を防いだことがあったと説明している。デービット・キャメロン英首相もこれまで「英国の法律内で実行されている」と述べている。

 英国は今でこそ中流国家とはいえ、もともと7つの海を制した国であり、情報を最も大切にする「ジェームズ・ボンド」の国である。米国の情報活動の陰には、必ず英国がいる。

 ポーカーゲームは、手中のカードを対戦相手に知られたら、その時点でゲームセットである。国家間の交渉はポーカーゲームに似て、情報は死活的に重要である。

 かつてウィンストン・チャーチルは「英国にとって仮想敵は?」と聞かれ、「英国以外のすべての国」と答えたという。

 近々、日本はTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉に参加する。国家を挙げての熾烈な国益争奪戦である。日本以外の国はすべて敵だとの認識がまず必要である。もちろん、同盟国の米国も例外ではない。

 日本は今回のスノーデン事件に驚いているような場合ではない。国家間の盗聴やハッキングを制約するものは現在何もない。国際条約もなければ、国家間の取り決めもない。あるのは当該国の国内法の縛りだけである。国際社会では無秩序、無法状態にあるのだ。

 各国は国益争奪のため、必死で諜報活動を実施していることを、改めてスノーデン事件は教えてくれた。

 日本版NSA創設の議論もなされているようだが、厳しい国際社会の現実を直視した組織の設立、そして活動範囲と任務付与が求められる。

 当面、TPP交渉にあたっては、我が国も急ぎ情報収集体制を構築するとともに、特に担当者の防諜意識、そして防諜体制を根本から見直すことが喫緊の課題となっている。

<引用終り>
  1. 政治
  2. TB(0)
  3. CM(8)

コメント

禁酒法が終わった時、FBIの余剰人員をどうするか考えて 大麻を非合法にしてFBIに取り締まりをやらせたと聞きます。

日本が半導体で韓国に負けたとき いろいろな原因が書かれました。一番の原因はアメリカが韓国を応援し(技術を教えるなど) 日本に対してはいろいろ邪魔をしたのだと考えています。

非常に過激に沖縄返還運動が行われ、結果帰って来た(佐藤内閣が素晴らしいとの評価がなされました)のですが、黒幕は中国だったのだと考えています。アメリカはを沖縄を自分のものにしたがっていた。それを察知した中国は許せるわけがなかった。
  1. 2015-01-21 16:41
  2. URL
  3. 八目山人 #4lXsiBFM
  4. 編集

ISISの人質

今回、ISISの人質になった、後藤健二さんは、
日本基督教団の信徒との事です。

http://www.christiantoday.co.jp/articles/13401/20140530/goto-kenji.htm

日本基督教団は、せと弘幸さん によると、反日組織との事です。

http://blog.livedoor.jp/the_radical_right/archives/53055841.html

以上の事はデマかも知れません。
人の命がかかっている事なので、うかつな発言は止めておきます。



  1. 2015-01-21 18:55
  2. URL
  3. 指圧屋 #-
  4. 編集

すみません。記事が長くて半分くらいで読むのを止めてしまいました……
という事なので、的外れな意見になるかもしれませんがご容赦を……

まあアメリカは昔から『正義の味方』ではないと言われ続けてましたからね。
このくらいで驚かなくなってしまったのが怖いところですが
正直、アメリカにとって日本は家畜かそれ以下の存在なのかもしれません。
何だかんだと口出しや、それなりの防衛をしてくれるのは
アメリカの国益につながるからなのでしょう。

なら……難しいかもですが、日本はそんなアメリカを
思い切り利用すればいいだけです。借りてやりましょう、虎の威を。
  1. 2015-01-21 19:58
  2. URL
  3. ハロン棒 #-
  4. 編集

To:八目山人さん

> 禁酒法が終わった時、FBIの余剰人員をどうするか考えて 大麻を非合法にしてFBIに取り締まりをやらせたと聞きます。
>
> 日本が半導体で韓国に負けたとき いろいろな原因が書かれました。一番の原因はアメリカが韓国を応援し(技術を教えるなど) 日本に対してはいろいろ邪魔をしたのだと考えています。
>
> 非常に過激に沖縄返還運動が行われ、結果帰って来た(佐藤内閣が素晴らしいとの評価がなされました)のですが、黒幕は中国だったのだと考えています。アメリカはを沖縄を自分のものにしたがっていた。それを察知した中国は許せるわけがなかった。


禁酒法の話、知りませんでした。でも聞いてなるほどです。

それから半導体で韓国に何故負けたか、興味深い意見だと思いますが、本文に書いたような経緯なら大いにありうる話でしょうね。
それもこれもアメリカにとって日本は正に不倶戴天の敵、そんな存在なんです。
一番の問題は日本が人種差別も奴隷制度も無い国、アメリカは未だに人種差別と(非公式の)奴隷制度で一部の特権階級が儲けている国。
そんな所がアメリカには実に困った存在。
そのいい例がトヨタとGMの合弁会社NUMMIをGMが一方的に契約破棄した話でしょう。
表面的には出ていませんが、トヨタ式の平等主義がGMには実に困った存在だった、そうだと思います。
まだまだこの文明の衝突は続きますね。
  1. 2015-01-21 21:52
  2. URL
  3. 短足おじさん二世 #-
  4. 編集

Re: ISISの人質

> 今回、ISISの人質になった、後藤健二さんは、
> 日本基督教団の信徒との事です。
>
> http://www.christiantoday.co.jp/articles/13401/20140530/goto-kenji.htm
>
> 日本基督教団は、せと弘幸さん によると、反日組織との事です。
>
> http://blog.livedoor.jp/the_radical_right/archives/53055841.html
>
> 以上の事はデマかも知れません。
> 人の命がかかっている事なので、うかつな発言は止めておきます。


なるほど、情報ありがとうございます。
私も今日のNHK-TVを見ていまして同じ感想を持ちました。
キリスト教の内、特にプロテスタント系は反日が多いです。(K国も同じですが)
或る教会などは讃美歌の代わりに「インターナショナル」をうたった事も有るのだとか・・・
(アカヒの松井やよりのオヤジの教会がそうだったとの事)

個人の信仰についてはとやかく言うべきではありませんが、自分の信仰だけが唯一絶対で他のモノを受け付けない、この考え方はダメですね。
矢張り八百万の神々のいる国が良いです。
  1. 2015-01-21 22:06
  2. URL
  3. 短足おじさん二世 #-
  4. 編集

To:ハロン棒さん

> すみません。記事が長くて半分くらいで読むのを止めてしまいました……
> という事なので、的外れな意見になるかもしれませんがご容赦を……
>
> まあアメリカは昔から『正義の味方』ではないと言われ続けてましたからね。
> このくらいで驚かなくなってしまったのが怖いところですが
> 正直、アメリカにとって日本は家畜かそれ以下の存在なのかもしれません。
> 何だかんだと口出しや、それなりの防衛をしてくれるのは
> アメリカの国益につながるからなのでしょう。
>
> なら……難しいかもですが、日本はそんなアメリカを
> 思い切り利用すればいいだけです。借りてやりましょう、虎の威を。


長すぎるエントリー、失礼しました。
アメリカにとって日本は家畜以下の存在、その通りだと思っていたのです。
しかし日露戦争で何と当時世界最強と言われたロシア艦隊を全滅させてしまった。
大東亜戦争でも例えば零戦、飛行機を始めて飛ばした国アメリカの戦闘機と比べても当時無敵の存在だった。
アメリカにとっては二度と立ち上がれないようにしないといけない国だったんです。
GHQの政策はすべてこの一点で固まっています。

しかし戦後木端微塵の筈だった日本がいつの間にかまた立ち上がってきた。
そしてアメリカの誇りGMを追い詰めるようになってきた。
このエントリーはそんな日本に対しクリントンが牙をむいたと言う話しです。

そして本文には書きませんでしたが、オバマの残り2年、これは日本に対する3度目の経済戦争になる筈だったのがイスラム国が出てきておかしくなってしまった。
そんな風だと理解しています。
  1. 2015-01-21 22:17
  2. URL
  3. 短足おじさん二世 #-
  4. 編集

uPD765のバグとは懐かしい。

こんばんわ。

些細な話ですが、東芝のパソコンの件。
uPD765はNECが開発して広くPCに使われているFDC(フロッピーディスクコントローラー)ICですが、これには既知のバグがあることが知られており、当初の訴訟の標的企業はNECだったようです。
IBMのマルチタスクOS開発途上で問題が発覚し、NECの方では90年以前に対策が施されていました。Windows95が発売された際に、Microsoftの driverがこのバグに対応していないことが判り、未対策のICの可能性を考慮してNECからは早々に修正モジュールが出ていました。
東芝のPCに使われていたのは、正規のライセンスに基づかない互換品であり、この件でNECの承諾は得ていたらしいのですが、バグまで引き写しており、対策が行われていなかったため、東芝だけが訴えられたようです。
問題を把握しながら隠していたと言われれば、東芝に分が悪いのですが、なぜ多額の和解金で早期に幕引きを計ったのか、東芝内部の問題ではないのか、何か裏取引があったのではないか、未だに謎が残る事件です。

何かと問題の多い東芝ですが、ウェスチングハウスエレクトリックの原発部門が東芝の傘下に入っています。昔のロックフェラーセンターの買収劇に照らせば、何らかの問題提起がありそうですが、静かなものです。
また東芝PC事件と同時期に、日米貿易摩擦で槍玉に挙げられたスパコンですが、クレイ社の画策でアメリカからNECを追い出してはみたものの、技術の維持ができず、結局NECからOEM供給を受けているような状況です。

時の政権の違いに拠るものなのか、時代の変化なのか、よく分かりません。
「日本はズルいことをしている」とか「倫理無き資本主義」という偏見で煽る人には困り物ですが、GMのあの体たらくといい、虎の子の航空機産業の外注化といい、あれだけドル安が続いたのにアメリカの製造業全般が衰えている、その裏返しだと感じるのは私だけでしょうか。
  1. 2015-01-24 02:26
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Re: uPD765のバグとは懐かしい。

> こんばんわ。
>
> 些細な話ですが、東芝のパソコンの件。
> uPD765はNECが開発して広くPCに使われているFDC(フロッピーディスクコントローラー)ICですが、これには既知のバグがあることが知られており、当初の訴訟の標的企業はNECだったようです。
> IBMのマルチタスクOS開発途上で問題が発覚し、NECの方では90年以前に対策が施されていました。Windows95が発売された際に、Microsoftの driverがこのバグに対応していないことが判り、未対策のICの可能性を考慮してNECからは早々に修正モジュールが出ていました。
> 東芝のPCに使われていたのは、正規のライセンスに基づかない互換品であり、この件でNECの承諾は得ていたらしいのですが、バグまで引き写しており、対策が行われていなかったため、東芝だけが訴えられたようです。
> 問題を把握しながら隠していたと言われれば、東芝に分が悪いのですが、なぜ多額の和解金で早期に幕引きを計ったのか、東芝内部の問題ではないのか、何か裏取引があったのではないか、未だに謎が残る事件です。
>
> 何かと問題の多い東芝ですが、ウェスチングハウスエレクトリックの原発部門が東芝の傘下に入っています。昔のロックフェラーセンターの買収劇に照らせば、何らかの問題提起がありそうですが、静かなものです。
> また東芝PC事件と同時期に、日米貿易摩擦で槍玉に挙げられたスパコンですが、クレイ社の画策でアメリカからNECを追い出してはみたものの、技術の維持ができず、結局NECからOEM供給を受けているような状況です。
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> 時の政権の違いに拠るものなのか、時代の変化なのか、よく分かりません。
> 「日本はズルいことをしている」とか「倫理無き資本主義」という偏見で煽る人には困り物ですが、GMのあの体たらくといい、虎の子の航空機産業の外注化といい、あれだけドル安が続いたのにアメリカの製造業全般が衰えている、その裏返しだと感じるのは私だけでしょうか。


東芝の件はそんな事情だったんですか、知りませんでした。
この当時はまだ日本に居たのですが猛烈に忙しい時代、世間の話など全く知らない事ばかり。
今流に言えばガラパゴス人間そのものでした。

そんなこんなでアメリカの製造業を見てみるとご指摘の様に衰退が激しい。
最早日本の力なくしては成り立たないでしょう。
航空機に関してもボーイング787のあの体たらく、アウトソーシングと言う名の外注丸投げ。ダメですね。
オマケに知らないうちに外注先がコリアにまでなってしまっている。

私はタイではGMとも付き合っていましたので彼らのやり口は良く分かります。
彼らの頭の中は「金儲け」、それだけです。
良いモノを作ろうとか、良いサービスを提供しようなどと言う概念そのものが有りません。
GMの次なる破綻が近いと見ています。
  1. 2015-01-24 16:16
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  3. 短足おじさん二世 #-
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