2014-11-05 13:19

揺れる橋<そのまた続編

 韓国で出来たばかりの長大吊り橋が揺れると言う問題をエントリーしたのだが、皆さんから色んなコメントを頂いた。
実は私も橋の専門家でもないので詳しくないのだが、色々調べた所や知る所を纏め直してみた。

最初に多くの情報を寄せていただいた皆さんに感謝します。
それから李舜臣大橋が橋桁に補剛トラスの無い構造ですが、これは日本に類似構造の橋が有りました。
この様な橋をセバーン橋タイプと言うそうで、イギリス式なのだそうです。
この詳細については後述します。


それでは吊り橋とはどういうものかという事の為、ちょっと色んな吊り橋を見てみます。

これは金嬉老で有名になった静岡県の寸又峡にある「夢の吊り橋」

2014-11-4寸又峡の夢のつり橋赤丸つき
夢の吊り橋と言う名前ですが、美しい山とダム湖、水の色が青くて素晴らしい景色。
新緑と紅葉の季節は実に美しい所です。
但しみて分かるように見るからに怖そうな橋。橋のたもとまで来て引き返す人が多いです。尚橋は一方通行なので途中まで行ってからは引き返す事は出来ません。
所で妙な所に赤丸が有りますが、これは揺れ止めワイヤーが分かるように書きこみました。
ちょっと目には判りませんが、谷を渡る風が強いので揺れ止めが無いと大変だと思います。

それでもこの橋の入り口の標識
2014-11-4寸又峡の夢のつり橋人数制限
重量オーバーは危険なので人数制限


そしてこれは平家の落人の話で有名な徳島県の祖谷のかずら橋
2014-11-4祖谷のかずら橋3
幾ら昔からと言っても大丈夫か? 実は種明かし、かずら橋ではあるが現在は安全の為中にワイヤーが通してある。
だから全く心配はない。 でも見た目は怖そうですね。
昔々、一度だけ行ったことが有るが、その頃は人出もまばら、でも今は人気の観光スポットの様です。

恐る恐る渡るボクちゃん。
2014-11-4祖谷のかずら橋2
・・・だって怖いんだよ、下は見えるし、大きなオジちゃん、おにいちゃんが動くたびに揺れるんだよ・・・


さて話はガラッと変わって、吊り橋と言うのがどんなに厄介なものか、そんなモノのサンプル。
これは1850年、フランス・アンジェールでの橋の崩落、多数の死傷者を出したアンジェールの惨劇。
2014-11-4フランス・アンジェールの橋の崩落1850年

何故崩落したのか、風でも吹いたのか? 重量オーバーだったのか?
これは橋の上をフランス軍の歩兵大隊が足をそろえて行進した、それと橋の固有振動サイクルが合致したので大きく振動し崩落したもの。
吊り橋を設計する人が必ず耳にする話だが、もう160年以上前の話。今は如何なんだろう。
昔の日本軍は行進する時、橋の上だけは足並みをそろえてはいけない、そんな事を言っていたと聞いた事が有る。
今もそんなこと言っているんだろうか。

こんな事例を並べたのは吊り橋と言う便利なモノは注意点が沢山ある。
特に通行する人や車の重量、風での揺れ、そして橋の振動である。
中でも振動は兵士が足をそろえて行進しただけで橋が崩壊する(アンジェール橋の事例)、風が吹いても崩壊する(タコマ橋の事例)、こんな厄介な代物である。



さて本題に戻って、李舜臣大橋である。
この橋は橋桁の補剛トラスが無い、メインケーブルが非常に細い、主塔の左右でケーブルの張り方がアンバランスといった特徴が有る、
こんな箱型断面の橋桁を持った吊り橋をセバーン橋タイプと言うそうで、日本でも採用実績が有る。
こんな資料にその概要が書かれていた。
http://www.kajima.co.jp/gallery/const_museum/hashi/history/05/main5.html#003c

<以下その内容を引用する>
吊り橋の形を変えたセバーン橋

©本州四国連絡橋公団

セバーン橋には、橋桁を軽くする技術が採用されています。橋桁をトラス形式の補剛桁に代えて、飛行機の翼のような流線型断面をもつ箱桁としたのです。 これによって、橋桁が受ける風を上下面に流すことができ、使用する鋼材が少なくてすむ上、主塔もケーブルも細くなり、橋のデザインがスリムで軽やかな印象を与えます。建設コストも、同規模のフォース道路橋に比べて、3分の2に抑えられたそうです。以後、この形式は、イギリス型と呼ばれるようになり、1973年トルコのイスタンブールに架けられた第1ボスポラス橋(span=1074m)、1989年のスルタン・メハメット橋(第2ボスポラス橋、span=1090m)、そして、1981年ハンバー川の河口に架けられた、ハンバー橋(span=1410m)などがこの形式を採用しています。ハンバー橋は、明石海峡大橋ができるまで世界一の座を保ちました。

 本州四国連絡橋でも、西瀬戸自動車道の伯方・大島大橋、来島第一・第二・第三大橋がこのタイプの橋です。

<引用終り>

そして現在建設中の韓国蔚山大橋も本四高速が地中式アンカレイジの技術指導を2011年からしているようだ。
2011年03月10日
本州四国連絡高速道路株式会社
韓国「ウルサン大橋トンネル式アンカレイジに関する技術指導」業務の受注について


本四高速はどうもカノ国に取り込まれ、技術をパクられたらしい。

がしかし、このタイプの橋は問題が無いのだろうか。
最初に吊り橋に関しての主要な課題、重量、風、振動を取り上げた。
特に重量に関しては最近トラック、なかでもコンテナトラック(トレーラー)は重量がどんどん重くなってきている。

こんなトラックを見たことが無いだろうか。これは海上輸送用の40フィートコンテナとそれを乗せたトレーラー
2014-11-5コンテナトラック

このコンテナ、今は海上輸送の主流で殆どのモノがコレで運んでいる。
40フィートだから長さは12.2メートル、重量は30トンある。トラックを入れると36トンくらい。

尚日本で普通此れを見かける事は多くない。その理由は大きすぎ、重すぎるため日本では走れる道路が限定され、しかも許可がいる。日本が物流で世界に大きく立ち遅れた原因の一つなのだ。

さて李舜臣大橋である。
この橋は元々産業道路である。普通の乗用車などの通行よりも大型トラックやトレーラーの通行の方が遥かに多い。
2014-11-5李舜臣大橋を通行中のトラック
そして
許容荷重40t未満の橋に100tのトレーラーが通るのは想定外

橋の早期損傷の原因は積載貨物ベースの総荷重が40t未満に設計されているが、麗水(ヨス)と光陽産業団地を出入りする全荷重が70〜100tに及ぶ大型車両が通行しているからである。
http://blogs.yahoo.co.jp/illuminann/12229150.html

こんな話である。

そしてこれはfcq821さんに紹介いただいた韓国の報道。
http://translate.google.co.jp/translate?hl=ja&sl=ko&u=http://www.penews.kr/news/articleView.html%3Fidxno%3D12163&prev=search

此れによれば今回の橋の振動を運転手の話
「当時橋の上を走っていた運転手は、「アスファルトが瞬間的に下にすっと消えたが再度湧き上がっ打撃を数十回繰り返した」「前方の道が上り下りするのが見えるほどチュルロンゴリョトダ。 揺れる程度があまりにもひどかった」と述べた。」

こんな話で、だからこそトラックを橋の上に乗り捨てて徒歩で逃げたなんて事が起こる。


結論としてこの箱型断面の橋桁の橋は荷重には弱いのだ。
勿論いくつかの橋で実績が有るから駄目という訳ではない。しかし特定の条件下では問題ないと言って良いのではないだろうか。
だから日本でも本四高速で採用したものの他の橋の波及しないのではないだろうか。


冒頭上げた鹿島の資料ではこんな事が書いてある。(第6章)

6-3 瀬戸大橋の列車通行試験
 
瀬戸大橋は上段を車、下段を列車が走るダブルデッキ構造です。 1100mの瀬戸大橋に1000トンの列車を時速100kmで走らせることは、世界でも経験したことがありません。そのため、吊り橋に重量列車を通す緩衝桁を開発しました。

橋の完成後、16両編成の新幹線の重さにあたる1000トンの列車を走らせたところ、橋の中央部で約80cm下がりました。 しかし、橋桁の下降はこれ以上になります。 真夏の太陽が照りつける日中にはケーブルが伸びて約3m下がります。 また、貨物列車が橋の中央ですれ違い、上段では大型トラックがびっしり渋滞になるという一番荷重のかかる条件を想定すると、橋にかかる重量は8240トン、橋桁は最大5.1m下がる計算になります。

・・・以下略・・・

1000トンなどと言うと凄い重さと思うが、過積載のコンテナトラックなら十数台、規定量だけ積んだとしても25台で1000トンになる。
こんな簡単な事が想定されてないのではないだろうか。

この橋は設計段階から全くおかしい、手抜きである。
そして多分日本の橋のパクリではないかという気がする。
パクられたのは本四高速の橋。
そんな事がこの話から垣間見える。
もう韓国とは関わらない、これで徹しないといけないと思う次第。
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コメント

 セバーン橋なら振動防止のトラスは無いと言うことですか?
 来島海峡第二大橋の写真など見ると確かにトラスは付いていません。

 そうなると李瞬臣大橋との違いは何でしょうね?
 
  1. 2014-11-05 22:34
  2. URL
  3. よもぎねこ #-
  4. 編集

強度というか、根本的に間違っているような気がします。

こんばんわ。

吊り橋も色々な設計思想がありますが、蔚山大橋の写真を見てお気付きでしょうか?
こちらは主塔-主塔間だけが吊り構造で、主塔の外は桁橋になっています。
来島海峡3連吊橋は複雑ですが、その近くの伯方・大島大橋と同様の考え方です。
> http://www.jb-honshi.co.jp/technology/hakataoshima.html
このタイプのメインケーブルは、主塔-主塔間では懸垂線、主塔-アンカーレイジ間は吊り荷重が無いので、ほぼ直線になります。
利点としてアンカーレイジの位置がある程度自由になることで、重力式ではなく地形で位置が決まる岩着式アンカーレイジには有利です。
また寸法比率の制約も厳しくはありません。
欧州河川の古い橋では、川辺に主塔を建てた、こちらの形式が多いようです。

他方で明石海峡大橋のような形状、たぶん名称があるのでしょうが、何分素人ですので。
主塔の内外でメインケーブルが橋桁を吊り、対称的な懸垂線になっている形状、水中に主塔を建てる必要はありますが、全体の長さでは有利になります。
主塔の内外をほぼ対称に作る必要から、寸法比率が決まってきますし、橋中央部での路面とメインケーブルの位置関係と、ほぼ対称になる位置にアンカーレイジを置く必要があります。
必要な位置にアンカーレイジを置けない場合は、その位置にケーブル支点をもう一つ設けて、その先でアンカーレイジに接続します。この方法を採用した橋に白鳥大橋があります。
> http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BD%E9%B3%A5%E5%A4%A7%E6%A9%8B
(下の方の写真でアンカーレイジ付近の様子が判ります)

李舜臣大橋の違和感は何だろうかと、素人ながらにあれこれ吊り橋の形状を見比べると、上記の2タイプの何れにも属さない形状だからだと気付きました。
それぞれの形が意味するところを考えずに、工法の安い方を寄せ集めた結果ではないかと。

夜景の写真を見ますと、もう一つ違和感があります。
> http://cfile23.uf.tistory.com/image/1641AC41501CB469366FD3
よく見ると主塔の所で橋桁が少し折れ曲がっています。
主塔を橋脚として用いる一般の吊り橋では当たり前のことですが、この橋は主塔を橋脚とせず全長が吊り構造ですから、ここに屈曲があるはずが無いのです。
設計変更の繰り返しをしている内に、訳が判らなくなったのでしょうかね。

-閑話-
吊り橋というと、隅田川の清洲橋も吊り橋になります。
> http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B8%85%E6%B4%B2%E6%A9%8B
アイバーチェーン吊橋といい、強靭なワイヤーが無かった時代の苦心作です。
綺麗な懸垂線を描いていますが、よく見ると主塔の基部がピン構造で、変形に伴う応力を逃がす構造になっています。
中小の橋ではこうしたピン構造や滑り構造を組み合わせて、応力を逃がす工夫がありますが、さすが長大橋では使われませんので、その分を曲げ応力で支持していることになります。
  1. 2014-11-06 01:45
  2. URL
  3. fcq821 #/lkjinTE
  4. 編集

To:よもぎねこさん

>  セバーン橋なら振動防止のトラスは無いと言うことですか?
>  来島海峡第二大橋の写真など見ると確かにトラスは付いていません。
>
>  そうなると李瞬臣大橋との違いは何でしょうね?


本四高速の橋がセバーン橋タイプだからと言って、そっくりそのままコピーすればよいと言うモノではない。
そもそも橋の長さが全く違うし交通量も全く違う。

李舜臣大橋は風で揺れたのは要素のほんのわずかです。
原因は元々設計的に華奢すぎた、そこに無茶苦茶な重量オーバーのトラックが走ってきた。
一言でいえばそんな事だと思います。
しかしフェリーの沈没事故と全く同じ様相で、悪い所を探すとあれもこれも全部だめ。
設計も施工も管理も検査も、オッとその前に材料も予算も経営も全部だめでしょう。

多分遠くない将来、壮大な廃墟になると思います。
  1. 2014-11-06 09:24
  2. URL
  3. 短足おじさん二世 #-
  4. 編集

Re: 強度というか、根本的に間違っているような気がします。

> こんばんわ。
>
> 吊り橋も色々な設計思想がありますが、蔚山大橋の写真を見てお気付きでしょうか?
> こちらは主塔-主塔間だけが吊り構造で、主塔の外は桁橋になっています。
> 来島海峡3連吊橋は複雑ですが、その近くの伯方・大島大橋と同様の考え方です。
> > http://www.jb-honshi.co.jp/technology/hakataoshima.html
> このタイプのメインケーブルは、主塔-主塔間では懸垂線、主塔-アンカーレイジ間は吊り荷重が無いので、ほぼ直線になります。
> 利点としてアンカーレイジの位置がある程度自由になることで、重力式ではなく地形で位置が決まる岩着式アンカーレイジには有利です。
> また寸法比率の制約も厳しくはありません。
> 欧州河川の古い橋では、川辺に主塔を建てた、こちらの形式が多いようです。
>
> 他方で明石海峡大橋のような形状、たぶん名称があるのでしょうが、何分素人ですので。
> 主塔の内外でメインケーブルが橋桁を吊り、対称的な懸垂線になっている形状、水中に主塔を建てる必要はありますが、全体の長さでは有利になります。
> 主塔の内外をほぼ対称に作る必要から、寸法比率が決まってきますし、橋中央部での路面とメインケーブルの位置関係と、ほぼ対称になる位置にアンカーレイジを置く必要があります。
> 必要な位置にアンカーレイジを置けない場合は、その位置にケーブル支点をもう一つ設けて、その先でアンカーレイジに接続します。この方法を採用した橋に白鳥大橋があります。
> > http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BD%E9%B3%A5%E5%A4%A7%E6%A9%8B
> (下の方の写真でアンカーレイジ付近の様子が判ります)
>
> 李舜臣大橋の違和感は何だろうかと、素人ながらにあれこれ吊り橋の形状を見比べると、上記の2タイプの何れにも属さない形状だからだと気付きました。
> それぞれの形が意味するところを考えずに、工法の安い方を寄せ集めた結果ではないかと。
>
> 夜景の写真を見ますと、もう一つ違和感があります。
> > http://cfile23.uf.tistory.com/image/1641AC41501CB469366FD3
> よく見ると主塔の所で橋桁が少し折れ曲がっています。
> 主塔を橋脚として用いる一般の吊り橋では当たり前のことですが、この橋は主塔を橋脚とせず全長が吊り構造ですから、ここに屈曲があるはずが無いのです。
> 設計変更の繰り返しをしている内に、訳が判らなくなったのでしょうかね。
>
> -閑話-
> 吊り橋というと、隅田川の清洲橋も吊り橋になります。
> > http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B8%85%E6%B4%B2%E6%A9%8B
> アイバーチェーン吊橋といい、強靭なワイヤーが無かった時代の苦心作です。
> 綺麗な懸垂線を描いていますが、よく見ると主塔の基部がピン構造で、変形に伴う応力を逃がす構造になっています。
> 中小の橋ではこうしたピン構造や滑り構造を組み合わせて、応力を逃がす工夫がありますが、さすが長大橋では使われませんので、その分を曲げ応力で支持していることになります。


色々情報ありがとうございます。
調べてみるとセウォル号事故と全く同じ様相ですね。
何から何まで嘘八百、出鱈目設計、出鱈目施工・・・・・

私はこの事件で何を参考にすべきかという視点で考えたいのだが、多すぎて多すぎて・・・
日本人として参考にしたいのは「思考停止」かもしれません。
スパン1100mを1545mに変更せよと言われたとたん全員が思考停止になってしまった。
やれと言ってるんだからそれでいいだろう、あとは知らん。
こうだと思いますね。

アイバーチェーンは良いワイヤーが無かった時代の産物ですね。今でも生き残ってる。
素晴らしいです。
  1. 2014-11-06 09:51
  2. URL
  3. 短足おじさん二世 #-
  4. 編集

1000トン列車荷重試験動画など。

こんにちは。

ご存知かも知れませんが、瀬戸大橋での実験の動画がYoutubeにありましたので、沢山ありますが面白そうなのを2本抜粋して。
96トンの電気機関車×10両+死重貨車で1000トン、そうそう手空きの機関車はないので、かき集めたらしいです。
> http://www.youtube.com/watch?v=ImA0fhN5uxU
> http://www.youtube.com/watch?v=8L8YdFp6SMQ
上が線路上で撮影、下が道路面で撮影、望遠レンズだと面白いほど曲がります。
複線ですから列車は橋の中央を通っているわけではないのに、殆ど橋が捩れないことに感心します。

振り返って李舜臣大橋の件は、車長や車間距離があるので、車両重量だけでこれほど揺れるとは思えませんが、過積載による衝撃荷重は少し気になります。
もし工事をしていたのが風上側だとした場合、翼型の断面が押し下げる力を発生させるべきところを、シートで路面の気流が乱れて逆に底面に当たる風圧で押し上げれてしまった。加えて反対車線は片側交互通行で、車両重量が掛かる。双方の力で橋が捩れて振動が増加したのではないかと。そして利用者も慣れていないので、驚いて大騒ぎになったと。
そんな顛末だと思いますが、そもそも簡単に捩れること自体、好ましくないことで、メインケーブルのテンションが少ないのではないか、言い換えると橋桁を軽量化し過ぎて、死加重(自重)が少なすぎるのではないかと思われます。
これは車両重量などの活荷重の変化に対して、各部の応力の変化幅が多く、金属疲労の面でも不利になります。

セバーン橋はハンガーロープの破断事故が多発して失敗作だと言われます。
-以下引用-
今にして思えば、セバーン橋が世に出た時点で、橋梁技術者達は吊橋において「自重」が果たしてきた意味を忘れてしまった。そのうえ、このような軽い吊橋を少しでも安定したものにしようと考えて、斜めハンガーなどを採用したがために、かえって事態を悪化させることになった。だがそれは「自重」の意味を忘れさえしなければ、そして必要な「質量」を付加さえしておけば、斜めハンガーなどを採用する必要はなかったことになる。
-引用終り-
> http://www.daido-it.ac.jp/~doboku/koto/stu/watanabe/gendainoturibasi.html

橋の写真を見るのが好きなんです、力学的に安定したものは美しいって言い古された言葉ですが、きっかけは市内にある「忠節橋」の改修工事からでしょうか、日本に4箇所だけのブレーストリブバランスドタイドアーチ橋、手が込んでます。
特に1930年前後の古い橋、技術も未熟で長大な鉄骨も使えなかった時代に、膨大な数のリベットで部材を組み合わせて作った形には魅せられます。
逆にレインボーブリッジのように、厳しい条件の中で如何にも力任せに作ったと感心せられるものも。

技術の蓄積が少ないのは仕方が無いとしても、一介の素人がその形に感じることを、かの国の技師は気付かないのでしょうね。
翼型の断面を採用したことで、形状が複雑なだけに要した労力は決して少なくないと思うのです。こちらの技術は造船と通じるものがあるので、組し易いところだけに力を入れて、肝心なところを見て見ぬ振りような気がしてなりません。
厳しい言い方をするなら、技術に対する冒涜ではないかと。
  1. 2014-11-06 14:08
  2. URL
  3. fcq821 #/lkjinTE
  4. 編集

こんにちは。

瀬戸大橋が出来た後、NHKでビッグプロジェクトというタイトルだったと記憶していますが巨大建造物の建造や今後の維持を取り扱ったシリーズ特番があり、そのひとつに瀬戸大派がありました。
記事にあるように、完成後に1000トン相当の電気機関車だけの編成を走らせて、橋の沈み具合や沈んだ分の線路の繰り出し状況などがありました。橋の中央部に人と測量に使う棒と車などがあって主塔から撮影した映像がありましたが、人が見えなくなるほど沈むのを見た時に、いくら吊り橋でもあんなに変形するものかと思ったものです。ユーチューブでいくつか見ることが出来ます。
このような課題を一つ一つクリアすることで、巨大建造物を作り維持できるのでしょう。
余談ですが、ゴルゴ13はこの橋の沈下を利用しての狙撃をしています。太郎閣下もご存じでしょう。

李舜臣大橋は、彼等の持てる技術で精一杯作ったのであればまだしも、技術移転して貰って中途半端に分かった(かも知れない)時点で、ウリの技術ニダと作ってしまったのかも知れません。問題噴出後の対応がいかにもやっつけですし。これに予算やこじつけのスパン変更、メンテのしようがない構造などが加わっていれば、後は第2のKBブリッジにならないことを祈るだけです。
  1. 2014-11-06 14:25
  2. URL
  3. koguma #-
  4. 編集

おそらくこれに書いてあることが決定打なんじゃないでしょうか。

セバーン教の問題点とその克服について書かれた文書がありました。

http://www.kawada.co.jp/technology/gihou/pdf/vol08/08_kantougen.pdf

要約すると「セバーン橋は確かに画期的な工夫であったが重大な問題を内包しており、その解決の過程で世界のつり橋の趨勢は、橋桁を軽くして軽量化を図る方向から橋の自重を利用する方向に変化している」ということのようです。

確か、明石海峡大橋ができたときその技術を解説した本の中でこのセバーン橋の問題点の提示がありました。その解決は大島大橋と大にボスポラス大橋によって克服されたのですが、これは明石海峡大橋には適用されませんでした。前例のない超大橋ゆえ解決の時間もないことから安全策をとったのでしょう。

しかしこの文書に書いてあることが今回そっくり当てはまるのではないかと思います。
確かに橋桁の一部を開け空気の流れを変え余計な力が端にかからないような工夫をしてるのは認められますが、その方向は徹底的な軽量化にあるとしか思えません。
その目的はおそらくメインケーブルを小型化し費用を浮かすということなんでしょう。

今から30年前セバーン橋の話を聞いたときに、これは飛行機の揚力と一緒で軽量化しすぎるとハンガーに余計な力がかかり問題が生ずるのではないかと一瞬思いました。
今回は全くそれなのではないかということです。

この上、橋の構造から見たら弱すぎるとしか思えぬケーブルです
蔭では大問題だらけだということなんでしょうね。
  1. 2014-11-06 18:15
  2. URL
  3. kazk #-
  4. 編集

Re: 1000トン列車荷重試験動画など。

> こんにちは。
>
> ご存知かも知れませんが、瀬戸大橋での実験の動画がYoutubeにありましたので、沢山ありますが面白そうなのを2本抜粋して。
> 96トンの電気機関車×10両+死重貨車で1000トン、そうそう手空きの機関車はないので、かき集めたらしいです。
> > http://www.youtube.com/watch?v=ImA0fhN5uxU
> > http://www.youtube.com/watch?v=8L8YdFp6SMQ
> 上が線路上で撮影、下が道路面で撮影、望遠レンズだと面白いほど曲がります。
> 複線ですから列車は橋の中央を通っているわけではないのに、殆ど橋が捩れないことに感心します。
>
> 振り返って李舜臣大橋の件は、車長や車間距離があるので、車両重量だけでこれほど揺れるとは思えませんが、過積載による衝撃荷重は少し気になります。
> もし工事をしていたのが風上側だとした場合、翼型の断面が押し下げる力を発生させるべきところを、シートで路面の気流が乱れて逆に底面に当たる風圧で押し上げれてしまった。加えて反対車線は片側交互通行で、車両重量が掛かる。双方の力で橋が捩れて振動が増加したのではないかと。そして利用者も慣れていないので、驚いて大騒ぎになったと。
> そんな顛末だと思いますが、そもそも簡単に捩れること自体、好ましくないことで、メインケーブルのテンションが少ないのではないか、言い換えると橋桁を軽量化し過ぎて、死加重(自重)が少なすぎるのではないかと思われます。
> これは車両重量などの活荷重の変化に対して、各部の応力の変化幅が多く、金属疲労の面でも不利になります。
>
> セバーン橋はハンガーロープの破断事故が多発して失敗作だと言われます。
> -以下引用-
> 今にして思えば、セバーン橋が世に出た時点で、橋梁技術者達は吊橋において「自重」が果たしてきた意味を忘れてしまった。そのうえ、このような軽い吊橋を少しでも安定したものにしようと考えて、斜めハンガーなどを採用したがために、かえって事態を悪化させることになった。だがそれは「自重」の意味を忘れさえしなければ、そして必要な「質量」を付加さえしておけば、斜めハンガーなどを採用する必要はなかったことになる。
> -引用終り-
> > http://www.daido-it.ac.jp/~doboku/koto/stu/watanabe/gendainoturibasi.html
>
> 橋の写真を見るのが好きなんです、力学的に安定したものは美しいって言い古された言葉ですが、きっかけは市内にある「忠節橋」の改修工事からでしょうか、日本に4箇所だけのブレーストリブバランスドタイドアーチ橋、手が込んでます。
> 特に1930年前後の古い橋、技術も未熟で長大な鉄骨も使えなかった時代に、膨大な数のリベットで部材を組み合わせて作った形には魅せられます。
> 逆にレインボーブリッジのように、厳しい条件の中で如何にも力任せに作ったと感心せられるものも。
>
> 技術の蓄積が少ないのは仕方が無いとしても、一介の素人がその形に感じることを、かの国の技師は気付かないのでしょうね。
> 翼型の断面を採用したことで、形状が複雑なだけに要した労力は決して少なくないと思うのです。こちらの技術は造船と通じるものがあるので、組し易いところだけに力を入れて、肝心なところを見て見ぬ振りような気がしてなりません。
> 厳しい言い方をするなら、技術に対する冒涜ではないかと。


色々情報ありがとうございます。
瀬戸大橋の1000トン荷重試験、映像が有ったとは知りませんでした。
見てみると吊り橋の難しさが良く分かりますね。
この映像や他の資料など、次回エントリーでも使わせていただきたいと思います。

それからセバーン橋について。
矢張り失敗作だったという結論ですか。やっとこれで私も納得です。
実はこの後のkazkさんのコメントで紹介いただいた橋梁メーカー川田工業の川田社長の論文。
此れも同じことを言っていまして、壮大な失敗作だったという事がこの頃ハッキリしていますね。
この件も次回エントリーで書いてみたいと思っています。

最後にご指摘の肝心なところを見て見ぬふり、これが大問題と思います。
私はコレを思考停止と言っていまして、実は失敗事例を見てゆくと必ずこれにぶち当たります。
韓国の事例ですが我々にも大いに教訓にせねばいけない部分と思っています。

それからカノ国の技術者がこんな事も気が付かないのか。
この疑問に対しては私は子供の頃からの家庭教育、学校教育の集大成がそこにあるとみています。
此れも日本にも貴重な課題ですね。
こんな事のいい例がゆとり教育世代が今世の中に出てきていますが、円周率を「3」で覚えた世代。
使い物にならないと問題になっていますが、そのいい例ではないかと。
  1. 2014-11-06 22:21
  2. URL
  3. 短足おじさん二世 #-
  4. 編集

To:koguma さん

> こんにちは。
>
> 瀬戸大橋が出来た後、NHKでビッグプロジェクトというタイトルだったと記憶していますが巨大建造物の建造や今後の維持を取り扱ったシリーズ特番があり、そのひとつに瀬戸大派がありました。
> 記事にあるように、完成後に1000トン相当の電気機関車だけの編成を走らせて、橋の沈み具合や沈んだ分の線路の繰り出し状況などがありました。橋の中央部に人と測量に使う棒と車などがあって主塔から撮影した映像がありましたが、人が見えなくなるほど沈むのを見た時に、いくら吊り橋でもあんなに変形するものかと思ったものです。ユーチューブでいくつか見ることが出来ます。
> このような課題を一つ一つクリアすることで、巨大建造物を作り維持できるのでしょう。
> 余談ですが、ゴルゴ13はこの橋の沈下を利用しての狙撃をしています。太郎閣下もご存じでしょう。
>
> 李舜臣大橋は、彼等の持てる技術で精一杯作ったのであればまだしも、技術移転して貰って中途半端に分かった(かも知れない)時点で、ウリの技術ニダと作ってしまったのかも知れません。問題噴出後の対応がいかにもやっつけですし。これに予算やこじつけのスパン変更、メンテのしようがない構造などが加わっていれば、後は第2のKBブリッジにならないことを祈るだけです。


なるほど、皆さんのご教示いただく話、知らない事ばかりです。
有難うございます。
1000トン荷重試験の動画は本当に面白いですね。此れこそ知の遺産。
こう言うモノを一つずつ積み上げていくことが国力になるわけだと思います。
このエントリーでも皆さんの話は正に知識の泉です。

それから此れもこの後エントリーするつもりですが、最近トラックが大型化してきました。
だから道路、橋などのインフラがその大型化に適合できない。
日本でも同じ事が起こっていますが、日本人はまだルールを守る。
しかしカノ国の人は全くルールを守ると言う意識が無い、だから一層深刻だと思います。
  1. 2014-11-06 22:31
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  3. 短足おじさん二世 #-
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Re: おそらくこれに書いてあることが決定打なんじゃないでしょうか。

> セバーン教の問題点とその克服について書かれた文書がありました。
>
> http://www.kawada.co.jp/technology/gihou/pdf/vol08/08_kantougen.pdf
>
> 要約すると「セバーン橋は確かに画期的な工夫であったが重大な問題を内包しており、その解決の過程で世界のつり橋の趨勢は、橋桁を軽くして軽量化を図る方向から橋の自重を利用する方向に変化している」ということのようです。
>
> 確か、明石海峡大橋ができたときその技術を解説した本の中でこのセバーン橋の問題点の提示がありました。その解決は大島大橋と大にボスポラス大橋によって克服されたのですが、これは明石海峡大橋には適用されませんでした。前例のない超大橋ゆえ解決の時間もないことから安全策をとったのでしょう。
>
> しかしこの文書に書いてあることが今回そっくり当てはまるのではないかと思います。
> 確かに橋桁の一部を開け空気の流れを変え余計な力が端にかからないような工夫をしてるのは認められますが、その方向は徹底的な軽量化にあるとしか思えません。
> その目的はおそらくメインケーブルを小型化し費用を浮かすということなんでしょう。
>
> 今から30年前セバーン橋の話を聞いたときに、これは飛行機の揚力と一緒で軽量化しすぎるとハンガーに余計な力がかかり問題が生ずるのではないかと一瞬思いました。
> 今回は全くそれなのではないかということです。
>
> この上、橋の構造から見たら弱すぎるとしか思えぬケーブルです
> 蔭では大問題だらけだということなんでしょうね。


有難うございます。正に核心をついた論文。これで決まりですね。
この論文を書いた川田さんと言うのは橋梁専門メーカー川田工業の社長さん。
そして面白い事に文学・古典にも造詣が深い方。
「橋と日本文化」と言う本を書いています。

実はその橋と日本文化は先年亡くなった「お絵かき爺さん」から紹介され、私も読んでいました。
そしてそんな事をお絵かき爺さんと色々話をしたことが思い出されます。
舟橋と言うのはどんなものだとか、万葉集の話だとか・・・

セバーン橋の話は次回エントリーに書いてみたいと思います。
貴重な情報、有難うございました。
  1. 2014-11-06 22:39
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