2010-01-20 18:46

日本の技術流出の話

前回のエントリーでgurigurimomonga さん のコメントを引用した中に中国の家電メーカーハイアールのタイ進出の話があった。

だがどうも引っかかるものがあったので調べてみた。

結果は日本の冷蔵庫技術が中国に流出していた事が分かった。

最初に中国の家電メーカーハイアールのタイ進出のニュースから。

 

 <以下週刊タイ経済より引用>

 中国ハイアールがタイ家電工場を増産=AFTA発効で輸出増を期待

 8日付のタイ英字紙バンコク・ポスト(経済10面)によると、中国家電大手の海爾集団(ハイアール)の現地法人ハイアール・エレクトリカル・アプライアンス(タイランド)は7日、中部プラチンブリ県カビンブリ工場を増産するため1000万ドルを投じる計画を明らかにした。300万~400万ドルで洗濯機、エアコン、冷蔵・冷凍庫を増産し、600万ドルで新規製品のための設備を導入する。
 冷蔵庫の生産能力は20%増の年間110万台、洗濯機は9万台から13万台、冷凍庫は2倍の1万台、エアコンは2万台から10万台にそれぞれ増える。

・・・中略・・・
 同社は、07年に三洋電機のカビンブリ工場を買収、タイに家電製品の生産拠点を確保していた。

 

2010年01月08日掲載 - 時事通信社

 

 <引用終り>

 

 

この会社の立地するカビンブリ工業団地が何処にあるかというと

 

 

こんなところである。

ここには多くの日系企業が進出しており、知人の会社もある。

どうしてここに中国の企業がと思うと、実はここには三洋電機のタイ工場があった 。この工場をハイアールが買い取ったのである。

 

 

私は三洋電機については数年前野中ともよが会長をしていたとか、最近パナソニック(旧松下)がTOBしたといった程度しか知識が無い、そこで三洋電機とハイアールの関係を整理してみると

 

 

2002年   野中ともよ・・・社外取締役就任

        三洋電機とハイアール、ハイアールブランドの日本販売会社三洋ハイアール設立(2007年3月解散

2005年6月 野中ともよ代表取締役会長就任

2006年3月 経営不振のため3000億円増資、金融機関より役員受入、取締役9人中5人が金融機関出身になった

2006年10月 三洋電機とハイアール、グローバルな戦略提携合意

         家庭用冷蔵庫の設計・開発・製造・品質管理・メンテナンスを行うハイアール三洋設立

2007年3月 野中ともよ辞任

2007年3月 ハイアール三洋解散 

2007年4月 ハイアール、三洋電機タイ工場の株式の90%取得、傘下におさめた

2008年11月 パナソニック、三洋電機の子会社化方針決定

2009年12月   〃     TOB終了、三洋電機を子会社化

 

(2006年から2007年にかけてのドタバタぶり・・・酷いものだ)

 

 

2007年4月 三洋電機タイ工場を傘下におさめたことについてのハイアールのコメントが残っている。

タイ工場の買収で、当社は世界で最も進んだファン式冷蔵庫の製造技術を獲得したタイ工場からアフリカへ輸出されるのは同冷蔵庫で、中国工場からアフリカへ輸出されるのは水冷冷蔵庫(注:多分直冷式の事)となる。当社は、全世界で良質なリソースを集め、統合し、さまざまな市場で多様なユーザーニーズを満足させられるようになることを目指している」   マイコミジャーナル 2007年12月6日

 

この三洋電機タイ工場についてはハイアールが買収したのに伴い、約130人の技術者がハイアールに移ったと報道されている。多分全部がタイ人だと思う。

三洋電機の技術者や管理者が手塩に掛けて育てたエンジニア達が技術・ノウハウを持ってハイアールに移動したのであろう

三洋の技術陣の無念さが分かるような気がする。

 

 

またこのファン式冷蔵庫と言うのは日本では昭和40年代から普及し始めたもので今では当たり前だが、欧米・中国・東南アジアなどは直冷式が一般的だとか。だからハイアールは世界で最も進んだファン式冷蔵庫製造技術を手に入れたと言っているわけだ。

 

最近日本でもハイアールの冷蔵庫が通販などで盛んに宣伝されている。

ファン式と自慢して宣伝している冷蔵庫はこの三洋電機から買い取ったタイ工場製であろう。

 

 

今回調べてみて、三洋電機が放漫経営で苦しんでいるのにつけこんだチャイナ資本がまんまと日本の技術を手に入れた事が分かった。

三洋電器がパナソニックに買収されて大変良かったが少し遅すぎたかもしれない。

三洋電器の放漫経営が日本企業の強力なライバルを作ってしまった・・・残念な事である。

 

 

 

 

 

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コメント

No title

短足おじさんへ、
タイ・サンヨー電機の労働争議による放火事件は、確か96年の頃、私がタイに居た時に起こりました。全焼だった思います。
元田さんと言うコンサルタントの方が、OVTAの講習会で話をされておられましたが、ボーナス支給の方法が悪く、組合を怒らせたようです。
サンヨーもタイの工場を維持する気力が無くなったのだと思います。
その結果、地元技術者によってノウハウが流れたのであれば、ちょっと残念ですね。
これに対して、ダイキン工業中国との技術提携で、インバータ技術の移転を伴っていて、「ひさしを貸して母屋を取られる」と疑問視する声もあるのです。
  1. 2010-01-21 00:30
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  3. ぐりぐりももんが #79D/WHSg
  4. 編集

No title

サンヨーは業務用冷蔵庫及び自動販売機に強い・・というより、大手の隙間を狙っうしかなかった。
あとは電池では世界最大級の会社です。
EVの時代が来ると伸びる・・でもEVの時代は来ないかも。

その他の家電は廉価版路線ですから、もっと戦略的に商売をするべきでしたが、戦略が無かった。

自動車メーカーでも、名前だけ有名なコンサルタント会社に依頼して戦略を立てたので、あっというまに業績を落としたところ有ります。
銀行が製造メーカーを経営すると、戦略がわからないので、必ずこうなるのです。特に日本の銀行は実力ありません。

以前、韓国の某自動車メーカーの工場を見て、日本の工場と同じに5Sに取り組んだり、工場の排水で金魚を飼うパフォーマンス・・・を見て、これでは日本には勝てないと思いました。

「横展開」というのは怖いのです。
オリジナルではないので、そこで止ってしまうのです。

だから、この工場の件はとても残念ですが、
日本人がオリジナルを作り出す力を保持できれば今後も大丈夫だと思います。



  1. 2010-01-21 09:01
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  3. yuyuu #79D/WHSg
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To gurigurimomongaさん

>タイ・サンヨー電機の労働争議による放火事件は、確か96年の頃、私がタイに居た時に起こりました。全焼だった思います。
>元田さんと言うコンサルタントの方が、OVTAの講習会で話をされておられましたが、ボーナス支給の方法が悪く、組合を怒らせたようです。

この件知りませんでした。元田時男さんには丁度この頃お世話になったのですが、この話は出なかったように記憶しています。多分その後の話でしょうか。

>サンヨーもタイの工場を維持する気力が無くなったのだと思います。
>その結果、地元技術者によってノウハウが流れたのであれば、ちょっと残念ですね。

そう思います。でも会社として気力が萎えてしまってはどうする事も出来ないですね。

>これに対して、ダイキン工業中国との技術提携で、インバータ技術の移転を伴っていて、「ひさしを貸して母屋を取られる」と疑問視する声もあるのです。

ダイキンの人とは何度かゴルフをした事が有ります。大丈夫かなあ・・・
  1. 2010-01-21 09:35
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  3. 短足おじさん #79D/WHSg
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To yuyuuさん

>EVの時代が来ると伸びる・・でもEVの時代は来ないかも。

EVは自動車の黎明期以来浮かんでは消え、浮かんでは消えと言った歴史を持っています。原因はバッテリー、だからバッテリーにとんでもない技術革新が起こらない限りガソリンエンジンに取って代わるのは難しいでしょう。
リチウムイオン電池でも未だ不十分です、技術屋さん頑張ってぇ~

>自動車メーカーでも、名前だけ有名なコンサルタント会社に依頼して戦略を立てたので、あっというまに業績を落としたところ有ります。
>銀行が製造メーカーを経営すると、戦略がわからないので、必ずこうなるのです。特に日本の銀行は実力ありません。

この話を読んで古い話を思い出しました。昔銀行からマツダの副社長に送り込まれた村井さんの話です。
その時村井さんは「自動車メーカーの社長は激務で銀行屋如きが勤まる仕事ではない」と言って社長はマツダ出身者に任せ、自分は副社長としてその人をサポートしてマツダを再建した事を覚えています。
彼はその後アサヒビールに転出し、今日のアサヒビールを造りました。

>以前、韓国の某自動車メーカーの工場を見て、日本の工場と同じに5Sに取り組んだり、工場の排水で金魚を飼うパフォーマンス・・・を見て、これでは日本には勝てないと思いました。
>
>「横展開」というのは怖いのです。
>オリジナルではないので、そこで止ってしまうのです。
>
>だから、この工場の件はとても残念ですが、
>日本人がオリジナルを作り出す力を保持できれば今後も大丈夫だと思います。

yuyuuさんに大丈夫といわれると心強い限り、日本の製造業を支える次世代の若い人に是非期待したいです。
  1. 2010-01-21 10:07
  2. URL
  3. 短足おじさん #79D/WHSg
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短足おじさんへ、
元田先生がサンヨーの労働争議でコメントされたのは、私がこちらへ改めて着任する前に受けた講習会でのことです。
実を言うと、組合活動の注意事項として、私が質問しました。

EVの話しですが、タイトヨタもハイブリッドカムリを生産する時代です。
エネルギーを簡単に短時間で入手できる容易性と、航続距離の問題から、ハイブリッドは長く優勢でしょう。
後は、大体エネルギーのCNG車両でしょうか。
メタンハイドレードの国産精製で、自給が可能になります。タイでも、ほぼ国産ガスで賄っています。

ハイブリッドは、緻密な制御技術です。
この技術は、日本のお家芸です。
競争は厳しいでしょうが、日本の技術屋さんには矜持を持っていただきたいと思います。
  1. 2010-01-21 10:22
  2. URL
  3. ぐりぐりももんが #79D/WHSg
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To gurigurimomongaさん

>元田先生がサンヨーの労働争議でコメントされたのは、私がこちらへ改めて着任する前に受けた講習会でのことです。
>実を言うと、組合活動の注意事項として、私が質問しました。

タイの組合活動はアメリカ仕込み(特にUAW)、だから会社を潰しても自分たちの利益を取ろうとするのが困り物、アメリカもトンでもないものを輸出してくれるものです。
今フォード・マツダ合弁会社AATが労働争議中、UAWはアメリカでは暴れられないので海外で暴れているようです。困ったものです。

>ハイブリッドは、緻密な制御技術です。
>この技術は、日本のお家芸です。
>競争は厳しいでしょうが、日本の技術屋さんには矜持を持っていただきたいと思います。

是非とも世界一を突っ走って欲しいですね。
これだけは簡単にマネ出来る物ではない、トヨタとホンダ頑張れ。
  1. 2010-01-21 12:00
  2. URL
  3. 短足おじさん #79D/WHSg
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サンヨーはハイアールとの提携で、ただでさえ弱かったブランドイメージが地に落ちて、元々中国での販売ルートの提携先のつもりで提携したのが、ハイアールが日本の技術で作った中国製の家電として自社製品を売った物だから、中国でも駄目。
結局カネと技術だけ取られて何も獲る物がなかったというオチです。

で、このケースはサンヨーだけでなく、ほかの会社でも数限りなくおきている事例だし、今後も日本が中国を見誤り続ける限り続くはず。
日本の有力企業も日本の価値がデフォルトで地に落ちたら殆ど買われてしまうでしょう。
民主党が頑張って日本を駄目にしてますから、もうすぐですよ。
  1. 2010-01-21 15:54
  2. URL
  3. その蜩 #79D/WHSg
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To その蜩さん

>結局カネと技術だけ取られて何も獲る物がなかったというオチです。

yuyuuさんのコメントに有るように、ものづくりを知らない人に製造業の経営をさせるとトンでもない事が起こる、その典型ですね。

>で、このケースはサンヨーだけでなく、ほかの会社でも数限りなくおきている事例だし、今後も日本が中国を見誤り続ける限り続くはず。
>日本の有力企業も日本の価値がデフォルトで地に落ちたら殆ど買われてしまうでしょう。

日本の製造業にはこの事例、反面教師として研究してもらいたいものです。

>民主党が頑張って日本を駄目にしてますから、もうすぐですよ。

そうさせない為に自分に出来ることは何か、それを考え行動したいと思っています。
  1. 2010-01-21 17:20
  2. URL
  3. 短足おじさん #79D/WHSg
  4. 編集

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