2016-01-30 11:49

2倍速で成長する遺伝子組み換えサケ

 遺伝子組み換え食品に関して凄い記事が有った。
最初にそれを報道する産経の記事から。

<以下引用>

「フランケン・フィッシュ」日本上陸に警戒の声 2倍速で成長する遺伝子組み換えサケ
2016.01.29
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20160129/dms1601291830020-n1.htm

2016-1-30遺伝子組み換えサケ
(引用者注:凄いですね、長さで倍と言う事は体積・重さでは8倍位か)


 米食品医薬品局(FDA)が昨年、食品として販売することを承認したと発表した遺伝子組み換えのサケをめぐって、世界中に波紋が広がっている。このサケは通常の2倍の速さで成長するのが特徴で、安全性を警戒する環境保護団体から“フランケン・フィッシュ”の異名がつけられた。米国では販売を拒否する店舗が8000店に上っているといい、国内上陸を警戒する声も出始めた。

 このサケは米バイオベンチャー「アクアバウンティ・テクノロジーズ」が開発した。成長が早いキングサーモンの成長ホルモン遺伝子を大西洋サケに組み込み、少ない餌で効率良く育てることができる。通常約3年かかるところを1年半ほどで一人前になるという。

 染色体を操作して不妊にしており、繁殖はしないとされている。

 FDAは、このサケの栄養成分は通常の大西洋サケと変わらず「食べても安全」としており、承認を受けたア社は「革命的な商品。環境を破壊せず、安定した栄養源を消費者に提供できる」との声明を発表した。海の生態系を乱す恐れはなく、海産物資源の乱獲防止にも貢献するとしている。

 だが、市場流通をめぐっては、世界で警戒感が広まっている。

 スウェーデンの大学の研究会は、成長ホルモンの濃度が高く、がん細胞を刺激する可能性があることを指摘。「遺伝子組み換え食品は人体や環境に悪影響を与える」としてきた環境保護団体は、人工的に生み出されたサケを小説や映画に登場する怪物・フランケンシュタインになぞらえ「消費者はフランケン・フィッシュを望んでいない」などと批判した。米の消費者団体も「長期に食べた場合の安全性は分からない」などと反発し、米国内のスーパーなど約8000店は「販売拒否」を表明している。


 欧州議会は欧州委員会に対し、遺伝子組み換え魚の輸入を禁止するよう求めたという。

 気になるのは、日本上陸の有無だ。

 国内で遺伝子組み換え食品を販売、流通させるためには、内閣府の食品安全委員会の審査を受ける必要がある。これまでに、野菜などの植物や添加物が承認されており、将来的に“フランケン・フィッシュ”が“国内入り”する可能性もゼロではない。

 現在、このサケの承認申請はなされていないが、未審査のまま国内に紛れ込むことを懸念する声も出ている。

 「遺伝子組み換え食品いらない! キャンペーン」の天笠啓祐代表は、FDAが同サケを食料品の材料に使った場合、遺伝子組み換え表示を義務ではなく任意としていることなどから、「米国で流通した加工食品が日本に入り込み、知らない間に食べていたという事態は起こりうる」と話す。

 また、「TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に参加すると、遺伝子組み換えサケ承認の圧力が加わるだろう」とも。日本では遺伝子組み換え食品の表示は、対象となる作物やDNAの検出が可能な加工食品に義務付けられているが「表示なし、安全審査も簡単にとの圧力をかけられ、流通する可能性は高まっている」と天笠氏はみる。

 遺伝子組み換えサケにいま、世界がざわついている。

<引用終り>


この話で気になるのは私の親しい方の経験。
その方とはお母さんとご主人、娘さんとご主人、どちらもごく親しくお付き合いさせていただいていたが、お母さん、娘さん、お二人とも乳癌で亡くなった。もう七回忌も過ぎたのでその経緯などを書いてみたい。

お母さんの方は死の十数年前に乳癌で手術をされていた。当地方で最高の技術のがんセンターだった。
乳癌は再発が怖いのでその後も毎年同じがんセンターで異常がないかどうか、10年以上定期検診として診て貰っていた。
10年以上たって担当医から「もうこれだけ調べても異常がない、だから大丈夫です」、そうお墨付きをもらっていた。
その直後に会った時には、「がんセンターの○○先生から「もう再発も無いでしょう」と言われた、良かった。」、こう嬉しそうに話していたことを覚えている。
しかし2年位後に体調をくずし、色々調べても良く分からず、結局がんセンターで見てもらったら乳がんの再発だった。残念ながら手遅れだった。そして半年後に亡くなった。
お母さんががんと診断されるのと前後して娘さんも乳癌の自己チェックで異常を見つけていた。
がんセンターで検査してみると矢張り癌、そして担当医からは「よくぞ、こんな小さなモノを自己チェックで見つけたなあ、すばらしい早期発見だ」と言われていた。しかし手術前の検査で他にもがんが見つかり、更に切開してみるとその他にもがんが見つかり、結局手術を取りやめ抗がん剤での治療をする事になった。
元々体力のある、気丈な方だったので、抗がん剤で頭髪が全部抜けると言う苦しみに耐え、明るく暮らし、仕事もしていた。
しかし結局3年後に亡くなった。
このお母さんの方は元来健康には注意する方で、何年も前からある健康補助食品・・・ミツバチが女王蜂の為に作るもの・・・を健康に良いと言って、自分も飲む傍ら他の人にも勧めていた。またそれを知人たちにも売ったりしていた。当然それを娘さんにも勧めていた。
その娘さんは或る薬剤師さんから「あれは良いものだが婦人科の病気には疑問がつく」という情報を得ており、乳癌を見つける前には服用を中断していたのだが、がんと診断された時がんセンターの医師に相談していた。
医師の答えは「即座にダメ」だったと聞く。

まあこんな事で普通の人にはとても良い健康補助食品。しかしある種の体質の方には悪玉の癌細胞を元気づける働きがあるのではないか。そんな風に感じている。


遺伝子組み換えサケも
成長ホルモンの濃度が高く、がん細胞を刺激する可能性がある
こんな事は簡単には証明できないだろう。
何が悪いか分からないが「悪いらしい」、こんな話は一つ間違えれば風評被害につながる。
だが「遺伝子組み換え」という人類が経験したことのない分野は慎重すぎるくらいでちょうどいいのではないだろうか。
  1. 社会一般
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2016-01-29 16:22

「春は二度と来ない」 by 中国政府系シンクタンク

  「春は二度と来ない」、こんな表題の記事が産経に有った。面白い話である。
しかし私にはこの記事もだが、そこで言及している米ボストンコンサルティンググループ(BCG)が発表した報告書「主要輸出国25カ国の生産コスト比較世界の生産拠点の勢力図の変化」、この報告が大変興味深い。

最初に産経に記事から
<以下引用>

「春は二度と来ない」中国政府系シンクタンク、異例の〝弱気〟ついに海外論評にも屈服
http://www.sankei.com/west/news/160126/wst1601260001-n1.html

異例の内容に衝撃

 中国社会科学院は1977年に設立された中国国務院直属の社会科学研究などの最高学術機構。31の研究所や、45の研究センターをはじめ、3200人もの研究者を擁する。中国の五カ年計画策定の基本作業をするなど、政府の経済政策にも大きな影響を与えている。

 その科学院が経済失速を鮮明にしてきた昨秋、「『メイド・イン・チャイナ(中国製造業)』の新常態」と題し、中国経済に最新の分析を加えた報告書を公表。あまりに深刻な内容が、海外の専門家たちも驚かせた。

 まず報告書では、最近の中国の貿易状況について、「振るわない状態が続いているだけでなく、ますます悪化しているとも言える」と指摘。最新の貿易統計を引用し、「品質向上とシェア拡大の痕跡はみられる」と一定の評価はしたものの、「不確かでとらえ所がなく、自分で自分を慰めている感がぬぐえない」と厳しく批判した。

 さらに「心配なのは、中国の製造業が直面しているのは、不景気という一時の落ち込みではなく、国内外の経済環境の変化がつくり出した新常態である」と警告した。

・・・中略・・・

海外の指摘にも“屈服”

 また報告書は、海外の研究機関などが指摘する中国経済の深刻な状況についても、率直に認めた。

 米ボストンコンサルティンググループ(BCG)が発表した報告書「主要輸出国25カ国の生産コスト比較世界の生産拠点の勢力図の変化」によると、中国の生産コストは、すでに米国と差がほとんどなく、米国の生産コストを100とすると、中国の指数は96に達している。

 報告書は、この分析を引用し、「(米報告書は)広く注目され、大きな波紋を起こした。ある一部の製品や事例を用いて刺激的な結果を出すことで、人々の興味を引き付けることが目的であるのは明白」と反論しながらも、「少なくとも一定程度、(中国の)製造業における労働コストという強みが確実に低下していることを説明している」と率直に認めた。

・・・以下略、詳細は上掲リンク先参照ください・・・
<引用終り>


 まあ言っている事は今の中国の現状を追認しただけなのだが、それを中国政府系機関が認めた所が面白い。
「隠せども 色に出にけり・・」と言った所なのだろう。

所でその記事に有る「米ボストンコンサルティンググループ(BCG)が発表した報告書「主要輸出国25カ国の生産コスト比較世界の生産拠点の勢力図の変化」」、これは大変興味深いデータである。

主要輸出国 25 カ国の生産コスト比較:
世界の生産拠点の勢力図の変化

http://www.bcg.co.jp/documents/file172753.pdf

このレポートは2014年8月のモノなので1年半前だが、その後石油価格の大幅下落など有るが、全体の傾向は読み取れる。

そしてこのレポートではこんな前置きで主要25カ国のコストデータを示している。

本レポートでは、世界の工業製品の輸出額の約 90%を占める主要輸出国 25 カ国について、
生産コストの比較を 2004 年/2014 年の 2 時点において行った。
過去 30 年間、中南米・東ヨーロッパとアジアの大部分は低コスト国米国・西ヨーロッパ・日本は高コスト国とみなされてきた。
しかしながら、人件費・生産性・エネルギーコスト・為替などの長年にわたる変化により、以下の例に示されるように、世界の生産コスト競争力は大きく変化した(図表 1)。
 メキシコは、中国よりも生産コストが低い
 イギリスは西ヨーロッパの中で最も生産コストが低い
 ロシアや東ヨーロッパの国々の多くは、米国とほぼ同レベルにまで生産コストが上昇している
なお今回の分析は、1.賃金、2.労働生産性、3.エネルギーコスト(電気代、天然ガス代)、4.為替レートの 4 項目を
変動要因として分析した。


さてその結果は

これはその25カ国のコスト比較(アメリカを100として)

2016-1-29主要輸出国の生産コスト比較1

興味深いのはドイツ・フランス・イタリアなど西ヨーロッパ諸国の高コストである。アメリカと比べてこれだけの高コストではまともな産業の成長は難しい。
(こんな所からドイツが難民を受け入れて人件費抑制を図ったのだろうと思い当たる)
それからオーストラリア・ブラジルの高コストは鉄鉱石などの資源価格高騰によるインフレが原因と思うが、このレポート後の状況として、鉄鉱石・石炭などの価格が絶賛暴落中。だから直近の状況は相当変わってきているのではないかと思う。


これは各国の生産コスト競争力の4パターン
2016-1-29主要輸出国の生産コスト比較2

特徴的な事、新低コスト国には「アメリカ、メキシコ」
そして劣勢国には「オーストラリア、ベルギー、フランス、イタリア、スウェーデン、スイス」が挙げられている。

競争力が低下している国の例
2016-1-29主要輸出国の生産コスト比較3
矢張り「汚職」が足を引っ張っている事が分かる。


新低コスト国、アメリカとメキシコの内容
2016-1-29主要輸出国の生産コスト比較4



こんな数字を見ると、今までの古い感覚を捨てるべき時なのだと痛感する。
さてではどうするか、難しいですね。
  1. 中国
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2016-01-24 12:04

大陸と英米の違い

 13日に「カリフォルニア州、VWのリコール計画却下」をエントリーしたのだが、そこに皆さんから色んなコメントを頂いた。
http://tansoku159.blog.fc2.com/blog-entry-1214.html

中でも難問なのが「大陸と英米の違い」などの哲学に関する話。
私もこんな難問は即答できないが、今現在分かる事を書いてみたい。

尚コメント欄で取り上げられている哲学に関する話としてこんな本を取り上げている。
筑波大学教授古田博司氏著
「ヨーロッパ思想を読み解く 何が近代科学を生んだか」ちくま新書 2014年8月刊

この本で取り上げられているのはヨーロッパの思想の話なのだが、それをヒトが目で見るなど認知できる世界を「こちら側」、認知できない世界を「向こう側」として、それをどのように扱うのかといった観点で書かれている。
私も「大陸と英米の違い」をこんな「向こう側」の視点で考えてみたい。

尚向こう側と言っても分かりにくいが、古田教授も上げている「向こう側にアプローチした人」としてiPS細胞でノーベル賞を受賞した山中教授の例を取り上げている。
「向こう側」とはそんなモノと言う事でご理解いただきたい。

尚余談だが山中先生のiPS細胞で今まで治療の難しかった難病の治療方法が研究されている。家人もそんな難病を持っているが「山中先生の研究が進めば病気が治る可能性がある。それまで病気が悪化しないように頑張って待っていよう」、こんな事を言っているが、多くの人が待っているのだと思う。良い事である。

こんな事を念頭に私の独断と偏見で纏めたのがこれから紹介する皆さんから頂いたコメント。
そんなコメントの内から、関係部分を抜粋し紹介したい。


最初にこれはgai-yaangさんからのコメント

ドイツの反米もわかります
アメリカ独立戦争でアメリカを支援したフランス、対するドイツ諸侯は英国軍の傭兵として戦った。連戦連敗のアメリカ民兵軍、英国正規軍の騎士の情けで全滅を免れる。その後ヘッセン=カッセルの傭兵団を襲い勝利する。

二度の大戦もアメリカさえいなければドイツの勝利だった。さらにロケットをはじめとする最先端の科学技術をアメリカに盗まれた。欧州全体の問題だったユダヤ人問題もホロコーストというどこまで本当かわからないレッテルをナチス・ドイツに被せておしまい、とドイツ人が考えてもおかしくない。

アメリカの成り立ち自体、ヨーロッパから見ると食詰め者と犯罪者と奴隷の国、文化もなく人も動物も退化してしまう、と見下していた。

第一次世界大戦の頃までには医学・化学や哲学などを学ぶにはドイツ語が必須だったというのに、いまや英語が世界の共通語。これもドイツ人には面白くないでしょう。

エマニュエル・トッドの言うドイツ人の「中身の無い合理性」について、こんな話を思い出します。自動車の運転で、ドイツ人は信号が青なら交差点で赤信号を無視して進入してくるクルマがあってもひたすら突っ走る。自分が絶対に正しく信号無視のクルマが悪いのは当然ではあっても、事故を回避する最低限の注意すら怠ってしまう、というもの。

信号を守るというテクニカルなことが事故回避(安全を守る)というモラルに優先してしまうドイツ人をよくとらえています。

逆にフランス人の場合、地方の三車線の道路、真ん中は双方向の追い越し車線。お互い譲らずあわや正面衝突の大惨事となるところを間一髪で避けるという(避けられず事故になることも多いとか)。

2011年の大震災では非常時にもかかわらず平時の法律で対処しようとした民主党政権が被害を拡大したといってもいいでしょう。それ以前に原発の安全神話を盲信し、アメリカの原発の脆弱性に対する指摘に聞く耳を持たず、原発事故対応ロボットを開発していたのに採用せず、アメリカからの援助の申し入れも断ったことなど、ドイツを笑ってなどいられません。

危機管理についてはアングロ・サクソンに学ぶ点がまだまだあります。
2016-01-14 01:53 URL gai-yaang #- 編集


これはよもぎねこさんからのコメント

>エマニュエル・トッドの言うドイツ人の「中身の無い合理性」について、こんな話を思い出します。自動車の運転で、ドイツ人は信号が青なら交差点で赤信号を無視して進入してくるクルマがあってもひたすら突っ走る。自分が絶対に正しく信号無視のクルマが悪いのは当然ではあっても、事故を回避する最低限の注意すら怠ってしまう、というもの。

>信号を守るというテクニカルなことが事故回避(安全を守る)というモラルに優先してしまうドイツ人をよくとらえています。

 gai-yaangさんのこの意見、難民に対する対応を見ていると典型的に出ていますね。

 国境を越えて不法入国して難民申請を出した奴が難民と決めると、ギリシャやバルカン諸国の迷惑も、エーゲ海での大量溺死もなんのその「難民の受け入れに上限はない」とがんばり続ける

 ヨーロッパ域内の戦争での難民なら国境を越えて命からがら逃げた人=難民で良かっただろうけど、今中東や北アフリカから押し寄せる連中は違うでしょう?

 ところがドイツは難民の現実を見る事は絶対拒否して、古典的な難民の定義により古典的な対応に執着しているのです

 このあたりの硬直した思考法は実は、ドイツ人だけじゃなく欧米人の特徴だとは思うのですが、北へ行くほど酷い気がします。
2016-01-14 11:10 URL よもぎねこ #- 編集



これはkazkさんからのコメント

これはリコールのやりようが有るんでしょうか
・・・前半は略・・・
小生も以前話題になった時、ヨーロッパ思想を読み解く、読みました。良く分からないんですが大陸の思想家たちは自分が理解できる世界については合理的な推論や志向ができるが,自分達が感知できない「向こう側」(未知の)の世界になると途端に合理性を失うというような趣旨だったと思います。

これに対して英米系の連中は未知なものは未知として平気でアプローチしていく、そういう内容だったと思います。これは例えばいわゆるIT分野において顕著でしょう。この世界は基本的に我々が感知できるものではありません。その存在を間接的に推認しその応用を図る分野です。情報工学やシステム科学の分野ではこのような場面でも「翔ばなくて」はいけないのですよね。
アングロサクソンの一部にはこれを間違いなくやってもける才能が有ることは否めないでしょうね。この問題は大きく捉えると資源工学、システム工学上の問題をはらんでいます。我々はどうでしょうか、連中とは全く違ったアプローチが出来るかが勝負だろうと言う気がしてなりません。同じ事をやってはおそらく敵わないでしょう。

カリフォルニア規制はかなり独善的です。確かCOx規制が相当甘かったんじゃないでしょうか。NOxやPMを気にするのは分かるのですが電気の作り方という根本的な問題を含めて問題はあり過ぎなんじゃなかろうかという気がしてなりません。まあ、VWを許す気にはさらさらなりませんがね。

2016-01-16 17:29 URL kazk #cPv2SIBE 編集


これはgai-yaangさんからのコメント

大陸と英米との違い
kazkさんのコメントに「英米系の連中は未知なものは未知として平気でアプローチしていく」とありました。まさに英国の経験主義というかある種のいい加減さに繋がります。成文憲法を持たず歴史を積み重ねていく。アメリカは逆に歴史を切り捨て未知なるものへチャレンジする。

英国では昔からというか今でも心霊研究や交霊会、代替医療など盛んで妖精の類も大好き。ネッシーというネタもありました。現代ではハリーポッター。

ヨーロッパの辺境だったゆえにキリスト教以前の多神教的なものが基底にあるのでは、そんな気もします。オスカー・ワイルドの「幸せの王子」、ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」、ディケンズの「クリスマスキャロル」、シェイクスピアの作品の数々、妖精や幽霊、無生物に魂が宿る話などキリスト教的にはおかしな話ばかりですが日本人には馴染みやすい。

宗教改革にしてもドイツの血で血を洗う30年戦争に対し、英国は国王の離婚が認められずにローマ教会から離脱、典礼はほぼカトリックのまま。日本の神仏混淆を思わせるいい加減さですが、それでも国王が首を刎ねられたり、国王に逆らった聖職者の生首がロンドン橋やロンドン塔の上に晒されたりしました。シリアの反政府勢力が歩道の鉄柵の上に生首を並べるのとさほど変わりありません。

英国はカトリックを差別しましたが殲滅しようとはしなかった。現にエリザベス女王の戴冠式やチャーチルの国葬を取り仕切ったのは紋章院総裁を世襲するノーフォーク公(最古参の筆頭伯爵かつカトリック)でした。

フランスの自由平等博愛、ドイツのゲルマン民族至上主義とは違った、英国の融通無碍があればこそユダヤの金融資本を取り込み、奴隷貿易や阿片取引といった汚れ仕事はユダヤ人に任せ、二枚舌・三枚舌で大陸諸国を翻弄できたのかもしれません。
2016-01-19 00:13 URL gai-yaang #- 編集

<引用此処まで>


さてここで皆さんからのコメントへの回答なのだが、丁度そんな事を古田教授が対談で話している。
雑誌「正論」の2016年2月号に古田博司氏と富岡幸一郎氏との対談が掲載されている。
題して「近代は終わった。そして我らは」 p150-p161、
この中に「中国とドイツが必ず滅びる理由」という部分がある p159-p160

此処が大変興味深い、そして頂いたコメントへの参考になると思うので抜粋引用する。


<以下正論2月号より引用> 読みやすくするよう適宜改行などしてある。

中国とドイツが必ず滅びる理由
 古田 近代主義のドイツ観念論を生んだドイツは、いまだに武張ってるでしよ。(笑)
 富岡 武張ってますね。(笑)
 古田 彼らは、歴史の中に必ずストーリーを求めようとするんです。
例えば、ホロコーストでユダヤ人、旧約の神の民を滅ぼして神に挑戦しようとしたり、そうかと思うと、EUで国家共同体の盟主になろうと思ったり、いまは、かつてナチス時代に難民を出したことを悔いて、大量の難民を受け入れようとしている。
ストーリーがないと生きられない人たちですよ。
中国人も同じで、ストーリーが必要なんですね。今、追っているのは中華の夢。白分たちのストーリーを本気にしてるから、南シナ海も古代から自分たちの海だと思い込んでいる。
中国人もドイツ人も歴史にストーリーをつくって、自分がその主役にならないといられない人たちなんです。
しかし、歴史のストーリーをつくる人たちは、必ず滅びますよ。
なぜなら、現実と薩髄を起こして、いつか追い詰められていくから。
旧約聖書を読むと、滅びていく者は全部、自分のストーリーで神に挑んで滅びていく。
僕、旧約聖書のあの部分はリアリズムだと思う。ストーリーを持ち何かに挑む者は必ず滅びるということを、古代人が語っているような気がしますね。

 富岡 人間の文明力の傲慢が、ストーリーをもって動き出す。それが、やはり神とぶつかるわけですね。
 古田 日本人は学問の基盤が中国とドイツだったから、一時期、ドイツの文化にかぶれ、あの戦前の時代、
「大東亜共栄圏」とか、「近代の超克」とかいうものを目指して、突入していったんです。

 富岡 アジア主義とかね。
 古田 ものすごい西洋コンプレックスですよ。今の中国人みたいなね。
 富岡 ああいうものを追い求めたのは右系の思想の帰結と思われていますが、実は左系がマルクスによってプロレタリア・メシアニズムというストーリーをつくっていたのと対になっている。
右手は大東亜共栄圏、左手はプロレタリア革命。
イデオロギーは右と左だけど、同じように大きな物語をつくっていくという意味で、近代主義の典型、鬼っ子としての二つだったんでしょう。
 古田 そう。歴史の中からストーリーをつくっていくというのは、近代なんですよ。
 富岡 同じなんですね。プロレタリア革命派も、皇国史観派、アジア主義派も。
対立するものとして考えられがちですが、そうでもないということは、今、近代が終わったからこそ見えてくる。
 古田 僕はある意味で、日本は一度、敗戦によって滅びたとも考えていますよ。
無数のケルビム(引用者注:智天使:旧約聖書の創世記に出てくる)が飛来し、死の卵を降らせたイメージです。
結局、地政学上の問題でいえば、日本には同盟が必要なんですね。日本は周囲が三万キロもある。
オーストラリアなんかIカ所にかたまっているから約二万キロですよ。
日本は巨大な「群島」なんですね。同盟以外で、どうやって防ぐんですか。日本は「孤立できない群島」なんです。ただの島じゃない。

 富岡 それは東アジアの連中と同盟を結ぶということではないですよね。(笑)
 古田 やりたい人はどうぞ、と言いたいんだけど、それをやろうとすると、また滅びるから、やめたほうがいいでしょう。
防衛線を外に拡張して守ろうとすると、外敵が増えるだけなのです。

 富岡 そうすると、日米関係は…
 古田 日米関係はもうずっとやっていく。
 富岡 やっていけばいいですね。基本はね。
 古田 日本はドイツから学んで失敗したんだから、もっとアメリカから学ぶべきなんですよ。
アングロサクソンの人は自分勝手だけど、その場その場で対応していきます。ポストモダンを生きるにはフレキシブルじゃないと無理ですから。
ドイツや中国を学んじゃダメ。この二国はそっくりだから、絶対仲がいいはずですしね。

 富岡 福田恒存がアングロサクソンを敵にすると、必ず滅びるって言ってますよね。
 古田 マイネッケもですよ。彼は国家理性が発揮できる唯一の国は、アメリカになると預言したんですね。
 富岡 なるほど。正しいですね。

<引用終り>


難しい話ですが、これから「では私たちは、私はどうするか」を考えてみたいと思います。

キーになるのは「般若心経」です。  ・・・ またまた変なものを持ち出したな。抹香臭い話は御免だぞと思われそうですが、しばしご容赦を!。

般若心経、正式には摩訶般若波羅蜜多心経と言います。
この経文はサンスクリット語から漢文に翻訳されていまして、有名なのが「色即是空」などの言葉。そして翻訳者は「孫悟空の親分こと三蔵法師こと玄奘三蔵」。
ですから一応漢文なのですが所々サンスクリット語をそのまま音だけ漢字でうつした所があります。

最初の表題の部分もサンスクリット語でして、こうなっています。

摩訶 般若 波羅蜜多 心経(まか はんにゃ はらみった しんぎょう)
偉大なる"悟りを開く智慧"の真髄


※摩訶=偉大なる
※般若=智慧
※波羅蜜多=完成、悟りを開く、彼岸に至る
※心経=(心=真髄、経=経典)


元々仏教は自己開発の為の教えなので、原始仏教に近いタイなどの上座部仏教などは今でも「自己開発」を教えています。
そして面白い事にこの「般若波羅蜜多」はタイにごく少数ある大乗仏教の寺でもこれが経文になっています。

と前置きは此れ位にして本論。この般若心経の最後にこんな謎の呪文が有ります。
「羯諦羯諦波羅羯諦波羅僧羯諦菩提薩婆訶。般若心経」
(ぎゃていぎゃてい はらぎゃてい はらそうぎゃてい ぼじそわか はんにゃしんぎょう)

普通には
羯諦=(さとりに)往ける(もの)
羯諦=       〃
波羅羯諦=さとりに彼岸へ往けよ
波羅僧羯諦=(もっと強調して)さとりの彼岸に往けよ
菩提=覚り(さとり)
薩婆訶=幸いあれ、(良く言った)


全体を纏めて、中村元先生は「往き往きて 彼岸に到達せるさとりよ、幸あれ」と訳されています。

しかしこの「羯諦」の原語「gate gate paragate parasamgate」には「実践せよ」という意味があると言う人がいます。
そうするとこの難解な言葉は「実践せよ 実践せよ」となってくる。
そしてこれこそが古田博司氏のいう「向こう側」への道なのではないか。

日本人が古来武士道とか修験道そして禅寺などで厳しい修行、鍛錬を続けてきた。
その伝統は徳川の平和な時代になっても消して途切れることなく続いてきた。
こんな事が今日の日本の底流にあるのではないか。
そう考えると「武」の道を究めた武人が色んな書物(宮本武蔵の五輪書)を作り、武人の道を説いたのも分かる気がする。

何か取り留めのない話になりました。
結論は英米と大陸の思想の違い、そしてその中で日本人が、我々がやるべきことは日々の実践と鍛錬、こう言う事だと思う次第。

以上でこのコメント紹介エントリーを終りにしたいと思います。

宮本武蔵の絵  2016-1-24宮本武蔵の絵

  1. 科学技術
  2. TB(0)
  3. CM(25)

2016-01-21 19:13

1万年前、集団で争いか=殺害された人骨多数-ケニア

 1万年前に戦争が有ったことを裏付ける人骨が発見されたと報道されている。
発見されたのは「人類発祥の地、東アフリカの大地溝帯」、先ずはどんな話かというと。

<以下引用>

1万年前、集団で争いか=殺害された人骨多数-ケニア
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2016012100037

英文はこちら
http://www.theguardian.com/science/2016/jan/20/stone-age-massacre-offers-earliest-evidence-human-warfare-kenya


2016-1-21ケニア・トゥルカナ湖付近の発掘調査写真


 アフリカ・ケニアのトゥルカナ湖近くで、約1万年前に狩猟採集民の集団同士が争い、こん棒ややりなどで殺害されたとみられる人骨が少なくとも27人分見つかった。英ケンブリッジ大などの国際研究チームが20日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。
 農耕が始まると、土地や収穫物をめぐる争いが増えるが、狩猟採集時代の集団的な争いの跡は珍しい。人骨の発掘場所は当時の湖岸付近で、水や魚介類などの食料を得やすい場所だったとみられる。縄張りや食料などをめぐる争いか、出合い頭の偶発的な戦いかは不明だが、人類の戦争の起源を考える手掛かりになるという。
 27人のうち子供が6人おり、大人は男女8人ずつで性別不明が5人だった。埋葬された形跡はなく、大人10人のほぼ全身がそろった骨格には、こん棒などで殴られて骨折したり、やりや矢を受けたりした跡が見つかった。
 男性1人の頭骨には、やりの先か矢尻とみられる鋭い黒曜石があった。女性のうち1人は妊婦で、手足を縛られて殺害されたとみられる。胎児の骨も見つかった。(2016/01/21-03:33)

<引用終り>


凄い発見である。1万年も前の人骨がそのまま残っていた。現在でもトゥルカナ湖は琵琶湖の10倍も有る巨大な湖。
しかも流れ込む川は有っても流れ出る川の無い砂漠の中の湖。そんな環境が幸いしたのだろう。

トゥルカナ湖はこんな所

2016-1-21ケニア・トゥルカナ湖付近のchizu



そして東アフリカと言えば人類発祥の地、そこからの大移動は大体こんな風と考えられている。

2016-1-21世界中に広がるホモサピエンス


私がこの話で興味深いと思うのは、東アフリカを約10万年前に出発した人類、それは4~3万年前には日本列島にもやってきていた。そしてそこで石器時代を経て縄文文化を誕生させる。
その長い長い縄文時代を通して「戦争とか殺人が有ると言う証拠は全く見つかっていない」、つまり日本人の祖先は1万年以上の縄文時代、戦争などは全くなく平和に暮らしていたのだ。
しかも更に驚くべき事が発見されている。
 北海道洞爺湖町の入江貝塚で発見された人骨。そこには子供時代にポリオの感染し、ほとんど寝たきりだった女性であったことが分かっている。
20歳くらいと思われるその女性は殆ど歩けなかった筈で、手足の骨は細くボールペン位、それでも十数年介護されていた訳だ。
そして死んだとき、丁重に葬られている。
日本人のご先祖様はこんな心優しい人たちだったのだ。

その人骨の出土状況
2016-1-21北海道入江貝塚の人骨(ポリオだった)

http://jomon-japan.jp/wp-content/uploads/2013/07/leaflet_6irietakasago.pdf


何処かの国が半万年の(有りもしない)歴史を喧伝しているが、日本には確かな物証が有る。
日本人は縄文時代の昔から心優しい人たちだったのだ。
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2016-01-18 17:51

自殺 2万5000人下回る<続編

 16日のエントリー「自殺 2万5000人下回る」で自殺に関しての色んな思いを書いてきた。
原因はデフレだった、こんな話にしたのだがそこに皆さんからいろいろ有意義なコメントを頂戴した。
特にYUYUUさんのコメントが素晴らしいのだが、如何した事かコメント投稿が上手くいかなかったようで分割掲載されている。

YUYUUさんには大変迷惑をかけ申し訳ない。しかし原因は調べてみたが良く分からない。
ただこんなケースでも私のブログのコメント管理の所の迷惑フォルダーには入っているので、今後そんな事が有ったらぜひご一報いただきたいと思う。

そしてYUYUUさんのコメントはコメント欄に置いておくのは勿体ない、なのでそのコメントを本文に掲載してみました。


最初に前回も掲載した自殺者数推移

2016-1-16自殺者推移by読売

それから自殺者の年代別推移
(集計方法などで若干数値のずれが有り、総数も少なめになっているが、傾向はつかめると思う)

2016-1-18年齢別自殺者数推移
出所
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/2740.html

この年齢別グラフで50歳代の自殺者が非常に多いのが分かると思う。そして2004年頃から50歳代の自殺者が減少しているが自殺者総数があまり変わらない中で、この年代だけ全体の傾向と違った動きを見せている。

こんな所を見て、前回のエントリー「自殺 2万5000人下回る」に頂いたコメントを紹介したい。

最初にこれはYUYUUさんからのコメント

1989年の消費税導入はインフレ真最中である上に物品税の廃止により実質的には減税でしたので何の問題もありませんが1998年の消費税率アップはデフレの最中であるため消費者への転嫁が出来ず、企業の粗利を削ることになり、縮小均衡を図るしかなかったのです。粗利から従業員の給料は出るわけですから、粗利の一部を消費税として納税してしまえば、給料を下げるか正社員を減らすしかやりようがない。これは経営者なら分かる話です。
消費税が3から5%に上げたことにより、同じことが起きておりますが、今回は自殺者が増えないのは、その後の関係者の努力により倒産を取り巻く環境が変わったからです。
一番、大きいには個人の背負える借金が決められたこと。
とても返しきれない借金を抱えて絶望し自殺することがなくなりました。自己破産しなうでも、個人再生、任意整理などで借金を大幅に減らして普通の生活をしながら3年程度で返済が終わるようなシステムが出来ました。
私も何人かの相談を受けて、借金減らしのお手伝いをしましたが、本当に貸した企業には申し訳ないなと思いましたよ。昔に比べると甘すぎる。
それから保証人の制度も、事業に関係ない保証人に、他人の借金を背をわすのは止める方向で改善されてきております。まだ、完全ではありませんが・・。
以前のように倒産・失踪・自殺というのは・・情報不足。相談者不足の人だけにになりました。

また、精神障害者の関係はKaZKさんの言うとおりでしょう。
2016-01-16 23:12 URL 友遊

個人に過大な借金を負わせなくなったので、甘ちゃん社長が平気で倒産して迷惑を掛けるようになるとの困った面も出てきてます。
私も何人かの相談を受けて、借金減らしのお手伝いをしましたが、本当に貸した企業には申し訳ないなと思いましたよ。昔に比べると甘すぎる。
それから保証人の制度も、事業に関係ない保証人に、他人の借金を背をわすのは止める方向で改善されてきております。まだ、完全ではありませんが・・。

ただ、こうした情報はあまり知られてないようですので、徐々に効果が出てきたということでしょう。
2016-01-16 23:47 URL 友遊


<YUYUUさんのコメントはここまで>

YUYUUさんのコメントと年齢別グラフを見るとなるほどと思われる所がある。

兎に角やる気のある人が死を決意するような事のない社会の為に色んな方策が有る筈だ。
そんな事を色んなレベルで一つずつ解決してゆきたいと思う。
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2016-01-16 14:31

自殺 2万5000人下回る

 今日の読売新聞に大変うれしい話が載っていた。
昨年の自殺者数が年間で2万5千人を下回り、18年ぶりの低い数字になったのだと言う。

実は私はこの自殺者数については以前から非常に重要な数字として注目していた。理由は1998年3月に突如ポンと跳ね上がり、その後一向に元に戻らない。しかも原因がさっぱり要領を得ないためだった

如何に劇的に動いたか、あとで詳細を説明するが、自殺する人は相互に関係があるわけではない。その人その人で何か死を決意させるようなものがあった。その結果多くの家族には深い悲しみを残したのだが、その原因が何だったのか。
個人的にはこうだと言える。しかし年間3万人を超える人が自ら命を絶った、そんな背景が日本の社会の問題点なのだが、マスゴミが報道しない自殺件数の急増と18年ぶりの2万5千人割れについて考えてみたい。

最初にそれを報道する読売新聞記事から

<以下引用>

自殺 2万5000人下回る…警察庁発表 昨年18年ぶり
2016年1月15日15時0分
http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20160115-118-OYTPT50308/search_list_%25E8%2587%25AA%25E6%25AE%25BA%25E3%2580%2580%25EF%25BC%2592%25E4%25B8%2587%25EF%25BC%2595%25EF%25BC%2590%25EF%25BC%2590%25EF%25BC%2590%25E4%25BA%25BA%25E4%25B8%258B%25E5%259B%259E%25E3%2582%258B__

 警察庁は15日、昨年の全国の自殺者数(速報値)が前年より1456人(5・7%)少ない2万3971人だったと発表した。6年連続の減少で、1997年以来、18年ぶりに2万5000人を下回った

2016-1-16自殺者推移by読売


 昨年1~11月分の統計を基に内閣府が分析したところ、健康問題を動機にした自殺者が前年同期に比べて大きく減っており、担当者は「うつ病など精神疾患を患う人が適切な治療を受けるための体制整備が進んだため」とみている。

 年間自殺者のうち、男性は全体の69%にあたる1万6641人(前年比745人減)で、女性は7330人(同711人減)。東京(165人減)や福岡(144人減)など37都道府県で前年より減少した一方、岡山(62人増)や熊本(35人増)など10県で増加した。

 人口10万人あたりの自殺者数をみると、秋田が26・8人で最も多く、島根25・1人、新潟24・9人と続いた。少ないのは大阪14・5人、神奈川15・2人、高知15・3人の順で、全国平均は18・9人だった。

 自殺者は98年に初めて3万人を超え、2003年には過去最悪の3万4427人に。10年からは毎年減少を続け、14年には2万5427人まで減っていた。

<引用終り>



読売記事はつまらんことをくどくど書いているだけで意味は無い。多分何故急増し、何故減ってきたのか全く分かっていないのだろう。
だがこの問題を以前から色々調べてきたので、ほぼこれだと言えることがある。

これは2013年3月31日のエントリーなのだが、ここに自殺者急増に至る経緯が書いてある。
少々古いが此処で使ったグラフが分かりやすい。
http://tansoku159.blog.fc2.com/blog-entry-672.html


これが自殺者推移グラフ
2016-1-16自殺者推移2013年3月のデータ

此処で見ると分かるが、1998年3月に突如月間自殺者数がポンと跳ね上がり、そのまま年間3万人超えという高レベルで何年も推移した。

この自殺者件数推移は個人レベルで見ると極めて深刻な問題で、警察とか市町村レベルでも真剣に議論され続けた。
しかしこの急激な増加の原因がさっぱり分からず、何年も関係者の頭を悩ませてきた。

私もこの問題の原因を突き止めれば必ず日本は再生する、そう思ってきた。
そしてその原因が分かったのが以下のグラフ。
原因はデフレだったのだ。

これも2013年3月のエントリーで使ったグラフ、少々古いが問題点は読み取れる。

2016-1-16サラリーマン年収推移 2013年3月のデータ

原因は一言でいえば「デフレ」、これが遠因となって多くの人が死を決意するに至ったのだと思う。

<参考ブログ>
「失われた10年は1998年に始まる」
http://yuyuu1950.exblog.jp/21145425/


このYUYUUさんのブログは今でも十分通用する価値ある論考です。


最後にもう一つ、公共事業費推移を見てみます。

2016-1-16公共事業費推移

見事な右肩下がりのグラフ、特に民主党の3年間が如何に不毛の時代かが良く分かります
デフレからの脱却と未来を築くためには公共事業の復活がカギ、そんな事が分かります

  1. 社会一般
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2016-01-13 17:44

カリフォルニア州、VWのリコール計画却下

 フォルクスワーゲンの排ガス不正問題は中々真相が見えてこない。しかしアメリカ加州から凄い話が聞こえてきた。
VWがカリフォルニア州政府に提出したリコール計画が却下されたのだと言う。

この話を見て私はエマニュエル・トッドの意見を思い出した。
ドイツとアメリカは基本的価値観を共有していないとか、ドイツには根深い反米感情があるなどと言う事だ。
最初に排ガス問題を伝える日経記事から

<以下引用>

カリフォルニア州、VWのリコール計画却下
2016/1/13 4:45 (2016/1/13 10:35更新)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFK12H5N_S6A110C1000000/

 【デトロイト=中西豊紀】米カリフォルニア州大気資源局(CARB)は12日、独フォルクスワーゲン(VW)が提出した排ガス不正車のリコール(回収・無償修理)計画を却下したと発表した。内容が法的な基準を満たしていなかったためだと説明している。米国でのVWの信頼回復には打撃になりそうだ。

 VWは2015年11月、排気量2リットルのディーゼル車についてCARBと米環境保護局(EPA)にリコール計画を提出した。それぞれの局は14日までに内容を精査し、計画を認めるかどうか判断する方針を示していた。

 CARBは却下の理由として「法的な要求とは差があり詳細さを欠いている」と指摘。さらに「修理後に走行性能や排ガス値、安全性にどういった影響が出るかについて十分な説明がなされていない」と、技術面での開示姿勢を厳しく評価した。排気量3リットルの車は2月に別の計画提出を受けたうえで評価する方針だ。

 CARBは「今回はより広範な対策を求める措置でもある」という立場で、新たなリコール計画が提出され、それが要件を満たせば承認することを示唆している。CARBがVW側に走行性能を落とさずリコールすることを求めている可能性がある。その場合、「エンジンの交換が必要で事実上不可能」(日系メーカー幹部)で、かなり高いハードルだといえる。

 CARBはカリフォルニア州で独自の環境規制に基づく車を承認している。今回のリコール計画の却下で、VWは引き続き同州でディーゼル車を販売できない。

 一方、全米での販売規制を担当するEPAは、まだ姿勢を明らかにしていない。VWのマティアス・ミュラー社長は13日にワシントンでEPAのマッカーシー長官と面談する予定だ。

 VWの排ガス不正によるリコールをめぐっては2015年末、独連邦自動車局(KBA)がソフトウエアの交換を中心とした計画を承認したばかり。CARBは12日の発表で「VWは環境規制を欺こうという決断をし、それを覆い隠そうとした」と厳しい言葉でVWを非難した。「だます気はなかった」(ミュラー社長)と繰り返すVW側と米当局との溝は深い。

<引用終り>


トンデモナイ話である。それだけカリフォルニア州政府の不信感が強いと言う事だろう。

所で冒頭述べたエマニュエル・トッド氏はこんな事を言っている。
これは週刊現代2015年10月17日号に載った記事。

「VW事件から見えてくる ドイツ最大の弱点」
http://gendai.ismedia.jp/articles/premium01/45706


<以下抜粋引用>

トッド氏は本誌に、続けて言う。

「私はさきほど技術的な評判はあまり問題ではないと言いました。なぜかといえば、排ガスをごまかすための装置というものを作れること自体、技術的に妙技であるといえるからです。

では、私が真に問題と考えるのはなにか。

それは、諸問題を単にテクニカル(技術的)なものとして扱い、モラル(道徳)の面を忘れてしまうという古くからのドイツの傾向です。フォルクスワーゲンのスキャンダルが起きて、世界中の人々はそんなドイツの特質を思い出したでしょう。知っての通り、この種の『中身のない合理性』は、それ自体が危険なのです
・・・中略・・・

「もう一点、付け加えて言いましょう」

トッド氏は言う。

フォルクスワーゲンのスキャンダルは、ドイツ人のアメリカに対する根深い感情について多くのことを教えてくれます。ドイツ人は心の底で、かなり反米の気持ちを強く持っています。ドイツ人はおそらく、リベラルなアメリカの価値観を受け入れないでしょう

<引用終り>

厄介な話である。しかしトッド氏の話を読んでみると確かになるほどと思い当たる。

がしかし、ドイツもアメリカも日本にとっては大事な友好国。(ドイツの反日は一寸別として)
そして中国が破綻寸前のこんな時の揉め事は大変不味いのだ。
この問題が厄介な方向に行かなければいいのだが・・・
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2016-01-12 21:48

日本人から学ぶ10の事

 東日本大震災後の日本に心温まる話が海外から聞こえてきた。
「日本人から学ぶ10の事」と題する英文のチェーンメール。そこには東日本大震災で日本人が見せた行動を称賛する内容が書かれていた。

このメールは国連、IMF、世界銀行などの間で話題になったものだが、その時は誰が発信したのか分からなかった。
しかし英文であることから欧米でも評判になったと聞く。

そして今でも日本国内でも拡散されている。

例えばこんなモノ
http://kaigainohannoublog.blog55.fc2.com/blog-entry-684.html

そして動画も



このメールは大変ありがたいものなのだが、誰が発信してくれたのか、そんな事が分からなかった。
しかし、つい最近刊行された本にそのメールをどなたが発信されたのかが掲載されている。


最初にその「日本人から学ぶべき10の事」から

挙げられた「10の事」は以下。

1:おだやかさ(Calm)
 (号泣し、泣きわめく姿をまったく見ることがなかった。個人の悲しみを内に秘め、悲しみそのものを昇華させた。)

2:尊厳(Dignity)
 (整然と列をつくって、水や食料が渡されるのも待った。罵詈雑言や、奪い合いは、一切なかった。)

3:能力(Ability)
 (驚くべき建築技術。建物は揺れたものの、崩壊しなかった。)

4:気品(Grace)
  (人々は、必要なものだけを購入した。買い占めることなく、そのため、すべての人が必要なものを手にすることができた。)

5:秩序(Order)
 (車がクラクションを鳴らしたり、道路を占拠したりすることがまったくなかった。)

6:犠牲的行為(Sacrifice)
  (福島第一原発で事故が起きた時に、50名の作業員が海水を注入するために、逃げずにその場で作業を続けた。彼らの犠牲的行為は、どう報いてあげられるだろうか。)

7:優しさ(Tenderness)
 (食堂は値段を下げ、ATMには警備がつくこともなく、そのまま使えるようにされた。弱者には、特に助けの手が差しのべられた。)

8:訓練(Training)
 (老若男女の別け隔てなく、すべての人々がどうすれば良いかが分かっており、その通りの行動した。)

9:媒体(Media)
  (メディアは、冷静かつ穏やかに報道した。)

10:良心(Conscience)
  (店で買い物をしている人たちは、停電になると、手にしていた商品を棚に戻して、店を出た。)


そして出典は

「英国人記者が見た  世界に比類なき日本文化」
ヘンリー・S・ストークス  加瀬 英明 共著
2016年1月10日刊 祥伝社

この本にこんな事が書いてある。

2016-1-12日本に学ぶべき10の事1

2016-1-12日本に学ぶべき10の事2


尚ここでストークス氏がイトコとして紹介しているマーティン・バロウ氏とはこんな方。

2016-1-12マーチン・バロウ氏

マーティン・バロウ氏は平成26年に旭日中綬章を叙勲され、ビジットジャパン大使をつとめられています。
こう言う方に日本の良い所を発信していただける、有り難い事です。


  1. 日常の話題
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2016-01-11 17:55

中国流の海外開発<カンボジアの事例です

 テレ東の池上彰さんの番組で昨年12月、ベトナムからカンボジア・タイへの南部経済回廊が報道されていた。
そこにカンボジアに中国がムチャクチャな進出をしている事が取り上げられている。

去年12月のエントリー「中国のスクラップ・アンド・ビルド」にgai-yaang さんからのコメントでこの番組を紹介いただいた。

どんなものかというと・・・

これはカンボジアのプノンペン郊外のメコン川ほとりのリゾート開発、こんなホテルを建設中だと言う。

2016-1-10カンボジアのマリナーズベイのパクリホテル

何とシンガポールのシンボル、マリーナ・ベイ・サンズホテルのパクリだ。

これがシンガポールの新しいシンボル、マリーナ・ベイ・サンズホテル。

2016-1-11マリーナベイサンズbyBBC2

完全なパクリだがパクリではないと言いたいらしい。
そしてターゲットとするのは中国の富裕層なのだそうだ。

そして更にカンボジアの海岸をどんどん買い占めてリゾート開発をしている。
なんとカンボジアの海岸の五分の一が中国に買い占められたらしい。此れも中国人がターゲットの様だ。

2016-1-10カンボジアのリゾート開発


この中国のリゾート開発、やることがムチャクチャである。
以前の報道だがこんなモノも。

<以下引用>
「中国がカンボジアでの開発事業で村民を強制立ち退き」、米メディアの報道は事実無根―中国紙
2013年07月27日
http://www.focus-asia.com/socioeconomy/economy/355015/

中国紙・環球時報は26日、「中国がカンボジアでのリゾート開発プロジェクトで村民1万人を強制的に立ち退かせている」との米メディアの報道に対し、「事実無根」と反論した。

米ボイス・オブ・アメリカ(VOA)が24日に報じたもの。2008年以降、カンボジア政府から3万6000ヘクタールの土地を借り受けた中国の優聯集団が、38億ドルを投じて海に面した大規模なリゾート開発を進めているが、これにより1万人もの地元民が立ち退きを余儀なくされている、と報じられた。

これに対し、優聯集団側は25日、環球時報の取材に応じ、「現地の立ち退き作業は中国側と現地住民との間でいざこざが起きないよう、カンボジア側が全責任を持って進めている。立ち退き対象者の多くは十分な補償金を受け取り、新しい村に引っ越している」と反論した。

カンボジアの情報筋も同日、環球時報の取材に応じ、「米メディアが報道したようなことは起きていない。現地住民の訴えを尊重し、家屋の強制取り壊しも行っていない」と証言している。

<引用終り>


所でこの中国式無茶苦茶開発。結果は環境破壊とゴーストタウンという事が考えられる。
そんな実例がカンボジアの隣国ラオスにある。

ラオス北部の中国との国境の町ボーテン、ここに道路が出来た途端中国がやってきてカジノ街火事の害を作ってしまった。
しかし客は中国人だけ、そして麻薬と殺人事件などが横行し、ラオス政府がカジノを禁止した途端にこんなもの。

ゴーストタウンである。
2015-4-22ボーテンのボーテンの廃墟1

これも見捨てられたホテル
2015-4-22ボーテンのボーテンの廃墟2

この件は以下エントリー参照ください。

「中国のインフラ投資の結果は?」
http://tansoku159.blog.fc2.com/blog-entry-1099.html


中国人は都合が悪くなるとさっさと逃げる。
カンボジアの投資話も今の経済状況では恐らくカネが続くまい。
そうなったらアッと言う間にトンズラ、これぞ中国流だがさてそれは何時になりそうか・・・・

今年の年初からの株の落ち込み具合を見ると何時それが起こってもおかしくないと思えるのだが、如何だろうか。
  1. 中国
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2016-01-09 17:40

仏師運慶が護国寺の仁王像を作る話<追記あり

 夏目漱石の短編集「夢十夜」の「第六夜」に仏師運慶が明治時代に護国寺仁王門の仁王像を彫っている話が有る。勿論漱石の見た夢である。
運慶は鎌倉時代の人、護国寺(東京都文京区)は江戸時代初めの創建。まあそんな夢物語なのだが大変面白い。


最初にお茶の水大学名誉教授立花太郎氏の「お茶の水女子大学附近の科学史散歩」の3、護国寺から。
(尚立花太郎名誉教授はご存命なら百歳を超えたと思うのだが、消息については私には分からない)

<以下「お茶の水女子大学附近の科学史散歩」3.護国寺より引用>
http://www.sci.ocha.ac.jp/chemHP/ouca/archives/tachibana_201011.pdf


 護国寺は本学に最も近い散歩スポットである。
ここの仁王門は夏目漱石の『夢十夜』の第六夜の舞台となったことで知られている。この寺は徳川五代将軍、綱吉が生母桂昌院の願いによって、1681 年に創建された。
漱石の夢の中では、ここの仁王門の仁王を鎌倉期の彫刻師運慶がノミとツチで彫りぬいているのを明治時代の人々が見物しながら下馬評をやっている。
見物人の一人である漱石が「よくああ無造作にノミを使って思うように眉や鼻が出来るものだな」と感心して独り言をいったら傍らの若い男が、「なに、あれは眉や鼻をノミで作るんじゃない。あの通りの眉や鼻が木の中に埋っているのをノミやツチの力で彫り出すまでだ。まるで土の中から石を彫り出すようなものだから決して間違うはずはない」といった。
これは、漱石が芸術における創造の秘密を語った言葉と受けとれる。

ところで、日本で最初のノーベル化学賞の受賞者であった京大の福井謙一教授は、中学生時代から漱石全集の愛読者であったが、この運慶が仁王像を彫り出す話が「いみじくも学問における創造のあり方を示唆していることに気がついてきた」と述べている(『学問の創造』p.73、1984、佼成出版社)。
つまり自然科学においても真に創造的な理論は自然に無理なく構築されるのが理想の姿であるというのである。真に創造的な理論には美しさが感じられるのは、そのせいかもしれない。それは有名な建造物の美しさとも共通するように思われる。
・・・以下略・・・

<引用終り>


 何気ない短編なのだが、私はこの短編で若い男が言った「なに、あれは眉や鼻をノミで作るんじゃない。あの通りの眉や鼻が木の中に埋っているのをノミやツチの力で彫り出すまでだ。まるで土の中から石を彫り出すようなものだから決して間違うはずはない」、この言葉に非常な感銘を受けた。

学問でも仕事でもそうだが、完成したものをイメージした上で仕事をする、それも出来上がった姿がどんなものか明確にイメージできることが重要だと思っている。
勿論こんな事は昔からそう思っていた訳ではないが、仕事を色々やってきてたどり着いた結論、それが明確にイメージすることの重要さだった。

明後日は成人の日、若い人には現在の世の中は実に問題だらけの大変な時代だと思う。
年明け早々からシナ発の株暴落、隣のキ印国は核実験、アラブ方面はアチコチでドンパチとムチャクチャだ。
そんな時代だからこそ、こんなイメージすることの重要さをしっかり身につけることが必要なのではないだろうか。

護国寺仁王門

2016-1-9護国寺仁王門


参考までに漱石の「夢十夜の第六夜」全文を引用します。
さして長い文ではないので、興味のある方は是非どうぞ。

<以下夢十夜の第六夜>

第六夜

 運慶(うんけい)が護国寺(ごこくじ)の山門で仁王(におう)を刻んでいると云う評判だから、散歩ながら行って見ると、自分より先にもう大勢集まって、しきりに下馬評(げばひょう)をやっていた。
 山門の前五六間の所には、大きな赤松があって、その幹が斜(ななめ)に山門の甍(いらか)を隠して、遠い青空まで伸のびている。松の緑と朱塗(しゅぬり)の門が互いに照(うつ)り合ってみごとに見える。その上松の位地が好い。門の左の端を眼障(めざわり)にならないように、斜(はす)に切って行って、上になるほど幅を広く屋根まで突出(つきだ)しているのが何となく古風である。鎌倉時代とも思われる。
 ところが見ているものは、みんな自分と同じく、明治の人間である。その中(うち)でも車夫が一番多い。辻待(つじまち)をして退屈だから立っているに相違ない。
「大きなもんだなあ」と云っている。
「人間を拵こしら)えるよりもよっぽど骨が折れるだろう」とも云っている。
 そうかと思うと、「へえ仁王だね。今でも仁王を彫ほるのかね。へえそうかね。私(わっし)ゃまた仁王はみんな古いのばかりかと思ってた」と云った男がある。
「どうも強そうですね。なんだってえますぜ。昔から誰が強いって、仁王ほど強い人あ無いって云いますぜ。何でも日本武尊(やまとだけのみこと)よりも強いんだってえからね」と話しかけた男もある。この男は尻を端折(はしょ)って、帽子を被(かぶ)らずにいた。よほど無教育な男と見える。
 運慶は見物人の評判には委細頓着(とんじゃく)なく鑿(のみ)と槌(つち)を動かしている。いっこう振り向きもしない。高い所に乗って、仁王の顔の辺あたりをしきりに彫(ほ)り抜(ぬ)いて行く。
 運慶は頭に小さい烏帽子(えぼし)のようなものを乗せて、素袍(すおう)だか何だかわからない大きな袖(そで)を背中(せなか)で括(くく)っている。その様子がいかにも古くさい。わいわい云ってる見物人とはまるで釣り合が取れないようである。自分はどうして今時分まで運慶が生きているのかなと思った。どうも不思議な事があるものだと考えながら、やはり立って見ていた。
 しかし運慶の方では不思議とも奇体ともとんと感じ得ない様子で一生懸命に彫っている。仰向(あおむ)いてこの態度を眺めていた一人の若い男が、自分の方を振り向いて、
「さすがは運慶だな。眼中に我々なしだ。天下の英雄はただ仁王と我(われ)とあるのみと云う態度だ。天晴(あっぱ)れだ」と云って賞(ほ)め出した。
 自分はこの言葉を面白いと思った。それでちょっと若い男の方を見ると、若い男は、すかさず、
「あの鑿と槌の使い方を見たまえ。大自在(だいじざい)の妙境に達している」と云った。
 運慶は今太い眉まゆを一寸(いっすん)の高さに横へ彫り抜いて、鑿の歯を竪(たて)に返すや否や斜(はす)に、上から槌を打(う)ち下(おろ)した。堅い木を一(ひ)と刻(きざ)みに削(けず)って、厚い木屑(きくず)が槌の声に応じて飛んだと思ったら、小鼻のおっ開らいた怒り鼻の側面がたちまち浮き上がって来た。その刀(とう)の入れ方がいかにも無遠慮であった。そうして少しも疑念を挾(さしはさ)んでおらんように見えた。
「よくああ無造作(むぞうさ)に鑿を使って、思うような眉(まみえ)や鼻ができるものだな」と自分はあんまり感心したから独言(ひとりごと)のように言った。するとさっきの若い男が、
「なに、あれは眉や鼻を鑿で作るんじゃない。あの通りの眉や鼻が木の中に埋(うま)っているのを、鑿(のみ)と槌(つち)の力で掘り出すまでだ。まるで土の中から石を掘り出すようなものだからけっして間違うはずはない」と云った。
 自分はこの時始めて彫刻とはそんなものかと思い出した。はたしてそうなら誰にでもできる事だと思い出した。それで急に自分も仁王が彫(ほ)ってみたくなったから見物をやめてさっそく家(うち)へ帰った。
 道具箱から鑿(のみ)と金槌(かなづち)を持ち出して、裏へ出て見ると、せんだっての暴風(あらし)で倒れた樫(かし)を、薪(まき)にするつもりで、木挽(こびき)に挽(ひ)かせた手頃な奴(やつ)が、たくさん積んであった。
 自分は一番大きいのを選んで、勢いよく彫(ほ)り始めて見たが、不幸にして、仁王は見当らなかった。その次のにも運悪く掘り当てる事ができなかった。三番目のにも仁王はいなかった。自分は積んである薪を片(かた)っ端ぱしから彫って見たが、どれもこれも仁王を蔵(かく)しているのはなかった。ついに明治の木にはとうてい仁王は埋(うま)っていないものだと悟った。それで運慶が今日(きょう)まで生きている理由もほぼ解った。

<引用終り>


* 追記します

よもぎねこさんからコメント欄でこんな興味深いコメントを頂きました。

>ミケランジェロは彫刻する事について「石の中の男が『出してくれと!!』と叫んでいるんだ。」と言っていたそうです。

この話の典拠を調べてみると色んな人が引用していまして、多少言葉が変わっています。まあ原語はイタリア語でしょうから仕方ないですね。
例えばこの言葉
(彫刻家スコリッピ)
歴史の頂点に輝くかの「ミケランジェロ」が言った言葉がある。「わたしは大理石を彫刻する時、着想を持たない「石」自体がすでに掘るべき形の限界を定めているからだ。わたしの手はその形を石の中から取り出してやるだけなのだ。」ミケランジェロは「究極の形」は考えてから掘るのではなく、すでに石の中に運命として「内在している」と言っているのだ。

そしてミケランジェロの名言集などを見るとこんな言葉
(ミケランジェロ)
私は大理石の中に天使を見た。そして天使を自由にするために彫ったのだ。

I saw the angel in the marble and carved until I set him free.

他にも色々あるようですが、言いたい事は同じでしょう。
時も国も言葉も越えて「不変の真実」なのだと思います。

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