2015-11-30 11:35

「100年マラソン」を読んでみた<その5 中国梦(夢)

 今回は中国(梦)夢について。この「梦」の字は「夢」の簡体字です。
習近平が就任以来、盛んに「中国夢」と言っていますが、その意味する所は何か。
その前、胡錦濤の時は「和諧」と言っていたがどう違うのか。

夢と言っても和諧と言ってもよく分からないが、先ずはこんな風に使われている。

中国梦(夢)

2015-11-29中国夢


さてそれでは「100年マラソン」ではこれをどう説明しているか。

<以下引用>

 中国人はかつてソ連を利用したように、アメリカを利用しようとしていた。米中以外の第三のライバル国に協力して対抗すると約束しておきながら、白分か前に進むための道具にする。これが冷戦中に中国が進めたマラソンのやり方たった。
・・・中略・・・

 それから40年後、習近平は中国共産党書記長(主席の前段階)に就任してすぐ、それまで隠されていた中国の野望を認めた。最初のスピーチで、かつて中国の指導者が公式の演説で述べたことのない「強中国夢」(強い中国になるという夢)という言葉を口にしたのだ。
 これは驚くべき発言だった。中国の指導者は、西側の政治家と違って、公式の場での発言に細心の注意を払う。とりわけ「夢」「望」といっか言葉は避ける。その上うに感傷的な言葉は、西洋風の奇をてらったあてにならない表現と見なされるからだ。しかし習はそれ以降、スピーチで何度となく「強中国夢」に言及した。ウォールーストリートージャーナル紙のトップ記事によると、習は、2049年を、その夢が実現する年としている。
 毛沢東が中国の指導者となり共産主義国家を樹立してから100年目にあたる年だ。
 習主席が「強中国夢」と言ったのは、たまたまでもなければ、不注意からでもなかった。人民解放軍の退役軍人で、中央軍事委員会弁公庁秘書たった習は、中国軍の「超タカ派」と密接に結びついている。習主席の演説を聴いた何人かの中国人から聞いてわかったことだが、中国の大学で教育を受けた人や軍人は、習主席の「強中国夢」という発言を聞いてすぐ、その意味を理解したそうだ。
 「強中国夢」は、かつて西洋では存在が知られていなかった、ある本の内容を暗に示唆している。その本、『中国の夢』は、2010年に中国で出版された。著者の劉明福は、人民解放軍の大佐で、人民解放軍の将官を育てる人民解放軍国防大学の指導的学者でもあった。わたしが「100年マラソン」という記述を初めて見たのも、その本においてだった。
 『中国の夢』は中国でベストセラーになった。英語に翻訳されているのは一部だけだが、その本には、どうすれば中国はアメリカに追いつき追い越し、世界の最強国になれるかが書かれている。ソ連がアメリカを凌駕できなかった理由を分析し、一章を割いて、中国が採るべき八つの方法を列挙する。劉が採用した「100年マラソン」という表現は、「マラソン」が英語からの借用であるにもかかわらず、中国全土に流布した。「100年マラソン」は中国ではしばしば、「中国の夢」を踏まえて、「正しい」世界秩序の中で中国を「活性化する」ことと説明される。「活性化」あるいは「復興」は、マラソンと同じ意味合いらしく、1949年からスタートして100年かかるとしている。中国はマラソンのゴールについては秘密にしている。それが良いものだという以外、最終的な復興がどのような状態であるかを、はっきり語ったことはない。
 『中国の夢』は、中国が世界のリーダーシップを握るには、国際的レベルの軍事力が必要だ、と説く。「21世紀における中国の最大の目標は、世界一の強国になることだ」と劉は言う。「中国とアメリカの競争は『ピストルでの決闘』や『ボクシングの試合』と言うよ
りむしろ『陸上競技」と言うべきだろう。それは、「マラソン」のように時間がかかる。
そしてマラソンが終わった時、地球上で最も高潔な強国、すなわち中国が勝者となる」と劉は息巻く。
・・・中略・・・

アメリカの弱みを研究し、西洋が中国の本当のゲームプランに気づいたら、すぐアメリカを打倒できるよう、準備しておくことが重要だと劉はほのめかしている。また、中国の指導者が公式なマラソン戦略を持っていることを示唆し、毛沢東について、「アメリカを超すための壮大な計画を練り、アメリカの打倒は人類に対する最大の貢献になると述べた」と讃えた。ウォールーストリートージャーナル紙が2013年に報じたように、『中国の夢』は国家の統制下にあるすべての書店で「推薦図書」の棚に飾られた。(p46-p49)
・・・中略・・・

 これまでところ、マニフェストとして中国を頂点とする世界秩序が語られたことはないが、過去10年の間に、ふたりの国家主席が、中国の意図をほのめかした。2005年9月、胡綿濤主席は国連の首脳会議で、「平和でともに繁栄する和諧世界に向けて」と題したスピーチを行い、その中で、「和諧世界」の概念について論じた。スピーチの中で胡は「ともに協力し、平和と繁栄が続く和諧世界を築きましょう」と曖昧に述べている。その8年後、胡錦濤の後任である習近平は、就任後初の演説の中で、端的な言葉で未来を示唆した。
「発展が何よりも重要」である、と。そして「中国の夢を実現するため、常に物質的および文化的基盤を突き固めなければならない」とつけ加えた。世界を和諧させるという習(引用者注:胡錦濤が正しい)が掲げた目標は、中国人の価値観に合わせて和諧させる、という意味だ。

 胡と習の言葉は、前後の文脈を知らなければ、特に害はなさそうに思えるが、第1章で述べたように、中国の言う「和諧」の地政学的意味は「一極支配」であり、第2章で説明したように、「中国の夢」とは、世界で唯一の超大国、つまり経済的、軍事的、文化的に無敵になることだ。
 もし中国の夢が2049年に現実になれば、中国中心の世界は独裁政治を助長するだろう。多くのウェブサイトが、欧米を中傷し中国を称賛する偽りの歴史で埋まる。発展途上国が「成長が先、環境対策は後」という中国のモデルを採用するにつれて、食の安全や環境保護はますますないがしろにされ、より多くの国で大気汚染が進む。環境破壊が進むと、種が失われ、海面が上昇し、がんが蔓延する。。(p296-p297)
・・・以下略・・・

<引用終り>


さて和諧である。

和諧号
2015-11-29和諧号

高速鉄道車両の前面には「和諧号」と大書されている。

誰だよ、日本の宝、新幹線を中国に安売りしてしまったのは!。
その罪、万死に値すると言うのはこう言う事を言うのだよ。ねえ、JR東日本さんよ。


そして此れだけ見ても「アッ、そうか、みんな仲良くなんだな・・」、こんな風にしか思えない。
しかし、実際の意味は「一極支配」、だから高速鉄道は「中国の一極支配号」と書いてあるように読める
どけどけっ、中国様が通るんだぞ!、こんな意味であった。


そして中国の梦(夢)、
「中国の夢」とは、世界で唯一の超大国、つまり経済的、軍事的、文化的に無敵になることだった。

こんな風にさかんに宣伝している。
2015-11-30中国夢1

国家富強、民族振興、人民幸福 なんだそうだ。

しかし、こんな風にも見えるのだが・・・
2015-11-30中国夢2


そして中国が此処まで傲慢になってきたのには、その前段階がある。
鼎の軽重を何度も問っているのだ。

その第一弾が2007年の中国による人工衛星破壊。
これは何と昨年もミサイルによる人工衛星破壊実験を(結果は失敗だったが)行っているのだ。
そして日本や国際社会の反応はこんなモノ。

中国の衛星破壊実験、日本の説明要求に中国が反論―中国メディア
http://www.recordchina.co.jp/a104985.html

衛星攻撃能力向上と宇宙ごみ拡散、中国の衛星破壊実験は「脅威」米軍司令官
http://www.sankei.com/world/news/150325/wor1503250042-n1.html

こんな程度では中国には痛くもかゆくもない、要するに鼎の軽重を問ってみたら「何だこりゃあ、軽いじゃないか」と言う事だった。

そして中国が決定的に付け上がってきたこと、
それは2008年のリーマンショックとその後の量的金融緩和、そして最後の仕上げが2009年11月のオバマ訪中だった。

リーマンショック・・・    2008年9月
量的金融緩和(QE1)・・・2008年11月~2010年6月、総額1兆7250億ドル
(参考:QE=Quantitative easing、量的金融緩和政策)
経済の教科書では紙幣をどんどん刷っていけば、ハイパーインフレになるとか、バブルになるとか言われている。
しかしアメリカはそうならなかった・・・???
この謎解きが中国にある。中国はアメリカが紙幣を刷るのに合わせて人民元も同じように刷っていった。そして増え続けるドルを吸収した。しかし元の為替レートはドルにリンクさせてあったので、上手く吸収してしまった。
結果中国の不動産大バブルや猛烈な過剰設備投資を生んだ。更に外貨準備もアッと言う間に世界一になってしまった。
(注:外貨準備は実はネズミがミンナ持ち逃げしてしまったので、今国庫は空っぽらしい・・・)



鼎を持っていた王様が転んでしまったので、そこに付け込んで中国がのし上がってきたと言う構図だ。

そして仕上げが2009年11月のオバマの訪中。

2015-11-30中国のオバマ訪中記事
http://j.people.com.cn/94825/94827/98950/

オバマの訪中に対し、中国の受け止め方は「三十にして立つ」、こんな反応である。
米中国交回復が1979年1月、確かに30年の節目だった。
しかし「三十にして立つ」、これは論語の中の有名な言葉。孔子はこう言っている。
「 子曰く、
 吾れ十有五にして学に志ざす。
 三十にして立つ。
 四十にして惑わず。
 五十にして天命を知る。
 六十にして耳従う。
 七十にして心の欲する所に従って、矩(のり)を踰(こ)えず。」

しかし此処では米中国交回復30年、ついに大国アメリカと対等になった、中国がそう思いこんだと理解すべきだろう。

尚オバマはその前に日本に立ち寄っている。その時は時の総理ポッポはオバマを放り出して自分は勝手に先に行ってしまったのだが・・・
この写真に記憶があると思う。この時の事だった。
2015-11-30オバマのお辞儀


尚オバマに対しては胡錦濤は更に無礼な事をして、鼎の軽重を問いつづけている。

これは2011年に胡錦濤が訪米した際のホワイトハウスでの晩餐会の様子。
2015-11-30胡錦濤の無礼な服装2011

こんな晩餐会では招待状に服装が明記されている。ドレスコードと言う。そのドレスコードは「ブラックタイ」、つまりタキシードで黒の蝶ネクタイが正式の服装、当然ながらオバマの夫人もそんな服装。
しかし胡錦濤はビジネススーツである。人を馬鹿にした服装というべきだろう。
さらにこの時中国人ピアニストがピアノを弾いた。ランランだった。しかし弾いた曲は「反米歌」だった・・・


中国はこんな事で相手の出方を見ながら、徐々にその傲慢さを発揮してきた。
この件は次回もとり上げたいと思います。




そして、その結果です。
もしこのまま進んで、中国の覇権が確立すれば・・・

多くのウェブサイトが、欧米を中傷し中国を称賛する偽りの歴史で埋まる。発展途上国が「成長が先、環境対策は後」という中国のモデルを採用するにつれて、食の安全や環境保護はますますないがしろにされ、より多くの国で大気汚染が進む。環境破壊が進む・・



そんな結果として、こんな風景が全世界で当たり前になる・・・恐ろしい・・・。

大気汚染は
2015-11-29中国のスモッグ

河川の汚染は
2015-11-30中国の河川汚染


今、目の前にある危機、そんな事なのだと思う。
次回は日本との関係について書いてみます。

  1. 中国
  2. TB(0)
  3. CM(10)

2015-11-27 17:58

「100年マラソン」を読んでみた<その4 殺手鐗の話

 今回は「殺手鐗」の話、所でこの「殺手鐗」、何て読むの?
実は文字の読めない短足にはこの字は読めません・・・(笑)。

この「殺手鐗」の意味は100年マラソンにはこう書いてある。
殺・手・鐗は、「殺す」「手」「鎚矛」を意味する。「暗殺者の鎚矛」という意味だ。

と言われてもねえ、

殺手鐗は台湾の辞書では「漢語拼音:shā shǒu jiǎn」とありますから、「シャ ショウ ジィエン」。
「鐗」の字は日本語には無い漢字です。私は大正5年刊行の3000ページも有る漢和辞典を持っていますが、其れにも載っていない。若し読み方をご存知の方が見えたらご教示いただければ幸いです。
尚「鐗」の字の右側「旁」の部分だけ見ても、此処が間ではなく閒ですがこれが正字で、門構えの中が月ではなく日の「間」は俗字でした。

さて「殺手鐗」はこんな風に使うようです。

2015-11-20殺手鐗

前置きが長くなりました。さっそく100年マラソンでどんな事が書いてあるか、以下引用します。


<以下引用>

 中国の昔話に、自分より強い敵を倒した英雄の物語がある。敵は巨人より強く、その時代の最新の武器を携えており、誰からも恐れられていた。しかし英雄は死も恐れず、この敵と戦った。なぜなら秘密の武器を持っていたからだ。上着の幅広の袖に隠していたのは、剣を(あるいは頭蓋骨さえも)真っ二つにできる、短くて軽い、柄頭の付いた梶棒だった。「殺手鐗」と呼ばれるその梶は、一見、それほど威力があるようには思えなかったが、英雄が使えば、一撃で敵を打ちのめすことができた。英雄は何年もかけてその扱いを訓練し、また敵の弱点を学んだ。そしてついに、その武器を手に奇襲をしかけ、自分よりはるかに強い敵を打ち破った
 この物語は、聖書のダビデとゴリアテの物語に似ているが、少年ダビデが神の加護によって巨人ゴリアテを破ったのに対して、中国の英雄は、殺手鐗と呼ばれる秘密の武器によって救われた。殺・手・鐗は、「殺す」「手」「鎚矛」を意味する。「暗殺者の鎚矛」という意味だ。
 殺手鐗は、自分より強い敵に勝つための切り札である。その言葉は少なくとも戦国時代でさかのぼることができ、古代の政治術の文献、武術小説、日刊の軍事新聞でも使われている。中国人はさまざまな状況で、殺手鐗を目にしている。デートをする時、男性が殺手鐗を持っていれば、高嶺の花の女性もその魅力には抗しがたい。ビジネスを進める上では、殺手鐗を持つ経営者は、より規模の大きい競争者を凌駕できる。サッカーの試合では、殺手鐗とは次々にシュートを決める選手で、そのような選手がいるチーは無敵だ。
 中国は殺手鐗を作るために、自国の資源に釣り合わないほど多額の投資を非対称能力(非対称戦をするための能力)の開発に注ぎ込んでいる。
・・・中略・・・

アメリカのような超大国に対抗する上で必要な戦術が数多く挙げられている。たとえば、強襲レーダー、ハイテク兵器を備えた無線局、電子兵器による敵の通信設備の妨害、通信センター・設備・指揮艦への攻撃、電磁パルス兵器による電子システムの破壊、コッピューターウイルスを使ったソフトウェアヘの攻撃、指向性エネルギー兵器(訳注*電子ビームやレーザー光など指向性のエネルギーで目標を直接攻撃する兵器)の開発などである。
・・・中略・・・

 アメリカは戦争を軍事的手段という方向からしか見ていないが、孫子のような古代中国の思想家が説く、より幅広い戦略では情報、経済、法律が強調される。「明らかに、戦争の概念を拡張しているのは、その手段の多様性だ」と、喬良と王湘徳は、議論を招いた1999年の著書『超限戦』で述べている。
 「戦場はあなたのすぐ隣にあり、敵はあなたが使うネットワーク上にいる。火薬のにおいも血のにおいもしないが(中略)明らかに戦争は、兵士、軍隊、軍事的衝突を超越しつつあり、次第に政治、科学、そして金融の問題になりつつある」(p210-p214)

<引用終り>


一寸最初に言葉の意味から見て行かないとこの言葉が理解できない。
殺手鐗を暗殺者の槌矛と説明しているが、もう少し詳しく見てみよう。槌は「鉄槌を下す」などと使うが、その鉄槌とはどんなものか。

これは中国の春秋戦国時代(紀元前770年~紀元前221年)まで遡らないと分からない。
この当時は青銅器文化時代から鉄器文化時代に変わる時代だった。

その当時の兵士はこんな様子、持っているのは戈(か)と言う武器。振り回して使う武器だった。
2015-11-27戈を持つ兵士

その当時は金属の冶金技術も未熟だったので棍棒も有力な武器だった。
これは棍棒の頭の部分

2015-11-27棍棒

鉄槌を下すと言う言葉がある。こんなモノに柄をつけたものが鉄槌。

そしてこれは戈(か)と矛

2015-11-27戈と矛

この図の左下が矛です。槍の前身と言ったものです。

最後に殺手鐗の「手」について。
これは多分手裏剣とか手榴弾の手でしょう。手の中に隠せるくらいのモノといった意味があると思います。


さて前段が長くなりすぎました。こんな漢字の意味をよく見るとこの「殺手鐗」と言う意味が良く分かります。
著者ピルズベリーも書いていますが、強大な敵に挑戦者が打ち勝つためには、敵の急所を一撃できる秘密兵器を密かに作り、しっかり訓練して、時期を見てそれで一撃する。こう言う作戦と言う事です。


そう考えると数年前、中国が人工衛星の破壊実験をして世界中から非難を浴びました。これなども正にその一環でしょう。
また先日、中国の百度(baido)の検索エンジンにバックドアが実装されていたことが露見した。
http://tansoku159.blog.fc2.com/blog-entry-1185.html

正にこれも中国の殺手鐗作戦そのものではないだろうか。

最後にもう一度この言葉を。

「戦場はあなたのすぐ隣にあり、敵はあなたが使うネットワーク上にいる。火薬のにおいも血のにおいもしないが(中略)明らかに戦争は、兵士、軍隊、軍事的衝突を超越しつつあり、次第に政治、科学、そして金融の問題になりつつある」

日本人みんなで良く考えねばいけないと思う次第です。
  1. 中国
  2. TB(0)
  3. CM(16)

2015-11-25 18:25

「100年マラソン」を読んでみた<その3 中国はアメリカの政策も変える


 アメリカのクリントン大統領が超反日であることは以前書いた事がある。
「日本に課せられた二つのくびき」
http://tansoku159.blog.fc2.com/blog-entry-1149.html


この様にクリントンが超反日であることは知っていたが、反中でもあったのだと言う。
それをこの本では、中国が「反中では困る、親中に変えてもらうべ・・」、こんな事をやったのだと言う。

アメリカ政府の方針を全く逆転させた作戦がどんなだったのか、正にビックリ仰天の話なのだが・・・
引用文は少々長いがまあ読んでみてください。

この背景は89年6月の天安門事件で冷え込んだ米中関係、それが93年1月のクリントン大統領就任でどう動いたかです。
引用文の後にその頃の日本の状況も書いておきます。


<以下100年マラソンより>

 中国の「擁護者」というブッシュ(注:パパ・ブッシュ)のスタンスを、後任のビルークリントンは痛烈に非難した。1992年の大統領選でクリントンは、就任した暁には、中国に対し、ブッシュより厳格な姿勢をとると約束した。そして、ブッシュに勝って大統領になると、アイゼンハワー、ケネディ、ジョンソン以来、どの大統領より強硬な対中路線を敷いた。
 クリントンは、中国を訪れたことがなく、アーカンソー州知事時代に、四度、台湾を訪れている。大統領選のさなかには、「ブッシュ大統領は北京の肉屋を甘やかしている」と攻撃した。クリントンが大統領に就任するとすぐ、国務長官のウォーレンークリストフア
ーは、上院外交関係委員会でこう宣言した。
 「わたしたちの政策は、経済力の強化と政治の自由化を後押しして、中国における共産主義から民主主義への広範で平和的な移行を手助けすることだ」
 このような取り組みに、前大使、ウインストン・ロードも加わったが、彼は天安門の大虐殺と、中国のリーダーシップについての長きにわたる自らの読み違いに大いに衝撃を受けており、アメリカにおける最も容赦ない中国批判者のひとりになった。当時、国務次官補(東アジア・太平洋担当)だったロードは、中国に厳しい条件(人権擁護と民主的選挙の面で進歩が見られなければ、貿易上の特別待遇はなくなる)を突きつけることを、上院外交関係委員会に約束した。1993年、下院のナンシー・ペロシと上院のジョージ・ミ
ッチェルのふたりの民主党員の尽力により、中国に対する一連の条件が定められた。1980年代に見られた、中国の改革に対する楽観的期待は消滅したように思われた。
 1993年5月28日、クリントン大統領はホワイトハウスにダライ・ラマの代理人と、天安門広場で抵抗した学生のリーダーを含む40名の反体制派中国人を招待し、クリントン政権の中国に対する厳しい姿勢はピークに達した。中国政府はこれを、中国の繁栄に必要な米中関係のすべてを脅かす、前例のない批判と見なした。そこで彼らは仕事に取りかかった。

 中国の情報源との接触を維持していたミスター・ホワイト(注:亡命者)によると、中国の諜報局はクリントン政権内部に中国の扱いを巡る対立があることに気づいていたので、アメリカ政府内に強力な親中派グループを築く戦略を立てた。そして、中国に対して好意的な国家安全保障担当補佐官のトニー・レイクと、副補佐官のサンディ・バーガーに目をつけた。また、当時、国家経済会議議長だったロバート・ルービンを、グローバリゼーションと自由経済を擁護するその立場ゆえに味方と見なし、経済諮問委員会議長のローラ・タイソン、国際問題担当の財務次官でハーバード大学の経済学者、ローレンス・サマーズもその同調者だと判断した。
(注:ロバート・ルービン:ゴールドマン・サックス共同会長、国家経済会議(NEC)委員長、財務長官(95年ー99年)、シティグループの経営執行委員会会長を歴任
(注:ローレンス・サマーズ:クリントン政権後半期に第71代アメリカ合衆国財務長官(在任:1999年 - 2001年)
 中国はあらゆる手を使って、これらの人々を中国寄りの財界人と接触させた。合わせて、影響力あるアメリカの財界人に、商取引をちらつかせた。クリントンの選挙戦を経済的に支援した有力者たちは、クリントンに直訴して、中国にボーイング航空機を売り込むのを邪魔したり、アメリカの商業衛星を中国のロケットで打ち上げる計画(アメリカにとって数百万ドルの節約になると見込まれた)を妨げたりしないことを求めた。有権者の経済的利益を守るという名目のもと、アメリカ連邦議会では、中国に味方する議員が増えていった。
 そしてついに1993年末、中国が現在、「クリントン・クーデター」と呼ぶものが起きた。中国に同調する面々が大統領に、反中姿勢の緩和を認めさせたのだ。クリントンがかつて約束したダライ・ラマとの新たな会談は実現しなかった。対中制裁は緩和され、後
に解除された。クリントン政権内の親中派の多くは、先見性のある政治的手腕と、中国の意思決定者だちとの接近により、中国政府に「中国の友人」と呼ばれるまでになった。その間、中国では静かに、反体制派に対する厳しい弾圧が進んでいた。

 すべてが元通りになった、あるいはそのように見えた。再び、アメリカは中国を同盟国らしきものと見なすようになった。アメリカ側は、天安門の弾圧は不幸な、そして一時的な後退にすぎないと解釈した。必要なのは、あとしばらくの辛抱だ、と。しかし中国側の
反応はまったく違っていた。彼らは、いにしえより覇権国が挑戦者をどう扱うかを熟知していた。」

<引用此処まで>



大物実業人を抱き込んで、そこから政権の政策変更を画策する。いやあ、凄いもんです。

所でこの頃の日本はどうかと言うと
クリントンが大統領選挙終盤の追い込み中だった頃、92年10月、今上天皇陛下が訪中された。
天安門事件で孤立した中国からの強い要望の結果だと言う。

引き受けたのは総理大臣宮沢喜一である。今調べてみてもこの判断は日本の歴史上の汚点だ。

そしてこの宮沢喜一は更に汚点を重ねる
翌年の総選挙で敗北し、政権交代する僅か3日前、あの恥ずべき「河野談話」が宮沢内閣の官房長官だった河野洋平から出された。

政権は細川・羽田とバカ殿をつないで村山へ。
そしてまたまた村山談話が95年8月、日本の汚点は続く・・・
そして前回エントリーでもふれた江沢民の訪日での無礼の数々日中共同声明に村山談話継承と書かれる屈辱へと続く。

書いていて眩暈がするような話だが、アメリカの政策まで変えさせたくらいの政治工作。
日本にも当然そんな手が伸びてきたことは容易に想像がつこうと言うものだ。



さてアメリカのクリントン政権の政策まで変えさせた中国、それからが凄い事をやっている。
先ずはどんなものか、先ほどのほんの引用文は以下の様に続く。これまた長い引用文だが此れも我慢して見てほしい。

<以下引用>

 クリントン政権の2期目の終わりに近い1997年5月7日金曜日、アメリカはNATO同盟国を率いて、セルビアとその代理国に軍事攻撃をしかけた。2機のB2爆撃機がミズーリ州ノブ・ノスターのホワイトマン空軍基地を離陸し、セルビアの首都、ベオグラードに向かった。パイロットは、「ペオグラードー番倉庫」とされたものにJDAM(衛星誘導爆弾)を5発、投下した。標的のデータを提供したのはCIAで、データは二度検証されていた。しかし、その情報は残念ながら、そして悲劇的に、誤っていた。爆弾は深夜、ベオグラードの中国大使館の南側に命中し、3名の大使館員が亡くなった。
 この誤爆が起きたのは、わたしがミスター・ホワイトと出会ってから10年ほどたった頃たった。彼はミズ・グリーンほど信頼性は高くなかったが、愉快な人なので、わたしは好ましく思うようになり折に触れて会っていた。中国大使館が爆撃を受けた夜、クリントン
大統領の謝罪に中国がどう反応するか、見通しを尋ねるためにミスター・ホワイトに接触した。
 ペオグラードでの誤爆は、言うまでもなく悲劇的な事故だった。わたしには、それが中国政府からある種の反応を引き出すことはわかっていた。だが、その大きさまでは予測できなかった。アメリカ側の情報アナリストの大半もそれを予測できず、中国の意図について別の筋から警告を受けたが、無視した。

 ミスター・ホワイトは即座に、その誤爆は、かつて彼が語っていた新たな超ナショナリズムを実行するための絶好の機会を中国政府に提供した、と言った。「反米の暴動が起こり、何日も続くでしょう」と彼は予測した。
 暴動? まさか。事故だったことが、これほど明らかなのに? すでに、アメリカ高官は謝罪していた。
 しかし、ホワイトの核心は揺るがず、それには十分な理由があった。かねてより彼は中国政府内部で反米勢力が力をつけつつあることを知っており、わたしたちにそれを警告していた。その頃、駐中国大使のジェームズ・サッサーは、白分か包囲されていることに気づいた。
 ミスター・ホワイトは、中国は誤爆を事故と見なさず、覇権国による「鼎の軽重を問う」行為として見ると読んでいた。「中国側はこれをアメリカによる警告、中国の決意を問う行為と見るでしょう」と彼は語った
 暴動が始まったときサッサー大使は、ミスター・ホワイトの予測、つまり中国のタカ派と戦国時代から続く考え方を軽視してはならないという信念に基づく予測について、何も知らなかった。またサッサーは、3マイル西にある共産党中央政治局の秘密会議室で何か起きているかも、まったく把握していなかった。そこでは、アメリカによる大使館の「攻撃」は、抗しがたい「鬨(とき)の声関(とき)の声」であると結論づけられた。爆撃から数時間のうちに、何百人もの中国の市民が、アメリカ大使館の門前に集結し、その多くが石や卵、トマトを投げ込み、アメリカとNATOへの「復讐」を叫んだ。
 その土曜の午後、サッサーは執務室にいた。まもなく彼は、大使館から安全に脱出できないことを悟った。数日間で外の抗議者は数万人に増え、中国で最も高位にあるアメリカ人は事実上、中国大衆の囚人となり、着替えもシャワーもできなかった。執務室に閉じ込められたまま、フリーズドライの軍用食を食べ、毛布もなしに床で寝た。
 翌5月9日、日曜の夜、デモ隊が大使館の割れた窓から火炎瓶を2本、投げ込んだ。燃え上がった火は、海兵隊保安警備隊(各国の米大使館の警備にあたる部隊)が消火器で消した。さほど遠くない部屋には、コンクリートの塊が投げ入れられたが、そこは大使の妻と息子が逃げ込んでいた居間だった。大使は、中国高官と電話で話せないことに困惑していた。サッサーがニューヨークータイムズ紙に語ったように、「大使館の前で何か起きているのかを、彼らが知っているかどうかもわからなかった」。
 大使の主張、少なくとも希望に反して、中国の指導者たちは何が起きているかを正確に知っていた。中国で抵抗運動が自発的に起きることは稀であり、10年前に起きた天安門広場での示威行動が、国の指導者たちを怖がらせたのもそのためだ。大使館前の抗議行動を裏で操っていたのは中国情報部だった。その証拠に、多数の僧侶、チベットの僧侶、道学者、カトリック、プロテスタント、イスラム教の指導者といった政府公認の主要な宗教の代表もやってきて、デモ行進を始めた。
 5月10日月曜は終日、警官が行進の参加者をアメリカ大使館の25フィート内に誘導した。多くの人が「打倒、アメリカ帝国主義」と叫び、中国の国歌を歌った。若い男たちがヘルメットをかぶった民兵越しに大使館の中ヘコンクリート片を投げ入れた。ある時点で、大使館員は、抗議者たちが突入するのを恐れて、重要書類をシュレッダーにかけはじめた。

遂にその日の午後、中国外相の唐家センは、当惑するアメリカ大使に電話をかけた。唐は「アメリカ率いるNATO」に四つの要求を突きつけた。それには誤爆に対する「公式の謝罪」も含まれていた。
 実のところ、中国政府もよく知っていたように、アメリカはすでに、その出来事について繰り返し謝罪していた。その月曜日、クリントン大統領自身が記者たちの前に現れて、再度、謝罪した。
 「謝罪します。この出来事を残念に思っています。けれども、悲劇的な過ちと、故意の民族浄化行為との間に明確な線引きをすることは非常に重要であり、アメリカはその線引きを今後も続けます」
 アメリカの情報コミュニティの反応は、サッサーと同じく当惑と驚きだった。ミスター・ホワイトから中国の行動についての予測を聞いていたにもかかわらず、わたしも同じ気持ちで、とりわけ中国の公式の反応の激しさには当惑させられた。共産党政府のプロパ
ガンダ機関紙である人民日報は、大使館への爆撃を「野蛮な犯罪」と呼び、「アメリカ合衆国に率いられたNATO」は「凶悪犯罪者」だと断じた。第一面の長い記事は、アメリカは八つの点でナチス・ドイツと同じだと主張した。例えば、アメリカの「自己中心性と
覇権を求める野心はまったく同じだ。(中略)世界のどの国家が、かつてナチス・ドイツが目指したように『地球の支配者』になろうとしているのかと尋ねれば、答えは一つ、つまり覇権主義を奉じるアメリカである」。

 10年前の天安門広場で民主主義を求めるデモのさなかに立てられた中国版自由の女神とは対照的に、この時、中国の学生は、アメリカを中傷するポスターを掲げた。中には、ピカソの1937年の反戦壁画「ゲルニカ」の巨大な複製に赤いペンキを散らせたものもあった。彼らはまた、段ボールで自由の女神像を作り、ビルータリントンの面をかぶせ、その手にはたいまつの代わりに血塗られた爆弾を握らせた。
 アメリカの情報コミュニティの面々は、中国の行動についてさまざまな結論を出していた。それを中国人の過度の敏感さ、ひいては被害妄想のせいにする人もいた。一方、それほど害のない騒動であるとし、他の問題についてアメリカの譲歩を引き出すのが目的だと見る人もいた。しかし、わたしが覚えているかぎり、中国にはさらに深い計算があり、やがてアメリカは対中戦略の見直しを強いられることになる、と予測する人はいなかった。つまり、ミスター・ホワイトの推測に基づく主張を信じようとする人はいなかったのである。
 2001年、アメリカの情報コミュニティは、1999年のベオグラード爆撃直後に中国共産党中央政治局が開いた緊急会議の、機密扱いの議事録を入手した。この議事録には、中国指導者の真のアメリカ観が露呈していた。会議のメンバーは、状況をどう理解し、ど
う対処するかについて意見を交わした。それを読むと、中国政府の偏執的な愛国主義に関するミスター・ホワイトの警告は、まだ控えめだったことが分かる。
 江沢民はこう述べた。
 「アメリカはこの出来事を利用して、国際危機や衝突、とりわけ突発的な事件に対する中国の反応の強さを調べようとしている」
 江は、空爆は「さらに大きな策略」の一部かもしれないと警告した。政治局常任委員会で二番目に高位の李鵬は宣言した。
 「同士よ! 血塗られた大使館の事件は単独の問題ではなく、単なる中国人民への侮辱や挑戦でもない。これは入念に仕組まれた破壊工作だ。この出来事は、他の何よりも、アメリカが敵であることをわたしたちに思い出させる。ある者が言うような友人では決してない」


 副首相の李嵐清は次のように述べた。
 「将来、中国とアメリカとの直接的な衝突は避けられない!こ
 彼は、クリントン大統領が「国際危機と衝突に対する中国の反応の強さ、人民の生の声と大衆の意見、それに政府の意見を確かめ、中国がどんな手段に出るかを調べるために」「軌道を探る石として」爆撃を命じたという見方を提起した。

・・・以下略

<引用終り>



長い引用文で恐縮です。
何故こんなモノを延々と引用舌かと言うと、全く同じ事がついこの間も起こっているから。
2012年9月、中国全土で起こった反日暴動は記憶に新しい。

しかし喉元過ぎればで、この暴動の裏側だのを報道されることも無くなった。日本人は忘れっぽいのか。
そんな事を踏まえて、この本の記述を見ると多分全く同じ事が起こっているのだろうと想像がつく。
中国にしてみると「鼎(かなえ)の軽重(けいちょう)を問われた」、そんな事なのだろう。

そして中国はこんな反米活動を通じてシッカリ援助をもらってきた。全く強かと言う他はない。

一寸長くなりすぎました。
後は次回に。

尚余談ながら鼎(かなえ)とはこんなモノ。

2015-11-25鼎





  1. 中国
  2. TB(0)
  3. CM(10)

2015-11-23 11:55

「100年マラソン」を読んでみた<その2 反日・反米の話

 1989年と言う年を言われてもピンとくる人はそう多くない。しかし昭和64年/平成元年と言えばすぐわかる。
昭和天皇が崩御された年だ。そして日本では消費税が導入された年でもある。
またこの年はベルリンの壁崩壊から1990年の東西ドイツ統一、そして1991年のソ連崩壊へとつながる激動の時代だった。

そんな時、中国では大事件が起こっていた。1989年6月4日の天安門事件。未だに死者が何人かさえ分からないが、1000人とも3000人とも(あるいは数万人とも)言われている。そんな大惨事なのだがこれがきっかけになって中国の政策ががらりと変わっている。

天安門事件
2015-11-23天安門事件1

2015-11-23天安門事件2


「1000年マラソン」ではそんな所が詳しく書いてある。


先ずは中国の内情は
1986年から1989年までの3年間、今後の戦略をめぐって秘密の権力闘争があった。親米感情を徹底的に排除しようとするタカ派が最終的に勝った。そして最高指導者鄧小平はこのタカ派に居るのだと言う。

そしてタカ派が奉じるナショナリズムを普及させるために、これまで数十年にわたって、儒教文化や、少しでも宗教色のあるものを攻撃してきたことを踏まえ、いかにして孔子を国の英雄にして復活させるかが検討された。

 言うまでもなく、全体主義の中国のおいて、指導者が歴史の書き直しを命じるのはそれが初めてではない。1949年に共産党が政権を握ると、すべての進歩は農民の反乱に由来することを強調するべく、中国の歴史を書き直したが、歴史学者のジェームズ・ハリスンはそれを「人類史上、最も大規模なイデオロギー再教育の試み」と呼んだ。

しかし天安門事件以後、従来の方針はがらりと変わり、ナショナリズムがその重点になった。
国のイデオロギーと教育カリキュラムからマルクス主義を外す(実際はウエイトを小さくしてきた)という一見途方もないアイディアをどうやって実行に移してきたか。

中国はこんな事を考えたと言う
それは「無害な響きを持つ「愛国教育」カリキュラムを創設する計画だった。全国に100カ所の「愛国教育」拠点、新しい歴史記念碑、観光用の新しい博物館を建設しようと言うものだった。」
また、中国の指導者たちは、テレビやラジオ、映画に資金提供して、中国が日本やアメリカといった外国に苦しめられてきた過去を、「国辱の世紀」としてまとめることを計画した。そうした番組や映画は視聴者の民衆に、アメリカは躍起になって中国を手に入れようとし、中国がかつての栄光を取り戻すのを妨害しようとしたと訴えた
 「天安門広場に集まった若者やインテリは、アメリカに恋していました」、あのような事は二度と起きてはなりませんだから中国の指導者はアメリカを中傷し、西側諸国による屈辱を終わらせ、往時の勢いを取り戻そうとしているのだと。




以下は私の考察です。ソ連が今までの社会主義体制が行き詰まってペレストロイカ体制に入ったのが1987年頃。
中国はその前からソ連の行きづまりを読み切っていたのではないか。改革開放路線は国の体制を崩壊させると。
(最近でもアラブの春にその実例を見ることができる。今現在の危機でもある)
それで改革派の胡耀邦が失脚(1987年1月)、そして1989年の天安門事件、直後に趙紫陽失脚と江沢民就任。

そして愛国教育として「愛国主義教育実施要綱」が1994年に制定された。
この愛国主義教育実施要綱、日本では殆ど注目されていないがよく見るととんでもない代物。
以下参照ください
http://www.ndl.go.jp/jp/diet/publication/refer/200412_647/064705.pdf
http://blog.goo.ne.jp/takahiko_shirai/e/13413712447f3ca720ca5e39c6f952c5



こう見てくると江沢民が日本にやってきて、宮中晩餐会に中山服(人民服)を着て現れたのもこのナショナリズムの象徴と見ていいのではないだろうか。

2015-11-23宮中晩餐会での江沢民
宮中晩餐会での江沢民

しかもこの江沢民の訪日にはトンデモナイ落とし穴があった。

以下は渡部昇一先生の論考から。・・・正論2015年10月号67ページより抜粋引用

第一次安倍政権でも安倍首相は村山談話をもう少しバランスあるものに書き換えようと準備を進めていました。ところが安倍氏はそこに「とんでもない落とし穴があった」と明らかにしています。

 「平成十年、中国の江沢民国家主席が訪日した際の日中共同宣言に「(日本側は) 一九九五年八月十五日の内閣総理大臣談話(村山談話)を遵守し、過去の一時期の中国への侵略によって中国国民に多大な災難と損害を与えた責任を痛感し・:」という文言が盛り込まれていたのです:’日本が一方的に反故にすることは国際信義上出来なかった・・・結局私は内閣総理大臣として、村山談話の継承を表明しなくてはなりませんでした」(正論2009年2月号)

この件は以下エントリー参照ください
http://tansoku159.blog.fc2.com/blog-entry-1157.html

しかしこの例は江沢民だけではない。今年も習近平が訪英し、エリザベス女王主催の晩餐会で矢張り中山服を着ていた。
http://www.sankei.com/world/photos/151021/wor1510210054-p1.html

*追記します
 胡錦濤もオバマ大統領の公式晩餐会に平服で出席しました。以下参照ください。
http://tansoku159.blog.fc2.com/blog-entry-237.html

一つ一つの事象は何ちゅうことをするんだ! こう見えるのですが・・・
この様に中国の遠大な作戦の一環ととらえるとよく分かると思います。


さてこの本の内容に戻って、こんな見方に対し、著者のピルズベリーはこう書いている。

天安門事件と同じ頃、ソ連は崩壊した。
中国の指導者は危機感を強め、天安門事件でさえアメリカによる「混水模漁(こんすいぼぎょ)」(敵の内部を混乱させる戦略)の最初の一打のように見えた。
急進的なタカ派に言わせれば、中国共産党はアメリカのせいで崩壊しかけたが、その瀬戸際で、改革主義の趙紫陽やその他のアメリカの「味方」を政府から追放し、辛くも持ちこたえたのだった。(p155)

中国政府はその後、事実上中国とアメリカの歴史を徹底的に「改竄」し始めた
その時代もアメリカは、中国の成長を支え続けていたが、捏造された歴史では、アメリカはそのような表向きの姿と羽部巣に、中国人に害を与え続ける悪魔のような側面を持つ国として描かれた。しかし、中国の指導者は、大衆文化にはアメリカを攻撃させながら、アメリカの指導者の前では、それについては何も知らないそぶりをした。
アメリカの官僚や外交官は、中国の指導者から、私もよく聞かされたお題目を何度となく聞かされた。そうした反米姿勢は、保守強硬派の小さな派閥のものであり、「主流」の共産党指導層の見方ではない、と。

現在、中国の若い世代が知るアメリカの物語は、ほとんどのアメリカ人が知る者とは全く異なる。彼らは、アメリカは170年にわたって中国を支配しようとしてきたと信じている。中国は、アメリカの国民的英雄であるアブラハム・リンカーン、ウッドロー・ウィルソン、フランクリン・ルーズベルトを、中国の官僚などを操り、中国を弱体化させようとした「邪悪な各作者」と呼ぶ。
この捻じ曲げられた歴史観は、米中の「協力」に対する現在の中国人の見方に影響し、多くの中国人は両国の協力を、中国の正当な世界的地位を破壊しようとアメリカが絶えず十字軍を派遣する中での、一時的な局面にすぎないと考えている。(p156)



こんな事で始めた愛国教育、それがどんなものであるのか、その一例を。

各国の社会科教科書を日本語に翻訳し、各国の教育内容を伝える「世界の教科書シリーズ」と言うものが出版されている。
その中に中国も有る。

私も内容は見ていないが、その本の紹介文には

「入門 中国の歴史 中国中学校歴史教科書(明石書店刊)
人類の発生から古代国家を経て、多民族による中国の完成へ、西洋の侵略による困難を克服し、ついに抗日戦の勝利による社会主義中国の建設まで、生々とリアルに描かれる雄大な歴史」
こんな風になっている。

私もタイで仕事をしている時、タイ人が学ぶタイの歴史と言う事でこの教科書については大いに参考になった。
これが中国の本音と言う事である。


こう読み解いてゆくと、中国が進めている歴史の捏造、書替えは国家を維持するために如何しても必要なモノ、そう理解すべきだと思う。
しかしこの本はまだまだ問題が残っている。この先は次回に。
  1. 中国
  2. TB(0)
  3. CM(22)

2015-11-21 12:00

「100年マラソン」を読んでみた<その1

 先日「China2049 秘密裏に遂行される『世界覇権100年戦略』」と言う本の書評をエントリーしたが、今回はこの読後感である。
http://tansoku159.blog.fc2.com/blog-entry-1187.html
日本語の題名は「China2049 秘密裏に遂行される『世界覇権100年戦略』」だが英語の原題は「100年マラソン」。それでブログタイトルも原題からとった。
この100年マラソンという言葉は最近ちょくちょく目にする為である


一言、衝撃の書である。

アメリカの中国に関する外交上の問題に相当深い所まで書いてある。
今まで分からなかったアメリカと中国のかかわりが、いろんなエピソードで詳しく語られている


最初に衝撃的なのはCIAのウールジー元長官(任期 1993年2月 - 1995年1月)は、この本について、こう書いている。

推薦の言葉
 本書はCIAのエクセプショナル・パフォーマンス賞を受賞した、マイケル・ピルズベリーのCIAにおける経験に基づいて書かれた。
 「パンダハガー(親中派)」のひとりだった著者が、中国の軍事戦略研究の第一人者となり、親中派と袂を分かち、世界の覇権を目指す中国の長期的戦略に警鐘を鳴らすようになるまでの驚くべき記録である。
 本書が明かす中国の真の姿は、孫子の教えを守って如才なく野心を隠し、アメリカのアキレス腱を射抜く最善の方法を探しつづける極めて聡明な敵だ。
 我々は早急に強い行動を取らなければならない。
           R・ジェームズ・ウールジー
           元CIA長官、民主主義防衛財団会長


これはこの本の1ページ目
2015-11-20China2049の1ページ目

そしてこの本の2ページ目と3ページ目がこんな風
2015-11-20China2049の目次

目次のトナリ、つまり2ページ目にはこう書いてある。

「筆者注」
本書は、機密情報が漏洩しないよう、刊行前にCIA、
FBI、国防長官府、国防総省の代理によって査読を受
けた。各機関の活動を脅かす繊細な情報をすべて削除し
てくれた査読者の努力に感謝する



つまりこの本はアメリカ政府のお墨付きをもらって刊行された、民間人の書いたものながら、アメリカの見解そのものと言えることである。
そして前回エントリーで紹介したこの部分こそ事の本質をついていると思う。
曰く
これらすべての事実からわかることは、「中国の世界覇権の野心を知った米国支配層が、中国打倒の決意を固めている」ということだ。つまり、現在の「米中対立」は、「米中覇権戦争」の一環であり、戦いは「長期化」し、決着がつくまでつづく」可能性が高い。


さてこんな事でこの本には恐らく日本人が想像もしなかった中国の100年マラソンと称している世界制覇の戦略が見えてくる。
例えば
中国の指導層(政、財、官、軍の)がその為に謀略・陰謀渦巻く古代の春秋戦国時代の古典を勉強し、その戦略を実践しているとか・・・、
殺手鐗 (ピンインはshā shǒu jiǎn、シャショウジィエン)という日本語に無い漢字名の武器を開発しているとか・・・
習近平が盛んに言っている「中国夢」とはどんなものか等々・・・

そんな事も書いていきたいと思いますが、最初は


誤訳、誤解で始まった米中の国交について。

中国人から「あなたは【覇】です」と言われたら日本人はどう思うでしょうか?
【覇】は「覇権の覇」です。

米中国交回復のきっかけとなったキッシンジャーの隠密訪中(1971年7月)、これが実はアメリカが策をめぐらせての訪中ではなく、毛沢東がアメリカに働きかけ、訪中してもらったなどと言うのもビックリですが、そこでこう言われたそうです。
周恩来はキッシンジャーに「「アメリカは【覇】である」と言ったのだと言う。この【覇】はその後毛沢東とその後継者鄧小平も言ったのだと言う。
ではその【覇】をキッシンジャーは如何聞いたのか?
通訳を務めた中国外交部の役人は「アメリカは【リーダー】だ」と訳し、キッシンジャーもそんな言葉とか周恩来・毛沢東の話から中国がアメリカに接近しようとしていると判断した。

何年か後に筆者がこの当時の通訳を務めた中国外務省の人に聞いた話が本書にのっている。

周恩来がキッシンジャーに「アメリカは「覇」である」と言った。それをキッシンジャーについた中国外交部の通訳は「アメリカは「リーダー」です」と訳した。 日本人なら分かるが、覇という言葉はリーダーなどという単純なものではない。紛れも無い誤訳だった。
著者は覇を「専制君主、圧政者」と訳した方が正しかった筈で、若しこう訳していたらその後のアメリカの対中国政策は大きく変わっていただろう、こう言っています。
そして数年後著者がこの通訳をした人に会って質問したそうです。どうしてあんな風(リーダーと)に誤訳したのかと。
以下この本にはこう書いてあります。
「あなたはキッシンジャー博士に「覇」の本当の意味を伝えましたか」と私は尋ねた
「いいえ」と彼は答えた。
「なぜですか」
「博士を動揺させるでしょうから」

更に著者はいう
【覇】と言う単語に込められた周の真意、つまり中国が実際にアメリカをどう捉えていたかをキッシンジャーが理解していれば、ニクソン政権は中国に対してあれほど寛大では無かったかもしれない。

しかもこの件は著者がキッシンジャーの協力でこの本を書いたと言っていますからキッシンジャーもこの事に気が付いた、そうだと思います。
アメリカの40年以上かかってやっと中国の本当の狙いに気が付いたという事でしょう。

中国の狙いはアメリカを蹴落として世界の覇者になる事だった・・・

尚余談ですが、キッシンジャーが通訳も連れずに訪中したはずもなく、これはアメリカが連れていった通訳がチャンと通訳できなかった、アメリカ外交の大失態ですがまあそれはそれとして・・・

尚中国語の、そして漢字の問題点については前回のエントリー「パンダハガーを止めた話」で興味深いコメントを頂きました。
http://tansoku159.blog.fc2.com/blog-entry-1187.html
この中でgai-yaangさんの「漢字の重要性」コメント
それからkazkさんの「支那語の素養と今の支那人」コメント
どちらも貴重なご意見です。ご一読を頂ければ幸甚です。



さてこんな事情が何時から公表されているか見てみます。

著者ピルズベリーがこんな見解を最初に公表したのは多分これが最初
2014年9月17日のWSJの記事
http://www.wsj.com/articles/misunderstanding-china-1410972607
(英文です)

そして日本ではこんな所でこのWSJの記事を紹介している
西側は中国をどのように見誤ってきたか
2014年10月27日(Mon)  岡崎研究所
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/4365?page=2

しかし上掲記事を読んでも何やらピンとこない。
そして本書で見事に騙されたと言われているキッシンジャー、彼もこの本の刊行に協力しているので、今さらながらその失敗に気が付いているのだが、そのキッシンジャーが今年の1月3日の読売新聞にこんな記事を載せている。(インタビュー記事)

2015-11-201月3日読売1面記事


この記事はよく読むと大変興味深いので末尾に記事全文を引用しましたが、キッシンジャーが言いたかったことが記事末尾にあります。
キッシンジャーは
「 現代の世界は、異なる文化と社会を持つ国々が新たな現実をどう調整していくかが、大きな試練となっている。どうすべきか私自身が答えを持っているわけではない。だが、問題点はわかっているつもりだ。

 昨年秋に出版した「世界秩序」という本で言いたかったのは、「気をつけろ! よく考えないと、非常に危険なことになるぞ」ということだ。各指導者がそのことを熟慮して進めば、新しい世界を創造できるだろう。」

と言っています。

このインタビュー記事は昨年12月に行われたインタビューによるもの。しかし本書刊行前でもあり、なにやらはっきりしないモノ言いに終始しているようだ。。

本書(原文)の出版は2015年2月3日
The Hundred-Year Marathon: China's Secret Strategy to Replace America As the Global Superpower (英語) ハードカバー – 2015/2/3
Michael Pillsbury (著)


何やらまとまりのないエントリーになりました。
しかしこの本の著者の言っている事はアメリカの対中国政策が全く変わってしまった証拠ととらえるべき、そんな風に思います。
興味のある方は是非ご一読をお勧めします。

尚内容の興味深い部分は次回以降で紹介します。



以下参考記事の為、読み飛ばしていただいて結構です。
<参考:読売新聞2015年1月3日朝刊1面に掲載されたキッシンジャーのインタビュー記事>
(読売の会員専用、私は新聞切り抜きを持っているが、間もなくこの記事電子版は読めなくなるので記録の為掲載)

[語る 戦後70年]日本の役割 熟慮の時 元米国務長官 ヘンリー・キッシンジャー氏 91
2015年1月3日3時0分

2015-11-21読売のキッシンジャー記事1


 2015年、戦後70年の節目の年を迎えた。日本は占領期を経て奇跡の復興を果たし、世界の主要な民主国家となった。しかし、近年は長引くデフレ、急激な少子高齢化など課題を抱えている。私たちは今年1年、この70年を振り返り、日本が今後進むべき道を探っていきたい。まず、70年の歩みに関わってきた、各界の著名人に語ってもらう。

適応力 平和と繁栄の礎

 我々が1945年から国際秩序だ、と考えてきたものは、70年間を経て、完全に変わってしまった。世界中の国々が新しい状況に直面している。他の国と同様、日本も「国際秩序とは何なのか」を真剣に考えねばならない。

 なぜなら、秩序が崩れて紛争が起きた場合、現代で使われる兵器は極めて破壊的だからだ。そのことを、どの国よりも熟知しているのが日本だ。

 米国はこれまで、他国の政府を自分たちが作り替えられる、と信じてきた。だが、現在、そうした時代から脱却しつつある。我々は、日本とドイツの占領の経験を誤って分析していた。米国が日本を作り直したのではない。日本自身が、自らの伝統的な価値観の中で、新たな状況、国際秩序に適応したのだ。

 日本は米国中心の連合国軍総司令部(GHQ)の権威を利用し、自らの力で国家の現代化を進め、復興を急いだ。国家の政策の道具としての戦争を放棄し、立憲民主制の原則を宣言し、そして、米国の同盟国として国際社会に復帰した。ただし、当時は、米国の大きな戦略への参画より、経済復興に力を入れた。こうした新たな環境への適応が、今やアジアの安定と、世界の平和と繁栄の礎となったといえる。

 戦後から立ち上がり、経済力をつけてきた時から、日本が自国の安全保障に対して、より責任を持ち、国際安全保障により積極的な役割を担うことは、避けられないことだった。つまり、「普通の国」になるということだ。

 日本がこれから取りうる道は、三つある。一つは、日米同盟の継続、二つ目は、従来より中国が強い存在感を持つ北東アジアへの接近、そして、より国家主義的な外交政策を取ること――である。どの道を選ぶかは、日本の指導者と国民が選ぶべき問題だ。

 今後、国際社会でどんな役割を担っていくかは議論が必要だろう。一つ言えることは、日本は「普通の国」になれるということだ。そして、抑制を利かせた外交政策を進めていくことができる。ただし、独断的で攻撃的な外交を展開すれば、地域の懸念となりうる。

 先の衆院選で安倍政権が勝利し、継続して政権を担うことになった。首相は今後、北東アジアの国々と新たな関係を築き、同時に日米同盟をさらに発展させることができる立場に立ったといえる。

 隣国の中国も、現在の習近平シージンピン政権が今後も続くだろう。改革を進め、さらに政権基盤を強化していくはずだ。外交でも、過去の政権よりずっと活発に動いている。私は日中が良好な関係でいてほしい。両国は、関係改善への道筋を見つけられると信じている。

 安倍首相は強力な指導者だ。日本も他の国と同様、勢力均衡の新たな変容を受け、外交を適応させていくことになる。首相のもとで日本外交は、より幅を広げていくことになるだろう。

2015-11-21読売のキッシンジャー記事2



変容続ける国際秩序

 米国の力の凋落ちょうらくを語る人がいるが、世界の他の国々に対し、米国の相対的な力が今ほど強い時はない。私が政府にいた時代、ソ連は自分たちと同等の力を持つと我々は考えていた。今、ロシアにその力はない。一方で、中国も今、「軍事的、物理的に、自分たちより米国の方が強い」と言う。

 米国の現在の問題は、国内に深刻な分裂を抱えていることだ。哲学的な命題として、一つの変化に対応する時にきている。米国はこれまで外交上のすべての選択肢を同時に遂行できた。だが、今は(予算面などで)制限が生まれた。この制限をどう理解するかによって、民主党と共和党の間で対立が起きている。

 変容を続ける国際秩序のあり方で重要なのは、勢力均衡(バランス・オブ・パワー)の考え方だ。欧州とアジアの勢力均衡は、いくつかの点で異なる。まず、欧州では、比較的小さい国の組み合わせだったが、今日のアジアの国々はそれぞれ、国力がある。ただし、主要なプレーヤーの数が少ないため、かえってバランスの調節が難しい。

 さらに、昔の欧州には英国というバランサーがいた。バランサーとは、弱い方の国に配慮し、地域の均衡を保とうとする余裕のある国のことだ。今のアジアに明確なバランサーはいない。

 中国を囲む国々を見ると、それぞれ米国と協力することで均衡を保てる状態であることがわかる。むろん、日本とインドは強力な国だが。米国は今後も、自らをアジア太平洋の国として扱うべきだろう。ただ、私は中国に対して包囲網を作ることには反対する。米中関係のみを基軸とした外交政策にも賛同しない。

 我々米国は、他国の意見に耳を傾けなければいけない。米国のプログラムを押しつける外交は、もはや通用しない。米国の外交には、単独でやること、同盟国と共にのみやること、そして全くやるべきでないこと、の三つの分野がある。やるべきでないことの筆頭は、武力によって国家の国内構造を変えようとすることだ。各国がそれぞれの変化に適応する中で、新たな国際秩序が生まれてくる。

 現代の世界は、異なる文化と社会を持つ国々が新たな現実をどう調整していくかが、大きな試練となっている。どうすべきか私自身が答えを持っているわけではない。だが、問題点はわかっているつもりだ。

 昨年秋に出版した「世界秩序」という本で言いたかったのは、「気をつけろ! よく考えないと、非常に危険なことになるぞ」ということだ。各指導者がそのことを熟慮して進めば、新しい世界を創造できるだろう。 (聞き手・アメリカ総局長 飯塚恵子)

                  ◇

 <日米同盟>第2次世界大戦で戦火を交えた日本と米国は1951年に日米安全保障条約を結び、同盟関係を構築。冷戦中は旧ソ連の軍事的脅威に対する歯止めとなった。昨年4月の日米首脳会談では「日米同盟は地域の平和と安全の礎」として一層強化する方針が確認された。

 <勢力均衡>国家間の力の均衡を図り、けん制しあうことで戦争ができない体制を築き、平和と安定を維持しようという考え方。キッシンジャー氏はニクソン政権下で勢力均衡論に基づく現実主義外交を実践し、米中国交正常化をはじめとする実績を残したとの評価を受けている。

                  ◇

 ドイツ生まれ。米ハーバード大教授を経て、1969年からニクソン米大統領の国家安全保障担当補佐官。71年、米中国交回復に向けて極秘訪中した。73年、国務長官となり、ベトナム和平への貢献でノーベル平和賞を受賞。昨年9月、新著「世界秩序(World Order)」を米国で出版した。

<引用此処まで>
  1. 中国
  2. TB(0)
  3. CM(8)

2015-11-15 22:25

フランスの最悪の日

 2015年11月13日(金曜日)~14日はフランスにとっては本当にひどい日になってしまった。
パリでは今分かっているだけで129人もの死者を出すテロ事件。犯行はイスラム国ISが犯行声明を出しているが、シリア難民に紛れて欧州に入ってきた連中の犯行の様だ。
正に言葉も無い。


所で今日久しぶりに帰ってきた長女とメシを食べながらの話。フェースブックではフランスへの連帯の証しとしてこんなモノがはやっているのだと言う。

2015-11-15ザッカーバーグ


しかし残念な話が続く、
14日にはフランスの高速鉄道TGVが新型車両の試運転中に脱線、線路外へ飛び出し、すぐ下の運河に落ちると言う大事故が発生した。死者は10人になると言う。

こんな状況。

2015-11-15TGV事故1

上の赤い色が運河にかかる鉄橋、此処から下の運河に落下した。試運転中の為乗っていたのは技術者のみで一般の乗客はいなかった。

その現場はこんな所、緩いカーブに見えるが、TGVとしては相当の急カーブではないだろうか。

2015-11-15TGV事故2

事故原因はこれからいろいろわかって来るだろうが、世界の高速鉄道で乗客の死亡事故を起していないのは日本の新幹線とフランスのTGVだけだった。そのTGVの事故である。残念な話だと思う。

新幹線の脱線事故と言えば2004年(平成16年)10月、新潟県中越地震の為、上越新幹線で発生した脱線事故を思い出す。
この時は高架橋の上で直下型地震直撃を受け脱線した。しかし脱線したものの線路外に飛び出すと言う事は無く、死者・負傷者ともなかった。
日本の新幹線には此れに慢心することなく、更なる安全記録を目指して頑張ってほしいものだ。


以下は全く関係のない話・・・

こんな話をしながら今日は魚料理を食べに行った。
食べたものにこんなモノ。この時期にしてはよく太った焼きハマグリ。

2015-11-15はまぐり

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2015-11-13 21:50

パンダハガー(親中派)をやめた話<*追記あり

 今日からこんな本を読み始めた。
アメリカ政府に多大な影響力のある中国研究者がパンダハガー(親中派)を止めた話である。
中国の100年計画の世界制覇の野望に気が付いたのだと言う。

2015-11-13中国の世界覇権百年戦略

本の題名は「China 2049」、副題が”秘密裏に追行される「世界覇権100年戦略」”である。
(貼り付けた本の表紙の写真はそう書いてあるのだが、印刷の都合で上手く見えない。恐縮です。)

実はこの本、一昨日この本の書評が有ったので早速注文した。それが今日夕方共有型到着したと言う訳。

チョットその書評から興味深い所を引用すると

<以下引用>
http://diamond.jp/articles/-/81432
http://diamond.jp/articles/-/81432?page=5

 現在起こっている米中の対立は、一過性のものなのか、それとも「米ソ冷戦」のように長期的なものなのか?この疑問に答えを与えてくれる「衝撃の書」がある。米国を代表する超大物「パンダ・ハガー」(パンダを抱く人=親中派)だったマイケル・ピルズベリーの最新作「China2049 秘密裏に遂行される『世界覇権100年戦略』だ。今回は、この本から、米中関係の変遷を読み解いて行く。

 ピルズベリーは現在、ハドソン研究所中国戦略センターの所長であり、米国防総省の顧問も務めている。また、米国の政策に大きな影響力を持つ、「外交問題評議会」「国際戦略研究所」のメンバーでもある。

 そうした「表の顔」の他に「裏の顔」も存在する。本に書いてしまっているので、「裏の顔」ともいえないが、ピルズベリーは24歳の時から、米国のスパイとして働いてきたのだ(40p)。米国の「対中政策」に40年以上深く関わってきたピルズベリーは、この本の中で、「米中関係」の驚くべき「裏話」をたくさん披露してくれている。

・・・中略・・・

 次に、「この本の位置づけ」について考えてみよう。15年3月、親米諸国が米国を裏切り中国側についた「AIIB事件」が起こった時、筆者は「米国は必ず逆襲する」と書き、その方法についても予測した。(詳細はこちらの記事を参照)あれから半年が過ぎ、予想通り米中関係は、急速に悪化している。

 問題は、最初に触れたように両国の対立が「一過性のもの」なのか、「長期化する」のか、である。

 ところで、この本の冒頭には、「機密情報が漏えいしないよう、CIA、FBI、国防長官府、国防総省の代理によって査読を受けた」とある。つまり、この本には、CIA、FBI、国防総省もかかわっているのだ。巻末には、「謝辞」があるが、その中に、こんな一文がある。

 <ヘンリー・キッシンジャーは中国人の考えを深く理解しており、その知識に基づいて直接的にも間接的にも支援してくれた。>(360p)

 かつて米国ナンバーワン「パンダ・ハガー」だったキッシンジャーが、全面的に協力している。これは、「キッシンジャーが親中派をやめた証拠」といってよいだろう。大物親中派ピルズベリーとキッシンジャーの転向により、今後米国で「パンダ・ハガー」でいることは困難になるだろう。無理に親中派をつづければ、中国との「黒い関係」を疑われるようになる。

 そして、冒頭にある「推薦の言葉」は「決定的」だ。ウールジー元CIA長官は、中国について、こう書いている。

 <本書が明かす中国の真の姿は、孫子の教えを守って如才なく野心を隠し、アメリカのアキレス腱を射抜く最善の方法を探しつづける極めて聡明な敵だ。
 我々は早急に強い行動を取らなければならない。


 元CIA長官が、ある国について「敵」と名指しするのは、よほどのことだ。そして、ピルズベリー自身は、「アメリカはこのマラソンの敗者になろうとしている」と警告している。さらに、「中国が覇権をとった暗黒の世界」を描き、そうならないために「米国が中国に勝利する方法」まできっちり解説している。

 これらすべての事実からわかることは、「中国の世界覇権の野心を知った米国支配層が、中国打倒の決意を固めている」ということだ。つまり、現在の「米中対立」は、「米中覇権戦争」の一環であり、戦いは「長期化」し、決着がつくまでつづく」可能性が高いのだ。私たち日本国民も、日本政府も、「今は1930年代のように、変化の激しい切実な時代なのだ」ということを、はっきり自覚しておく必要がある。

<引用終り>


大変面白い話である。
がしかし、今はまだ読み始めたばかり、じっくり読んでみたいと思います。

私の最大の興味は今は1930年代の流動的な時代とそっくりなところがある。そんな目でこの書も見たいと思っています。


*追記します。よもぎねこさんから引用記事が読めなくなっているとの指摘がありました。確かに読めなくなっていまして、何度かチェックするとどうも不安定。今は読めるのですが念の為全文を下記に引用します。

尚私は最初の記事のコピーを持っていましたので記事が書き換えられたかどうか確認しました。記事の書き換えは無いようです。

不要なら読み飛ばしていただいて結構です。

<以下引用>

http://diamond.jp/articles/-/81432

米国超大物スパイが明かす、中国「世界制覇」の野望
北野幸伯 [国際関係アナリスト] 【第18回】 2015年11月15日

米中の対立が激化している。現在起こっている米中の対立は、一過性のものなのだろうか?それとも、「米ソ冷戦」のように長期的なものなのだろうか?この疑問に答えを与えてくれる「衝撃の書」がある。

米中関係改善に貢献した
米国の超大物スパイが暴露本を出版!

 米国は9月、訪米した習近平国家主席を「冷遇」し、両国関係の悪化が全世界に知れわたった。翌10月末、米海軍は、「航行の自由」作戦を実施。米中の軍事衝突を懸念する声が、聞かれるようになった。

2015-11-16中国世界制覇の野望の添付写真

 現在起こっている米中の対立は、一過性のものなのか、それとも「米ソ冷戦」のように長期的なものなのか?この疑問に答えを与えてくれる「衝撃の書」がある。米国を代表する超大物「パンダ・ハガー」(パンダを抱く人=親中派)だったマイケル・ピルズベリーの最新作「China2049 秘密裏に遂行される『世界覇権100年戦略』だ。今回は、この本から、米中関係の変遷を読み解いて行く。

 ピルズベリーは現在、ハドソン研究所中国戦略センターの所長であり、米国防総省の顧問も務めている。また、米国の政策に大きな影響力を持つ、「外交問題評議会」「国際戦略研究所」のメンバーでもある。

 そうした「表の顔」の他に「裏の顔」も存在する。本に書いてしまっているので、「裏の顔」ともいえないが、ピルズベリーは24歳の時から、米国のスパイとして働いてきたのだ(40p)。米国の「対中政策」に40年以上深く関わってきたピルズベリーは、この本の中で、「米中関係」の驚くべき「裏話」をたくさん披露してくれている。

 よく知られていることだが、米中関係が劇的に改善されたのは、1970年代はじめだった。米国は、冷戦のライバル・ソ連に対抗するために、「中国と組む」ことにした。主導したのは、ニクソン大統領とキッシンジャー大統領補佐官といわれる。特にキッシンジャーは、「米中関係を劇的に改善させた功績」により、「リアリズム外交の神様」と評価されている。

 ピルズベリーは当時20代半ばだったが、「米中和解」に大きく貢献した。ニクソンとキッシンジャーは1969年、「中国と和解した時、ソ連との関係が過度に悪化するのではないか」と恐れていた。ピルズベリーは、ソ連人から情報を入手し、「米中が和解しても、ソ連は米ソ緊張緩和の動きを止めない」ことを伝えた人物だったのだ。

 <ほかならぬわたしがソビエト人から得ていた情報に後押しされて、ニクソンとキッシンジャーはついにその気になったのだ。
 わたしが得た情報とは、「米中が接近しても、モスクワは緊張緩和への動きを中断しないだろうし、中国のあてにならない申し入れをアメリカが受け入れることを大方予測している」というものだ。
 アルカディ・シェフチェンコとクトボイは、まさにその通りのことをわたしに語っていた。>(88p)

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http://diamond.jp/articles/-/81432?page=2

「キッシンジャーは毛沢東の計略にはまった」
鄧小平時代には米中「蜜月」に


 しかし、この本にはもっと重要なことが書かれている。「米中和解」を「真」に主導したのは、ニクソンでもキッシンジャーでもなく、中国だったのだ。

 <この交渉を始めたのは、ニクソンでもなければキッシンジャーでもなかった。(中略)
 ニクソンが中国を訪れたのではなく、中国がニクソンのところへやってきたのだ。>(82p)(太線筆者。以下同じ)

 キッシンジャーは71年7月、極秘で中国を訪問。そして、72年2月、ニクソンは歴史的訪中を実現させた。キッシンジャーはすっかり毛沢東に魅了され、中国に取り込まれてしまう。

 <キッシンジャーは毛の計略にまんまとはまり、ニクソンに、「中国は英国に次いで、世界観がアメリカに近い国かもしれない」と告げた。
 中国の戦略を疑う気持ちはみじんもなかったようだ。>(96p)


 当時49歳だったキッシンジャーの「中国愛」は、以後40年以上つづくことになる。こうして、米中関係は劇的に改善された。

「ソ連と対抗するために、中国と組む」−−。これは、論理的に非常にわかりやすいし、米国の立場からすれば「戦略的に間違っていた」とはいえないだろう。両国関係は、毛沢東が76年に亡くなり、鄧小平がリーダーになった後、さらに深まっていく。

 <西洋人にとって鄧は、理想的な中国の指導者だった。
 物腰が穏やかなおじいさんのようでありながら、改革精神に富むバランスのとれた指導者。
 要するに、西洋人が会いたいと思う人物だったのだ。>(101~102p)

 そして、米国は、この「理想的な指導者」を、惜しみなく支援することにした。

 <カーター(註、大統領)と鄧は、領事館、貿易、科学、技術についての協定にも署名したが、それは、アメリカが中国の科学者にあらゆる種類の科学的・技術的知識を提供することを約束するもので、結果的にアメリカの科学的・技術的専門知識の史上最大の流出を招いた。>(111p)

 こうして「理想的な指導者」鄧小平は、米国(と日本)から、ほとんど無料で、奪えるものを奪いつくし、中国に「奇跡の成長」ともたらすことに成功する。まさに、中国にとって「偉大な指導者だった」といえるだろう。

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http://diamond.jp/articles/-/81432?page=3

天安門事件と冷戦終結で関係にヒビ
驚きの「クリントン・クーデター」が勃発


 80年代末から90年代初めにかけて、米中関係に大きな危機が訪れる。理由は2つあった。1つは、89年6月の「天安門事件」。人民解放軍は、「民主化」を求める天安門のデモを武力で鎮圧し、数千人の死者が出た。もう1つは、「冷戦の終結」である。

 「ソ連に対抗するために中国と組む」というのが米国側の論理だった。では、「ソ連が崩壊した後、中国と組みつづける理由は何か?」という疑問が当然出てくる。そして、この2つの大事件は、確かに米中関係を悪化させた。時の大統領は、クリントンだった。私たちが抱くイメージとは違い、「クリントンはどの大統領より強硬な対中路線を敷いた」と、ピルズベリーは断言する。

 <大統領選のさなかには、「ブッシュ大統領は、北京の肉屋を甘やかしている」と攻撃した。
 クリントンが大統領に就任するとすぐ、国務長官のウォーレン・クリストファーは、上院外交関係委員会でこう宣言した。
 「わたしたちの政策は、経済力の強化と政治の自由化を後押しして、中国における共産主義から民主主義への広範で平和的な移行を手助けすることだ」>(140~141p)

 米国が反中に転じることを恐れた中国は、なんと米国政府内に「強力な親中派グループ」を組織し、クリントンの「反中政策」を転換させることにした。ピルズベリーによると、「親中派グループ」には、国家安全保障担当補佐官トニー・レイク、副補佐官サンディ・バーガー、国家経済会議議長ロバート・ルービン、財務次官ローレンス・サマーズなどが含まれていた。

 ルービンは、元ゴールドマンサックスの会長で、後に財務長官になっている。サマーズは、ハーバード大学の経済学者で、ルービンの後に財務長官になった。確かに「強力」だ。「親中派グループ」は、政治家の味方を増やしていった。そして、何が起こったのか?

 <ついに1993年末、中国が現在、「クリントン・クーデター」と呼ぶものが起きた。
 中国に同調する面々が大統領に反中姿勢の緩和を認めさせたのだ。
 クリントンがかつて約束したダライ・ラマとの新たな会談は実現しなかった。
 対中制裁は緩和され、後に解除された。>(143p)

 驚くべき事実である。中国はなんと、米国の外交政策を180度転換させることに成功したのだ。

次のページ>> 驚きの中国「100年マラソン」計画

http://diamond.jp/articles/-/81432?page=4

米国から覇権を奪い復讐する!
驚きの中国「100年マラソン」計画


 このように、米中は、「想像以上に深い関係」であることが、この本によって明らかにされている。そして、60年代末からつい最近まで、ピルズベリーは「米中関係を良好にするために」尽力してきた。

 しかし、ここからが、最も重要な話である。ピルズベリーは「中国にだまされていたことに気づいた」というのだ。きっかけは、クリントン政権時代の90年代後半までさかのぼる。ピルズベリーは、国防総省とCIAから、中国の「米国を欺く能力を調べるよう」依頼された。彼は、諜報機関の資料を含むあらゆる情報にアクセスし、研究を行った結果、驚くべきシナリオが見えてきた。

 <これらのタカ派は、毛沢東以降の指導者の耳に、ある計画を吹き込んだ。
 それは、「過去100年に及ぶ屈辱に復讐すべく、中国共産党革命100周年にあたる2049年までに、世界の経済・軍事・政治のリーダーの地位をアメリカから奪取する」というものだ。
 この計画は「100年マラソン」と呼ばれるようになった。
 共産党の指導者は、アメリカとの関係が始まった時から、この計画を推し進めてきたのだ。
 そのゴールは復讐>(22p)

 しかし、当時はピルズベリーのこの見解を、ほとんど誰も信じてくれなかった。その後、「中国が世界制覇を狙っている」という彼の確信はゆっくりと強まっていく。

 2006年、国防総省の顧問になっていたピルズベリーは、ウォール・ストリート・ジャーナルで、「私の使命は、国防総省が『パンダ・ハガー』(=親中)にならないようにすることだ」と主張。 そして、「中国政府はアメリカを避けられない敵と見なし、相応の計画を練っている。だから、わたしたちは警戒を怠ってはならない」と警告した。

 中国は、大物パンダ・ハガーの裏切りに激怒した。以後、今まで交流のあった中国人政治家、学者、軍人などとの交流は断ち切られ、中国行きのビザも、なかなか出なくなった。しかし、ピルズベリーはその後も揺れ続けていたらしい。こんな記述もある。

 <2009年になっても、同僚とわたしは、中国人はアメリカ人と同じような考え方をすると思い込んでいた。>(316~317p)

 そして、彼が決定的に反中に「転向」したのは、13年だという。

 <2013年の秋に北京を訪れて初めて、わたしは自分たちが間違っていたこと、そして、アメリカの衰退に乗じて、中国が早々とのしあがりつつあることに気づいた。>(318p)

次のページ>> 「China2049」が示す米中関係の未来

http://diamond.jp/articles/-/81432?page=5

「China2049」が示す
米中関係の未来


 ここまで「China2049」の内容に触れてきた。ここで書いたことだけでもかなり驚きだが、他にも驚愕の事実が山盛りなので、是非ご一読いただきたい。

 次に、「この本の位置づけ」について考えてみよう。15年3月、親米諸国が米国を裏切り中国側についた「AIIB事件」が起こった時、筆者は「米国は必ず逆襲する」と書き、その方法についても予測した。(詳細はこちらの記事を参照)あれから半年が過ぎ、予想通り米中関係は、急速に悪化している。

 問題は、最初に触れたように両国の対立が「一過性のもの」なのか、「長期化する」のか、である。

 ところで、この本の冒頭には、「機密情報が漏えいしないよう、CIA、FBI、国防長官府、国防総省の代理によって査読を受けた」とある。つまり、この本には、CIA、FBI、国防総省もかかわっているのだ。巻末には、「謝辞」があるが、その中に、こんな一文がある。

 <ヘンリー・キッシンジャーは中国人の考えを深く理解しており、その知識に基づいて直接的にも間接的にも支援してくれた。>(360p)

 かつて米国ナンバーワン「パンダ・ハガー」だったキッシンジャーが、全面的に協力している。これは、「キッシンジャーが親中派をやめた証拠」といってよいだろう。大物親中派ピルズベリーとキッシンジャーの転向により、今後米国で「パンダ・ハガー」でいることは困難になるだろう。無理に親中派をつづければ、中国との「黒い関係」を疑われるようになる。

 そして、冒頭にある「推薦の言葉」は「決定的」だ。ウールジー元CIA長官は、中国について、こう書いている。

 <本書が明かす中国の真の姿は、孫子の教えを守って如才なく野心を隠し、アメリカのアキレス腱を射抜く最善の方法を探しつづける極めて聡明な敵だ
我々は早急に強い行動を取らなければならない。>

 元CIA長官が、ある国について「敵」と名指しするのは、よほどのことだ。そして、ピルズベリー自身は、「アメリカはこのマラソンの敗者になろうとしている」と警告している。さらに、「中国が覇権をとった暗黒の世界」を描き、そうならないために「米国が中国に勝利する方法」まできっちり解説している。

 これらすべての事実からわかることは、「中国の世界覇権の野心を知った米国支配層が、中国打倒の決意を固めている」ということだ。つまり、現在の「米中対立」は、「米中覇権戦争」の一環であり、戦いは「長期化」し、決着がつくまでつづく」可能性が高いのだ。私たち日本国民も、日本政府も、「今は1930年代のように、変化の激しい切実な時代なのだ」ということを、はっきり自覚しておく必要がある。

<引用終り>

以上がこの寄稿文の全文です。
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2015-11-11 15:01

祝初飛行、MRJ

 待ちに待った国産旅客機MRJの初飛行、今日11月11日午前に初飛行に成功した。
何はともあれ嬉しい話である。

2015-11-11初飛行するMRJ

この機体のロールアウトは1年前、その時こんな記事を書いた。

「あひる飛びなさい」から半世紀
http://tansoku159.blog.fc2.com/blog-entry-1022.html

戦後初めて作った旅客機がYS11、その苦労話が「あひる飛びなさい」という小説になった。

2014-10-21あひる飛びなさい

あれから半世紀、やっと自前で旅客機を作る事が出来た。
すなおに喜びたいと思う。

しかし開発を始めた当初は日本に飛行機を作らせるなと言う外圧の凄かった時代。だがその後世界の情勢は一変した。
これからは日本の力が無くては良い航空機が出来ない時代。
更に次なる発展への期待が出て来ると思う。
何はともあれ、今日は良い日になりました。
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2015-11-10 18:58

脆弱性を抱えるソフトウェア開発キット「Moplus」、実はバックドア機能の実装が判明


 スマートフォンを使っている人にはビックリ仰天の話が出てきた。中国の検索エンジン「百度(Baidu)」のソフトウェア開発キット「Moplus」にトンデモナイ猛毒ソフトウエアが仕込まれているのだと言う。

・・・なんですか、ガラケー派の短足には関係ねえだろ、それはそうなんですが・・・

最初にそれを報道する東洋経済ONLINEの報道はこれ。


中国バイドゥがAndroidにバラまいた猛毒
http://toyokeizai.net/articles/-/91732

但しこの記事、徒に長く読みにくいのでトレンドマイクロのこの記事が分かりやすい。

<以下引用>

脆弱性を抱えるソフトウェア開発キット「Moplus」、実はバックドア機能の実装が判明
投稿日:2015年11月6日
http://blog.trendmicro.co.jp/archives/12540

中国の検索エンジン「百度(Baidu)」のソフトウェア開発キット(Software Develoment Kit、SDK)「Moplus」に「Wormhole」と呼ばれる脆弱性が確認され、この脆弱性が利用された場合の影響の深刻さゆえに波紋を呼んでいます。この脆弱性は、中国の脆弱性報告プラットホーム「WooYun.og」により確認されました。

しかしながら、トレンドマイクロがこの脆弱性について調査を進めたところ、Moplus SDK 自体にバックドア機能が備わっており、必ずしもそれが脆弱性に由来または関連しているわけではないことが明らかになりました。現時点で、この問題は Moplus SDK のアクセス許可制御とアクセスの制限方法にあると見られています。そのため、脆弱性が関係していると考えられているのですが、実際には、この SDK のバックドア機能により、ユーザ権限なしに以下を実行する恐れがあります。

フィッシングサイトへの誘導
任意の連絡先の追加
偽のショート・メッセージ・サービス(SMS)送信
リモートサーバへのローカルファイルのアップロード
アプリをAndroid端末にインストール


これらのバックドア活動を実行する前に必要な前提条件は、端末をインターネットに接続するだけです。Moplus SDK は非常に多くの Androidアプリに取り入れられているため、1億人の Androidユーザが影響を受けたことになります。また、弊社の調査から、不正プログラムが既に Moplus SDK を利用していることが判明しています。

・・・以下略、詳細は上掲リンク先参照ください・・・

<引用終り>


トンデモナイ話なのだが、上掲トレンドマイクロの開設にはこんな画面も有る。

2015-11-10百度1

2015-11-10百度2

不正なサービスがバックグラウンドで常時動いており、勝手に連絡先が追加されている。こんな事が起こるのがこのアプリだ。

私はガラケー派なのだが、こんな事は他人事ではない。
そして上掲トレンドマイクロによれば、Moplus SDK を組み込んだアプリは、バージョン違いや異なるSHA1のものなどあわせて14,112存在。そのうち4,014が Baidu の公式アプリなのだと言う

中国モノが危険なのは食品ばかりではない。携帯電話ソフトも実に危ないものだ。

しかしこの件は個人として防衛せねばいけないが、企業として、政府としても深刻な脅威と受け止めて対策してほしい。
それは若し中国との間で何らかの紛争などが発生した時、携帯電話が全く使えなくすることができる。そんな危険すら考えられるからなのだ。
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2015-11-09 19:35

目の保養の日

 昨日の日曜日、知人の参加している山野草の生け花展に行ってきた。
無芸大食が取り柄の私としては滅多にない事、雨が降るぞ!・・・ イヤもうとっくにその日は雨でした・・・

小さな山野草もそれにあった器や花台などを使えば、それなりにとても美しい。
そして会場が同じ市内の昔の豪商のお屋敷。
生け花も会場のお屋敷もとても素晴らしく、良い目の保養になった。

生け花は写真撮影できなかったが、そのお屋敷の庭も雨に濡れてとても美しかった。

2015-11-9山野草いけばな展の庭

本日はこれまでです。
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