2015-10-25 13:41

GEが面白い事を言っている

 昨日GEが製造業に回帰すると言う報道についてエントリーした。今回はその続編、GEのHPにGEリポートと言うものがあり、大変面白い内容が載っている。
GEほどの大会社が製造業への回帰を決めると言う大変革、その一端と思われ大変興味深い。


何はともあれ、どんな事を言っているかを紹介しよう。

最初にGEリポート(正確にはREPORTSだが、分かりやすくリポートと表記)のこんなページ

http://gereports.jp/post/124649266664/inventing-the-next-industrial-era

このGEReportsで「日本のこれからを考える」を見るとこんな画面。
今年7月にGEが日本で開催したフォーラムのパネルディスカッションの様子。

(画像を貼り忘れました、追加します・・・深謝!)
2015-10-25GEリポートジャパン

大変興味深いので、以下その内容。

<以下引用>

名経営者たちが語る、製造業の未来とこれからの指針
Jul 21, 2015


GE REPORTS JAPAN今号では、
日本GEが7月9日に開催したフォーラム「Inventing the Next Industrial Era with Japan」より、
“日本と創造する未来の産業 “と題したパネルディスカッションの模様をお届けします


製造業に押し寄せる、大変革の波
パネリストとして登壇したのは、IHI代表取締役社長 斎藤保氏、コマツ社長(兼)CEO 大橋徹二氏、富士フイルムホールディングス代表取締役会長・CEO 古森重隆氏の三氏とGE会長兼CEO ジェフ・イメルト。一橋大学の米倉誠一郎教授の進行のもと、さまざまな角度から意見が交わされ 「これからの製造業の指針」ともいうべき下の企業姿勢が、パネリストの支持を集めました。

【これからの製造業の指針:パネルディスカッションから】
1. 自らを破壊するほどの覚悟で変革しなくては、生き残ることはできない。
2. ビッグデータは、顧客自身さえ気づいていないニーズを掘り起こし、顧客のビジネスを革新することができる。
3. 顧客起点で考え、ビジネスプロセスを遡って変革することが必要。すべては顧客の利益のためである。
4. 時間をかけて100%を目指すよりも、いち早く上市し修正を重ねる方が、結果的に顧客の利益にかなう。
5. 自前主義に陥らずオープン・イノベーションで社外の力を活用し、スピードを追求することが必要。


指針-1:自らを破壊するほどの覚悟で変革しなくては、生き残ることはできない。
 パネリスト全員が頷いた、今まさに製造業の大変革が巻き起こっている事実。しかし、企業の変革は簡単なことではありません。ましてそれが、成功体験を誇るコア事業であればなおのこと。売上の7割を占めていた銀塩フイルム市場がわずか4、5年のうちに消滅してしまう、という荒波を乗り越えた経験を持つ富士フイルムは、そのとき経営資源を徹底して棚卸し、その実力を客観的に見極め、既存市場/隣接市場における可能性を一から検証したといいます。「銀を使うケミカルプロセスと製薬のプロセスは、化学によって機能を再現するという点で、近いところにありました。化粧品もそうです。こうして医薬品と化粧品という新しい事業領域に取り組むことを決めました」(富士フイルム 古森氏)。

 「成功した要因は、市場選択が正しかったこと。それに社員の力、そして技術・財務力・チャレンジする精神など、会社にアセットがあったことです」(同氏)。



 自分たちの強みを冷静にとらえ、大胆に決断する。金融事業からインダストリアル事業へと事業ポートフォリオの大幅な転換を決意したGEとも共通します。「じつは金融危機の前から“製造業の時代が来る“と考えていました。製造業の中心にはテクノロジーがあります。グローバル化や顧客との関係とも切り離せません。GEはそれらをすべて備えているにも関わらず、金融分野ではこうした強みを生かし切れていないと感じていたのです」(GE イメルト)。


指針-2:ビッグデータは、顧客自身さえ気づいていないニーズを掘り起こし、顧客のビジネスを革新することができる。
 データによってビジネスを革新した企業といえば、多くの人が日本ではコマツの名前をあげるでしょう。モデレーターの米倉教授の 「“いまのブルドーザーは3Dプリンター。自動で土地を造成し、道路を作る。”そう言った人がいます。コマツはまさにそのように、ソフトとハードを結びつけてきましたね」との問いかけに対しコマツの大橋社長は次のように語りました。 「建設機械・鉱山機械の分野では、こういうものがお客様に受け入れられるだろうという仮説に基づいて商品開発をします。しかし、それが本当に機能しているかどうかは、なかなか判りません。建設機械の情報を遠隔で確認するためのシステム“KOMTRAX”を開発し、実際の機械の使われ方を“見える化”することで、自分たちの仮説を検証できるようになりました。その後導入した“スマートコンストラクション”では、さらに踏み込んで、お客さま自身さえ気づいていない、本当のバリューも“見える化”することができたんです」。



指針-3:顧客起点で考え、ビジネスプロセスを遡って変革することが必要。すべては顧客の利益のためである。
 「データを活用する目的は、顧客企業の生産性向上に貢献すること」GE のイメルトはこう言います。「テクノロジーはそれを達成するための手段であり、最終的な目的はお客さまの成果を高めることにあります」(同)。顧客起点で考えて製造開発など初期プロセスから正しく修正していく、そういう姿勢が、これからのメーカーのあり方だと言えそうです。「設計図面の不備に起因する工事のやり直しが、工事費を3割押し上げているという現実があります。ドローンを飛ばして精密測量をすれば、元の設計図が間違っていることがわかる。バックワードで考えなくてはだめなんです」(大橋氏)。

指針-4:時間をかけて100%を目指すよりも、いち早く上市し修正を重ねる方が、結果的に顧客の利益にかなう。
 「シーズもニーズも多様化しているし、変化も激しい。こうだと決めつけて商品化すると往々にして間違います。製品が市場に導入される頃には、もうニーズとずれている」(富士フイルム 古森氏)。こういった状況は、製造業に携わる多くの人々の実感でしょう。

 GEではFastWorksという考え方を導入、“シリコンバレーのスタートアップ企業流”のやり方を重工業のGEに当てはめようとしています。これは、まずMVPs: Minimum Viable Products(実現可能な最小限の製品)をつくり、顧客の声を反映しながら修正を行うことで、開発スピードを高め、より顧客のニーズに合った製品づくりを行おうというもの。「大事なことは、可能な限り素早く上市し、失敗するならなるべく早く失敗し、機敏に方向転換することです」(GE イメルト)。

指針-5:自前主義に陥らずオープン・イノベーションで社外の力を活用し、スピードを追求することが必要
 インダストリアル・インターネットの時代には、すべての製造業は、ソフトウェアとアナリティクス(分析)の機能を備える必要があります。商品ライフサイクルの短期化と顧客ニーズの多様化にも対応しなくてはなりません。これらをすべて自分たちのリソースだけで行うのは、ますます困難になっていきます。そこで、外部の力を活かしたオープン・イノベーションに取り組む企業が増えてきました。
 「オープン・イノベーションは、自分たちを変えていくツールだと考えています」というのはIHIの斎藤社長。IHIは昨年10月に「IHIつなぐラボ」を横浜に開設。「IHIとパートナー、顧客が共創する場をつくりました。『Realize your dreams』をキャッチフレーズに、顧客自身も気がついていないものを実現しようと取り組んでいます」(同氏)。
 「誰かと一緒にやらないと、自分たちだけではスピードに追いついていけません。技術がもれるという心配はあっても、オープン・イノベーションに取り組むべきです」(コマツ 大橋氏)。


製造業の未来を、日本と創造する
イメルトは、製造業の大転換期を迎えている今こそ、世界における日本の重要度は増しており 共に未来を切り開くパートナーだと考えています。「GEにとっても世界にとっても、日本は大切な国。優れた人材、企業がある。才能あふれる人、技術の素晴らしさ、これらを持つ日本は、インダストリアル・インターネットの時代においても、素晴らしい仕事ができるでしょう」としたうえで「我々企業は、企業文化もビジネスも、刷新していかなければなりません」と語り、リーン生産方式(引用者注:」トヨタ生産方式を研究して体系化した方式の事)やQCなどを生んだ日本にはそれが十分可能だ、とパネルディスカッションを締めくくりました。

>>イメルトによる基調講演のレポートはこちら
GE CEOジェフ・イメルト来日講演 「日本には新時代のリーダーとなる技術的な素養がある」
Jul 17, 2015
http://gereports.jp/post/124314635269/jeff-immelt

この講演の動画はコレ


<引用此処まで>


これを読んだときの第一印象。それは「日本と我々が目指すものは同じだ、一緒にやろう」、こんな事をGEが言っている事の驚きである。
そうか、遂にあのGEがこんな事を言っているのか・・・

そしてこの話は今年4月30日、アメリカ上下両院にて安倍首相が演説をした。締めくくりの言葉は「希望の同盟、一緒でならきっとできます」でした。
http://tansoku159.blog.fc2.com/blog-entry-1103.html

其れと同じことをアメリカ産業界の雄、GEが日本に対して言ってきているのです。一緒にやろうと。
これこそ安倍外交の成果ではないか、そう思った次第。   ・・・嬉しい話ですね。

アメリカの巨大企業が金融部門を切り捨て、製造業に回帰してきた。そして日本と一緒にやろうと言っている。
こんな事はあのミンス政権時代には夢のまた夢だった・・・
感無量である。
  1. 産業技術
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2015-10-24 21:22

米GE、ものづくりに回帰 金融は撤退、新技術に活路

 BBCのテレビを見ていると何となく気になるコマーシャルがある。
GE(ゼネラル・エレクトリック)のコマーシャルだ。
ファンジェットエンジンのファンの形をした風車を持って遊ぶ女の子と大人になってその風車を持っている働く女性の物語・・。
何となく清々しいものがあるので、家でそんな話をしていたら長男が「GEは金融部門を売却し、モノづくり回帰」、そんな報道があるよと言う。


これはそんな報道の一つ。アカヒ新聞のモノだが・・、まっ、いいか。

<以下引用>

朝日新聞デジタル
http://www.asahi.com/articles/ASH7C10GLH7BUHBI048.html
米GE、ものづくりに回帰 金融は撤退、新技術に活路
グリーンビル〈米サウスカロライナ州〉=畑中徹2015年7月19日15時09分

2015-10-24GE1

2015-10-24GE2


 米ゼネラル・エレクトリック(GE)が経営戦略を大転換している。もうけは大きいが振れも大きい金融事業からは事実上撤退し、原点の「ものづくり」への回帰を加速する。注力し始めたのは、もともと得意な製造業に、新たなデジタル技術を融合したビジネスだ。

 「すばらしい経営判断だ」。GEに対し、最近は辛口が目立ったウォール街のアナリストたちがそろって称賛した。

 GEは今春、大胆な「脱金融」のプランを示した。世界中に保有する総額2千億ドル(約25兆円)の金融関連資産を、今後2年間で一気に売却。2014年に全体の営業利益で金融事業の比率は4割以上だったが、18年までに1割以下に減らすと数値目標も公表した。

 かわりに航空機エンジンやタービンに注力し、製造業回帰を鮮明にした。ジェフ・イメルト最高経営責任者(CEO)は「競争優位性がある領域に力を集結する。もっとシンプルな製造業をめざす」と語る。

 金融事業は03年に全社の営業利益の56%に達した。好景気の時期はよかったが、08年のリーマン・ショック後に状況は一変。一時は資金繰りにも困り、09年に70年ぶりの減配に追い込まれ、最上級の格付けも失い、足かせになってきた。

 「脱金融」の背景には、世界的な金融規制の強化もある。金融子会社GEキャピタルは、資産規模でみると米国7位の巨大金融機関だ。金融危機の再発を防ぎたい金融監督当局からは13年に「金融システムを安定させる上で重要な金融機関(SIFI)」に認定され、国際基準よりも高い自己資本比率の確保が求められることが予想された。規制に対応するコストもかさみ、株主の不満も増えた。

 金融事業の売却を着実に進めれば当局のSIFI認定が外れ、「経営資源を本業につぎ込める」(イメルトCEO)とみている。

 日本では年内にも金融事業を売りそうだ。法人向けリース事業などが対象とされ、国内の大手銀行グループやリース大手が関心を寄せている。売却規模は約6千億円ともされる。

・・・以下略、全文は上掲リンク先参照ください・・・

<引用終り>


アメリカはGMがサブプライムローンで儲けたのだが、そのため本業のクルマ造りが駄目になった。そしてリーマンショックで倒産、政府の支援でヤット救済された。ついこの間の事だ。

しかしGEは逆に金融から手を引くと言う。大変良い事だと思う。

情報化時代に入ってモノ造りも進歩のペースが極めて早くなった。片手間のモノづくりでは競争に打ち勝てないのだろう。

しかしこうなった時のアメリカ企業は強い。強力なライバルが出てきたものである。
  1. 産業技術
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2015-10-23 13:53

ロンドンを徘徊するモノ

 「犯罪の専門家として言わせてもらえば」と、ミスター・シャーロック・ホームズは言った。「ロンドンは、モリアーティ教授の逝去以来、じつにつまらない街になったものだ」。

これはコナン・ドイルのシャーロックホームズシリーズの小説の一つ、「ノーウッドの建築家」の冒頭部分。
この小説はこんな冒頭の次はこう続いている。

「数多いまともな市民が君に賛成するとは、とうてい思えないね」と、私は答えた。

「まあよし、勝手を言ってはならないか」と微笑みながら、ホームズは朝食のテーブルから椅子を引いた。「社会は得をし、損をしたものは誰もいない。ひとり、失業した専門家を除けばね。あの男が活動していれば、朝刊は無限の可能性を与えてくれるものだった。ときに、それはごくごく小さな痕跡や、ごくごくかすかな兆候でしかなかったけれど、それでも十分、卓越した悪辣な頭脳の存在を僕に知らせてくれた。巣の縁でのかすかな振動が、巣の中央に潜む汚らわしい蜘蛛の1匹を暴きだすように
・・・以下略

シャーロック・ホームズの住いはここ、ベーカー街221B。

2015-10-23シャーロックホームズ1

今にもここからシャーロック・ホームズが顔を出しそうなのだが

2015-10-23シャーロックホームズ2


ガラにも無くシャーロック・ホームズの話なのですが、なぜ今こんな???
それはシャーロック・ホームズもビックリの邪悪な毒蜘蛛が今ロンドンを徘徊しているからなのだ。

その人物はこんな歓迎を受けた。
「廁所外交」だそうだ・・・

2015-10-23ロンドン空港での習近平

動画はコレ


そして英国王室の公式晩餐会で早速反日ぶりを発揮しているようだ。
産経の報道では
「習氏演説の異様 「抗日」「日本の残虐性」晩餐会でも繰り返す チャールズ皇太子は欠席」

2015-10-23公式晩餐会での習近平
http://www.sankei.com/world/photos/151021/wor1510210028-p1.html


習近平はイギリスと中国以外の国の名前を言ったのは日本だけらしい。まあそれだけ女王陛下に日本の宣伝をしてもらえるんだとしたら、それはそれでも良いではないか・・・(棒)

実際は習近平クンがうまれたのが1953年。その年、エリザベス女王の戴冠式が行われ、日本からは昭和天皇の名代として当時皇太子だった今上陛下が出席された。
そんな古い付き合いのある国の悪口、それを言いふらしてやったと思っているとしたら、そして相手がそれを信じると思っているとしたら、言った方が愚か者に見える事すらわからんのかねえ。ヤッパリ毒蜘蛛級でしょうな


そして訪英の最後にキャメロン首相と習近平との共同記者会見、これでもBBCの記者が噛みついているようだ。

習近平主席に英BBC記者が会見で皮肉たっぷり質問 キャメロン氏が苦い表情で反論
http://www.iza.ne.jp/kiji/world/news/151022/wor15102222400024-n1.html


さて話は最初に戻って、どうして毒蜘蛛の話なのか、それはこの部分である。
「巣の縁でのかすかな振動が、巣の中央に潜む汚らわしい蜘蛛の1匹を暴きだすように」

実は日本国内ではその蜘蛛の巣の淵のかすかな振動、これに相当する動きがアチコチに出ているのだ。

共産党、安保法廃止目的の「連合政府」構想は大丈夫? 党綱領と論理矛盾も
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20151020/plt1510201550002-n1.htm

この記事で石平氏にこんな事を言われている。
 「とても信じられない。安保法制に反対するために、日米安保条約を維持するという。これでは、まったく論理矛盾ではないか」

こんな所を見ると毒蜘蛛が暴れて、蜘蛛の巣の縁ではちっちゃな虫どもが右往左往、そうではないだろうか。
  1. 海外
  2. TB(0)
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2015-10-19 19:44

ドイツ問題の現地からの声

 今回のフォルクスワーゲンのはガス不正について、ドイツ問題と言う側面から10月1日にこんなエントリーをした。
ドイツ問題とVW不正
http://tansoku159.blog.fc2.com/blog-entry-1170.html


所で週刊現代10月17日号に興味深い記事が2件あった。

最初は裏の桜さんが取り上げたこんな記事
「日本人から見りゃ、ルーズベルトだって同じだよ」
http://sakuraura.blog.fc2.com/blog-entry-3593.html

この記事では以下の緊急インタビューが中心になっている。
【緊急インタビュー!仏学者エマニュエル・トッド「VW事件から見えてくる ドイツ最大の弱点」~やっぱりドイツが世界をダメにする?】

エマニュエル・トッドはソ連の崩壊を人口問題から分析、そして崩壊を言い当てたことで一躍有名になった人学者。そしてハンチントンが文明の衝突で日本を唯一の一国一文明としたことに対し、日本とドイツには類似点があると指摘している、そんな学者だ。

そして裏の桜さんの指摘も事の核心に迫る話、貴重な意見だとおもう。


さてここからが本題。週刊現代10月17日号にはもう一つこんな記事。

日本人が知らない「EUの盟主」ドイツの正体
~VW事件を生み出した「傲慢」「自賛」体質とは

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/45705

此処にドイツ在住の川口マーン恵美さんが現地の状況を詳細に語っている。
大変貴重な意見なので以下川口さんの意見全文を引用。

<以下引用>

 ドイツ人というのは、私が見る限り、正しい人間でありたいという願望のとても強い人たちです。倫理的でありたい、正しい行動を取りたい。つまり、周囲から尊敬される人になりたいのです。

そして、正しいと思う行動を取れるとき、彼らは大変幸せで、心洗われた気分になり、自己陶酔に陥る。そういう場合のドイツ人の自画自賛たるや、相当なものです。

さらに彼らの奇妙なところは、ときどき皆がこぞって、突然、理性をかなぐり捨ててしまうことです。そして、倫理観だけを前面にかざし、自己礼賛とともに、非合理の極みに向かって猪突猛進していく。こういう状態になった時のドイツ人は、大変情緒的で、絶対に他の意見を受け付けません。

その良い例が、ドイツの脱原発です。

そもそも、遥か遠い福島で起こった原発事故で、日本人以外でこれほど大騒ぎした国民はドイツ人の他にはいません。ドイツではガイガーカウンターまで売れたのです。

その挙句、'11年6月に、2022年リミットでの脱原発を決め、政治家も国民も一丸になった。彼らの心は、自分たちは自然を愛し、拝金主義とは一線を画す気高い国民であるという誇らしさで満たされました。

しかし、です。

政府は、原発の電気を再生エネルギーで賄うつもりでしたが、再エネはいくら増えても一大産業国の電力を安定供給することはできません。何しろお天気次第ですから。そのため、再エネは急増していながら、結局、原発の減る分は火力で賄っています。ですから今、ドイツでは、再エネの買い取りのための賦課金で電気代が高騰するばかりか、CO2も増えています。

さらに、北ドイツの風力電気を南ドイツの電気消費地に運ぶ送電線は住民の反対で進まず、とにかく問題山積みです。2022年までにCO2をこれ以上増やさず、どうやって原発を止めれば良いのか。これもすべては、政治家と国民の一時の自己陶酔の結果なのです。

非難されるとすぐ攻撃する

2015-10-19メルケル首相

最近、欧州全体を移民問題が騒がせています。この移民問題へのドイツ政府の対応を見ていても、ドイツ人の悪い癖が出ていると感じます。

9月初旬、シリアやアフガニスタンからの移民が漂流し、本当に気の毒なことになっていました。それを見たドイツのメルケル首相は「政治難民の受け入れに上限はない」と大見得をきって、難民のドイツへの移送を決めた。

国民の多くもそれを支持し、それをドイツメディアが人道的と褒め称えた。ドイツはいっぺんに、ウェルカム・トゥー・ジャーマニー一色になりました。

しかし、まもなくバイエルン州のミュンヘン中央駅に続々と難民が到着し始めると、ドイツはパニックに陥ります。そして、一時的にドイツ—オーストリア間の国境を閉めるという事態にまで発展。主要道路でも国境での検問が始まり、あちこちで大渋滞も起きました。

9月だけでバイエルン州には、17万人の難民が入ったようです。ドイツ全体では、今年1年で100万人近くになるだろうと言われています。メルケル首相の人道主義が難民に希望を与えたからです。

しかし、すぐに破綻するこの善行は、本当に「英断」だったのでしょうか。他のEU諸国ではメルケル首相のスタンドプレーに対する批判が続出しています。それに対してドイツは、他国にも難民の引き取りを促す。非難されるとたちまち攻撃に転ずるのも、ドイツ人の特徴です。

そして、フォルクスワーゲンの不正問題です。燃費が良くて、パワーがあって、なおかつ環境によい。そんなディーゼルエンジンを作り上げ、世界中で大儲けしたいという野望があったことは間違いありません。フォルクスワーゲンの経営陣にとっては、心がくすぐられるチャレンジに映ったのでしょう。

実際には、なかなかそんな夢のようなディーゼルエンジンは開発できない。しかし、自分たちにはできるはず。そう思っているうちに魔が差した?要は、ばれなければ良い……。

もし、彼らがこんな考えにとらわれていたのだとしたら、何かが狂ってしまっていたとしか思えません。おそらく不正をしていたという自覚もなかったのではないでしょうか。これは傲慢なことです。

東西ドイツの統一は1990年。西ドイツが東ドイツという破産国を抱え込む形でしたから、ドイツは経済的に一時困窮しました。'98年から'05年まで首相を務めたシュレーダー氏は『アジェンダ2010』という大胆な構造改革を断行し、それまでの「手厚い社会保障」にすらメスを入れました。

その後、改革の効果はゆっくりと現れ始め、2010年頃になって初めて成長という果実をもたらしました。ですからドイツ人には、自分たちが進めてきた構造改革に対する強い自負があります。だから、南欧の破綻国にもそれを強いるのです。

しかし今、EUではドイツのやり方に批判の声が聞かれます。ドイツの交易はEU圏内がメインなので、ドイツが輸出超過になれば、EU内には必ず輸入超過になる国が出る。そもそも、異なる経済力の国が同じ通貨を使えば、経済力のあるドイツにとってユーロは常に安く、輸出は伸びる一方です。そして、他の国々はいつの間にか、輸出など夢に見るしかなくなってしまいました。

しかし、ドイツ人からすれば、この事実は受け入れがたい。自分たちが成長できたのは勤勉と努力の結果だと思っています。ギリシャをはじめとする南欧の国々の経済が低迷しているのは、彼ら自身の責任だと考えるわけです。

そこで援助の条件に、過酷な金融引き締めを要求し、「上から目線」、つまり傲慢だと憎まれる。両者の意見は、今や完全にすれ違ってしまっています。

驕れる者は久しからず

フォルクスワーゲンの不正問題は、ドイツ人の「高い鼻」を折るには十分な一大事件です。ドイツ国内はまさにパニック状態が続いています。

倫理的に正しい国民であったはずのドイツ人が、よりによって不正をしていたということは、ドイツ人を非常に戸惑わせています。ドイツ人はドイツ車に強いアイデンティティーを感じています。中でも、国民車であるフォルクスワーゲンはドイツ人の誇りそのものです。ドイツ人にとってはフォルクスワーゲンの醜聞は自分自身の醜聞なのです。下手に弾劾すれば、自分自身を弾劾することになりかねない。

そのうえ、ドイツ人は、「実務的」にもどうすればよいのかわからずに、困惑しています。

ドイツでは消費者のクレームに対応するのは、メーカーではなく販売会社です。しかし、今回、販売会社もいわば被害者で、今のところクレームに対応する術を持ちません。現在の法律では米国のような集団訴訟はできませんが、今、メーカーに対してそれをできるようにしようという声さえ上がりはじめました。

フォルクスワーゲン社が一刻も早く対策を打ち出さなければ、あちこちで不満が募り、ますます事態が混乱するでしょう。

そうした中で、私が危惧しているのは、ドイツ人がこの危機を抜け出すために、外部に「敵」を見出すのではないかということです。

たとえば、ドイツの成功をねたんで陥れようとする国=米国、ドイツの不幸を利用しようとする姑息な国=日本、といった風に、です。

不正が発覚した後の9月22日のこと。ドイツの公共放送ZDFのニュース番組に経済専門家が登場し、いかにも憎々しいといった風に次のように語っていました。

「今回の事件で我々の車の品質に傷がつけば、他国のメーカーの力が増す。そうなれば、『ワンダフル!』と言いながら、他国のメーカーがその隙間に入り込む。たとえば、トヨタだ!」

ドイツの公共放送がトヨタを名指しで、ドイツの災いを喜ぶ「敵」として扱っているわけです。彼らは惻隠の情という言葉を知りません。

他にも「おやっ?」と思うことはあります。不正発覚当初、野党の緑の党が、「国交大臣は、この不正を知っていたのではないか」と指摘したのに、与党にさりげなく否定されたまま、以後、その話が一切出ないことです。

ドイツでは、産業界と政界は非常に関係が深い。言い換えれば、産業界と政界が協力し合っているから、ドイツ経済はここまで順調に発展したのです。ただ、「協力」はときに、限りなく「癒着」に近づく場合も多い。

ドイツの自動車関連産業は7人に1人が働くまさに基幹産業で、ドイツ政府と手を取り合って進んできた歴史があります。中でもフォルクスワーゲンは、本社を置くニーダーザクセン州政府が同社株の20%を保有する大株主で、監査役会には州知事が加わっています。

しかも、新たに分かってきた情報では、不正ソフトは'07年あたりから、すでに問題になっていたというのです。知っていた政治家がいたとしても、不思議ではありません。なのに、それを追及する声が一切出てこないのは、かえって不自然です。

フォルクスワーゲンはこれまでずっと、政界の全面的バックアップを享受してきたはずです。しかも、ドイツ経済の強化に貢献してきたのは自分たちとの自負もある。だから、自分たちの不正が摘発されるわけはないという思いあがりがあった可能性はないでしょうか。

戦後、何もないところから始めたドイツと日本は、両者とも経済大国として蘇りました。そして、ドイツはこの15年、政治大国としても軍事大国としても急激に伸びてきました。その間に、どこかに歪みも生まれたのでしょう。今回の事件を見ると、驕れる者は久しからずという言葉が、ふと頭に浮かぶのです。

<引用終り>


川口マーン恵美さんの意見は実に素晴らしいと思います。流石現地に居なければわからない意見。

そしてその心配していたアメリカ憎し、これは既に始まっています。
ロイターの以下記事参照ください。
アングル:排ガス不正でVW擁護するドイツ、反米感情も再燃
http://jp.reuters.com/article/2015/10/16/angle-vw-scandal-germany-idJPKCN0SA0E220151016

そしてもう一つが日本憎し、これも実際はもう始まっていると見るべきかと思います。
此処に興味深いデータがあります。イギリスBBCが毎年実施している世界に良い影響を与えた国は何処か、そんな調査です。

これの2014年のデータです。
http://www.globescan.com/images/images/pressreleases/bbc2014_country_ratings/2014_country_rating_poll_bbc_globescan.pdf

此処で全体を纏めるとこうなっています。

2015-10-19世界に対する良い影響2014

日本は五位です。日本人はこんなグラフを見ても一喜一憂しませんのであまり心配しませんが、実は詳細に見るとこんな風になっています。

これは日本に対する印象を国別に纏めたもの。

2015-10-19世界に対する良い影響の日本に対する見方2014

一番下をみてください。日本に対する印象をボロクソに評価している国があります。韓国と中国。
いやあ、酷いもんですねえ・・・
こんな韓国に莫大な援助をしていたのが日本、こんな中国に矢張り莫大な援助をしていた国、そして呆れたことに未だにODAで援助している国が日本。
日本は本当にお人よしなんですねえ・・・(苦笑)
尚こんな中韓の異常値を除けば、日本の総合ランキングは五位どころではないのが分かると思います。

さて所でもう一つ、日本をボロクソに評価している国があります。表の中ほどにある国、ドイツです
イギリスやフランスと比べて極端に評価が低いですね。
日本人から見るとドイツは利害で衝突することもあまりないと考えがちですが、そんな事ではこの異常な低評価は説明がつきません。特にポジティブが少ない事もさることながらネガティブが非常に多い、こんな評価になっています

ドイツの日本憎しはもう既に始まっていると考えるべきでしょう。
さてさてこんな困ったチャン、如何したもんですかねえ。
  1. 自動車
  2. TB(0)
  3. CM(19)

2015-10-17 21:18

姫路城の伝説

 横浜で高級マンションが傾いている事が発覚した。例えばこんな報道。
“安心”も傾いた横浜のブランドマンション 住民に怒りと不安「はらわた煮えくりかえる」
http://www.sankei.com/affairs/news/151016/afr1510160027-n1.html


所で話は変わるが、私は建物が傾いたと聞くたびに思いだす伝説がある。あの国宝姫路城にまつわる伝説である。

2015-10-17姫路城1


先ずはどんな話かというと

姫路城の伝説
姫路城の公式HPより
http://www.city.himeji.lg.jp/guide/castle/about/history.html

棟梁・桜井源兵衛の死
池田輝政による姫路城築城の時、完成した天守から一人の男が身を投げて自殺したといわれています。その男の名は、城普請にあたった大工の棟梁・桜井源兵衛。

2015-10-17姫路城2

輝政に命じられ、9年間、寝る間も惜しんで仕事に打ち込み、やっと完成した姫路城。しかし、彼には、丹精込めて造り上げた天守閣が巽(東南)の方向に少し傾いているように思えてなりませんでした。
そこで妻を伴って天守に登ると、「お城は立派ですが、惜しいことに少し傾いていますね」と指摘されてしまいます。「女の目に分かるほどとすれば、自分が計った寸法が狂っていたに違いない」とがくぜんとした源兵衛は、まもなくノミをくわえて飛び下りたといわれています。
実際に城が東南に傾いていたのは解体修理で確かめられています。本当の理由は、東と西の石垣が沈んだためでした。

<引用此処まで>


こんな話が有る事は以前から知っていたが、今回の解体修理でその実態が分かった。伝承は確かだった、すばらしい発見である。
棟梁さん、事実はあなたのせいじゃ無かったよ、なにも死ぬことは無かったのにねえ・・・

でも命をかけて自分の仕事を全うする、こんな気概は実に見習うべきものと思う。

所で何故こんな事が起こるか、こんな建物は瓦とその下の葺土の重量が非常に大きい。
だから棟上げを終わった時と瓦を葺いた後では当然寸法など変わってくる。
有名なところでは東大寺の大仏殿、解体修理で屋根瓦を下したところ軒先が1メートルも上に上がったと言う。

まあこんな所が木造建築の難しさなのだが、この姫路城が傾いていた、誰も見ても分からないモノが如何して大工の棟梁には分かったのか、そんな事を昔何かの本で読んだことがある。
棟梁は建築中絶えずまっすぐに立っているかチェックしている。そんなチェックポイントが必ずあるのだと言う。
分かりやすい所では五重塔、まっすぐ立っているかどうかは芯柱最上部から錘を吊り下げてみれば一目瞭然。
そんな風にチェックできるように錘を上から下まで通せるようになっているのだとか。

現代の建築はどうなっているのだろうか。
今はレーザーなどで精密に測量できるはずなのだが、レーザーの光より山吹色の光の方が強いのかもしれないなあ・・。
  1. 社会一般
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2015-10-16 09:24

VW排ガス・スキャンダルの引き金を引いたもの

 フォルクスワーゲンの排ガス・スキャンダルがますます深刻な状況で、遂にドイツ政府が「強制リコール」に踏み出したと報道されている。
独政府、VWに来年のリコール開始指示 国内240万台対象
http://jp.reuters.com/article/2015/10/15/volkswagen-emissions-recall-idJPKCN0S90NG20151015

詳細は上掲記事を見ていただくとして、要は「VW案のユーザーが自主的に修理に持ち込むのではなく強制的に修理しろ」、こんな事らしい。
ことほど左様に大変な状況のようだが、そのスキャンダルの引き金を引いたものの一つがプリウスショックではないかと思っている。

そんな事の分かるブログ記事が有ったので紹介したい。
書いた方はプリウスの設計者「八重樫武久さん」。

<以下抜粋引用>

二代目プリウス欧州カーオブザイヤー受賞
10月 11 2015 Published by Takehisa Yaegashi under プリウス開発秘話
http://www.cordia.jp/blog/?p=1839

プリウス、ハイブリッド開発で様々な賞をいただき、その授賞式やフォーラム、環境イベント、広報宣伝イベントにも数えきらないほど出席しました。その中で、一番印象深いイベントは2005年1月17日スウェーデンのストックホルムで開催された“2005年欧州カーオブザイヤー受賞式”です。クルマとしての受賞式ですので、パワートレイン担当は本来は黒子、海外でのクルマ関係の受賞式にはそれまで出席はしませんでしたが、この欧州カーオブザイヤー受賞式だけは、自分で手を挙げストックホルムまで出かけて行き、受賞式に参加しました。

初代の開発エピソードは以前のブログでもお伝えしてきましたが、”21世紀に間に合いました”のキャッチフレーズで量産ハイブリッドとして脚光を浴びたスタートでした。しかし、当時の開発現場の実態としては京都COP3のタイミング1997年12月生産販売開始にやっとの思いで間に合わせたというのが正直なところです。

・・・以下初代プリウスに関する部分は省略、詳細は上掲リンク先参照ください・・・


二代目は、そんな中で欧米でも普通に走れるハイブリッド車を目指しましたが、振り返ると初代は無我夢中の技術チャレンジであっという間に過ぎ去っていきましたが、二代目の開発はそれ以外の苦労が多かった印象です。様々な制約、費用回収の要求からのコスト低減要求、さらに様々な外乱の中で、グローバルスタンダードの志しを下ろさず、知恵を絞り抜いて取り組んだ開発でした。

それだけ、いろいろあった2代目プリウスの開発でしたので、2005年欧州カーオブザイヤーの受賞はなにより感激した出来事でした。欧州販売開始は2003年末からでしたので、選考委員もしっかり欧州で走り込んだうえでの審査だったと思います。非常に高い得点で2005年カーオブザイヤーに選ばれました。

その選考委員の採点表欄をみると、初代後期型ではゼロ、もしくは非常に低い点数を付けた選考委員の方々が、この2代目プリウスには高い点をつけ、コメント欄に前回の低い点を付けたことが間違いで、ここまでの進化を見抜けなかったとのコメントが複数ありました。このコメントを読み、欧州でも評価してもらえるクルマにすることができと嬉しさがこみ上げてきました。これが自ら受賞式出席に手をあげ、寒い冬の観光にも不向きな1月中旬、ブリュッセルから一泊二日、トンボ帰りの受賞式でしたがストックホルムの受賞式に参加した背景です。

冒頭の選考委員会委員長Mr. Rey Huttonのスピーチの中で

「トヨタは(自動車としての)厳しい道を学んできた。カーオブザイヤーの審査委員は、2000年プリウスも候補としたが、その投票は割れていた。当時では、プリウスが将来のビーコン(引用者注: beacon 、標識、かがり火、航空標識などの意味、将来の方向を指し示すものと言う意味と思われる)と見なした委員と、ハイブリッドのアイデアは見当違いと片づけた委員に分かれていた。新型プリウスは2000年には無かった大部分を持つようになった。今回は、32の候補車の中で、過去最高得点の一つ139点を獲得し、58人の審査員のうち39名がトップとした。」

などとこの受賞を紹介してくれました。

その後、当時の技術担当副社長がトロフィーを受け取るのを見守り、一緒に写真撮影を行い、多くの選考委員の方々と話しをすることができました。そのディナーで味わったワインは、それまでもその後も味わうことのあった有名シャトーのワインよりも美味しかったことが忘れられない思い出です。(写真2)

2015-10-16プリウス欧州カーオブザイヤー授賞式

写真2(2005欧州カーオブザイヤー)

このブログを書きながら、はたと思い至ったことがあります。この欧州カーオブザイヤーの受賞式は2005年1月、これがひょっとすると今大騒ぎになっているVWスキャンダルの引き金の一つになったのではとの思いです。

プリウスハイブリッドが米国で、欧州で認知度が高まり、急激に販売を伸ばし始めたのもこの頃からです。講演会、フォーラムでの欧米エンジニアの態度、目線に変化を感じ始めたのもこの時期からのような気がします。特に、欧州のエンジニア、ジャーナリストは、審査員のコメント、委員長のスピーチにあったように2000年のモデルまでは、ハイブリッドを収益無視の広告宣伝用のシステム、欧州では通用しないとの意見が主流であったのに対し、この2003年二代目でその見方が変わったように思います。

当時は、欧州でも認知されたことを喜ぶばかりでしたが、そこまでインパクトを与えたとすると、それから10年、3代目から4代目をこの世界にサプライズを与えたインパクトを引き継げているか、次の機会には振り返ってみたいと思っています。

この二代目プリウスは、このブログのように、2005年欧州カーオブザイヤー受賞の他、北米カーオブザイヤーも受賞しました。しかし、本家本元日本ではカーオブザイヤーを逃してしまいました。日本のエンジニアである私にとっても残念なことでした。

二代目のハイブリッド開発は、様々な制約はありましたが、我々には我慢のエコカーから欧州(ドイツアウトバーンを除き)で普通に心配なく走れるエコカーの実現の目標にはブレはありませんでした。しかし、今振り返ると、社内では走りの良さをアピールポイントにしたいとの声が強すぎ、走り系のモータージャーナリストから、欧州車との対比で拒否反応があったことも原因かとも思っています。

今回の騒ぎで思い出したことが、あたりか、外れは判りませんが、時代を切り拓くつもりでやったことは確かです。フェアな土俵で、その次の時代にも安全・安心、自由に快適に移動そのものも楽しめるFuture Mobilityを巡る、世界自動車エンジニアのチャレンジを期待します。

<引用終り>


八重樫さんは二代目プリウス発売当時の欧州での雰囲気を実に詳細に語っておられる。正に全く新しいクルマが登場した、そんな雰囲気だったのだろう。
そしてこの事は欧州だけでなくアメリカでも注目された。
一番大きかったのがアメリカの著名な俳優ディカプリオがアカデミー賞の授賞式にプリウスで乗り付けた事だった。
「オスカー」受賞の為に豪華リムジンで乗り付け、赤じゅうたんの上を歩く、そんな映画人の夢の場にプリウスで登場したこと、これは当時大センセーションを巻き起こしたモノだった。

しかし二代目プリウスは八重樫さんが仰っておられるように「ドイツのアウトバーンのような高速走行には弱い、燃費も思ったほどよくならない」、こんな問題も内在していた。(この解決策の為三代目プリウスは排気量を1500⇔1800にアップ)

こんな事でVWはディーゼル化を推進、そして今回のスキャンダルに至った、VWは2004年~5年頃からこんな不正をしていたようなので、タイミング的にも丁度合う訳だ。

しかし不思議なのはこの当時トヨタとVWは提携関係にあった。
ガソリンエンジンの直噴化技術とそれに伴うNOx対策技術はトヨタからVWに提供されている。
(トヨタとVW技術提携、1999年にトヨタD-4エンジン技術がNOx処理技術も含め技術供与)
http://d-wise.org/b9910/car.pdf
(この資料はfcq821 さんに紹介いただきました)

またこの頃トヨタ系の販売店でVWを売っていたこともご記憶の方があると思います。確かこの提携関係は2010年頃まで続いたはず・・・。
ライバルであると同時に提携関係でもあった、そんな関係だった事も有った訳です。

一体何がVWを此処まで狂わせてしまったのか、疑問はつきません。

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2015-10-10 10:20

独VW不正車リコールに対する懸念

 しばらく間があいてしまいました。ヘマをして書きかけのモノを消してしまい、書きなおすのも面倒だしなあ、怠け者の繰り言です。
しかしFC2は下書き機能が弱い、下書き機能は使いにくいので使っていなかった、こんな事が裏目に出てしまいました。


所でそうこうしている内に懸念している話が報道されてきました。
最初にこんな話から。

<以下ロイターより引用>
http://jp.reuters.com/article/2015/10/09/analysis-vw-recall-us-idJPKCN0S30QG20151009?pageNumber=2&sp=true

2015年 10月 9日 17:46 JST
焦点:独VW不正車リコール、米所有者が「妨害」も
 10月8日、独フォルクスワーゲンはどのような解決策を提示しようと、米国ではリコールを強制できない州があり、対象車の一部所有者がリコールに応じない可能性もある。

[サンフランシスコ 8日 ロイター] - 排ガス不正問題という自社最大のスキャンダルを引き起こした独フォルクスワーゲン。同社がどのような解決策を提示しようと、米国ではリコール(無償回収・修理)を強制できない州があり、対象車の一部所有者がリコールに応じない可能性もある。

米国では、VWのパサート、ゴルフ、ジェッタの2009─15年モデル約48万2000台が対象となる。修理されると性能や燃費が悪くなる可能性が高いため、一部の所有者は、たとえ車が法定基準を40倍上回る排気ガスを吐き出し続けようとも、リコールを拒否する可能性がある。リコールを強制できる手段もほとんどない。

米国で対象となるVWのディーゼル車が最も多かった3州のうち、一番多かったカリフォルニア州だけがリコールに応じない車の登録更新を認めていない。同州に続くテキサス州とフロリダ州では、そもそもディーゼル車の排ガス基準がない。

米環境保護局(EPA)によれば、車両登録に必要な排ガス検査を受ける前に、リコールに応じたという証明を大気浄化法によって求められているのは、全米でわずか17州だという。

EPAは、残りの33州で証明が必要ないかどうかについては確認できなかった。テキサス州の排ガス点検プログラムにはディーゼル車は含まれていない。一方、フロリダ州では現在、そのようなプログラムさえない。排ガス検査を受ける必要のない州が、ほかにどれくらいあるのかも不明だという。

EPAは、リコールは実施されるとしている。

<「大きなにんじん」が必要>

一方、「この車は最高」と語るのは、フロリダ州に住むパサートのディーゼル車の持ち主だ。プライバシー上の問題からトーマスとだけ名乗るこの男性は、「ただしそれは、車の性能によるところが大きい。性能を保つためにリコールを無視するか、リコールに応じて買った当時の性能を失うか選択する立場に置かれたことに困惑している」と話す。

全米自動車販売業者協会(NADA)の広報担当者、ジャレッド・アレン氏は、フロリダ州のような抜け穴のせいで、米国でのリコール完了率は70%程度にとどまっていると指摘。「消費者が対象車を乗り続けられることに関連した執行システムがない」と述べた。

ドイツ規制当局はリコール計画の提出期日を7日に設定。その翌日にはVW米国法人の最高経営責任者(CEO)が米下院公聴会で証言する。

VWファンのウェブサイト「VWVortex」では、リコールに応じさせるには顧客の前に「大きなにんじん」をぶら下げなくてはだめだと主張する所有者もいる。

例えば、ロイヤリティープログラムや下取り、金銭的なインセンティブなどがそうだ。VWは先週、販売業者に対し、下取りを希望する顧客1人当たりに2000ドル(約24万円)の「ロイヤリティーボーナス」を提供すると通知した。

その額が十分なのか疑わしいと、先に登場したフロリダ在住のトーマスさんはみている。「再販で受ける損失はそれよりもはるかに大きいだろう

EPAはVWにリコールを命じる権限をもつ。だが、リコールに応じるよう顧客に強制できる権限には限りがある

この件についてEPAは、リコールは必ずしも車の所有者に修理を求めるものではないと、ロイターに文書で回答。自動車メーカーは四半期ごとに、リコール回収率をまとめた報告書を同局に提出しなければならないとしている。

しかし、リコールに従わないことのリスクは明らかであり、「修理しなければ、連邦政府の排ガス基準を超えた有害物質が排出されるかもしれない」という。

カリフォルニア州の場合、リコールに応じなければ車両の登録更新は許可されない。更新は年に1回行われるため、所有者は最大1年間は修理しないで済む。

ロサンゼルス在住のデービッド・ロージングさんは「できるだけ長く待つつもりだ。ほかの人の車のバグがすべて修正され、カリフォルニア州の期日ぎりぎりに自分の車は『修理』してもらう」と語った。

しかし、テキサスやフロリダを含むほとんどの州ではそのような法律がなく、環境保護主義者からは不満の声が上がっている。

「テキサスとフロリダが(カリフォルニアと)同じことをせず、EPAも強制しないなら、ちょっと驚きだ」と、米自然資源防衛協議会(NRDC)エネルギー・輸送プログラムのディレクター、ローランド・ウォン氏は語った。

問題が安全性に関することではなく、排出ガスであることが、リコール回収率に影響している可能性がある。安全性に関わるリコールでさえ、強制ではないために多くの所有者が車をディーラーのもとへ修理に持ってこないという。

現在、リコール回収率を調査している米自動車工業会によると、2000─13年の安全性に関わるリコールの99%で、米道路交通安全局(NHTSA)は無条件の運転自粛勧告を出していなかった。

つまり、VWが金銭的なインセンティブなどで顧客をリコールに応じさせようとしない限り、規制当局は祈ることしかほとんど何もできないのが現状だ。

「規制当局は命令を下し、采配を振るうべきだ。さもなくば、VWが主導権を握っているように思える」と、非営利団体「生物多様性センター」の弁護士であるクリステン・モンセル氏は語った。

<引用終り>


 こんな事はアメリカだけでは無い、VWがリコールする全ての国で起こり得る。
特に大気汚染で深刻なヨーロッパでは事が深刻になる。メーカーとしてはリコールしなければならない。
そして環境問題からはそんな汚い排気ガスを出す車など走ってもらっては困る。
しかしユーザーとしては走行性能は悪化する、燃費は悪くなる、そんなリコールには応じられないと考えるのも無理ではない。
更に売ろうにも中古車価格が下落する。そうなれば上掲記事にあるような「大きなニンジン」が必要になるのは当然だ。
ディーゼル車のユーザーにとって最悪の状態になる事が予想されている。

しかもVWとしては困った事に「どの程度性能が悪化するか、未だに公表していない、多分当分出来ない」と言う事である。

今ドイツはパニック状態と聞くが、この先どうなるのであろうか。
この問題の厄介なのは修理して元の性能を確保できるなら問題ない。しかし修理して元の性能が悪化する、つまり今まで使っていた快適なクルマが「環境に対する規制違反」という虚構の上に成り立っていたマボロシだった、こんな事が現実になる事である。

自分たちが今までこれこそドイツの技術の優秀さだ、そう信じていたものが根底から破壊される。
VWの、ディーゼル車への信頼が破壊されると言うより、自分たちの長年築き上げた文化が否定されることになったと言える。

私が特に気にしている事。こんな不正を発生させた原因の奥底にゲルマン人の国民性、民族性が潜んでいるかもしれない事だ。
ナチス・ヒットラーの台頭を許した、あの「みんなで渡れば怖くない」が此処でも起こっているのではないだろうか。

こんな心配は実は今トンデモナイ大移民問題にも共通することなのではないだろうか。
心配な事ではある。
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2015-10-03 15:06

根の深いVW不正問題

 VWの不正ソフト問題でドイツが大揺れに揺れていると報道されているが、そんな状況が具体的にわかるデータが出てきた。
プリウスの設計者OBの八重樫さんと言う方のブログに興味深いデータがあった。
八重樫さんは昨年11月、ベルリンで今回の問題を取り上げた環境NPO、ICCTの方と話合いをしてきたのだと言う。
その時入手した欧州の自動車の排気ガス中のNOx(窒素酸化物)のデータである。

大変興味深く、この問題の根の深さが分かるのでそれを紹介。

最初に八重樫さんのブログはコレ
「クリーンならぬ、ダーティ-・ディーゼル:その2」
http://www.cordia.jp/blog/?p=1822

此処にこんなグラフがある。

2015-10-3欧州の乗用車排ガス実測データby八重樫さん

実際の使用状態での排気ガス中のNOx濃度をガソリン車(左側・青色)とディーゼル車(右側・赤色)で表したモノ。
横軸は測定した車両の年式、縦軸はNOx濃度、
左側の青四角印はガソリン車の実測値、階段状に下がっているのがNOx規制値。
右側の赤四角印はディーゼル車の実測値、階段状の線は段階的に強化されたNOx規制値。

これを見るとガソリン車は段階的に強化された規制値と実測値がよく合っている。規制が護られた証拠である。
しかしディーゼル車は規制値が段階的に厳しくなってきているが、実測値は古い年式のクルマも新しい年式のクルマも大して変わらない。規制が全く守られていないのだ。
見出しに[emissions enforcement is non-existent]と書いてある。排ガス規制は存在しないと言う意味で非常に強い言い方だ。


もう一つがコレ
新車の年度ごとの規制値と実際の排出量を比較したもの

2015-10-3欧州の乗用車排ガス実測データby八重樫さん2

左上から2000年のEURO3、右上が2005年のEURO4、左下が2009年のEURO5、右下が2014年のEURO6を現わす。
赤色点線の吹き出しが規制値、グレーの雲形吹き出しが実際の排出量である。

左上2000年の場合、規制値0.5に対し現実は1.0、右上2005年は規制値0.25に対し実際は0.8、左下2009年は規制値0.18に対し実際は0.8と何ら変わらず、右下2014年は規制値0.08に対し実際は0.6.
規制値に対し何倍のNOxを出しているかの比率では15年前より悪化。
実に2014年になっても実際の排出量は2000年の規制値すら満足しない、こんな現実を表わしている。


こんな問題が出てくる背景には年々悪化する大都市の環境悪化が有るのだろう。
これは2015年3月18日のパリの空、エッフェル塔が霞んでいる。見やすいように白の矢印を付けましたが見えるでしょうか。

2015-10-3スモッグに霞むパリの空15年3月18日
http://jp.wsj.com/articles/SB11871187576556893798304580533032371808768

記事によれば、余りにもスモッグが酷いので車のナンバー末尾の偶数と奇数で分け、乗り入れ規制をしているとか。

そう言えば日本だって昔はこんな事も有った。

2015-10-3スモッグに霞む銀座1959年
1959年(昭和34年)1月の銀座、和光の時計の文字盤さえ見えない・・・ 

しかし日本の高度成長期と同じようなスモッグが欧州の大都市を覆っている。ヨーロッパは環境先進国と言う話は全くのマボロシだったのだ。

この問題を最初に取り上げた時、ロンドンに3週間ほど滞在した人が洗濯すると水が真っ黒になる、こんな話をっ紹介した。
そこにいつも興味深いコメントを寄せてくださるNINJA300さんがこんな事をコメント下さった。
ご自身のロンドン滞在経験から、ロンドンでは顔を拭くとタオルが真っ黒になるとの事、この様に環境の悪い所、そんな事が良く分かるエピソードです。


冒頭紹介した排ガスのデータ、こんなモノが漏れ出てくると言う事は現地ではもっとすごいデータが把握されていると思って間違いない。そんな上でこんなデータを突き付けても、環境や産業を管轄する政府当局がさっぱり動かないのだろう。
マスコミなどをプッシュしても「規制値には合格したクリーンなクルマだ」、こんな事を言うばかりだったのではないか。
この問題は自動車メーカーだけでなく政治家や各方面の官僚、更にはマスコミも巻き込んだ問題になると思う。

ドイツは大変な問題を抱え込んだものだが、多分日本にも何らかの影響があると思う。
移民問題と並んで、目が離せない事態ではある。



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2015-10-01 19:22

ドイツ問題とVW不正

  ヨーロッパに200年位前から「ドイツ問題」と言うものがあるのだと言う。
確かにWW1もWW2もそうなのだが、今もその問題があると言う意見がある。今回のフォルクスワーゲンのディーゼルエンジン排気ガス不正問題も確かにそうだ。
所でそのドイツ問題とはどういうものか、最初はそんな所から。

少々古いが、最初に2011年12月のフォーリン・アフェアーズ (Foreign Affairs) 記事から。

注:フォーリン・アフェアーズ (Foreign Affairs) は、アメリカの外交問題評議会(CFR)が発行する外交・国際政治専門の隔月発行政治雑誌。こんな問題に関して最も権威の高いとされている雑誌です。

<以下抜粋引用>

ヨーロッパの新しいドイツ問題
―― 指導国なきヨーロッパ経済の苦悩
 フォーリン・アフェアーズ リポート 2011年12月号
http://www.foreignaffairsj.co.jp/essay/201112/Blyth.htm

 20世紀の多くの時期を通じて、「ドイツ問題」がヨーロッパのエリートたちを苦しめてきた。他のヨーロッパ諸国と比べて、ドイツが余りに強靱で、その経済パワーが大きすぎたからだ。こうして、NATOと欧州統合の枠組みのなかにドイツを取り込んでそのパワーを抑えていくことが戦後ヨーロッパの解決策とされた。だが、現在のドイツ問題とはドイツの弱さに派生している。ユーロ危機を引き起こしている要因は多岐にわたるが、実際には一つのルーツを共有している。それは、ドイツがヨーロッパにおける責任ある経済覇権国としての役割を果たさなかったことだ。

・・・中略・・・

 西洋文明の礎を築き、最初に民主主義を経験したギリシャ人とローマ人が、皮肉にも選挙の洗礼を受けていないテクノクラートたちに経済の運営を委ねている。基盤の弱い民主主義プロセスを経た指導者が、外国の債権者の圧力によって強靱な指導者に置きかえられるという1930年代の気配も漂い始めている。

引用者注:「1930年代の気配」と言うのはヒットラー・ナチスの登場だと思います。ヒットラーは1933年ワイマール憲法のもとで首相に指名され、1934年大統領の権限も継承した総統に就任。

・・・以下略、全文は有料記事なので読めませんが、此処までは上掲リンク先で読めます・・・
<引用終り>


大変興味深い論考である。
私が特に注目しているのは「他のヨーロッパ諸国と比べて、ドイツが余りに強靱で、その経済パワーが大きすぎた」というこのくだり。
これこそVW不正問題の根本にも共通する問題では無かったか

そしてもう一つ、「皮肉にも選挙の洗礼を受けていないテクノクラートたちに経済の運営を委ねている」、この事も今回のVW不正問題の大きな要因では無かったか。
VWは暴走した。その理由は技術開発の遅れであり、経営トップが関与していなければこんな不正は起こらない。しかしもう一つ環境規制当局のテクノラートもこの件は分かっていた筈だ。
しかしVWとその周りの政治家や官僚が余りにも大きなパワーを持ちすぎていたことが事の背景にある。

ブルームバーグによれば
「発覚に至る過程は2013年にさかのぼる。ディーゼルエンジンによる大気汚染を心配した欧州当局が、米国で販売された欧州車の路上走行での排ガス検査を望んだ」、つまりこの問題を解決する能力が自分らには無いと考え、アメリカにタレこんだ・・・、こうではないだろうか。
元記事:http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NV6OMU6K50YC01.html
引用エントリー:http://tansoku159.blog.fc2.com/blog-entry-1167.html


所でこんな事は他の自動車メーカーも分かっていて、トヨタはEUの規制当局に問題提起していたことが報道されている。
興味深い記事なので全文引用する。

<以下引用>

トヨタもVWの不正に抗議していた
大西 孝弘
2015年10月1日(木)
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/093000094/?rt=nocnt

 トヨタ自動車が数年前から、独フォルクスワーゲン(VW)のディーゼル車の排ガス性能に疑問を持ち、欧州の規制当局に取り締まりを要請していたことが「日経エコロジー」の取材で明らかになった。

 背景にはディーゼル車の開発において、VWと同じような燃費や走行性能を求めると、排ガス性能が発揮できなかったことがある。競合他社のデータと比べてもVWが不正ソフトを使っていなければ説明できないデータだったという。

 しかし、規制当局は動かなかった。実際、2013年の欧州委員会共同研究センターの調査で、不正ソフトを見つけていたと欧米メディアが報じている。EUではこうしたソフトは以前から違法としていたが、「規制当局は問題を追及しなかった」(英紙フィナンシャル・タイムズ)という。

 不正が明るみになったのは、欧州ではなく米国だった。環境NPO(非営利法人)のICCT(International Council on Clean Transportation)や米ウェストバージニア大学の調査からVWの排ガス性能に疑念が持たれ、最終的には米環境保護局(EPA)がVWの不正を発表した。

2015-10-1VW不正by日経ビジネス1

 以前から同業他社はVWに疑いの目を向けてきた。ディーゼル車のエンジンや排ガス技術は基本的に大きな差がない。それにも拘わらず、燃費や走行性能で差がついているならば、疑問を抱かざるを得なかった。

 フォルクスワーゲンの不正の背景に自動車業界に共通する課題が浮かび上がる。

 1つは実燃費向上に対するプレッシャーだ。

 排ガス問題でも注目されたICCTが9月24日に発表した報告書が、再び自動車業界で注目を集めている。

 ICCTは報告書で測定データに基づき、カタログ燃費と実燃費のかい離が広がっている問題を提起した。カタログ燃費とは規定の試験モードに基づき、認定された燃費だ。実燃費とは実際に走行してみた際の燃費だ。従来からその差の大きさが問題視されてきたが、ICCTは実際の測定データに基づくかい離を公表した。

 下のグラフをご覧いただきたい。企業ごとのかい離率のグラフだ。かい離があるのはもはや前提である。ポイントは全社平均のかい離率から各社がどの程度の差があるかだ。試験以外のリアルワールドでは基準値の40倍のNOxをまき散らしていたと報じられたVWだが、カタログ燃費と実用燃費のかい離率は他社に比べて小さい。毎年の全社平均値より下回っているのは、VWグループと小型車が主力の仏フィアットと仏プジョーシトロエングループ(PSA)だけだ。この対象車はディーゼル車以外も含まれるが、欧州で走行しているクルマを対象としたため、ディーゼル車が多いと見られる。

 実際、これまでVWは実燃費の良さを売りにしてきた。VW日本法人のホームページでも、他社と比較しながら実燃費の良さをアピールしている。

 これは基盤とする欧州市場の特長がありそうだ。欧州の自動車事情に詳しいコンサルタントは「欧州の顧客は自動車の性能に厳しく、実燃費へのプレッシャーが強い」と話す。その中でフォルクスワーゲンは排ガス性能を犠牲にしてでも、実燃費を向上させようとした構図が浮かび上がる。

燃費とNOxは二律背反の関係

 ディーゼル車において、燃費とNOx(窒素酸化物)は二律背反の関係にある。エンジンの燃焼効率を上げれば燃費が向上する一方で、空気中の窒素と酸素が反応し、NOxが発生しやすくなる。それを様々な技術を使って両立させようとしているが、どうしても二律背反の要素は残ってしまう。

 特にこのジレンマを抱えるのが排ガス浄化装置の1つである再循環装置(EGR)だ。EGRは排ガスの一部をエンジンに戻し、エンジンの燃焼温度を下げてNOxの発生を抑える。EGRを機能させ過ぎると排ガスの循環量が増え、「燃費が最大で3~4割悪化する」(日本自動車研究所のエネルギ・環境研究部の土屋賢次部長)。

 そこで実際には、EGRを「適度に」使って燃費の悪化を抑えつつ、残りは後処理装置でNOxを低減するのが一般的だ。VWは不正ソフトを用いて試験以外ではEGRなどを使わず、燃費向上を実現する一方で、NOxをまき散らしていたと見られている。

 もう一つの共通の課題が耐久性だ。ディーゼルエンジンの研究に長年取り組んできた早稲田大学理工学術院の大聖泰弘教授はVWの不正発覚後すぐにこの問題を指摘していた。「EGRを使うと使わない場合に比べて燃費の悪化だけでなく、エンジンの劣化が早くなる」と話す。VWの不正によって、快走を続けてきたディーゼル車の技術的課題が改めて認識されることになった。

ICCTが公表した自動車各社のカタログ燃費と実燃費のかい離率

2015-10-1VW不正by日経ビジネス2

 試験時とリアルワールドでのデータの違いは、排ガスだけでなく燃費でもある。VWはディーゼル車において燃費を優先したとするならば、環境よりカネを選んだとの批判を受けざるを得ないだろう。 なぜなら、燃費は直接消費者の便益になり、自動車の購入動機につながるが、排ガス性能は購入動機になることはあまりないからだ。規制をクリアするのは義務であるため、できるだけコストを減らしたいとの意思が働く。皮肉なことに、VWは環境軽視のしっぺ返しを制裁金や賠償、ブランド毀損などの巨額資金流出という形で受ける。

他の環境規制への波及も

 試験時と実態の格差が問題となってきたのは、自動車の排ガス規制が初めてではない。これまで大気汚染や水質汚染、化学物質汚染など様々な環境規制が同様の問題を抱えてきた。常に汚染を測定するとコストがかかりすぎるからだ。2兆円を超えるとも言われる巨額制裁金がVWに科されれば、環境規制をより厳格に適用するという動きが世界的に広がりそうだ。

<引用終り>


先週25日のエントリー「VWの不祥事発覚に思う事 2015-09-25」でコモンレール・ディーゼルの思い出などを書いた。
http://tansoku159.blog.fc2.com/blog-entry-1166.html

コモンレール・ディーゼルは運転してみれば実に素晴らしい。音も静かだし、動力性能は抜群である。しかも燃費も良い、その上ディーゼル特有の黒煙も少ない。いい事ずくめなのだ。
こんな素晴らしい新技術が日本では売れない、そんな話を目の当たりにした。
このクルマ、トヨタ・ハイラックス・ヴィーゴが売り出されたのが2004年の事。
丁度其の頃VWはソフトの不正を決断したのだろう。

その根底に強大なドイツのパワー(ドイツ問題)が有る事が良く分かった。難しい話である。

さてこの問題、まだまだ新たな事実が出てくるのではないだろうか。注意して見ていきたい。
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