2015-09-28 18:03

欧州の大気汚染<ディーゼルが問題

 先月(2015年8月)、ロンドンに3週間ほど語学留学に行った人の話を聞いた。語学学校にホームステイ先を紹介してもらい、そこに泊まって毎日語学研修。空き時間は色々ロンドン見物で土産話はとても面白かった。
そんな面白い話の中で本人もこれには驚いたと言う事がある。
汚い話で恐縮だが、鼻の穴が真っ黒になり、鼻水も黒くなる。その人は名古屋市在住で職場も名古屋市内。しかし今迄こんな経験は一度もしたことが無かったと言う。
更に驚いたのがズボンなどを洗うと水が真っ黒になること。あまりにも酷いので二度洗いをしてやっと普通になったとの事。

私もその話を聞いて、昔はロンドンは石炭を焚くので町が真っ黒、これは聞いた事がある。今でも結構石炭を使っていると聞いたが、そんな事かねえ。こんな認識だった。(笑)
しかし調べてみたらトンデモナイ。ロンドンもパリも物凄い大気汚染であることが分かった。
原因はディーゼル車の排気ガスが主なモノであるとの事。
そうこうしている内にフォルクスワーゲンの悪質な不正ソフト問題が明るみに出てきた。矢張りそうか・・・


これた大玄さんから頂いた情報での大気汚染の写真。
http://www.news-us.jp/article/426669960.html
これはフランス・パリの写真

2015-9-28パリの大気汚染写真


参考までに日本の現代、スカイツリーから見た筑波山

2015-9-28スカイツリーから見た筑波山

ほぼ同じところを江戸時代末には・・・ これは深川洲崎五万坪

2015-9-28深川洲崎五万坪
スカイツリーは墨田区押上、深川洲崎=東京都現代美術館辺りで江東区三好、だから距離にして3キロ位。

しかし東京に江戸時代の空を蘇らせた、石原慎太郎元知事は偉かったなあ・・・


所でロンドンはと言うと、これは先月(15年8月のロンドン

2015-9-2815年8月のロンドン塔とタワーブリッジ

いつもどんより曇っていて綺麗な空の写真が撮れなかったのだとか・・・


さて本題に戻って欧州の大気汚染である。
実は欧州の大気汚染の状況は公表されていないので具体的には良く分からない。調べても一番最近のモノでも2014年3月のモノが最新の様だ

<以下引用>

パリの大気汚染が危険水準に、20年ぶり自動車運転規制へ
http://jp.reuters.com/article/2014/03/17/l3n0me0al-paris-car-idJPTYEA2G03820140317

[パリ 16日 ロイター] -フランス政府は17日、首都パリの大気汚染が危険水準に達したとして、20年ぶりとなる自動車の運転規制に踏み切る。

パリはフランスのディーゼル車補助金制度や自家用車台数の多さなどを背景として、欧州の他の大都市に比べてスモッグに見舞われやすい。最近は季節外れの暖かさと晴天が1週間続き、汚染が悪化していた。

今回導入した制度では、ドライバーはナンバープレートが偶数か奇数かに応じて隔日しか運転を許されない。先週はパリの空気が目に見えてかすんだため、公共自転車や電気自動車の共有制度が無料化されていた。

マルタン・エコロジー相は16日、記者会見し、17日には大気汚染が悪化する恐れがあるとし、規制は市民の安全を確保する狙いだと述べた。

欧州環境機関(EEA)の13日の発表によると、微小粒子状物質「PM」の濃度はパリで147マイクログラムに達したのに対し、ブリュッセルは114、アムステルダムは104、ベルリンは81、ロンドンは79.7だった

野党や自動車関連団体は今回の措置について、3月末に迫った地方選を前に、社会党が連立を組むヨーロッパエコロジー・緑の党の圧力に負けた形だと批判している。

<引用終り>

このPMの濃度だが、日本の環境基準はというと日平均で35以下である。
不要不急の外出を控えるなどの行動をとる基準(暫定基準)は日平均で70超、注意喚起情報が出るのは午前中早めの段階は朝5時~7時で1時間値85超、午後は5時~12時で1時間値80超である。

欧州の主要都市のPM濃度は
>微小粒子状物質「PM」の濃度はパリで147マイクログラムに達したのに対し、ブリュッセルは114アムステルダムは104ベルリンは81ロンドンは79.7だった

つまり主要都市のPM濃度は日本なら外出を控えると言うレベルを超えている。特にパリが酷い。

そしてもう一つ、この記事で見逃せない事がある。
野党や自動車関連団体は今回の措置について、3月末に迫った地方選を前に、社会党が連立を組むヨーロッパエコロジー・緑の党の圧力に負けた形だと批判している。

この様にひどい大気汚染に対し、自動車関連団体が対策をする代わりに政府の政策を批判しているのだ。
そしてこの記事から1年半後、今回の不祥事が発覚した。

更にこの不祥事、政府がこの規制の抜け穴を助長するように動いていたと言う事も報道され始めた。
政府を挙げて、「大気汚染対策より自動車の売り上げが大事」という政策だ。

今後さらにいろんな問題が噴出してくると思う。
日本メーカーがディーゼルが欧州であれだけ売れながらもそれに追随しなかった、それだけの理由があったと言う事だろう。
尚マツダのスカイアクティブは圧縮比を「16訂正します;圧縮比は14(2.2L)、14.8(1.5L)です、団塊ノンポリさんに指摘いただきました、ご指摘ありがとうございます」という極端な低圧縮比を採用している。矢張りこれが正解だったんだろう。
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2015-09-27 15:41

ディーゼル車の排出ガス規制

 フォルクスワーゲンの排出ガス規制の不正問題で皆さんから色々コメントを頂いたのだが、余りにも専門的な話なので理解の為どんな事が問題なのか概要を知る範囲で纏めてみたい。
と言っても私もその道の専門家ではないので、まあ常識にちょっと付け加えただけのものですが・・・


最初にガソリンエンジンとディーゼルエンジンの違いと如何してガソリン車が問題にならないかを簡単に。

ガソリンエンジンはガソリンが燃料でスパークプラグの火花で点火、ガソリンと空気を一定の割合になるよう混合し(空燃比という)運転する。排気ガスにはCO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)、NOx(窒素酸化物)を含み三元触媒で浄化。(最終的にCO2、H2O、N2になる)

ディーゼルエンジンは軽油が燃料でガソリンエンジンより強く圧縮し、加圧した燃料を噴射。点火は圧縮した空気の高熱で自然着火。運転の調整は噴射する燃料の量で調整する。排気ガスはCO、HC、NOx、PM(粒子状物質)を含む。
このCO、HCはガソリンエンジン同様綺麗に燃焼させれば少なくなり、触媒でも簡単に除去可能。厄介なのがNOxとPM。
特にNOxは空気中の窒素と酸素がくっついたもので、燃料をきれいに燃やすほど発生する。これがこの問題の一番の根っこ。


ディーゼルの前に如何してガソリンエンジンが問題にならないかを説明。
ガソリンエンジンにはCO、HC、NOxを同時に除去する三元触媒が使われている。
これはエンジンの中でガソリンと空気の混合割合(空燃比と言う)と三元触媒でCO、HC、NOx除去の割合のグラフ

2015-9-27空燃比

横軸が燃料と空気の混合割合で、右に行くほど空気が多い。
縦軸はCO、HC、NOxの触媒での除去の割合を示す。
空気と燃料の最適な混合割合(理論空燃比と言う)は14.7、そしてその理論空燃比にごく近い14.6辺りのごく狭い範囲にCO、HC、NOxを90%以上除去できる範囲がある・・・ウィンドウという。

このウィンドウの発見が三元触媒がその後の排気ガス対策の救世主となった。まさに技術面での奇跡だった。

もうこんな古い話は殆ど誰も意識しないで車に乗っているが、こんな経緯がある訳だ。

さて今度はディーゼルである。ガソリン車に比べてディーゼルの方が難しいのは上掲のような奇跡的はデバイスが無いためである。
そんな中で日本とヨーロッパのディーゼル車の排気ガス規制値の推移を見てみたい。

2015-9-27日欧の排ガス規制比較
http://www.jaf.or.jp/qa/others/knowledge/11.htm

この図の緑色が欧州、青色が日本である。
欧州ではユーロ4、ユーロ5、ユーロ6と規制がきつくなっている。
日本でも同様だが、日本の方が遥かにキツイ。日本の2009年の規制値に対し、欧州は2014年のユーロ6で5年遅れで追いついてきたと言った所。
しかしVWはこの規制値に合格できないと言う事だろう。

問題はNOxとPM、そしてPM(粒子状物質)高温で燃やせば除去できるのだが、それをするとNOxがどんどん増えてくる。
そしてNOxを除去できる技術は現在2種類が使われている。
一つは尿素水を噴射する方法、尿素がアンモニアになり、それがN0xを還元しN2と水にすると言うモノ。

尿素水は商品名「アドブルー」、見た目は水である。しかし尿素水用のタンクが必要でスペースの小さい乗用車には苦しい。
またマイナス11度で結晶化するなど取り扱いも難しいものである。

この仕組みは裏の桜さんの以下のブログ
http://sakuraura.blog.fc2.com/blog-entry-3570.html

この中にボッシュのシステムを紹介する動画があるので参照してください。
https://youtu.be/lGB97AisRSo

尚尿素SCRシステムは以下wikiも参照
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%BF%E7%B4%A0SCR%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0


そしてもう一つのシステムがこんなもの
NOx吸蔵還元触媒
https://ja.wikipedia.org/wiki/NOx%E5%90%B8%E8%94%B5%E9%82%84%E5%85%83%E8%A7%A6%E5%AA%92

一言でいえば運転状況によってNOxを触媒内に貯めこみ、運転状況が変わった時それを吐き出して浄化すると言うモノ。

しかし高価なプラチナなど貴金属を多用するためコストが高く、運転状況でNOxをため込むために大きな容量が必要。
そして燃料の中の硫黄分によって触媒が劣化しやすく、メンテも大変なシステムだ。

恐らくVWはこんな触媒の開発が上手く出来なかったのだろう。

こんな所がこの話の概要です。

最後に一つ追加、9月25日付の読売新聞にこんな記事がある。

2015-9-27読売新聞記事

lこの記事の赤枠で囲った排ガス規制値の日米欧の数値比較表、嘘が書いてあるわけではないが上掲日欧の比較表と比べてみてほしい。読売記事の表では欧州の規制値が紆余曲折が有ったことが分からない、新聞記事と言えども注意すべきものと言う見本として理解してほしい。

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2015-09-26 18:11

独VWの排ガス不正-「ごまかし」はこうして暴かれた<ブルームバーグ記事


 フォルクスワーゲンの排出ガス不正問題はますます深刻の度を増しているが、この不正がどのように暴かれたのか、そんな事の分かる記事があった。この記事はよもぎねこさんにコメント欄で教えていただいたのだが、私が疑問に思っていたことも大体わかる。
貴重な記事なので全文紹介したい。

最初にブルームバーグの記事から

<以下引用>
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NV6OMU6K50YC01.html

独フォルクスワーゲンの排ガス不正-「ごまかし」はこうして暴かれた
2015/09/25 03:06 JST

2015-9-26VW不正の記事写真byブルームバーグ

    (ブルームバーグ):マルティン・ウィンターコルン氏のフォルクスワーゲン(VW)でのキャリアを終わらせた同社の不正は、今年9月3日にロサンゼルスのオフィス施設の一角で暴かれた。
何カ月もの言い逃れの末に、VWの技術者たちがやっと、カリフォルニア州環境保護局の大気資源委員会の調査官らに秘密を打ち明けた。排ガス検査でごまかしをするための「装置」を車に取り付けていたというのだ。そのことを1年以上、大気資源委員会および米環境保護局に隠してきた。
発覚に至る過程は2013年にさかのぼる。ディーゼルエンジンによる大気汚染を心配した欧州当局が、米国で販売された欧州車の路上走行での排ガス検査を望んだ。米国での路上検査の結果は欧州のものよりも試験場での検査結果に近いだろうと考えたからだ。ところがそうはならず、カリフォルニア州が調査に乗り出すことになった。最後には25人の技術者がほとんど専業で取り組んだ結果、VWが検査結果をごまかすためのソフトウエアを使っていることが発覚。このソフトは少なくとも1100万台の車に搭載されていた。
ワシントンとベルリン、サンフランシスコにオフィスを持つ非営利団体の国際クリーン交通委員会(ICCT)が欧州当局から排ガス検査の実施を委託された。ICCTは13年の早い時期にウェストバージニア大学の代替燃料・エンジン・排ガスセンターで研究者らを雇用した。1989年から、エンジン排ガスと代替燃料の使用について研究している同センターが、VWのパサートとジェッタを含めた3車種のディーゼル乗用車を検査することになった。
同センターで研究する助教授のアービンド・ティルベンガダム氏は「最初からメーカーの不正を見つけようとしていたわけではない。何か違った発見をすることを期待して検査していただけだ」と話した。
パサートとジェッタに加えBMWの「X5」を使って2013年3-5月にかけて試験したところ、VW車は試験場では排ガス規制の法的基準を満たすのに、路上では基準よりはるかに多くの窒素酸化物を排出することが分かった。センターは14年5月に研究結果を公表し、カリフォルニア州の大気資源委員会が調査を開始した。
委員会の調査官らはVWの技術者たちと何カ月も会議を繰り返し、VWは同年12月に約50万台をリコール、それによって問題が解決すると伝えた。しかし委員会が再び検査すると、修理後も状況はほとんど変わっていなかった。委員会のスタッフはVWに答えを求め続けたが、VW側は検査の方法や検査機器の調整に問題があったと言うばかりだった。
しかし検査を何回やり直しても路上と試験場で結果が異なり、あまりの不可解さに調査官らは車のコンピューターに格納されているデータを調べ始めた。そしてついに、ハンドルの動きなどから排ガス検査中であるかどうかを識別するソフトウエアを発見。VWは09-15年にかけてこのソフトを、エンジンをコントロールするモジュールに組み込んでいたのだった。
さらに9回の会議で調査妨害を続けた揚げ句、VWの技術者は今年9月3日にとうとう、白状した。「われわれが集めた証拠とデータの蓄積の前に、彼らは文字通り言い訳の種が尽きた」と大気資源委員会のスタンリー・ヤング報道官が述べた。
原題:How Smog Cops Busted Volkswagen and Brought Down Its CEO(抜粋)

<引用終り>

上掲写真は元記事に有ったものだが、排ガスの測定は普通こんな風に行う。エンジンを始動し、決められた走行パターンに合うようにエンジンを運転する。その時は無負荷状態では駄目なので車輪を回し、必要な負荷をかける。
この時車輪は回っているがクルマは動いていない。
だからこんな台上試験の時は「エンジンは動いている、車輪は回っている、しかしクルマは動いていない」、こうなっている。

現代のクルマはABS(Anti‐lock Break System)がついているので、車輪の回転は常にセンサーで検知している。
では車が動いていない事は如何して検知するか。
クルマが動いたら必ずハンドル(ステアリング・ハンドル)を動かす。例え10メーターでも動かしたら必ず動かす筈だ。
しかし台上試験でステアリング・ハンドルを動かしたら・・・ クルマは試験機から飛び出す筈で危険極まりない。
(注:前輪駆動、又は四輪駆動のクルマの場合)
だからステアリング・ハンドルの動きが確認できればいい訳だ。

所で最近のクルマはパワーステアリングが従来の油圧式から電動式に変わってきた。狙いは油圧ポンプをエンジンで駆動する必要が無いのでその分パワーロスが少ないためだ。3~5%の燃費改善になるようだ。
そしてこの電動パワステにはステアリング部にセンサーがついている。

これは国産車の一例(だからVWとは違うが、センサーが何処にあるかの参考用として)

2015-9-26電動パワステの一例これは日本のモノ(JTEKT)

この様にVWでも最近は電動パワステだと思うので、此処からステアリングの動きを読み取り、実走行かベンチ試験かを判断するようにしていたのだろう。


さてこの問題、リコールで制御ソフトを変更すれば、クルマの性能は悪くなるだろうし、耐久性も劣る筈だ(だから不正をした)。
リコールと言われてユーザーが簡単に応ずるかどうか、これまた難しい問題を抱えたものだ。
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2015-09-25 19:59

VWの不祥事発覚に思う事

 フォルクスワーゲンがアメリカ環境保護局(EPA)から、ディーゼル車の排ガス規制を不正にクリアしていたと指摘されています。
世界各国で1100万台が関係している可能性があるといわれ、大問題となっている。

最初の報道は
「アメリカ環境保護局は18日、フォルクスワーゲンが、排ガス規制を逃れるため、2008年からことしにかけて、アメリカで販売したディーゼル車およそ50万台に、試験場などでの検査の際に有害物質の排出量を大幅に低くする不正なソフトウエアを搭載していたと発表。」というもの。そして「フォルクスワーゲン側も20日、不正を認め、謝罪しました。」
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150922/k10010244221000.html

この制裁金だけで最大でおよそ180億ドル(日本円でおよそ2兆1600億円)に上る巨額なものになる恐れを指摘され、これだけで驚きだが、更にこの問題はアメリカだけでなく全世界で1100万台が対象になると報道され、更に驚きが広がっている。
株価も最初に2日間で35%下落、更に下落が加速している。

更に問題はVW以外にBMWにも波及しそうである。
http://www.tv-tokyo.co.jp/mv/wbs/newsl/post_97972


しかしこの話を聞いて私としては積年の疑問がやっと解けた、そんな思いがある。
問題の発端は車の排気ガス規制強化とディーゼルエンジンの画期的な技術革新にある。この技術革新、コモンレールと言う技術だ。そしてこの技術は日本のデンソー(旧日本電装)が世界で初めて開発に成功、しかし日本ではトラック用として細々と生産していたのだがその後ボッシュが乗用車用に開発。この為ヨーロッパでは爆発的にディーゼル乗用車の普及が加速。現在ではヨーロッパの乗用車販売の半分がディーゼル車になっている。

現在の乗用車のエンジンで見ると日本とアメリカはガソリンエンジンでハイブリッドが増えてきた。
しかしヨーロッパではハイブリッドはほとんど普及せず、ディーゼルが半数になる勢いである。
このディーゼル普及のキーポイントがコモンレールと呼ばれるエンジンの燃料噴射技術。

日本車では大量生産車種としては2004年に発売されたこんな車から採用されている。

ハイラックスヴィーゴ(VIGO)と言うクルマ

2015-9-25ハイラックスvigo

見たことのないクルマだと思います。2004年から発売していますが日本国内では売られていない、しかしタイを始め全世界で生産、輸出されており、トヨタでは「ヴィッツ、カローラ、カムリと並んでこのハイラックスヴィーゴは四天王と呼ばれる年産百万台規模のクルマ」だった。(注:この当時はこれが四天王、しかしその後プリウス・アクアのハイブリッド勢が此処に割り込んできています)
そしてこのクルマのエンジンに採用されたのがコモンレール技術。この当時でコモンレールにかかる圧力は1800気圧という超高圧の凄い技術。

そしてこの技術で出来た車に乗ってみると実に素晴らしい。
最初に気が付くのがディーゼルと思えない音の静かさ、ディーゼル特有のガラガラと言う音が殆ど気になりません。
走り出してみるとパワフルな事もガソリンエンジン車と同等かそれ以上。タイなどの郊外のハイウエイでは130キロ以上で平気で巡航できます。しかも燃費も良い。
そしてディーゼル特有の黒煙も非常に少ない。上掲写真のクルマは後ろに荷台はあるモノのまるで乗用車。
実は私のタイでの仕事の最後がこのクルマの関連だった。だからこのクルマには忘れられない思いがある。


所でそのコモンレールと言ってもよく分からないのでどんな技術かを紹介。
これはデンソーの資料から
http://www.denso.co.jp/ja/products/oem/ptrain/diesel/commonrail/

ディーゼルエンジン コモンレールシステム

コモンレールシステムは、サプライポンプで高圧にした燃料をレール(蓄圧室)内に蓄え、ECU制御のもとにタイミングよくインジェクタから各気筒に適切な噴射量を噴射するシステムです。

高い燃料噴射圧力により、燃料を微粒にしますので、燃料の粒が小さくなり中心部の燃え残りがなくなり粒子状物質の発生を抑えます。

燃料の高圧噴射化に伴い噴射率(単位時間あたりの噴射量)も増加しますが、噴射から燃焼開始までの遅れ(着火遅れ)は、一定時間以下には短縮できません。そのため着火までに噴射された燃料が増加、つまり初期の噴射率が多すぎるため、着火と同時に爆発的な燃焼が起きてしまい、NOx及び騒音を増加させてしまいます。

そこで、パイロット噴射を行うことにより、初期の噴射率を必要最小限に抑え、爆発の初期燃焼を緩和しNOx 及び騒音を低減させています。

2015-9-25コモンレールシステム
<引用終り>

そしてこのコモンレール、余りにも難しいものなのでデンソーとボッシュしか製造出来ないと聞いていました。
しかし今回調べてみるとメーカーは他にもう2社、ドイツのシーメンスとアメリカのデルファイ(GMの電装部門が独立した会社)でも製造しています。ただし色んな資料を見てもこの2社の事は殆ど出て来ない、多分ボッシュの技術供与で製造しているのではないかと推測します。
そして今回問題のVW用はシーメンスが製造しているようです。


さてここからが私のタイでの思い出話。
上掲ハイラックスVIGO(通称IMV)の生産準備を検討していた頃です。デンソーの旧知の方と親しく話をする機会がありました。タイでこんなモノを作るんだと言われても私には理解する知識も無い話でしたが、これがコモンレールシステムでした。しかし如何しても気になった事、日本では排出ガス規制でどうしても製造できない、しかし世界には規制が問題ない国もある。だからタイに工場を作ってこのシステムを量産するんだとの事。
IMVは世界戦略車で生産量はカローラ並、だから日本にも無い工場を作ると言う壮大な話で、何社かの部品メーカーも一緒に進進出すると聞きました。
その後しばらくして、ある巨大工業団地の経営会社のトップの方と話をする機会がありました。そのトップの方はデンソーがタイに巨大工場を作る。是非とも自分の所に誘致しよう、特別な優遇をして誘致するんだと言っていました。
結局デンソーはタイ国最大の工業団地であるアマタナコーン工業団地に決定。アマタナコーン工業団地にはデンソーを満足させる用地が無かった、それで工業団地サイドでは隣接する高速道路の反対側を買収して工業団地を造成、高速道路には橋をかけて使えるようにとの優遇ぶり。大いに驚いたものです。

その後の日本と欧州の自動車メーカーの技術が全く分かれてしまいました。日本はハイブリッド、欧州はコモンレール・ディーゼルです。
ドイツからは事あるごとにハイブリッドに対する問題点が指摘されてきました。曰く高速走行では燃費が良くない、ディーゼルの方が上だと。だからトヨタのプリウスも2代目は1.5L、3代目は1.8Lですが、排気量アップの主な理由は高速走行時の燃費改善と公表されています。

これは私の個人的感想ですが、あの凄い技術力のデンソーでさえ排気ガス規制の問題で苦労しているディーゼル乗用車。ドイツが凄いのか、メーカーのボッシュが凄いのか・・・、でもデンソーとボッシュは永年提携関係だしなあ・・・
この疑問が解けませんでした。

今回のフォルクスワーゲンの不祥事発覚、これで長年の謎が解けました。
あんな事をしなければクリヤーできない排気ガス規制、だからトヨタとホンダがハイブリッドを推進してきた訳だと。

しかしこのVWの不祥事、他のカーメーカーへの波及は間違いないでしょう。多分こんな大問題ですが、更に大きな問題に発展するのではないか、その時日本メーカーが巻き込まれない事を願っています。<
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2015-09-19 17:37

デザイン・レビューのすすめ

 今回の東日本大水害に関して「防災には訓練が重要」をエントリーしたのだが、そこに浸水した常総市役所の写真を載せた。
http://tansoku159.blog.fc2.com/blog-entry-1164.html

この浸水した常総市役所、昨年暮れに完成したばかりの新庁舎がこんな被害。市民の皆さんもきっと無念だと思う。

2015-9-17浸水した常総市役所


新聞では「非常用電源浸水した常総市役所、備えの甘さ露呈」、こんな事を書かれている。
だが言われた方の立場なら見れば「無責任な外野席が勝手な言いたい放題言いおって・・・、じゃあ如何すればいいんだ」、、こんな感じではなかったか。

 私はこれを作る時、設計段階で「デザイン・レビュー」をきちんとやっておればこんな事態にならなかった筈だ。そう思っているのだが、その前にこんな話をご紹介。

コメント欄でkoguma さんからこんな指摘を頂いた。
>常総市役所も新築なのであれば、電気設備は屋上に置き、1階は市民ホールとして市役所機能を置かず(うちの県庁舎はそうなっています)、2階以上に市役所機能を置けば被害がかなり異なったと思います。折角ハザードマップがあったのに宝の持ち腐れにしてしまいました。
> 自分の実家の市は過去カスリーン台風で偉い目にあったので、市役所の1階に入るのに敷地内の結構な階段を上ります。水が入らないためです。ただ半地下の出入り口があるので、普段お年寄りはそこからエレベーターで1階に行きます。
> 過去の教訓や研究結果を生かすも〇すも、周りを見回す目を持った人がいるかいないかなのではないかと思います。

貴重なご意見である。そして他の市や県ではこんな事を計算に入れて建物を作っている。そんな所の人から見れば「分かってる事だろ、何考えてんだ」と言われるわけだ。

さてこれからが本題。
そんな事を防ぐために手法として「デザイン・レビュー(略してDR、設計審査と言う)」という事がある。
どんな事か?

デザインレビューとは主に物造りの中で品質システムの一環として使われています。
JISやISOの品質システム、例えばISO9001などで製品を設計したら必ず「デザインレビューをやりなさい」となっています。

具体的には
デザインレビュー(Design Review)とは、製品ならびにその生産から廃棄に至るライフサイクルの設計計画のアウトプットとその導出プロセスに対して、機能、性能、安全性、信頼性、操作性、デザイン、生産性、保全性、廃棄性、コスト、法令・規制、納期などの顧客要求や設計開発目標に関わるすべての品質特性の見地から、妥当性の評価ならびに問題点の摘出を行い、次の設計開発のステップへ移行できるかどうかを判断する組織的活動です。

と何やら難しい話になりましたが、もう少し辛抱してください。

歴史を紐解けば、
この"Design Review"は1950~1960年代に一発勝負で失敗の許されないミサイルや宇宙ロケットの開発や打上げに係わる製品の信頼性確保の必要から生み出された設計管理の手法であり、その後に飛行機、自動車、テレビなど複雑な製品の使用時の品質の確保の手法として適用が拡がった。日本には1970年代に日科技連が信頼性デザインレビュー委員会を設けて普及を図り、1990年代に確立した設計管理の方法論です。

ますます訳が分からない・・・
これは日本が戦後の復興から高度成長と発展していく過程で品質をどんどん向上させてきた。そしていつの間にか品質で欧米を凌駕するようになってきた。そんな過程で欧米流の品質システムに日本流の品質システム(TQC)を取り込んで品質システムを作り上げてきた。それがJISやISOで規格化されたものと言う事です。

要するに
建築でも家電でも自動車でも、設計が出来たらいろんな部署の専門家が集まってしっかり検討しなさい。これは組織的にやりなさい。こんな事なのです。
今回の常総市役所の場合でも、設計ができた段階でいろんな部署に人がそれぞれの目で検討する場を作って検討していたら・・・
そんな所に防災担当の人がいたら、当然こんな発言をした筈だ。
「この土地は洪水の被害を受けやすい土地で、だからハザードマップを作っている。このハザードマップを見てくれ、こんな浸水でもちゃんと機能する市役所にするべきではないのか」、こうではないでしょうか。

そしてkogumaさんの言われる「周りを見回す目を持った人がいるかいないか」、これは組織的に問題点を摘出する活動、これをまとめる人が重要で、それがトップ、リーダーの役目と言う事だと思います。

これは私の勝手な推定ですが、多分建設段階で問題に気が付いた人は沢山いたと思います。しかし何かするにはすべて手遅れ、或いはトップがコレで良いんだと押し切った、こんな事情があると見ています。


そう言えば最近もデッカイ事例があります。東京オリンピックのメインスタジアム問題。
幸い安倍首相がこれでは駄目と見直しを指示した・・・(大英断だと思います)
これから物凄い突貫工事が始まるでしょう。しかし後世の残るとんでもないスタジアムを直前で思いとどまった
これからの関係者のご努力に期待しています。


さてこんな毛唐かぶれのデザインレビュー・・・ 実は違います。
これは日本古来の考え方そのものなのです。

最初に明治維新のポリシー、五箇条の御誓文の第一
一 広ク会議ヲ興シ万機公論ニ決スベシ

こうなっています。これをものの設計段階に具体的に展開したのがデザインレビュー。

オッと待った、オラの事を忘れちゃ困ると聖徳太子。十七条憲法には
十七曰、夫事不可獨斷。必與衆宜論。(以下略)
書き下し分は、
十七に曰く、夫れ事独り断むべからず。必ず衆(もろもろ)とともに宜しく論(あげつら)ふべし。(以下略)
現代風に言えば、
・ 大事なことは一人で決めずに、必ず皆と相談しなさい

今風に言えば「デザインレビュー」ですが、明治維新のポリシーであり、古くは聖徳太子の十七条憲法でも言われている事です。
色んな所で使えると思います。

  1. 社会一般
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2015-09-17 12:07

防災には訓練が重要

 今回の東日本の大水害、被災された方が苦労されている事、お見舞い申し上げます。
しかし今回の水害で民主党の政権運営がいかに出鱈目だったのか、これがまた一つはっきりしてきました。
治水予算をバッサリ切ってばら撒いたり、太陽光発電の出鱈目政策を推進したり・・・

さて所で今回の水害で、何を学ぶべきか、そんな事が分かる記事があった。


<以下引用>

非常用電源浸水した常総市役所、備えの甘さ露呈
2015年9月17日7時30分
http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20150916-118-OYT1T50137/list_%2523IMPTNT

 茨城、栃木、宮城3県を中心とする豪雨災害から17日で1週間。

 鬼怒川の堤防が決壊し、浸水被害が広がった茨城県常総市では、市災害対策本部のある市役所本庁舎も浸水し、一時、孤立する事態となった。市は、市庁舎が1~2メートルの浸水域にあるとする洪水ハザードマップを作成していたのに、屋外の非常用電源設備が浸水で使用不能になるなど、災害に対する備えの甘さを露呈した。

 市庁舎は11日午前0時頃、1階が浸水。約2時間後、電源設備が機能しなくなり、1階の屋外に設置していた非常用電源に切り替えた。

 だが、これも浸水により午前4時半頃に使用不能となり、電気が途絶えた。コピー機やパソコン、固定電話が使えなくなり、市災害対策本部は、携帯電話だけで情報のやり取りをするなどの対応を強いられた。

 庁舎は昨年11月に新築したばかり。市財政課によると、非常用電源は市役所機能を約21時間維持できる。だが、軽油約950リットル分の燃料保管庫(高さ2・6メートル、幅2・5メートル、奥行き2・1メートル)が必要で、市の担当者は「庁舎内や屋上にスペースをとれず、仕方なく外に置いていた。浸水は残念だ」と話す。

 庁舎内には当時、市職員約400人と自衛隊員約200人のほか、周辺から約400人の市民が避難してきていた。

 2リットルの飲料水約700本、乾パン約8000個などの備蓄はあった。だが、庁舎から約600メートル離れた高台にある別の施設に保管していたため、11日夜、自衛隊がボートを出し、県や自衛隊が提供した発電機とともに食料を移送してくるまで、避難者にわずかな量しか配布できなかった。発電機は届いたが、庁舎内のほとんどの部署は暗いままだった。

 市庁舎の孤立が解消されたのは、自然に水が引いた12日午前5時頃。市の担当課長は「別の施設に備蓄していたのは、庁舎が浸水した時のためだったが、裏目に出た」と話す。

 自衛隊や消防のヘリが住民たちを次々と救助するなど、救助面での連携は円滑だったが、市は関係機関の機敏な動きに助けられたとも言える。

<引用終り>

これが浸水した常総市役所
2015-9-17浸水した常総市役所

常総市のハザードマップ(部分)
2015-9-17常総市役所付近のハザードマップ
http://www.city.joso.lg.jp/ikkrwebBrowse/material/files/group/6/00705.pdf


何故こんな事が起こるのか、それはハザードマップを作れと言われたから作った、こんな事で訓練がおざなりになっていたのではないだろうか。
どんな事でもそうだが「知っている」だけでは「実際にやれる」と言う事にはならない。だから訓練と鍛錬が必要、これは当たり前だ。
だから今回の水害でも自衛隊の機敏な、そして危険度を良く判断した上でも行動が称賛を浴びている。これは毎日毎日の厳しい訓練の賜物で、言ったからできたではない。毎日訓練していればこそできたと言う事だ。

翻って市役所を水没するような所に作らねばならない、こんな常総市のつらい立場なら、いつも訓練していればどうすればいいか分かりそうなものだ。現についこの間、9月1日は防災の日でそんな訓練をしたばかりではないか。
残念ながら市長さんはバリバリの革新系と聞く。
革新系の何が問題かと言って、「私言う人、あなたやる人」、これに徹しているのが一番問題だろう。
防災とあれほど言っただろ、如何してやらなかったんだ。これがこんな革新系の人の言い草。
言うだけで出来る、そう思って毛沢東は数千万の国民を殺した。こんな事実などとっくに忘れているのだ。
しかし今日もこんな連中が国会内でプロレスごっこをしている。困った事である。


ちょっと話が飛びました。
報道を見ていてどうにも気になる事、それは鬼怒川と言う暴れ川を日本人が如何してきたかという話しが全く欠けているのだ。

これは堤防決壊の少し上流石下大橋から下流を見た所
2015-9-17常総市石下大橋から鬼怒川決壊方面(下流)を見る

右に見えるのが鬼怒川本流、中央やや左に堤防が見え、その左側に常総市の市街地が見える。
川の水面より住宅街の方が低いのがお分かりいただけよう。

実はこの決壊ヶ所から下流、隣町の守谷市から上流(決壊した常総市方向)を見るとこうなっている。
2015-9-17守屋市板戸井の滝下橋から鬼怒川決壊方面(上流)を見る

これは15キロほど下流の滝下川付近からの写真だがここでは鬼怒川はまるで掘割の様に丘陵地を流れている。
こんな風に自然にできる訳ではない。これは江戸時代の初期、1629年(寛永6)年,大木開削と言われる開削工事を行い、鬼怒川と小貝川を切り離したためである。この工事で常総市役所のあるところ辺りが農地や宅地になった、こんな歴史がある。

この結果鬼怒川はこんな河川勾配の川になった。
2015-9-17鬼怒川河川勾配図
ソースはこれです。専門的で難しいですが興味のある方はどうぞ
http://www.kasen.or.jp/c_study/pdf_study02b/study02b_25.pdf


常総市辺りでは河川勾配は2500分の1程度、これで川の流速が確保できたので土地が有効に使えるようになった。
1629年(寛永6)年,江戸時代も初期の頃である。徳川家康の命で完成した治水工事と言う。
こんな400年も前のご先祖様の苦労のお蔭で今の日本人の暮らしが成り立っている。こんな事はレンホーなどには判らんだろうなあ。

しかしこんな凄い工事、川の勾配が2,5キロ先で1メーターの落差になるような工事。これをを機械も何もない時代、如何してやったんだろう。パワーショベルもダンプカーも無い、全部人力だけだ。そしてトランシットもないのにどうやって測量したんだろう。
水を流すのである。いい加減な工事で流れる筈が無いのだ。
(注:河川勾配と言っても分かりにくい、身のまわりの用水路などは最低千分の1以上の傾斜)

そんな時、多分こんな風に測量したのではないかと言われているものがある。提灯(ちょうちん)測量と言う。

2015-9-17提灯測量1
2015-9-17提灯測量2
(これは新潟県で昔の測量の再現を行ったときのモノ)


ご先祖様はこんな苦労をして土地を作ってきた。現在日本に住む日本人はこんな先人の苦労をこんな時こそ思い出してみるべきだと思う。
そんな事で今我々がやるべきことは先ずこんなインフラの保全であり、日常の訓練なのだと思う。

大変な被害に遭われた方、復興は大変ですが更にこれからも一層の防災訓練をする必要がある事を知っていただきたいと思います。そしてこんな地形は日本中どこにでもあります。是非身の周りを見て今後の防災訓練に役立ててほしいと思います。

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2015-09-14 09:57

欧州の移民問題は新たな戦争?

 9月12日に「ドイツの移民受け入れに思う事」をエントリーした。
http://tansoku159.blog.fc2.com/blog-entry-1162.html

此処にドイツ在住の丸山光三さんから極めて興味深いコメントを頂いた。
このコメントを紹介しながらこの問題をもう少し考えてみたい。

最初に丸山光三さんのコメント

独逸で発生しているのは移民問題ではなく戦争であるという件
まず結論から述べます。北イラクのクルド人対ISIS(その背後のトルコ)に関与してしまったドイツ政府に対するトルコ政府の報復がドイツへ押し寄せるシリア難民です。

事の経緯はこうです。
トルコ東南部、シリア、北イラク、西イランにまたがるクルデイスタンの復興建国をめざすクルド人(その総人口3千万人)の独立闘争はトルコにとって眼中の釘、獅子身中の虫です。

8日、北イラクとトルコ南東部の国境地帯でPKK(クルド労働党)部隊がトルコの国境警備隊を攻撃し16人を殺害しました。トルコ軍が国境を超えて北イラクへ進撃したからです。

2013年両者は停戦に合意していました。しかし、北イラクとシリアの混乱においてISISと激しく対立し武装闘争をするクルド人に対しドイツ政府が武器と軍事顧問団を派遣し間接的にISISに対する闘争に関与した。暗にISISを支持し実質的にISISの後方基地となっているトルコ政府がこれに不快感をもったのは当然でしょう。

7月、トルコ政府はISISへの空爆と称して其の実クルド人部隊への空爆を実施した。これで2年来の停戦が破られた。現在両者間の戦争は拡大中です。

トルコ政府は、最近これまで受け入れていた北イラクとシリアの難民170万人を陸続とドイツへと放出中です。三歳児の溺死死体の胡散臭いプロパガンダを観よ。これがいま欧州とくにドイツを混乱させるシリア難民の真相でしょう。

ゆえに、ドイツへ押し寄せる難民の大部分は実はクルド人であろうということが容易に想像されます。その事実はまもなく明らかになるでしょう。

なぜドイツ政府が国民への十分な説明もなしに北イラク紛争に介入したのか、なぜトルコ政府はこれまでのような対クルド宥和政策を転換して対立政策をとるのか、すべて奇怪な経緯で歴史に登場したISISの背景と関係がありそうです。
2015-09-13 02:22 URL 丸山光三 」


更に丸山光三さんはご自身のブログにこの意見をもっと詳しく解説されている。詳細はこちらも参照ください。
http://marcooichan2.blog129.fc2.com/blog-entry-4869.html


問題を整理するために欧州に押し寄せている移民・難民問題がどうなっているか
http://tansoku159.blog.fc2.com/blog-entry-1153.html

ここでこんな図を紹介しました

2015-8-30難民ルートby読売新聞一面

移民・難民問題には大雑把にいって二つのルート、一つは北アフリカのリビア辺りに集結してそこから船で地中海を渡るルート、
彼らの目指す最終目的地はイギリスである。しかしイギリスへはドーバー海峡が有る為簡単には渡れない。イギリスも簡単には受け入れしない。

もう一つのルートが中東シリア難民が中心でトルコ、ギリシア、マケドニア、セルビア、ハンガリー、オーストラリアを通って、最終目的地はドイツである。(上掲の図の右側のルート)

ハンガリーからの情報によれば
「今年の1〜8月に17万人の難民がシリア、イラク、アフガニスタンなどからハンガリーに不法入国している。多くの難民はトルコ、ギリシャ、マケドニア、セルビアを経由してハンガリーに入り、より豊かで難民に友好的なドイツなどに落ち着くことを望んでいる。」
http://jp.wsj.com/articles/SB11970227293124023368304581227690669134146?mod=WSJJP_hpp_MIDDLENexttoWhatsNewsSecond

こんな凄い数の移民集団がドイツを目指している訳だ。
尚この人数がいかに凄いか、日本で東日本大震災の場合、震災直後の避難者は推計47万人、2015年8月末現在19万8513人。
これは言葉の通じる日本人の中での事で、しかも避難者は住む所を失ったり、職場を失ったりしたが、国を失ったわけではない。
ドイツを目指す移民たちは若い人が中心で、何もかも捨てて逃げ出した人たちが中心なのだ。

そしてこの図は第一次大戦でも同盟国の図。

2015-9-14第一次大戦の同盟国の図

第一次大戦の同盟国はドイツ帝国・オーストリア=ハンガリー帝国・オスマン帝国・ブルガリアの4カ国
今ドイツを目指す移民たちの関係国を見ると第一次大戦の関係国と妙に重なっている。

ドイツの移民80万人受け入れ政策は多分こんな積年の問題を浮き彫りにしたのではないだろうか。
http://mainichi.jp/select/news/20150901k0000e030218000c.html


冒頭紹介した丸山光三さんのコメント
独逸で発生しているのは移民問題ではなく戦争であるという件
まず結論から述べます。北イラクのクルド人対ISIS(その背後のトルコ)に関与してしまったドイツ政府に対するトルコ政府の報復がドイツへ押し寄せるシリア難民です

この問題は第一次大戦以来の積年の問題が今噴き出した、そんな事ではないでしょうか。


そして今欧州マスゴミは可哀そうだキャンペーン実行中。
例えばこんなモノ

<以下引用>

http://www.afpbb.com/articles/-/3060090?pid=16437511&page=2
同情か罪の償いか、ドイツ人が難民を支援する理由
2015年09月12日 15:31 発信地:ベルリン/ドイツ

【9月12日 AFP】ドイツの年金生活者フランク・ディトリヒ(Frank Dittrich)さんはこの4週間、午前8時から午後7時までベルリン(Berlin)の難民登録センターに並ぶ人たちに飲み水を渡している。

「家でテレビの前に座っているよりもずっと有意義な時間の使い方だよ」と、ディトリヒさんはAFPに語る。「登録希望者が多すぎて政府には絶対に対応しきれない。だから手伝わないとね」と、ディトリヒさんはあっさりとした口調で語った。

 今年予想されている難民申請者80万人の受け入れ準備が進められているドイツでは、ディトリヒさんのような大勢の市民が、第2次世界大戦(World War II)後最大規模の難民支援に自発的に参加している。

 難民の一時収容施設の隣に自宅兼スタジオを構えるアーティストのアンデレル・カマーマイアー(Anderl Kammermeier)さんは「毎週末、あるいは毎晩、難民のための物資を積んだ車が次々にやってくるのが見える」と語る。「われわれの歴史、ドイツの記憶と関係していることなのだろう。ほぼ全てのドイツ人は、かつて難民あるいは移民だった家族を持っている」

 ノーベル文学賞作家ヘルタ・ミュラー(Herta Mueller)氏は「私も難民だった」と題した独大衆紙ビルト(Bild)の論説で、ナチス・ドイツ(Nazi)の統治下で数十万人規模のドイツ人が国を逃れたことや、その後に大勢のドイツ人が東欧や東ドイツの共産圏を逃れたことを振り返り、「ナチスを逃れて亡命した人々はみんな助かった。…過去に他の国々がドイツ人にしてくれたことを、ドイツもしなければならない」と述べた。

 歴史家のアルヌルフ・バーリング(Arnulf Baring)氏は「われわれが今行っている善行はなんであれ、過去にわれわれが犯した悪行、とりわけナチス時代のそれとつ
ながりがある」と述べる。同氏によると、反移民の論調が出るたびに、ソーシャルメディアで激しい反論が巻き起こっているという。

自身や家族の体験が原動力

 ドイツのDPA通信の委託で英世論調査会社ユーガブ(YouGov)が実施した調査によると、難民支援を手伝った人は、すでにドイツ人の5人に1人に上っている。カマーマイアーさんによると、難民の一時収容施設に寄付した人の多くは、最近ドイツに移住した人や、家族が移民だった人だという。
・・・以下略
<引用終り>


そして最後に丸山さんがご自身のブログで指摘しているこんな部分。

>シリア難民と一口に呼ばれますがその大部分はクルド人であろうことが容易に想像されます。知り合いのクルド人もそういっていました。
斯くの如き中東地域を巡る情勢の変化、欧米の対ロシア政策、米国の意にそわないドイツの動きなどが絡み合って計画された今回のドイツへの移民潮であるのは確かだろうと思います。結論的には、トルコ政府の報復の裏にはウクライナのナチ政権成立及内戦と同様に国際金融・国際石油資本とその手先某国がいるのではないか、という合理的な懐疑が成り立つと思います。
ひょっとすると欧米を巻き込んだ世界戦争はすでに始まっている。
一方はISISを創設し操作する勢力である米国・イスラエル・サウジ・トルコ枢軸、対立する一方はロシア・ドイツ(+イラン?)連合 でフランス等欧州諸国は模様眺めというところでしょうか?


どうもこんな所が裏に隠れているようです。
注意深く推移を見守りたいと思います。
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2015-09-12 21:01

ドイツの移民受け入れに思う事

 今ヨーロッパは移民・難民問題で混乱している。中でも移民の多くがドイツを目指しており、メルケル首相は移民大歓迎との方針を打ち出し、積極的の移民を受け入れるのだとか。

サッパリ分からないのだが、BBCなどを見ると毎日移民問題がニュースの大半。他のニュースなどは霞んでしまっている。
しかしメルケルさんは移民、多文化共生は失敗したと明言していたはずなのにどうしたんだろう。
(2010年のメルケル発言、ソースはhttp://www.bbc.com/news/world-europe-11559451


こんな事情をロイターが報道している
<以下引用>
http://jp.reuters.com/article/2015/09/11/analysis-migrants-germany-skilled-worker-idJPKCN0RB0I820150911

焦点:難民は「未来の熟練工」、ドイツ高齢化の救世主か
International | 2015年 09月 11日 15:54 JST
 
[ドルトムント/ベルリン 10日 ロイター] - 欧州諸国の多くが難民・移民の大規模な受け入れは自国経済に損失をもたらし得ると考える一方で、ドイツは記録的な難民流入に頼ることで自国を救おうとしている。

死亡数が出生数を上回るなか、ドイツの労働人口は2030年までに600万人減少する見通しで、持続的な経済成長を危うくしている。

「われわれのところにやって来る人々を早急に訓練し、仕事に就かせることができれば、熟練労働者の不足という、わが国経済の未来にとって最大の課題の1つが解決するだろう」とガブリエル副首相兼経済・エネルギー相は10日、議会で語った。

ドイツは年内に約80万人の移民を受け入れる予定だ。移民で不足を埋めつつ、人口を維持するのはドイツ政府にとって簡単なことではないだろう。だが、多くの企業はすでに彼らに期待のまなざしを向けている。

・・・以下略、詳細は上掲リンク先参照ください・・・
<引用終り>

ドイツの労働事情については3ヶ月ほど前だがこんな報道が・・・
ドイツの出生率は日本より低いんだとか。

<以下引用>
http://newsphere.jp/world-report/20150601-2/

ドイツ:日本より低い出生率、労働人口減少に危機感 移民受け入れも先行き不透明か
更新日:2015年6月1日

 ドイツの出生率が世界最低になり、将来の労働人口の減少に繋がるとして、経済への影響が懸念されている。欧米、アジア各国では、人口減少の影響が問題視されているが、爆発的に人口が増えるアフリカでは「人口ボーナス」による発展が期待されている。

◆人口増は、移民受け入れ国ドイツでも困難
 ドイツの監査法人BDOとハンブルグ国際経済研究所(HWWI)が行なった調査によると、ドイツの住民1000人当たりの赤ちゃんの出生数は、過去5年間で平均8.2人となり、日本の8.4人を下回った、とBBCは報じた。

 ドイツでは、2030年までに20歳から65歳までの労働人口の割合が61%から54%に低下すると見られており、結果として賃金が上昇し、「長期的に見て、経済における優位性を維持できない」と、BDOの理事の1人、アルノ・プロブスト氏は指摘する。同氏は、若い移民受け入れとより多くの女性労働力の活用を提唱。しかしBBCは、国内で移民受け入れ反対を掲げる政党が支持を拡大していることや、政府による子育て支援にもかかわらず出生率が上がらないことを挙げ、解決が難しいことを示唆した。

◆人口減は受け止めるもの
 英エコノミスト誌は、都市の人口減少について報じ、多くの国において、多様な経済組織を持つ大都市の人口は増加するが、小さな都市の人口は減っていると指摘する。

 人口の減少は、アメリカ中西部、東欧、イギリス北部のような鉄鋼、繊維などの斜陽産業が集中する都市部で深刻化した。しかし現在は、アジアでも多く見られる現象で、急速に都市化する中国やインドでさえも、一部の都市ではすでに人口が減少中だという(エコノミスト誌)。

・・・以下略、詳細は上掲リンク先参照ください・・・

<引用終り>


ドイツは移民を積極的に受け入れると表明した。だから大量の移民が押し寄せているが、これからもまだまだ増え続けるだろう。

これはミュンヘンに到着した移民が市のイベント会場のような所で食事をしている所。
2015-9-12ドイツに到着した難民2
メシ、寝る所、そして多分トイレが大問題だろう。

さてここで私の疑問、こんな写真を見てください。

2015-9-12ドイツに到着した難民1

この写真も上掲写真と同じくロイター記事についていたものだが、中央の女性を見てほしい。
身ぎれいな服装、イヤリングまでしているし身だしなみも綺麗なモノ。どう見ても食い詰めて逃げ出した人では無く旅行者だ。

報道は移民、難民だがこの人たち可哀そうでは済まされない感じがする。服装もだが高価なスマートフォンを持っている。
完全な経済移民と言える。
こんなモノが可哀そう、そんな甘い言葉でメディアで語られている(騙られている)、何か大きな嘘が有りそうだ。

これ以上は分からない。今後の続報を注意深く見てみたい。

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2015-09-12 11:17

「IS(イスラム国)」機関紙、「日本の外交施設を狙え」

 過激派組織IS(イスラム国)がトンデモナイ事を言いだした。日本の在外公館を狙えと言うのである。
しかも対象国にはマレーシアやインドネシアの入っている。日系企業も多く、日本人も多数いる国だ。いよいよ自分の身は自分で守るしかない時になったと言う事だ。
マレーシア、インドネシアなどにいる皆様、どうぞ十分お気を付けを。


最初にそんな事の報道を紹介
<以下引用、これは読売新聞>
http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20150911-118-OYT1T50047/list_%2523IMPTNT

「日本外交団にテロ」呼びかけ…「イスラム国」
2015年9月11日12時1分
 【カイロ=溝田拓士】イスラム過激派組織「イスラム国」は、インターネット上の機関誌「ダービク」最新号で、日本を「十字軍(米主導の有志連合)の公式メンバー」として名指しで批判した。

 さらに、支持者に対し、ボスニア・ヘルツェゴビナやマレーシア、インドネシアで日本の外交団を狙ってテロ攻撃を行うよう呼びかけた。

 最新号は、今月9日にネット上で発行されたとみられ、ノルウェー人と中国人の男性計2人を人質にしていることを明らかにした。このほか、トルコの海岸で死亡したシリア難民の男児の写真を載せ、「十字軍の戦場に向けた危険な旅」と説明。シリア中部の世界遺産パルミラの神殿の爆破写真も掲載した。

<次はTBSの報道>
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2584452.html

2015-9-12イスラム国機関紙日本を狙え

本文は省略、詳細は上掲url参照ください。動画があります。

<引用終り>

「天災は忘れた頃にやってくる(又は天災は忘れた頃来る)」と言います。有名な寺田寅彦の言葉とされています。
(注:この言葉には典拠が無いが、弟子の中谷宇吉郎が寺田寅彦の言葉として認定している)

そして現在ではテロなどにもこんな警句が言えるのではないでしょうか。
日本人は海外に出ても諸外国から別格扱いで優遇されているので気が付かないが、こんな事で日本人ならだれでも殺して良いと思っている連中がいるのだ。

そしてもう一つ、今回の安保法案でやっと不充分ながら海外で日本人が危険にさらされた時の対応が出来るようになったと言うことを忘れてはならない。

私は海外にいるときいつも自分に言い聞かせている事、それはイラン・イラク戦争(昭和60年、1985年3月17日)でテヘラン空港に取り残された日本人を2機のトルコ航空機に救出してもらったことである。
日本以外の国はどこも専用機や軍用機を飛ばして自国民を救出した。しかし日本は政府専用機も自衛隊機も飛ばす事が出来ず、民間機を飛ばそうとしても労組に反対され飛ばせない、そんな絶体絶命のピンチだった。
幸いトルコ政府、トルコ航空のお蔭で助かったのだが、日本人はこの事例を決して忘れてはならないのだ。労組に操られた民間機などはいざと言うとき全くアテにならないことを。

そんな海外にいる日本人の命など関係ないと言う連中がこんな姿で騒いでいる現状、これが今日の日本の一面だと言う事です。

2015-9-12国会前830デモでの坂本竜一

このゾンビ風の奴はミュージシャンで、日本のパスポートのお蔭で今ニューヨーク在住ながら日本人でございとノタマワっている。
何処かのピースボートと同じでイザ危険がせまったら自衛隊の護衛艦に助けてくれと頼むつもりであろう。

話が横道にそれました。
幾ら親日国と言ってもイスラム教国ではこんな危険がある事を忘れてはならない。
是非皆様お気を付け下さいまし。
  1. 政治
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2015-09-09 13:52

繁栄のヒント 直感力を重んじよ  < 日下公人 氏のコラムより

 雑誌WiLLに日下公人氏の「繁栄のヒント」といいコラムがある。この10月号の記事が大変面白い。
ただ紙情報では扱いにくいので記録の為スキャンして電子情報化した。
参考までにブログにアップします。

<以下WiLL10月号から引用>

   日下公人
繁栄のヒント
直感力を重んじよ


 自分が考えたことを他人に伝える話し方には二通りがある。一つはたとえ話でもう一つは論理である、とギリシャ人は考え、それにアナロジーとアナリシスの名前を付けた。翻訳すれば「類比」と「分析」である。

 あるアメリカ人は「日本人は力二でアメリカ人は鷲(わし)だ」と言ったが、この譬え(たとえ)はアメリカ人にはパツと分かるが、日本人には分からない。だから日本で売りたい本なら別の例え話を考えなさい、と返却したことがある。

 例え話はイメージの世界だから、自分にはプラスのイメージがあるものを使い、相手には慰安婦とか高利貸しとかを使うと、それは宣伝戦に勝つ道になる。

 小学生の頃、お互いに悪口の言い合いをしたが、「お前のカアちゃんデペソ」と言われた時、違う、違うと言い返したのは、我ながら喧嘩が下手だった。

 支那事変が二年目に入ると、「お前のトーちゃん支那人か、蒋介石に雇われて一銭五厘の月給で三銭五厘の靴履いて……」という悪口が流行ってきたが、話を貧富の差に転じ、徴兵と雇われ兵の違いに着目した知恵には感心した。

 後年、日米経済摩擦で、日本市場は閉鎖的だからドアを開けろとアメリカに言われた時、國廣道彦公使(当時)は「日本のドアはスライディングドアだから、正面から押しても開かない。丁重に礼儀正しく横に滑らせれば開く」と反論した。アナロジー戦で勝つ好例だと感心したが、アメリカ人はアナロジーで反論するとは交渉に負けた証拠だと思っているらしかった。

 アナロジーに潜む深い含意を考える教育がアメリカにはないためである。

 その点、日本は違う。菅原道真の頃から、文章はアナリシスで書くものとアナロジーで書くものとの両方だと分かっていた。弘法大師も菅原道真も、漢文と和歌の両方で同じ気持ちを書くことができたが、それが文章博士である。

 それは外交で勝利を重ねる道でもあった。安倍首相が米上下院合同のスピーチで大成功を収めたが、それをマスコミはアナリシスで解説しようとして失敗した。マスコミには、心で考えてアナロジーで表現できる人がいないのである。

 子供の時から机上の勉強ばかりしていると、ロジカルシンキングの勝者にはなれても、例え話や冗談の世界の人気者にはなれないのである。

 それからもっともっと大事なことは、理屈ばかりで考えていると閃きやアイデアが消え、直感力や洞察力も低下するということである。それが、ロジカルシンキングを売り物にしている大学に志願者が集まらないという危機にも繋がっている。

 天才は誰でもそうだが、閃きはふっと浮かんでくるものだが、それを他人に言う時はロジカルに再構成して話す。他人は仕立て直して再構成したことだけを聞くからロジカルシンキングした結果だろうと思うが、そんなことはない。

 将棋の名人の加藤一二三氏は「直観精読」と色紙に書かれるが、まず閃くものがあって、それからしらみつぶしに読むという意昧だろうと想像する。ロジカルシンキングは後半の詰めだけでのように思えるが、実際は精読のなかにも新しい思いつきがある。だが、発想を教える大学はない。大学院を作っても同じである。

 直感力大学というのがあればよいと思うが、それでは教えたり書かせたり採点したりできないから、大学は授業料が取れない。

 まるで無言の行をする禅寺のようなものになるが、それを落語は笑い話にして、禅師が蒟蒻(こんにゃく)屋に「仏の道は」とか「三千世界は」と手真似で問い掛けると、蒟蒻屋は自分の商売のことかと考えて手真似で答える。指三本は一丁三文の意味だとか、アカンペーは値下げは断るの意味だが、「眼下にあり」と深遠に解釈して禅師が逃げ出すというオチである。

 アベノミクス論や金融大破局も、アナロジーでやれば面白いのに。


くさかきみんど
一九三〇年生まれ。東京大学経済学部卒。日本長期信用銀行取締役、(株)ソフト化経済センター理事長、東京財団会長を歴任。現在、日本ラッド監査役、三谷産業監査役。近著に「日本の将来はじつに明るい!」(ワック)。

<引用終り>

こんな難しい禅問答みたいな話を具体的に如何するかが問題なのだが、まあ今日は重陽の節句・・・関係ない!!・・
ノンビリ考える事にします(笑)。

尚本文中に日下公人氏がこんな事を言っています。
「「お前のカアちゃんデペソ」と言われた時、違う、違うと言い返したのは、我ながら喧嘩が下手だった。」
これが今も現実に起こっています。
慰安婦がァ~、慰安婦がァ~と言われているのに「違う、違う」、これをいくら言っても効果が無いのが現状。
現代の慰安婦を送り出している国はオマエラだ!、だから慰安婦は全部逮捕するんだ、強制送還だ!、さあ5万人強制送還だ!、これでなくてはいけません。



・・・オマケ・・・

蒟蒻問答とはこんなモノ、これは六代目春風亭柳橋の語り。



尚、話のあらすじはここ参照
http://senjiyose.cocolog-nifty.com/fullface/2005/02/post_6.html
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