2009-01-26 10:15

日産マーチ生産を海外へ移行の波紋

 1月16日付日経新聞の一面トップで“日産が国内向け新型マーチの生産をタイに移行”する事が報道された。

これは日本にとって“ついに国内用の自動車までが海外生産”と言うことで非常に重要な報道だった、

しかしその後日経以外の新聞ではほんの一行程度触れているだけ、マスコミはあまり重要視していないように見える。

しかしそうだろうか、考えてみたい。

 

 

 

まずは1月16日付日経新聞の報道

 

 日産、主力車「マーチ」生産をタイに全面移管

 日産自動車は業績の悪化を受け、収益改善に向けたリストラに乗り出す。主力小型車「マーチ」の生産をタイに全面移管して原価を3割削減、円高を活用して日本に輸入する。今後5年間の新型車開発件数も2割削減、来年度の役員報酬も大幅に減らす方針だ。日本車メーカーで主力量販車の生産を海外に全面移管するのは初めて。1ドル=90円前後の円高と世界的な販売不振を背景に、事業構造を抜本的に転換する。

 日産は現在マーチを追浜工場(神奈川県横須賀市)で全量生産して国内専用車として年4万7000台程度販売している。2010年の全面改良に合わせて国内生産を打ち切り、日本での販売分は全量タイから輸入する。自動車業界では一部車種を海外から輸入するケースはあったが、主力量販車の全面移管は例がない。 (07:00)

 

<引用終わり>

 

日産マーチ 現行モデル

 

 

 

  

所でタイで生産した車が日本で受け入れられるか?

特に品質はどうか?

 

実はこれには先例がある、

ホンダのフィットシリーズにフィットアリアと言う名の4ドアセダンがある、 

  

実はこれタイのホンダオートモビルタイランド社製なのだ、

タイではホンダシティとして売られているモデルであり、品質的には日本製となんら遜色ない。

日本でもそれなりにユーザーには受け入れられている。

 

ホンダ・シティ =フィットアリア

但しホンダシティは昨年9月モデルチェンジしたため、この車は2009年1月で販売終了した。 

 

 

タイ等では他に日本には入ってきていないが世界中で販売されている車がある。

タイではトヨタ・ハイラックスVIGO(ヴィーゴ)、インドネシアでトヨタ・キジャンといわれている多目的車がそれだ。

 

トヨタ・ハイラックスVIGO(ヴィーゴ)これはタイ製

 

 

この車、日本には入ってきていないのでなじみが無いが、トヨタ内ではIMVシリーズと呼ばれ、世界で100万台クラスの販売をする四天王(カローラ・ヴィッツ・カムリ・IMV)の一角を占めている。

 

この様に外国製の日本車が世界中を走っているので、何時日本に大量に入ってきてもおかしくない。

 

日本の産業の空洞化が叫ばれて久しいが、とうとう自動車も外国性が当たり前の時代が来たと言える。

 

 

日産マーチのように国内用の車も海外製となる・・・

このことは何を意味するか?

それは日本人の労働の質が変わらざるを得ないことを意味すると考えたい。

日本と海外で同じ仕事をするのであれば、勝負はコストだけ。

日本人は海外の人では出来ない高度な仕事にしか活路を見出せない、

大変難しいが日本人の労働の質のより高いレベルへの転換が迫られている。

日産マーチの海外生産移行問題はこう我々一人一人に突きつけている。

 

 

 

 

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2009-01-12 18:10

10年前の通貨危機の経験を発信すべき<続>

アジアの製造業特に日系企業の場合、10年前の通貨危機では非常な困難を経験した。

今回の世界同時不況ではその経験が生かせるのではないか、

その経験、中でも人員削減については

マネージメントも共に痛みの有る方策を採ることから始めたことを前回のべた。

 

しかしそこから先が問題、

彼らは何をしたか、

 

仕事が無いとき、工場を止め従業員に有る程度の給料を払った上で一時帰休させる、

これも有効な方法ではある、

現に今GMタイ工場は12月1月と工場の操業停止、

従業員には75%の給料を払って一時帰休を実施中だ。

 

しかし遊んでいてもある程度の収入を得られるようにした従業員がその後どうなったか?

残念ながら彼らは元のようには働かない、

仕事の効率もさることながら品質の良いものを造る意欲も無くしてしまうのだ、

製造業では毎日緊張感を持って仕事をせねばならない、

品質、能率、そして安全、全てに言える事だ、

その緊張感を失ってしまうことの危険性、

これは日常レイオフを繰り返しているアメリカ型経営では分からないことだと思う。

 

 

では多くの日系企業で取った方法とは?

彼らのやったことで特筆すべきは従業員の更なる教育訓練推進だった、

内容は業種によって千差万別である、又専門の指導員や教える為の教材があるわけでもない。

そんな中でその人その人に出来ることから始めたと言ったところ、

ある人は「自分には何の技能も無いから日本語を教える」、

又ある人は溶接や切削など金属加工を教えると言った具合、

その人に出来ることと言っても最初は暗中模索であったと言う。

 

この様なところから出発してかなりの会社が取り組んだのが

ISO9000等のような品質マネジメント規格の認証取得だった。

認証取得活動を通じて従業員のレベルアップを図る、

これは言うのは簡単だが非常に苦労のいる仕事であった。

導入を決めてから認証取得まで最も速い会社でも1年半から2年かかる、

その間現地人だけでなく日本人も必死で勉強しないとシステムは完成しなかった。

 

その理由はISO9000シリーズの認証取得は

日本でも通貨危機当時は導入が始まったばかり、

従って皆が知らないことばかりだったことだ。

 

日本でのISO9000シリーズ審査登録状況

      (出所:経済産業省 産業技術環境局のデータによる)

1997年3月   4329社    ・・・ 通貨危機発生

1998年3月   6420社

1999年3月   9482社

2000年3月  14671社

2001年3月  21626社

2002年3月  29626社

2003年3月  37569社

2004年3月  44980社

2005年3月  50208社

 

 

通貨危機の数年後急速に経済は回復する、

この様なとき発展の原動力となったのは、危機当時必死に勉強し力をつけてきた日系企業だった。

 

今100年に一度の経済危機と言われといる、

しかし「ではどうするか」その具体的な処方箋が見えてこない。

マスコミなどは騒ぐばかりで何の指針にもならない。

 

だがはっきり言える事がある、

それは”経済全体の規模が全世界で縮小してしまった”こと、

だから企業と言わず個人レベルでも縮小に対応せざるをえない。

企業だけでなく一人一人の個人に処方箋が必要なのだ。

 

こんな時通貨危機の経験が生きると思うのは私1人ではないと思う。

通貨危機を切り抜けた人には是非ともそのノウハウを見せてもらいたい、

方法はひとつではない、

又痛みのある内容も沢山あるだろう、

その中にこそ自社に或いは自分にあった処方箋が有る。

このノウハウこそ日本人の共有すべき財産だと思っている。

 

 

 

 

  1. 経済
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2009-01-09 22:32

10年前の通貨危機の経験を発信すべき

今世界中の自動車メーカーはかつて経験した事のない売れ行き不振で苦しんでいる。

各社とも操業を短縮し在庫の圧縮に躍起だ

しかし自動車産業は裾野の広い産業、

トヨタやホンダが操業を短縮すれば関連する産業はそれ以上の影響を受けざるを得ない、

否それどころか城下町の各自治体と言えども大打撃のはず。

 

自動車各社とも前例の無い事態、大恐慌以来とは言うものの、ではどうするかと言えばとりあえず今のところは操業を短縮して在庫を減らすとか言うことしか手がないように見える。

ホンダがF1から、スバルがWRCから撤退する決断をしたが、これとても抜本的な解決策ではないはずだ。

 

この様なときにマスコミ各社は「派遣切り」の大合唱で、政府や自治体もこれに振り回されている。

しかしこれで良いのだろうか?

 

 

ここでアジアの製造業を見てみると10年前のあの通貨危機を乗り切った経験を彼らは持っている。

特に日系企業の場合、かなりの企業が売上げ激減の試練を乗り越えてきた、

そのときの経験が今こそ役に立つのではないか。

 

タイ・マレーシア・インドネシアなどアセアン地域に展開する日系企業の場合、

数年間売上激減の苦しい現実の中で生き延びてきた、

月によっては売上ゼロの月もあったはず、

そのとき各社は何をしてきたのか?

 

もちろん真っ先に経費節減を始めたことは当然である、

またかなりの会社が親会社に助けを求めてもいる。

しかしこの通貨危機を乗り越えて発展してきた会社の状況をよく見たい、

そこには今の危機で共通する何かが見えてくる。

通貨危機から学んだこと、今こそこれを広く発信すべきだと考える。

 

以下は私が知りうるいくつかの対策で、”群盲象を評ず”と言った観はあるが、群盲の1人としてあえて書いて見たい。

皆様の忌憚の無い意見がいただければ幸いである。

 

 

多くの会社でまず手をつけたこと、それは日本人経営者・マネージャーの経費削減だった。

社長自ら給料を下げ、日本人用の車を減らして相乗りをさせたり、

そして費用の割には効果の少ない日本人(残念ながら少ない数ではなかった)には

帰国してもらったりして先ずマネージメントが痛みのあることを始めた。

 

 

しかしこの様なことはアメリカ流の経営手法・経営モデルには無いことで、まさに日本の特質と言えることだ。

昨年11月アメリカ政府による救済を求めてビッグスリーのトップが議会に出てきたとき、

もっとも問題にされたのが自家用機でワシントンに乗りつけたことや、

自ら巨額の報酬を受け取っていながら反省していない強欲さであった。

<その強欲さこそ問題と吊るし上げられたビッグスリートップ> 

  

彼らの今までのアメリカ経営感覚では決して悪いことをしていると思っていない、

だがそのアメリカでさえ今は”強欲は悪”と考えられるようになってきたのだ。

いまやアメリカ流の経営手法・経営モデルは破綻したことは間違いない。

 

 

危機に直面した日系企業の場合、マネージメントの経費削減の次は当然現地従業員の経費・人件費削減をせねばならない。

給料のダウンはともかく人員整理となれば当然軋轢は避けられない、

下手な首切りをすれば命を狙われることさえあるのが発展途上国だ、

そんな時マネージメント自身が痛みを伴うことを実施していることが従業員を納得させる唯一の方法だった。

 

 

振り返って日本ではどうか、

トヨタやホンダの城下町では税収激減だ大変だと騒いでいる、

だが大変だからと言って「報酬を減らします」と言う知事さん市長さんがいるだろうか?

本当に大変と言うのは先ず自分から

「大変だから公用車を止め歩いて登庁します、報酬もカットします」

こういう知事さん、市長さん、議員さんはいないだろうか?

今やこの様な姿勢が必要になっている、それが100年に一度の苦境に対する取り組み方だと思う、

通貨危機で苦労した企業こそこんなことを発信すべき、

それが今の日本に必要な処方箋になるのではないか。

<続>

 

 

 

 

 

 

 

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