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2019-03-04 15:00

南洋でミツバチを飼育したら


 南洋は年中暖かくて花が咲き乱れているから、ミツバチを持って行ってみよう。年中はちみつが採れれば一儲けできるはずだ。
これは若いころに聞いた戦前の話で、誰から聞いた話なのか忘れてしまったが、私の父方の親戚に戦前養蜂業をしていた人がいるので、多分そんな筋から聞いた話だと思う。

全体の話はこんな風である。

参考:げんげ(レンゲ)の蜜を吸うミツバチ
2019-2-28ミツバチ1(ゲンゲの蜜を吸う西洋ミツバチ) 
生物写真集(ミツバチ)より拝借:
https://ww1.fukuoka-edu.ac.jp/~fukuhara/seibutsugazou/makushi3.html
(ミツバチが足に黄色いダンゴ状のモノをつけていますが花粉ダンゴです。ミツバチの大事な食料)


 戦前のこと、当時日本は南洋と言われた地域を信託統治していた。
南洋とは、太平洋西部の赤道以北にある諸島群。サイパンなどのマリアナ諸島・パラオ・カロリン・マーシャル諸島のこと。熱帯であり、確かに年中花の咲き乱れる地域である。
こんな所へ日本からミツバチを持って行った。

最初はミツバチは一生懸命蜜を集めてくる。
養蜂家にとってミツバチの冬越しは大変だ。冬になると勿論花も咲いていない。蜂たちは巣箱の中で大きな塊を作って体温を維持しながら蓄えた蜜や花粉を食べて冬が過ぎるのを待っている。養蜂家も蜂の食糧が無くなれば砂糖水やらエサを与えて群れの維持をする。大変な仕事だ。
南洋ではこの冬越しの必要がない。

最初では確かに蜂は年中一生懸命働いていた。しかし一年が過ぎた頃から状況が変わってきた。
蜜が集まらなくなってきたのだ。
観察してみると、蜂は元気に飛び回っている。しかしいつ行っても花が咲き、蜜がある。蜂は蜜を蓄え無くても、何時でも採りに行けば蜜が得られる。蓄える必要が無いので、必要な分だけとってきているのだ。これではいくら待ってもハチミツは収穫できない。

ミツバチに怠け癖が付いてしまった・・・。
そう思った養蜂家は仕方なく蜂を日本に持って帰ってきた。しかし日本で飼ってもやはりその日必要な分だけしか採ってこない。冬を忘れてしまったのか、そう思って冬を体験させても元の働き蜂に戻らない。結局最後は冬になっても蓄えが無くなり全滅してしまった。
南洋にミツバチを持って行ってはいけない。そんな体験談だった。


話は以上です。参考までにミツバチの巣箱の写真
2019-2-28ミツバチ1(subako) 
生物写真集(ミツバチ)より拝借

こんな箱で、下の方の細長い口から蜂は出入りしています。
出入り口の周りにぽつぽつと写っているのがミツバチ

そして実際はこんな風に蜜源の花のある所の近くに置いておきます
2019-2-28ミツバチ3 
生物写真集(ミツバチ)より拝借

私が子供の頃はこんな風景があちこちに有りました。ミツバチはおとなしいので、近くに行っても刺されないから平気でした。但し箱を動かしたりすると蜂が怒るのでそれだけはしませんでした。
懐かしい風景です。


そしてこれはミツバチの冬越しの写真
2019-2-28ミツバチ4 
ibeei さんのブログより拝借:https://bee8-pet.blog.so-net.ne.jp/2011-01-01
これは特別の例で北海道の写真。こんな厳しい環境でも蜂はじっと耐えている。



この南洋のミツバチの話は、私がタイで仕事を始めるにあたり、最も注意すべきこととしていつも頭の片隅に置いていたもの。そして私がタイに行くことになったとき、或る人からタイには人を腑抜けにする風土がある。そんな事を聞かされました。その方の失敗談でした。優秀な人間でもタイに行くと腑抜けになってしまう。これはいかんと呼び戻しても最早使い物にならない。こんな話だった。
こんな事でタイでの仕事では、どうしたら日本での厳しい仕事を定着させるのか、タイ人に対しても日本人に対しても何をさせ、体得させるのかをいつも考えてきた。

そんな結論の一つが「冬のある環境を体験し、先進国の仕事の考え方を身につける」というものだった。その為にわざわざ日本への研修には冬をあえて選択し、どんなものか体験させたりした。
一番禁物なのは、「働きもしないのに禄が(高禄が)得られる状態」を絶対作らない事。この状態になると人は間違いなくダメになります。

そんな話の一例。タイ時代に広島から来ていた某自動車メーカーの方と話し合いをしていて、バンコクに居る日本人は70%が腑抜けだと言いましたら、その方は70%じゃない、90%が腑抜けだ(笑)と言いました。どうしてか?、何か問題が有ったとき、自分で汗を流して解決する代わりに、「やっぱりタイ人だからダメなんだ」と責任逃れの言い訳をするんですね。同様にタイ人も「日本人がちゃんとやってくれないから、ちゃんと教えてくれないからダメなんだよなあ」と考えます。これで給料がもらえるんだから、腑抜け人間の出来上がりとなる訳です。


2月26日に「南米一豊かだったベネズエラはどうなってしまったか」をエントリーしました。
この記事を書いていて思い出したのが冒頭の「南洋のミツバチ」の話。
ベネズエラの事例は単に南米の社会主義国の悲劇、社会主義とはこんな結果になる思想、こんな風に傍観するだけでなく、日本、日本人も対策を考えないといけない話だと思います。

例えば
2019-2-26ベネズエラ16

こんな風になると国が亡びるわけです。
日本だって経験が有りますね。そう子供手当をはじめとする元民主党の詐欺フェスト。

2019-3-4民主党のマニュフェスト詐欺 
クリックで大きくなります

悪夢を繰り返さないためにどうすればいいか、しっかり考えたいところです。

最後にタイのミツバチの名誉のためにちょっと付け足し。
タイでも養蜂業は有りまして、北部チェンマイの方では結構盛んです。しかしタイの中部や南部では環境の違いで養蜂業は無理なようです。
しかし野生のミツバチならいます。

これはタイで見かけた野生ミツバチの巣



最後になりましたが、いま世界は大変動期です。そんな中で日本、日本人が世界の模範になる時が来ているように感じています。一つ一つン小さなじれうぉを考え、世界に羽ばたく若い人を育てたいものですね。
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2019-01-16 17:31

池上彰『解説』から左翼脳を考える


 正月にある方からこんな質問をいただいた。
「ねえ短足さん、どうしてインテリとか頭のいい人とかに左翼的な人が多いの?、そんな時どうしたらいいの?」。こんな質問だった。

難問である。

その時は、左翼的な人は理想論を言うけれど実践が伴わないからねえ。やはりそんな人に対抗するには一にもニにも「実践」。これしか無いだろう。
そんな例として、人生二度なしを信条とした実践人にして哲学者、教育者の「森信三(1896-1992)」を例に挙げた。
≪ 日々の生活を真実に生きる人を ”実践人” という≫
一般社団法人 実践人の家 HPより


所でこの話、簡単に済む話ではないし、日本再生のためには避けて通れない話だと思う。そこで左翼脳の持ち主にしてメディアへの登場頻度の高い池上彰、この御仁の言っていることから考えてみたい。


最初にたたき台の紹介から。
シンクタンク日本政策研究センターの情報誌「明日への選択」18年11月号に丁度いい記事が有った。
題して「池上彰『解説』に騙されるな

2019-1-13池上彰-01 

全文は長いので末尾に掲載しました。
この中から「一方的な憲法入門」「日本赤軍派正義の味方?」を取り上げます。


最初に「一方的な「憲法入門」」

・・前段略・・
例えば、『池上彰の憲法入門』(筑摩書房)。この本は憲法の「ギモン点を徹底解説」というのが売り文句だが、その冒頭で池上氏はこう「解説」している。

 「憲法とは、そもそもどういうものなのか。ちょっと考えて見ましょう。(中略)憲法は単に『法律の親分』ではないのです。法律は国民ひとりひとりが守るべきものですが、憲法はその国の権力者が守るべきものだからです」「国家権力を制限する憲法にもとづいて政治を行うことを『立憲主義』といいます」と断言し、また、紙面では太字で「憲法は、権力者が勝手なことをしないように、国民がその力をしばるもの」とも強調している。
・・・以下略・・・


私はこれを読んで仰天した。確かにそんな議論もあるだろうが、「国民は法律さえ守っておればいい。憲法は、権力者が勝手なことをしないように、国民がその力をしばるもの」、こんな議論は始めっから間違っている。憲法とは国の在り方を定めたもの。国民皆がそれによって日本という国土に暮らしていけるものだ。
道理でNHKや朝日新聞などで不祥事が頻発する訳だ。法律の意味が一般人と違っているのだろう。

こんなもの一つを見ても、池上彰は「権力とはどこかからやってきて日本人を隷属させている悪の存在」、こんな日本に対する憎しみが有ると思って間違いないだろう。

なおこの池上彰の憲法論を読んで、エダノンの「立憲民主党」の名前の意味が分かった。立憲というのは「権力が勝手なことをしないように縛るもの」という意味なら、立憲民主党の意味も分かろうというものだ。


さてもう一つの問題

日本赤軍は正義の味方?

・・・前段略・・・

 池上氏はNHK記者の頃、出演者(お父さん役)としてだけではなく、企画にも関わったという「週刊こどもニュース」で有名になった。池上氏のいわば原点とも言うべき番組なのだが、その「週刊こどもニュース」を政治的偏向だと指摘していたのが中村 粲(あきら)濁協大学教授(名誉教授)だった。むろん、今から放映された内容を掘り起こすことは無理だが、有り難いことに中村教授は「NHKウオッチング」(『正論』で長期連載)で、いくつかその実例をビデオテープから起こして紹介してくれている。
(注:中村 粲(あきら)獨協濁協大学名誉教授)

 例えば、「日本赤軍ってナーニ」という質問のあった回「平成十二年十二月二十三日)で、池上氏はロシア革命を起こしたソ連は「赤軍の力でそれまでの政治をひっくり返して国を作った。日本でもその赤軍のように政治のやり方をひっくり返そうとするグループが生まれた」、それが日本赤軍だと「解説」し、そのうえで彼らが「ひっくり返そう」と考えた理由を池上氏はこう「解説」している。

 「その頃の日本には貧しい人達がいたから、その人たちを何とかしなければいけない、今の世の中を変えなければならないという人たちが沢山いて、その中には武器を使っても変えてしまおうという人たちが出てきて、その中の一つのグループが赤軍って名乗ったんですよ」と。

 さらに「国内では活動がうまくいかないので海外へ出て行こうと、赤軍は中東に行ってパレスチナの味方をしようとしたが、赤軍というグループが沢山いたので『日本赤軍』と名乗ってレバノンで活動を始めた。各地で飛行機を乗っ取ったり、大使館を襲ったり、さまざまなことをしたんですね」と言って「質問カイケツ」で終わる(『正論』平成十三年四月号から引用。仮名遣いは引用者が変更)。

 日本赤軍は腐敗社会を立て直そうとして正義の戦士のように美化する一方、日本赤車の凶悪犯罪については国内で起こしたリンチ殺人事件は「国内では活動がうまくいかない」とごまかされ、テルアビブ空港での銃乱射事件は「さまざまなこと」で片付けられてしまう。これがNHKという公共放送で子供向けに放送されていたというのだから、その偏向ぶりには驚く他ない。

 こんな「解説」が池上氏の原点だとすれば、今はただ巧妙になっただけで、やはり考え方には左翼的尻尾が残っていると言わざるをえないだろう。

<引用ここまで>



その頃の日本には貧しい人達がいたから、その人たちを何とかしなければいけない、今の世の中を変えなければならないという人たちが沢山いて


こんな一言でさらりと片づけていますが、この池上彰の話の前提条件こそ大嘘!。このウソを前提に話を進めるから、話の結論もとんでもない結論。
このいい加減な前提で話を進めるのが左翼脳の特徴と言える。

具体的に言えば、その頃というのが日本赤軍(1971年結成)などが暴れまわった1970年前後だとすると、その実態はどうでしょうか。
池上彰は1950年生まれです、この当時は20歳前後。世の中がどうなっていたのか知らないとは言わせませんぜ。

1970年当時の状況です。
日本赤軍などの過激派が活動していた1970年頃がどんな時代だったか。その頃貧しい人が多かったのか?

先ずはこれを見てください。1970年は大阪万博の年。



懐かしいですね。「お客様は神様です」の三波春夫。
この頃の日本は高度成長の真っ只中。日本が戦後の復興から立ち上がった、ピカピカに輝いていた時代でした。東京オリンピックは成功した(1964年)。世界初の高速鉄道である東海道新幹線が開通した(1964年)。そして「ひかりは西へ」のキャッチフレーズで山陽新幹線が1972年に岡山まで伸びた。

そのピカピカに輝いていた時代ということはデータでも分かります。

いまとは全く違う経済成長率
2018-7-5経済成長率推移

年率15%を超える成長率。今では夢のような成長率です。


更に物価と給料がどうだったか。
物価も上がったけれど、それより給料が上がったほうが多かった時代
2018-7-5賃金物価上昇率推移
参考ブログ
年代別内閣支持率に思う事  2018-07-05 16:30

給与が年率で18.7%も上がっています。
今年より来年、来年より再来年・・・、夢が有りましたねえ。すごい時代でした。


では失業率はどうだったか。このグラフでは1980年からしか分かりませんが、経済の好調さから失業率も見当がつくでしょう。そして日本はこの当時も現在も先進国中もっともも失業の少ない国です。

2019-1-15失業率推移(日本と主要国)


時代背景はここまでにして、本題に戻ります。

こんな今から見れば夢のような時代を池上彰は何と言ったか。

その頃の日本には貧しい人達がいたから、その人たちを何とかしなければいけない、今の世の中を変えなければならないという人たちが沢山いて
こう言っている。

貧しい人たちがいた、それはいつの時代にも「相対的に貧しい人たち」は居る。当たり前だ。

こんな所に池上彰の根本的な問題点がある。
池上彰の頭の中にはこんな日本像が刻み込まれている筈だ。
曰く
日本は貧しく弱く悪い国だ。嘘でも何でもいいから徹底的に糾弾すべきだ。」と。
その為には「見せかけの理想論を持っているが、その具体的な方法論は持っていない、あるいはそもそも空理空論に具体策など無い」、こんな事などだと思う。
その上で「徹底的な批判」を行う批判理論である。誰でもそうだが、「批判は簡単、実行は難しい」。


池上彰が「正義の味方」と言わんばかりの取り上げ方をする日本赤軍がどんなものか?

日本赤軍 1971年から2001年まで存在した新左翼系団体。世界同時革命を目指した武装集団
    テルアビブ空港乱射事件(乗降客を中心に26名を殺害73名が重軽傷)を起こした
⇒ 池上彰解説の「さまざまなこと」で片付けられたことはこんな虐殺事件のこと

共産主義者同盟赤軍派  1969年に結成された新左翼系団体。後の日本赤軍や連合赤軍の母体、よど号ハイジャック事件などを起こしている。

連合赤軍  日本共産党の武装路線を継承する過激派が、日本の学生運動が下火になっていく中で過激派各派を統合して1971年に誕生。山岳ベース事件(内ゲバで死者12名)、あさま山荘事件(死者3名(内機動隊員2名、民間人1名)、重軽傷者27名(内機動隊員26名、報道関係1名))などを起こしている。
⇒ 池上彰解説の「国内では活動がうまくいかない」はこんなリンチ殺人事件や人質占拠差殺人事件のこと
(注:この日本の学生運動が下火になっていく中での過激な活動こそ問題の根っこである)



結論です。左翼脳の人たちは「理想(妄想)」を掲げるものの具体的な実践は有りません
そんな人たち、実は身の回りにいくらでもいるわけですが、どう対処したらいいか。これは今回の例のように話の前提が「左翼脳の思い込み」「都合の悪いことは無視(故意落球ですね)」からスタートしているので、そんな事を事実で証明していけばいい訳です。
幸いなことに現代はスマホやパソコンで情報はいくらでも手に入ります。そんな色んな情報から取捨選択して何が正しいのか見ていけばいい。
ネットの情報は玉石混淆ですが、正しい情報はいくらでも見つかります。



そして今の若い人たちにはオールドメディア(新聞テレビ)の情報操作は通用しません。
だから年代別の内閣支持率はこんな風

2018-7-4年代別内閣支持率1
参考ブログ:年代別内閣支持率に思う事  2018-07-05 16:30
http://tansoku159.blog.fc2.com/blog-entry-1540.html

そしてこんな記事も

2018-9-7朝日新聞東京編集局(コブクロウ)

参考ブログ:今の政権でいいんですか?「いいでーす」<朝日の泣き喋り記事  2018-09-07 14:35
http://tansoku159.blog.fc2.com/blog-entry-1563.html

大変長いエントリーになりました。やはり結論は実践しかありません。そんな事でこの話を終わりたいと思います。



最後に、情報誌「明日への選択」にある記事、題して「池上彰『解説』に騙されるな」全文を添付しておきます。


<以下「明日への選択」よりスキャンOCR変換し引用>

池上彰「解説」に瑶されるな

独立国の「固有の自衛権」を語らずに自衛隊と憲法の関係を語り、伝統や歴史を踏
まえることなく「天皇」「世襲」を語る。こんな「解説」に騏されてはいけない。
岡田邦宏(日本政策研究センター所長)


 池上彰氏と言っても、本誌読者には関心のない方も多いと思うが、毎週どこかのテレビ局でニュース解説番組に登場し、週刊誌や新聞に連載をもち、著書は一年間で十数冊も出すなど、ジャーナリストとして広く知られている。取り扱う分野も国内の社会問題から政治課題、さらには中東情勢などの国際情勢に至るまで幅広い。また分かりやすい「解説」ぶりが特徴とされ、テレビ番糾でも出版物でも「池上彰の○○」とタイトルが付けられるほど。今や「池上彰」はブランド化していると言えよう。この九月、その池上氏に「パクリ疑惑」が浮上してネット上で大騒動となった。

 その疑惑というのは、後に紹介するように、他人の取材や見識をその出所を明らかにすることなく、あたかも自分の取材や見識として語っているのではないかというもの。池上氏本人は否定しているらしいが、実は数年前からその手法が批判され、抗議もされてきたというのだから、やはり実態はあったと考えざるを得ないだろう。むろん、「池上彰」を冠した番組や連繊を持つ大手メディアがブランド価値を低下させる疑惑を取り上げるはずはなく、騒動はネット上に留まっている。

 今、問題視されているのは池上氏のいわば取材(と言えるかどうかも疑問だが)の手法だが、では池上氏の「解説」の内容には問題はないのだろうか。記者はたまたま見たテレビ番組や雑誌記事の「池上解説」の偏りを感じることがあったが、その都皮記録したわけではない。そこで、今となっては活字になった池上氏の「解説」を対象とする他ないのだが、改めてのその偏りの正体を考えてみた。


池上「パクリ疑惑」

 先ずは、ネット上のパクリ疑惑騒動をご存じない方のために、簡単にその経緯を紹介しよう。

 発端となったのは、九月七目に放送されたフジテレビの『池上彰スペシャル 池上彰×子供×ニュース』という、政治に対する子供の疑問に答えるという内容の番組。出演した子供が「日本はアメリカのご機嫌取りばかりに見えるのはなぜ?」「トランプ大統領が校長先生で、安倍総理は担任の先生みたいに見える」と発言したことに対してネット上でヤラセではないのかという声があがった。数日のうちに出演した子供のうち約二十人が子役タレントだったことが探し出され、台本のある印象操作ではないのかとの指摘がなされた。このヤラセ疑惑に対して評論家の八幡和郎氏が感想を述べたツイッターのなかで、次のように記したことから問題がパクリ疑惑へと広がっていった。

 「池上彰の番組から取材があつてさんざん時間をとらされたあと、「池上の番組の方針で、番組では八幡さんの意見ではなく池上の意見として紹介しますがご了解いただけるでしょうか」といわれたので、断固、『私が言ったことをいっさい使ったりよく似たことを池上に言わせないように』といって電話を切ったことがある。こんなのがジャーナリストのような顔をしているのがおかしい」

 自分の意見を池上氏の意見として放送したいと言われたら断るのは当然だが、この投稿が契機となって、実は自分も似たような経験をしたとの発言が相次いだ。ジャーナリストの有本香氏、財務省OBの高橋洋一氏、元通訳捜査官の板東忠信氏など、言われた言葉は違うが、取材された本人の名前を出すことなく、池上氏の意見として使いたいと言われた、もしくは使われたという点は共通している。

 池上氏は「あってはならないし、あり得ない」と否定しているらしいが(JーCASTニュース)、その後、既に三年前にイスラム学者の池内恵氏(東大准教授)がオリジナルの知見を引用元の明記なしに自説のように使用したと批判していたことや、別のジャーナリストから「他のジャーナリストや記者が取材した内容をそのまま話していることも少なくない。/かつて私か取材して著作した内容について、池上氏から使用の許諾を求められたことがある。/しかし、その場合でも池上氏が情報のクレジット(参照元)を示すことは一度もなかった」(上杉隆『ニュースをネットで読むとバカになる』)と抗議を受けていたことも明らかとなった。

 要するに、「○○さんによれば」「○○という本にはこう書いている」と言えば済む話にもかかわらず、池上氏は他人の取材内容や知見を出所を明示せずに自分の取材や知見のように語ったり書いたりしていたと批判されているわけで、これではジャーナリストとして失格と言わざるを得ないだろう。



一方的な「憲法入門」

 とは言え、問題はそうした池上氏の手法にとどまるものではない。手法はそのまま「内容」の問題ともなる。他人の意見を出所を明らかにせず借用するのであれば、取捨選択のしようによっては、出所が偏った主張であっても、何か客観的な内容として「解説」されてしまう危険があるからである。

 池上氏のテレビ番組を逐一録画・検証する暇はないので、著書を見てみよう。例えば、『池上彰の憲法入門』(筑摩書房)。この本は憲法の「ギモン点を徹底解説」というのが売り文句だが、その冒頭で池上氏はこう「解説」している。

 「憲法とは、そもそもどういうものなのか。ちょっと考えて見ましょう。(中略)憲法は単に『法律の親分』ではないのです。法律は国民ひとりひとりが守るべきものですが、憲法はその国の権力者が守るべきものだからです」「国家権力を制限する憲法にもとづいて政治を行うことを『立憲主義』といいます」と断言し、また、紙面では太字で「憲法は、権力者が勝手なことをしないように、国民がその力をしばるもの」とも強調している。

 憲法のあり方をこう強調するのだから、自民党が平成二十四年にまとめた改正草案のなかで、国民は「憲法を改重しなければならない」とされたのに対して、池上氏は「憲法は、国民が権力者に対して守るように命令するものであるというのが、立憲主義の精神ですから、国民に憲法を守らせるのは本末転倒なのです」と太字で批判している。

 立憲主義についてそうした主張をする論者がいないわけではないが、ごく一部の限られた解釈と言える。憲法は権力を制限する「制限規範」であるとともに、同時に国会に立法権を、内閣に行政権を授けるといった、国家権力が正当に行使されるための「授権規範」でもあるというのが一般的な立憲主義理解と言えるからである。そもそも権力を制限するにしても、その前提として権力が授権されなければ制限しようがないという話でもある。池上氏は、「授権規範」にはまったく触れることなく、一方的に「制限規範」だけを強調し、「憲法入門」の「解説」を始めているわけで、これは偏向解説とI河わざるを得ない。

 ちなみに、自民党案にある国民の憲法尊重義務は、国民主権のもとでは国民が憲法を尊重するのは「理の当然」(『注解日本国憲法』)というのが多数説であり、国民が定めた憲法を権力だけが遵守すべきで国民が守らなくてよいなどいうのはごく少数の主張でしかない。


その「解説」の出所はどこか?


 では、こうした池上氏の偏向はどこから生まれて来たのだろうか。むろん、池上氏がその「解説」の根拠とした出典が明記されているわけではない。ただ、この『憲法入門』には(珍しいことに)巻末に参考文献が三十数冊掲げられている。そのなかには櫻井よしこ氏や百地章氏の著作も含まれており、掲げられた文献からは偏りがあるとまでは言えないが、問題は、こうした参考文献のなかで池上氏が何を取捨選択しているのかにある。

 いま引用した立憲圭義に関して言えば、明示されてはいないが、参考文献にあげられているなかで言えば、池上氏は弁護士の伊藤真氏の主張を採っていることは明白と言える。憲法は「あくまでも国家を制限するために作られたもの」、憲法は権力に守らせるものであり、国民は法律を守ればよい、というのが伊藤真氏の主張だからである。

 一方、参考文献としてあげられている百地章氏の『憲法の常識 常識の憲法』 では「授権規範」と「制限規範」のバランスが重要だとされている。池上氏が「大学生の基本の教科書」と推奨している芦部信喜氏の『憲法』は、「(憲法は)国家権力を制限する基礎法」だとする一方、国家が「国家による社会生活への積極的な介人」を必要とする「社会国家」(福祉国家)に変わりつつある現代においては、「行政権の役割が飛躍的に増大した」と指摘している。つまり今では授権規範としての憲法の役割も重視されねばならないというのである。

 こう見てくると、池上「解説」が一部の論者の主張に基づいていることは明らかと言えるが、パクリ疑惑問題で明らかとなったようにその出所が明らかにされることはないために、池上氏の見解であるかのように、「池上ブランド」として語られていると言える。


語られない「固有の権利」

 こう見てくると、池上氏が様々な見解を踏まえたうえで「解説」しているのではなく、様々な見解のなかから意識的に取捨選択していることは明らかと言えよう。そうだとすれば、池上氏の「解説」なるものが表面的で浅薄というだけでなく、特定の方向へ誘導する、その危険性を感じざるをえない。

 例えば、『憲法入門』 では、九条問題について一章を使って大きく取り上げている。結論としては「憲法第九条と自衛隊の関係は、どうあるべきなのか。/もし変えるのなら、変えるのはどちらでしょうか。憲法九条か、自衛隊か。それとも変えないでいくという選択をするのでしょうか」と改正について中立的な物言いになっているが、内容は明らかに一つの方向を示唆している。

 詳細を紹介する紙数はないので小見出しのなかからキーワードを拾ってみると(括弧内は引用者の補足)、「(「新しい憲法の話」では)「兵隊も軍艦も持たない」と言ったはず」、「当初の政府は『自衛権も放棄』と説明していた』「軍隊ではない「警察予備隊」を作らせた?」「(予備隊は)法律を作らずこっそりと発足した」「(自衛隊は)米軍を補佐する組織」「『戦力』?それとも『実力』?」「防衛費を抑える基準もなくなった」という具合で、憲法解釈が変わって自衛隊が拡大していくことが強調され、一貫して「第九条があるのに、どうして自衛隊」が存在しているのか」という視点で語られていることが分かる。

 その一方、わが国が主権国家である以上、自衛権を「固有の権利」として持っているという点については何も触れていない。例えば、自衛隊についての政府の憲法解釈はただ「自術のための必要最小限度の実力」とだけ紹介され、その前提となっている「わが国が独立国である以上、この規定(九条二項)は、主権国家としての固有の自衛権を否定するものではない」との解釈はネグレクトされてしまっている。

 こんな「解説」をそのまま受け止めれば、「憲法第九条と自衛隊の関係は、どうあるべきなのか」などという池上氏の問題設定の結論は、九条は変えないという結論に行き着くことは目に見えているのではあるまいか。


「天皇」には歴史も伝統もない?

 また、今年八月に出版した『池上彰の「天皇とはなんですか」』では、皇位継承問題について、池上氏はこう書いている。

 「現在の皇室典範は法律ですから、議会で変えることが出来ます。憲法では、皇位は世襲であるという大原則だけが示されていて、具体的な世襲のあり方は、議会が決めた皇室典範に基づくと定めています。皇室典範第一条には……天皇は男性しかなれないと定められている。でも、これは法律ですから、国会で皇室典範を改正すれば、女性天皇も可能になります」

 「第一条には、天皇の地位は『主権の存する日本国民の総意に基く』とあり、第二条には『皇位は、世襲のもの』とあります。/この二点に着目すれば、私たち国民の総意に基づくのであれば、皇室典範を改正して、女性天皇や女系天皇を認めることは、憲法上何ら問題はありません」

 何とも浅薄な「解説」と言える。確かに皇室典範は国会の議決によって改正することは可能と言えるが、しかし、それは憲法が規定する「天皇」や「世襲」が、この憲法によって新たに創設されたかのようにしか理解できないのが池上解説だということでもある。

 「天皇」は歴史と伝統に基づいた名称であり、憲法の規定としても明治憲法から引き継がれたものである。「世襲」も「皇位の世襲」という特殊な性格が踏まえられるべきであり、一般の商家などでいう世襲と同次元であり得ない。むろん、例外的に女性天皇が即位されたことはあっても男系男子による世襲が大原則であり、女系天皇など一例もないというのが「皇位の世襲」の歴史的事実である。しかし、そうした点に池上氏が触れることはない。

 池上氏は、歴史や伝統を抜きにして法律の文字面だけで「天皇」[世襲]を「解説」しているわけで、浅薄極まりない内容というだけでなく、そこには伝統も歴史もない国としてしか日本を捉えていない池上氏の国家観が透けて見えてくる。


日本赤軍は正義の味方?

 池上氏は自身はただ判断材料を提供するだけで「材料を与えたら、国民や視聴者や読者に判断してもらえるだろう」と述べている(ダイヤモンド・オンライン)が、しかし、ここまで見てきたように池上氏が提供する「材料」は一方的であり、欠くべからざる重要事項が抜け落ちているわけで、池上「解説」には、明示されているわけではないけれども、左翼的偏向があると言わざるをえない。

 池上氏はNHK記者の頃、出演者(お父さん役)としてだけではなく、企画にも関わったという「週刊こどもニュース」で有名になった。池上氏のいわば原点とも言うべき番組なのだが、その「週刊こどもニュース」を政治的偏向だと指摘していたのが中村 粲(あきら)濁協大学教授(名誉教授)だった。むろん、今から放映された内容を掘り起こすことは無理だが、有り難いことに中村教授は「NHKウオッチング」(『正論』で長期連載)で、いくつかその実例をビデオテープから起こして紹介してくれている。

 例えば、「日本赤軍ってナーニ」という質問のあった回「平成十二年十二月二十三日)で、池上氏はロシア革命を起こしたソ連は「赤軍の力でそれまでの政治をひっくり返して国を作った。日本でもその赤軍のように政治のやり方をひっくり返そうとするグループが生まれた」、それが日本赤軍だと「解説」し、そのうえで彼らが「ひっくり返そう」と考えた理由を池上氏はこう「解説」している。

 「その頃の日本には貧しい人達がいたから、その人たちを何とかしなければいけない、今の世の中を変えなければならないという人たちが沢山いて、その中には武器を使っても変えてしまおうという人たちが出てきて、その中の一つのグループが赤軍って名乗ったんですよ」と。

 さらに「国内では活動がうまくいかないので海外へ出て行こうと、赤軍は中東に行ってパレスチナの味方をしようとしたが、赤軍というグループが沢山いたので『日本赤軍』と名乗ってレバノンで活動を始めた。各地で飛行機を乗っ取ったり、大使館を襲ったり、さまざまなことをしたんですね」と言って「質問カイケツ」で終わる(『正論』平成十三年四月号から引用。仮名遣いは引用者が変更)。

 日本赤軍は腐敗社会を立て直そうとして正義の戦士のように美化する一方、日本赤車の凶悪犯罪については国内で起こしたリンチ殺人事件は「国内では活動がうまくいかない」とごまかされ、テルアビブ空港での銃乱射事件は「さまざまなこと」で片付けられてしまう。これがNHKという公共放送で子供向けに放送されていたというのだから、その偏向ぶりには驚く他ない。

 こんな「解説」が池上氏の原点だとすれば、今はただ巧妙になっただけで、やはり考え方には左翼的尻尾が残っていると言わざるをえないだろう。

    *     *
 独立国の「固有の自衛権」を語らずに自衛隊と憲法の関係を語り、伝統や歴史を踏まえることなく「天皇」「世襲」を語る「解説」。それを有り難かってブランド化しているメディア。池上「解説」はまさに今日の言論状況の実に残念な姿を写していると言える。

<引用終り>


  1. 思想
  2. TB(1)
  3. CM(6)

2018-10-31 16:13

切支丹伴天連から鈴木正三の労働観まで


 宮崎正弘の10/26付のメルマガに小堀桂一郎著「靖国の精神史」が載っているのだが、ここに切支丹伴天連の話と鈴木正三(「しょうさん」と読みます)のことが載っている。
この鈴木正三は江戸時代初期の禅僧だが、日本人の労働観を考えるうえで重要な人物、日本型資本主義の原点ともいわれる思想家なので以前から注目していた。
丁度いい機会なので、切支丹伴天連、島原の乱、日本人の労働観・・・、なにやら三題噺みたいだが、そんな所を纏めてみた。


最初に宮崎正弘のメルマガ
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成30年(2018年)10月26日(金曜日)  通巻第5867号 
 中国の「一帯一路」に米国は豪、日本、印度を・・・・
http://melma.com/backnumber_45206_6749298/#calendar

<以下上掲メルマガの書評欄を引用>

日本人の国家意識形成過程、その守護神思想を論じる
  古代からの日本思想に着目し「精神の核心」を解明した労作
2018-10-31靖国の精神史 

 新書だが分厚い。重厚な筆致、居ずまいを正し、一行一行を噛み砕いて読むにしても時間がかかるが、思考の幅を拡げ、古代から近代への日本史に思いを馳せる。
本書はさきに小堀氏が上梓された『靖国神社と日本人』(同PHP新書)の姉妹編。というより、最初は一冊の大書として企劃されたが、新書として二冊に別けることになり、後半部が先にでたという経緯がある。
 聖徳太子、山鹿素行、本居宣長、新井白石、藤田幽谷、鈴木正三らの思想を顧みる作業を通して、日本の思想の中核が手際よく平明(文体と語彙がやや古風だが)に説かれている。
 評者(宮崎)は、本書の中で小堀氏が展開した切支丹伴天連と、信長、秀吉、家康の戦いの記述にもっとも興味を惹かれた。 
 三河出身の鈴木正三という禅僧がいた。弟とともに天草四郎平定後に、天草から肥後一帯を照査し、民草の信仰、改宗の進み具体、対幕府への態度などを見聞し、一方でキリスト教会破却後に各地で寺院を建立した。そして仏教僧らを通じて意見書を記述したものが残されている。
 小堀氏はこれを、
「切支丹教義破却の論拠として仏法の悟性論や世界観としての諸法実相の理、教法としての以心伝心の旨を説いて、切支丹の伝道事業に対抗する姿勢を示しているのは当然だが、その論法には、深遠の妙技を振りかざして相手を煙に巻くといった外連味(ケレンミ)はなく、むしろ平俗というに近い即物的論理性」だった。
 曰く
 「きりしたん宗には、惣じてものの奇特なるを尊び、是でうすの名誉なりと云て、様々なはかり事を作して、人をたぶらかすよし聞及(ききおよぶ)。破して云、奇特なる事貴きならば、魔王を尊敬すべし。此の国の狐狸も奇特をなす。・・・然ば仏の六通には奇特なし。去間、正法に奇特なしと云へり。此理を知らざる人は天魔外道にたぶらかさるべし。」
つまり奇跡などという非科学的なものいい(死者の復活とか処女懐胎とか)は信じることが出来ないと、この時代に科学的説明をしているのである(88p)。
この鈴木正三の活躍した時代より前、秀吉による禁教令があるが、彼は宗教と商業を峻別し、商業交易は維持しようとした。だから布教に拘らないオランダ、イギリスが平戸と長崎で特権を得た。
しかしイエズス会の版図だった日本へ貪欲な拡大意欲を見せたのが、マニラとメキシコに拠点をおいたドミニク会とフランシスコ会であり、禁教したにもかかわらず決死の覚悟で日本に陸続として潜入し、また自ら殉教して聖壇にならぶことを欲するという熱狂があった。
後にスペインは、なぜ日本での布教が失敗したか、それは切支丹伴天連が侵略意図を持っていた事態が暴露され、警戒心が深化したからだったのだが、後年の宣教師らは国王に、「日本をまず内部工作により、続いて武力発動に拠って侵略する意図の決してないことを、行動の事実によって証明して見せるべき」と驚くべき建言をしているのである。
 小堀氏は以下を指摘する。
 「イエズス会内部の学識者が、秀吉を先頭に、三代家光までの徳川将軍の切支丹剿滅(そうめつ)政策に『国家理性』の発露を認め、且つ、それを肯定していたという事蹟は、そのように評された将軍達のしったことではないが、西欧の近代政治哲学の源流に近いところで知識を汲んでいた聖職者の眼にそのように見えた」(中略)「日本人の国家意識の形成過程は、江戸時代の外部の識者から見れば、その辺の段階にまで進んでいた」(182p)
 こういう別のアングルも、日本の精神史形成の過程で起こった。
<引用終り>


奇跡などという有りもしないことを言い募る切支丹伴天連、実は日本侵略の意図があったわけだが、そんな事を見抜いていたのが日本人だったという事だ。

所でここに登場する鈴木正三(しょうさん)。どんな人かはこれがよくまとまっているので引用。

<以下歴史街道コラムより引用>
https://shuchi.php.co.jp/rekishikaido/detail/4041

働くとは? 鈴木正三の思想「労働即仏道」
2017年06月25日   歴史街道編集部

今日は何の日 明暦元年6月25日
日本資本主義の先駆・鈴木正三が没
明暦元年6月25日(1655年7月28日)、鈴木正三(しょうさん)が没しました。武士から曹洞宗の僧に転じ、日々の職業生活を大切にすることが仏の道に通じると説いた思想で知られます。

武士を捨てて仏道に入る
天正7年(1579)、三河国加茂郡足助庄の則定城主・鈴木重次の長男として、正三は生まれました。名は重三とも。父の代から徳川家に従っており、正三の初陣は関ケ原合戦の折、本多佐渡守正信の配下として徳川秀忠を支えて戦った信州上田城攻めでした。その後、大坂冬、夏の陣でも武功を挙げ、200石の旗本となります。一方で正三は、戦場経験から生死について深く考察し、勤めの合間に参禅修行を行ないました。

元和5年(1619)、大坂城に勤番していた際、同僚の儒学者が「仏教は聖人の教えに反する」というのに反論、翌年、42歳で遁世、出家します。旗本の出家は禁じられていましたが、将軍秀忠の温情で正三に咎めはありませんでした。 その後、各地で修行を重ねた正三は、元和9年(1623)頃には三河に戻り、石平山恩真寺を創建します。

島原の乱と鈴木正三
寛永14年(1637)、島原の乱に弟の重成が従軍。戦後、天草(注:天領になった)の初代代官に任ぜられた重成の頼みで正三は天草へ赴き、諸寺院を復興する一方、荒廃した村の建て直しに尽力します。そもそも島原の乱は、キリシタン弾圧と重税(引用者注:この部分、次に説明します)に原因がありました。正三は『破切支丹』を著して仏教の布教に努め、弟の重成は幕府に租税軽減の嘆願を繰り返します。しかし幕府は軽減を認めず、責任を感じた重成は切腹しました。

二代目代官には重成の子・重辰(しげとき)が着任、実は重辰は正三の実子です。重辰は養父・重成の遺志を継いで租税軽減を幕府に働きかけ、正三もこれを補佐しました。そして重成の切腹から7年後、ようやく幕府は訴えを認めます。これに地元の天草の人々は大いに感謝し、今でも鈴木神社(写真参照)として、重成、正三、重辰の三人が祀られているほどです。

鈴木正三の労働観
正三の思想を語るものとして、次の問答が知られています。ある農民が正三に問いかけました。
「私は仏道修行の大切さは承知していますが、田畑の仕事が忙しくてとても修行している暇がありません。どうしたらよいでしょうか」

正三は応えます
「農業にいそしむことがすなわち仏道修行です。信心とは暇な時にやって、成仏を願うものではありません。また、そもそも来世で楽することを願っているようでは、成仏はおぼつかないでしょう。煩悩の多いわが身を敵と見立てて畑をすき返し、煩悩を刈り取る心で耕作するのです。辛苦の努力をし、心身を責めている時には、煩悩が生まれる余裕はありません。こうして常に仏道修行として農業にいそしめば、どうして改めて仏道修行する必要があるでしょうか」

正三のこの考え方は、農業だけでなく、どんな職業においても同じである(職業に貴賤はない)とし、世俗的生活のすべてが仏道修行であるという結論に至ります。いわば「労働即仏道」という思想で、日々の仕事の中に宗教性を持たせることで、人々に「生き甲斐=成仏」を与えようとしたのだといわれます。そしてこの思想は、日本資本主義の精神の先駆ともいわれるのです。

それぞれの職分、立場において全力を果たすことが、生き甲斐につながり、仏道修行になるという考え方は、現代でも納得できるものがあるように思います。正三は明暦元年に世を去りました。享年77。その思想は後年、石田梅岩などに受け継がれていきます。

<引用終り>


上掲歴史街道コラムにある鈴木神社とはこんなもの。

2018-10-31鈴木神社 

そしてそこの宮司の方がこんな話をしている。

<以下引用>
「 天草を救った鈴木重成公 」
講師/鈴木神社宮司  田口 孝雄 氏

・・・前段略
天草・島原の乱の後、天領となった天草初代代官に任じられた鈴木重成公は、荒廃した天草の復興に尽力。天草の人々を苦しめてきた重税を減らすため、石高半減を幕府に嘆願して、切腹して果てました。天草の人々はその遺徳を偲び、その霊は神社に祀られています。今回は、鈴木神社宮司の田口孝雄氏に、鈴木重成公について語っていただきました。その要旨をご紹介いたします。

 天草・島原の乱はなぜ起きたか

一六世紀の天草は、南蛮文化が華開いた日本の先進地でした。コレジヨ(天草学林)が開設され、日本で最初のオルガンの音色が島々に響きました。グーテンベルクの印刷機が持ちこまれ、「平家物語」や「イソップ物語」が印刷されたのもこの頃です。

中世の天草を支配していたのは、天草五人衆(志岐、天草、上津浦、栖本、大矢野)でした。五人衆は肥後の南半分を支配していた小西行長の影響で、キリスト教の洗礼を受けていました。後に小西行長との反目から天正合戦で破れ、天草は唐津藩の寺沢家の支配下に移ります。寺沢家の圧制が天草の悲劇の始まりでした。

天草の実際の石高(米の生産高)は二万一千石ほどしかないのに、寺沢検地によって石高を四万二千石としてしまったのです。当時の税率は石高に応じて、四割から六割も課税されるため天草の農民は収穫のほとんどを徴収されるという状況になり、農民の困窮ぶりは大変なものでした。

こんな状況の中、天草・島原の乱が起こる訳ですが、その原因はキリシタン弾圧よりも苛酷な年貢搾取が大きいと言えるでしょう。天草・島原の乱では三万七千人が死亡し、このうち天草では人口が二万人から約八千人に激減したと推定されます。神社や寺は焼かれ、田畑は荒れ果て、焦土となった天草の島々。

この天草を復興し、二度と大乱の起きないようにするため、幕府から任命された初代代官が鈴木重成公です。

 石高半減の建白書を残して、農民のために切腹

重成公は三河藩(愛知県)東加茂郡の足助城城主鈴木重次の三男として誕生。長兄のしょうさん正三公は後に出家して禅僧となったため、家督は重成公が継ぎました。重成公は上方代官を歴任した後、天草・島原の乱には鉄砲隊長として参戦。老中松平信綱の信任が篤く、乱後も天草の実態調査を命じられました。

天領となった天草の初代代官として重成公が天草に入られたのは、寛永一八年(一六四一)のこと。富岡城下に陣屋(役宅)を置いて、天草の民政に取り組まれました。軍事面は細川藩が担当し、富岡城にも細川藩の藩兵が詰めていました。

重成公は天草全島を十組八十八の村に区画し、組に大庄屋、村に庄屋を置いて行政の浸透をはかり、外国船の動静を探る遠見番なども設置し、行政機構を整えていかれました。

重成公の考えは、キリスト教に救いを求めて破れた人々の心のすさみを癒すために、兄の正三公の意見を入れて日本人の原点へ帰ろうということでした。そのため、幕府から三百石を持ってきて、各地に神社や寺を次々に建立していかれたのです。朝には、鎮守の森から太鼓の音が響き、夕べにはお寺の梵鐘が聞こえる。日本の原風景に戻るに従って、ようやく島の人々も落ち着きを取り戻します。

しかし、天草の公式の石高が四万二千石のままでは、重税の圧迫はどうしようもありません。重成公は詳細な検地を行い、天草の石高半減を強く老中の松平信綱に訴えられます。幕府にも威信がありますから、簡単に承諾する訳にはいかない。承応二年(一六五三)、重成公は真情を綴った建白書を残し、江戸の自邸において切腹して果てられたのです。日本で初めて、農民のために命を捨てる武士が現れたのです。

 遺徳を偲び鈴木神社を建立

切腹した場合、お家断絶になるのが通例ですが、幕府では病死扱いにして子の重祐に家督を継がせ、養子の重辰(しげとき)(正三の実子)を二代目代官に任じるという異例の処置を取ります。天草の人々は代官に心服している。鈴木家でなければ、もはや天草は治まらないことを幕府は熟知していたのです。

重辰公は石高半減の訴えを繰り返し行い、ついに重成公の七回忌に松平信綱と阿部忠秋の連名で石高半減の通知が下されたのです。

天草の東向寺領の一角には重成公の遺髪が埋められ、遺髪塚が築かれました。鈴木塚はその後、天草三十余ヶ所に分祠され、今も「鈴木さま」として信仰されています。

根本となった遺髪塚(本渡市本町)には重成公祀る鈴木神社が建立され、後に兄正三公、養子重辰公も祀られました。重成公の切腹説には疑問を呈する向きもありますが、切腹という非業の死を遂げられたからこそ、島民はその魂を鎮め感謝法恩の念を表わすために神として祀ったにちがいありません。

中国には「最初に井戸を掘った人のことを思え」という名言があります。天草にしてみれば、その人が重成代官であり、現代の人々もその井戸の水の恩恵を受けているのです。
<引用終り>


ここまで読んで島原の乱の不思議な部分がよく理解できました。問題は経済と重税。重い税を課して農民を疲弊させれば、うまいことを言う伴天連に騙される。その結果があの悲惨な結果。そういう事だったんですね。

そして鈴木正三の労働観が江戸時代から今日に至るまで、日本人の労働観になっている。

しかし最近この日本人の労働観も怪しくなりました。そんな事はまた別の機会に。

  1. 思想
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2018-10-25 13:29

なぜマルクス主義は魅力的なのか


 10月3日のエントリー「WalkAway ムーブメント続編 2018-10-03」に色々コメントを戴いている。最近もKazkさん、よもぎねこさんから、こういう連中はもはや社会に不要というよりは有害で社会からパージしなければならないのだがその方法が見当たらない、こんな趣旨のコメントをいただいた。また縄文人さんからも「 底に潜む憎しみが問題です」というコメントを戴いている。

こんな皆さんのコメントの参考になりそうな話がネットに出ていた野で取り上げたい。

 tarafuku10 さんという方がジョーダン・ピーターソンの「なぜマルクス主義は魅力的なのか」を訳してツイッターにアップされている。
大変いい話なので引用します。
特に『マルクス主義は嫉妬に強く訴えかける』『マルクス主義はポスト・モダニズムやアイデンティティ・ポリティクスに姿を変えた』『マルクス主義は消えてない。新しい戦術をとろうとしている』
こんな所がとても重要な指摘だと思います。

尚原文はツィッターなのでバラバラになっているが、適当につなぎました。


<以下引用>
https://twitter.com/tarafuku10/status/1055042433640206336
又は
https://togetter.com/li/1280519


 tarafuku10 @tarafuku10
ジョーダン・ピーターソンの「なぜマルクス主義は魅力的なのか」を訳してみた。
2017年10月に開かれた公開トークショーからの抜粋です。質問しているのは観客のひとりです。
2018-10-25ジョーダン・ピーターソン 
  2018-10-24 19:24:52
 
 tarafuku10 @tarafuku10
質問者: マルクス主義はなぜ、古典的自由主義などに比べて根強いイデオロギーのでしょうか。マルクス主義は19世紀半ば頃から存在し、大学キャンパスなどほとんどすべてのものを支配しようとしています。

  

ピーターソン: いい質問です。最初の共産主義者 ‐ ここではとりあえずロシアということにしておきましょう ‐彼らは今日のマルクス主義者に比べれば、哲学的にそれほど非難されるようなものではありませんでした。理由としては、彼らはユートピア構想を持っていました。
 
これは必ずしも良いことではありませんが、彼らはこれが必ずしも良いことではないことを知りませんでした。欧州の古い貴族体制は崩壊しかけ、ひどい戦争を体験し、帝政ロシアといえば、まあ共産主義に比べれば地上の楽園かもしれませんが、問題があったことは間違いありません。

ニーチェですらこう言っています。「共産主義は実験の価値はあるかもしれない」。しかし著書『力への意思』の中でこうも言っています。「結果として何億もの人が死ぬことになるだろう」これは歴史上最も注目に値する予言の1つと言っていいでしょう
(引用者注:1997年刊行の共産主義黒書で、共産主義による死者は少なくとも1億人と言われている)
(以下エントリー参照ください)

だからマルクス主義が魅力的というのはわかります。ユートピア的です。しかし、暗い側面もあります。「あなたより持てる者はすべて、それをあなたから盗むことで手に入れた」。これは、人間の精神に潜むカインケインカインとアベル」のカイン、旧約聖書『創世記』に登場する兄弟。アダムとイヴの息子たちで兄がカイン、弟がアベル。人類最初の殺人の加害者・被害者とされている) 的要素(訳注: 平たく言えば嫉妬)に強く訴えかけます
 
「持てる者はすべて汚いやり方で手に入れた」という考え方により、嫉妬はもちろん、それを取り返すための行為が正当化されます。それは美徳にすら見えます。これは恐るべき憤りの哲学です。また、病的な反人間的エートスも一役買っています。多くの環境運動の基礎にあるのがこれです
(引用者注:エートス: 一般に、ある社会集団・民族を支配する倫理的な心的態度をいう)

もちろん、私たちが地球に対してひどいことをまったくしてないと言いたいわけではありません。たとえば、海に対して理解不能なほどひどいことをしています。しかし、環境保護の運動家が「人類はこの惑星の癌である」と身も蓋もない言い方をするのを聞いたことがあります。

もし誰かがこのようなことを言ったら、一目散で逃げてください。(聴衆一同、笑)。なぜなら、これは、精神の根源的な部分でジェノサイド的だからです。したがって、まだ調査されていないさまざまな動機がマルクス主義の復活を後押ししているのだと私は思います。
 
これは、子供たちが受けている質の悪い偏った教育の結果でもあります。子供たちは第二次世界大戦やナチについてある程度知っています。しかし、ソ連と中国で何が起きたのかはまったく知りません。私は人格について大学で教えていますが、1930年代にウクライナで300万人が餓死したことについて...

...ほとんどの学生はまったく聞いたことがないと言います。なんということでしょう。私たちは長い冷戦を闘い、地球を滅ぼしかねない事態だったというのに。ところが、スターリンや毛沢東の政治体制がありえないほど残虐だったことを認めるのは、新マルクス主義者にとって不都合です

だから、彼らはこれについて話さないと決めたのですこのように、さまざまな腐敗がマルクス主義を推進しています。しかし、その最大のものは「憤り」でしょう。私が考える最悪の感情、最悪の行為は、憤り、欺(あざむ)き、傲慢さです。これら 3 つが合わさるとき、気を付けなければならない力が生まれます

質問者: マルクス主義はこの世から消えてなくなることはあるのでしょうか? それとももっと勢力を強めるのでしょうか?
 
JP: マルクス主義はポスト・モダニズムやアイデンティティ・ポリティクスに姿を変えたのだと私は考えています。非常に巧妙なやり方です。これはフランスの学者、主にデリダフーコーがもたらした結果ですマルクス主義は消えようとはしていません。新しい戦術をとろうとしているのです

誰も想像していなかったことですが、彼らはいたるところで中位レベルの統治組織を支配しようとしています。したがって、脅威は高いレベルの政治組織に存在するのではありません。個人を支配する権力は必ずしもそこにあるのではないのです。こうした権力は小さな政治構造、サブ政治構造にあります

たとえば、教育委員会。たとえば、カナダ・オンタリオ州の弁護士会は、弁護士に原則声明の提出を求めようとしています。テンプレートまで用意して、原則声明に何を含めるべきかご丁寧に指示までしようとしています。これは基本的に、平等、多様性、包摂についての声明です

その原則声明に同意して提出しなければ、それは基本的に自分が差別主義者と認めることになり、弁護士資格を取得できません。オンタリオではこれについて現在大きな論争が起きています。私たちはこの論争に勝てるかもしれませんが、油断はできません。また、一般の人々が、中位レベルの...

...統治組織の支配に油断しすぎていることも理由のひとつです。こうした比較的小さな権力を持つ地位を乗っ取ることが得意な集団に、それを簡単に許しています。これには気を付けなければなりません。なぜなら、これは本当に良くないことだから。そして、反撃するのが非常に難しいことだから。(了)
  2018-10-24 19:30:16

 tarafuku10 @tarafuku10
ジョーダン・ピーターソンはカナダ・アルバータ州出身の臨床心理学者。1962年生まれの56歳。バーバード大学で教鞭を執った後、現在はトロント大学の教授。今年初めに出版した「12 Rules of Life」が200万部を超えるベストセラーに。左派による大学教育現場の支配を強く批判。 pic.twitter.com/WVQPsrtmoR
  2018-10-24 20:33:54
 
<引用ここまで>


マルクス主義は嫉妬に強く訴えかける』『マルクス主義はポスト・モダニズムやアイデンティティ・ポリティクスに姿を変えた』『マルクス主義は消えてない。新しい戦術をとろうとしている』、素晴らしい意見ですね。
こんなことを踏まえ、ではどうしたらいいか、それを考えていきたいと思います。


  1. 思想
  2. TB(0)
  3. CM(10)

2018-10-03 17:07

WalkAway ムーブメント続編


 9月30日に「WalkAway ムーブメント<左翼から立ち去ろう  2018-09-30 」をエントリーしたのだが、この話についてウィーン在住の長谷川良氏が新しい動きだとして紹介している。
長谷川氏が記事を書いたのは7月だが、この運動は日本ではあまり報道されていないので、長谷川良氏の記事をそのまま紹介したい。

尚長谷川氏の記事は元記事は大紀元なので、文末にその大紀元の記事も紹介します。


<以下引用>

ウィーン発 『コンフィデンシャル』
長谷川良
2018年07月27日06:00

米国で「左翼に関わるな」運動が話題

 海外反体制派中国メディア「大紀元」(日本語版7月25日)で注目すべき記事が掲載されていた。記事は「草の根運動『左翼に関わるな』キャンペーンが米国で話題」というタイトルで、「米国のSNSで『関わるな(Walk Away)』が6月末からムーブメントになっている。民主党を支持しない意思表示で、その理由を動画や写真をネットに掲載するというキャンペーンだ」という。全文は「大紀元」を読んで頂きたい。米国社会の最新のトレンド報告だ。

 冷戦の終焉後、ポーランドやスロバキアで共産政権時代の罪悪を検証しようという動きがあった。時間の経過と共に、国民の記憶が薄れ、新しい世代は共産政権の実相を知らないことから、共産主義への恐れが薄れていく。それを回避するために共産政権時代の罪悪を検証しようという運動だった。

 米国の場合、冷戦時代から民主主義国家のリーダーとして旧ソ連・東欧共産政権の打倒で大きな役割を果たした。特に、レーガン政権時代には共産主義世界を「悪」と規定した。レーガン大統領自身、民主国家陣営と共産国陣営の「善悪の闘争」と見なしていた。

 問題は、米国民は共産政権の実態を体験していないことだ。だから、旧ソ連・東欧共産政権が崩壊し、その思想が米国内に入り込み、共産主義的思潮が大学で浸透してきた時、国民も社会も共産主義への免疫がない。それをいいことに、リベラルなメディアが若い世代を煽った。米国内の最近の容共的傾向は、冷戦時代の体験がなく、共産主義の実相を知らない西暦2000年以降に社会人となった若い世代が支配的になってきたことと無関係ではないだろう。

 もちろん、その背後には、ロシアや中国が米国内でさまざまな情報工作を展開。特に、中国は「孔子学院」を通じて米国内の左翼知識人、メディアをオルグしている。米国では約100の大学に「孔子学院」がある。米連邦議会上院の情報委員会の公聴会で2月13日、クリストファー・ライFBI長官(当時)が、スパイ活動の疑いで孔子学院を捜査していると述べている。米大学内の「孔子学院」の情報活動についてはこのコラム欄でも紹介済みだ(「米大学で『孔子学院』閉鎖の動き」2018年4月13日参考)。

 米国のキャンペーンの発起人、ブレンドン・ストラカ氏(26)は「最近の左のメディアは本当の民衆の声や体験、考えを無視しています。民主党に対する失望と否定は、このキャンペーンの支持者です。左派メディアや民主党は、米国人のためになることを、何もやっていない」と「大紀元」英語版の取材に答えている。
 
 「大紀元」によると、CNNは、「左翼に関わるな」運動が「ロシア宣伝工作による自動発信システム(bot、ボット)」だと報じ、運動に関わらないように呼びかけている。

 興味深い事実は、米ロ首脳会談後のトランプ大統領とプーチン大統領の共同記者会見でプーチン大統領が、「ブラウダー氏(米国出身のビジネスマン)のパートナーは違法にロシアで50億ドルを稼ぎ、米国に送金したが、ロシアにも米国にも税金を払っていない。彼らは4億ドルをヒラリー・クリントン氏の選挙活動資金として渡した」(大紀元)と述べたが、リベラルなメディアはこの発言内容をほぼ無視したことだ。ブラウダー氏はロシアで1996年にエルミタージュ社を創業し、一時は外資系企業でロシア国内トップの資産を保有した。2005年、ロシア国家安全機密に違反したとして、ブラウダー氏は入国を禁じられた。

 当方は米ロ首脳会談の記者会見をCNNでフォローしていたが、CNNはロシアの米大統領選介入疑惑に集中するだけで、クリントン氏への選挙活動資金問題をテーマにすることを回避していた。これなどは典型的な情報操作だろう。客観的にいえば、ロシア大統領が証言したクリントン氏への選挙資金問題はニュース・バリューがある。CNNはそのテーマを恣意的に無視し、“トランプ叩き”に腐心したわけだ。

<引用終り>

この話を見ると、「一体アメリカはどないなってんねん」、こう言いたくなる。兎に角アメリカ民主党はFDRの時代から共産主義者に乗っ取られていたのだが、また悪夢の再来と言った所だろう。

丁度そんな折、このアメリカ民主党の無茶苦茶ぶりを嘆くアンディ・チャン氏の記事がでた。
日本のモリカケ騒動と全く同じ構図、アメリカは現民主党、日本は元民主党の違いはあるが、民主党と言うものがどんなものか良く分かる。
そんな事で、丁度いい事例として引用します。

<以下引用>
http://melma.com/backnumber_53999_6740435/
AC論説 No.712 民主国家アメリカの頽廃

 この一か月というもの毎日が不愉快だった。私は政治家ではないけれど民主党がでっち上げたセクハラ騒動で最高裁判事の任命投票を一か月も遅らせ、テレビや新聞の嘘八百を見るのは不愉快この上ないことだった。

 政権奪取のため証拠のないセクハラ告発で清廉潔白な人とその家族の将来を滅茶苦茶にした民主党の悪辣な策謀は民主主義国家アメリカを無法な国としたのである。

 10月1日からアメリカ政府は新年度が発足したが、民主党の時間稼ぎが成功したおかげで最高裁のケネディ判事が引退してカバノー氏の任命投票が行われず、最高裁判事は8人のみとなった。なぜカバノー氏の任命を遅らせたのかというと、民主党は中間選挙まで判事任命を遅らせ、上院で過半数を取ればトランプ大統領の推薦する人事をすべて否決して政権を麻痺させ、続いてトランプ大統領を罷免するという、サヨクがアメリカ民主国を乗っ取る国家転覆の陰謀である。

 上院議員とは国家の政治を司る政治家のことである。そんな政治家がウソを指摘されても顔色一つ変えず白々とウソを繰り返す。国家の最高議会を制覇する、そのあとでトランプ大統領を罷免する。そのために一人の立派な司法官とその家族の将来を踏みにじる策謀はまったく唾棄すべきだが、議会における奸智陰謀のやり取りを見ながらどうすることのできない国民の焦燥と失望が一月も続いたのだ。

 セクハラは女性にとって大問題である。女性だけではなく無実の告発を受けた男性にとっても大問題である。告発が真実か誹謗かを調査するのは細心の注意が必要だ。セクハラ告発はNYタイムスのたった一度の記事だけなのに、民主党と左翼メディアはセクハラがあったように報道し、告発した女性の談話も顔写真もないのにカバノー氏を犯罪者扱いで宣伝したのである。

 無実の告発をされたカバノー氏は即日これを断固否定して、上院の司法委員会で公聴会を開くことを要求した。これに反して告発者のクリスティーン・フォードと民主党の議員はあれこれ理由をつけて公聴会を遅らせた。新聞の記事一つだけで民主党議員は争ってセクハラを受けた女性を「信じる」と発表したのである。この女性の談話も説明もない、たった一度の新聞記事でカバノー氏を犯罪者と断定したのだ。彼らに判断力がないのではない。判断を避けてウソの告発を支持したのである。国家の最高議会の民主党議員が正義、真実、倫理や道義などを一切無視して断罪を下した、恐るべきことである。

 NYタイムスの記事だけで、告発した女性はセクハラが起きたと称する年月日も不明だし、パーティに参加した証人もいない。しかも新聞が報道した後も本人は沈黙したままだった。共和党の委員会議長は双方を公聴会に招致したが、告発者フォード女史は公聴会は嫌だ、秘密会議でなければダメだ、飛行機に乗るのが怖いから行かない、カリフォルニアで質問を受けるのも拒否するなどあれこれ条件を上げて、最終的に公聴会に来ると同意しても月曜日はダメ、木曜日にするなど理屈をつけて公聴会を三週間も遅らせたのである。

 呆れたことにこの三週間の間に第二、第三の女性がセクハラを受けたと言い出した。しかし二人ともカバノー氏とのかかわりを証明するものは一つもなかった。それでも民主党側はこの三人の言いがかり、でっち上げを取り上げて、FBIの調査を要求して判事の任命投票を遅らせようとしたのだ。FBIはこれまで6回もカバノー氏の身元調査を行ったことがあるが、民主党はFBIが7回目の調査をすれば任命投票を中間選挙まで遅らせることが出来るという策略に出たのである。

 公聴会を開くことが決まったあと民主党側は、委員会の共和党議員はみんな男性だから(民主党側には女性が三人)ダメと言い出したのである。それで議長はやむなくアリゾナ州のセクハラ事件調査に詳しいRachel・Mitchell 検察官を招聘してフォード女史の質問にあたらせたのだった。

 公聴会が終わった翌日、議長は上院総会でカバノー判事を最高裁判事に任命投票することの票決を取ろうとしたが民主党側の10人は反対、そしてFBIのセクハラ告発事件の調査を要求した。司法委員会議長は両党委員の同意のもとに、FBIが一週間を限ってカバノー判事のセクハラ調査をすることに同意し、総会における任命投票はマッコーネル上院議長の決定に任せると決定した。これで司法委員会のカバノー判事の最高裁判事任命の任務は終わったのである。

 10月1日、公聴会でフォード女史に事情質問をしたRacehl・Mitchell 検察官が5ページの結果報告書を公表した。結論として9点からなる理由を挙げてフォード女史のセクハラ告発はあまりにも証拠薄弱で検察官としてカバノー氏を起訴はできない、「彼がどうした彼女がどうしたと言った悪魔の証明」ではなく彼女の陳述は記憶不十分、証人不在、経過が曖昧などで、少しも信憑性がないと言う報告書を提出した。

 Mitchell検察官の報告によるとフォード女史はセクハラがあった日付も場所も覚えていない、誰が彼女を車を運転したか、セクハラを受けたあとで誰の運転で家に戻ったかも記憶がない。彼女がパーティに参加したとして挙げた男三人と女一人はパーティはなかったと証言した。しかも名を挙げた女性は、パーティなどなかったしカバノーという人も知らないと弁護士を通じて証言した。

 これは司法委員会の公聴会の結果報告、つまり公聴会の公式発表である。ところが今日10月2日のサヨク新聞、ロスアンジェルス・タイムス、NYタイムス、ワシントンポスト、すべてMitchell検察官の報告書を報道していない。

 FBIの調査報告は両党側委員の同意により今週金曜日に公表すると決まっている。これ以上カバノー氏の任命投票を遅らせる理由はない。マッコーネル上院議長は今週中に総会で任命投票すると発表した。

 以上が今日までの国中を騒がせた判事任命の経過である。女性にとってセクハラは大事件だが、共和党側がこの事件を処理した態度は公正、公平だったにも拘わらず民主党側の態度は呆れるほど悪辣だった。リベラルがホシュを倒す陰謀と言えども正義が通らない、平気でウソを吐く、政党のために無実の人を罪に陥れる政治家は唾棄すべきである。

 オバマが大統領になって以来アメリカは分裂が酷くなった。オバマが黒人の犯罪を弁護したため人種分裂が起き、続いて民主党と共和党の分裂、男女の人権分裂、同性愛者と性転換者の権利主張などが起きた。オバマ民主党はヒラリー当選のためヒラリーの犯罪を無視し、クリントン一家の巨悪を増長させ、FBI/DOJの高官が選挙に介入し、トランプのロシア疑惑をでっち上げた。アメリカは民主が頽廃し、正義の通らぬ言論暴力国家になってしまった。民主党に正義感や反省はない。この国が更に堕落するか、立ち直ることが出来るかは不明である。
<引用終り>

この話には既視感がある。2010年のトヨタバッシングである。空母も核ミサイルも持っている超大国アメリカが一私企業を叩きに来たのだ。その為なら何でもありの噓のオンパレード。
あの時の公聴会の噓証言は今でもはっきり覚えている。
アメリカも民主党政権(オバマ政権)、日本も民主政権(土鳩政権)だった・・・。

アメリカは叩くためなら何でもありの国。特に民主党政権はみんなそうと言える。
そんな事で「WalkAway ムーブメント<左翼から立ち去ろう」、これが意味があるのだと思う。



最後に参考までに長谷川良さんが引用した大紀元の記事を引用しておきます。
THE EPOCH TIMES
大紀元日本 

草の根運動
左翼に「関わるな!」キャンペーンが米国で話題
2018年07月25日 14時03分

 左派勢力と係わらないよう呼び掛けるWalk Awayキャンペーンを開始した、ブレンドン・ストラカ氏。(Brandon Straka/EpochTimes)
左派勢力と係わらないよう呼び掛けるWalk Awayキャンペーンを開始した、ブレンドン・ストラカ氏。(Brandon Straka/EpochTimes)米国のSNSで「関わるな(Walk Away)」が6月末からムーブメントになっている。民主党を支持しない意思表示で、その理由を動画や写真をネットに掲載するというキャンペーンだ。

「最近の左のメディアは本当の民衆の声や体験、考えを無視しています。さらに、民主党に対する失望と否定は、このキャンペーンの支持者です。左派メディアや民主党は、米国人のためになることを、何もやっていないのです」。キャンペーンの発起人であるブレンドン・ストラカ氏(26)は大紀元英語版の取材に答えた。

動画共有サイトに掲載された映像は、この数週間でYouTubeなどのSNSで総計600万回以上再生された。FacebookやTwitterでは、ハッシュタグ#WalkAwayが流行した。話題の高まりにより、米主要保守メディア、フォックス・ニュースにも招かれて出演した。リベラルと民主党から距離を置くよう主張したストラカ氏の番組出演動画は、数十万回再生された。

ストラカ氏は、この草の根運動を次のように紹介する。「このキャンペーンは米国の寛容さ、礼儀正しさ、優しさ、市民交流を大切にするすべての人々により支持されています。この米国の価値に感謝する人々により毎日広がっています。私たちは、不誠実な左派メディアと左翼にあきれているすべての人々を歓迎します。」



ニューヨーク在住の美容師、俳優のストラカ氏は、かつては民主党の支持者だった。しかし、自分は「美辞麗句で煙(けむ)に巻かれていた」として、騙(だま)されていたと明かした。「強欲や誤解に扇動され、発言の自由が抑制され、虚構が蔓延(まんえん)している社会システムなど、私は受け入れたくありません」。

しかし、左派メディアの代表格であるCNNは7月17日の評論で、「関わるな(Walk Away)」について「ロシアが関与している」とコメントした。CNNは、この米国人による自主参加型の草の根運動は「ロシア宣伝工作による自動発信システム(bot、ボット)」だと報じた。その根拠として、キャンペーンの写真や動画には本物の米国市民かどうかの信ぴょう性がないと指摘した。

CNNの主張は、多くのSNSユーザが転載し、「関わるな」ムーブメントの真偽が問われた。一部は、出演者たちが有償のモデルが出演しているのではないかといぶかしがった。

ロシアの政府宣伝アカウントもあきれるCNNの主張


Facebookグループの「関わるな」キャンペーンのメンバーは、自分たちは「ロシアの宣伝工作ボットではない」と主張した。ミシガン州出身の先住民族の血筋だというメンバーの一人はこうつづった。「私は適切な道を選択するために、(民主党と)関わらないようにしました。私は米国民であり、ロシアのボットなんかじゃありませんよ(笑)。皆さんに神のご加護がありますように」

ほかにも、「ちょっとメディア宣伝工作のみなさん。私はロシアのプロパガンダなんかじゃないですよ」「このキャンペーンの創設者や、民主党の手法と屁理屈について共有できるメンバーがいることに感謝したい」などのコメントが相次いだ。

いっぽう、「本物の」ロシアの政府宣伝アカウントも、米国CNNの報道を白眼視している。「この(真偽の)唯一の証左は、リベラルと米民主党から人々がますます離れているという事実だ」と指摘した。さらに「左派勢力は、自分たちが受け入れたくない価値観は、すべて『外国勢力の宣伝ロボット』とでも言うのだろうか。根拠のないことに騒いでいる」と関与を否定した。

(文=ジョシュア・フィリップ/翻訳・佐渡道世)
<引用終り>

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2018-09-30 22:50

WalkAway ムーブメント<左翼から立ち去ろう


 アメリカで今年の6月頃から突如沸き起こった運動がある。
WalkAway ムーブメントという。

ウォークアウエイ?、何じゃそれなのですが、「Walk Away 」にはいろんな意味があり、辞書によれば「楽勝」などと書いてあるが、これではさっぱりわからない。
「Walk away with~」なら楽勝、「Walk away from~」なら、「歩き去る」という意味から、「かかわらない」「ほうっておく」という意味。「Walk away」なら「かかわるな」「ほうっておけ」になるようです。

だからWalkAway ムーブメントはリベラルは左翼に乗っ取られた。だからリベラル=米民主党から立ち去ろう(かかわらない)、そんな運動という事だ。

その運動の動画サンプル・・・アメリカ版バイバイ「パヨク」


I Left なら leaveの過去形、The Left なら左翼ですね。洒落ですな。

中央のプラカードはピースマークですが、はて? どこかで見たことがあるような・・・。

少々古いですが・・・
これは日本の事例
2015-7-22国会前デモ英語だらけのプラカード写真2 

これはタイの事例
2018-9-30タイのデモのピースマーク 

参考エントリー:「日本とタイのデモの共通点 2015-07-22」 

こんなものを見ると、パヨクにはパヨクの世界ネットワークがあるようですねえ。困ったものです。

そして9月26日にこんなエントリーをしました。

このエントリーのコメント欄にポチョム菌さんという方からコメントをいただきました。 
「左翼には昔から「運動乗っ取りマニュアル」がある」という事です。その内容は
メンバーになる → 過激な主張をする → 反対者を徹底的に攻撃し内部抗争を作る → まともな活動が出来ない状態にする → まともな人が出て行く → その運動の歴史と名前を受け継いだまま中身だけが入れ替わる
というもの。
ポチョム菌さんは「ウォークアウェイ運動」なんていうのはまさに「まともな人が出て行く」段階そのものと指摘していますが、私も同感です。

そこで前回も紹介したtarafuku10さんが動画を訳していますが、この「WalkAway ムーブメント」の提唱者であるブランドン・ストラカの声明ビデオも訳してくださっていますので、それを紹介したいと思います。

特にストラカ氏が左翼について指摘している部分。「非アメリカ的」という部分を「反日的」と置き換えれば日本にそのまま当てはまる。

左翼は、不寛容で、柔軟性がなく、非論理的で、憎悪にあふれ、見当違いで、知識不足で、反日的で非アメリカ的で、偽善的で、威嚇的で、無慈悲で、無知で、心が狭く、ときにあからさまにファシスト的な行動とレトリックへと退化した。

日本でも新潮45問題など左翼が猛威を振るっているが、そんな事の参考になる話ではないかと思う。

<以下tarafuku10 さんのツイッターから引用>
tarafuku10 @tarafuku10 2018-09-12 

米国 #WalkAway ムーブメントの主唱者、ブランドン・ストラカの声明ビデオを訳してみた。彼は1年ほど前まで民主党支持者だったが、左翼/リベラルの独善性に嫌気がさして離脱。ほかの人にも離脱を勧めている。ストラカはもともとはゲイ・ライツの運動家。



昔々、私はリベラルだった。実のところ、1年前の今頃でさえ私はまだリベラルだった。私がリベラルになった理由は、自分が大切だと思う価値を共有する仲間を見つけたと思ったからだ。私は、あらゆる種類の人種差別を強く拒む。性別や性的指向に基づき人を疎外することを拒む。専制的な集団思考を拒む。


言論の自由を抑え込み、虚偽のストーリーを紡ぎ、真実を冷酷に押しつぶすために、功名心とデマにまみれた独善的な暴徒の存在を許すシステムを拒む。イデオロギー的な計略を押し進めるエセ科学や迷信を受け入れることを拒む。憎悪を拒む。
 

それが私がリベラルになった理由だ。そして、まさしく同じ理由で、私は立ち去ろうとしている。


左翼は、不寛容で、柔軟性がなく、非論理的で、憎悪にあふれ、見当違いで、知識不足で、非アメリカ的で、偽善的で、威嚇的で、無慈悲で、無知で、心が狭く、ときにあからさまにファシスト的な行動とレトリックへと退化した。私はそれをここ何年にもわたって目撃してきた。 
2018-9-30walkaway1 
(引用者注:バークレーはカリフォルニア大学の所在地、NAZI SCUMはナチのクズ)


リベラル主義は、それが立ち向かっていると主張するまさにその性質に取り込まれ、吸収されてしまった。私はここ何年にもわたって、左翼の人々が彼ら自身の偏見と頑迷さ、そして彼らの価値に共鳴する周りの人々の偏見と頑迷さに麻痺していくのを目撃してきた。


人種差別を拒むと主張する、かつては感受性豊かだったこれらの人々が、白い肌をもつすべての人々を一様に憎み、社会のすべての問題を彼らのせいにするという原則を信奉するようになったのを目撃した。男女平等の支援が、男性と男性性へのあからさまな憎悪と不寛容に変容するという皮肉を目撃した。


LGBT コミュニティに対して平等な社会を目指すという、かつては真剣だった闘いが、異性愛規範を非論理的に悪魔化し、ジェンダーに関する従来の概念の批判と攻撃を推進するように変化したのを目撃した。
 

こうした自称「不寛容の犠牲者」は、彼らの主張を押し進めるためにかつては寄り添っていたゲイ・コミュニティに牙を剥いて、ゲイの人々を「特権的」と呼び、自分たちのことは不正の「犠牲者」と呼ぶようになった。


偏見を固めるためなら事実/証拠/事象をも捻じ曲げる社会正義戦士により、虚偽のストーリーと結論が不朽のものとなり、左翼がそれを催眠術に掛かるように信じ込むのを私は目撃した。彼らの偏見だらけの結論を受け入れない者や、彼らの命令に従わない者は、差別主義者、偏狭、ナチ、白人至上主義者... 


...同性愛嫌い、イスラム教嫌い、外国人嫌い、女性嫌い、オルトライト過激主義者と呼ばれた。反撃するすべての人々を怖がらせ、脅迫し、いじめ、黙らせ、攻撃し、職を奪い、ブラックリストに載せ、破壊するために、ぞんざいに割り当てたこうした冷酷なレッテルを貼るのを私は目撃した。 


彼らは私を狙いに来るだろう。その次はおそらくあなただ。最悪なことに、民主党とリベラルメディアは、このカルト的イデオロギーを信奉し、お墨付きを与え、支援し、けしかけている。


私がかつて愛した民主党は、票の獲得と権力維持のために極左と手を結んだ。民主党とリベラルメディアは、不正に生み出した結論を信じ込み、気味の悪いことに彼らだけが社会の悪を退治する方法を知っているのだと決め込んた。左翼は、人種差別を強めることで、米国の人種関連の問題を解決すると決めた。


左翼は、あるグループを攻撃し、侮辱し、非人間的に扱うことで、他のグループの地位を向上させることができると信じている。左翼は、ニュースを伝える際、目的が手段を正当化するのだから、嘘をつき、真実を省略し、事実を歪めることは無限に許されると信じている。


左翼は、認められるべき観点は彼らの観点のみであり、開かれた議論を抑圧/検閲/禁止することは美徳で進歩的だと決めてしまった。民主党は、アイデンティティに基づき人々をグループ化した上で「犠牲者」と「抑圧者」に分けるという有害な思考体系を、なんの疑念もなく喜び勇んで採用した。 


もしあなたが、有色人種、LGBT、女性、または移民なら、民主党はあなたが犠牲者であり、ずっと犠牲者のままの運命にあるのだと思い込ませようとするだろう。彼らは、あなたがあなたに不利になるように仕組まれたシステムの中で存在し続ける犠牲者であり、制度的な抑圧の犠牲者であり...


...あなたの置かれた環境の犠牲者であり、どんなに勤勉に働いても、どんなにやる気を出しても、あなたの犠牲者的立場や周りの人の特権を覆すことはできないと主張するだろう。おそらくこれが、民主党の最も狡猾で最大の嘘だ。 
 

あなたが今アメリカに住むマイノリティの1人なら、左翼政治家とリベラルメディアはこの嘘をあなたに見破られることだけは避けたいと考えている。だからこそ彼らは、あなたが危険に晒されていて、成功することなどないというストーリーを塗り固めるための情報をあなたに浴びせ続ける。


あなたの恐怖と不安を操るために、あなたは不利な条件におかれ、権利を奪われ、彼ら以外のすべての人に使い捨てにされる存在なのだと言うだろう。あなたには彼らが必要なのだと言うだろう。彼らの庇護の下でのみあなたは安全だと言うだろう。あなたを縛るすべてから解き放ってあげると約束するだろう。


そして、彼らはあなたのためにまったく何もしない。 


昔々、私はリベラルだった。しかし、リベラル主義は変容した。私は、調和、平等な機会、向上心、思いやり、愛といった私の価値と矛盾するすべてを代表するイデオロギーや政党の一部であることをやめた。私は立ち去る。そして、すべての皆さんに私と同じ行動を取るように勧めたい。
立ち去ろう。 

翻訳は以上です。
<引用終り>


どうでしょうか。アメリカでこんな動きが出てきたことは当然日本にも影響が出てくると思います。

この問題を「大紀元」が取り上げ、それをウィーン在住の長谷川良さんが取り上げています。
大変興味深い内容ですが、それは次回取り上げます。


台風情報です。
今台風24号がやってきていまして、22時30分、突然風が止まりました。どうも台風の目に中に入ったようです。気圧は拙宅の気圧計は980hPaまで測れるのですがスケールアウト、970hPa辺りで止まり、これ以上下がりません。気象情報は名古屋港の潮位が21時現在でプラス3mを超えたと言っていますが、この時間徐々に下がり始めているようです。でもこれだけ潮位が上がるとあちこちで浸水被害が出ているかもしれません。気がかりです。さて間も無く吹き返しの風で西風になりそうです。台風はこのまま日本列島を縦断し、明朝は北海道に達するようです。進路にあたる地域の皆様、今後も警戒をお願いします。 9月30日 22時48分記す

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2018-09-29 17:10

マルクス主義とは


 9月26日に「左翼とリベラルの違い<アメリカの話です」をエントリーしたのだが、同じtarafuku10さんが米国の政治学者、ポール・ケンゴーによる動画「カール・マルクスって誰?」を訳している。大変面白いので全文引用します。
尚tarafuku10さんが言っているように米国向けなのでそれを承知で見る必要があります。
それと、さらりと書いてありますがとんでもない内容も有りますので、その内容で私の知るところも補足として書いてみます。

では最初に「カール・マルクスって誰?」から
<以下引用>
https://twitter.com/tarafuku10/status/1044248638438936576

tarafuku10
米国の政治学者、ポール・ケンゴーによる動画「カール・マルクスって誰?」を訳してみた。共産主義を批判する立場からのマルクスの解説。今回も、基本的に米国人対象の動画であることにご留意ください。
8:34 - 2018年9月24日
2018-9-29マルクス主義の解説bytarafuku10さん 







思想には結果が伴います。良い場合もあれば、悪い場合もあります。そして、破滅的な場合もあります。そう、カール・マルクスの思想のように。
2018-9-29マルクス主義1 



マルクスは1818年にドイツのトリーアで生まれました。彼が共産主義を発明したわけではありません。しかし、彼の思想に基づき、レーニンとスターリンはソビエト連邦を建国し、毛沢東は共産主義中国を建国し、北朝鮮のキム一族やキューバのカストロ一族を含む数多くの独裁者が共産主義政権を築きました。
2018-9-29マルクス主義2 

 

究極的に「マルクス主義者」を自称するこれらの政権や運動により、約1億人が殺され(引用者注1参照)、10億人超が奴隷化されました。マルクスは、労働者、特に現場労働者が資本家に搾取されていると信じていました。マルクスによれば、資本家とは「生産手段」(主に工場)を所有し、ほとんど肉体的労働をしない人々です。
2018-9-29マルクス主義3 

 

彼はその著作『資本論』において、労働者による革命のみがこの不正義をただすことができると論じています。その革命とはどのようなものでしょうか?
2018-9-29マルクス主義4 

 


マルクスと彼の共同作業者であるフリードリッヒ・エンゲルスは、『共産主義者宣言』においてそれを詳説しています。そこには、「財産権と相続権の廃止」「銀行、通信、輸送の国家による中央集権化」、その他さまざまな同様の主張が含まれます。
2018-9-29マルクス主義5 

 


言い換えれば、国家がほとんどすべてを所有し、統制するということです。マルクスの存命中も、こうした考えは欧州の知識人の活発な議論・討論の対象になりましたが、それ以上のものではありませんでした。1917年にロシアでウラジミール・レーニンが権力を握るまでは。そして、これが全てを変えました。
2018-9-29マルクス主義6 

 


度重なる経済的失敗にもかかわらず、レーニンのロシア(ソビエト連邦)は世界中の独裁者の手本となりました。マルクスの思想が実践された場所では、生活は常に、少しどころか大幅に悪化しました。ソビエト/東欧/中国/北朝鮮/ベトナム/キューバ/ベネズエラ/ボリビア/ジンバブエ。例外は1つもありません。
2018-9-29マルクス主義7 

 


マルクス主義の向かうところ、経済は崩壊し、恐怖と飢えが訪れます。人間を酷く苦しめるという壊滅的な失敗がマルクス主義の避けられない遺産だとすれば、なぜ多くの人、特に現在の若者たちがこれを擁護するのでしょうか?(引用者注2:ソ連の失敗は80年代初頭まで分からなかった)
2018-9-29マルクス主義8 

 


マルクス主義の信奉者による最も一般的な回答は、「彼ら」(それが指すのが、レーニン、スターリン、チャベスでも)はマルクス主義を実践していなかったというものです。何か間違ったやり方をした、と。
2018-9-29マルクス主義9 

 


マルクス主義とは、根本的には、私たちが持つものを分け合うことだそうです。「それぞれが能力に応じて働き、ニーズに応じて受け取る」とマルクスは表現しています。良い話に聞こえるかもしれません。しかし、これは何を意味するのでしょうか。誰が能力を決めるのか? 誰がニーズを決めるのか?
2018-9-29マルクス主義10 

 


答えは国家です。支配層のエリートです。マルクス主義では、国家が全ての権力を持ちます。したがって、レーニン、毛沢東、ポルポトなど、マルクス主義の独裁者はマルクス主義を正しく実践したのです。それが真実です。彼らは絶対的な権力を欲しがり、マルクス主義がそれを実現する手段を与えたのです。
(引用者注3:マルクスは労働者の味方のように思われているが、実際は労働者をバカにした)
2018-9-29マルクス主義11 

 


カール・マルクスは彼の理論の結果に直面することはありませんでした。大人になってからのほとんどの時間を、エンゲルスという共同作業者/パトロンの援助を受けながら、英国ロンドンの自由な空気の中で過ごしました。エンゲルスの資金も裕福な商人だった父の遺産を相続したものです。
2018-9-29マルクス主義12 

 


マルクスは大英博物館の閲覧室で研究/執筆しながら暮らしました。「科学的」という言葉に執着していましたが、彼の理論を証明するためのデータをまとめることはできませんでした。それには理由があります。彼の理論を証明するデータなどなかったのです。図書館で多くの時間を過ごしたにもかかわらず...
2018-9-29マルクス主義13 

 


...私有企業が商品とサービスを自由に交換する資本主義が、一時的な局面に過ぎないことを示すデータを見つけられませんでした。工業化時代を通して、労働条件は改善し、富は拡大しました。マルクスは自分の正しさを主張するために、古いレポートに頼らざるを得ませんでした。
2018-9-29マルクス主義14 

 


しかも、彼のあらかじめ決めた理論に合わせるために、データを操作する必要がありました。しかし、マルクスは彼の理論を証明することに特に興味はありませんでした。暴力によってのみ理論を実践できることを彼は知っていたのです。彼自身がそう書いています。「もちろん、(共産主義は)最初は...
2018-9-29マルクス主義15 

 


...専制的な襲撃以外の手段では達成できない」(彼の目的は)「全ての既存の社会状況を力で転覆することでしか実現できない」。全ての既存の社会状況。これには、宗教、家族、私有財産、自由、民主主義が含まれます。マルクスの地上の楽園構想を実現するには、これらすべてが消える必要があります。(引用者注4:宗教、家族、私有財産、自由、民主主義を否定するのが現代の左翼思想、フランクフルト学派です)
2018-9-29マルクス主義16 

 


しかし、自由や財産を自発的に差し出す人はほとんどいないので、マルクス主義国家を作るには銃、監獄、裁判なしの処刑が必ず必要です。レーニンをはじめとするマルクスの数多くの弟子たちは、これを問題とは考えません。アイドル的人気を誇る革命家のチェ・ゲバラなどは、これをボーナスだと考えます。
2018-9-29マルクス主義17 

 


「人を処刑するための証明など私には必要ない。処刑が必要なのだという証明さえあればよい」とゲバラは自慢そうに述べたと伝えられています。
(引用者注5:ゲバラが好きなのは日本にもいます。ビーチ前川さんなど)
2018-9-29マルクス主義18 

 


マルクス主義に起因するこうしたすべての死、苦しみ、破壊を経た後も、あなたがマルクス主義のファンだと言うなら、それはあなたの権利です。しかし、責任を持ちなさい。「マルクス主義はこれまでに実践されたことがない」などというセリフの陰に隠れたりしないように。

既に結果は出ています。(了)
2018-9-29マルクス主義19 

<引用終り>

(引用者注1:「約1億人が殺され」について)
此処に共産主義黒書という書物がある。

参考エントリー:「理念が正しければ民主性は問わない  2016-06-29」

1997年にフランスで「共産主義黒書」という本が発売され、大評判になった。
著者の6人の研究者たちがこの本を書こうと思い立ったのは、ヒトラーもスターリンもやったことは同じというところにある。
この中で、共産党が戦争以外で殺した人の数、つまり粛清やテロや強制収容所などで虐殺した人の数を調べて以下のように列挙している。

 ソ連(ロシア):2000万人
 支那:6500万人
 ベトナム:100万人
 北朝鮮:200万人
 カンボジア:200万人
 東欧:100万人
 ラテンアメリカ:15万人
 アフリカ:170万人
 アフガニスタン:150万人
 国際共産主義運動(コミンテルン)と政権についていない共産党によって殺害された人:約1万人
 総計:約1億人

これほどの残虐行為を行なった共産主義は、これまで一度も裁かれていない。
そしてこの大著が出版されてから20年。実際の死者はもっと多そうだと言われているが、まだそれを纏めたものはない。まあそんな風でこの数字を見てください。



(引用者注2:ソ連の失敗は80年代初頭まで分からなかった)
ソ連の崩壊は91年だが、89年にはもうガタガタであることは知られていた。しかし80年代初頭まではソ連は上手く行っていると西欧職期では信じられていた。以下エントリー参照ください。
「私は未来を見た うまくいっている未来を<ソ連の話です  2018-01-18」


(引用者注3:マルクスは労働者の味方のように思われているが、実際はマルクスは労働者を馬鹿にし、金銭には極めて汚い人間だった
参考エントリー:「中国のマルクス礼賛、だがマルクスは労働者をバカにした  2018-05-11」


(引用者注4:宗教、家族、私有財産、自由、民主主義を否定するのが現代の左翼思想、フランクフルト学派です)
例えばこんなものが参考になります
こんな人間としての徳目をすべて否定したら・・・、後はケダモノの道しか残りません。
最近の左翼パヨクが出鱈目をやっていますが、すべてこれですね。ケダモノです。



(引用者注5:ゲバラが好きなのは日本にもいます。ビーチ前川さんなど)
参考エントリー:前文部科学事務次官いわく、ネトウヨは「教育の失敗」
2017-11-23ゲバラと前川 

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2016-09-24 17:12

世界の真の敵はイスラム恐怖症<トッドの話です

 ソ連の崩壊を予言したことで有名になったエマニュエル・トッドが最近「世界の真の敵はイスラム恐怖症である」、こんな事を言い出した。

この件は私もよもぎねこさんのブログで知ったのだが、よもぎねこさんはあまりにも突拍子もない論旨がお気に召さないらしい。
「フランスパヨクへの違和感 エマニュエル・トッド」
http://yomouni.blog.fc2.com/blog-entry-5659.html#comment

よもぎねこさんの言い分は上掲ブログをご覧いただきたいが、私も上掲ブログにコメントしようと思ったのだが、何せよもぎねこさんはケガで入院中。あまり無理な負担をかけるようなことは遠慮すべきかと思い、このブログに書くことにしました。


尚トッドについて説明すると、1976年に弱冠25歳にしてソ連の崩壊を、乳児死亡率の異常な増加に着目し、歴史人口学の手法を駆使して預言した事で一躍有名になった。この76年当時はソ連の経済発展は素晴らしく、アメリカを追い越すのは確実と見られていた。そんな時に崩壊を予言、その慧眼ぶりは素晴らしいものがある。
尚この件で私もトッドの著書『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる』(2015年5月20日刊)を昨日慌てて手に入れたのだが、この著書でもイギリスのEU離脱を断言している(2014年8月の記事にて)。
そんなことで私はトッドの意見は大いに参考になるとみている。


このトッドの論文で取り上げたいことはたくさんあるのだが、最初にこの事を問題にしたい。
トッドは
>“自由・平等・友愛”というフランス革命以来の標語に基づく共和国の在り方は消えつつあるのです
こう言っている。

しかし私はこの“自由・平等・友愛”というフランス革命以来の標語がそもそも食わせ物と見ている。
なにが食わせ物か?
Liberté, Égalité, Fraternité、これは自由、平等、友愛のフランス語だが、中でも『Fraternité』、これは現在日本では「友愛」と訳されているが、この「Liberté, Égalité, Fraternité、」が日本に紹介されたときは「自由、平等、博愛」と訳され、現在もそういわれることがしばしばある。しかし大誤訳だった。
手元の辞書を見ると、「Fraternité」は確かに「友愛・同胞愛」だが、wikiによると
「友愛(ゆうあい、希: φιλία、羅: fraternitas、仏: fraternité、英: fraternity)とは、兄弟(兄弟姉妹)間の愛、友人間の愛、友情などを意味する。倫理道徳の一つであり、哲学思想の主題となることがある。」とある。
つまり「人類みな兄弟、皆で仲良く」、こんな意味ではない。
言葉の通じる、価値観を共にした仲間の間で成り立つもの、それが「 Liberté, Égalité, Fraternité、日本語では自由、平等、友愛」なのだと。

トッドは言葉の通じる、価値観を共にした連中だけが仲間、同胞だと言外に言っている訳だ。

類似の話は昨年初め、某隣国について外務省が基本的価値を共有する国』という表現を外したことが挙げられる
この「基本的価値を共有する」のが「Fraternité」=友愛・同胞愛の基本的条件。イスラムはこの条件から外れた人が多いという事なのだろう。

日本も基本的価値を共有しない御仁を抱えて苦労している。同じではないか・・・


もう一つがドイツ問題である。
トッドは「ドイツ帝国が世界を破滅させる」、こんな著書を出してドイツをたたいている。そう言ってよもぎねこさんも御怒りだ。
しかし実はドイツは20年前、10年前のドイツとは全く変わってしまった。今は中韓と並ぶ反日国である。
ドイツびいきの私としては何とも悲しいが、これが現実だ。

この件、長くなるので次回にエントリーします。


参考までにトッドの論文全文を載せておきます。長いですが興味深いものがあります。

<以下引用>
http://mmtdayon.blog.fc2.com/blog-entry-1760.html?sp
【特別寄稿】 「世界の真の敵はイスラム恐怖症である」――“現代最高の知性”エマニュエル・トッドが読み解くヨーロッパの病理

2016-9-22世界の真の敵はイスラム恐怖症1

昨年、フランスでは社会を揺るがす2回のテロがありました。1月7日の『シャルリーエブド』襲撃事件と、11月13日の『パリ同時多発テロ』です。現在、フランスは“闇の中”に沈没しつつあります。それを齎しているのは、多くの犠牲者を出したテロそのものではありません。非常に力を持っている中産階級(社会全体の上位半分)が、移民や若者といった下位の階級の人々に対して利己的な態度を取ることによって、社会がそういった人々を吸収・統合する能力を失っている現象に他なりません。“自由・平等・友愛”というフランス革命以来の標語に基づく共和国の在り方は消えつつあるのです。フランスを始めとするヨーロッパの中産階級には、ヒステリックなイスラム恐怖症が蔓延しています。しかし、そこで悪魔のように語られるイスラム教徒は、実像を反映したものではなく、人々が極めて観念的に作り上げたフィクションです。失業率が10%を超えているフランスは、経済的な苦境に立たされています。そして、全ての先進国に共通する特徴の1つは、若者たちが社会的にも経済的にも押し潰されようとしていること。中でも厳しい状況に置かれているのが、イスラム圏を出身地とする若者たちです。イスラム恐怖症は、経済的に抑圧された若者を社会から疎外させ、事態をより深刻にしています。フランスの社会的メカニズムの一部となりつつある不平等さ・不寛容さが、フランスの若者をテロリズムに導くことに繋がっているのです。シャルリーエブド事件の直後、パリ市内、そしてフランス各地の街角で「私はシャルリー」(Je suis Charlie)とメッセージを掲げる数百万人の市民が繰り広げたデモ行進は、まさにそうした無自覚な差別主義の発露でした。差別されている弱者グループの宗教の中心人物であるムハンマドを冒涜することは、宗教的・民族的・人種的憎悪の教唆と見做さなければなりません。大いに美化された“表現の自由”を訴える。“シャルリー”たちの主張からは、観念的なイスラム恐怖症が見え隠れし、平等や友愛の精神は置き去りにされていたのです。ヒステリックな反応の嵐が吹き荒れる中、シャルリー現象への僅かな疑いすら述べることが許されない風潮がありました。いつの間にか、「私はシャルリー」という決まり文句は「私はフランス人」と同義になり、ムハンマドへの冒涜はフランス人の“権利”ではなく“義務”となっていたのです。ムハンマドの風刺をフランス社会の真の優先事項と見做さなかった私は、昨年1月の事件の後、演出された挙国一致の世情に嫌気が差して、数ヵ月間に亘ってフランス国内メディアからのインタビュー依頼を全て拒否しました。尤も、「私はシャルリー」と声高に叫ぶ人々は、「自分たちこそがフランス革命の理念の体現者である」と信じて疑わなかった訳ですが。

こういった一連の事象の背景にあるものとして、現代フランスにおける宗教的危機の状況を強調しない訳にはいきません。つまり、集団的信仰としての宗教が消えてしまったということ。嘗て、フランスにおいて中心的だったカトリックは、すっかり社会の本流からは消滅してしまいました。結果として、個人は益々超個人主義的になって孤立しています。こうした精神的な空白から、拠り所を失ったフランスの支配階級は、自己陶酔的な肯定の場を“反イスラム”に求めているのです。都市郊外の若者や一般の労働者は、昨年1月11日にフランス各地で行われた巨大デモには殆ど参加しませんでした。逆に、シャルリー運動に高いパーセンテージで参加していたのは、最近までカトリックだったが今はそうでない諸地域の人々だったことが、各種の調査から明らかになっています。宗教的危機と経済問題で顕著になっている社会の統合能力の低下を前にして、指導者だけではなく、中産階級全体が本来取り組むべき問題を解決しようという気持ちを失っています。寧ろ、危機の本質から逃れる為に、「フランス全体がイスラムに対して戦争状態にある」と信じさせようとしています。「イスラム教をスケープゴートに仕立て上げることで統治をしよう」と政府が(無意識かもしれませんが)動いており、国民もある程度は追随している状態にあります。1年前のテロの際には、宗教的危機に便乗する形で、政府が心理的ショックを利用して一致団結を演出しました。オランド大統領は大規模なデモの実施を決め、全国的な動員へと繋がりました。そして、休刊を余儀なくされたシャルリーエブドは、政府の助成金によって特別号を発刊しました。再びムハンマドを冒涜する表紙と共に――。“自由の国”フランスは、暗い歴史を背負っています。例えば、第2次世界大戦中にナチスドイツに協力したヴィシー政権は、それまでの共和国的な価値観を放棄して全体主義的な政体を築きました。このままの歩みを続ければ、フランスは近い将来、再び同じような変容を迎えることになりかねません。これは誤解してほしくない点ですが、私は決して心楽しく、「祖国が夜の闇にのめり込んでいる」と指摘している訳ではありません。こう発言せざるを得ないことは、自分にとって気持ちの上でとても辛いことです。自分の知っているフランス、そして自分の愛する世界が失われてしまう訳ですから。

2016-9-22世界の真の敵はイスラム恐怖症2

こうした社会崩壊のプロセスを分析し、また危惧の念を表明したのが、昨年5月に発表した『シャルリとは誰か?』です。私の言説は多くのフランス人にショックを与えたようで、ヒステリックな反発も受けました。マニュエル・ヴァルス首相(左写真(引用者注:上掲写真))は書籍の発売当日に、『いや、1月11日のフランスは欺瞞ではない』と題する長い論評を『ル・モンド』(5月7日付)の1面に寄稿して、私を公然と批判しました。政治指導者の本来の役割は、失業率が高止まりしている目の前の経済状況を好転させることにある筈なのですが…。残念ながら、『シャルリとは誰か?』で示した不安は最早、杞憂とは言えなくなりました。現在、オランド政権は、二重国籍のフランス人がテロリストとして有罪となった場合、フランス国籍を剥奪するという条項を憲法に書き込もうとしています。国民の間に2つのカテゴリーを作って、両者に法律的な差を設けようというのです。これは、ヴィシー政権が国内のユダヤ人からフランス国籍を剥奪した過去を彷彿とさせます。若し現代のフランスでもそんなことが起きれば、それはあらゆる市民が平等であるという普遍主義的共和国の終焉に他なりません。フランスで大きな議論を巻き起こしているこの問題からは、私は一種の狂気のようなものを感じます。というのも、実際的なテロ防止には何の効果も発揮しないことが明白だからです。命懸けでテロを企てている若者が、国籍を剥奪されるからといって犯行を思い留まるでしょうか。ところが、政府は恰も憲法改定を反テロの象徴であるかの如く振り翳している。中世の魔法使いが、雨を降らせる為に行っていた儀式と殆ど変わりありません。現在、フランスには約300万人の二重国籍者がいます。多くはモロッコやアルジェリアといったマグレブ諸国出身で、然程熱心でない人も含めて大半はイスラム教徒が占めています。こうした人々を危険なカテゴリーに押し込め、テロリストになる候補者として扱うことは、国民の分断を招くだけで全く馬鹿げた行為であると言えます。或いは、支配階級や為政者たちは、無自覚の内にフランス社会の倒錯的な欲求を示しているのかもしれません。要するに、「イスラムなる“敵”と対決したい」という欲求です。それが顕在化したのが、「私はシャルリー」デモだったのです。しかし、それは当然ながら国民の約1割を占めるイスラム系の市民と対立し、彼らを排除することに繋がります。更には、眠っていた反ユダヤ主義も呼び起こしつつあります。この分断を私は“夜の闇”と呼んでいるのです。

近年、排外主義を掲げる政党『国民戦線』の躍進がフランス内外で話題になっています。確かに、国民戦線は外国人嫌いの傾向が強い政党であることは間違いありません。しかし、フランスの主要政党を見渡すと、どの政党も今や“ライシテ(世俗性)”を強調しています。元々、政教分離と国家の宗教的中立性を意味していたライシテは、今ではイスラム恐怖症のコードネームのようになっています。国民戦線の主張が“主観的外国人恐怖症”であるとすれば、社会党や保守派の共和党は“客観的外国人恐怖症”であるとも言えます。イスラム系の若者は、左派の社会党に投票することが多い訳ですが、社会党が実は移民に好意的ではないことを敏感に感じ取っています。例えば、フランス北部のリールという街で出会った若者は、社会党が客観的外国人恐怖症であるという私の指摘に対して、「実際、そうだと思う」と語ってくれました。社会党の党内組織には、マグレブ系の若者が殆ど受け入れられていないと言うのです。実際に党幹部のメンバー構成を見ても、信仰を失ったカトリック文化出身者の勢力が非常に強いことがわかります。つまり、フランスにおける差別主義は最早、“極右”である国民戦線に限定された病根とは言えないのです。多くの若者たちにとって、現状が耐え難いことは想像に難くありません。若しもフランス共産党が生き延びていれば、社会の統合という点では役に立つ政党であっただろうと思います。フランスではよく言われる冗談ですが、共産主義は1つの普遍主義であって、国民全員を等しく強制収容所に入れるという思想ですから。

2016-9-22世界の真の敵はイスラム恐怖症3

第2のテロ、即ち11月13日のパリ同時多発テロは、まさに私が危惧した形で発生しました。都市郊外で育ったフランスとベルギー国籍の若者たちによって引き起こされたテロは、130名もの犠牲者を出しました。ジャーナリスト・警察官・ユダヤ教徒といった特定の人々をイデオロギー的な理由で狙ったシャルリーエブド事件とは違って、無差別に行われた犯行は、殺す為に殺している、純粋なニヒリズムを感じるような行為でした。従って、テロの後には、反イスラムやライシテといったイデオロギーの問題に転化するような現象が起こらなかったのです。寧ろ、多くの人々はショックを受け、茫然自失となっていました。テロの現場となったパリ11区は、パリ市内でも最も自由で活発な雰囲気があり、若い世代が集う国際的な街でした。私自身も多くの思い出がある場所です。第2のテロを受けての反応は、「私はシャルリー」の行進ではなく、政府による“戦争”の布告でした。フランスの空母『シャルル・ドゴール』から飛び立った戦闘爆撃機が、『IS(イスラミックステート)』が拠点としているシリアやイラクを攻撃したのです。確かに、ISはフランスを含めた西洋文明を敵視しています。過激派によるテロがパリ市内で起きた。また次なるテロが起きるかもしれない状況において、私たちはどうしても反知性主義的な反応を示すようになる。それが戦争にのめり込んでいく原因となるのです。ここで、私たちは少し理性的に状況を整理しなければならないでしょう。抑々、ISは悪魔のように言われていますが、歴史家・社会学者の観点から見れば、広範な意味において西洋が生み出したものなのです。特にアメリカは、近年の歴史において、中東を破壊する戦争に荷担してきた。勿論、アメリカだけではありませんが、そこに欧米の責任があることを忘れてはなりません。しかも、ISの中のジハード戦士たちは、西洋から現地入りした若者が大きな部分を占めています。アルジェリア人からこんな話を聞いたことがあります。くだけた表現ですが、「何でヨーロッパ諸国は、あなた方の“クソみたいなもの”をこっちへ送ってくるのか」と。ジハード戦士をイスラム社会から出てきたものとは見做していない訳です。シリアを中心とする中東の混乱を巡る問題で、当事者となり得る国は、イラン、トルコ、サウジアラビアです。それに加えて、決定的な軍事力を持っている国がアメリカとロシア。私が思うに、紛争はこの5ヵ国間で解決させるべきです。その上で、今のフランスには、そのオペレーションの場において結果を伴う行動を取るだけの能力は無い。従って、フランスが軍事的にやっていることは無意味なのです。寧ろフランスが行うべきなのは、イスラム恐怖症、或いは反ユダヤ主義に蝕まれている状況にある国内を再建することです。

今の状況でフランスが国外へ介入すると、力を尽くさなければならない国内の状況を寧ろ悪化させてしまう結果になってしまいます。実は、私がこうした意見を表明するのは初めてのことです。恐らく、フランスでは一種の裏切り者・敗北主義者と見做されてしまうでしょう。確かに歴史を振り返ると、フランスには普遍的な価値を掲げて、大きな役割を果たした時代がありました。イスラエルやシリアの情勢についても、フランスが介入して意味のある時期もあった。しかしながら、現在のフランスには国際的な道義や規範に関して発言する資格はありません。友人たちは「その通りだ」と言ってくれると思いますが、私は愛国者です。しかし、自国に十分な能力が無い時には、それを率直に認め、能力が無いことを直言することこそ愛国者の務めだと信じています。今のところ、発表されている世論調査等を見る限 り、フランス国内でISへの爆撃は概ね肯定されているように見受けられます。しかし、一部では風向きが変わりつつある。あるフランスのトーク番組にヴァルス首相が出向いた時、社会批評を行うユーモリスト(漫談師)が「それは“あなたの戦争”であって、“私の戦争”ではない」と言ってのけたのです。こうした意識は広がっていく可能性があるでしょう。「国の為に戦争で死ぬ覚悟があるか」という国際世論調査に対しても、フランスでは決して好戦的な結果は出てこなかった。このことからも、フランスにおける反イスラムの動きが極めて観念的であることが窺えます。因みに、余談になりますが、他国と比べて日本人で突出して多かったのが「わからない」という回答でした。これは以前から気になっていた傾向ですが、日本では自分の意見を留保しておくという態度が非常に多いことは大変興味深いです。日本もまた、ISから名指しで標的にされている先進国の一員です。私は日本外交の専門家ではありませんが、日本が中東の原油に依存していることは理解しています。従って、中東が戦略的に重要な地域であることは間違いない。しかし、日本もフランスと同様に、あの地域に平和や安定を築けるだけの軍事力を保持しているとは思えません。今、中東で進行している事態は、イスラム教スンニ派の盟主であるサウジアラビアの崩壊です。今後、スンニ派地域は国家崩壊のゾーンになるでしょう。若し私が日本人ならば、これから安定の極になるであろうシーア派国家・イランと良好な関係を築きます。

2016-9-22世界の真の敵はイスラム恐怖症4

昨年、テロと共にヨーロッパを大きく揺るがしたのは、大量に流入してきたシリア難民の問題です。イスラム恐怖症が蔓延するフランスを尻目に、ドイツは大々的に難民への門戸を開きました。このニュースに接した時、私は「とても立派ではあるが冒険的で危険な選択だ」と感じました。勿論、私は基本的には移民の受け入れに賛成の立場です。しかしながら、移民の受け入れは、人々の文化的な差異に注意しながら慎重に進めるベき事柄であることも事実なのです。経済的な基盤が他のヨーロッパ諸国よりも強固なドイツは、外から来る者を経済的に受け入れる能力は高い。底辺の労働力を求めているからです。ところが、既にドイツに多数存在する移民を見ると、残念ながら必ずしも統合に成功しているとは言えません。ユーゴスラビア、ロシア、ギリシャからの移民はある程度上手くいっていますが、イスラム系のトルコ移民はあまり社会に溶け込めていないのです。私は集団の社会文化に大きな影響を与える家族形態を長年研究していますが、イスラム社会とヨーロッパでは内婚率(部族内の従兄妹同士の結婚等)に大きな差異があります。“従兄妹婚”がドイツでは皆無であるのに対して、トルコの場合は約10%となっています。それでもドイツとは文化的背景に大きな違いがある訳ですが、シリアの内婚率は約35%と更に高くなっています。従って、アンゲラ・メルケル首相の難民受け入れ政策は、倫理的には立派で、経済的には合理的。しかしながら、人類学者の観点から付言すれば、非現実的で非合理的なのです。フランスとドイツには其々に違う問題がありますが、フランスにとって望みの綱は、フランス人が所謂“生真面目精神”の持ち主ではないことです。その点、ドイツ人は徹底して真面目なので、そこにリスクが伴います。移民や難民が関わった昨年大晦日のケルン駅前広場で起こった集団暴行のような事件に対して、ドイツ人がどのようなリアクションを取るのか見極めが難しい。ドイツ文化を考えると、何らかの“徹底したリアクション”が起こることも考えられます。ドイツでは、難民への敵対行為が事件に発展する可能性が他のどの国よりも高く、歴史における新たな危険の始まりであると言えます。ヨーロッパから外に目を向けると、アメリカの大統領選では、反イスラムの主張を掲げるドナルド・トランプという候補に注目が集まっています。私はトランプ現象を詳しく追っていませんが、アメリカにはイスラム系の移民は比率的に多くありません。

今、世界で一番危なっかしいのは、やはりアメリカではなくヨーロッパなのです。これまでの近代的なデモクラシーを中心とした社会の構造が瓦解していく可能性が高く、既にそのプロセスに入っています。フランスは変化を拒否している状態にあり、経済強国になったドイツは更にその版図を拡大しようと冒険的な姿勢に入ってきている。イギリスも、スコットランドの独立運動を始め、大変な問題を抱え込んでしまっています。東欧諸国が難民の受け入れを拒否しているという状況もある。これからの20年は、統合の歴史を歩んできたヨーロッパが瓦解する可能性が高い期間になるでしょう。日本の場合は、国内にイスラム教徒が少ないこともあって、ヨーロッパのようなイスラム恐怖症は存在しません。ただ、在日韓国人(フランスでは“韓国系日本人”と呼んでいます)との関係、それから国内での外国人問題は日本にとって永遠の課題でしょう。一般的に、日本は外国に対して寛容です。一方、社会に外国人を統合していく、一緒に生きていくという点では、客観的に成功しているとは言い難いことは確かです。しかし、歴史人口学者としての見解を述べさせてもらうと、出生率の低下と人口減少は、日本における最大にして唯一の課題です。そして、少子高齢化が解決できない中で、一定数の移民が必要になる筈です。欧米の知識人はよく、「日本は非常に排外的で差別主義的だ」と言う。しかし、私は少し裏側から物事を見なければいけないのではないかと思います。日本人は、決して異質な人間を憎んでいる訳ではなく、仲間同士で暮らしている状態が非常に幸せなので、その現状を守ろうとしているだけではないのでしょうか。日本の社会はお互いのことを慮り、迷惑をかけないようにする――。そういう意味では、完成されたパーフェクトな世界だからです。フランスの場合は抑々国内が無秩序で、フランス人同士でも互いにいざこざは絶えません。つまり、外国から異質な人が入ってきたところで、抑々失う“パーフェクトな状態”が無いタフな社会です。同じことはアメリカにも言えるでしょう。子供という存在は抑々、無秩序なものです。そして、外国人も移民も社会にある種の無秩序を齎します。日本人は、日本が存続し続ける為に、こうした一定の無秩序・混乱・完璧ではないことを受け入れる必要がある。私たち日本好きの人間にとっては、日本が人口減少で没落していくのは残念なことです。より徹底した少子化対策の実行と移民受け入れは、明治維新にも匹敵する国家的改革になりますが、国として存続できる道を真剣に探ってほしいと考えています。

2016-9-22世界の真の敵はイスラム恐怖症5

私は『シャルリとは誰か?』の中で、主としてフランスの現象を取り上げましたが、これは日本も含めた先進国における普遍的な課題だと考えています。急速なグローバリゼーションを受けて、貿易はどんどん開かれた状態になり、各国間の経済波及効果は未だ嘗てないレベ ルにまで高まっています。それは基本的には良いことだと思いますが、あまりに性急だった感は否めません。所得格差は拡大し、高等教育の発展によって市民集団の同質性は溶解しました。グローバリゼーションによって利益を引き出しているエリート層はどの社会にも存在します。高学歴者と高齢者から成る支配的な中産階級です。彼らこそ、各国で君臨している“シャルリー”に他なりません。時に彼らは、社会の周縁に追いやられている労働者や移民2世に対して自分たちの特権を守ることも厭いません。責任感の無い世界のエリートたちは、開放をヒステリックに実行している。そして、宗教的危機によって精神的空白が生まれ、従来の宗教に代わる価値としてお金や株価を追いかける空虚な文化が蔓延るのです。社会と国際関係の安定を望む民衆は、過剰なまでのグローバリズムの進展に小休止を呼びかける権利を持っているのではないでしょうか。先に述べた通り、経済的格差の拡大こそ、スケープゴートを求めてイスラム恐怖症という妄想のカテゴリーを生み出します。イスラム恐怖症をこれ以上蔓延させない為には、そういった民衆の希望を考慮する必要がある筈です。従って、グローバリゼーションに対する一定のレギュレーション(規制)が求められます。自由貿易問題にしても、移民の受け入れにしても、国境を閉じて鎖国する訳ではないですが、過剰な流動性はコントロールしなければならない。つまり、リーズナブルで実際的な政策態度を取るべきなのです。私は、世間からはイスラム教の擁護者であると見做されているようです。確かに、私の娘の1人はアルジェリア系フランス人と結婚していますし、私はイスラム恐怖症に与する1人ではないでしょう。元を辿れば、私の祖父の1人はブルターニュ系ですし、自分の家系の中心は東欧にあるユダヤ系。更に私の祖母はイギリスからフランスに渡ってきた訳ですから、全て外国系のルーツを持っています。息子の1人はイギリス国籍を取ってイギリスで暮らしています。そして、私はイスラム擁護論者である前に、自分の属する社会の現状に苛立つ、普遍主義的な考え方のフランス人です。宗教的危機によって、バラバラで絶対的なウルトラ個人主義者たちがあらゆる先進国を徘徊する中、考えるべき喫緊の課題はイスラムではなく、瓦解に直面した社会の立て直し方なのです。 (通訳/掘茂樹)

<引用終り>

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