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カテゴリ:自動車 の記事一覧

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2019-06-29 11:40

クルマ談義


 先日クルマを車検に出した。クルマは車歴17年のアルテッツア。もうこんな名前のクルマが無くなって久しいが、この車は普段あまり使わないので、まあ今は問題ないこともあり、まだ当分使うつもり。

担当のメカニックには「ベルトが少し音が出るので点検してほしい」と頼んだりしたので、そんな関連で一寸車談義を。
これは私には時代の変化を感じさせる話なのだが・・・。

メカニック氏曰く。
最近は車の電動化でベルト類などの消耗品がみんな無くなってしまった。所がそうなってみると、車として壊れる所が無くなったので、我々整備屋の仕事が大幅に減ってしまった。
今は車の点検整備は、線をつないでコンピュータの画面で見る事ばかり。昔とは違いますね。
こんな話だった。
タイミングベルトのチェーンへの切り替えはと聞くと、もう全部チェーンに変わりました。だからコッグドベルト時代は10万キロで交換しましたが、サイレントチェーンでほぼ交換不要。良いモノが出来ましたが、私らの仕事は無くなりましたね。
こんな話だった。

この後は最近のクルマは燃費が無茶苦茶良くなったよねえ。おかげでガソリンスタンドがどんどん廃業して、隣のガソリンスタンドもコンビニになってしまった。時代だねえ・・・。

世の中は静かに、しかし着実に進化している。そんな事を実感したわけです。


オマケ
ディーラーに車を預けてから、自宅まで約5キロを徒歩で帰ったのだが、その途中で見かけたクラシックカー。小さな工場だが、こんなクラシックカーを整備しているようだ。

2019-6-29クラシックカー

いいクルマですねえ。趣味としてみるには素晴らしい。
こんな楽しい車は今は無くなりました。今のクルマは故障しないし、ガソリンは食わないし、走れば快適ですが、面白みがない。
こんな車はそれこそ走らせるのも簡単じゃない。天気のいい日に田舎道をトコトコ走るだけでしょう。でも楽しそう。


所で、そのクラシックカーのあった工場の隣に貸工場が二棟出来ていた。

2019-6-29貸工場


貸工場ですか。こんなものがどんどん出来てきて、若い人がどんどん仕事を始められる。いい傾向です。昔バブルの時代はこんな貸工場が雨後のタケノコの如く出来ていたものです。仕事はいくらでもある。若い人がやる気さえあれば、いくらでも起業できた。

やっと最近になって、失われた20年を取り戻す動きが出てきた、そんな傾向の一端かもしれません。

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2019-02-18 08:28

日本を“母国”にしたい〜豊田章男氏のメッセージ


 日本を“母国”にしたい、こんな言葉で車の販売店に話した人がいる。トヨタの豊田章夫氏だ。

2019年1月23日。 日本全国のトヨタ販売店280社の社長たちが一同に会して行われる国内営業最大の行事、販売店代表者会議でのこと。

先ずはその動画から




この話は掛谷英紀さんのツィッターから
https://twitter.com/hkakeya/status/1097087564358373378

日本を“母国”にしたい〜豊田章男が国内販売店トップに送ったメッセージ〜

豊田章男社長
「リコール問題は 、私個人にとっても、大きな転機となりました。」
「私が守ろうとしていた方々に、実は、私自身が守られていた。」
販売店社長の言葉
「母国という言葉で日本を表してくれたのは豊田社長がはじめてです


詳細は私が説明するより、先ずは動画を見てください。
先ずナンバーワンを目指す、この言葉を聞かせたい国籍不明女が国会界隈にいますね・・・。


今日は今から眼科医に行きますが、眼科医では瞳孔を開いて目玉の奥を覗かれるので、しばらく眩しくて車は運転できません。だから病院まで約5キロを歩いていく。いい運動です。
そんな事で今から出発です。

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2019-02-08 17:35

ヨーロッパから見た日本・日本車

 
 1月29日のエントリー「マクロンが日産とルノーの経営統合を要求  2019-01-29 19:13」のコメント欄に縄文人さんから興味深いコメントをいただいた。
マクロンが日産とルノーの経営統合を要求する背景には「マクロンは日本を知らない」という問題があるのではないかとの指摘である。
根の深い問題で、コメント欄では書ききれなかったので、この問題についての私の考える所を書いてみたい。この問題の根っこにあるのはマクロン=フランスだけではない。ドイツが問題だという話になってくる。そしてマクロンは自動車を知らないということにもなるのだが、さてどうなりますか。


最初に縄文人さんの投稿から

<以下引用>
マクロンは日本を知らない

少し気になることがあります。
それはヨーロッパから見て日本はどのように映ってるいるのかということです。
そこが解らないとマクロンの言動あるいはメルケルの行動が解らないかも知れないと思います。
というのは、トッドの著書を読めば、彼が日本について「人口減少に苦しみ経済が縮小している斜陽の国」という印象を持っていることが解ります。
トッドの日本観は、おそらくヨーロッパのインテリの日本観でしょうから、マクロンやメルケルの日本観でもあることは間違いないと思います。
これはもしかしたら朝日新聞の創作した日本です。ヨーロッパのインテリは「朝日新聞の英語版」しか読まないのかなと思います。
そこから推測してマクロンは日産とルノーの合併は、日本にとって大変有り難いことであったと推測しており、ゴーンの先見の明でEV開発に成功したと考えているとも想像します。
マクロンにしてみれば、経済が縮小している日本にはもともとEVなど開発する必要もなく、トヨタなど安いから売れる車であり、日産のEV開発はルノーのおかげであり、日産がルノーの子会社になることは、当然の流れで、かつ日本にとってもそう悪い話ではないはずだと推測していないか。もしそうならマクロンの言動も解るような気がします。
トヨタのハイブリッドが奈辺の技術であるかは、ボッシュは知っているでしょうが、そのボッシュが緘黙すれば、ヨーロッパ中誰も知らない技術になります。
マクロンにしてみれば、まさか安倍が自分の申し出を断るとは信じ難いと思っているかも知れません。きっと日本にとっても良い提案であるはずだと思っているに違いありません。
昔々のまた昔、アメリカにケリー国務長官という人がいたそうですが、彼が就任するとき、アジアの担当官に「なぜ日本は孤立しているのか」と聞いたという話があります。担当官から「孤立しているのは日本ではなく中国だ。」と聞いてたいそう驚いたというホラ話があります。
もしかしてこれと同じかなあと考えた次第です。
2019-02-05 08:43 URL 縄文人 

<引用ここまで>


ここで現状認識として自動車メーカー別の生産台数ランキングと売上高ランキングを見てみます。報道では日本のトヨタとドイツのVWがトップ争いをしている。そこにルノー・日産・三菱グループが割り込んで三つ巴の争いと言われていますが・・・。





2017年 自動車メーカー販売台数
            メーカー        販売台数
第1位 VW(注)      1074.2 万台
第2位 ルノー・日産     1060.8 万台
                   ・三菱連合
第3位 トヨタ   1038.6 万台
第4位 GM       960.0 万台
第5位 現代-起亜         725.1 万台
第6位 フォード         660.7 万台
第7位 ホンダ         518.8 万台
第8位 FCA                 474.0 万台
第9位 PSA                 363.2 万台
第10位 ダイムラー          327.4 万台
(出所:https://car-moby.jp/295745#c12
(注:VWグループにはこんな企業も含まれる)
フォルクスワーゲン・アウディ・ランボルギーニ・ドゥカティ・セアト・シュコダ・ベントレー・ブガッティ・ポルシェ・スカニア・MAN

有名どころではアウディとかポルシェなどがVWグループとして台数に入っています。こんなことまでして台数世界一を追い求めたんでしょうね。そういえば日本のスズキもVWに騙されてVWに取り込まれそうになりました。スズキの爺様の英断で手切れ金を払って縁を切ったんですが、まさに正解でした。流石スズキの爺様、英断です。


そんな事でこれをブランド別にみると
1)トヨタ 938万台
2)GM 797万台
3)VW 623万台
4)日産 581万台
5)ホンダ 522万台
6)フォード 491万台
7)現代自動車 451万台
8)ルノー 376万台

こんな事でVWブランドとしては日産より少し上と言った所でしょうか。


しかしこれを売上高ベースで見てみるとどうなるか。

2019-2-7世界の自動車メーカー売上ランキング2017 
https://automotive.ten-navi.com/article/29752/

売り上げベースではトップは台数3位のトヨタですが、僅差でVW。しかしそれより3位にびっくり、ダイムラーです。昔は車の名前はメルセデス・ベンツ、会社の名前はダイムラー・ベンツでしたが、クライスラーとの合併・合併解消を経て、現在の社名はダイムラーです。
高級車ベンツと大型トラックを作っているので、台数は少ないが売り上げ高は凄いです。
(下の表の台数順位が12位、上の表の台数順位が10位と可笑しいですが、これはこんなものとして見てください)

台数ベースでドイツ勢が凄いのは分かりますが、ルノー、あるいはフランス勢も健闘しているように見えます。しかし売上金額で見るとダイムラー(車名はメルセデス・ベンツ)の存在感は大きいことが分かります。
流石自動車王国ドイツです。

ヨーロッパの自動車メーカーはこのようにドイツ勢が圧倒的で、フランス勢などはルノーとプジョー・シトロエングループを合わせてもVWの半分程度、そこにダイムラーとBMWが加わり、部品メーカーの巨人ボッシュがいる。ドイツ勢の圧倒的な強さが分かります。こんな現状認識の上でこの問題を見ていきます。


さてこんな現状認識に立ってみてみたいのがカーオブザイヤー。
欧州には欧州カーオブザイヤーと世界カーオブザイヤーが有ります。ここでどんな車がカーオブザイヤーに選ばれたのか見ていくと欧州のジャーナリストの考えていることが大体見当がつくのではないかと調べてみました。

最初に欧州カーオブザイヤー
欧州カーオブザイヤー概要:1964年に始まり、ヨーロッパ7か国の自動車雑誌社各1社により構成され、自動車ジャーナリストが審査員となる。2006年には22か国からの58人が審査。

最近30年の欧州カーオブザイヤー受賞車
1990年 - シトロエン・XM
1991年 - ルノー・クリオ(日本名ルーテシア)
1992年 - フォルクスワーゲン・ゴルフ(3代目) - フォルクスワーゲン(VW)車初の受賞
1993年 - 日産・マイクラ(日本名マーチ) - 日本車初の受賞
1994年 - フォード・モンデオ
1995年 - フィアット・プント
1996年 - フィアット・ブラーボ/ブラーバ(日本名ブラビッシモ)
1997年 - ルノー・メガーヌ/ルノー・セニック - セニックはミニバンとして初の受賞
1998年 - アルファロメオ・156 - アルファロメオ初の受賞
1999年 - フォード・フォーカス - 史上初・欧州/北米のカー・オブ・ザ・イヤー同時受賞
2000年 - トヨタ・ヤリス(日本名ヴィッツ)
2001年 - アルファロメオ・147
2002年 - プジョー・307 - プジョー3度目の受賞
2003年 - ルノー・メガーヌ(2代目)
2004年 - フィアット・ニューパンダ
2005年 - トヨタ・プリウス(2代目) - 日本車初の欧州/北米カーオブザイヤー同時受賞
2006年 - ルノー・クリオ(3代目) - ルノー6度目、クリオとして2度目の受賞
 (注:2005年にはトヨタ・プリウスが37人からの最高得点を得て計406点で1位を受賞したのに対し、2006年にはルノー・クリオが235点の得票で1位となったが、同車に10点満点を投票したジャーナリストは僅か一人であった。)

2007年 - フォード・S-MAX - フォード8年ぶり、ミニバンとして2度目の受賞
2008年 - フィアット・Nuova 500 - フィアット(傘下ブランド除き)9回目の受賞
2009年 - オペル/ヴォクスホール・インシグニア - 欧州GMの22年ぶり受賞
2010年 - フォルクスワーゲン・ポロ(5代目) - VWとして18年ぶり、2度目の受賞
2011年 - 日産・リーフ - 電気自動車初の受賞
2012年 - シボレー・Volt/オペル(ヴォクスホール)・アンペラ - 電気自動車として2年連続の受賞
2013年 - フォルクスワーゲン・ゴルフVII - VWとして3度目、ゴルフとして2度目の受賞
2014年 - プジョー・308 - プジョー4度目の受賞
2015年 - フォルクスワーゲン・パサート
2016年 - オペル・アストラ
2017年 - プジョー・3008

欧州カーオブザイヤーは欧州ですからアメ車が無いのは分かります。欧州車中心ですが、日本車も結構入っています。
2005年のプリウスについては、圧倒的な支持でトップとなり受賞しました。この間の経緯は以下ブログ参照ください。

このブログで引用しているプリウスの設計者八重樫さんの話が興味深い。要点だけ引用すると

冒頭(欧州カーオブザイヤー)の選考委員会委員長Mr. Rey Huttonのスピーチの中で
「トヨタは(自動車としての)厳しい道を学んできた。カーオブザイヤーの審査委員は、2000年プリウスも候補としたが、その投票は割れていた。当時では、プリウスが将来のビーコン(引用者注: beacon 、標識、かがり火、航空標識などの意味、将来の方向を指し示すものと言う意味と思われる)と見なした委員と、ハイブリッドのアイデアは見当違いと片づけた委員に分かれていた。新型プリウスは2000年には無かった大部分を持つようになった。今回は、32の候補車の中で、過去最高得点の一つ139点を獲得し、58人の審査員のうち39名がトップとした。」
などとこの受賞を紹介してくれました。

・・・中略・・・

このブログを書きながら、はたと思い至ったことがあります。この欧州カーオブザイヤーの受賞式は2005年1月、これがひょっとすると今大騒ぎになっているVWスキャンダルの引き金の一つになったのではとの思いです。
プリウスハイブリッドが米国で、欧州で認知度が高まり、急激に販売を伸ばし始めたのもこの頃からです。講演会、フォーラムでの欧米エンジニアの態度、目線に変化を感じ始めたのもこの時期からのような気がします。特に、欧州のエンジニア、ジャーナリストは、審査員のコメント、委員長のスピーチにあったように2000年のモデルまでは、ハイブリッドを収益無視の広告宣伝用のシステム、欧州では通用しないとの意見が主流であったのに対し、この2003年二代目でその見方が変わったように思います。

・・・中略・・・
この二代目プリウスは、このブログのように、2005年欧州カーオブザイヤー受賞の他、北米カーオブザイヤーも受賞しました。
以下略
<引用ここまで>

長々と引用したのは、私の見る所ですが、この2台目プリウスの成功が発端になって、その後のヨーロッパメーカー(特にドイツのカーメーカー)のクリーンディーゼル(というマヤカシ)への傾斜とキャンペーンが始まり、日本敵視政策が始まったと見ているためです。
最近もトヨタはEVに出遅れているキャンペーンをやっていますね。

そんなものの一環がこんなもの。もう一つの「世界カーオブザイヤー

世界・カー・オブ・ザ・イヤー (World Car of the Year 、WCOTY)概要:2004年創設、23国・82人の国際的自動車ジャーナリストにより選考される自動車賞である。
その年に、世界各地域・各国で発売される新車を平等に評価・投票するものとして創設された。選考の対象となる自動車は、該当年の1月1日の時点で2つ以上の大陸にまたがる5か国以上で販売されていることが条件である。

歴代受賞車
  ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー
2005   アウディ・A6
2006  BMW・3シリーズ
2007   レクサス・LS 460
2008   マツダ・デミオ
2009   フォルクスワーゲン・ゴルフ VI
2010   フォルクスワーゲン・ポロ 6R
2011   日産・リーフ
2012   フォルクスワーゲン・up!
2013   フォルクスワーゲン・ゴルフ VII
2014   アウディ・A3
2015  メルセデス・ベンツ・Cクラス
2016   マツダ・ロードスター[3]
2017   ジャガー・F-PACE
2018   ボルボ・XC60

14車種のうちドイツ車が8車種、中でもVWが4車種、VWグループとしてアウディも入れると6車種がVWグループです。日本車はトヨタ1、日産1、マツダ2。
これだけ見てもこの世界カーオブザイヤーがドイツ車マンセーが目的と分かります。世界と言いながらアメ車が有りません。

実はこれにはからくりが有ります。「選考の対象となる自動車は、該当年の1月1日の時点で2つ以上の大陸にまたがる5か国以上で販売されていることが条件である。」、これです。これでアメリカ専用車とか日本専用車はパージされます。日本車がアメリカでいくら売れても、日本(アジア大陸)とアメリカ(北米大陸)で、2大陸はクリヤーしますが、5ヵ国以上という縛りでこれも選考対象から外れます。一方ヨーロッパは小さな国が沢山ありますから、5ヵ国以上は簡単にクリヤーできる。2大陸も多分トルコ位を入れればヨーロッパ大陸とアジア大陸がクリヤーできるから問題なし、巧妙ですね。

しかももう一つの問題。この欧州カーオブザイヤーは「World Car Awards -  Steering Committee」の6人の委員が審査員を指名するようですが、その6人は日本、イギリス、カナダ、ドイツ。アメリカ、インドとなっているものの日本の委員というのはPETER LYON というオーストラリア人(やっぱりねえ)。
こんな所が14車種中ドイツ車が8車種も受賞する原因ではないかと思う。

そこで直近の状況はというと、2019年はこんな車がノミネートされている。

2019ワールドカーオブザイヤーの第2次選考10車種
・アウディe-tron
・BMW3シリーズ
・フォード・フォーカス
・ジェネシスG70
・ヒュンダイ・ネクソ
・ジャガー I-PACE
・メルセデスベンツAクラス
・スズキ・ジムニー
・ボルボS60/V60
・ボルボXC40

日本車はスズキ・ジムニー、まあノミネートされるだけ良しとせねばいけないかもしれないがどうなんだろう。


結論です。ヨーロッパのメディアが伝える自動車関連のニュースはこのようにとんでもないバイアスがかかっています。そして残念ながらゴーンもマクロンもこんなニュースを見て日本の実情を判断しますから、縄文人さんが言われる懸念も尤もです。
つまり
>マクロンにしてみれば、経済が縮小している日本にはもともとEVなど開発する必要もなく、トヨタなど安いから売れる車であり、日産のEV開発はルノーのおかげであり、日産がルノーの子会社になることは、当然の流れで、かつ日本にとってもそう悪い話ではないはずだと推測していないか。
こんな見方になるように欧州のメディアが情報を垂れ流している訳です。
そして
その黒幕はどう見てもドイツのVW・ダイムラーを代表とする自動車関連でしょう。

騙されてはいけませんね。



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2019-01-29 19:13

マクロンが日産とルノーの経営統合を要求


 日産のゴーン逮捕劇の続報です。ゴーンがフランスのルノートップを解任され新しい段階に入った。そしてかねて懸念されていたこと、フランス政府が日産の併合を強行するようになってきた・・・。
露骨ですねえ・・・。
丁度青山繁晴さんがこんなことを言っている。


日仏首脳が電話会談 、マクロンが日産とルノーの経営統合を要求!【青山繁晴】



虎ノ門ニュースはこれ
https://www.youtube.com/watch?time_continue=182&v=Q_E6DavJYQU

該当部分の文字起こしは ぼやきくっくりさんから拝借
http://kukkuri.jpn.org/boyakikukkuri2/log/eid2258.html#sequel

<以下文字起こし>
(1)日産・ルノー協力に期待 日仏首脳が電話会談

(ざっくり起こし)

【共同通信によりますと、安倍総理大臣は25日、フランスのマクロン大統領と電話会談し、フランスの自動車大手ルノーの新たな経営体制が決まったことを受け、日産自動車とルノーの協力が円滑に進むよう期待するという考えで一致しました。これは日本の外務省が発表したもので、電話会談で安倍総理は日産とルノーの提携に関し、日仏産業協力の象徴だと強調し、安定的な提携の維持や強化に期待を示しました。このほか、安倍総理とマクロン大統領は、今年6月に大阪で開催されるGT20、20の国と地域の首脳会合に向けた緊密な連携も申し合わせました】

 今日は時間がないのに、あえて珍しく全文読んでもらったんですね。
 たったこれだけの短い文。
 カスカスなんですよね。
 それで、ミスリーディングだと思うんです、これ。

 まず、フランスのマクロン大統領が、いわば一企業の問題で…。
 ルノーはフランスのを事実上の国有企業とも言われてます、大株主、筆頭株主ですよね
 でも日産はもちろん大事な企業だけど、日産だからといって、政府間協議やるってことはあり得ないわけですよ
 それなのにフランスのマクロン大統領の方から、どうしても電話で話したいってことで、電話してこられたんですよね。
 そのこともこの記事では全然、うかがい知ることはできなくて。

 しかも、もっと大事なこと、この中身について、要は日産とルノーの協力が円滑に進むよう、という話をしたんだと。
 で、この記事によれば、安倍総理は、日産とルノーの提携は、日仏産業協力の象徴だと強調して、安定的な提携の維持や強化に期待を示しましたと。
 何かもうフランスのおっしゃるとおりでございます、みたいな記事になってるでしょう?
 こういうミスリーディングな記事は困るんですよね。

 あんまりにもカスカスだから、差し替えたのかもしれません。
 ていうか、もし差し替えていたとしても、やっぱりこれが一報で出れば、これだけを使う加盟紙は、共同通信の加盟紙の中に、かなり当然あります。
 北海道新聞から沖縄タイムス、琉球新報まで、全国のブロック紙と地方紙は全部、共同通信の、基本的に加盟紙です。
 影響の大きさを考えると、こういう誤報に近いような記事は本当に困るから、あえて全文読んでいただいたんですが。

 まず実際起きたことはですね、マクロン大統領の言いぶりも、ていうか、この中にマクロンさんが言ったっていう話が一言もないんですよ。

(居島一平:ありませんね)

 記者にも問題あるけど、デスクが…。
 19年の記者生活考えると、この原稿上げると、デスクから馬鹿野郎電話が絶対かかってきます。
 何でマクロンの言葉ないんだよと。
 で、こんな異常な会談で、総理がそうですね、日仏協力の象徴ですねで終わるわけはねーだろ、何なんだこれはって言って突っ返されることが、100.0%間違いないんで。

 古巣だから逆に厳しくなるんですが、あえて甘く言うと、とりあえず一報だから出したのかなって。
 でも、あとで差し替えるから一報を軽く出すっていうのは絶対ダメなんですよ。
 通信社はそれをやっちゃダメなんですよね。
 First Impressionが大事ですからね。

 で、実際起きたことを言いますと、実はマクロン大統領は生やさしく電話してきたんじゃなくて、日産とルノーの経営統合してくれっていうか、しろと
 もっとはっきり言うと、ルノーの一部になれと、日産が完全に
 提携じゃなくて。

 ルノーって日産の半分以下なんですよ、本当は
 時価総額も売上も全部合わせて考えると。
 日産を100とすると、ルノーの実際のマーケットや生産能力とかあるいは持ってる資産、全部合わせると、よく見ても40ぐらいですよ
 比べものにならないんです。
 で、その焦りもあるんですよね。

 ところがマクロン大統領は、異様な電話をしてこられて、ルノーの中に日産を入れてしまえと。
 それが第一。
 それから、要するに、例えば統合した後のトップはルノーから出すと。
 だから、カルロス・ゴーン事件をきっかけにこういう話になってるんですけど、これは実は一般メディアにもちらちら出てるけど、本当はこの事件の背景がですね…。

 カルロス・ゴーンさん、僕のところに、ブログへの書き込みで、良い人だったんじゃないかとか、そういうのも来るんですよ、案外ね。
 というのは、やっぱり日産が一時期ものすごく会社の調子悪かったのみんな知ってるんで、それを立て直した恩人じゃないかっていうね、やっぱり私たち日本人に共通する気持ちがあると思うんですけど、実際は容赦ないリストラ、日本人のトップと違って、それが外国から来るとできるから、もうリストラに次ぐリストラで成し遂げた再建なので。

 ま、それ以外にも電気自動車の取り組みとか工夫はあったけど、電気自動車が本当に日産の立て直しにどれだけプラスだったかと言うと、必ずしもそうは言えない。
 トヨタのようにハイブリッド、電気とエンジンを組み合わせたやり方が実は収益上げてきたわけですからね。
 これからはもちろん違うんだけれども。

 それやこれや考えると、カルロス・ゴーンさんがお姉様とか、ご自分の家族とかあるいはご自身のために、自分の出した損を補おうとしたり、これは裁判でこれから争われることですけれども、しかし全体を眺めるとやっぱり、日産で全く異論、意見を言える人がいない。
 ゴーンさんに対してのチェックが働かなかった。
 これは日産の日本人の役員の企業ガバナンスが働いてなかったってことだから、より厳しく責任は追及されなきゃいけないけど、ゴーンさんに全く問題がないのに起きたとはとても言えないんですよ。

 でも今まではゴーンさんが絶対的ないわば王制のような、普通の企業経営じゃない状態をしいてて、なんでこれがいま覆ったかというと、一般的には、ゴーンさんとフランス政府が一緒になって、日産が良くなったんでルノーにもいただこうと。
 半分以下しか実力がないのに飲み込もうとしてると。
 それで実は日本人の役員やその他の方が、捜査当局に協力をして、いま日本はそういう場合は告発した人の刑事責任を追及しないって新しい制度が出来てるから、それが事件の背景だと言われてるわけです、一般的にはね。

 それもあるんだけど、実はフランス政府もゴーンさんを切りたかったって話があるんですよ。

(一同:ほうー)

 なんでかというと、最終的にはフランス政府がルノーの中に日産全部吸収してしまえというのを、最後に抵抗してたのはむしろカルロス・ゴーンさんであって、日本人の役員はうつむいてて何もできなかったっていうね。
 これは、いちおう元経済記者でもあるんで、ルートがあるから色々調べたんですけれども、ほぼこれで間違いないと思ってるんですよね。

 したがって、カルロス・ゴーン事件でフランス政府が弱って焦ってっていうよりは、一番の障害だったゴーンさんを日本の捜査当局がいわば実質的に取り除いてくれたから、一気にマクロン大統領、しかもマクロン大統領は辞めろ辞めろの大コールで、ヨーロッパの首脳陣は総崩れで…。

(中略。ドイツのメルケル首相、イギリスのメイ首相の話)

 ヨーロッパは総崩れなんですが、ゴーンさんがいま裁判に向かっていくのを利用して、のしかかってきたわけですよ。

 そういう日仏電話首脳会談ですから、安倍さんはもちろん良き提携はあって然るべきだってことはお答えになってるけれども、そうですか、マクロンさんのおっしゃるとおり日産はルノーに吸収させましょうとか、そんなことは当たり前だけど言ったらお終いですから(笑)。
 日本がお終いですから絶対言ってないというか、そこはOKしてないんですよ。

 総理が何て言ったかっていうのは公表されてないんで、僕の口からは言えませんが、きちんと、いや、そういうことは受け入れられないと。
 そもそも日産というのは自由な民間企業であって、日本ではそういう自由な民間企業に政府といえども勝手なことを言うのはできませんってことはちゃんと答えてるんで
 それ一切ないんですよ、この記事に。
 だからこれはまあトンデモな記事ですよね。

 しかしここは踏ん張りところで、フランスはいわばもうマクロン政権の生存賭けるぐらいになっちゃってるんですよ
 だって他に話ないんですよ、マクロン政権って。
 他にできることないから。

(中略。売れる車を作ってる国は少ない、日独とあとイギリス…という話から、イギリスのモーガンの話など)

 だから自前で日産も含めて、ちゃんと世界に評価される車を自分で開発して売ってるのは、日本とドイツぐらいなんですよ。
 そこに食い込みたいんですよね。

 だからそこに変な妥協ってことが起きないようにしないといけないし、僕は日産の側は、本当は日本政府の後押しを期待してると思うんですよ。
 新聞でそれ書いてるところ、ありました。
 それは間違いなく日産の役員が喋ってるんですよ。
 フランスがこんな政府絡みでやってくるんだから、日本政府に支えてほしい。
 それやっちゃダメです。

 これはフランスの国家資本主義って書いてた新聞があったけど、それちょっと言えるんですよね。
 このような国家資本主義がアドバンテージを、利益を得ないようにしないといけないっていうのは大事なところですね。

<引用終り>


いよいよフランス政府による「日産分捕り作戦」が本格化してきたということだと思う。

フランスの立場としては、フランスの自動車産業は永年下り坂の一途。現在ではルノーとプジョー・シトロエングループの2社だけが健在だが、見通しは芳しくない。そんな時、ルノーの主導で日産と合併させられれば、トヨタ、VW、GMと並ぶ巨大自動車メーカーがフランスのモノになる。
何とナポレオン以来の快挙ではないか!。マクロン大統領の構想(絵に描いた餅のこと)はこんな所だと思う。


もう一つ厄介な事。ドイツのメルケル首相が2月4日~5日訪日する。この狙いは何だろう。
2015年にも「メルケルさん Youは何しに日本へ」、こんな謎の訪日が有ったが、今回も突然の訪日、目的が分からない。
実はこれは私も全くの憶測なのだが、メルケルさんは「安倍!、日産をフランスに譲れ」と言いに来るような気がする。何せメルケルさんは「EU=ドイツ帝国の盟主」である。ここで日産を分捕れば、フランスは元よりドイツにとっても大きな得点だ。

ヨーロッパの自動車メーカーはVWの排ガス不正問題で実はメロメロである。大々的にこれからはEVだとアドバルーンをあげてみたものの「EVは簡単ではない」。
ここは何としても日産の技術を分捕りたい。それが本音だと思う。



ここでちょっと別の面から。
自動車技術をリードしているのはどこだろう。国別、メーカー別にみてみたいと思います。

これは以前のエントリー「排ガス問題をリードしているのは何処か  2017-07-26 」で使ったグラフ。現在の自動車技術のリーダーは何処か、これを特許の面から見るとこうなります。
出所:トムソンロイターのクルマ関係の特許公開件数の5年間(2009年ー2013年)のまとめ
http://ip-science.thomsonreuters.jp/press/release/2015/automotive-industry-trends/
(リンク切れ)
2017-7-24自動車関連のメーカー別特許件数

メーカー名が見にくいのですが、左からトヨタ、ボッシュ、ヒュンダイ、ホンダ、デンソー、ダイムラーGM、セイコーエプソン、ミツビシ、コンチネンタルです。日本~5社、ドイツ~3社、アメリカ・韓国各1社となっています。
日本が自動車技術でも世界をリードしていることが分かります。尚この表でVWを見ると21位で件数はGMの半分でした。トップのトヨタと比べると1/5程度。
こうして見るとドイツではボッシュの力が圧倒的と言うのが分かります。

日産やルノーが如何なのか知りたいのですが、残念ながらリンク切れで元記事が見られません。
しかし、ヨーロッパのカーメーカーの技術力は、実は巨大部品メーカー「ボッシュ」が中心になっており、VWにしろルノーにしろ、ボッシュの技術に依存しているという構図です。
VWの排ガス不正問題も黒幕はボッシュ、だからこそVW以外のメーカーもみんな問題が露見したという訳です。

古くからの日産ファンの方は、「技術の日産」だろ、どうして日産が出てこないんだと思われるかもしれません。残念ながら技術の日産は昭和30年代~40年代はそうだったのかも知れません。しかし昭和50年代からはそんな事は言えなくなりました。
原因は色々あるでしょうが、最大の問題は三頭政治、川又・塩路・石原、この三人がそれぞれ天皇と言われるような権力を持ち内部抗争をしたことでしょう。こんな事が結局ゴーンの軍門に下る原因で、その体質が完全に抜けないまま今日に至っています。


ゴーンの問題は、ゴーンの会社私物化という面だけがクローズアップされているが、本当は自動車メーカートップとしてゴーンは不適当だった、せいぜい購買部長クラスの実力の人間だったので会社を追われた。こうだと思います。
そう考えると、日産は新車も出ないし、品質も良くない。そんな原因が経営トップに有るということです。

是非とも日産には頑張ってほしいですね。何せ相手はフランス政府。一筋縄ではいきません。


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2019-01-24 09:55

EVバッテリーを巡る大競争時代


 日産のゴーン逮捕事件は、いよいよ今日ゴーンがルノーのCEOを解任され、新しい段階に入るようだ。
しかしフランス政府、マクロン大統領のルノーの日産併合・・・つまり日産をフランスの会社にする動きが一層強まるだろう。むずかしい話である。

この件でネットで日産の電池事業を買い取った中国人の話を見つけた。読んでみるともう十数年前だが、今は無き(亡き?)三洋電機の冷蔵庫部門を買収したハイアールの話を思い出した。
一寸そんな事で、この複雑怪奇な話を電池事業の中国企業による買収という面から見てみたい。なおこの三洋電機のパナソニックによる買収劇は、巷の噂では「三洋の電池部門(太陽電池やリチウムイオン電池・・当時世界トップシェア)技術の海外流出を防ぐ為」と言われていることを念頭に置いてみてみたい。


最初に日産が電池事業を中国に売却するという不可解な話、この事情はこんな風になっている。
1.2017年8月 日産の電池事業を売却を検討開始
2.2018年7月 当初予定の中国ファンドのGSRキャピタルへの売却を資金不足でキャンセル
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-07-02/PB7QPJ6JIJW901
3.2018年8月 中国の再生可能エネルギー業者エンビジョングループに譲渡決定
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-08-03/PCVMJC6JTSE801

何を慌てて(以前の所がパーになったら1か月後につぎに決定)売却を急ぐのか。
昔から「慌てる乞・食はモライが少ない」というではないか。
ということだが、この件は後ほど書くことにします。


最初にエンビジョングループが何を言っているか。

<以下Forbes より引用>
https://forbesjapan.com/articles/detail/24242
ビジネス  2018/12/05 06:00
日産のバッテリー部門買収の中国企業「ガソリン車は終わる」

中国の上海に本拠を置くエンビジョングループ(遠景集団、Envision Energy)は、電気自動車(EV)のバッテリーセル(単電池)のコストを、大幅に引き下げようとしている。同社は2020年までに、1キロワット時あたりのコストが100ドルのEV向けバッテリーを製造する計画だ。現状のEVバッテリーのコストは、1キロワット時あたり200ドル弱とされている。

エンビジョンの創業者は先日、スタンフォード大学において、今後の5年で価格が50ドル程度まで下落し、ガソリン車の時代は終了に向かうと発言した。

エンビジョンは今年8月に日産自動車のバッテリー部門を買収したが、その後の研究でバッテリーのコストを劇的に引き下げる方法を突き止めたという。同社CEOのレイ・チャン(Lei Zhang)は、スタンフォード大学で開催されたGlobal Energy Forumでこの件を報告した。

エンビジョンのレイはスタンフォード大学のArun Majumdarと、今後の目標達成の時期について議論した。

「私はArunの発言を、少し補足したい」とレイは話した。

「Arunは我々が1キロワット時あたり100ドルのバッテリーを実現する時期を、2022年と述べたが、私の考えではもっと早期に実現可能だ。当社は2020年までに100ドルのバッテリーを米国市場向けにリリースする。エンビジョンは、日本のバッテリー企業を傘下に収めており、今後のコストのトレンドを極めて詳細に分析している。この調子でいけば、おそらく2025年には1キロワット時あたり50ドルのバッテリーを市場に投入できる」

スタンフォード大学のプレコート研究所(Precourt Institute)で、エネルギー関連の研究を行うMajumdarは、カンファレンスに先立ち、次のような予測を発表していた。

「今後の5年から7年で、バッテリーパックのコストは1キロワット時あたり100ドル程度にまで下落するだろう。100ドルが達成できれば、EVの製造コストはガソリン車とほぼ同等になる。さらに、その後の15年から20年で、EVは世界的に普及していくだろう。EVは大気汚染の問題を解決する。約100年続いたガソリン車の時代が終わりに向かっていく」

エンビジョンは中国で第2位の風力タービンメーカーで、エネルギーの管理ソフトウェアも開発している。レイはEVの普及が進めば、ガソリン車はあっという間に過去のものになると述べた。

EV車の価格はガソリン車よりも20から30%も安くなる。消費者らは一斉にEVに買い換えるだろう

中国での新車販売台数は年間3000万台に近づいている。今後の課題となるのは、急増するEVの充電設備のマネージメントだとレイは話した。

「大量のEVが一度に充電をしようとすると、大変な事態になる。IoTとAIを組み合わせたシステムで、全体を管理する必要が出てくる。電力需要を正確に予測し、適切な給電が行える、非常に洗練された仕組みが必要になる」とレイは続けた。

編集=上田裕資
<引用終り>


エンビジョンは、日本のバッテリー企業を傘下に収めており
実は私はこのたった一言が猛烈に引っかかる。それはタイでの十数年前の経験からなのだ。
どんな経験?、
この当時、日本の電機メーカーはまだ三洋電機があったが経営不振で苦しんでいた。そしてタイにも三洋電機の子会社が冷蔵庫を作っていた。
冷蔵庫には直冷式とファン式が有り、日本ではファン式が主流だがヨーロッパなどでは直冷式が多かった。(ヨーロッパは湿度が低いので冷却器に霜がつきにくく直冷式で間に合うようだ)
そして中国ではファン式の冷蔵庫は当時作る技術が無かった。日本では当たり前のファン式冷蔵庫は実は日本の技術の宝物でもあったということ。
その三洋電機タイ工場を当時の三洋電機のアホ経営者野中ともよ一味が中国のハイアールに売り飛ばしてしまった。
その時のハイアールの言い草が忘れられないのだ。
こんなセリフだった。

ハイアールは今年4月、三洋電機から同社のタイ工場である三洋ユニバーサル電機(SUE)の株式9割を取得、傘下に収めた。8月中旬には同工場を東南アジア、アフリカ、中東向けの輸出拠点に位置付けたという。前出の梁氏は、「タイ工場の買収で、当社は世界で最も進んだファン式冷蔵庫の製造技術を獲得した。タイ工場からアフリカへ輸出されるのは同冷蔵庫で、中国工場からアフリカへ輸出されるのは水冷冷蔵庫となる・・・以下略・・・

この製造技術を”獲得”、この言葉、私は最初英文記事で読んだのだが「Acquire」と書いてあった。手に入れるという言葉にはGet、Gain、Obtainなど色々あるが「Acquire」は余り見かけない言葉。企業買収などという時に使う言葉なのだが、私には非常に傲慢な響きに聞こえた。
つまり「やった~、日本の会社を分捕ったぞ」、こんな感じだったと思う。
そんな事でこんなたった一言をいまだに覚えている。
尚この三洋電機タイ工場、同じ工業団地に知り合いの会社もあったので聞いてみるとあまりいい評判の無い会社のようだった。

この後ハイアールは冷蔵庫事業をどんどん拡大し、日本にも入ってきている。特にアパートやビジネスホテルなどにはハイアール製の冷蔵庫が普及している。一般の人には目につかない所で日本でもシェアを伸ばしているようだ。
このハイアールの冷蔵庫、知り合いの電気屋のオヤジに聞くと、「安いのでビジネスホテルなどにどんどん入ってるよ、私も何件か工事をしたことがある。不良品が多いので少し余分に手配し、悪かったらその場で取り換えていたね」、こんな事のようです。
先の見えないアホ経営者の失敗がこんな所にも影響している・・・、情けないですね。


余談が長くなりました。
本題の
>エンビジョンは、日本のバッテリー企業を傘下に収めており今後のコストのトレンドを極めて詳細に分析している

この文言も「よ~し、日本の会社を分捕ったぞ」、こんな匂いがプンプンすると思う。
オマケに会社を買収したと言っても未だ買収が完了したわけではない。そんな時に、今までクルマ用電池など製造したこともない会社が、EV用電池という極めて難しい代物のコストダウンを滔々と喋る。シナ人は本当に傲慢なんですねえ。

オマケに
EV車の価格はガソリン車よりも20から30%も安くなる。消費者らは一斉にEVに買い換えるだろう
・・・メ・クラ 蛇に怖じずですね・・・、、アホの戯言です。



所でこんな相手に対し、ゴーンがどうしてこんなに売り急いだのか。日産が特別資金不足という訳でもないのにどうしてだろうか。

ここで世界の電気自動車(EV、PHEV、HEV)用バッテリー出荷量を見るとこうなっている。

2019-1-23電気自動車用バッテリーメーカーTOP10 
(尚ホンダのハイブリッド用電池はGSユアサ系のブルーエナジーだが、このリストに入っていない。)


ここで気になること、VWのディーゼル不正事件以来、ヨーロッパのカーメーカーは一斉にEVに舵を切った。そして欧州のマスゴミからは「これからはEVの時代だ~~!、なのにトヨタは遅れている~~~」、こんなプロパガンダが散々流されてきた。

しかし現実は「EVで出遅れているのはVWはじめ欧州カーメーカー」である。
上掲リストで電気自動車用電池メーカーのTOP10は日本3社、中国5社、韓国2社である。欧州勢は入っていない。これが現実だ。

そしてVWは18年4月の報道では大規模電池工場をドイツ国内に建設すると言っているが、その内実は電池セルは外部調達(中国との事)、一番難しい部分は中国様任せらしい。

また18年11月の報道ではVWの電池供給体制はサプライヤー4社体制で、中国CATLは中国向け、韓国のサムスン、LG科学、SKI、この3社で欧州向け、北米向けを分担すると報道されている。

またGMに関してはこんな報道も
「GM、中国でのEV生産に遅れ バッテリーが基準満たせず」

このように、欧州も中国も日産の電池技術はどうしても欲しいもののようだ。

こんな所を見ると、今回の日産の電池部門売却にはルノーの都合よりもフランス政府、あるいはVW、ドイツ政府、そして中国政府も絡んだ厄介な話が裏に有りそうです。
だからこそ心ある日産の「ホイッスルブロアー」が立ち上がった。

う~~ん、絶句ですね。
益々日産頑張れと応援したくなりました。

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2018-12-24 17:43

ガバナンスの失敗 ゴーン問題を考える


 ゴーン問題の最終回、今回はガバナンス(統治)について。
この問題は自動車ジャーナリスト池田直渡氏の一番苦手なテーマだが、一番重要ではないか。

私はこの問題を日本が昔からやってきた「近江商人の三方よし」との比較で見てみたいと思います。

         2018-12-24三方よし


何やら古いものが出てきましたが、先ずは池田直渡氏の記事から

<以下引用>
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1811/29/news023.html

ガバナンスの失敗 ゴーン問題の補助線(4) (1/2)
2018年11月29日 08時00分 公開
池田直渡
(注:ガバナンス=統治のこと、「コーポレート・ガバナンス」(企業統治)のように使われる)


2018-12-24池田直渡4-1 

 「ゴーン問題」シリーズの最終回である。

 第1回では、カルロス・ゴーン氏の逮捕について法的側面からの検証を行った。第2回では「日産リバイバルプラン」以前の日産自動車の状況と、改革の内容についての解説を行った。第3回では、日産自動車と三菱自動車を日仏政府が奪い合う背景を説明した。

 本稿ではリバイバルプラン前から現在の状況に至る企業ガバナンスのあり方について考えてみたいと思う。

 われわれには今回の事態から学ぶべき教訓がある。これまで書いてきた通り、リバイバルプラン以前の日産自動車は極めてポピュリズム的、つまり個人の勝手な利益をそれぞれが追求した結果、全体最適が放置される体制に陥り、倒産寸前に至った。そこにカルロス・ゴーン氏が現れて、独裁的手法で問題を解決した。

 日本も米国もEUも、今、いろいろことが決められない。賛否両論の綱引きの中で、決定力を欠き、先に進めなくなっている。対して中国は共産党の独裁体制で、全てを効率的に進め、短期間で米国と並ぶ経済力を獲得しようとしている。

 合議制と独裁制についてよく考える必要があるのではないか? そこで思い出されるのは共和制ローマの独裁官というシステムだ。

 民主的であることは戦後長らく絶対正義とみなされてきたが、現在世界はそれに疑義を持っている。民主主義は根源的にポピュリズムを内包しており、バラ撒き的利益誘導に弱い。そうして個人間の利益が対立してこう着状態が起きると身動きが取れなくなる。

 戦争や疫病など国家的危機に接したとき、初動が遅れる、あるいは対応ができないということが起きる。だから共和制ローマでは、緊急事態を収束させるために、すべての権限を統帥して期間を限定して行使できる独裁官という制度を作った。

 極めて単純に図式化すると、共和制(リーダーによる合議制)のエラーは動けない方向へ、独裁制のエラーは動きすぎる方向へ傾く。緊急対応が必要な場面では、独裁制の方が効率が良い。しかし独裁制は永続させると、共和制よりひどい問題を引き起こすことになる。暴走すれば、反対勢力に対する弾圧や虐殺が発生する。その規模の恐るべき大きさと陰惨さは毛沢東やポル・ポト、チャウシェスクの引き起こした悪夢を思い出せばイメージできるはずだ。

 だから共和制ローマでは独裁官の任期を6カ月に限定した。それによって危機回避が済んだら、直ちに共和制に戻る仕組みを織り込んだのである。2500年前には既にこれだけの知恵があったことになるし、逆説的に言えば2500年も経った今、まだそれから学ばねばならないとも言える。

“ヒーロー”に退場してもらう勇気を

 さて、勘の良い方なら既に想像がついているだろうが、リバイバルプラン前の日産自動車はまさに共和制の悪い部分が出て、ポピュリズムに陥っていた。そこに独裁官であるゴーン氏が現れて、全ての権限を統帥して改革に当たった。企業運営の根本的システムが異なるからこそ、あれだけの改革ができたのだと思う。

 しかし、独裁官は改革終了とともに舞台を降り、通常の共和制に戻さねばならない。それを実現できなかったところに今回の問題の原因があるというのが筆者の見立てである。

 改革のヒーローに退場してもらうのはとても勇気のいることだ。何より退場させる相手は成功者であり、信賞必罰の基本と相容れない。偉大なリーダーがもっと長く統治を続ければ、もっと多くの良い結果を生むと多くの人は考える。

2018-12-24池田直渡4-2 

 しかし組織は時間経過とともに必ず腐敗する。ゴーン氏のケースもまさにこの腐敗であり、かつて共和制の腐敗の中に生まれた腐敗を一掃したことでヒーローになったゴーン氏が、腐敗の象徴とも言える金銭トラブルで経営者生命を終えたところに、シェークスピアもかくやという皮肉を感じる。

 恐らくは内部的にもその腐敗は明らかなところまで進んでいたはずだ。だからクーデターを起こしてでも舞台から強制的に降りてもらう必要があったのではないか。もちろんそのさらにバックグラウンドでは日仏政府の駆け引きもあったと思われる。

 いずれにしても、共和制と独裁制にはそれぞれ長所、短所があり、どちらかだけでもうまくいかない。そういう視点から眺めると、日産自動車以外の日本の多くの自動車メーカーにも当てはまると思う。

 経営の循環が良い局面にある会社と悪い局面にある会社があるが、良いことも悪いことも、共和制的なことによるものと独裁制的なものによるところに分類できるからだ。

 日本が長いトンネルを抜け出すために今回の一連の事件が良き影響を与えることを祈って本稿を終えたい。

<引用終り>


まったく正論である。例えばこんな事などは思い当たる節も多かろう。

> 日本も米国もEUも、今、いろいろことが決められない。賛否両論の綱引きの中で、決定力を欠き、先に進めなくなっている。対して中国は共産党の独裁体制で、全てを効率的に進め、短期間で米国と並ぶ経済力を獲得しようとしている

こんな統治の問題を考えるとき、どうしても必要なものが有る。何が良いのか、正しいのか、その原点になる物は何だろう。
それは会社のポリシー、ビジョン、社是、理念、こんなものではないだろうか。

自動車メーカーで言えば、
例えばトヨタ・ホンダ・日産の企業理念はこんなまとめサイトがある
「日本のトップ企業の“企業理念”をまとめてみた」
https://matome.naver.jp/odai/2145273562395293801

この中でもホンダの「三つの喜び」は素晴らしい。
〈三つの喜び(買う喜び、売る喜び、創る喜び) )

そんな中で日産を見てみると、
「日産は、利益ある成長を遂げながら将来に向けて持続可能な企業であることを目指しています。・・・以下略」・・・はてな??

最初から利益云々とあり、先ず儲けることが理念らしい。だが待てよ。商売でも物づくりでも、お客様が買ってくれなければ話にならん。
原点は先ずお客様が買ってくれることでは無いか。

ところが日産のこの文言はどうも今は違うらしい。まとめサイトは2016年1月14日のモノだが2017年にこれが変更になっているらしい。
現在の日産のHPを見ても良く分からないが、多分こんなものだろう。
ビジョン
日産:人々の生活を豊かに
ミッション
私たち日産は、独自性に溢れ、革新的なクルマやサービスを創造し、その目に見える優れた価値を、全てのステークホルダーに提供します。それらはルノーとの提携のもとに行っていきます。
(注:ステークホルダー:企業と利害関係を有するあらゆる者を指し、主なものとして株主、従業員、顧客、取引先、債権者等が挙げられる。)

どうも日産の理念は顧客が大事ではないらしい。顧客も株主も債権者もみんな同列だ。道理で最近の日産車はユーザーから見て面白くない訳だ。


ここで冒頭の三方よしを見てみよう。
三方よしとは「買い手」「売り手」「世間」です。
この言葉は、現在の滋賀県にあたる近江に本店を置き、江戸時代から明治時代にわたって日本各地で活躍していた近江商人が大切にしていた考えです。
信頼を得るために、買い手と売り手がともに満足し、さらに社会貢献もできるのが良い商売であると考えていました。
更にその三方よしを実現するための商売十訓を持っていましたが、その第一がこれです。

① 商売は世の為、人の為の奉仕にして、利益はその当然の報酬なり
これです。商売でも物作りでも利益を上げなければ話になりません。しかし利益はあくまで結果であって目的ではない。ここが重要です。

こんな考え方でトップから末端まで意識改革をやらないと現在の苦境を乗り切るのは難しい。
日産のガバナンスの失敗は矢張り経営哲学の失敗と言えるのではないか。
これが日本人皆に突き付けた課題ではないでしょうか。

冒頭「三方よし、三方よし」と言いながら歩く『振り売り』のイラストを載せました。
振り売りとは天秤棒の両側に商売ものを載せて『振り乍ら売り歩く』商売の原点です。そしてこんな事をすることで一人一人の意識が変わってゆく。

企業でも学校・官公庁など何処でも通用する考え方と思います。

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2018-12-23 21:03

フランス政府の思惑 ゴーン問題を考える


 ゴーン問題の続編です。
最初に予備知識として、日本と欧州の自動車技術をリードしているのが何処かを見てみたいと思います。日産とルノーの問題を見るのに、両社が置かれている立ち位置を見るのも大事だと思うのです。

昨年ですが、こんなエントリーをしました。

「排ガス問題をリードしているのは何処か 」 2017-07-26 15:36
http://tansoku159.blog.fc2.com/blog-entry-1418.html

ここにこんなグラフを載せました。
これはトムソンロイターのクルマ関係の特許公開件数の5年間(2009年ー2013年)のまとめ
2017-7-24自動車関連のメーカー別特許件数
http://ip-science.thomsonreuters.jp/press/release/2015/automotive-industry-trends/(リンク切れ)

メーカー名が見にくいのですが、左からトヨタ、ボッシュ、ヒュンダイ、ホンダ、デンソー、ダイムラー、GM、セイコーエプソン、ミツビシ、コンチネンタル、日本~5社、ドイツ~3社、アメリカ・韓国各1社です。
日本が自動車技術でも世界をリードしていることが分かります。尚この表でVWを見ると21位で件数はGMの半分でした。トップのトヨタと比べると1/5程度。
ヨーロッパのカーメーカーは、ボッシュという部品メーカーの巨人に依存している状況、例外はベンツだけという事が分かります。

参考までに特許件数の国別比較ではこうなっています。
2017-7-23世界の特許出願件数

フランスは人口は日本の約半分ですが、特許件数で見ると5分の1程度。
これがフランスの今の国力の一端です。
こんな事を念頭に池田直渡氏の記事を見てください


<以下引用>
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1811/28/news024.html

フランス政府の思惑 ゴーン問題の補助線(3) (1/4)
2018年11月28日 08時00分 公開
池田直渡

米ペブルビーチで発表されたインフィニティのEVスポーツカーコンセプト
2018-12-23池田直渡3-1 
 大手メディアの多くはルノー日産アライアンスを成功例と位置付けているが、筆者はそれに同意しない。提携以来、ルノーの業績は右肩下がりを続け、日産自動車が新興国で汗水垂らして作った利益を吸い込み続けている。

 さらに電動化をはじめとする技術もほとんどが日産自動車のものだ。筆者は過去のルノーの走りについて、あるいは走らせる技術については深い敬意を示したいと思うが、こと未来の競争領域、いわゆる、Connected(つながる)、Autonomous(自動運転)、Shared(共有)、Electric(電動)を束ねたCASEの領域の技術においては、ルノーは相当に遅れていると考えている。そして現在、それらはほとんど日産自動車の技術で補完されている状況である。

日産自動車は早くから自動運転や電動化に取り組んできた。写真は無人タクシーの実証実験
2018-12-23池田直渡3-2 
 前回の記事で詳細に説明したように、日産自動車はルノーに救われた。それは厳然たる事実である。しかし以来17年間の多くをルノーに尽くすことで過ごしてきた。利益も技術もずっと提供し続けているのだ。「死の淵から救い出された借りは返した」と言えるタイミングをいつだとするのかには諸説があるだろうが、少なくとも今の状況が永続的に続くことはアライアンスとして健全とは言えない。

 ルノーの前身はルノー公団で、かつてのフランス国営企業であり、現在でもフランス政府が15%の株を所有する筆頭株主である。今回のバックグラウンドは、すでに多くのニュース解説で述べられている通り、CASE技術を持つ日産自動車と三菱自動車という2つの会社を日仏両政府が奪い合っていると見ていいだろう。「日本の自動車メーカーが電動化に出遅れている」などという認識でいる限り、この構図は分からない。日本は次世代技術の宝を持つメーカーがひしめいている世界でも特異な国なのだ。
(引用者注:特許件数を見てもこの事は分かると思います)

 日本の自動車メーカーが電気自動車(EV)に出遅れているという主張は、主にドイツのプロパガンダだという事実があまりに無視されている。

欧州メーカーの実態

 欧州のメーカーの技術開発トレンドを振り返って見ると、1990年代初頭には燃料電池こそが次世代技術であると確信してそれにまい進したが失敗。これはカナダのバラード・パワー・システムズ社の大げさな技術発表を真に受けて、一気に燃料電池に舵を切ったためである。しかし肝心のバラード社は2007年に自動車用システムに見切りをつけて事業を売却している。欧州系のメーカーはここで失敗したことがケチのつき始めだった。

(引用者注:欧州メーカーを狂わせた最大の引き金はプリウス(2代目)ショックと見ています。以下エントリー参照ください)
(VW排ガス・スキャンダルの引き金を引いたもの 2015-10-16 09:24)
(http://tansoku159.blog.fc2.com/blog-entry-1173.html)

 いざ燃料電池が実用化できないとなった時に世界を見渡してみると、すでにトヨタ自動車がハイブリッドシステムを完成させて、完全に覇権を唱えている状態だった。後発でこれに参戦しても勝ち目はない。

 そこで彼らが言い出したのが、「低速中心の日本ではハイブリッドは良いかもしれないが、長距離高速巡航型の欧州では利得が少ない」という必ずしもウソとは言えない言い分だった。そこで温暖化の主要因としてやり玉に挙がっている二酸化炭素(CO2)排出量の少ないディーゼルを主力に据えようとした。

 しかしディーゼルは地球温暖化に寄与するCO2削減では優秀だが、大気汚染の原因となる炭化水素(HC)、煤(PM)、窒素酸化物(NOx)では劣等生だ。

 EUの規制は、ごく最近まで大気汚染問題への規制基準が緩く、ただ欧州市場を日本車の進出から防衛するためにCO2排出量だけに極端なインセンティブをつけた結果、ディーゼル車が激増し、欧州都市部の大気汚染を深刻な状態に陥れた。

 加えて、2015年に独フォルクスワーゲンのディーゼルゲート事件が発覚する。テストのクリア専用に作られた違法な特殊モードを駆使して試験をパスし、実際の走行では「公害を垂れ流しとバーターで性能の良さをアピールする」というインモラルな仕掛けだった。

 本当に解決方法がないならともかく、マツダのディーゼルエンジンはNOxの排出を従来比で大幅に抑えることに成功している。やってもできないのではなく、やる技術がないか、やる意思がないだけだと言うことがはっきりするではないか。マツダに限らず、日本のメーカーはこうした点で非常に真面目で、社会に求められる責任に応えようとしている。そういう真面目さが欧州メーカーにはあまり感じられない。事あるごと環境意識の高さをアピールする姿勢と現実にやっていることのかい離をどう説明するつもりだろうか? 言うだけなら簡単で良い。

欧州勢がEVと騒ぎ出すよりはるかに早く製品化されていた初代リーフ
2018-12-23池田直渡3-3 
 燃料電池、ディーゼルと続けて大失敗した欧州メーカーが慌てふためいて、おっとり刀で担ぎ出した次世代エースがEV(電気自動車)である。

ハイブリッドとEV

 しょせんは付け焼き刃でしかない。そもそも技術がない上に、高電圧を扱う免許を持った整備士が足りず、サービス網での整備もおぼつかない。そこはトヨタとは違う。トヨタは95年以来、着々とハイブリッドマーケットを育て、世界各国で1000万台以上を販売、あらゆる国々の過酷な状況下で実際にユーザーが使い、それを支えるサービス技術を構築してきた。そのビジネススキルのリアルさは伊達ではない。

ハイブリッドとEVは基本的に共通の技術だ。むしろエンジンとモーターの強調制御がいらない分EVの方がハードルが低い
2018-12-23池田直渡3-4 
 ハイブリッドとEVは別物だとする意見も散見するが、どちらもモーター、インバーター、バッテリーという3つの要素が構成要因である点では完全に同じだ。プリウスPHVはEVモードでの航続距離は60キロに達している。つまりハイブリッド車からエンジンを下ろし、バッテリー容量を上げればEVは簡単にできる。

プリウスPHVのバッテリー。コンパクトにまとめつつ高い冷却効率を実現するのは簡単ではない
2018-12-23池田直渡3-5 
 では、なぜトヨタがEVをやらないかといえば、高コストな上に台数がはけないというのが第一の原因だ。要するに買う人が少ない。もし大手メディアがいうように市場がEVを求めているにもかかわらず、メーカーがサボタージュして生産台数が足りないのだとしたら、長い納車待ちが発生するはずだ。だがそんな話は聞かない。つまりEVは残念ながら製品として売れないということになる。

 第二の原因は本格的なEVシフトに応えられるだけのバッテリーを生産できるサプライヤーがまだ世界のどこにもないからだ。それについてトヨタは17年秋にパナソニックと提携して30年までのバッテリー生産量を確約させた。然るのちに、30年にEVと燃料電池車(つまり内燃機関を持たないクルマ)の総計100万台を目指すと発表した。

 欧州のメーカーは電動化だのEVだのと威勢の良い発表を続けるが、具体的にバッテリー供給のめどが立っているとは言い難い。この点で最も進んでいるフォルクスワーゲンですら、中国政府から「中国でクルマを売りたいのならば、バッテリーセルは中国製を採用すること」とゴリ押しされて、中国製のバッテリーを採用することになっている。しかしながら、先に同じ条件を飲んだ米GMのEV『ボルト』は、社内の性能・安全基準を満たすバッテリーが調達できず、開発の無期限延期に追い込まれている。同じ轍(てつ)を踏まない保証はない。

本当にルノー日産のアライアンスは成功か?

テスラに採用されるパナソニックの18650バッテリー
2018-12-23池田直渡3-6 
 この話をすると「テスラがあるじゃないか!」という人がいるが、現時点でテスラが使っているのはパナソニックの18650と言う乾電池型の汎用電池である。多少のカスタマイズはしているようだが、基本はごく並みの性能の普及品でスペース効率と重量効率が悪い。そんな電池でいいのなら誰でも買える。疑うならAmazonで検索してみれば良い。ポチれば明日あなたの元にだって届く。

 さて、こうして、欧州がEV先進国でも何でもないことを念頭に置いて見ると、現在ドイツよりさらに遅れているフランスとイタリアの自動車メーカーには、CASE時代の最先端で戦っていくエレクトロニクスの技術がないと言わざるを得ない。

 つまり、日産自動車をルノー傘下に統合できるかどうかはルノーの未来だけの話ではなく、フランスの自動車産業全体の存亡がかかっていると見るべきだ。だからこそこの事件は国内法の中だけで決着がつかない政治案件になる可能性が強い。

2017年、ルノー日産のアライアンスに三菱自動車が加わった
2018-12-23池田直渡3-7 
 ルノー日産のアライアンスを成功例と捉える論調を多く見かけるが、それにも違和感がある。

 言葉を選ばずにいえば、ルノーは日産自動車の売り上げと技術力を吸い取るヒモに成り下がっている。ルノー自身が奮起の上、経済的技術的に自立して、日産自動車や三菱自動車と相互に高め合うアライアンスを組めないのであれば、そんな片務的なアライアンスはどこかで縁を切るべきだろう。

 仮に日産自動車から利益補てんを得られない状況であったとしたら、ルノーはもっと早い時点で改革に着手せざるを得なかったはずで、甘えの構造はルノー自身のためにもならない。国策、つまり国の都合の話を切り離して、自由経済の原則で考えれば、ゾンビ企業がいつまでも生き残れるスキームは広い意味での経済発展に寄与しない。ごく当たり前の話だ。

 しかし、そんな正論と違うフェーズで事態は進行していくのではないかと思う。なぜならばこの争いの真のプレイヤーはすでに両国政府だからだ。そこは政治案件なので、われわれはただ行方を見守るしかない。
(続く)

<引用終り>

この問題が複雑なのは、日本もフランスも基幹産業で有ること。その自動車産業が、トヨタ式に言えば「生きるか死ぬかの大変革期」に直面していること。そしてフランスには独自に勝ち抜く力が無いことである。

そしてフランスは日本のアキレス腱である原子力についての力を持っていること。この事を忘れてはいけないと思う。
もう一つが陰に蠢くアメリカの存在。三方良しの解は無い。三方一両損の解も有るかどうか、難しい所だと思う。


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2018-12-23 10:42

日産リバイバルプランがもたらしたもの ゴーン問題を考える


 世の中、ゴーン、ゴーンと煩いが、一昨日(12/21)ゴーンが再逮捕された。容疑は特別背任行為。
具体的には以前から噂されていた事だが、リーマンショック時の巨額の個人的損失(18億5千万円)を日産に付け替えたもの、もう一つが日産の資金を知人に横流し(16億円)。

所で、ちょっと冷静に自動車メーカーのトップとしてゴーンの功罪を考えてみたいと思う。

私が考える今回のゴーン問題のキーポイント、それは消費者、車のユーザーにとって何が一番いいのか、こんな視点で見ることだと思うのです。
少し例は違いますが、アメリカのトヨタ叩き(2009年ー2010年)で最後にトヨタが勝ったのは「アメリカの消費者がトヨタを支持」したからです。これにはオバマ政権も手が出せませんでした。これ以上トヨタを叩くと国民を敵に回すことになると悟ったのです。
クルマのユーザー目線でゴーン問題を見た時どう見えるか、多分最後に行きつく問題が消費者・車のユーザーにとってどうなのかだと思います。
そんな見方で以下の記事を見てみたい。


自動車ジャーナリスト池田直渡氏の「週刊モータージャーナル」に「ゴーン問題の補助線」としてこの問題をとりあげた4回シリーズの記事がある。

第1回:資本主義経済に対するテロ行為 2018-11-26

第2回:日産リバイバルプランがもたらしたもの 2018-11-27

第3回:フランス政府の思惑 2018-11-28

第4回:ガバナンスの失敗 2018-11-29
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1811/29/news023.html



ここで、「第1回:資本主義経済に対するテロ行為」ではこんな事を指摘している。

容疑については以下の3つ。
1. 有価証券報告書の虚偽記載
2. 日産自動車の資本金の私的流用
3. 日産自動車の経費の私的流用

この中で特に1について言及しているのだが、池田氏曰く「本件は資本主義経済システムの根底を成す投資に対するテロ行為」、こんな事を言っている。

しかしこの件は冒頭書いたように新たに「特別背任」(これこそ投資に対するテロ行為だが)で再逮捕されたこともあり今回省略。次の「日産リバイバルプランがもたらしたもの」、「フランス政府の思惑」、「ガバナンスの失敗」について考えてみます。
尚長文なので、私のエントリーも3回に分けます。


本題に入る前に日産リバイバルプランと言っても知らない方が多いと思うので簡単に説明。
日産リバイバルプラン( 略称: NRP)
1999年3月、当時2兆円余りの有利子負債を抱え破綻寸前だった日産はルノーと提携、6430億円もの出資を受けて再建に乗り出した。同年6月ゴーンが日産に着任、同年10月日産再建プランとして発表したのが「日産リバイバルプラン」
3つの達成目標
2000年度連結当期利益の黒字化
2002年度連結売上高営業利益率4.5%以上
2002年度末までに自動車事業の連結有利子負債を7000億円以下に削減
具体的な内容として、
1)村山工場など車両組立工場3箇所、部品工場2箇所を閉鎖し、国内の年間生産能力を240万台から165万台へと削減。

2)全世界でのグループ人員を2万1,000人削減し、購買コストを20%圧縮するために、下請企業を約半分に減らした。

3)子会社・関連会社1400社のうち、基幹部分として残す4社を除く全ての会社の保有株式を売却。これによって下請企業の合併再編が急速に進んだ。
(注:これが所謂ケーレツ廃止と言われるもの、日産系列の部品メーカーは自助努力を要請された)
成果
当初の予定より1年前倒しで、売上高などの業績を著しく向上させ、2003年までの4年間で2兆1,000億円もの巨額の借金を完済した。一方で長年維持してきた業界2位の自動車メーカーの地位を他社へ明け渡す結果になった。


こんなものですが、当時の日本の商習慣とは全く違う考え方であり、社内の会議は全部英語で行う事になるなど、日産は全く別の会社になりました。


では池田直渡氏の記事を紹介します。

<以下引用>
池田直渡「週刊モータージャーナル」
日産リバイバルプランがもたらしたもの ゴーン問題の補助線(2) 
2018年11月27日 07時45分 公開

 前回の記事では、元日産自動車会長のカルロス・ゴーン氏の容疑について整理した。

 経営者としてのゴーン氏の功罪を振り返って見ると、なかなか一言で白黒つけられない。

90年代の日産自動車の厳しい当期利益推移
2018-12-22池田直渡2-1 

 1999年にルノーが日産自動車の株式の36.8%を取得して提携した時、日産自動車は瀕死の状態だった。惨状と言っても良い。90年代を通して当期利益が黒字化したのは90年、91年と96年の3回だけ。つまり92年に赤字に転落して以降はたった1度しか黒字化してない。
2018-12-22池田直渡2-2 

 目標とされる営業利益率8%に対し、かろうじて黒字になった96年が3%、それ以外の年は全部赤字決算で営業利益率が計算できない。有利子負債は93年の2兆8660億円をピークに、98年時点でも2兆1000億円。

有利子負債は利益を食いつぶす。これを圧縮しない限り出口はない
2018-12-22池田直渡2-3 

 それらが何を意味するかと言えば、莫大な借入金があるにもかかわらず、返済する原資がないということだ。借金が年収の何倍かを計算しようにも、肝心の年収がマイナスでは話にならない。決算書に如実に映し出されたその経営状況は、毎年連続するマイナスと借り入れ金利がストック資産を食いつぶし、資産合計を借金が上回る債務超過へのカウントダウンだと言える。

 あるいは、この時点で資産を厳しく査定したらアウトだった可能性もある。とすれば、金融機関がケツをまくって支援を継続しないと言えばそれで終わりだし、支援を受けるとしても「どうやって再生するのか?」と問われれば答えがなかった。

なぜそんな状況に陥った?

 なぜそんな状況に陥ったかと言えば、社内の権力闘争が生んだ非合理的なセクショナリズムが原因だ。強すぎる労働組合を背景にした労使の癒着、旧日産系とプリンス系の反目、学閥、系列の悪習慣、本来一丸となって戦うべき組織が内部摩擦でエネルギーの多くを損耗していた。

セクショナリズムで膨れ上がっていたプラットフォームと工場を整理した
2018-12-22池田直渡2-4 

2018-12-22池田直渡2-5 

 言ってみれば、対立する組織ごとに社内にそれぞれ別の会社を作って互いをライバル視している状態だった。象徴的な事象を挙げてみよう。

 まずは工場とプラットフォームの莫大な数だ。99年には7工場、24プラットフォームがあった。日産系とプリンス系が互いに自分たちが開発したプラットフォームを相手には渡そうとしないとか、同じ技術や同じクラスのクルマを同一の会社の中で複数開発していた。そんな馬鹿な闘争を続けていれば経費が膨れ上がるのは当然だ。

 さらに販売会社や系列のサプライヤーは天下りの温床となっており、天下り席の確保と引き換えに取引の規律が緩んでいた。天下ってトップに就いた経営者は販売店やサプライヤーにとって最良の経営をすることよりも、仕事をくれる日産の方だけを見て仕事をする。そういう構造はフラクタル(自己相似性:図形の全体と部分が相似になっていること)に連続してさまざまな階層がそれぞれに小さな権力を持ち、その権力で獲得できる利権で会社を食い物にしていた。

 ゴーン氏はそこに日産リバイバルプラン(NRP)を策定して大ナタを振るった。2001年には7工場24プラットフォームを、4工場15プラットフォームに縮小。販売拠点は約1割の355店舗を閉鎖し、国内の販売会社も約2割に当たる18社を削減した。2万3000人の従業員数削減、5300億円の資産売却。大量の血が流れた。すでに書いてきた通り、彼らは人生を破壊された被害者でもあるが、無実ではない。大粛清の到来はそれまでの彼らのやり方が招いたものだ。

後の祭り

2018-12-22池田直渡2-6 

 しがらみの外からやってきた外国人社長の辣腕で日産は奇跡の回復を見せ、長年の赤字のトンネルを抜けた。

 プラスに転じた1999年の改革着手時には830億円だった営業利益が、2000年には2900億円、01年に4900億円へと大幅に回復。01年の営業利益率は7.9%に跳ね上がった。98年に2兆1000億円あった有利子負債は01年には4350億円に圧縮された。

 ただし、とここで書かなくてはならない。

 瀕死状態からの回復で何も失わないのは難しいだろうが、販売会社の大規模整理はさすがにやり過ぎだったと思う。戻れない川を渡ってしまった。メーカーにとって販売拠点は商品の換金所である。それを整理すれば売り上げは当然ダウンするし、後悔しても元に戻す方法はない。加えて残った販売店の士気を著しく落とす。拠点の削減は、日本国内のマーケットの成長可能性を見限ったサインに見えるからだ。

2018-12-22池田直渡2-7 

 それらの大手術によって日産は全く別の会社になってしまった。伸びの見込めるマーケットに選択と集中を図り、2つの地域事業に特化した。アジアを中心とした新興国では廉価なクルマを薄利多売するメーカーになり、北米ではインフィニティブランドで高付加価値マーケットにエントリーする。

 サニーやプリメーラやセドリックに代表されるこれまでの普通の日産車の階層がごっそりと抜け落ちた。古いモデルをモデルチェンジもなしに放ったらかしにしたり、廃盤にするばかりでニューモデルが出てこない。ヒットモデルであるジュークですら2010年にデビューしたままモデルチェンジもなし。ジュークの属するコンパクトSUVというジャンルは現在各社が血眼で競争しているホットなクラスであるにもかかわらずだ。

 ごくまれに日本国内で新型車が発売されても、ほとんどが海外向けのクルマのおこぼれに過ぎない。ミニバンと軽以外に日本国内マーケットを見据えたクルマは見事に出てこなくなった。


改革完了後の姿

 ゴーン氏の改革は確かに瀕死の日産自動車を助けた。それがなければ倒産していた可能性は高い。しかし、同時に日産自動車という会社の性格を大幅に変えてしまったのも事実である。大掛かりな体質改善こそがリバイバルプランだと居直られれば言葉を失うが、それは国内の販売会社とユーザー、要するに「日本マーケットそのものが整理対象だ」と言っているのに等しい。

 これはあくまでも筆者の推論だが、ゴーン氏は日産自動車の短期的なV字回復を手土産にルノーに凱旋し、ルノーのトップに収まる絵図を描いていたのではないか?

 日産リバイバルプランのうち、特に実行に移された改革を振り返ると、激しいコストカットと同時に、行われるべき未来への布石が圧倒的に少ない。うがった見方かもしれないが、自分がフランスに凱旋した後のことは我関せずというつもりだったのではないか?

 現実は皮肉で、確かにルノーのトップに就いたものの、日産自動車のトップを禅譲する目論見は外れ、両社のトップを兼任することになった。もし、最初からそうなることが分かっていたら、つまり日産自動車の経営を長期的に担うことが分かっていたとしたら、ああ言うやり方にはならなかったのではないだろうか?

 企業経営の視点からみれば、瀕死の、しかもあの規模の会社を完全再生に持っていったことはまれに見る成功と言える。しかし、日本政府、日本のユーザー、日本の販売店というステイクホルダーから見れば、あまりに元も子もない。恐らく多くの読者も、筆者もこの立場から日産自動車を見ることになるはずだ。

 例えて言うならば、こういう話だろう。高校野球のチームが「どんな手を使ってでも甲子園で優勝しよう」と誓ったとする。そのためには優秀な選手をスカウトしてこなくてはならない。

 最初は皆それに同意した。しかし改革が進むにつれ、最初に優勝を誓ったメンバーは選手、コーチともに一人もいなくなった。そして監督だけが全く中身の入れ替わったチームを率いて優勝する。これは成功だろうか? それとも失敗だろうか?

 それはアダム・スミスが提唱した「神の見えざる手(市場経済の自動調節機構をいう。 経済活動を個々人の私利をめざす行為に任せておけば、社会全体の利益が達成される)」の限界である。神の御技であれば、人類も地球も全宇宙のための調整要素のひとつでしかない。ダメなら人類も地球も滅ぼすだけだ。

 だがわれわれは、自らが滅びることを調整要素として容認できない。神ならざる身であれば当然だ。リバイバルプラン以降、日産自動車は日本人のためのクルマを大幅に削減し、徐々に日本人と日本を顧みない会社に変わり続けている。われわれは、日産自動車にはもう一度「日本の日産自動車」に戻ってもらわねばならない。

 「技術の日産」をむざむざ他国に差し出すわけにはいかないのだ。(続く)

<引用終り>


 私は日産リバイバルプランが公表されたとき、某所からそのコピーを手に入れ読んでみました。余りの過激な内容に言葉を失ったことを19年も前ですが、今でもありありと思いだします。

そして今、こんな所を見直してみてつくづく思う事。日産の体質は変わっていないなあという事です。

モノ作りは何でもそうですが、シッカリしたポリシーと冷静な自助努力がどうしても必要です。このポリシーの部分を稀代のコストカッター「ゴーン」の言うままにしてきた結果が今日の日産の姿と言えるでしょう。
嘗て日産には3人の天皇がいると言われていた。川又克二、石原俊、塩路一郎である。この3人がゴーンに変わっただけ。そして社内には官僚主義がまかり通る。今またこんな弊害が噴出したと言えるようです。
<続く>

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2018-12-02 15:39

ルノー日産連合の危機、元凶は?


 この所新聞テレビは毎日ゴーン一色である。しかしながら報道はと言えばゴーンの報酬が何億円という話ばかり。本当はこの事件の背景が何かと言った所が問題なのだが、そんな報道は欠片もない。

そんな時、ロイターにいい記事が有った。日本のメディアでは決して出てこない話だが大いに参考になる。

<以下ロイターより引用>
https://jp.reuters.com/article/renault-nissan-macron-idJPKCN1NY0HD

トップニュース2018年11月29日 / 15:22 / 
焦点:ルノー日産連合の危機、元凶はマクロン大統領の介入主義

[パリ 28日 ロイター] - カルロス・ゴーン容疑者の逮捕を機に、日産自動車(7201.T)は再度ルノー(RENA.PA)支配からの脱却を試みようとしており、マクロン・フランス大統領は新たな悩みの種を抱えることになった。しかしこの問題はマクロン氏の「身から出たさび」と言えるかもしれない。

2015年4月、当時経済相だった37歳のマクロン氏は、政府によるルノー株買い増しという驚きの命令を下した。国の議決権倍増の是非が問われる同月末の株主総会で、倍増を確実にするための工作だ。一夜にして下されたこの命令が、ルノー日産連合の日産側に深刻な波紋を広げる。

その後8カ月にわたるマクロン氏側と当時日産ナンバー2だった西川廣人現社長との闘いが、今日の危機の種をまいたと多くの関係者はみている。

「マクロン大統領自身がどっぷりと関わっている」と語るのは資産運用会社アライアンスバーンスタイン(ニューヨーク)のアナリスト、マックス・ウォーバートン氏。2015年の決断が「最終的にフランス政府の支配下に組み込まれてしまう」という日産側の危機感に火を付けたことを、マクロン氏は認識すべきだという。

昨年大統領に就任したマクロン氏は現在、街頭デモや過去最低の支持率に見舞われている。同氏の大胆な介入主義はかつては新鮮に映ったが、ルノー日産連合の危機を契機に、その負の側面に注目が集まるかもしれない。

マクロン氏が政府保有ルノー株の拡大に動く前年、当時のオランド大統領は「フロランジュ法」を定めていた。これは全上場企業について、株主投票により適用除外(オプトアウト)を選択しない限り、フランス政府など長期株主の議決権を2倍にするものだ。

<急襲>

マクロン氏は2014年末から数カ月にわたり、ゴーン氏とルノー取締役会に対し、翌年4月30日の株主総会でオプトアウトを提案しないよう説得を続けたが、ルノー側は首を縦に振らなかった。政府の持ち株比率は15%、議決権はそれを小幅に上回る比率だったため、政府は株主投票で負ける公算が大きかった。

そして4月7日の夕方、マクロン氏からゴーン氏に「礼儀上の」電話が入る。政府がルノー株を4.73%買い増したこと、そして翌朝にはそれを発表し、オプトアウト案を否決に追い込んだ後に買い増し分を売って持ち株比率を15%に戻すことを告げたのだ。

これについては、マクロン氏の批判派も称賛者も口をそろえて政府による前代未聞の「奇襲」だと言う。くすぶりつづけていたゴーン氏とマクロン氏のエゴのぶつかり合いが、この時爆発した。

マクロン氏は周囲の警告をよそに事を進め、オプトアウトを否決に追い込んだ。これによりフランス政府は事実上、ルノーの「可決阻止少数」株主となった。そのルノーは日産株の43.4%を保有して株主総会を支配している。

東京は殺気立った。日産は取締役会の構成や資本関係などに関する協定(RAMA)からの離脱をちらつかせる。離脱すれば自身より小規模な親会社ルノーの株式を自由に買うことができるようになり、ルノー支配を覆せる。


西川氏は2015年9月3日付のルノー取締役会宛ての書面で「連合の信頼の基礎であるルノーのガバナンス、ひいてはルノーの自主的経営に重大な影響が及ぶだろう」と告げている。書面はロイターが入手した。

日産の広報担当者はこの記事へのコメントを控えた。

西川氏はルノーに対し、日産の支配株を売却し、日産が保有するルノー株15%の議決権を元に戻し、連合に対する支配を放棄するよう求めた。しかしマクロン氏のスタッフは当初、ゴーン氏が振り付けたものだと考えてこれを無視する。

フランス政府の株式保有を管轄していた機関の高官は当時「ゴーン氏が日産と日本側の考えを語るとき、彼は自分の考えを語っているのだ。私からすれば全部たわ言だ」と話していた。

<見誤ったマクロン氏>

3年後の今、ゴーン氏は逮捕されたが、日産は再び同様の要求を突き付けようとしている。

元フランス政府高官の投資銀行バンカーは言う。「専門用語も言い回しも語彙も、2015年とほとんど同じだ。日本の立場を代表しているというゴーン氏の話をわれわれは信じていなかったが、本当に彼の作り話ではなかったことが分かった」


マクロン氏がルノーと日産の完全合併を求めて圧力をかけたことも、逮捕劇の数カ月前から日本側を警戒させていた。

両社と三菱自動車(7211.T)の首脳は29日夜、今後の連合の在り方を協議する予定で、主導権を巡り日仏の確執が深まる恐れもある。そうした中、ルノーはマクロン氏が結んだもう1つの合意に手足を縛られている。

日産が連合を離脱する可能性を巡り緊張が高まっていた2015年末、フランス政府は大半の非戦略的決定に関してルノーの議決権を18%に制限することに合意した。

マクロン氏が支持したこの「安定」合意には、ルノーが日産の株主総会で取締役会に反対しないとの拘束力のある約束まで盛り込まれている。これは主導権争いのハンデだ。

パリの議決権行使助言会社プロキシンベストのロワ・ドゥサン最高経営責任者(CEO)は「ルノーは主要な資産に対する権利を放棄したも同然だ」と指摘。「彼らはもうすぐ、交渉力が損なわれたことに気付くだろうが、もう手遅れだ。連合のパワーバランスは既に覆された」と述べた。

<気もそぞろ>

当時の判断について当時のある閣僚は、マクロン氏が大統領選をにらんで政党「共和国前進」の立ち上げ準備を進めていた時期にあたり、そちらに気を取られていたようだと振り返る。同党のウェブアドレスが登録されたのは2016年1月7日。ルノーと日産が合意を結んでから4週間も経っていなかった。


この元閣僚は、ゴーン氏にも2015年の闘いをエスカレートさせた責任の一端があると言う。

「ゴーン氏は、閣僚らより自分の方が上だという鼻持ちならない自信を持っていた。話し相手としては首相しか念頭になかっただろうから、やはり自分の偉さを重々認識しているマクロン氏には気に入らなかっただろう」

(Laurence Frost記者 Michel Rose記者)
<引用終り>


日産自動車にとってゴーンは命の恩人である。もともと倒産しかけていた日産。そして日産の負の遺産からの悪弊を断ち切るにはゴーン流の荒っぽいコストカットが必要だったのだ。

日産の負の遺産、嘗て日産には3人の天皇がいると言われていた。日本興業銀行(現・みずほコーポレート銀行)出身の川又克二社長(86年、81歳で死去)、生え抜きの石原俊社長(03年、91歳で死去)、自動車労連(現・日産労連)の塩路一郎会長(13年、86歳で死去)である。70年代後半からの日産は「三頭政治」と呼ばれた。川又と蜜月関係を結んだ塩路が、石原と激しく対立した。
こんな事で社内には官僚主義がまかり通って、業績はどんどん下り坂。1999年にはルノーの助けで再建に向かう事となり、切り札としてゴーンがやってきた訳だ。

そんな命の恩人ゴーンだが、ゴーンが来てからの日産車はさっぱり面白くない。クルマ好きをワクワクさせる魅力がない。だから本当はゴーンは、「もう役目は終わった」という事でもっと早く引退すべきだったと思う。矢張り長すぎた政権はもんだといういい例かも知れない。

所で本題から外れるが、日産車は面白くないというと、GT-Rが有るじゃないかという人がいる。
GT-Rは使い方によっては熱狂的なファンがいる。しかし私に言わせると、「クルマは重いほうが良い」というような設計者が作った車。永年軽量化とコストダウンで散々苦労してきた私にとっては、その一言だけでこの車の限界が分かるというもの。かつて櫻井眞一郎氏(伝説のスカイライン設計者)がGT-Rを評して、「あのクルマは私がスカイラインで実現したかったクルマとは違う。あのクルマからスカイラインという名前を外してくれてよかった」と言っていましたが、それが全てだと思います。

ゴーンもGT-Rも金食い虫。もうそんな時代は終わったんでしょうね。

尚『「最終的にフランス政府の支配下に組み込まれてしまう」という日産側の危機感』という事について。
自動車メーカーの舵取りは大変難しい。少なくとも国営企業になって成功したカーメーカーは無い。そんな事が日産の危機感にはあると思います。官僚や政治家に口を出されて上手く行くほどカーメーカーは簡単ではないという事です。

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2018-11-02 17:28

メキシコの罠<タカタの場合


 メキシコの罠に嵌って倒産してしまったタカタ。しかし私にとってこの話は他人ごとではない。第一タイ時代にはタカタと取引していたこともあり、タカタは厳しいことも言うが良い会社だと思っていたからだ。

所でそのタカタはどうなったか。これは4か月ほど前の報道。

タカタ民事再生1年、連鎖倒産なし 昨年6月26日に申請
2018.6.27 05:00  

 欠陥エアバッグのリコール(回収・無償修理)問題で経営が悪化したタカタが昨年6月26日に民事再生法を申請してから1年が経過し、これまで1件も連鎖倒産が発生していないことが26日、帝国データバンクの調査で分かった。タカタが関係の深い取引先約560社に債務を全額弁済したことが大きく寄与したほか、自治体や自動車メーカーの資金繰り支援も連鎖倒産を回避できた背景にある。

 タカタの負債総額は1兆823億円に上り製造業で戦後最大の倒産となった。事業は中国・寧波均勝電子傘下の米自動車部品キー・セイフティー・システムズ(KSS)をスポンサーにした新会社が引き継いだ。帝国データバンクによると、旧タカタ時代から引き継がれた滋賀県や佐賀県にある主な生産拠点が移転する事態になれば、周辺の取引先を中心に一定の影響が出るリスクは否定できないという。

<引用ここまで>

所でこの倒産劇、日本の報道を見ていてもサッパリ実態が見えない。これは1年前の倒産時の報道だが、3代目社長の無能のために倒産したことだけを取り上げている。
これは産経の報道。詳細は下記参照ください。
https://www.sankei.com/economy/news/170626/ecn1706260031-n1.html
【タカタ破綻】
終始逃げ回った3代目の罪…追い込まれ破綻へ
2017.6.26 21:25


3代目の道楽であんな優良会社がみすみす破綻。だがその原因はアメリカの問題とメキシコの問題がある。
最初にアメリカの問題をキチンと報道したものは少ないが、その少ない報道の一つがこれ。

<以下mag2newsより>
タカタも米国にハメられた?リコール問題に残る不可解な事実
2017.07.20  by 大村大次郎
https://www.mag2.com/p/news/257636


詳細はリンク先参照ください。大変いいところを見ていますが、何せ証拠の無い話。問題点を指摘するだけになっています。

要点は
・発端はタカタの自発的なリコール
・そのリコール後、急増したアメリカのエアバッグ死亡事故
・事故の原因がエアバッグの欠陥と明確に判明したケースもほとんどない
・日本ではタカタ製エアバッグ暴発による死亡事故はない(けがを負った事故が2件のみ)
・NHTSA(米運輸省道路交通安全局)は無理やりエアバッグの火薬の問題にしてしまった

こんなことで、ここまで見てくると2009年~2010年のトヨタ叩きと殆ど同じ経過をたどっていることが分かる。このトヨタ叩きは最終的に「ニュースの見出しを狙った政治的に引き起こされた集団ヒステリー(wp2011.2.9)」という評価で決着しているが、タカタは対応に失敗し、倒産という悲劇となった。
このアメリカの問題は指摘するにとどめ、本題のメキシコの罠について考えます。


タカタのエアバッグ問題で焦点の一つがメキシコ工場製だけが問題だったこと。この件を追求した報道はこれまた極端に少ないが以下のロイターの記事は大変示唆に富んでいる。特にモノ作りに携わる人には大いに参考になる事例。そこで少々長いが全文引用します。

<以下ロイターより引用・・4年前の記事ですが>
https://jp.reuters.com/article/takata-idJPKCN0J50U120141121

ビジネス2014年11月21日 / 19:12 / 4年前
特別リポート:タカタ欠陥エアバッグ、尾を引く「メキシコの誤算」

[フロンテラ(メキシコ)/デトロイト 21日 ロイター] - 米国を中心に相次ぐ死傷事故と大規模なリコール(回収・無償修理)を引き起こしているタカタ7312.tの欠陥エアバッグ問題。人命を守るはずの安全機器がなぜ一瞬にして凶器に変わったのか。

その原因をたどると、米国との国境から車で3時間余り、メキシコ北東部の小さな町で起きたある出来事が浮かび上がってきた。

原因不明の爆発、想定外の生産遅延

メキシコ・コアウイラ州フロンテラ。タカタは2000年、人口7万5000人あまりの同地域に北米向けを中心とするエアバッグの製造工場を建設した。死傷事故やリコールにつながった同社製品は2001─2002年と2012年頃に製造されているが、リコール記録や当局、自動車メーカーによると、そうした欠陥品はこの工場で作られていたことがわかっている。

エアバッグ生産コストの削減策として大きな期待を寄せていた同工場が、タカタにとって「誤算」に転じた出来事は2006年に起きた。皮肉にも、同社が東証第一部に上場した記念すべき株式新規公開(IPO)の年だった。

同年3月30日の夕方、工場内で数回にわたり原因不明の爆発が発生。工場からは無数の火の玉が飛び散り、外壁は吹き飛び、1キロ離れた家の窓も壊れるほどのすさまじい爆発だった。

爆発の際、工場内には数百人の作業員がいた。幸いにして彼らは全員が無事に脱出し、近くの住民にも死傷者はでなかったが、この爆発についてはタカタからの公式説明はなく、原因は不明のままだ。同社は事故対応に2100万ドルを特別費用として計上。同年11月のIPOに向けた祝賀ムードに水を差す出来事になった。

事故後、1カ月もしないうちに同工場は生産を再開、ホンダ(7267.T)やフォード(F.N)が部品不足を理由に自社工場を停止する事態は避けられた。復帰して仕事を続けた従業員には、特別奨励金が支払われ、さらにテレビや冷蔵庫を賞品にしたくじ引きやイースターの礼拝も行われた。会社側の手厚い配慮もあり、爆発事故の衝撃はほどなくして癒えた。

マネージャーらは工場の復旧を誇りにし、記念に、爆発の写真が載った大型豪華本を製作したり、最初の爆発の日時が刺繍された野球帽を作るなど、今では従業員をつなぐ記念の出来事にさえなっている。

しかし、この爆発によって同社のメキシコ戦略は生産遅延という大きな問題に直面した。操業強化のため、作業員への容赦ないプレッシャーがかかり、特にメキシコに赴任してきた米国人のマネージャー達からの圧力は強かった、と同工場で2008年まで管理職として勤務していたアレハンドロ・ペレス氏らは語る。

生産目標達成へ容赦ない圧力

エアバッグの基幹部品であるインフレーター(ガス発生装置)については生産個数の割当があり、時には一日200個を超す数をこなさなければならなかった。「もしそれを達成できなければ、遅れているということになり、ボーナスももらえなくなる」と2004年から2010年まで同工場で働いたホセ・サンチェスさんはいう。

生産強化に向けて突然に高まったプレッシャーが、同社製品の品質にどういう影響を与えたかは明確になっていない。しかし、2010年と2011年、同工場は運転者エアバッグ用の新しい種類のインフレーターについては、一貫して生産割り当てを達成できなかった。

その状況を打破するため、経営側は工場にセキュリティーカメラを設置、製造ラインでなまけていたり、しゃべって仕事に集中していない作業員を監視。その画像を社内メールに添付して回覧することもあった。これについて会社側は、カメラは窃盗の防止で作業員の監視用ではないと説明している。

この時期、同工場では、インフレーターの製造ラインで、欠陥部品の修理をするという「問題行為」も発覚した。生産目標の達成を容易にするためだ。しかし、本来、欠陥部品は誤って出荷される事がないよう、赤い容器に分別され、検証を経た上で、可能であれば修理を行うという手間をかけるのが工場のルールだった、と元従業員たちは言う。

ロイターが入手した2011年5月にスペイン語で書かれたメールが当時の状況を物語っている。当時、工場の管理をまかされていたギアルモ・アプード氏は、「ライン上での補修は禁止!リーダー/担当者/オペレーターは勝手に補修をしてはいけない。不良品発生の原因になるからだ」と叱責。「今すぐに変える必要がある」と強く呼びかけた。これについて同氏はコメントを拒否している。

タカタと自動車メーカーが米道路交通安全局(NHTSA)に提出した書類によると、2012年、タカタはメキシコ工場から出荷予定だったインフレーターに誤った部品を装着した。その部品を入れる容器が近過ぎる状態で置かれていたためだ。これによって自動車メーカー3社の35万台以上がリコールとなった。

しかし、このミスはすぐには発覚しなかった。2013年10月、米国人のブランディ・オーウェンズ(当時25歳)が新車のGM「シボレー・クルーズ」を運転中、別の車に衝突、エアバッグが破裂して彼女は左目を失明した。2014年4月に起こされた訴訟で、タカタのメキシコ工場でのミスが明らかになり、2か月後のリコールにつながった。

<メキシコ投資、需要確保への賭け>

タカタにとって、2000年のメキシコでの工場建設は、より安い労働力を活用し、北米を中心とするエアバッグのおう盛な需要に応えるという戦略的な意味を持っていた。

同社の社内プレゼンテーション資料によると、インフレ―ター生産を米国の2つの工場からメキシコへ移管させた結果、インフレ―ター生産の1個当たりの労働コストは2ドルから約75セントに低下。2006年までの5年間に、同社は7000万ドルの労働コストを削減した。タカタの顧客である完成車メーカーにとっても、インフレータ―の購入コストが1個当たり20ドル未満と20%以上も引き下げとなり、大きな恩恵が及んだ。

同工場では、従業員が両手を挙げてバンザイのようなしぐさをうかがわせるような記念写真が撮られている。それが象徴するように、メキシコへの生産移管という「賭け」は、2005年春までに大きな成果をもたらした。一方、タカタは米アトランタの南東、ジョージア州ラグランジェ工場を閉鎖。4年間のうちに、タカタはアトランタ工場と米国にある2つ目の工場、ワシントン州のモーゼスレイクでの生産を減らしていった。

しかし、米軍基地の跡地に建てられていたモーゼスレイク工場では、現場のやる気が大きく損なわれていった、と複数の従業員らがロイターの取材に語った。彼らによると、工場では生産量(ノルマ)の達成が最優先され、乗用車やSUV(スポーツ多目的車)の需要増加に追いつくため、長時間労働も強制された。「われわれはみんな燃え尽きた」と一人の元従業員は振り返る。2002年、工場は100人の従業員を解雇。一方で、当時のメディアは、タカタのメキシコでの生産増加を伝えている。

<「目が行き届いていなかった」>

インフレーターはエアバッグの安全性を左右する最も重要な部品の一つだ。その生産を担う現地工場の状況について、東京にあるタカタ本社がどの程度把握していたかは明らかになっていない。生産量を増やした際、タカタは正社員を本社からメキシコ工場へ送り込まなかった、と従業員らは話す。

メキシコ工場については、タカタの安全監査役は2011年5月に米国から派遣されている。ロイターが入手した監査レポートによると、不安定な硝酸アンモニウムの取り扱いに問題があり、十分にしっかりと詰め込まれた構成物質の袋が閉じられていない、良い材料の近くに、スクラップされたもしくは不純物の混ざったプロペラント(推進剤)が保管されているといった、リスクと隣り合わせにある状態が見つかった。しかし、その監査役はリポートの中で、タカタ本社に監査結果を送ることはないと述べていた。

「米国市場も当時、非常に拡大していたこともあり、残念ながら、われわれの目が行き届いていなかった状況が発生した」。今年6月のタカタの株主総会で、創業者の孫である高田重久会長兼最高経営責任者(CEO)は、こうコメントした。彼がもっとも直近で公の場に姿を見せたのがこの株主総会だった。

JOANNA ZUCKERMAN BERNSTEIN、 BEN KLAYMAN 日本語版編集:北松克朗、加藤京子、白木真紀
<引用終り>


ここで私の見る所を書いてみます。独断と偏見もありますがご了承を。

この問題の根底にあるモノ

① タカタはアメリカの工場を閉鎖、縮小してメキシコ工場に重点を移し、メキシコの低賃金で利益を上げた。
これがアメリカから見ると、アメリカを裏切ってメキシコに生産を移し金儲けをした、タカタは裏切り者だ。・・・この構図はアメリカの製造業がNAFTAで壊滅し、アメリカ自身が苦しんでいる事に繋がる。現在のトランプのNAFTA改造論と同根。
但し、これをやったのがアメリカ企業なら、アメリカが儲けたのだからとなるが、アメリカを蹴飛ばしてメキシコに工場を作り、儲けたのが日本。これがアメリカには鼻持ちならんという事だと思う。
これがあるがためにカーメーカーではなく部品メーカーのタカタを叩いた。


② マネージャーにアメリカ人を使用し、アメリカ流の管理をやっていた。
上手く行っている時は良いのだが、問題があると解決が難しい。
特に問題発生時、日本から技術陣を大量投入し、解決するべきだったが多分人材不足でできなかったと思われる。(メキシコ工場側は問題が有っても日本人は来てくれなかったと言っている)

「生産個数の割り当てが有り、達成できなければボーナスももらえなくなる」、こんな管理は諸悪の根源であることは日本では良く分かっている。絶対やってはいけない方法だ。
日本式なら改善チームを組織し、未達の現場に張り付いて問題点を摘出し改善していく。こんな方法でないと成功はおぼつかない。

また不良品をライン内で手直しするのを禁止するスペイン語のメールを出しているが、こんな事で解決はできない。現場に入って「どうしてそうせざるを得なかったのか、人や場所、そして道具類とか図面指示書の類まで一つずつ潰さないと解決しない。これを一片のメールで解決しようなどというのは、モノ作りを知らない机上論者のやることである。


③ メキシコ人は英語が分からない人が多い(多分分かろうとしない)、これがコミュニケーション不足を招いた。

④ メキシコ人の潜在的な意識
 ・ メキシコ人は侵された女の子供たち(メスティーソ[スペイン語: Mestizo]メスチソ)との心のシミを持っている。世界で一番殺人事件が多いのが中南米諸国であることでも分かる。

 ・ スペインからの独立(1821-1822)後、アメリカに米墨戦争(1846-1848)を仕掛けられ、国土の約半分を失った(盗まれた)。
どれくらい失ったかというと
2018-11-2メキシコの領土喪失 

この戦争前後に失った領土は現在アメリカの「カリフォルニア、ネバダ、ユタ、テキサス、アリゾナ、ニューメキシコ、ワイオミング、コロラド」にほぼ相当する。しかもこの割譲直後カリフォルニアで金鉱が発見され、ゴールドラッシュが始まったとか、テキサスで大油田が発見されたとか、現在のアメリカの繁栄の元がこのメキシコ領土分捕りだった訳。これではメキシコ人の反米感情が残る訳だ。
メキシコ人は「メキシコとは天国に一番遠い国、しかしアメリカには一番近い国」、こんな事を言うそうだが、これがメキシコ人の率直な感情なのだろう。
こんなことでメキシコ人には潜在的な反米感情嫌英語感情がある。メキシコからアメリカに移民しても英語を話さず、スペイン語だけで生活する人たちがカリフォルニアなどには多いが、こんな事の裏に潜む事情があるということでしょう。


⑤ NAFTAでメキシコは貧困になった
 もう一つ見逃せないのがNAFTAの問題。NAFTAでアメリカの製造業がほとんど壊滅状態なのだが、逆にメキシコが豊かになったのかというとそうでは無い。メキシコの農業もアメリカの大規模農業に敗北し壊滅。
最近ではメキシコ北部の労働者の所得は中国より5~7%安いと言われている。


こんなことで、メキシコに進出する企業を待ち受けるメキシコの罠。解決は並大抵ではないと思います。

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2018-10-27 12:00

メキシコの罠


 アメリカがカナダ・メキシコと結んでいるNAFTAを新しくすると報道されている。内容はNAFTA域内からアメリカに輸入さえる自動車の関税に対する規定の変更とのこと。つまりカナダとメキシコがアメリカに輸出する自動車について、エンジンなどを重要部品について域内生産しないと自動車全体の域内生産扱い=無税扱いしないという事。


しかしこれはアメリカ製はともかく問題はメキシコ製。
メキシコ製の自動車の品質が「難あり」なのは結構知られている。これは1年半ほど前だが、ある方がレッカー車を持って営業する自営業の方と話したときの事。そのレッカー車のオーナーの方は元は自動車整備士で国産車のディーラーに勤務していたが、その後VWの輸入車の新車整備をするようになり、つい最近レッカー車を買って独立したとの事。その方曰く、VWの新車を整備してみると国産車を扱っていた時より不具合が多い。中でもメキシコ産のクルマが不具合が酷い。とんでもない例では、車の4枚のドアの取付ボルトが全部ガタガタに緩んでいたものまであったと言っていた。VWは車体ナンバーで生産国や工場が分かるので、最初にチェックして気をつけていたようです。

さて、そのNAFTAですが、日経記事が良く分かります。


<以下引用>
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36943680V21C18A0MM8000/?n_cid=NMAIL007

「新NAFTA」エンジン域内生産義務化 日本に影響 

2018/10/26 6:48日本経済新聞 電子版

米国とカナダ、メキシコが合意した新たな貿易の枠組み「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」の中で、現地生産する自動車について、エンジンや変速機といった主要部品を3カ国で生産するように義務付けていることが分かった。日本や欧州の自動車メーカーの場合、主要部品を域外から持ち込んでいるモデルも多く、新たな設備投資や調達先の変更を迫られる可能性が出てきた。

2018-10-27日経のNAFTA記事 

3カ国は9月30日、北米自由貿易協定(NAFTA)を見直して、新たな協定を結ぶことで合意。2020年の発効が見込まれる。主要部品の域内生産を義務化する条文も盛り込んだ。

対象になるのはエンジンや変速機のほか緩衝器(サスペンション)、電気自動車(EV)などに使う充電池など7つの部品。このうち1つでも域外で生産したものを使うとその車種は域内生産車と認められず、3カ国の間で関税ゼロで輸出入ができなくなる。

現状のNAFTAでは現地調達する部品を金額ベースで62.5%以上にすれば、域内生産車として認められる。新協定ではこれが75%に引き上げられるほか、部品の40%以上を時給16ドル以上の労働者が生産することも求めている。

主要部品の域内での生産義務化はこれらの条件に上乗せされる。米国の場合こうした部品を17年に約450億ドル(約5兆円)輸入し、うち半分は域外からだ。新協定で部品を持ち込みにくくして、投資を促す考えとみられる。米メーカーは主要部品の域外からの輸入が少なく、相対的に日本や韓国、欧州のメーカーに不利な制度といえる。

影響が大きいのが中堅メーカーだ。エンジンや変速機の新たな生産設備には100億円規模の投資が必要で、負担が大きい。マツダはメキシコ工場で小型車を生産し、21年の稼働を計画する米国新工場では多目的スポーツ車(SUV)を生産する。いずれも変速機は日本製で、このままでは関税ゼロの恩恵を受けることができなくなる。

SUBARU(スバル)は米インディアナ州の工場で生産する車に、日本から半完成品や完成品で輸出したエンジン、変速機を組み込んでいる。独フォルクスワーゲンも米国やメキシコ生産車の変速機に、ドイツ製や日本製を使う。同社は日本経済新聞社の取材に「新協定の影響は分析中」と回答した。

現地調達率が高いトヨタ自動車も、車種によっては新たな条件を満たさない可能性がある。米国とカナダでハイブリッド車(HV)を生産しているが販売規模は小さく、主要部品を日本から供給している。トヨタは20年から米ウェストバージニア州で、HV用変速機の現地生産を始める計画。

新協定は条文が複雑に絡み合い、自動車各社は詳細な条件の確認を続けている。例えば条件を満たさないメキシコ生産車を米国に輸出する場合「適用される関税が最恵国待遇の2.5%で済むかどうか確証が無い」(国内メーカー幹部)。

日本貿易振興機構(ジェトロ)など通商関係者は内容の確認を進めており、11月以後、関係する企業などに説明会を開く。自動車や部品メーカーは協定の詳細や、年明け以後に見込まれる日米物品貿易協定(TAG)の交渉の行方を見極めて、投資などを判断することになる。

<引用終り>


此処で日本への影響だが、例えばVWの場合、
独フォルクスワーゲンも米国やメキシコ生産車の変速機に、ドイツ製や日本製を使う

エンジンだけでなく、変速機やステアリングなども極めて精密な加工の必要なもので、設備に多額の投資が必要だし、作業員の訓練だって長期間必要だ。
VWの場合、DCT(DSG=デュアル・クラッチ・トランスミッション)と普通のトルコンATがあるが、普通のトルコンATは日本のアイシンAW製。こんなものをメキシコ製にしろと言っても一朝一夕にできるものではない。
オマケにVWのDCT(VW名はDSG)は日本では故障が多い。上掲レッカー車のオーナーの話でも、VWの整備をしていた時、余りにもミッションの苦情が多いので、何度も日本VWに苦情を言い、日本VWからドイツの本社に善処を要望した。
その回答は・・・
「DSGは良いミッションでこちらでは何にも問題はない。これは日本だけの問題なので日本で何とかせよ」、こんな事だったそうです。


さて本題に戻ってメキシコの罠という話。
車の現地調達を無理やり増やそうとすると、どうしても品質問題が出てくる。特にメキシコはその国民性から言って難しいものが有るという事だと思う。

次回、メキシコの罠に嵌って倒産してしまったタカタの件を考えてみます。

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2018-06-23 10:33

アウディCEO逮捕の衝撃


 クルマ好きには衝撃的なニュースがドイツから流れてきた。なんとドイツの高級車メーカーアウディのCEO(最高経営責任者:日本式に言えば社長)が排ガス不正問題で逮捕されたというのだ。
VWの排ガス問題はその発端から実に奇妙な事件だが、影響の大きさは計り知れない。間もなく発覚から3年になるが、3年たってこんなことである。

先ずはその報道から。


これはロイターの記事
「アウディCEO逮捕、ディーゼル不正巡り VW構造改革に影響」
https://jp.reuters.com/article/volkswagen-emissions-stadler-idJPKBN1JE2XY

そしてこれは日経ビジネスの記事
熊谷徹のヨーロッパ通信
「アウディ社長逮捕の衝撃」ディーゼル大国ドイツの落日(中編)  熊谷 徹
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/219486/062100042/?n_cid=nbpnbo_mlpum

この記事は大変興味深い内容なので本文末に全文を紹介します。
ですが、例えばこんな記載が有るのですが、事の深刻さが良く分かります。
<以下抜粋引用>
検察がシュタドラー氏を拘留した裏には、刑務所暮らしに慣れていないトップ・ビジネスマンに無言のプレッシャーをかけることによって重要な証言を引き出し、事件の全容解明のための突破口を見つける狙いもある。その意味でシュタドラー氏の証言の内容はヴィンターコルン氏だけでなく、VWグループ全体にとって重大な意味を持つ。
<抜粋引用ここまで>

>刑務所暮らしに慣れていないトップ・ビジネスマン・・・
>刑務所暮らしに慣れていない・・・
>刑務所暮らしに・・・
・・・う~~~ん!・・・

アウディはwikiによれば、2007年時点で従業員6万人の大会社、株式の99.55%をVWが保有するVWグループの雄。そのトップがいきなり逮捕される。

普通こんな不祥事は担当の技術部門が問題の責任となるのだが、今回はいきなり最高経営責任者を逮捕。排ガス不正問題は技術的な問題が出発点なのだが、事ここまでくると経営の根幹にかかわる問題で、アウディだけでなくVWグループ全体、いやドイツ自動車工業全体の深刻な問題になってきている。

ドイツ在住の川口・マーン・恵美さんによれば、アウディだけでなく、ベンツでも似たような展開が有ったという。
その数日前には、ダイムラー社のツェッチェ社長が交通省に出向いたあと、突然、不正ソフトを積んでいる車をリコールし、修理すると発表した。その数は欧州全体で77万4千台。ものすごい額になるが、これもやはり急な展開。
以下参照
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/56227


実はVWの排ガス不正問題が発覚したとき、私はタイ時代の経験から永年疑問だったことがやっと納得がいった経緯がある。ちょっと長くなるが下記エントリーからその部分を抜粋。
「VWの不祥事発覚に思う事」

さてここからが私のタイでの思い出話。
上掲ハイラックスVIGO(通称IMV:2004年生産開始)の生産準備を検討していた頃です。デンソーの旧知の方と親しく話をする機会がありました。タイでこんなモノを作るんだと言われても私には理解する知識も無い話でしたが、これがコモンレールシステムでした。しかし如何しても気になった事、日本では排出ガス規制でどうしても製造できない、しかし世界には規制が問題ない国もある。だからタイに工場を作ってこのシステムを量産するんだとの事。
IMVは世界戦略車で生産量はカローラ並、だから日本にも無い工場を作ると言う壮大な話で、何社かの部品メーカーも一緒に進進出すると聞きました。
その後しばらくして、ある巨大工業団地の経営会社のトップの方(アメリカ人)と話をする機会がありました。そのトップの方はデンソーがタイに巨大工場を作る。是非とも自分の所に誘致しよう、特別な優遇をして誘致するんだと言っていました。
結局デンソーはタイ国最大の工業団地であるアマタナコーン工業団地に決定。アマタナコーン工業団地にはデンソーを満足させる用地が無かった、それで工業団地サイドでは隣接する高速道路の反対側を買収して工業団地を造成、高速道路には橋をかけて使えるようにとの優遇ぶり。大いに驚いたものです。
その後の日本と欧州の自動車メーカーの技術が全く分かれてしまいました。日本はハイブリッド、欧州はコモンレール・ディーゼルです。
ドイツからは事あるごとにハイブリッドに対する問題点が指摘されてきました。曰く高速走行では燃費が良くない、ディーゼルの方が上だと。だからトヨタのプリウスも2代目は1.5L、3代目は1.8Lですが、排気量アップの主な理由は高速走行時の燃費改善と公表されています。
<思い出話はここまで>


この話でVWのインチキの引き金を引いたのが2005年のプリウスショックだと思います。
以下参照ください
http://tansoku159.blog.fc2.com/blog-entry-1173.html


そして、VWを、アウディをあそこまで追い詰めたものは何なのか。
こんなエントリーをしました。
「ドイツ自動車5社の談合疑惑<ドイツ人気質を考える」

ここで問題の根についておもう事を書いたのですが、そこにkazkさんから貴重な指摘をいただきました。
kazkさん曰く
> あの国は戦争に負けておかしくなったのではないのでしょう。復興し衣食足りて何かを失い狂った気がします。

この話への回答として
>「復興し衣食足りて何かを失い狂った気がします」の話。これは難問ですね。
この件は何度も考えて、今の所の私の結論は多分「哲学の違い」ではないかと思うのです。
ドイツ哲学と言えばその代表が弁証的観念論のヘーゲルですが、そう難しいことを言わなくても、例えば日本人が草木一本にも神が宿ると考えて「トイレの神様」などを考える。これなど誰に教えられなくても日本人なら普通ですよね。
そんな意味でドイツ式の考え方は「事実より上に理念がある」、こうではないかと思うのです。
これがあるので素晴らしい設計があれば素晴らしいものができる。しかし一つ間違えるとユダヤ人問題のようなことも起こる。
こうではないかと理解しています。

以上が上記エントリーでの解答ですが、ここにはドイツ在住の丸山光三さんからこんな指摘が有りました。
ドイツ人の心理状態を非常に的確に深く指摘したのはおそらくニーチェでしょうか

そこでニーチェの言っていることから私の独断と偏見で見てみると・・・。
ニーチェはそれまでの生き方を判断する基準は、「善」と「悪」だったが、これを「よい」(美しさ、高貴さ)と「劣っている」(醜さ、粗悪さ)であると説いた。こうなっています。

そういえば2台目プリウスが欧州カーオブザイヤーを受賞したころから、ドイツから「プリウスはそんないいクルマではない! 劣っている。特に高速性能がダメだ」、こんな意見がワラワラと沸き上がりました。ニーチェの言う善悪では無く、「好いか劣っているか」でしょうね。


しかしこんな事を考えるとこの問題の根はとてつもなく深そうです。そして関係ない筈の日本への風当たりがいろんな面で出てきそうな気がします。
シナ・朝鮮だけでウンザリしているのに、更にもう一つ厄介な問題がこれから出てくるでしょう。日本の舵取りはさらに難しくなりました。




<オマケ>
冒頭紹介した熊谷さんの記事全文です。参考までに載せておきます。

熊谷徹のヨーロッパ通信

アウディ社長逮捕の衝撃
ディーゼル大国ドイツの落日(中編)
熊谷 徹

2018年6月22日(金)

2018-6-22アメリカから買い戻したVW車 
フォルクスワーゲンが米国で買い戻したディーゼル車。3月時点で35万台、74憶ドルに上った(写真:ロイター/アフロ)

 6月18日、ドイツだけでなく世界中の自動車業界を震撼させるニュースが流れた。この日の早朝、独フォルクスワーゲン(VW)グループに属するアウディのルペアト・シュタドラーCEO(最高経営責任者、55歳)がミュンヘン地方検察庁によって、インゴルシュタットの自宅で逮捕されたのだ。

 2015年に発覚したVW排ガス不正事件で、現役のCEOつまりトップが逮捕されたのは初めてのことである。逮捕の直接の容疑は、証拠隠滅だ。ミュンヘン地検は5月末からシュタドラーCEOに対して詐欺と私文書偽造の疑いで捜査を行っていた。6月11日には同氏の自宅で家宅捜索を実施。検察庁は「シュタドラー氏がCEOの地位を利用して、他の証人に圧力をかけて証言内容に影響を与えようとする恐れがある」として、身柄の確保に踏み切った。ドイツのメディアは、検察庁がシュタドラー氏の通話を盗聴することによって、証拠隠滅の危険が高いと判断したと報じている。

 アウディは2009年以来、検査台の上にある時だけディーゼル・エンジンが排出する窒素酸化物の量を減らす不正ソフトウエアを搭載した車を、ヨーロッパと米国で少なくとも約21万台販売した。検察庁は「シュタドラーCEOは不正ソフトウエアを装備している事実を認識していたにもかかわらず、販売を続けた」という疑いを持っている。

VWグループの技術中枢=アウディ
 アウディは、VW排ガス不正事件のいわば本丸である。その理由は、アウディがVWグループのエンジン開発の中枢として重要な役割を果たしてきたからだ。第二次世界大戦後、VWを欧州最大の自動車メーカーの座に押し上げたディーゼル・エンジンの様々な技術革新は、アウディのエンジニアたちによって生み出されてきた。1993年から2015年までVWグループのCEOなどとして君臨したフェルディナンド・ピエヒ氏もアウディ出身である。アウディは1990年にTDI(Turbocharged Direct Injection=ターボ直接噴射)方式を使った乗用車の量産を開始し、世界のディーゼル市場に革命をもたらした。

 だがその栄光のチームは、同社の歴史に泥を塗る犯罪に手を染めた。2015年に米国の環境保護局が槍玉に上げた問題の不正ソフトウエアは、アウディのエンジニアたちが開発したものだった。検察庁はアウディのエンジン開発の責任者だったヴォルフガング・ハッツ氏ら2人のエンジニアを逮捕し、彼らの証言を基にシュタドラーCEOに対する強制捜査に踏み切った。

 シュタドラー氏は2006年に43歳という若さでアウディのCEOに就任。エンジニアではなく経営学を学んだ人間が同社のトップの座に就いたのは極めて異例である。VWグループのマルティン・ヴィンターコルンCEOが、2015年9月の事件発覚直後に辞任に追い込まれたのとは対照的に、シュタドラー氏はこれまでCEOの座に留まり続けてきた。当初からアウディに対しては様々な疑惑が浮上し、ドイツの報道機関は「シュタードラーCEOは排ガス不正事件の解明に真剣ではない」と批判してきたが、同氏のVWグループでの地位はびくともしなかった。その背後には、VWグループを支配するポルシェ家とピエヒ家の強力な庇護と後押しがあった。いわばシュタドラー氏はVWグループの中で両家の利益を守るプリンスと目されていた。

 だがシュタドラー氏が検察庁に逮捕されたために、さすがのポルシェ家・ピエヒ家も彼を支えきれなくなった。VWグループの監査役会(取締役会を監督する最高意思決定機関)は、6月19日にシュタドラー氏のCEO職を解いた。

 排ガス不正事件の発覚以来、VW経営陣は「不正ソフトウエアの使用は、一握りのエンジニアたちが勝手に行ったことであり、取締役は知らなかった」と主張してきた。だが今回CEOが逮捕されたことで、「一部の不心得者の仕業」という経営陣の主張は崩れたことになる。現在ドイツではミュンヘン、ブラウンシュバイク、シュトゥットガルトの3つの検察庁が中心となって排ガス不正事件を捜査している。容疑者として捜査の対象となっているVWグループ社員、元社員の数は約60人に達する。



VW経営陣の関与が捜査の焦点

 シュタドラー氏に対する捜査の焦点は、同氏がどの時点で不正ソフトウエアの使用について知ったかである。ドイツの報道機関は「アウディのあるエンジニアは、『シュタドラーCEOが2012年に不正ソフトウエアの使用について知っていた』と証言した」と報じている。この情報の真偽はまだ確認されていないが、もしもシュタドラー氏が本当に2012年に不正の事実を知っていたとしたら、排ガス不正事件に経営陣が本格的に関わっていたことを意味する。

 さらに検察官たちは、VWグループのヴィンターコルン元CEOがいつ不正ソフトウエアの使用について知ったかについても、シュタドラー氏に問い質す方針だ。検察がシュタドラー氏を拘留した裏には、刑務所暮らしに慣れていないトップ・ビジネスマンに無言のプレッシャーをかけることによって重要な証言を引き出し、事件の全容解明のための突破口を見つける狙いもある。その意味でシュタドラー氏の証言の内容はヴィンターコルン氏だけでなく、VWグループ全体にとって重大な意味を持つ。

 米国の検察当局は、今年5月にヴィンターコルン氏を詐欺の罪で起訴している。また同国の裁判所はVWグループの元幹部2人に対して40カ月~7年の禁固刑を科している。これに対しドイツの検察庁は、事件発覚から3年近く経った今でも、1人も起訴していない。ドイツのメディアは「米国の検察庁に比べると、ドイツの検察庁は仕事が遅く、事件解明への強い意欲が感じられない」と批判してきた。

業界全体を包む排ガス不正疑惑
 さらに前回お伝えしたように、排ガス不正事件をめぐる捜査の矛先はVWグループだけではなく、独ダイムラーや独BMW、自動車部品メーカーのボッシュにも向けられている。排出データ操作の疑惑は、ドイツが誇る自動車産業のほぼ全体を包んでいると言っても過言ではない。仮に全ての疑惑が立証された場合、メーカーは有害物質に関する規制をトリックによってかいくぐり、市民の健康を犠牲にして収益を増やしていたことになる。

 「クリーン・ディーゼル」という言葉を信じて、不正ソフトウエアが搭載された車を買っていた消費者の怒りは深い。モラルの欠如、倫理の破綻は多くのドイツ市民に衝撃を与え、内燃機関を搭載した車、特にディーゼル・エンジンの車からの離反に拍車をかけつつある。

 ドイツ連邦自動車庁によると、2015年9月にドイツで売られた新車の46.8%がディーゼルだった。今年3月にはその比率は、31.3%に激減している。この国では、ディーゼルの時代は事実上終焉を迎えたというべきだろう。

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2018-03-18 21:36

全自動運転にはハッキング対策が重要、トヨタとホンダ・・・


 全自動運転にはハッキング対策が重要、そんな事をトヨタとホンダが共同歩調するらしい話が報道されている。
アチコチで自動運転車が話題になっているがトヨタやホンダは静かだった。それがどうやらハッキング対策に目鼻がついてきたようだ。

 クルマの電子部品にも暗号通信が使われる、これは単に一メーカーの枠を超えて、世界規模の競争になるという事だという。
そんな事の良く分かる記事が日経XTECHに出ていた。
この話は今まで独立独歩だったトヨタとホンダが、大きな共通の目的のためには提携と言わなくても手を取り合って進まねばいけない、そんな時代になったという事だと思う。

この背景にトヨタの言う「自動車業界は100年に一度の大変革の時代に入った。『勝つか負けるか』ではなく、まさに『生きるか死ぬか』という瀬戸際の戦いが始まっている」、こんな現状認識が有る。
そしていま、自動車業界は、「電動化」「自動化」「コネクティッド」などの技術が進化し、異業種も巻き込んだ新たな「競争と協調」のフェーズに入っている。
こんな事だと思う。

この現状認識は以下エントリー参照ください。
クルマのEV化(電動化)に思う事

この問題の背景が分かると思います。
ではその記事です。

尚、この3本の記事は3月20頃までは読めるが、その後有料記事になるので全文引用します。
「トヨタ、19年に電子基盤刷新 全車に暗号導入」
「ホンダも車に暗号、トヨタと同年量産」
「トヨタとホンダの暗号車、富士通が基盤開発」

<以下引用>
2018/03/16
[特報]トヨタ、19年に電子基盤刷新 全車に暗号導入
清水 直茂=日経 xTECH/日経Automotive

 トヨタ自動車が、2019年に発売する車両から電子プラットフォーム(基盤)を刷新することが日経 xTECH/日経Automotiveの取材で分かった。グループのほぼ全車両が対象。自動運転技術の本格導入に備える。通信データ量の増大に対応することに加えて、ハッカーによる車への攻撃を防ぐ。

 トヨタグループのうち、日野自動車以外のトヨタとレクサス、ダイハツ工業の乗用車に順次、次世代の電子基盤を採用していく。3ブランド合計で、2017年の世界販売台数は1000万台を超える。

2018-3-18日経1 
トヨタが試作した自動運転車(出所:トヨタ)

 電子基盤は、通信ネットワークやセンサー、アクチュエーターなどで構成する。車両の全ての電子部品を通信で連携し、ソフトウエアで統合制御するクルマの中核だ。次世代基盤では高速な通信ネットワークを採用した上で、セキュリティーを大幅に高める。

 “つながるクルマ”の普及が導入を後押しする。自動車のエンジンやブレーキなどの電子制御ユニット(ECU)間の通信に、暗号技術を採用してセキュリティーを高める。通信データが改ざんされていないことを確かめられる。第三者が無線通信経由で“つながるクルマ”に偽データを送り、エンジンやステアリングなどを遠隔操作するのを防ぐ。

 ECU間のデータのやり取りに、ブロック暗号「AES」に基づく共通鍵暗号方式のメッセージ認証(CMAC)を採用した。暗号鍵は共通鍵を意味し、正規のECUだけに組み込む。共通鍵のない相手のメッセージを判別できる。第三者が車載ネットワークに偽メッセージを送りにくくなる。

20年から日米全車に通信機能

 トヨタは、2020年に車載通信機(DCM:Data Communication Module)を、日本と米国で販売するほぼ全ての乗用車に標準搭載する計画を掲げていた(関連記事)。2019年の電子基盤の刷新に合わせて、DCMの新世代品を投入する。

 かねて、自動車のセキュリティーは低かった。現状の電子基盤のままでDCMを大量に導入していくと、ハッカーにとって格好の標的になりかねない。“つながる自動運転車”が狙われると、重大事件につながり得る。新しい電子基盤に暗号技術を採用することは、自動運転車の本格投入に欠かせなかった。

 今や自動車の新機能の大半は、電子やソフトの技術が基になる。車両の部品コストのうち、半分近くが電子部品関連で占めるとされる。自動運転技術が進むと、さらに増える可能性が高い。電子基盤の刷新は、トヨタが今後投入する全車両の競争力を左右する。

2018-3-18日経2 
テスラ「モデルS」をハッキングする様子(出所:Cloudflare)

 自動車にハッカー対策が求められる端緒になったのが、トヨタだった。2013年、米国のセキュリティー技術者が「プリウス」をハッキングしたことは世界に衝撃を与えた。その後も、多くの車両で脆弱性が発覚(関連記事1、2)。2015年には、欧米フィアット・クライスラー・オートモービル(FCA)が巨額のリコールに追い込まれた(関連記事)


2018/03/16
[特報]ホンダも車に暗号、トヨタと同年量産
清水 直茂=日経 xTECH/日経Automotive

 ホンダが、2019年に量産する車両から暗号技術を採用することが日経 xTECH/日経Automotiveの取材で分かった。ハッカーによる車の乗っ取りを防ぐ。トヨタも、同年から量産車に暗号技術を搭載する。“つながるクルマ”の普及をにらみ、日本の自動車産業全体を巻き込んだ車のハッカー対策が始まる。

 ホンダが導入するのが、ステアリングやブレーキなどの部品間の通信に使う暗号鍵を安全に生成し、部品メーカーの工場に送信する「鍵管理センター」と呼べるもの。基本機能はトヨタと同じとみられる。ホンダは、トヨタの約1年後となる2017年末に開発に着手。2018年内に鍵管理センターを完成することを目指す。

 暗号鍵は、ステアリングやブレーキなどを制御するECU(電子制御ユニット)に搭載する。トヨタと同様に、ECU間のデータのやり取りに、ブロック暗号「AES」に基づく共通鍵暗号方式のメッセージ認証(CMAC)を採用する。

 暗号鍵は共通鍵を意味し、正規のECUだけに組み込む。共通鍵のない相手のメッセージを判別できる。第三者が車載LANに偽メッセージを送り、ブレーキやステアリングなどを遠隔操作するのを防げる。


2018/03/16
[特報]トヨタとホンダの暗号車、富士通が基盤開発
清水 直茂=日経 xTECH/日経Automotive

 トヨタ自動車とホンダが2019年からクルマに採用する暗号技術の基盤開発を、富士通が手掛けたことが日経 xTECH/日経Automotiveの取材で分かった。国内大手2社の採用で、富士通の基盤が日本における車のハッカー対策の事実上の標準になる。

 2社の決断が、他の日系メーカーに波及する可能性は高い。トヨタと資本関係があるSUBARU(スバル)が、富士通製の採用を検討する。トヨタと米国で共同工場を造るマツダも続く可能性がある。日系自動車メーカーの暗号技術基盤を、富士通がほとんど一手に担いそうだ。

 トヨタとホンダは、車の部品間の通信に使う暗号鍵を安全に生成し、管理する「鍵管理センター」と呼べるものを構築する。2社の暗号鍵の生成・管理基盤を富士通が手掛けた。

 鍵管理センターは、富士通のサーバー「PRIMERGY(プライマジー)」で構築する。仏タレス(Thales)が最近買収したICカード大手ジェムアルト(Gemalto)の暗号化基盤を搭載する。

世界でボッシュ子会社に挑む

 国内を制したと言える富士通にとって、今後の課題は海外展開だ。自動車に暗号技術を採用する取り組みは、欧米勢が先を行く。独フォルクスワーゲン(Volkswagen)や米GMなどが鍵管理センターを構築済みだ。日本以外の主要自動車メーカーの鍵管理センターを手掛けるのが、独ボッシュ子会社のイータス(ETAS)である。トヨタとホンダの採用をてこに、富士通は世界でETASに挑む。

 ETASは2012年に自動車のセキュリティー技術に強い独エスクリプト(ESCRYPT)を買収。車のセキュリティー標準規格の策定で、強い影響力を発揮する。

 一方で富士通は、トヨタ子会社のトヨタIT開発センターと共同で、「TPM(Trusted Platform Module)」と呼ばれる規格の開発に力を注いできた(関連記事)。富士通はトヨタとタッグを組んで、セキュリティー技術の世界標準をドイツ勢から奪いにかかる。

 TPMは、業界団体であるTCG(Trusted Computing Group)が策定した仕様。米インテル(Intel)や同IBM、同マイクロソフト(Microsoft)、富士通などが2003年にTCGを設立し、2015年3月にTPMの自動車版を策定した。トヨタは2012年にTCGに加わっていた。

<引用終り>


大事なことが後ろのほうにこっそり書いてあるのがお分かりだと思う。
① トヨタとホンダがクルマの暗号通信技術で共同歩調をとった。提携とは言っていないし発表もないが、まあそれに近いものと思う。

② 競争相手はドイツのボッシュグループ。
  つまり世界を二分する大競争時代になったという事だと思う。

大変な激動に時代という事が分かりますね。
  1. 自動車
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2018-03-07 15:23

EVの今はどうなっているか


 昨年12月にクルマのEV化(電動化)について、こんな記事を書いた。
「クルマのEV化(電動化)に思う事」

この話の中で日本の自動車メーカー、就中トヨタは電気自動車(EV)で大きく立ち遅れている、そんな事をマスゴミに書き立てられているという現実がある。
そして、その報道には必ず枕詞が付いている。例えばこれはロイターだが、【東京 8日 ロイター] - 電気自動車(EV)で出遅れるトヨタ自動車を中心とした企業連合が・・・】と、こんな風に必ず報道されている。

 私はEV(電気自動車)には疑問を持っている。フォークリフトやゴルフ場のカートなど限定的な使い方なら非常に便利。音は静か、排気ガスもない、運転も簡単、良い事ずくめだ。しかし問題が有る。いつでも、どこへでも、好きな時に好きな所へ行けるという自動車最大ののメリットが無い。そう考えている。

しかし、それにしても上掲ロイターの記事にあるように電気自動車(EV)で出遅れるトヨタとはどうしたことだろう。
「20年も前からハイブリッドで自動車の電動化に取り組んできたトヨタが、どうしてマスコミからEVで遅れていると言われるのか」、此処が考えねばいけないことだと思う。

そんな時、丁度ITmedia にトヨタが説明会や発表会を連発する理由 という記事が有った。大変興味深く参考になるので全文引用したいと思います。

私がこれを取り上げた理由、それはモータージャーナリスト池田直渡氏のこんな言葉。
 「ここしばらく、日本の家電メーカーの敗北がどれだけ日本人のトラウマになっているかが骨身に染みた。日本の自動車メーカーが電動化に遅れているどころかリードしているのだという話をいくら丁寧に数字を挙げて説明しても、「いやそういう油断で電気メーカーは負けた。クルマも負けるに違いない」という人が後を絶たない。」

池田氏の言っていることは尤もだ。そして例えば技術的な話の例として特許につぃて話してみると・・・。
これはトムソンロイターのクルマ関係の特許公開件数の5年間(2009年ー2013年)のまとめ
2017-7-24自動車関連のメーカー別特許件数 
メーカー名が見にくいのですが、左からトヨタ、ボッシュ、ヒュンダイ、ホンダ、デンソー、ダイムラー、GM、セイコーエプソン、ミツビシ、コンチネンタル。日本~5社、ドイツ~3社、アメリカ・韓国各1社。
日本が自動車技術でも世界をリードしていることが分かる。
現在世界の自動車のビッグスリー+ワンはVW、トヨタ、GM、そして最近加わった日産・ルノー・三菱連合ですが、技術面で見るとトップはトヨタ、GMは7位、VWは上掲グラフにはありませんが21位です。
しかし、こんな事をいくら説明しても、「ダメダメ、そんな事を言って技術だ技術だと重箱の隅をつついているからダメなんだ。問題は技術じゃない、マーケティングだよ、マーケティング。いくら技術的に優れていても売れなきゃあ話にならんだろ。」
こんな話があちこちで繰り返されていると思います。

前置きが長くなりました。ではトヨタが説明会や発表会を連発する理由 」を見てください。


<以下引用>
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1803/05/news039.html
池田直渡「週刊モータージャーナル」:
トヨタが説明会や発表会を連発する理由 
2018年03月05日 06時30分   [池田直渡,ITmedia]

 ここのところ、トヨタ自動車は矢継ぎ早に新戦略を打ち出し続けている。おかげでこの連載もすっかりトヨタの記事が多くなっている。他のメーカーが、決算期を控えてすっかり大人しくなっている中で、トヨタだけがものすごい勢いで説明会や取材会を開催するためだ。一体何が起きているのか?

2018-3-6トヨタ1 
18年のCESで発表されたモビリティサービス専用EVコンセプトカー“e-Palette Concept”。自動運転の箱形スペースを提供し、あらゆる事業者がそれを用いてさまざまなビジネスを構築できる。ライド&カーシェアはもちろん、移動販売車や宿泊、飲食、物流など、事業者のアイデア次第。例えばピザの宅配に採用すれば、窯を搭載して注文者の自宅前で焼き上げてお届けすることも可能になるだろう

 ペースがちょっと異様なだけでなく、EV(電気自動車)の新体制の発表をしたかと思えば、ハイブリッドの技術説明、コンベンショナルな内燃機関の新技術、加えて個別の車種の発表や試乗会と目まぐるしい。事情を知らないと無節操にあれもこれも手を出して方向性が定まらず混乱しているように見えるだろう。

 実は、トヨタは「選択と集中」戦略を採らない。「内燃機関 or EV」あるいは「EV or ハイブリッド」のどちらに賭けるかではなく、可能性のある全方位の技術に徹底した物量戦略で臨み、その一切を取りこぼさない。それらすべてに対して技術説明が行われるからこういうことになる。

TNGAの過去と未来

 さて、トヨタの全方位戦略を理解した上で、現在の同社の動きには大きく分けて2つの原点がある。

 1つは、トヨタ自身の構造改革であるTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アキーテクチャー)だ。2007年に空前の2兆2700億円の営業利益を出した翌年、トヨタはリーマンショックで大赤字に転落した。営業利益マイナス4600億円、経常利益マイナス5600億円、純利益マイナス4370億円とその赤字幅は並の企業なら即死するほどに衝撃的なものだったのだ。

2018-3-6トヨタ2 
TNGAによる走行性能向上の一例。TNGA第1弾として投入された現行プリウスの改革

 この結果はトヨタにとって屈辱的だっただけでなく、研究開発費の欠乏という長期的ダメージを与えた。たとえV字回復をしてみせても、研究開発の足踏みとは本質的に時間の喪失であり、後にペースを挽回しても過去に戻って時間を取り戻すことは決してできない。これが尾を引いたことで、トヨタは独フォルクスワーゲンにトップの座を奪われた。

 それが骨身にしみたトヨタは、以後競争力の源泉である研究開発費1兆円は何としても死守する決意を固めた。そのためにトヨタは捲土重来を期して改革を始めた。それはどんな経済ショック下でも確実に利益を出せる体質への改善だ。リーマンショック以降、水面下で改革を進めていたトヨタがTNGAを初めて対外的にアナウンスしたのは15年3月のことだった。

 TNGAの下、すべての業務が改善された。文字通り聖域なき構造改革である。以下に列挙してみる。

(1)クルマの魅力を向上させる。特に「トヨタのクルマは面白くない」と言われないためにもっといいクルマづくりを行う。

(2)社会的要請に応える環境性能向上を達成する。

(3)生産台数が減少し、多品種少量生産に迫られても利益率を落とさない生産手法。具体的には生産ロット数に依存しないための改革を行う。

(4)すべての車種に対して「もっといいクルマ」に抵触しない範囲で徹底した部品の共通化を行う。それは調達や在庫の管理コストを下げることになる。

(5)既存工場の稼働率向上。

(6)トヨタのすべての部署において、より筋肉質な体制を目指し、無駄を削減する。

 TNGAはハードウェアのモジュール化であると理解されがちであるが、それは目に見えやすい一部分に過ぎず、本質的には業務手法すべての刷新であり、どんな不況に揺らがない強じんな体力づくりであり、効率の改善である。もちろんそれは同時に好況時にはさらなるポテンシャルを発揮することを意味するだろう。TNGAで面白いのは、コストカットによる効率改善という守りだけでなく、クルマの魅力向上という攻めもまた重視されている点だ。

 トヨタは永らく、「いいクルマ」などという趣味的、あるいは情緒的な要素に冷たかった。今を超える高みを目指すより、合格点をいかにローコストで達成するかに注力してきた。「ここまでで大丈夫」あるいは「これ以上は必要ない」という「見切り」の眼力は飛び抜けて冴え渡っており、その結果トヨタ車の多くは筆者を萎えさせてきた。

 ところが、コストカットを骨の髄まで染みこんだ基礎として当然とした上で、TNGAでは「ユーザーが欲しくなるクルマを提供すること」を目指し始めたのである。これが製品サイドでのTNGA改革である。これを「コストカットからクオリティアップへの方向転換」という理解をすると、TNGAを取り違えるし、「モジュール化による新たなコストダウン手法」と理解しても分からなくなる。コストとクオリティを同時に改善することこそがTNGAであり、前述したようにトヨタ生産方式において「カイゼンは常にコストダウンを伴う」という絶対原則があるからこそ、もう1つの側面として「もっといいクルマ」にスポットライトが当たっているにすぎない。

 TNGA改革はとても大きな変革であり、トヨタの社員一人一人に聞いても「実は『もっといいクルマづくり』と社長が言い出したとき、一体何の話か分からなかったんです」と言う。何しろそれ以前がそれ以前である。

 例えばシャシー領域において、いいクルマであるために極めて重要な「ボディ剛性」を確保するための重要な要素の1つはスポット溶接の打点の位置と数だ。しかしボディ剛性に貢献するからといって、難しい位置にスポットを打とうとしたり、スポットの数を増やしていけば、生産に時間がかかる。生産工程において時間はすなわちコストなので、楽に打てる位置により少ない数で打てばコストダウンできる。

 あろうことか、一時期トヨタの中ではこのスポットの数をいかに減らしたかを競い合う風潮さえあったという。それではもっといいクルマなど夢のまた夢だ。その風潮をひっくり返したのが、昨年トヨタの新しいカンパニーとして再定義された「GAZOO Racing Company」(GR)である。

 トヨタの多くのモデルでスポット溶接の打点追加による走行性能向上を実現し、『G'sシリーズ』などのファクトリーチューンモデルを生み出していった。その過程で、彼らはスポット打点をどこに打つと何に効くかをビッグデータ化して鍼のツボのように一覧化していった。TNGAの改革の中でこのGRが解析したデータはすべての新型車開発チームに共有されてもっといいクルマづくりに一役買っている。

2018-3-6トヨタ3 
TNGAコンセプトに基づく最新工場では、多品種少量生産に対応し、経済恐慌に動じない生産効率を維持できる。併せて車両のモデルチェンジに際しても従来の半分程度の投資で対応できる。写真は17年に追加された広汽トヨタ自動車有限会社の新設生産ライン

 今、このTNGA改革の芽が次々と芽吹き始めている。リーマンショックから丸十年を経て、続々と次世代技術が登場しているのである。

トヨタのオープン化と「オールジャパン」

 TNGAに次ぐもう1つの取り組みは「オールジャパン」である。トヨタは、ここ数年で巨大アライアンスを構築した。従来から子会社であったダイハツを100%子会社化し、スバル、マツダ、スズキと、国内メーカーの過半を巻き込んだオールジャパン連合となりつつある。一方で、自動車以外に目を移せば、デンソー、パナソニック、マイクロソフト、Uber、Amazonと従来にない業態のビジネスと新たに事業協力関係を構築し、次々と提携をまとめ続けている。

2018-3-6トヨタ4 
トヨタは今、クルマを軸にさまざまな事業を展開中だ。写真のKIROBO miniは現在のところ、ソニーのAIBOのようなコミュニケーションパートナーだが、将来はAmazonのAlexaのような家庭用のAI端末になっていくだろう。そうなれば、KIROBO miniはスマホのスケジュールをクルマに伝達し、オーナーが今日どこへ出掛けるかはあらかじめクルマが知っている。カーナビがセットされ、外気温に基づいてエアコンが調整される。クルマそのものの異常やメインテナンスの情報もネットを経由してオーナーとディーラーに共有され、必要があれば近くのディーラーからメッセージが入る。そんな未来のために必要な家庭用端末になっていくと考えられる

 もちろんそれには多くのメリットがある。まずはEVの話から説明するのが早いだろう。EVは極めて特殊な商品だ。それは市場から求められた結果生産するのではなく、いくつかの国々が法律で生産比率を義務付けたから作らなくてはならない商品なのだ。

 トヨタは北米で約284万台のクルマを販売している。北米のZEV(ゼロ・エミッション・ビークル)ルールに則れば、18年、トヨタはこのうち2%のクルマをEVか燃料電池車(FCV)にしなくてはならない。つまり約5万7000台を売らなくてはならないわけだ。厳密に言えばZEVは米国全州規制ではないが、既に11州で採用され、今後も拡大されることはほぼ確実視されている上、19年には2%から4%へ、20年には6%へと、年を追うごとに引き上げられ、25年にはそれが16%に達する。5万台や6万台は売り切らなければ話にならない。

 以前トヨタの「電動化プログラム説明会」(注:下記参照)で、ウォール・ストリート・ジャーナルの記者が「米国のトヨタ・ディーラーでEVが買える日はいつ来るのか?」と質問した。これに答えたトヨタの寺師茂樹副社長は「広報的には商品計画についてはお答えできません、という答えになるんですけれど、反対に質問したいのですが、米国のユーザーはいつになったらEVを買おうかと、トラックを止めてEVにいこうかという雰囲気になるのでしょうか?」と返した。
(引用者注:電動化プログラム説明会とは多分これだと思う
2017/12/18  トヨタの電動化宣言!2030年に電動車の販売550万台以上、EV・FCVは100万台以上を目指す

 このやり取りには背景があって、そもそも米国全土で販売されたすべてのメーカーのEVの総計が16年度実績で8万5000台しかない。ZEVの義務規定を真に受けるならトヨタは現状ゼロの状況からいきなりシェア率67%を取らなくてはならない。

 いくら政府が「ああしろ、こうしろ」と言ったところで、マーケットはその通りには決してならない。そんなことになるのならトランプ大統領が文句を言った途端、日本の道路がアメ車が溢れかえるはずである。同じように販売義務を課したところで売れないものは売れない。それが自由経済の大原則である。

 つまり、EVの最大の問題は、現実面の需要そのものが小さいにもかかわらず、販売台数の義務付けだけが先走っている点にある。となれば、自動車メーカーの取れる戦略はただ1つ。売らなくてはならない台数を利益度外視で叩き売る以外にない。多くの人は理解していないが、北米でも中国でもEVは大損確定の貧乏くじであり、ルールがその貧乏くじを引かなければならない決まりだから、仕方なく引くだけだ。

 わざわざ新規にEVを設計し、生産し、叩き売る。馬鹿馬鹿しいビジネスである。こういう損の確定したビジネスを皆でリスクを割り勘にすることで被害を最小限にとどめようとする流れが、トヨタアライアンスの目的の1つだ。

 もちろん、それぞれの得意分野を生かした相互提携の意味もあり、現実にダイハツやスズキの新興国モデル開発と販売、マツダのモデルベース開発とコモンアーキテクチャなど、トヨタとしても学ぶべき点は多く、そうしたアライアンス各社に対して専横的な支配ではなく、互恵的で敬意あるアライアンスの組み方をトヨタは意図的に進めている。

 例えば、先日パナソニックとの提携で開発が発表された角形汎用電池についても、トヨタやアライアンス各社のみならず、採用を希望するメーカーがあれば、技術を供与することも検討するといった具合で、今、トヨタの事業戦略はオープン化が急速に進んでいるのだ。

 自動車のみならず、さまざまなプレイヤーが参加し得る今後の業務提携では、同業者以上に互いの企業文化を尊重することなしに立ちいかないだろう。

 急激に速度を高めつつあるトヨタは既にかつてのトヨタとは違うし、これからますます変わっていくだろう。

<引用終り>


この記事の狙いは一言で言えば、トヨタは遅れていると言う噂が飛び交っている(とメディアが騒いでいる)。これに対しトヨタはこんな事をやっていますよと言う広報活動。
しかし事実を挙げて説明しても、説明しても、何度説明しても噂で騒ぐメディアは承知しない。(何かモリカケ騒動の安倍首相の話と似た感じがしますね(笑))
そんな事への回答であることが一つ。

次がトヨタが社内改革をクルマの設計だけでなく、すべての業務が聖域なく改革されてきている。このことはあまり報道されないが、その改革内容の解説。
この改革内容は本文に太字で記したが、自動車関連だけでなく、他の分野の方にも大いに参考になるのではないか。
特に「もっといいクルマ」に挑戦する。この分かったようなわからないような目標こそ重要ではないだろうか。一般の会社だと「売り上げ〇〇億円必達」とか「利益〇〇億円確保」とか数値目標が幅を利かせている。これはこれで問題なさそうだが、目標必達のために肝心な「お客様のためになるものを作る・売る」、こんな視点が抜けてしまっている。こんな点を見直すきっかけになればと思います。

最後に本文のこんな部分
ウォール・ストリート・ジャーナルの記者が「米国のトヨタ・ディーラーでEVが買える日はいつ来るのか?」と質問した。これに答えたトヨタの寺師茂樹副社長は「広報的には商品計画についてはお答えできません、という答えになるんですけれど、反対に質問したいのですが、米国のユーザーはいつになったらEVを買おうかと、トラックを止めてEVにいこうかという雰囲気になるのでしょうか?」と返した。

これこそEVの難しさです。外野席から見て「クリーンで使いやすい、こんないいものを如何して作らないんだ。中国だって作れるじゃないか」、こんな風に見えるのだが、それで実際お客さんが買ってくれるかというと全く逆。見た目は良さそうでも、あんな面倒くさい使いにくい車は嫌だ。これが現実ですね。

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2017-12-25 09:45

中国のEVの今

 12月20日のエントリー「クルマのEV化(電動化)に思う事」の続編です。
クルマのEV化については欧州勢が凄い、中国は進んでいる、そしてトヨタは遅れている、こんな枕詞ががいつも聞こえてくるのだが、その中国に関して大変良く分かる記事が有った。

例えば上海では凄い勢いでEVが売れているが、多額の補助金が出ていると言われているものの実態が良く分からなかった。
何と驚いたことに上海ではEVは「半値八掛け2割引き」で買えるのだとか・・・
半値八掛け2割引き=0,5x0,8x0,8=0,32 なのだが・・・、バッタ屋じゃないですよ。れっきとした自動車なんですから・・・。
以下その恐れ入ったレポート。


<以下WSJより引用>
http://jp.wsj.com/articles/SB12161580033589274394204583430173670262556

自動車
EVに賭ける中国、「力業」で普及促進
米国抜き台数トップに、補助金や規制が「新エネルギー車」の販売をけん引

2017-12-24EVに賭ける中国1
中国・深センにある比亜迪汽車(BYD)の電気自動車工場でバッテリーを組み込む作業員 PHOTO: BOBBY YIP/REUTERS
By Trefor Moss
2017 年 10 月 4 日 15:42 JST 更新


 【上海】中国は世界最大の電気自動車(EV)市場を、純然たる「意志の力」で創り出している。EVの国内生産推進に向けた中国政府の取り組みに、主要海外メーカーも追いつこうと必死だ。

 中国政府は、国内EVメーカーへの資金支援や消費者への補助金支給によるEV購入の促進、広大な充電ステーション網の構築に取り組む一方で、人口密集都市で確実にナンバープレートを取得するにはEVを買うしかない状況を作り出すことで消費者にEV購入を強いている。

 ソフトウエア会社でマネジャーを務めるウィリアム・チョウさん(33)は最近、妻が妊娠したため、外国メーカーのガソリン車――中流階級のステータスシンボル――を購入するという1年半前からの計画を断念した。

 チョウさんは交通渋滞の激しい上海で運転をしているが、上海ではガソリン車向けのナンバープレートの発給は厳しく制限されており、EVとプラグインハイブリッド車(PHV)であれば規制が適用されないためだ。「時間とエネルギーをこれ以上ナンバープレート取得に浪費したくなかった」ため、国産のPHVで手を打つことにしたとチョウさんは話す。

2017-12-24EVに賭ける中国2 (引用者注:ここは動画なのだが、wsjの記事の動画は貼り付けできないので冒頭部のみ表示、動画詳細はリンク先WSJ記事参照ください)
中国は主に政府の徹底した補助金や奨励策のおかげで世界最大のEV市場となっている(英語音声、英語字幕あり)Photo/Video: Eva Tam/The Wall Street ​Journal​

 米国をはじめとする他の国々は、EVが近く大規模な市場になるかどうかについてやや懐疑的だ。だが中国には迷いがない。EV推進の目標の1つは、大気汚染の抑制と外国産石油への依存軽減だ。しかし真の狙いは、この新興の電気自動車市場を活用し、国内自動車メーカーの不安定な品質を向上することにある。その達成に向け、政府は産業政策措置によって、国内メーカーの設計と技術を試す巨大な試験場を創り出している。

 中国製のEVは既に主流になっている。国内市場では100を超える車種のEVが販売されている。調査会社EVボリュームズによると、2016年の乗用EVとPHVの販売台数は35万1000台に達した。

 そのほぼ全てを中国メーカーが生産している。中国勢以外で相当数のEVを販売しているのは 米テスラ のみで、同社の昨年のEV輸出販売台数は1万1000台。

新エネルギー車の生産義務づけ

 外国メーカーも中国で販売を続けたいなら、この争いに参加するしかない。中国政府は9月28日、中国で製造を行う自動車メーカーに対し、2019年までに「新エネルギー車(NEV)」の製造を開始することを義務づける方針を発表した。

 中国の自動車市場は巨大で、マッコーリー・リサーチによると、2016年の世界自動車販売台数の3分の1を占めている。そのため外国の自動車メーカーには、現地の方針に合わせて戦略を調整する以外に選択肢はほぼない。

 「われわれが電動化に巨額の投資をしているのは、そのためだ」。米 ゼネラル・モーターズ (GM)のメアリー・バーラ最高経営責任者(CEO)は先月、上海で従来型自動車の段階的廃止に向けた中国の動きについて記者団に問われ、こう答えた。

 GMは昨年の世界販売台数のうち4割が中国での販売だった。バーラ氏は、中国政府の方針を受け「中国で電動化をかなり積極的に展開」していくことになると述べ、2020年までに中国で少なくとも10車種のEVとPHVを販売する計画を明らかにした。GMは他の市場では、そのような目標は発表していない。GMは数カ月前に発売した現地仕様の「ボルト(Volt)」を含め、中国では現在、3車種のEVとPHVを販売している。

 外国メーカーは中国で既に年間数百万台のガソリン車を製造しているが、EVの製造は最近まで控えており、EVの輸入も25%の関税によって阻害されていた。クライスラーの元幹部で現在は中国の自動車コンサルティング会社、高風咨詢でマネージングディレクターを務めるビル・ルッソ氏は、外国メーカーはまだ規模がさほど大きくない市場に本格参入することに消極的だったと話す。

 規模拡大の兆しは現れ始めている。EVボリュームズによると、中国の乗用EV・PHVの販売台数は今年、40%増加している。バーンスタイン・リサーチの試算では、中国が購入する自動車に占める乗用EV・PHVの割合は、今年は1~2%だが、2025年までには22%に拡大する見通しだ。

EV販売台数推移
中国は乗用EVの販売台数で米国を超えている
THE WALL STREET JOURNAL
Sources: China Association of Automobile Manufacturers; Inside EVs

2017-12-24EVに賭ける中国3 

 独 フォルクスワーゲン (VW)は最近まであくまでもディーゼル車に力を入れてきたが、排ガス不正問題で戦略見直しを余儀なくされ、EV化に向けた大幅な方針転換を発表している。中国はVWの売上高の半分を占める。同社のマティアス・ミュラーCEOは先月ドイツで開かれたフランクフルト国際自動車ショーで「先導しているのは中国とカリフォルニアだ」と述べ、中国がVWの世界的な変革を後押しするとの見方を示した。

 また、2025年に中国でEVを150万台販売する目標を掲げるVWは、2030年までに世界で300車種のEVを売り出すことを目指し、830億ドル(9兆3800億円)投じることも明らかにした。

 一方、中国のEV需要の伸びが減速する可能性を疑うメーカーもある。中国政府はEV購入補助金を打ち切る計画で、既に縮小を始めているためだ。4月に開かれた上海国際自動車ショーで、トヨタの大西弘致・中国本部長は中国の要件に合うEVの生産を開始する方針を明らかにしたが、同時に記者団に対し、「中国は政府の手厚い補助金でEV普及を促してきた」と述べた。大西氏は、そうした補助金がなくなったあとの実需について、消費者が市場価格でEVを購入したがるかどうかは分からないとの見方を示した。

 とはいえ、世界の自動車メーカーは、中国でいまEVの生産に踏み切らなければ、EV化を強力に進める他の市場で商機を逃す可能性があることを恐れている、とルッソ氏は指摘。「中国が世界の自動車業界の大規模なEV化をけん引するだろう」と述べた。

 今年に入り米 フォード・モーター 、 仏ルノー ・日産連合、VWがバッテリー駆動車の生産に向け、中国で新たな合弁会社を設立した。フォードは6月に文書で2025年までに中国で生産する自動車の70%をEVにすることを表明。テスラは上海に工場を建設するため協議中だ。メルセデス・ベンツの親会社ダイムラーは7月、中国国営自動車メーカーの北京汽車集団(北汽集団、BAIC)とEV開発に7億6700万ドルを共同投資することを明らかにした。

中国のEV補助金・奨励策
上海では各種特典や政府の奨励策のおかげで、北汽集団の「EV160」を68%割引で購入できる。
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 中国は2009年に補助金の導入と販売台数目標の設定によりEVを積極的に推進し始め、13年に販売が軌道に乗り始めた。2015年には、EV製造をはじめとする10産業で中国が世界をリードすることを目指す「中国製造2025」計画を発表し、EVを自動車産業戦略の中心に据えた。これまで支給した補助金は80億ドルに上る。

 中国は他国よりも一歩踏み込んだEV奨励策も導入している。当局は公共車両に中国メーカーのEVを購入するなどして国内メーカーの販売を保証。北京市政府は市内のタクシー車7万台をEVに置き換えるため13億ドルを割り当てた。

 また中国政府は充電ポイントを今年3月時点の15万6000カ所から2020年までに480万カ所に増加させる見通しだ。米ミシガン大学の調査によると、米国の充電ポイントは6月時点で4万3000カ所。

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浙江省の湖州にあるEVの充電スポット(2016年) PHOTO: XINHUA/ZUMA PRESS

 このペースでいけば、中国はおおむねEV 6台につき1カ所の割合で充電ポイントを設置することになる。これに対し、米国とノルウェーでは約17台につき1カ所の割合だ。

有効な促進策

 中国政府によるEV促進の最も有効な手段であり、外国メーカーが中国でEV生産を開始する理由の1つになっているのが、新規購入のガソリン車向けのナンバープレートの発給制限を7都市で行っていることだ。北京では1万4000枚のガソリン車向けプレートを抽選で発給しているが、申し込みが殺到し、数百倍の異常な競争率となっている。上海では競売で高い値をつけた人に発給。一方、同じ大都市のEV購入者は無料でほぼ即時にプレートの発給が受けられる。

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深センにある比亜迪のEV工場 PHOTO: TREFOR MOSS

 中国の自動車メーカーのほとんどは、可能な限り安いEVの製造に力を入れている。2017年上半期に中国で最も売れたEVは、小売価格が7000ドルを下回る「知豆D2」。北汽集団の上海の販売代理店でマネジャーを務めるワン・イーペン氏によると、同店で最も売れ行きがいいのは補助金分を差し引いて約1万1000ドル(差し引く前の価格は2万2000ドル)の「EV160」だという。

 消費者へのアンケート調査を基に自動車を格付けしているJDパワーのゼネラルマネジャー、ジェフ・カイ氏は、中国メーカーが品質に磨きをかけ、国内での評価を向上しつつあると指摘。「ここ2年で一部の中国メーカーは大躍進を遂げた」とし、中国消費者の「そうしたメーカーの品質に対する認識は大幅に向上している」と述べた。

 中国の民営自動車メーカーの1つ、比亜迪汽車(BYD)は昨年、独アウディ・グループの元デザイン部門トップのヴォルフガング・エッガー氏をデザイン責任者に起用した。エッガー氏は比亜迪について、工業面に関する問題は解決したが、次の課題は「中国製」に押された烙印(らくいん)である「外車の方が優れている」という共通認識を払拭(ふっしょく)することだと話す。「製品は技術的な面で優れていたとしても、強力な個性が必要だ」

 JDパワーのカイ氏は、「今後3年で中国製EVの品質は大きく改善する」と話す。「外国勢は競争力で苦労するようになるかもしれない」

2017-12-24EVに賭ける中国7 
※1:メーカー公表台数 ※2:補助金分を引いた価格

<引用終り>


此処までで、「ではその電力はどうするんだ」という疑問が出てくるが、それは次回に。

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2017-12-20 16:20

クルマのEV化(電動化)に思う事

 最近クルマのEV化(電動化)についての記事をよく見る。EV化が世界の趨勢だという話もある。いやEVはまだ駄目だという話もある。
そしてそんな時、その報道の枕詞が付いている。例えばこれはロイターだが、【東京 8日 ロイター] - 電気自動車(EV)で出遅れるトヨタ自動車を中心とした企業連合が・・・】と、こんな風に必ず報道されている。

私はEV(電気自動車)には疑問を持っている。フォークリフトやゴルフ場のカートなど限定的な使い方なら非常に便利。しかしどこへでも行けるという自動車のメリットを生かすには不向き。そう考えているからだ。

しかしこの辺りで少し立ち止まって見る必要があるように感じるので、そのあたりを纏めてみたい。
考えたいのは、上掲ロイターの記事にあるように、「20年も前からハイブリッドで自動車の電動化に取り組んできたトヨタが、どうしてマスコミからEVで遅れていると言われるのか」、そんな所から考えたいからだ。

そんな時、丁度ITmedia に「 豊田章男「生きるか死ぬか」瀬戸際の戦いが始まっている 」という記事が有った。モータージャーナリスト池田直渡氏の危機感溢れる記事である。

最初に長文の記事だが、問題を理解するために記事全文を引用します。
特にみて欲しいのは
 トヨタが何故ここまで危機感溢れる行動に出たのか、
豊田章男社長は
 「自動車業界は100年に一度の大変革の時代に入った。次の100年も自動車メーカーがモビリティ社会の主役を張れる保障はどこにもない。『勝つか負けるか』ではなく、まさに『生きるか死ぬか』という瀬戸際の戦いが始まっている」、こう言っている。

そしてモータージャーナリスト池田直渡氏はこんな事を言っている。
 「ここしばらく、日本の家電メーカーの敗北がどれだけ日本人のトラウマになっているかが骨身に染みた。日本の自動車メーカーが電動化に遅れているどころかリードしているのだという話をいくら丁寧に数字を挙げて説明しても、「いやそういう油断で電気メーカーは負けた。クルマも負けるに違いない」という人が後を絶たない。」

それではそのトヨタの組織変更に関する記事から。

<以下ITmediaより引用>
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1712/04/news016.html

ITmedia ビジネスオンライン > 豊田章男「生きるか死ぬか」瀬戸際の戦いが始まっている 
2017年12月04日 06時30分 公開
池田直渡「週刊モータージャーナル」:
豊田章男「生きるか死ぬか」瀬戸際の戦いが始まっている 

 定例の時期でもないのに、トヨタ自動車はとてつもなく大掛かりな組織変更を発表。豊田章男社長は「自動車業界は100年に一度の大変革の時代に入った。『勝つか負けるか』ではなく、まさに『生きるか死ぬか』という瀬戸際の戦いが始まっている」と話すが……
[池田直渡,ITmedia]

 11月28日、定例の時期でもないのに、トヨタ自動車はとてつもなく大掛かりな組織変更を発表した。昇格者56人、異動者121人。

 最初にトヨタ自身の説明を抜き出そう。

2017-12-18トヨタ1 
凄まじい勢いで改革を続けるトヨタの豊田章男社長

 トヨタは、「もっといいクルマづくり」と「人材育成」の一層の促進のために、常に「もっといいやり方がある」ことを念頭に、組織および役員体制の見直しを行ってきた。

 2011年に「地域主体経営」、13年に「ビジネスユニット制」を導入、16年4月にはカンパニーを設置し、従来の「機能」軸から「製品」軸で仕事を進める体制に大きく舵を切った。17年も、9月に電気自動車の基本構想に関して他社も参加できるオープンな体制で技術開発を進めるための新会社(EV C.A. Spirit)を設立するなど、「仕事の進め方変革」に積極的に取り組んできた。

 また、役員人事についても、15年に初めて日本人以外の副社長を登用、17年には初めて技能系出身の副社長を登用するなど、従来の考えにとらわれず、多様な人材を適所に配置する取り組みを進めてきた。

 いま、自動車業界は、「電動化」「自動化」「コネクティッド」などの技術が進化し、異業種も巻き込んだ新たな「競争と協調」のフェーズに入っている。トヨタは、グループの連携を強化し、これまで取り組んできた「仕事の進め方改革」を一層進めるために、来年1月に役員体制の変更および組織改正を実施する。また、現在のトヨタを取り巻く環境変化はこれまでに経験したことがないほどのスピードと大きさで進行しており、一刻の猶予も許されない、まさに「待ったなし」の状況であると認識している。こうした認識のもと、役員体制については、本年4月に実施した後も、6月、8月、11月と随時、変更してきており、来年についても従来の4月から1月に前倒しで実施することにした。

 今回の体制変更について豊田章男社長は「自動車業界は100年に一度の大変革の時代に入った。次の100年も自動車メーカーがモビリティ社会の主役を張れる保障はどこにもない。『勝つか負けるか』ではなく、まさに『生きるか死ぬか』という瀬戸際の戦いが始まっている。他社ならびに他業界とのアライアンスも進めていくが、その前に、トヨタグループが持てる力を結集することが不可欠である。今回の体制変更には、大変革の時代にトヨタグループとして立ち向かっていくという意志を込めた。また、『適材適所』の観点から、ベテラン、若手を問わず、高い専門性をもった人材を登用した。何が正解かわからない時代。『お客様第一』を念頭に、『現地現物』で、現場に精通をしたリーダーたちが、良いと思うありとあらゆることを、即断・即決・即実行していくことが求められている。次の100年も『愛』をつけて呼んでもらえるモビリティをつくり、すべての人に移動の自由と楽しさを提供するために、トヨタに関わる全員が、心をあわせて、チャレンジを続けていく」と述べた。


トヨタは違う何かになろうとしている

 副社長のインが3人。アウトが1人。

 専務のインが5人。アウトが6人。

 常務のインが13人。アウトが7人。

 副社長、フェロー、専務、常務といった首脳陣が担当する仕事は52のポジションのうち37で変更。実に7割を超え、まるで企業買収にでもあったような大改革である。トヨタはその組織を1度ドロドロに溶かして昆虫がサナギ期を経て変態するように、まったく違う何かになろうとしている。

2017-12-18トヨタ2 
トヨタ、マツダ、デンソーの3社で立ち上げたEV開発会社。すでにダイハツとスズキもジョイントすることが決まっている

 振り返ってみればトヨタの危機感の起点は、内部的に見ればリーマンショックによる大打撃、北米の品質保証訴訟での社の存続を危うくするほどの大激震にあった。「そんな大げさな……」と言うなかれ、この2つの出来事は外から見た構図と、中で感じた危機感が大きくかい離しているのだ。

 2000年代トヨタは毎年50万台ペースの増産を重ね。600万台そこそこだった生産台数を10年少々で400万台積み上げて1000万台メーカーになった。16年のホンダのグローバル生産台数が約500万台、フィアット・クライスラーが約450万台、スズキが約300万台という他社の動向を見ると、どれだけの伸長だったかが想像できるだろう。

 トヨタには世界に冠たる「トヨタ生産方式」がある。トヨタ生産方式の真髄は「売れた分だけ作る」こと。それをあらゆる角度から徹底することがトヨタ方式だ。売れた台数以上は作らない。売れないーーつまり不良品は作らない。多品種少量を常にニーズにアジャストしながら売れた分だけ百発百中で作り、無駄を出さないことこそがトヨタ生産方式である。

 ところが、このトヨタの鉄の掟が、毎年50万台ペースの生産増強で知らない間に棄損していた。本当にトヨタ生産方式の理念が貫かれていれば、リーマンショック後の需要激減に余裕でアジャストできたはずである。むしろあたふたする他社を尻目に、強みを発揮するべき場面だったのである。

 しかし現実はそうではなかった。トヨタは設備をフル稼働させないと利益が出せない体質に変わっていた。リーマンショックの翌年、急速にシュリンクした需要に合わせて生産を調整したところ、創業以来の激甚な大赤字に見舞われたのだ。この2000年代前半の生産設備増強を陣頭指揮していたのは当時の社長であった張富士夫氏である。張氏と言えば、トヨタ生産方式の完成者である大野耐一氏の直系の弟子。トヨタの中でトヨタ生産方式を最も熟知していたエースである。そのエースで負けたことがトヨタの危機感を募らせた。続く渡辺捷昭氏は海外拡販路線を継承しつつ、コストダウンの大ナタを振るったが、そこで北米の大訴訟に直面する。真実は一概に言えないが、推進していたコストダウン戦略と北米の品質問題を関連させた指摘も多く、社長を退いた。そして豊田章男社長時代が始まったのである。

 豊田社長は13年から工場の新設を凍結し、「意思ある踊り場」を表明、新規工場の設備投資を既存設備の柔軟性改革に振り向け、生産台数の増減に利益率が左右されない生産設備へと改善した。15年にこの凍結を解除してメキシコ工場の建設を決めたが、この踊り場の間にフォルクスワーゲンに追いつかれてしまう。計画ではギリギリで首位を維持して再加速に入れる予定だっただけに、豊田社長は決算発表で控えめながらその悔しさをにじませた。

 17年3月期で、売上高27兆5971億円、営業利益1兆9943億円、純利益1兆8311億円。その営業利益は、国家税収でいえば、世界ランキング17位のスイス、18位のオーストリアに並び19位。為替レート次第ではこの2国を抜きかねない。そういう国家予算と見紛うレベルの決算を叩き出しながら、手を緩めることなく今回も組織改革を進めるのは為替の影響もあるとは言うものの、利益率の低迷が大きい。当期純利益率は前期の8.1%から6.6%に落ちている。デッドヒートを繰り広げてきたフォルクスワーゲンに対するアドバンテージがなくなった。

 利益率はもちろん会社の利益を保証するものだが、豊田社長は「研究開発費を絶対に維持するための利益」だと言うのだ。100年に1度の大改革時代を生き残るために、トヨタは全方位戦略をとっている。EV(電気自動車)かHV(ハイブリッド車)かの2択ではなく、EVもHVもFCV(燃料電池自動車)も内燃機関も、可能性のあるすべての技術を大人買いするのがトヨタ流である。しかし未来技術のすべてをリードしていくための研究開発費は1兆円と膨大であり、それを叶え、「絶対に負けないトヨタ」を作るためにはこんな利益率ではダメなのだ。

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電動化のキー技術はモーター、電池、PCUの3つ。このすべてについてトヨタは開発・製造が手の内化されている

 利益を生み出すためには、ビジネスの精度が高くなくてはならないが、最後の最後で何が大事かとなれば、製品が優秀であることだ。「業界の標準的な性能のものを安価に」というやり方では、コストで負けたら企業価値が霧散する。今日本の企業に求められているのはやせ我慢でコストを削減することではなく、価値ある製品を妥当な価格で、いやもっとはっきり言えば高く売って、日本の生産性を高めることである。そうでなければ日本はデフレを脱却できず、賃金も上がらず、どんどん貧しい国になる。そのためには「あの製品が欲しい」という強烈な魅力があって、販売やサービスや価格がそれに付帯してくることが本筋である。もちろんどれも大事だが、根本は製品の魅力であるということは変わらない。そこでトヨタはTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャ)でビジネスのすべての改革に取り組み、併せて「もっといいクルマ」というキーワードを中心に置いたのである。

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モーター、電池、PCUにエンジンを加えればハイブリッド車、フューエルセルを加えれば燃料電池車、何もつけなければ電気自動車になる


トヨタアライアンスの意味

 TNGAの推進に続いて、トヨタは巨大アライアンス戦略に乗り出した。従来から子会社であったダイハツを100%子会社化し、スバルとのジョイントにOEMを持ち込み、マツダとはクルマづくりのレベルで協業を図るため、トヨタ史上で初めてトヨタ株を持たせた相互株式保有の提携を決めた。トヨタ自身の議決権をわずかなりとも渡したことの意味は重い。スズキとの枠組みの詳細はまだ不明ながら、インド向けEVについてはトヨタアライアンスの一員となる発表がすでにされている。

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すべてのシステムを手掛けるトヨタは、どれか1つですべてをカバーする必要がない。そのため用途によって相性の良いシステムを使い分ける考え方だ

 これらの提携の流れを振り返って見ると、常に盛り込まれているのが「電動化」「自動化」「コネクティッド」の3つである。需要と関係なく法律の義務付けによって生産せざるを得ないEVに関しては、近い将来に値引き合戦に発展する可能性が高い。そこを複数社のアライアンスでリスク分担をしながら、開発そのものもマツダの「一括企画」「コモンアーキテクチャ」「モデルベース開発」で多品種低コスト開発を狙う。

 そう考えると、今回トヨタが発表した人事リリースの中でも特に重要なキーマンが数人見えてくるのだ。その数人は短期的な未来に直結する働きを求められていることは間違いない。興味があるならポイントは以下の項目だ。

 ・提携や新会社の設立関係
 ・先進技術系関係
 ・トヨタ生産システム(TPS)関係
 ・情報システム関係
 ・コネクティッド関係
 ・TNGA関係


     
日本人の閉塞感を救え

 ここしばらく、日本の家電メーカーの敗北がどれだけ日本人のトラウマになっているかが骨身に染みた。日本の自動車メーカーが電動化に遅れているどころかリードしているのだという話をいくら丁寧に数字を挙げて説明しても、「いやそういう油断で電気メーカーは負けた。クルマも負けるに違いない」という人が後を絶たない。

 内燃機関だってなくなるのはどんなに早くても2050年レベルで、それまでは何らかのハイブリッドでエンジンとモーターを両方使う時代になる。それは欧州のメーカーだってはっきり言っていると話しても「エンジンなんかにいつまでも固執しているから敗北するのだ」と言って聞かない。彼らは酷い閉塞感の中を生きている。

2017-12-18トヨタ6 
一見室内が広いだけのタクシーに見えるが、実はグーグルと戦う自走型情報端末でもあるJPN TAXI

 筆者は今回のトヨタのヒリヒリするほど徹底した自己改革を見てトヨタの覚悟に後ずさるような恐れを感じた。まったく負けていないことをわきまえつつも、絶対に手遅れにしないためにトップグループを保って全力疾走を続けている。

 かつて英国が政府主導で自動車メーカーの合従連衡を進めて、力を落としていったのと反対に、トヨタのこの民間企業ならではのエネルギーでオールジャパンを活性化させていく流れに筆者は大いに期待している。

筆者プロフィール:池田直渡(いけだなおと)

 1965年神奈川県生まれ。1988年企画室ネコ(現ネコ・パブリッシング)入社。取次営業、自動車雑誌(カー・マガジン、オートメンテナンス、オートカー・ジャパン)の編集、イベント事業などを担当。2006年に退社後スパイス コミニケーションズでビジネスニュースサイト「PRONWEB Watch」編集長に就任。2008年に退社。

 現在は編集プロダクション、グラニテを設立し、自動車評論家沢村慎太朗と森慶太による自動車メールマガジン「モータージャーナル」を運営中。

<引用終り>


こんな事なのだが、この問題の根っこには中国でのEV(電気自動車)の爆発的な拡大が有る。
しかもその使い方もカーシェアリングの新しい形、それを自転車のシェアリングの急拡大と一緒に考えているところに問題の難しさが有ると思います。
以下次回そんな所を考えていきます。

それと家電メーカーの敗北の陰にある「人材の敵陣流出」についても考えていきたいと思います。
<続く>

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2017-10-20 17:43

日産、国内向け全車両の出荷停止 不正検査問題で

 今朝の新聞には衝撃的な記事が載っている。自動車生産ラインでの完成検査で無資格者による不正な検査の見つかった日産自動車。先月9月18日に不正発覚し、社長が記者会見して是正したと言っていたのだが、実はその後も無資格者による不正な検査が続いていたのだという。その為全工場の車両出荷停止を発表したと報道されている。

今日は長男が会社の関係の飲み会で電車通勤なので朝早く駅まで送っていったのだが、その車中での話題でこんな話をした。

 衝撃的なニュースだねえ。こんな不祥事が起こるのは「企業の、仕事の目的と手段が逆になってしまっている」から。日産なら良い車を作ってユーザーに喜んでもラう事、これが目的でその結果として利益が上がる。こうでなければいけない。勿論企業たるもの利益なしでは成り立たない。だから利益は重要だが、あくまでそれは結果であり目的ではない。ここが重要だ。利益は目的ではなく、企業活動が正しいかどうかの尺度と見るべきだと。


 実はこの事はトヨタとホンダは最近気が付いて会社の体制を変えてきている。例えばトヨタの場合、豊田章男社長は就任以来利益だとか販売台数だとか、いくら聞かれても言わないだろう。言えばそれが目標になってしまうからだ。その代わり言うのは「もっといい車を作ろうよ」だ。
ホンダだって販売台数にこだわって大失敗した。そして社長交代した。最近ホンダのクルマは面白い車が多くなってきただろう。これで利益を上げるためにホンダの苦労は続くだろうが、これがもの造りの本質だ。

こんな話をしたのだが、ではその元になった日産の不祥事の件。色々あるが日経の記事が分かりやすいと思う。


<以下日経より引用>
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22463400Z11C17A0MM8000/

日産、国内向け全車両の出荷停止 不正検査問題で 
2017/10/19 19:47

 日産自動車は19日、国内に6つある完成車の全工場で国内向け車両の出荷を停止すると発表した。日産は全工場での出荷再開まで2週間程度かかるとみている。無資格者が完成車を検査していた問題を9月に国土交通省から指摘されて以降も、4工場で是正していなかった。ずさんな検査体制を見直すため、顧客への引き渡しを停止する事態に追い込まれた。

 19日に記者会見した西川広人社長は「再発防止策を信頼していただいた皆様に深くおわび申し上げる」と陳謝した。

 日産は不正の公表後も子会社である日産車体の湘南工場(神奈川県平塚市)で無資格者による検査が続いていることが発覚。加えて、追浜工場(神奈川県横須賀市)や栃木工場(栃木県上三川町)、グループ会社の日産自動車九州(福岡県苅田町)でも国交省に届け出ていた場所とは違う工程で無資格者が検査していたことが判明した。

 日産は完成検査の体制を見直すために、国内向け車両の生産を一時停止し、有資格者以外は検査できない体制に改める。

 不正検査を続けていた工場から出荷した3万4000台については再検査やリコール(回収・無償修理)を検討する。一連の費用は約10億円。海外向けの車両の生産は続ける。

 一連の問題は、国交省が9月18日以降に日産の工場を抜き打ちで調査し、無資格者の検査が発覚したことが発端だ。有資格者の判子を無資格者に貸して書類を偽装する不正も見つかった。

 日産は同月29日の記者会見で事態を公表し「是正した」と説明。10月2日には西川社長が記者会見で「全て有資格者が検査する体制に改めた」と説明していた。

 日産はこれまでに約116万台のリコールを国交省に届け出ている。国交省は日産に対し、今回明らかになった不正を含めて原因を究明し、再発防止策を10月末までに報告するよう求めている。

<引用終り>


こんな時、日本には昔から近江商人の「三方よし」という考え方が伝わっています。
三方よしとは
買い手よし
売り手よし
世間よし  
この世間よしを忘れた事例がVWの排ガス不正問題ですね。
今回のケースは売り手よしを優先しすぎたためでしょう。矢張り商売の原点に立ち返って自らを律することが必要でしょう。日産には頑張ってほしいものです。

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2017-09-16 15:11

急加速のEVシフトに潜む5つの課題

 電気自動車について色々書いてきたのだが、最近やっとまともな意見が出てきたので紹介したい。
最初にこれは電池などの破壊試験などを行い会社に勤務されている佐藤 登氏の論稿。さすがに電池の安全問題に明るい方と見えてそんな視点が素晴らしい。
ただ長文なので、最初に論点をまとめてみたい。


急加速のEVシフトに潜む5つの課題
佐藤 登     2017年9月14日(木)

5つの課題とは
①EVを購入する顧客層はどれだけいるか?
②中古車市場で見劣りするEV
③電池メーカー、部材メーカーの投資チャンスとリスク
④安全性・信頼性に関する徹底した取り組みの必要性
⑤中国市場でのビジネスのリスク
まとめ
 今後、世界市場に出現することになる数多くのEVであるが、消費者の需要が同時に比例して拡大するとは思えない。すなわち市場に出てくる各社のEV群が、まんべんなく売れるとは思えないのである。選ばれるEVのみが勝ち組となっていく一方で、選ばれないEV製品も出現するだろう。
・・・中略・・・
 そして中国のような価格重視の市場においては、そこに適合する部材や評価装置などを持ち合わせないと市場開拓にはつながらない。その理由は、価格の安い中国ローカル製品に対して、自動車業界や電池業界は特段の不満はなく適用したり使用したりしている実態があるからだ。
 従来の先進諸国を対象主体に開発してきた製品だけでは立ち行かなくなる状況に陥る。新興国をも攻略できる事業戦略が、日本企業に改めて問われているのではないだろうか。


以上が佐藤 登氏の意見だが、同氏はどちらかと言えばメーカー側、それも部品メーカー側の意見を述べているが、自動車電動化にはもっと重要な視点がある。
自動車電動化が実現していけば当然大量の電力が必要になる。この電力の発電・送電の仕組み全体で急激な需要増、供給不足が起こる。これが大問題
また日本のように車は必ず保管場所が確保されているのならば問題は少ないが、外国では路上駐車が当たり前の所が多い(欧州などは特にそうだ)。こんな所では自宅での充電が難しいので、これが結構大きなネックになると思う。

 この電気については「トータルで勘定が合ってもダメ、ピークが問題」という事だが、こんな事は会社などでデマンドで苦労している方しか知らないだろう。自動車の電動化はこんな所まで考えないといけない問題という事だ。

こんな事なのだが、佐藤 登氏の意見は材料・部品メーカーに偏った所もあるので、以下の話も併せてご覧いただくと分かりやすいかも。

2040年までに"全車を電動化"は絶対無理
アウトバーンの走行には課題がある


それでは、佐藤 登氏の論稿を紹介したい

<以下引用>

急加速のEVシフトに潜む5つの課題
日欧米韓中の鍔迫り合いとビジネスリスク
佐藤 登     2017年9月14日(木)

 9月6日、日産自動車は7年ぶりに全面改良した電気自動車(EV)「リーフ」を発表した。実際の国内販売は10月2日からとのこと。新規開発したリチウムイオン電池(LIB)は、従来の30kWhから40kWhに容量アップしたことで航続距離はJC08燃費モード表示で400kmに達したと言う。急速充電するとLIB容量の80%まで充電が可能。LIBの保証は8年または16万kmとしている。

 一方、EVブームをつくったとも言える立役者のひとつ、米テスラも従来の高級EV「モデルS」に加え、価格を3万5千ドルに抑えた普及型「モデル3」の販売を7月末に開始した。富裕層のみだけではなく、一般顧客を取り込む戦略に出たことで受注は50万台に達したと言われている。

 また、米国ゼロエミッション自動車(ZEV)規制、中国新エネルギー自動車(NEV)規制を受けて、日米欧韓中の自動車各社がEVシフトを鮮明に打ち出している。中でも、2015年にディーゼル自動車の燃費不正事件を起こした独フォルクスワーゲン(VW)は、グループ全体で25年までに30種以上のEVとプラグインハイブリッド車(PHV)を発売することを既に明言した。世界販売の20~25%に相当する200万~300万台規模と言うから、極めて大規模かつチャレンジングな目標である。これはVWのみにとどまらず、独ダイムラーや独BMWも同様な目標を掲げている。

 そのような折、9月12日の日本経済新聞夕刊に、VWが2030年までにEVに200億ユーロ(約2兆6千億円)を投資するとの記事が掲載された。同時に、25年までに30車種としていた上記の計画を、EVで50車種以上、PHVが30車種以上の計80車種以上に上方修正した。車載用電池に対しては2兆6千億円とは別に、約6兆5千億円分を調達するとも報道されている。

 9月12日に開幕した「フランクフルト国際自動車ショー」での主役は電動車、中でもEVのオンパレードと各メディアが報じている。EVに対して腰の重かったホンダも、量産型EV「アーバンEVコンセプト」を世界初公開し、このモデルをベースにしたEVを19年に欧州で発売すると言う。

 米国ZEV規制はカリフォルニア州に端を発しているものだが、他にマサチューセッツ州、ニューヨーク州、コネチカット州、メイン州、ニュージャージー州、オレゴン州、ロードアイランド州、バーモント州、メリーランド州が追随している。18年から強化されるZEV規制は、トヨタとホンダが主導してきたハイブリッド車(HV)が対象から外れることで、EVやPHVの開発に拍車がかかる。

 同様に、中国NEV規制もZEV規制の基本的な考えを踏襲し、EVやPHVを主体に規制をかける内容である。中国政策はHVを除外した理由を公言している。それは、「内燃機関エンジンでは、いかに立ち向かっても日本には勝てない。EVならばエンジンは不要、部品点数も少なく、参入障壁が低い」という消去法的選択でEVを重点化している。PHVはエンジンを搭載するのでHVと同様に難度が高いが、EV走行ができることでNEV規制枠に取り込んでいる。しかし、中国ローカル自動車メーカーでPHVを販売しているのはBYDのみで、他はすべてEVに集中している。

 これも9月12日の日経新聞の一面に紹介されたが、英仏が宣言した2040年までのガソリン車・ディーゼル車の販売禁止政策に追随し、中国もガソリン車・ディーゼル車の製造・販売禁止に関する導入時期の検討に入ったとのこと。

 このように、グローバルにEV化が急速に進んでいる。こんな中、業界が抱える課題も徐々に明らかになってきたる。以下、5つの観点からまとめる。

①EVを購入する顧客層はどれだけいるか?

 上記のように自動車各社が2025年まで拡大させようとしているEVであるが、NEV規制はともかく、ZEV規制では販売された台数で初めて自動車各社の実績としてカウントされることになる。このためEVを生産しても販売までに至らなければ意味をなさない。それを決定するのは自動車各社ではなく、消費者側である。

 1998年、ZEV規制(日米各ビッグ3が対象で、98年に販売台数の2%をEV化することを求めた)をクリアするために、97年にはトヨタもホンダも400台規模のEVをカリフォルニア州に供給した。しかし、市場の反応は冷めていた。当時の両社が搭載したニッケル水素電池容量は27kWhで、モード走行は215km、充電時間は約8時間。リース販売としたのだが、航続距離の短さ、家庭への充電器の導入と長い充電時間、電池価格と車両価格の高さ(当時は搭載電池が1台分約500万円、車両価格はまともに販売すると約2500万円、そのためリース対応を実施)などがネックとなり、EVはその後、カリフォルニア市場から姿を消した。

 それから20年経過した現在、モード走行が400kmにも及ぶEVが出現している。しかし、夏冬場のエアコンの使用前提で市街地走行した場合には、モード燃費よりは明らかに低下するため、実際での走行はおおよそ300km前後となろう。とすれば、EVの中では高性能商品に入るであろうが、従来のガソリン車やHVに比べれば、まだまだハンディを背負った自動車である。

 急速充電のインフラは徐々に整備されつつあるとしても、充電器の導入と充電時間は20年前と同様な状況だ。LIB(引用者注:リチウム・イオン・バッテリー)価格や他のコンポーネントのコスト低減が進み、車両価格という視点では相当な進化が実現された。車両価格は300万~400万円程度、電池も20年前の約20万円/kWhから2万円/kWh程度まで、すなわち10分の1までのコスト低減が実現されている。今後も、LIBのコストは更に1.5万円/kWhを標榜しつつ、30%程度のコストダウンが期待されている。

 このように20年間の進化は大きいとしても、ガソリン車やHVに比べてはまだ劣勢のEVであることに変わりはない。全世界の自動車各社が、そして新興の中国新規参入組も入って商品を市場に供給することになるが、そこに消費者がどれだけの価値を見出し、そして購買意欲を示すかが大きな関心事項となる。

 言い換えれば、世界のEV消費者層のパイは暫くの間は限られていると考えるべきであろう。世界各国の自動車各社がEVを市場に供給する今後を考えれば、選ばれるEVはどのようなものか?そしてどのEVが消費者から支持されるのか? EVシフトの裏にはこのような過激な競争が待ち構える。それはテスラも例外ではなく、今後は同社の真価が問われることにもなるだろう。

②中古車市場で見劣りするEV

 ガソリン燃料より安く走行できるEVの電気代ランニングコストは、消費者にとっては魅力の1つである。しかし一方では、同一年式、同一車両価格帯のガソリン車やHVに比べれば、中古車市場でのEVは大きな下落を強いられているという面も見過ごせない。年数が経過したEVの価値が低ければ、それだけ新製品に寄せる想いは高まらない。

 ガソリン車やHVの中でも中古車市場価格が高めに維持される商品は、新車市場でも人気車に位置付けられている。筆者自身も、自動車購入に当たっての1つの条件としており、中古車市場での価格は重要な指標と位置付けている。同様な考えをもつ消費者は少なくないはずだ。

 実際に購入して使用した消費者の意見は最も大きな影響を及ぼす1つであろうが、電池の劣化と共に進む航続距離の低下に対する消費者の不満は、これまでの最多のものではなかっただろうか。それだけに、電池劣化を制御する素材や電池マネジメントは今後も大きな課題である。

 ともかく自動車各社は新車EVの新規開発と同様に、いかに中古車市場でも力を持つ魅力あるEVの製品開発を考えるべき段階に突入したのではないだろうか。今後、各社のブランドでEVが市場に出回ることで、中古車市場で相対的に優位な価格を提示できるEVこそが選ばれるEVと言う指標になるはずだ。

③電池メーカー、部材メーカーの投資チャンスとリスク

 ここは上記①と関連する部分であり、選ばれるEVと連結される電池メーカー、そしてそこにつながる部材メーカーにとってビジネスチャンスになるだろう。一方、選ばれないEVにつながる電池メーカーや部材メーカーにとっては、ビジネスリスクと化すことも考慮すべきであろう。

 2009年に発売された三菱自動車のEV「i-MiEV」、そして10年に市販された日産の「リーフ」が市場供給される前段階で、そこに連結する電池メーカーや部材メーカーは大きな投資に打って出た。

 と言うのも、自動車各社のEV販売目標が高かったことで、それをそのまま受けて投資に踏み切ったからだ。例えば、11年に日産自動車が掲げた16年度までの目標は、仏ルノーとの累計販売で150万台と設定された。ところが実際の累計販売は目標の30%程度の42万台にとどまった。目標比で30%という実績は目標自体の設定根拠に誤りがあったか、あるいは非常に過度な期待があったからに他ならない。このような高すぎる目標に対峙するために、電池メーカーや部材メーカーも大きな投資を決断した。しかし、市場と言う蓋を開けてみたら、EVの存在感は非常に小さく、結果として過剰投資をしてしまった過去の事例は記憶に新しい。

 現在、自動車各社は電池メーカーへの投資促進、電池各社は部材メーカーへの投資促進を働きかけている。電池メーカーでは韓国のサムスンSDIとLG化学が中国の西安市と南京市に、いち早く車載用LIB生産工場を建設したものの、中国政府のホワイトリスト(バッテリー模範基準)に登録されないまま当てが外れ、中国でのビジネスに苦慮している。

 その両社は、新たに欧州に拠点を構えることで、欧州自動車メーカーを中心にした顧客開拓を進める。LG化学はポーランドにLIB工場を建設し、今後も増産体制を構築すべく拡大する。サムスンSDIはハンガリーに約400億円規模の投資でLIB工場を建設し、顧客開拓を進める。

 また、韓国で3番目の地位を築こうとするSKイノベーションも潤沢な資金を背景に欧州拠点を構えようとしている。同社のLIB生産キャパは1.1GWhであったが、18年下半期には3.9GWhまで拡大する計画と言う。韓国の瑞山工場を中心にグローバル拠点の設立を着々と進めようとしている。さらには、中国のCATLも同様に欧州拠点の構築に積極的である。

 LIB事業も、現時点では日韓中の競争のまっただ中にあり、投資競争と顧客開拓で熾烈な展開が繰り広げられている。電池各社、部材各社も広い視野と高い視点から自社の事業戦略を描かないと、大きな過ちを犯すリスクにもつながる。

④安全性・信頼性に関する徹底した取り組みの必要性


二次電池のリコール・事故の歴史
2017-9-15二次電池の事故の記録
 さて、EVやPHVに関する安全性についてはまだ解決されていないのが実態である。すべての製品に共通した問題ではないが、EVではいまだに火災事故が発生している。

 三菱自動車の「i-MiEV」と日産自動車の「リーフ」は、火災事故に関しては1件も報道されていない。リーフは市販から7年になり、累積販売は30万台になろうとしている。走行距離では35億kmを超えたとされる。安全性に関しては誇れる根拠であろう。

 一方、テスラの「モデルS」は2013年に米国市場で立て続けに5台の火災事故が起こり、大きく報道された。16年には、フランスでの試乗会での火災事故、他にもノルウェーや中国等でも少なからずの火災事故を起こしていると聞く。

 中国もLIBを搭載したタクシーや乗用車、EVバスで、2010年以降から火災が多発し、現在も大きな課題となっている。それが背景にあり、安全性・信頼性に高いエコカーを実現するためのエコカーライセンスの発行、およびLIBの安全性を担保するためのホワイトリストの政策実施により、危険なLIBを排除しようとする中国政府筋の計らいが見られる。

 車載用電池ではドイツが主導してきた国連規則、ECE R-100.02 Part2が2016年7月に発効した。電池パックまでに及ぶ9項目の評価試験が課せられる認証制度が導入された。試験項目には電池パックの圧壊試験、外部短絡試験、耐火試験などの相当危険な試験法が導入されている。


2015年9月に開設した「バッテリー安全認証センター」内の電池圧壊試験室と装置。左は開設直後の未使用状態、右は多くの試験を実施してきた現在の様子(最大荷重:1000kN、最大速度:1.5mm/s、テストエリア:W2000×H600×D2000mm)
2017-9-15電池破壊試験機
 筆者が在籍するエスペックでは、2013年に宇都宮事業所に「バッテリー受託試験センター」を開設した。そして国連規則導入計画を勘案し、いち早く15年9月には同事業所に「バッテリー安全認証センター」も開設した。 

 上の左の写真は認証センター内の電池圧壊試験室とその装置であるが、開設を祝う開所式の時の写真であり、未使用状態を示したものである。以降、ちょうど2年が経過したが、国内外から多くの電池が持ち込まれる中、試験室内は試験に供されたLIBの爆発や火災等で発生した煤により、常時清掃しているものの、現在は右写真のように相当黒ずんでいる。

 もっとも、そういう過激な結果事象を想定した堅牢な建屋と試験装置設計を具現化した当センターは、国内外からも非常に注目され高い評価を受けており、国内はもとより海外からの委託試験ニーズも日に日に高まっている。

 認証試験を義務教育と例えれば、自動車メーカー個社単位で構築している独自試験項目や限界試験項目は高等教育に値する。筆者がサムスンSDIに在籍していた際には、日米欧韓の自動車各社を訪問し、安全性・信頼性に対する考え方、評価試験法、そして判定基準について多くの議論を交わしてきた。高等教育領域での内容、すなわち各社の独自試験や限界試験、そして判定基準は、他国に比べて日本勢が圧倒的に厳しい評価試験と判定基準を構築している。だからこそ、HV、PHV、EV、そして燃料電池車(FCV)のいずれにおいても火災事故を起こしていないと言う実績につながっているのであろう。

 ここに紹介した後方支援としてのエスペックの役割は、第三者的な客観性をもって安全性確保の担保につなげることはもちろんのこと、認証試験以外でも各社の高度な独自試験に柔軟に対応してLIBに対する不安感を一掃していくこと、自動車業界と電池業界の発展に寄与することにほかならない。

 まだ完全に担保されていない海外勢のLIBについても、エスペックはオープンスタンスでのビジネスを提供している。高度な対応が可能な当社のセンターを国内外関連企業が最大限活用いただくことで、EV等のエコカーの火災事故を市場からなくしていくことを可能にする重要な機能となっている。

 拡大するEVシフトの中で火災事故が多発していくような状況が生じれば、全世界でのEV事業にブレーキがかかり急降下する。その結果、各業界への甚大な影響を招くことになる。それだけに、現時点から着実な評価試験を通じた安全性確保のための開発が重要な意味をもつことになり、後方支援の担う役割は一層拡大する。

⑤中国市場でのビジネスのリスク

 中国政策が国策優先として進めているNEV規制におけるエコカーライセンス制度では、ようやく外資系合弁企業のVW-JACがライセンスを取得するに至った。独中のトップ外交が功を奏した結果と受け止めるが、トヨタ、ホンダ、日産、および韓・現代自動車はライセンス未取得のままである。

 現代自動車に至っては、エコカーどころか既存事業にも大きな影響が出ている。中国市場での自動車販売では、2017年1月から8月までの前年同期比で45%減になったとのこと。また、合弁を組んでいる北京自動車との関係も悪化の一途をたどり、一説では合弁解消のような状況も今後あり得るとのこと。エコカーライセンス取得には程遠く、中国市場でのビジネスチャンスは遠のくばかりのようである。勘案すれば、終末高高度防衛ミサイル(THAAD:Terminal High Altitude Area Defense Missile)を設置した韓国に対する産業分野での報復と見る向きが大きい。

 日本勢の自動車各社も、エコカーライセンスは未取得であるが、ここは時間の問題と映る。日系大手自動車各社は個々のロビー活動を推し進め、一方では来年からのNEV規制に適合するEVやPHVを中国市場に供給する戦略に打って出た。逆に、中国市場が日本勢を排除するようなことになるなら、中国のエコカー技術開発にブレーキがかかることになり、中国の産業界にとっては大きなマイナスになるだろう。

まとめ

 今後、世界市場に出現することになる数多くのEVであるが、消費者の需要が同時に比例して拡大するとは思えない。すなわち市場に出てくる各社のEV群が、まんべんなく売れるとは思えないのである。選ばれるEVのみが勝ち組となっていく一方で、選ばれないEV製品も出現するだろう。

 そのためにも自動車各社、電池各社、および部材各社の世界戦略は、今後の各社の命運を決める。一方で、どちらに主流が動こうとも、後方支援のような普遍的ビジネスにはかなりの追い風である。

 しかし部材業界も試験機器業界も、中国のような価格重視の市場においては、そこに適合する部材や評価装置などを持ち合わせないと市場開拓にはつながらない。その理由は、価格の安い中国ローカル製品に対して、自動車業界や電池業界は特段の不満はなく適用したり使用したりしている実態があるからだ。

 従来の先進諸国を対象主体に開発してきた製品だけでは立ち行かなくなる状況に陥る。新興国をも攻略できる事業戦略が、日本企業に改めて問われているのではないだろうか。

<引用終り>

  1. 自動車
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2017-09-15 17:48

スズキのマニュアルミッションを自動化したAGS

  今週火曜日(9月12日)に私の叔父が天寿を全うし、黄泉の国へ旅立っていった。
その時全く関係ないが最近のクルマについて意外に思ったことが有ったので、その顛末を書いてみたい。

 叔父は95歳、あと2ヶ月で96歳と高齢で介護施設に入所していた。12日(火)夜9時頃、其の介護施設から電話があった。「〇〇さんの呼吸が止まっています。〇〇さん(叔父の長男、つまり私のいとこ)と連絡が取れないので、こちらに連絡しました。すぐ来てください」、こんな電話だった。叔父の長男は一人暮らしなので、万一の時の連絡先に私も登録してあったので、こんな連絡が入ったわけ。
そんな時間なので一杯飲んでいるため仕方なくタクシーで介護施設まで。さほど遠くはないがタクシー代が3千円ほどの距離。

叔父の長男・三男と合流し、介護施設で医師の診察確認、遺体搬送車の手配等などを済ませ、遺体を送り出したのが午後11時頃。そして帰ろうとしてタクシーを呼んだのだが・・・、タクシーも車が出払っていて来てくれない。(夜11時です。仕方ないですね)
そんな事で叔父の三男に遠回りして送ってもらったのだが、そんな時ふと思ったことがあった。

三男はこんな車に乗っている。
スズキ・エブリィ・ワゴン
2017-9-15スズキエブリィワゴン 

深夜だし、短時間乗せてもらっただけなのでどんな車かも気にしなかったのだが・・・。
走り出して最初の印象。
「あれっ、マニュアルミッションなのに結構運転上手いなあ」、エンジン音を聞いてそう思ったのだが、よく見るとオートマ車であった。マニュアルミッションのクラッチ操作とギヤチェンジを自動化した「AGS(オート・ギヤ・シフト)と言うクルマだった。
そうこうしている内に家についてしまったので、この時はそれ以上何も聞かなかったのだが、家に帰ってつくづく思う事が有る。

最近のヨーロッパのクルマには「素晴らしい技術」と喧伝されるものの大きな欠点を内包しているものが有る。VWで大騒ぎになった似非クリーン・ディーゼルがその代表だが、トランスミッションにもそんな技術がある。デュアル・クラッチ・トランスミッション(DCT、vwではDSG)である。
簡単に言えば、普通のマニュアルミッションにクラッチを二つ付け、常時二組のギアがかみ合っている構造にしてオートマにしたミッション。ギヤシフトが早く高速走行には向いているが、発進がスムーズでなく、半クラッチ状態が長いので故障が多い。そしてクラッチが二組あるのでその分重量が重くなる。
そんな技術である。この技術も欧州では普及しているが、日本やアメリカではほとんど普及していない。似非クリーン・ディーゼルと並んで、自動車技術が欧州と日米で大きく乖離した事例だ。


そんな技術の趨勢を見ていてこんな事を考えた。
スズキのAGSも色々難点もあるようだが、世界一厳しい日本のユーザーの意見をしっかり取り入れて発展させてほしい。多少ショックなどはあるかも知れないが、安価で故障が少なければ、ローコストミッションとして結構使えるのではないだろうかと。

叔父の通夜・葬儀でドタバタしながら、ふとこんな事を考えてみました。
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2017-09-13 15:43

EVマンセー報道への疑問

 最近自動車のトレンドとして電気自動車(EV)を取り上げることが多い。しかも大抵は電気自動車はすんばらしい~、こんな報道である。しかもお決まりは「日本は遅れている、ヨーロッパや中国を見習え」と結んでいる。しかしこれは日本の駄マスゴミ(騙すゴミ)特有のマヤカシ報道だ。
そんな事を裏の桜さんのブログにコメントとして書いた。
http://sakuraura.blog.fc2.com/blog-entry-4366.html
http://sakuraura.blog.fc2.com/blog-entry-4369.html

詳細は上掲ブログを見ていただきたいが、ここで今電気自動車の中古車価格が暴落していることをWSJが取り上げていると書いた。それでその記事を紹介したいと思います。
尚この記事は少々古く2年前のものですが、参考になります。

<以下WSJより引用>

米で電気自動車の中古価格が暴落-日産リーフなど
By Christina Rogers
2015 年 2 月 27 日 19:32 JST 更新

 米ジョージア州アトランタの自動車販売業者パット・ホーバン氏の店舗では過去3年間、日産の電気自動車(EV)「リーフ」が人気商品だった。月額のリース料金が安いことが寄与した。しかし、ガソリン価格が安くなる中で、リース契約が満了を迎えるリーフは悩みの種になりつつある。

 ホーバン氏はリース契約の満了に伴い、向こう2年間にわたり月に100―150台のリーフが自身の経営する「キャピトル・シティ・ニッサン」に返却されると見込んでいる。だが中古のリーフへの需要はあまりない。

 ガソリン価格が1年前から33%下がり、購入者のEV熱が冷めるなか、一部の自動車メーカーはEVやプラグインハイブリッド車(PHV)について、大幅な値引きをしたり、魅力的なリース条件を提示したりしている。

 日産は2013年にリーフの新車価格を6400ドル(約76万円)引き下げたが、今では、新車のリーフを月額199ドルでリースすることも可能なほか、3500ドルのキャッシュバックに加え72カ月間のローン金利免除といった販売奨励策を講じている。

 購入者はまた、リーフの新車1台の購入につき、連邦政府から7500ドルの価格控除を受けられる。このため、中古車を求める理由がほとんどないほか、高価なバッテリーを交換しなければならないかもしれないことを懸念する向きもある。ホーバン氏は「中古のリーフはあまり売れていない」と述べ、「消費者は新車をより安くリースできるだけに、中古を買おうという気に全くならない」と話し た。

2012年型の電気自動車の価格推移
2017-9-13電気自動車の中古車価格暴落 
 この結果、リーフやゼネラル・モーターズ(GM)の「シボレー・ボルト」などプラグインEVの中古車価格は低下している。これは代替燃料車の販売を増やそうとしている自動車メーカーにとって新たな障害になっている。

 全米自動車販売業協会(NADA)の「中古車ガイド」によると、他のEV(フォード・モーターの「フォーカス」やトヨタの「プリウス」といったPHVを含む)の中古車価格もリーフと同じようなペースで下がっており、14年の平均下取り価格は車種によって22〜35%下がった。これによると、プラグインEVの下落率は比較可能なガソリン車のそれの2倍近くに達している。

 中古車ガイドによると、例えば昨年12月と今年1月の2012年型リーフの競売における平均販売価格は約1万ドルと、当初の定価の約4分の1で、前年からは4700ドル下がった。1月の3年前の型のボルトの競売における平均販売価格は1万3000ドルと、連邦政府の税控除分を差し引いた4万ドルから下がっている。

 インターネット中古車購入サイトCarlypsoの共同創設者のクリス・コールマン氏は、「これらの車の転売価格は崩壊している」と述べ、「中古車の価値を考えると、絶対にお得だ」と話した。

 このトレンドはハンス・サベリオさんのような人にとっては朗報だ。サベリオさんは最近、2台目の車を探しに行った。1台目としてジャガー・ランドローバーのSUV(多目的スポーツ車)「レンジローバー」を所有するサベリオさんは、1万5000ドルという価格が付いた走行距離1万1000マイルの2013年型リーフを見つけた。価格は新車時の定価の半額にも満たない。

 サベリオさんは「かなりの車を見て回ったが、リーフが飛び抜けて安かった。2万1000ドルから2万2000ドルはすると思っていた」と話した。
<引用終り>

新車を買ったら、わずか三年で中古車価格が三分の一!、これではユーザーから見放されるのは間違いない。
勿論これはアメリカだけの問題ではなく、日本でも同様だ。そして中古車市場には売れないリーフが在庫として積みあがっているそうだが、なぜか駄マスゴミ(騙すゴミ)は触れるのを避けているようだ。

これは一般ユーザーのブログ記事
http://www.sekkachi.com/entry/nissan_LEAF_demerit

そしてこれは評論家国沢光宏の記事
電池寿命に不安。電気自動車の中古価格が暴落中!
(尚私はこの国沢光宏なる評論家、言っていることが軽薄で、どうにも信用しがたい人物とみているのだが、この記事はまともと思い紹介しました)


幸いニッサンリーフは今まで販売台数は多くない。だから未だ問題が大きくなっていないが、此れから販売台数が増え、廃車になる台数が増えるとき、廃棄バッテリーの処理問題が大きくなると思う。ニッサンのことだからよもや何も考えていないとは思えないが、これから大丈夫なんだろうか、気になるところです。

最後に一つこれだけは強調したいこと。日本はハイブリッドで欧州より20年先行しています。
欧州が「ハイブリッドなんか駄目だ、ディーゼルがクリーンですんばらしい」と言っていた頃、その環境問題を分かって、ハイブリッドをトヨタとホンダで推進してきました。
ハイブリッド(の内でも「ストロング・ハイブリッド」)はエンジンを止めればそのまま電気自動車になります。だから電気自動車の必要な要素は全てハイブリッドで研究している訳で、日本が欧州に後れを取っている訳ではありません。

もう一つ、今月日産はリーフのモデルチェンジを発表しました。この内容は私も良く分からないので論評しませんが、日産は売りっぱなしではなく、お客さんから最後廃車になるまで愛用されるよう、しっかり面倒を見て欲しいともいます。ゴーン流の金儲けにはつながりませんが、これがビジネスの王道だと思います。
江戸時代の近江商人は「三方よし」をモットーにしていまして、松下イズムになりました。
三方よしとは
買い手よし
売り手よし
世間よし  です。
この世間よしを忘れた事例がVWの排ガス不正問題でした。

もう一つ付け足し、ニッサンのことを大分批判的に書きましたが、ゴーンの功績は大変大きいと思っています。その最大のモノは「川又克二元社長、現日産労連の塩路一郎元会長」が作り上げた悪しき伝統を打ち破ったこと。これからゴーン流から脱却し、新しい未来を開いてほしいと思います。

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2017-08-27 15:58

不祥事まみれのドイツ自動車業界、背を向ける政治家たち

 変わり身の早いメルケルおばさん、来月の選挙を前に自動車業界を攻撃し始めたと報じられている。しかしこの話には裏が有るようだ。
最初にWSJの報道から


<以下引用>
不祥事まみれのドイツ自動車業界、背を向ける政治家たち
By William Boston
2017 年 8 月 25 日 15:21 JST
http://jp.wsj.com/articles/SB11851690739907494688204583351650692780648

 【ベルリン】ドイツの政治家たちは長年にわたり、国内の自動車業界にすり寄ってきた。だがここにきて、不祥事まみれの自動車業界が国の誇りではなく恥だと多くの有権者から見なされようになったことを受け、政治家は同業界に背を向けている。

 アンゲラ・メルケル首相は今月、来月の連邦議会選挙での4期目の政権獲得に向けた選挙運動の初の演説で、2年に及ぶディーゼル車の排ガス不正問題を巡る国内自動車大手とその経営陣の対応を厳しく批判した。

 その前日、メルケル氏の対抗馬である社会民主党(SPD)のマルティン・シュルツ党首は、自分が勝利すれば、販売する新車のうち一定割合を電気自動車(EV)とすることを義務づける制度の導入を約束した。

 こうした自動車メーカーに対する批判は、長年、その恩恵に浴してきたドイツの政治家にとって、過去との決別と言える。ドイツの有名メーカーの製品は、卓越した技術力や優雅なデザイン、強い経済力を象徴するものだった。

 しかし、 フォルクスワーゲン (VW)が2015年にディーゼル車に不正なソフトウエアを搭載していたことを認め、排ガス不正問題が発覚すると、高い評価を得ていたドイツの自動車業界は政治家にとって重荷に転じた。

2017-8-27WSJ1

左のグラフは、ドイツの有権者を対象とした世論調査で「同国の自動車業界が信用できなくなった」と答えた人の割合。上から、フォルクスワーゲンの排ガス不正問題発覚後の2015年10月、ドイツの自動車メーカーがディーゼルエンジンの排ガス処理装置などでカルテルを結んでいた疑いが浮上した17年7月、9月の連邦議会選挙の選挙戦が始まった17年8月。右のグラフは、キリスト教民主同盟党首のメルケル首相の支持率(黒)と社会民主党のシュルツ党首の支持率(赤)


 ドイツ公共放送連盟(ARD)が発表した最新の世論調査によると、ドイツの有権者の3分の2が、政府は自動車メーカーに甘すぎると感じていることが明らかになった。また、自動車業界が信用できなくなったと答えた人の割合は60%近くに上り、2年前から大幅に上昇した

 メルケル氏の支持率は1カ月で10ポイント低下したが、それでも8月時点で59%と、高水準を維持している。

 今月、欧州連合(EU)はディーゼルエンジンの排ガス処理装置などでカルテルを結んでいた疑いでドイツの自動車メーカーの予備調査を行っていることを認めた。

 排ガス不正問題に関する執拗(しつよう)なバッシング報道と、メルケル氏の支持率低下に関係があるかどうかは不明だが、同氏は危ない橋を渡ろうとはしない。

 メルケル氏は選挙戦の皮切りとなるドルトムントでの集会で「自動車業界は信じられないほど多くの国民の信頼を失った。それを取り戻せるのは彼らしかない。私が自動車業界と言うのは主にその経営陣のことだと述べた。

 また、シュルツ氏のEV割当制度案を退けるとともに、演説時間の半分近くを割いて自動車業界の状況について論じ、業界幹部にもっと責任を負うよう求め、国内80万人の自動車工場労働者を擁護した。

 ドイツ政府が今月主催した「ディーゼル・サミット」で自動車メーカーは、汚染物質の排出量を削減するために、数百万台のディーゼル車に搭載されているソフトウエアを更新することと、古いディーゼル車を下取りに出して新車を購入する場合、最大1万ユーロ(約130万円)割引することに同意した。

 メルケル氏は、これらの措置は自動車業界ができる「最小限のこと」とし、9月の連邦議会選挙で勝ったら、秋に2回目のディーゼル・サミットを開催し、さらなる対策について話し合うと述べた。

 アナリストらは、メルケル氏の勝利が確実視されている今回の選挙で、排ガス不正問題が大きな争点になる可能性は低いとみている。マインツ大学のユルゲン・ファルター教授(政治学)は、メルケル氏は自動車メーカーを激しく非難することで、「自身と対抗馬の差異をなくすために早い段階でこの問題を取り上げ、争点にならないようにしている」と指摘した。

 だが、選挙後もドイツ政府と自動車業界にかかる圧力は変わりそうにない。欧州委員会は、ドイツの都市部がEUの定めた大気汚染物質排出量の上限を常に超え、条約に違反しているとして、欧州司法裁判所への提訴をちらつかせている。

 これを受けて、一部の市長は市内でのディーゼル車の走行を全面的に禁止することを検討している。政府の統計によると、ドイツの新車販売に占めるディーゼル車の割合は7月に40.5%と、前年同月の47.1%から低下した。

2017-8-27WSJ2 
今月ドイツのザンクト・ペーター・オーディングで行われたメルケル首相の選挙集会で「ディーゼルマフィアは辞めさせろ」と書かれた旗を掲げる活動家

 メルケル氏による自動車業界批判は、同氏にとって大きな方向転換だ。メルケル氏は10年に米カリフォルニア州のアーノルド・シュワルツェネッガー知事(当時)らと会談した際、カリフォルニア州はディーゼルエンジンの窒素酸化物の排出量を厳しく制限することで「ドイツの自動車メーカーに打撃を与えている」として、同州大気資源局のメアリー・ニコルズ局長を非難した。

 英国のノーマン・ベーカー運輸相(当時)によると、その3年後、EUが温室効果ガス排出削減で合意した後、メルケル氏はドイツの高級車メーカーが過度に不当に扱われることになると考え、英国のデービッド・キャメロン首相(当時)に合意への支持を撤回するよう説得した。

 さらに数カ月後、 BMW の支配株主が、メルケル氏率いるキリスト教民主同盟(CDU)に69万ユーロ寄付したことを明らかにした。CDUは寄付と政策の関係を否定している。
<引用終り>


とうとうディーゼル・マフィアなどと言う言葉までできてしまいました。これで排ガスがきれいになるのならいいのですが、メルケルさんはこの問題でライバルと同じ主張をすることで争点から外すことを考えているようです。選挙が終わったら又元の黙阿弥かも知れません。

そして自動車メーカーは無償修理を打ち出しましたが、多分ユーザーは簡単には修理に応じないでしょう。だって排ガスがきれいになるように修理すれば、大幅パワーダウン、燃費悪化、耐久性悪化など、ユーザーには良いことは何もありません。
だから無償修理は単なる目先のごまかし、そう思います。

EVへの切り替え云々の話も具体性が全くありません。だからこれも目先のごまかしでしょう。

そしてこんな時の常套手段は外部に敵を作ること。標的はもちろん日本車。こんな事が起こります。
そんな時、日本ではモリそば、カケそば問題ばかり。目を外にも向けないといけないと思います。元寇(シナとコリアの連合軍でした)は今目の前なんですから。



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2017-08-24 17:22

EVは所詮ファーストカーには成れない

 電気自動車(EV)が盛んに取りざたされている。報道姿勢に問題があるとされるマスコミではEVマンセー報道が盛んだ(注:最近のマスゴミの口調を真似してみた・・)。でも本当にそうなのだろうか。
一寸ここでEVについての私の知る所を纏めてみたい。

最初にEVに関してこんな記事が日経にある。
花盛りのEV デンソーが慌てない理由 
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO19994180V10C17A8I00000/

要するに最大手の部品メーカーデンソーは、世間がEVマンセーと騒いでいても慌てていないのだという。
この記事全文は本文末尾に添付しましたが、ヨーロッパ・アメリカでEV騒ぎが起こっているが実態はどうなのか。以下は私の私見です。


最初にEVの歴史から

そもそも自動車の歴史は、最初は蒸気自動車、次が電気自動車、最後がガソリン自動車(内燃機関)でした。
これは1899年に世界で初めて時速100キロオーバーを記録した車。電気自動車(EV)です。
名前は「ジャメ・コンタント号」
2017-8-23ジャメ・コンタント号 
名前のジャメ・コンタント(La Jamais Contente)はフランス語で「決して満足しない」と言う意味、当時の自動車の最先端はEVでした。
しかし名前の通りEVは100年以上たっても「満足できないレベルのクルマ」で今に至っています。


こんな事で自動車黎明期からある電気自動車が結局ガソリン自動車に負けた原因は今も同じ、バッテリーでした。
要するに
・航続距離が短い ・・・ 遠出できない
・バッテリー容量が気温・使用条件で変化し、また劣化が早い ・・・ 冬場とか雨の夜などは使用困難、特に寒冷地では危険と言って良いと思う。
・充電に時間がかかる ・・・ 急速充電器でも30分で80%位(車種で異なる)、自宅で充電すると8時間から14時間位、但しこれは最近国策で充電できるところが非常に増えた。良い事である。また航続距離を延ばすためバッテリー容量を上げると、さらに充電に時間がかかる。

所でそんなEVなのだが、マスゴミの論調は「構造が簡単だから中国などでどんどんできる。日本の仕事が無くなるぞ」、こんな調子だ。


そんな事で電動車とガソリン車が並行使用されているケース、前回は工場のフォークリフトを紹介したが、こんなものも電動車とガソリン車が並行して使われている。
ゴルフ場のカート(ゴルフカー)である
2017-8-23ゴルフカート 

この写真はヤマハのHPより引用。ヤマハによればこのゴルフカーは世界で年間17万台の需要があり、ヤマハではそのうち6万台を生産しているとか。こんな車なら中国でもどこでも生産できます。

外観を見ただけではガソリン車と電動車は分かりませんね。これはゴルフコースの条件で平坦なコースなら扱いやすい電動車、山坂の多いコースとか長い距離を移動するコースはガソリン車、こんな使い分けをしている為でしょう
そしてこれがEVの使いやすい条件を現しています。

限定された範囲内で
山坂の無い所で
エアコンやライト、ワイパーを使わないところで(つまり夏・冬、夜、雨の日でないところで)
毎日充電しメンテできる環境で、できれば使用人が車庫入れ、充電をやってくれればベスト。
こんな所がEVの扱いやすい環境、こんな所で使うべきなのがEVです。

それからもう一つ、EVは思い付きで、気ままに使わない、自由はEVには敵だという事です。何処でどのように充電するか、当日・翌日の天候・気温などをキチンと計算したうえで行動する。こんな使い方が必要と思います。

こうなると昔からEVは有閑マダムのチョイ乗り用でしたが、今も変わりませんね。

こんな所を見ると、成功したEVであるニッサン・リーフ、その中古車価格が大暴落中なのも分かります。
(日本だけでなく、アメリカでも中古車価格が暴落しているとの事)
参考:「電気自動車オーナーのブログ」より引用
日産リーフの中古価格暴落の記事について「●●●●●」
https://ameblo.jp/nissan-ev/entry-12290662727.html


さらにもう一つ厄介な問題があります。それはアメリカで航続距離を伸ばしたEV、テスラの登場です。大量の電力を消費するEV、充電だけでなく発電・送電も含めた電力システム全体の見直しが必要になってくるからです。
(ガソリン・ディーゼル全廃を打ち出したイギリスでは、新たに原発が10基必要との話が出てきているらしい・・・)

この電力問題に関しての問題。
前回のエントリー「自動車の電動化に思う事」にkazkさんから貴重な体験談をコメントいただきました。貴重な話なのでそのまま引用させていただきます。

某高速道路の急速充電設備に関してです
<以下引用>
こちらには電気自動車用の急速充電設備があります。結構ごついケーブルとコネクタからなるものですが、これ基本が三相交流220V120Aという相当な要領です。これがリーフやアウトランダー、テスラの一昨年のモデルまでなら余裕で給電が可能でした。ところがテスラが去年出したモデルSモデル3というのがあるのですが、これがとんでもない化物でした。 

モデルにもよるようですが小生が相手したのはどうやら電池強化タイプであったらしく容量が65Kwh(注:現在のカタログでは最低が75kwh、最大は100kwh)もあるものでした。もちろんそんなことは知らずこちらも7月末の暑い昼休みに当たり前の充電の対応をしたのですが、とんでもないことになりました。ほとんど容量いっぱいで充電し続けるのです。細かい計算は省きますがこれが直流400V100Aで一時間に渡って充電し続けるのです。65%くらいの充電で40Kwhに達しました。細かいことは言えませんが夏の暑い時期なので完全にデマンドオーバーしました。普通はわからないでしょうがこれは契約違反の罰金の対象になり電気代が月ウン十万円上がることになります。正直こんな電池のおばけとは知りませんでした。 

この施設の急速充電器、現在は国の政策で電気代自体はタダなのです。いやあ面食らいました。不要な換気や照明を消して対応しましたがとても間に合いません。こんな事初めての体験でした。どうやら前のモデルから電池の能力を7割強化したらしい。こちらは文句をいうことも出来ませんのでオーナーの方に、家庭での充電どうしてますか、と聞いた所とても家じゃやりきれないからほとんど昼間の急速充電器だと言ってました。 

そりゃそうでしょう。家庭用の充電器は単相交流200V20A程度しかありません。満充にするのに16時間以上かかる計算です。電気自動車の信奉者は安い夜間電力を使うからいいんだとか言ってますが、そんなもの嘘です。相当数が昼間充電しなくてはなりません。しかも現在政策のためにタダです。こんな物一般に普及させたら発電所の増設は急務でしょう。 

こんなもの普及させた日にはとんでもない電力が必要になるはずです。もの知ったふうな人はそんなことはない、優遇政策が終われば落ち着くとこに落ち着くと言ってますがどうでしょうが。車自体を作ることは難しくありません。しかし現行のままなら必ず反動が来ます。将来の電池はリチウム空気ではなくコストから見てナトリウム空気だと踏んでますが電池を改良すればするほど状況はおかしくなります。とにかくSF小説さながらの路上連続給電でも出来なければどうしようもないでしょう。 

そして社会インフラ全体まで見て効率を考えると電気自動車というものは総合効率で果たしてこれから改良が加えられるエンジン技術と対抗できるでしょうか。HCCI(注:予混合圧縮着火)とVRC(注:可変圧縮比エンジン)を組み合わせるならばおそらくは熱効率50%なんてエンジンが可能になるはずです。これは現行のディーゼルを大きく上回りますから、これで持ってシリーズタイプのPHVにでもすれば効率でかなわないでしょう。一方はこれからインフラ整備が必要なのです。 

そんなに明るいものとは思えないというのが現在の思いです。   2017-08-07   kazk 
<引用終り>

そのkazkさんが手こずったテスラは多分これ(現在のモデルです)
(私は8万5千ドル(約930万円)と聞いただけで・・・縁がないですね)
2017-8-24テスラモデルS 

そしてこのテスラのシャシーはこうなっている
円筒型のパナソニックのPC用小型バッテリーをモデルSでは7,000個のモジュールを集合させてケースに収め、床下に搭載。これで航続距離500キロ程度を確保したようです。

2017-8-24テスラモデルSシャシー 
ここに搭載されているバッテリーの重量は550キロ程度らしい。
kazkさんが電池のオバケと言っているが、まさにその通り。このオバケ電池にはバッテリークーラーとバッテリーヒーターを搭載し、温度管理を徹底しているようで、これがバッテリーの劣化を防いでいるとの事。

さて、ここでkazkさんが重要なことを言っている。こんな電池のオバケ車に充電したら、間違いなくデマンドオーバーになる。これは電気代が上がるということだけでなく、あちこちでオバケ車への充電が始まれば、電圧変動が激しくなり、最悪大停電が起こることも有りうる。
(実際に1987年7月、電圧安定性が原因で、東京で大規模停電が発生した事例あり)


ここで冒頭の話に戻ります。こんなEVなのですが、デンソーは全く慌てていない。
当然です。チョイ乗り用のクルマなんですから。ファーストカーが別にあれば良いモノだと思います。


ではデンソーが慌てていない件、そんな目で見てください。


以下、冒頭引用した日経記事全文を紹介します。
<以下引用>
花盛りのEV デンソーが慌てない理由 
2017/8/15 15:00

 電気自動車(EV)をめぐる議論が盛り上がっている。欧州を中心に「エンジン車」を締め出す動きが強まり、地元の完成車メーカーもEV強化の方針を相次いで示しているためだ。構造が簡単なEVの普及は部品メーカーへの逆風ともなりかねないが、国内最大手のデンソーは意外にも落ち着いている。

■欧州の電動化加速は「想定の範囲内」

構造が簡単なEVの普及は部品メーカーへの逆風になりかねないが……

 デンソーが7月末に開いた4~6月期の決算説明会ではEVに対する質問が相次いだ。欧州の規制強化を念頭に置いた問いかけに対して同社幹部は「昨今の報道から電動化の動きが早期化した印象を受けるかもしれないが、想定内の範囲だ」と答えた。

 EVが話題の中心となっているのは欧州だ。昨年10月、ドイツの連邦参議院(上院)が2030年までにエンジン車の販売を禁止する方向で検討を進めていることが明らかになったのに続き、今年7月に入るとフランスと英国が相次いで40年までにエンジン車をEVなどに置き換える方針を示した。

 従来、欧州メーカーはディーゼル車を環境対応車の柱と位置付けてきたが、独フォルクスワーゲン(VW)などは排ガス不正問題に揺れている。ディーゼル車の将来が不透明になるなか、「一連の問題から関心をそらすためにも、EVに傾注せざるを得なくなっている」(国内自動車大手幹部)との見方が出ている。

 これまでもEVメーカーの育成を目指す中国や、世界的な環境規制の先駆けとなることが多い米カリフォルニア州などが普及を後押ししてきたこともあり、16年の世界のEV販売は前年比43%増の46万6000台に増えた。だが、世界の新車販売に占める割合は1%未満にとどまる。

■普及の条件は「1回の充電で500キロ走行」

 普及の前提となるのは、電池の性能向上だ。EVが普及する条件として「1回の充電で500キロメートルの走行が可能なこと」が指摘されている。だが、安全性を確保しつつエネルギー密度を高めて小型化し、充電時間の短縮やコスト削減を同時に実現する――という連立方程式を解くには時間がかかるという見方は少なくない。

 EV推進派の間には「問題解決のスピードは加速度的に高まる」との期待もあるが、英フィナンシャル・タイムズ(FT)は7月、「電池は原爆、集積回路、ペニシリンとは異なる」と題した記事を載せて「化学に依存する電池は半導体と異なり、年5%程度の性能向上が現実的」とする専門家の意見を紹介した。

 消費者立場に立つと電池の劣化も課題だ。ゴーゴーラボ(神奈川県鎌倉市)によると、量産型のEVとしてもっとも成功した日産自動車「リーフ」の直近の中古車価格は平均130万円前後となり、3カ月前より10万円近く下がった。EVの中古車が値崩れを起こしやすい背景には原価に占める割合が大きい電池の劣化があり、改善が要る分野だ。

 電池の材料の供給にも目を向ける必要がある。現在、EVに使われることが多いリチウムイオン電池の原料であるリチウムやコバルトの供給に限りがあるからだ。供給を増やすと同時に、代替素材の開発や使用量の削減が急務だ。コバルトの約6割を産出するコンゴ民主共和国には児童労働などの問題もあり、これも直視しなければならない課題だ。

創業当時に手掛けた電気自動車の製造風景(愛知県刈谷市のデンソー本社)=同社提供

 EVは燃料電池車(FCV)と並び、走行時に排ガスを一切出さない「究極の環境車」と呼ばれるが、電気の源までさかのぼると別の側面も見えてくる。米テスラを率いるイーロン・マスク氏のように家庭に太陽光パネルを据え付けるといった取り組みまで進めれば話は別だが、特に新興国では環境負荷の高い旧式の火力発電所を使っている事例もある。

 EVにまつわるどちらかというと後ろ向きな話を挙げたが、それでもEVが究極の環境車の有力候補であることは間違いない。ただ100年にわたって自動車を動かしてきたガソリンエンジンを上回る利便性を持つ技術はまだ見つかっていない。1950年にEV「デンソー号」を発売したデンソーの反応にも、こうした思いがにじむ。

■独ボッシュもハイブリッド車に対応

 現在、求められているのは、いかにEVの短所を減らし、長所を伸ばすかだろう。こうした観点でみると、日産が2016年11月に発売して人気を集めている小型車「ノートeパワー」は参考となる事例だ。

日産自動車のハイブリッド車「ノートeパワー」

 ノートeパワーは巧みなマーケティングの成果もあり「新たな環境車」としてのブランディングに成功したが、技術的にはエンジンとモーターを搭載したハイブリッド車(HV)のひとつの流派だ。

 エンジンを効率よく動かしてつくった電気を電池にためる仕組みで、EVの航続距離や充電の手間といった短所を補う。トヨタ自動車のHVも累計販売台数が1000万台に達するなど実績を積んでいる。EVやFCVに完全移行するまでの「つなぎ」との見方もあるが、環境問題の現実的な解決策として活用の場面はあるはずだ。

 実際、19年に「脱内燃機関」を実現すると表明したスウェーデンのボルボ・カーは、エンジンを併用するHVやPHVを作り続ける。デンソーのライバルである独ボッシュも今年2月、電動化に対応した事業部門の再編を発表した際、「25年に年間2000万台近いHVとEVが生産される」との見方を示した。

 デンソーのようなゼロエミッション車への段階的な移行論は株式市場を含む外部の評価がいまひとつだが、様々な前提条件を無視した楽観的なEV推進論は過剰な期待を生み、それが失望に転じるおそれもある。目の前にある課題を直視して現実的な解決策を探ることこそ、様々な利害関係者を抱える自動車業界に必要なアプローチだ。
(編集委員 奥平和行)
<引用終り>
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2017-08-18 19:24

脱ディーゼル「正しい」 メルケル首相<今までの政策は???

 VWのディーゼル車排ガス不正問題が明るみに出て間もなく2年。さっぱり分からなかった道筋がようやく見えてきた。メルケルさんがやっと自国企業の排ガス不正問題でディーゼルの問題点を認めた格好だ。

まあそれはそうだろう。ドイツ、EU政府当局が手を打たないので裁判所がディーゼル車の都市流入規制をOKするような事態が起こってきた。しかもそれがベンツやポルシェの本拠地の有るシュツットガルトだったりするから、最早お笑いレベル。

さて、そのメルケルさんがどんなことを言っているか。

<以下日経より引用>
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ16HBS_W7A810C1000000/?n_cid=NMAIL002

脱ディーゼル「正しい」 独首相、英仏の販売禁止に理解 
2017/8/16 15:25日本経済新聞 電子版
 
 「方法は正しい」。ドイツのメルケル首相が欧州で広がるディーゼル車・ガソリン車の販売禁止方針を理解する考えを示し、自動車業界で話題を呼んでいる。ただ、併せて自国の雇用や産業競争力への配慮にも言及、「正確な目標年はまだ明示できない」として、英仏のような時期までは踏み込んでいない。9月に選挙を控えた自動車大国ドイツの置かれた難しい状況が浮かび上がる。

メーカー批判の裏でにじむ配慮

2017-8-18メルケル首相 
メルケル首相(左から2人目)とVWのミュラー社長(中央)ら=2015年9月、フランクフルト国際自動車ショー

 メルケル氏は14日付の独誌ズーパー・イルー(電子版)の単独インタビューで、独フォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正に端を発したディーゼル車の問題に言及した。「ディーゼルエンジンの排ガスに関し、何が不正だったのかを明確にしなくてはならない」消費者はメーカーに欺かれていたと指摘した。

 同時にディーゼル車はガソリン車に比べ二酸化炭素(CO2)排出量が少ない点を強調し、「我々は窒素酸化物(NOX)の基準を満たした、最新のディーゼルエンジンが必要だ」と訴えた。今月2日に政府と国内の自動車メーカー首脳がベルリンに集まった「ディーゼルサミット」の方針に沿い、急進的な脱ディーゼル車の方針からは距離を置く考えを示した。

 電気自動車(EV)普及との両輪もにらむ。充電インフラの整備が最重要課題だと言及し、EVシフト支援の考えも示した。もっとも英仏が7月に打ち出した2040年までの内燃機関で走る車の国内販売禁止に関しては、意味があるとしながら具体的な工程表は示したくないとしている。

 英仏ほど踏み込めない背景には、日本以上ともいえる官民の蜜月関係を築いてきた独自動車産業の特徴がある。仏自動車業界の関係者は「欧州連合(EU)の規制はベルリン(=独政府)がナイン(ノー)と言えば何も決まらない」とやゆする。欧州委員会が、VW本社のある地元州がVWの第2位株主として買収拒否権を持つのはEUが定める「資本の移動の自由」に反すると訴えても、独政府は馬耳東風。VWを守ってきた

 今月2日のサミットでは、メーカーがディーゼル車530万台を無償修理することで官民が合意。ミュンヘンなど一部自治体が打ち出していた中心部の乗り入れ禁止を回避し、南ドイツ新聞は「自動車グループがサミットの勝者だ」と評した。

選挙前の「アドバルーン」

 これには9月に控えた連邦議会(下院)選挙も影響している。自動車の直接雇用だけで80万人。選挙を控え、雇用減にもつながりそうな「40年にディーゼル車を販売禁止」は打ち出しにくい。逆にいえば、雇用確保を盾にしたメーカー主導で議論は進めやすかった。メルケル氏はインタビューで、雇用確保と産業競争力の確保も重要と訴えている。

 もっともドイツではこの官民合意に対し、消費者や一部自治体の不満は根強い。メルケル氏に弱腰批判が及べば、選挙に不利になりかねない。メルケル氏は1990年代には環境相として京都議定書の合意にも携わり、保守政党キリスト教民主同盟(CDU)内では環境リベラル派とされる。英仏の方針について「正しい」としながら、禁止時期の明示を避けた今回の発言は、自らの思いもにじませながらアドバルーンを上げたとみることもできる。

 脱内燃機関方針で先んじたフランスでは、経済紙レゼコーがメルケル発言を受け、「メルケルにとってディーゼルの終わりは避けられない」と報じた。ドイツの流儀を知る隣国は、いずれドイツが官民挙げてEV競争に本格参入してくることは覚悟済みだ。

 独産業界でも準備は進む。3日には自動車部品大手コンチネンタルのウォルフガング・シェーファー最高財務責任者(CFO)がロイター通信に対し、「次世代内燃機関の開発は続くだろうが、23年ごろには経済的に正当化できなくなる」と指摘。完成車メーカーの開発はEVなど電動技術に一気にシフトすると見通した。完成車メーカーと全方位で取引があるコンチネンタル幹部の発言は重い。

 旧東独の科学者であるメルケル氏は慎重に発言を選ぶことで知られる。だが11年の脱原発回帰、15年の難民受け入れ表明のように時に大胆に決断し、主にリベラル派の喝采を受けてきた。EV政策は同国の脱石炭と再生可能エネルギー推進などとあわせた総力戦になりそう。産業やエネルギー・環境問題というより政治が前面に出てくるテーマだ。

 英仏が脱内燃機関方針を発表したのは総選挙の後だった。世界最大の自動車市場、中国とも親密な関係を築いてきたメルケル氏は首相4選が濃厚。9月の選挙結果を受け、「正しい方法」の具体論にどこまで踏み込むか。その発言は自動車産業の帰趨(きすう)を決めるかもしれない。(加藤貴行)

<引用終り>


そしてこの話の裏がどうなっているか、同じく日経にこんな記事がある。

<以下日経より引用>
http://www.nikkei.com/article/DGKKASDZ08H2S_Y7A800C1EA5000/

独、ディーゼル車の呪縛 膨らむ負担にメーカー苦悩 
無償修理/カルテル疑惑/EV移行
2017/8/13付日本経済新聞 朝刊
 
 ドイツの自動車産業が危機に直面している。排ガス規制対策の無償修理に加え、中期的には巨額の罰金もありうるカルテル疑惑、長期では電気自動車(EV)への移行と問題が山積みだ。いずれも環境対応の主役と持ち上げてきたディーゼル車がかかわる。独フォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正が発覚して以来、「ディーゼルの呪縛」が業界を覆っている。

 2017-8-18ドイツのディーゼル車シェアー低下
 
 VWの2017年1~6月の純利益は前年同期比87%増の64億7400万ユーロ(約8300億円)と不正発覚前の15年1~6月を上回った。ダイムラーは36%増、BMWは21%増と軒並み好調だ。それでも首脳の表情は晴れない。「ディーゼルの議論は不確か。技術的にも法的にも非常に複雑だ」。7月末、電話記者会見でダイムラーのディーター・ツェッチェ社長はいらだちをあらわにした。

 8月2日、独自動車大手はディーゼル車530万台を無償修理することで政府や自治体と合意した。環境対応車に買い替えを促す奨励金や総額5億ユーロのファンド設立も決まった。一方、複数の都市が検討していたディーゼル車の市街地走行禁止は退け、実質的に自動車業界の勝利となった。

 しかし直後から合意内容に批判が噴出する。ロイター通信によるとミュンヘン市長は「市民の健康を守るには不十分」と述べ、シュツットガルト市長は「さらなる手立てが必要になる」と不満を隠さない。

 次のヤマは「独産業史上最大」(シュピーゲル誌)とも言われるカルテル疑惑だ。VWグループ3社とダイムラー、BMWがディーゼル車の排ガス浄化装置の浄化剤タンクを小さくする目的など広い範囲で談合したと報じられた。「クロ」と認められた場合、EUからの罰金は16年のトラック談合の29億ユーロを上回る可能性が指摘されている。

 そして最大の難題が、世界的なEVシフトだ。英仏は40年までのガソリン・ディーゼル車の禁止を表明した。消費者に「ディーゼルはなくならない」とメッセージを発した2日の政府との合意は、開発方針の大胆な変更を難しくした。

 ディーゼル改良とEVだけでなく自動運転対応も必要で、開発負担は重くなるばかりだ。費用を捻出するためにVWはイタリアの高級二輪車メーカー、ドゥカティの売却を模索。ダイムラーも組織の再編を検討している。

 米テスラに対する開発の後れはVW幹部も認めるほど。高品質の代名詞だったドイツ車は、スマートフォン(スマホ)時代に対応できなかったノキア(フィンランド)の二の舞いになってしまうのか。 (フランクフルト=深尾幸生)

<引用終り>

こんな話なのだが、十数年にわたって嘘を吐いて世界を、特に自国民を騙してきた付けは重い。さてこの重い付け、メルケルさんはどう解決するのだろうか。

技術的な話をすれば、VW排ガス不正が明るみに出た時、VWもどうすればいいか社内では大論争をしたと思う。その結論としてとりあえずハイブリッドと言う選択肢があったと思うが、ハイブリッドでは日本車(トヨタ・ホンダ)と10年~20年の差があることが判明したのではないか。
それで一足飛びにEV(電気自動車)となったわけだが、政府からの相当の援助がないと大変だと思う。

最後のこの件で誰も語らない問題。それは排ガス対策前のタイプの車のほうが性能・燃費・耐久性、いずれをとっても良い事をユーザーが知ってしまっている。この為ディーゼルの売れ行きが悪くなったと言ってもいまだによく売れている。買っているのはそんな事情を知ったお客さん、こんな駆け込み需要ではないだろうか。
排ガス不正のクルマがサラブレッドなら排ガスの綺麗な車は『鈍牛』という事になる。

思い出せば日本でも類似の問題があった。もう古い話だが51年排ガス規制車はまさに鈍牛。余りの酷さに新車の51年排ガス規制車を買った人がそれを売り飛ばし、旧型の排ガス対策前の中古車に買い替えた(!)、こんなひどい話があったからだ。
日本の場合(上掲51年規制車の場合)は奇跡の3元触媒の採用で切り抜けられたが、ディーゼルにはそんな奇跡はなさそうだ。
ドイツのクルマは何処に行くのだろうか。

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2017-08-05 17:46

自動車の電動化に思う事

 最近自動車の電動化が喧しい。一つはアメリカでのテスラをはじめとする電気自動車の動き。そしてもう一つは欧州の自動車電動化加速である。

そして今月、トヨタとマツダが資本提携に踏み切った。

<以下ロイターより引用>
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170804-00000075-reut-bus_all
「海図なき戦い」へ協業強化 トヨタ・マツダ両社長が提携会見
8/4(金) 20:53配信 ロイター

[東京 4日 ロイター] - トヨタ自動車の豊田章男社長とマツダの小飼雅道社長は4日、米合弁工場建設や電気自動車(EV)共同開発などを柱とする資本業務提携について会見した。豊田社長は自動車業界では異業種からの参入で「前例のない海図なき戦いが始まっている」とし、今回の提携を勝ち残りのための戦略であると強調。小飼社長も「新たなプレーヤーと協調、競争しながら独自ブランドを築き上げる」と語った。
・・・以下略、詳細はリンク先参照ください・・・
<引用終り>


 実は電気自動車の歴史は古い。20世紀初頭の自動車黎明期にはガソリンエンジン車より持て囃された時代もあった。その頃も現在も同じで電気自動車は運転は簡単、排ガスもなく音も静か。だからアメリカでは有閑マダムのチョイ乗り用に人気があった。しかしその後ガソリン自動車が普及し、消えていった。

電気自動車のいい点は昔と同じ、運転は簡単、排ガスは綺麗、音も静か、ここまではいい。
欠点は航続距離である。問題はバッテリーの性能が自動車の要求する性能に満たない事。

まあ、こんな事なのだが同じ車でもフォークリフトは電動化が進んでいる。
これは4年ほど前のデータだが

2017-8-5フォークリフトの電動化率1 
この図を見ると、フォークリフトは国内販売台数の約55%が電動フォークリフト。
しかしその内訳をみると、その使い方が良く分かる。

この図はフォークリフトのトン数別の動力の状況

2017-8-5フォークリフトの電動化率2 

1トン未満の小さなフォークリフト、これは小さな倉庫や工場で使われているが、95%が電動式だ。
しかし大きくなると電動式の比率が激減してくる。3トン以上では電動式は10%程度、中でも5トン以上に限れば殆どディーゼル式が主流だ。
これは大きなフォークリフトは戸外で使う事が多いので、融通の利くガソリンやディーゼル式が増えてくるのだろう。


実は私はタイ時代に工場内のフォークリフトの電動化を推進してきた経験があり、電動車の利点も欠点もしっかり体験した。
一寸そんな思い出を書いてみたい。

先ず電動車のいい点。
勿論運転が簡単、音も静か、排ガスもない、これに尽きるが、音が静かすぎて工場内では危ないこともあった。だから「キンコン、キンコン」と音がするようにもしたが、まあこれはご愛敬。

欠点はバッテリーの充電に時間がかかること。
ガソリン車なら携行缶にガソリンを入れておけば、ガス欠したら補給すればいい。ガソリンが無くなっても運転手が買いに走ればいい。
しかしバッテリーは充電に時間がかかる。
工場の操業当初は仕事も少なく、フォークリフトは昼間使って夜充電、こんなサイクルで仕事をしていたので何の支障もなかった。しかし仕事が増えてきて夜遅くまで残業するようになると充電が間に合わなくなる。夜勤をしようとするとまったく充電時間がないのでフォークリフトが足らなくなる。

当たり前のことだがフォークリフトが電欠すると悲惨である。重いものを持ち上げるのが仕事なので当然乍ら重い。そんなものがどこかで止まると一人や二人で押して動くものではない。ほかのフォークリフトを持ってきて押すしか手がない。
そしてフォークリフトが使えないと、重いものを何人かで人海戦術で運ぶしかない。

こんなことでどんどんフォークリフトの台数を増やしていったが、それでも足らなくなった。そこで全部のフォークリフトにバッテリーをもう1個ずつつけ、一つが充電中に別のバッテリーで作業をさせるようにした。
そうすると何台ものバッテリーを置く充電スタンドが必要になり、バッテリー積み替え用のクレーンが必要になり、おまけに充電中に少量の水素が発生するのだが、そのツンツンする臭いが有害ではないかとの噂が出始めたり・・・。

冒頭のフォークリフトの動力別のグラフで小さなものは殆ど電動化しているのに大きいものは全く電動化が進んでいない。これこそ電気自動車にも共通する課題である。

電気自動車はごく狭い範囲を走らせるなら、大変使いやすく便利。逆に遠くに出かけるには全く不向き。高速道路を走るなどと言うのは全く苦手という事である。

もう一つ、バッテリーは化学変化を電気に変えるものなので、温度とか使い方で容量が変わる。携帯電話のバッテリーで以前よく問題になったのと同じだ。
だから、昼間なら全く問題ない距離を雨の夜(つまりライトをつけ、ワイパーを回し)運転すると電欠になったりする。
尚フォークリフトの所でも書いたが、電気自動車は重く大きなバッテリーを積んでいるので重い。電欠したらレッカー車で引っ張っていくしかない。これが昔も今も電気自動車の普及を妨げている最大の問題だ。

大変いい事例がある。アメリカの電気自動車「テスラ」だ。

これは「テスラ・ロードスター」
2017-8-5テスラロードスター 

テスラが最初に作ったクルマがこれ、ロードスター、つまりオープンカーだ。
こんな車なら冬の雨や雪の夜に遠出をしようとする人はいない。ヒーターやワイパー、ライトをつけて走るような環境なら、別の普通の車に乗ればいいという事である。
つまり、電気自動車の一番の弱点を車そのもので避けてしまっている、これも一つの手だろう。


トヨタとマツダの資本提携での記者会見で、豊田社長が「前例のない海図なき戦いが始まっている」と言っていたのは、こんな使い方に合わせたクルマ造りのことも含まれているのではないだろうか。

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2017-07-28 15:10

ドイツ自動車5社の談合疑惑<ドイツ人気質を考える

 ドイツ自動車5社の談合疑惑が報道されている。VWの排ガス不正問題から始まって、とうとう此処まで疑惑が広がったという事。こんな報道を見るとどうしてもドイツ人気質を考えない訳にはいかなくなってくる。
最初にその疑惑の報道から。

<以下日経より引用>
VWなど独5社、90年代からカルテルか 独誌報道 
2017/7/21 
 
 【フランクフルト=深尾幸生】独誌「シュピーゲル」(電子版)は21日、フォルクスワーゲン(VW)など独自動車大手5社が1990年代からカルテルを結んでいたと報じた。対象は技術や部品調達など広範囲に及び、ディーゼル車の排ガス関連も含まれている。カルテル行為がVWに続き、独ダイムラーなどでも疑われる排ガス不正の背景となった可能性がある

 ドイツ史上最大のカルテル事件に発展する可能性もある。報道によると、VWがドイツ連邦カルテル庁に、処罰の軽減を求めて資料を提出した。カルテルに加わったとされるのはVWやBMW、ダイムラー、アウディ、ポルシェの計5社。ドイツの自動車メーカーの大半を占める。90年代から200人以上の従業員が60回以上会合を重ねているという。

 カルテルが疑われている対象は部品メーカーの選定や購入価格の決定、技術の仕様など多岐にわたる。ディーゼル車の排ガスを浄化するための尿素タンク(注:尿素水タンクのこと)の価格を抑えるために容量の小さいものを採用することで合意。後に排ガス不正につながったとしている。

 当局は2016年夏に鋼板価格について談合した疑いでVWを調査していた。調査の2週間後にVWはカルテル庁に自己申告し、ダイムラーも同様の書類を提出したという。

 ディーゼル車の排ガス不正では15年夏にVWが1100万台で違法ソフトを使っていたことが発覚した。検察はダイムラーやアウディ、ポルシェも不正の疑いで捜査している。

<引用終り>

この件はブルームバーグはこんな報道
ドイツ自動車3社、談合疑惑で株価急落-従業員は事実解明を要求
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-07-24/OTLSEV6TTDSG01

 こんなことで、VWの排ガス不正問題はドイツでは90年代から談合の対象になっていたようだ。まあ、そんな事をしなければ「汚い排ガスをまき散らす車をクリーンディーゼルなどと詐称」、こんなことはできない訳だと思う。


 実はその90年代後半にトヨタはVWと技術提携している。
提携内容は、トヨタが開発したガソリン直噴エンジン「D4」に関する約200の特許技術をVW社に供与する。 一方、トヨタはVW社のドイツ国内で生産される排気量2500ccのディーゼル直噴エンジンを供給してもらい、ヨーロッパで発売する高級乗用車「レクサス」に搭載。
こんな内容だった。しかしうまくいかなかった。トヨタに人に言わせれば人間としては根本的に違うんです」なのだとか・・・。

トヨタとVWの「苦い過去」

この苦い過去というのはこんなもの。
「トヨタはこれまでに2度フォルクスワーゲン社(以下VW)と業務提携を結びました。その間、VWのドイツ人とは技術面から営業面まで様々に協力をしてきたのですが……。最後まで分かり合えることはありませんでした。よくドイツ人も日本人に似て、勤勉で真面目だっていうじゃないですか。確かに仕事に対してはそうだったのですが、人間としては根本的に違うんです」(トヨタ自動車幹部社員)

「特に技術職の社員は相当辛い目にあったようです。トヨタ側は自社で培った技術を惜しみなく教えるのですが、VW側は一切教えてくれませんでした。『自分たちが世界一の自動車メーカーだ。トヨタから学ぶことなどないし、教える必要もない』と考えていたのでしょう。

でも、仕事中は無駄な会話は全くしないし、緊張感があるから作業効率は圧倒的に高い。決まった時間になるとすぐに仕事を切り上げて帰るし、日本とは何から何まで正反対でした」

原文は「週刊現代」2015年7月4日号より
<引用終り>

この話はスズキとVWの提携の話ともよく似ている。スズキはクリーンディーゼルが欲しかった。だから提携したのだが、そのクリーンディーゼルはどうしても提供してもらえなかった。そこで高い授業料を払って離婚したわけだ。(スズキの爺様の英断に敬服!)

所で日本人は昔からドイツ好きである。かく言う私もそのドイツ好きの一人。音楽ならベートーベン、車ならBMW(ベーエムヴェー)やポルシェ・メルセデス等。酒ならワインよりビール・・・。

私のコレクション:メルセデスベンツ300SLとポルシェ901(911では無い)
2017-7-28ベンツ300SLとポルシェ901 

がしかし、仕事でドイツ人と関係した人に聞くと決して評判は良くない。いろんな人が異口同音に言うのが、「他人には超厳しいのに自分には超甘い」とか、「ドイツ人はウソを吐くから気をつけろ」等など。

また2015年10月にはこんなエントリーも
「ドイツ問題とVW不正」
ここでフォーリンアフェアーズの記事を引用している。曰く
 20世紀の多くの時期を通じて、「ドイツ問題」がヨーロッパのエリートたちを苦しめてきた。他のヨーロッパ諸国と比べて、ドイツが余りに強靱で、その経済パワーが大きすぎたからだ。

同じく2015年10月にこんなエントリーも
「ドイツ問題の現地からの声」

この中でフランスの人口学者エマニュエル・トッド氏の発言として、こんな事を言っている。
以下抜粋引用
「ドイツの指導者たちが支配的立場に立つとき、彼らに固有の精神的不安定性を生み出す。
歴史的に確認できるとおり、支配的状況にあるとき、彼らは非常にしばしば、みんなにとって平和でリーズナブルな未来を構想することができなくなる」
「自動車業界の世界トップという「支配的立場」に立った彼らが、「精神的不安」に陥ったとき、不正に手を染めてしまった。
それは、諸問題を単にテクニカル(技術的)なものとして扱い、モラル(道徳)の面を忘れてしまうという古くからのドイツの傾向です。フォルクスワーゲンのスキャンダルが起きて、世界中の人々はそんなドイツの特質を思い出したでしょう。知っての通り、この種の『中身のない合理性』は、それ自体が危険なのです」
<引用終り>


しかしこんな話は両方の話を聞かないと分からないので、ドイツ在住の丸山光三さんのこんな話。
『忘れてはならない移民輸出国だったドイツ』

それから「ウソを吐く」という話は、いつも興味深いコメントを下さるKamosukeさんのコメントにこんなご体験が。
『父の口癖』
私の父は、ソ連の捕虜になって、タンボフの捕虜収容所にいました。そのとき、大勢のドイツ人も一緒に捕虜収容所にいたそうですが、口癖のように言っていたのが「ドイツ人は嘘をつく」。 

父は一応将校だったので、ロシア人と折衝に当たることもあったらしいのですが、一緒に折衝にあたったドイツ人の嘘に閉口したらしい。 

父だけではなく、この印象はドイツ人捕虜と交わらざるを得なかった日本人捕虜全般、同じ印象を持っていたらしく、捕虜となってしばらくすると、多くの日本人捕虜が「ドイツ人は嘘をつくから気をつけろ」と言い合うようになったそうです。最初はみんな、同盟国の人間だったので信用して付き合おうとしていたらしいんですけどね。「日本人をバカにしていたんだろう」と父は言っていました。
<引用終り>

ここでタンボフの捕虜収容所と言うのはこんな所。
「タンボフはモスクワから約460キロ南に位置し、ヨーロッパ・ロシアに属する地域であるが、ここにも収容所があり、日本人捕虜はケーブル線埋没用の壕を掘らされていた。」
此処にも最近慰霊碑が建立され、以下の記事に写真があります。また大変感動的な話もありますので、ご参考までにどうぞ。
タンボフにも慰霊碑:現代によみがえる日本兵とロシア少女の物語


最後に戦前の名外交官だった「石井菊次郎」の言葉。日独伊三国同盟の批准審議が枢密院にかけられた時に、石井菊次郎が言ったとされています。

「フレデリック大王以来、ドイツと組んで幸せになった国はない!」

フレデリック大王=フリードリッヒ大王、ドイツの英雄です。
以下参照

ドイツと言うこの難しい国とうまくやってゆかねばならない。外交とはなんと難しいものでしょうか。

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2017-07-26 15:36

排ガス問題をリードしているのは何処か

 ベンツの排ガス問題が良く分からない状態。そんな中で7月22日にこんなエントリーをした。
「排ガス問題は日本でも調べている」
http://tansoku159.blog.fc2.com/blog-entry-1417.html

ここに日本の国土交通省が調査したこんなデータがある。

2017-7-22排ガス問題報告書3

このグラフで左側2車種がマツダのスカイアクティブシリーズのクルマ。台上試験と実際の路上のデータがピッタリそろっている。実に見事なものだ。

所で問題のヨーロッパはどうなっているか。実はこれが曲者でメーカーやEU当局からの発表はない、有るのは環境問題を取り上げているNGOからのモノ。例えばこんなデータ。

2015-10-3欧州の乗用車排ガス実測データby八重樫さん  左側青色のグラフはガソリン車、規制が強化されていくのに合わせて実路でも良くなってきているのが分かる。一方右側赤色のグラフがディーゼル車。こちらは規制なんぞはどこ吹く風。全く改善されていない。どうしてこんな風になるか。一寸日本での経験の思い出話を。

もう昔ばなしだが1970年にアメリカで自動車の排ガス中のCO、HC、NOxを十分の一にするマスキー法が決定された。日本でも各カーメーカーが対策に取り組んだが、これが当初実現不可能と言われる難問だった。
何が問題だったのか、COとHCは燃料を綺麗に燃やせば減ってゆく。しかしN0xは燃料を綺麗に燃やして高温になると急激に増えてゆく。こんな相反する代物だった。結局日本のメーカー各社が最後に行き着いた結論は「燃焼と言うものが燃焼室内でどうなっているか、これを分子レベル、原子レベルまで追求して観測・研究する基礎研究から始めるべき」、こんな事で莫大な費用と人員を基礎研究に投入していった。

こんな日本メーカーが七転八倒している時、アメリカはマスキー法は実現不可能としてうやむやにしてしまったし、ドイツなど欧州勢はお手並み拝見と「洞ヶ峠(日和見)」を決め込んでいた。そしてその規制車が世に出たが、最初の50年規制(1975年)51年規制(1976年)のクルマは惨憺たる出来栄えだった。何せ当時の2000㏄のスポーツカーを買って峠道を走ってみたら、なんと軽四にスイっと追い越されてしまった、こんな話がゴロゴロ出てきた。
しかし丁度その頃、奇跡ともいえる三元触媒の完成と空燃比の高精度管理が可能になり、この懸案は一気に解決してしまった。(但しガソリン車のみ)
この間の事情は以下ブログ参照ください。
http://tansoku159.blog.fc2.com/blog-entry-1168.html

一寸ここで如何してそんなに苦労しているのか、それは綺麗に燃やせば燃やすほど出てくるNOxの存在なのだが、こんなグラフを見てください。

燃焼温度とNOx生成関係図
2017-7-24窒素酸化物生成グラフ 

大変見にくいグラフで恐縮ですが、燃焼温度(K=ケルビンで表示、摂氏より273°高い)と経過時間(千分の一秒単位)、そしてZ軸がNOxの量です。
この図を見ると燃焼温度を下げるとNOxが減るという事が分かる。2000K(ケルビン、1727℃)ではほとんど発生しないNOxが2200K辺りから徐々に発生し始め、2600K(2327℃)ではあっという間に大量のNOxが発生することが分かる。
この燃焼温度を下げるために、EGRで大量の排気ガスを再度吸入させるため(つまり酸欠ガスを食らって)エンジンは全くパワーが出なくなる。これが1970年代から今日まで続いている排ガス問題の根っこの部分という事。


当初76年には実施予定の日本版マスキー法は、全メーカーが七転八倒しても対策が間に合わず、実施が2年先送りされ、その間有望と思われた三元触媒の研究開発、常時理論空燃比運転を可能にする電子制御燃料噴射の開発などが進んで、数年前には不可能と言われていた53年排ガス規制が達成できてしまった訳です。更にこの間、触媒にはガソリン中の鉛が触媒表面を汚染することが分かり、ガソリンの無鉛化も段階的に進んでいった。
そしてここからが重要な事、事の発端となったアメリカのマスキー法は結局実施が見送られ、世界で日本メーカーだけが排ガス対策のノウハウとその過程で得た燃焼理論の蓄積という武器を得た。塗炭の苦しみを味わった末に得た成果は、同時期に勃発した石油ショックを契機とする省燃費にも有効なことが分かり、これ以後国産エンジンは飛躍的な発展を遂げる


さてこんな事で、以前は考えられなかった「日本(トヨタ)がドイツ(VW)にエンジン技術を教える」、こんな事が始まったわけですが、結果は・・・。

トヨタとVWの「苦い過去」
http://tansoku159.blog.fc2.com/blog-entry-1303.html

その苦い過去と言うのはこれです:トヨタとVW技術提携、1999年にトヨタD-4エンジン技術がNOx処理技術も含め技術供与
(この資料はfcq821 さんに紹介いただきました)


さてそこで、現在の自動車技術のリーダーは何処か、これを特許の面から見てみます。
これはトムソンロイターのクルマ関係の特許公開件数の5年間(2009年ー2013年)のまとめ

2017-7-24自動車関連のメーカー別特許件数 
http://ip-science.thomsonreuters.jp/press/release/2015/automotive-industry-trends/

メーカー名が見にくいのですが、左からトヨタ、ボッシュ、ヒュンダイ、ホンダ、デンソー、ダイムラー、GM、セイコーエプソン、ミツビシ、コンチネンタルです。日本~5社、ドイツ~3社、アメリカ・韓国各1社となっています。
日本が自動車技術でも世界をリードしていることが分かります。尚この表でVWを見ると21位で件数はGMの半分でした。トップのトヨタと比べると1/5程度。
こうして見るとドイツではボッシュの力が圧倒的と言うのが分かります。

それから韓国の特許に関しては、「中国と韓国の特許は「下手な鉄砲も数打ちゃ・・・」でやってるから、実際役に立つのは半値八掛け五割引き(!)」と言う人がいますが、どうでしょうか。

参考までに国単位での比較はこんなもの

これは国別の特許出願件数比較
2017-7-23世界の特許出願件数 
http://www.globalnote.jp/post-5380.html

これで見ると、日米の強さが突出していますね。ヨーロッパ勢はドイツ・フランス・イタリアなどEU全部足して日本とほぼ同じくらい。
国力と言えば先ずGDPですが、特許の面で見ても日本の国力は分かりますね。

<続きます>

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2017-07-22 17:47

排ガス問題は日本でも調べている

 先回、ダイムラーの排ガス不正問題をエントリーした。
2017-07-17  ダイムラー、100万台以上で排ガス不正の疑い=南ドイツ新聞
http://tansoku159.blog.fc2.com/blog-entry-1416.html

この話は台数が100万台から300万台になったり、日本はリコール対象外だったり、いや矢っ張りリコールするとなったりで訳が分からない。

そうなると、では日本は大丈夫かと心配になるが、この件に関しては日本の官僚はしっかりしているようで、ちゃんと確認していることが分かった。
尚この事は裏の桜さんも同様で、「日本はちゃんとやっている筈だが」という事をエントリーされている。
http://sakuraura.blog.fc2.com/blog-entry-4318.html


では最初にダイムラー(車名:メルセデス・ベンツ)の日本でのリコールの話から。

<以下引用>
2017.7.22 11:07
ベンツが説明一転、日本でもリコール 対象車種などは不明

 メルセデス・ベンツ日本(東京)は21日、親会社のドイツ自動車大手ダイムラーが実施する高級車「メルセデス・ベンツ」のディーゼルエンジン車のリコール(回収・無償修理)について、日本に輸入された車も対象となると明らかにした。これまでは欧州での販売車と仕様が異なるため、リコールの対象外と説明していたが、本社からの通知で説明を一転した。

 ベンツ日本は「本社から欧州と同様の対応を取ると説明を受けた」と表明。リコールの開始時期や対象車種についての情報はなく「詳細が判明次第、適切に情報提供していく」と説明している。ベンツ日本は、主力の「Eクラス」をはじめ日本でディーゼル車14車種を展開しており、平成28年に販売した6万7千台のうち約2割をディーゼル車が占めている。

 ダイムラーは18日、欧州で販売した300万台のリコール実施を発表した。排ガス規制逃れのための違法ソフトウエアを搭載している疑いが浮上し、ドイツ当局が調査に着手している。不正の有無は明らかにしていない。
<引用終り>


さてでは日本はどうかというと、国土交通省からこんな報告書が出ている。
排出ガス不正事案を受けたディーゼル乗用車等検査方法見直し検討会
(中間とりまとめ)
http://www.mlit.go.jp/common/001129370.pdf
2017-7-22排ガス問題報告書1 

排出ガス路上走行試験等結果取りまとめ
http://www.mlit.go.jp/common/001121838.pdf
2017-7-22排ガス問題報告書2 

ここにこんなグラフがある
2017-7-22排ガス問題報告書3 

日本の官僚はこんな所はしっかりしている。VWの不正が明るみに出たのは2015年9月。直後の10月には「日本は大丈夫か」と検証チームを作り、国産車6台・外国車2台を選んで走行テストを行っている。上掲リポートはその中間報告。

中間報告ではあるが、調査した国産車6台、外国車2台ではVWのような不正は見つからなかったと書いてある。
上掲グラフはその国産車6台の排ガスのうちNOxのデータ。赤線が規制値なので各車とも規制値をクリヤー(*印はドライバーを変えてクリヤー)しているが、これはあくまで台上試験での話。ディーゼルの場合、実際の路上走行では外気温や渋滞などで大きく数値が変わることは分かっており、ある程度は許容されている。このグラフは規制値を飛び出した部分が多いが、この程度は各社とも申告済である。
(注:この現実の路上でのエミッションについてはRDE(Real Driving Emission)と言って、いま世界の自動車メーカーの課題だが、確立されていない)

上掲グラフはこの問題の難しさが良く分かる。例えばランクル・プラドの場合、同じところの往路と復路でまったく違うデータになっているが、これは外気温が下がったことと渋滞でのノロノロ運転が理由らしい。こんな時EGR(排ガス再循環装置)を止め、SCRへの尿素水噴射も止めたりするので、NOxは急増するとの事。難しいですね。

特に外気温の影響は大きく、外気温が10度を下回るとEGRを止めたり、尿素水噴射を止めたりするので、NOxは急増する。上掲報告書には東京の1年間の外気温の変化のグラフが添付されている。

2017-7-22排ガス問題報告書4 

例えば外気温10度未満が問題となれば、東京の場合でも1年の約1/4がそんな時期。難しい問題だと思います。また欧州はもっと寒いのでさらに深刻と言えますね。

尚上掲中間報告書はVW問題から測定方法や問題点など非常に詳しく、大変興味深いです。
また紹介したグラフには外国車2台がデータがありませんが、クルマはベンツとBMWです。どうして外したのか分かりませんが、何かの忖度(???)でしょうかね。
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2017-07-17 14:39

ダイムラー、100万台以上で排ガス不正の疑い=南ドイツ新聞

 VWの排ガス不正が明るみに出て間もなく2年。その時はあまりの台数の多さと多額の罰金・補償金で大騒ぎになったのだが、その後パッタリ話が聞こえなくなった。
そして先月、こんな話が聞こえてきた。とうとうメーカーや政府ではなく自治体や裁判所が問題提起し始めたという事である。
「不正まみれディーゼル車、欧州都市で規制の波」

そして今回遂に自動車の老舗中の老舗ダイムラー(旧社名:ダイムラー・ベンツ、車名:メルセデス・ベンツ)も矢張り排ガス不正の疑いがあることが分かった。

この話で私は最初から不審だったことがある。つまりこの不正問題はディーゼルエンジンの画期的な技術革新、コモンレール技術から出発している。そして私はタイ時代にその新技術についてちらっと聞きかじったことが有ったが、当時の私にはそれ以上理解不能な高度な話だった。(この当時でさえ燃料を1800気圧まで加圧し、1爆発あたり複数回噴射する。想像できない世界)
簡単に言えばあまりにも難しい技術で、日本のデンソーとドイツのボッシュにしか出来ない。そんな話だった。(最近確認するとメーカーは他にシーメンスとデルファイが製造しているが、多分ボッシュの技術指導で製造しているのだろう)
そして今回のVWの排ガス不正は当然メーカーのボッシュが絡んでいる筈で、そうなればほかのメーカーも大なり小なり不正がありうる話。

参考エントリー
VWの不祥事発覚に思う事
http://tansoku159.blog.fc2.com/blog-entry-1166.html

そんな事なのだが、ついにダイムラーにも問題があることが指摘された訳だ。先ずはその報道を。

<以下ロイターより引用>
http://jp.reuters.com/article/daimler-emissions-idJPKBN19Y0A6

ダイムラー、100万台以上で排ガス不正の疑い=南ドイツ新聞
 2017年 07月 13日 13:18 JST 

[ベルリン 12日 ロイター] - 南ドイツ新聞は12日、ドイツの自動車大手ダイムラーが、基準を超える有害物質を排出する車両を欧米で100万台以上販売した疑いが出ていると報じた。

シュツットガルトの裁判所の捜査令状を引用して報じた。地元放送局WDR、NDRとの共同調査で明らかになったとしている。

問題の車両は、2008年から2016年にかけて欧米で販売されたもので、高級車メルセデスベンツも含まれる。搭載エンジンは「OM642」「OM651」で、シュツットガルト検察当局は、テスト走行の際に有害物質の排出水準を操作する装置が使用されていた可能性を調べているという。

同紙は、問題の車両が欧州で販売禁止になる恐れもあると報じている。

ダイムラーの広報担当は、この報道について「憶測」にすぎないとコメント。車両が販売禁止になる恐れはないとしている。

検察当局はコメントを控えた。

<引用終り>


そしてこれからが厄介な話。今回の不正問題ではメーカー、規制当局の官僚、政府(含むEU)、労働組合、こんな所が全てはっきりものを言わない。だから何がどうなっているのかさっぱりわからないという現状がある。

ある自動車ジャーナリストの方は、排ガス不正の対象のVWに試乗してきてこんな事を言っていた。
まるで不倫体験…インチキしていたゴルフ・ディーゼルはすばらしかった!
http://www.zakzak.co.jp/zakspa/news/20151122/zsp1511221000001-n1.htm
「不正ソフトを積んだゴルフ・ディーゼルのレンタカーに乗りました!
 で、どうだったか?
 もんのすごく良かったです。
 こう書くと不倫体験のようですが、なにより驚くべきはエンジンのレスポンスが抜群で、ガソリン車みたいに軽やかに回ることだった・・・以下略」

不倫体験(笑)、まさしくこれがこの問題の根っこの部分にある。排ガス問題を頬被りして快適な車をエンジョイする。そういう事だ。
結果はロンドンもパリもベルリンも大気汚染に苦しんでいる。

こんな問題の背景にドイツ問題、ドイツの国民性が潜んでいる。
例えばトヨタはVWと二度も提携しているが、いずれも苦い経験をしている。
トヨタとVWの「苦い過去」
http://tansoku159.blog.fc2.com/blog-entry-1303.html

このエントリーでノッチmrngさんからこんなコメントをいただきました。
『「あるウソつきのブログ」さんの昨年9月26日のエントリーで『俺ら日本人技術者の間では、ドイツ人と言えば、「他人には超厳しいくせに自分には超甘い」が通説になっていた。(中略)』とあり、ものづくりに関してドイツ人と日本人は勤勉さで似ていると思い込まされてきたんだなと認識を新たにしました。
この引用されているブログはこれです。
http://blog.goo.ne.jp/jpakiyo/e/ed41e805a7b9c69a34832913138005db

こんなドイツの国民性が実は全く関係ないのですが、こんな事例にも表れています。
『ドイツ外務省「非人間的で残酷」』
「日本の死刑執行非難」
https://this.kiji.is/258416532590937591


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2017-06-30 16:48

不正まみれディーゼル車、欧州都市で規制の波

 フォルクスワーゲンの排ガス不正問題が発覚してから間もなく2年、しかしその後一体どうなったのかさっぱりわからない状態が続いていたのだが、とうとうメーカーや政府ではなく自治体や裁判所が問題提起し始めたようだ。

最初にこれはWSJの記事のタイトルバックの画像、
スモッグに包まれたドイツの町の写真なのだが、これが自動車の町シュツッツガルトなのだとか。

2017-6-30WSJ1 

不正まみれディーゼル車、欧州都市で規制の波
裁判所や環境団体の圧力、自治体が通行禁止や制限に動く 
スモッグに包まれたドイツのシュツットガルト IMAGO/ZUMA PRESS
By William Boston
2017 年 6 月 28 日 15:26 JST 更新

 【ベルリン】ディーゼル車の有害な排出ガスへの警戒が高まる中、ミュンヘンやマドリードなど欧州の大都市ではディーゼル車の利用制限や通行禁止が広がっている。膨大な数のディーゼル車を販売する欧州自動車メーカーにとっては大きな問題だ。

 複数のスキャンダルによってディーゼルエンジンがこれまで宣伝されていた以上に空気を汚染していることが判明したが、各国政府の対応は遅れがちだ。その一方で環境保護団体からの圧力を受けてこうした都市が反ディーゼル車運動の先頭に立ち始め、欧州の自動車メーカーも今後の方針を再考せざるをえなくなっている。

 環境税の導入やディーゼル車両の利用禁止を進める、あるいは考慮している都市の中には、自動車大手 BMW の本拠地であるミュンヘンとダイムラーやポルシェが本社を置くシュツットガルトが含まれる。メーカー側がディーゼルをクリーンにできないのであれば、われわれがクリーンにする――。それが各自治体のメッセージだ

 環境調査に取り組む非営利団体、国際クリーン交通委員会(ICCT)のレイ・ミンハレス研究員は「市民や自動車メーカーに対し、いま求められているのはクリーンな自動車だと自治体が示している」と話す。ドイツ自動車大手 フォルクスワーゲン (VW)の排ガス不正は同委員会の調査によって判明し、すでに2年にわたりディーゼル車の規制に関心を集めている。

米国より欧州で深刻

 米国で明らかになった排ガス不正問題は、その後、他の自動車メーカーにも広まった。米国内ではディーゼルエンジンを搭載する自動車は全体の5%に満たないが、欧州では新車販売台数の半分がディーゼル車であり、現在、約8500万台が走る。

 気候変動対策として大胆な二酸化炭素排出量の削減目標を設定した欧州連合(EU)は、重要な役割を担っている。

 欧州の中でも特にドイツの自動車メーカーは、二酸化炭素排出量を削減するためにディーゼル車の販売に力を入れた。ディーゼルはガソリンよりも効率よく燃焼するため、燃費もよく、二酸化炭素の排出量も少ない。そのため業界も積極的にディーゼル車を売り出し、欧州各国の政府もそれを支持した。1990年代以降、各国はディーゼル車に低率の税金を適用し販売を補助してきた。

 気候変動だけが問題ではない。ミンハレス氏が共同で執筆した研究によれば、ディーゼルエンジンが排出するある汚染物質は、それだけでも2015年に全世界で10万7600人の若年死につながった。死者数の約80%は欧州、中国、そしてインドの住民だった。

 だが自動車メーカーがディーゼル車の販売から離れつつ、EUが設定した温暖化ガス排出量削減の目標に到達することは困難だ。電気自動車(EV)はいまだ全世界の自動車販売台数の2%にも満たない。プラグインハイブリッドも含むすべての新車EVは、EUで昨年販売された1460万台の新車のうち、わずか1%を占めるのみだ。

2017-6-30WSJ2
パリ:1997年製以前のディーゼル車通行禁止(7月に2001年製以前も)25年全面禁止。
マドリード:2025年に市中心部からディーゼル車を排除。スモッグ警報時に流入制限。

2017-6-30WSJ3
ロンドン:排出量が多い車両に高額の通行料を課す「超低排出量ゾーン」を2019年開始。
アテネ:2025年に市中心部からディーゼル車排除。

2017-6-30WSJ4
オスロ:1月にディーゼル車一日締め出し(欧州初)。料金所設置、高額通行料を課金。

2017-6-30WSJ5
香港:ディーゼル車からクリーンな代替車への乗り換えに補助金。
ソウル:市中心部に低排出量ゾーン(2006年製以前のディーゼル車は通行禁止)。

2017-6-30WSJ6 
ミュンヘン、シュツットガルト、ハンブルク:旧型のディーゼル車を市中心部から排除または制限する計画を策定中。ハンブルクは2030年までにディーゼルの市バスを代替予定。
PHOTOS: BLOOMBERG (PHOTOS)

 ドイツの自動車メーカーや労働組合は、今後の生計にどのような影響が生じるか不安を抱えている。BMW、メルセデス・ベンツ、アウディやポルシェといったドイツのトップブランドは、欧州で販売する車の半数以上にディーゼルエンジンを搭載させている。

 ダイムラーのディーター・ツェッチェ最高経営責任者(CEO)は今週、ディーゼル車の「利用禁止は政治的な反応だ。実際に履行することはできないため、真の変化をもたらすことはない」とした。

 ドイツ最大の産業労働組合、金属産業労組(IGメタル)も、ディーゼル車を禁止することで低所得層のドライバーが一方的に影響を受けるなどとし、反対の姿勢をとる。IGメタルは自動車メーカー側に古いエンジンを改善する義務があり、政治家にもEVの推進や技術に投資し、交通情勢を改善する義務があると主張。IGメタルの幹部の1人、ローマン・ヅィツエルスバーガー氏は、「こんな見境のない命令はナンセンスだ」と述べる。

ドイツ車メーカーと駆け引き

 ドイツの自動車業界はディーゼル車の利用禁止が撤回されるならば、国内を走る中古ディーゼル車のソフトウエアを更新し、現代の排出基準にまで向上させると取引を持ちかけている。だがドイツで利用されている1500万台のディーゼル車のうち、約半分は古すぎて改修することすらできない状況だ。

 規制を進める自治体のトップは、他に選択肢がないと話す。大都市は交通の要であるため、空気汚染が進む。またVWのスキャンダルによって「ディーゼルはクリーン」という概念が覆されたため、何かしらの対策を取るように法廷からの命令も次々と出されている。

 ディーゼルエンジンはドイツのルドルフ・ディーゼルが発明した。車社会となった現代のドイツでは、まずシュツットガルトが来年から規制を始め、最新型のものを除き、ディーゼル車両の約90%の利用を禁止する。同じような対策を考慮しているミュンヘンも裁判所からの命令を受け、今週中に汚染を大幅に改善する案を提出しなければならない。

 パリでは1997年よりも前に製造されたディーゼル車の通行が禁止されている。7月からはさらに拡大し、2001年よりも前に製造されたディーゼル車まで規制対象を増やすことが決まっている。これによりフランスの重量積載物車両の5分の1が影響を受け、その他のディーゼル乗用車も少ない割合ながらパリを通行できなくなる。

 ロンドンのサディク・カーン市長は、高額な通行料金を徴収する「超低排出量ゾーン」を2019年から設けると発表。排出量が多い車両から徴収する通行料金を増額すると4月に述べた際、カーン氏は「ロンドンの空気は殺人的だ」と話した
(引用者注:2年前にロンドンに3週間滞在した人から聞いた話、その人は名古屋市内在住だがロンドンでは鼻の穴が真っ黒になるとか、穿いているズボンを洗濯すると一度では綺麗にならず、二度洗いせねばいけないとか、日本では一度も経験したことのない空気の汚染だったとの事)

 ノルウェーの首都オスロでは、街がスモッグに包まれた1月にディーゼル車が規制され、違反者には180ドル(約2万円)を科した。規制は午前6時から午後10時までだったが、風向きが変わりスモッグが晴れると解かれた。

 このような動きは欧州以外の都市にも広がる。メキシコシティも12月に開催された会合でパリ、アテネ、そしてマドリードの市長と歩調を合わせ、2025年までにすべてのディーゼル車の利用を市内で禁止するとした。ソウルも2006年以前に製造されたディーゼル車が市の中心地区を通行することを規制する予定だ。

 ミュンヘンのディーター・ライター上級市長は今月、「通行禁止を話し合うことは大切で、正しいことだ」と話した。
<引用終り>


こんな問題を取り上げると、「じゃあ、日本はどうなってんだ」という疑問があると思う。先ずはこれを見てください。
2017-6-30石原都知事ペットボトル会見 

これは1999年(平成11年)11月、当時の石原東京都知事がペットボトルにディーゼル車の排ガス中の煤を入れて記者会見し、排ガス規制を訴えた時のモノ。
石原都知事の力は大きく、排ガス規制が一気に進んだが、当時は「魚を積んだトラックが東京の市場に入れない」とか、「車の買い替えをしないといけないがカネがない」とか大変だった。
2003年(平成15年)10月からは古いディーゼル車は走行禁止になったので、ご記憶の方も多いと思う。


では欧州でなぜこんな問題が大きくなったのかと言えば、ディーゼルエンジンの画期的な技術革新が挙げられる。コモンレールというその技術は黒煙もなく、音もディーゼル特有のガラガラ音も無く、非常にパワフル。大変素晴らしいものだが、残念ながら排ガス規制はクリヤーできなかった。そしてVWのようにごまかしソフトで排ガス規制をクリヤーしたかに見せて「クリーンディーゼル」と見せかけのクルマを売った。
ドイツは環境先進国のはずだったと思うのだが、一体どうしてしまったんだろう。
この間の事情はタイ時代に色々知った話があるので、以下ブログ参照ください。

「VWの不祥事発覚に思う事」
http://tansoku159.blog.fc2.com/blog-entry-1166.html


またドイツの経済力が強靭だという事に関しては以下参照ください。

「ドイツ問題とVW不正」
http://tansoku159.blog.fc2.com/blog-entry-1170.html

特にこのドイツ問題に関しては、「他のヨーロッパ諸国と比べて、ドイツが余りに強靱で、その経済パワーが大きすぎた」,そしてもう一つ、「皮肉にも選挙の洗礼を受けていないテクノクラートたちに経済の運営を委ねている」、この事が英国のEU離脱などの現象の背後にある。
今後も注意してみていかねばいけない事と思います。

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2017-06-24 15:45

ロボット時代の工場と働き方

 年々進化するロボット技術、日経がアメリカの自動車産業のロボットが増加の一途をたどっており、生産の伸びに雇用が追い付いていないことが問題と論じている。
この記事は大変面白いものの私には違和感もある。単に雇用問題というより「ヒトの働き方」に対する問題提起であり、さらに教育にも関係する問題だと思えるからなのだ。

最初にその日経記事、その言わんとすることをかいつまんでみてみたい。全文は下記リンク先参照ください。

【ロボット 自動車の町が直視しない「不都合な真実」】 
2017/6/19 2:00

 米自動車産業の雇用がなかなか改善しない。多くの研究者が原因としてあげるのは、ロボットによる急速な生産効率化だ・・・という書き出しで始まり、ロボットとの共生は可能かをレポートとの記事。
主な内容は
・急増するロボット、6年前の7割増
・しかし労働者の受け止め方は、雇用に対する敵はロボットより自由貿易
・AIの進化で、今回の自動化は別次元

こんなことで、この記事、AIと共存できる人材の育成を進められるか。自動化で先行してきた米自動車メーカーが直面する課題、それは全ての産業にあてはまるといった問題提起したもののその先がなかなか見えてこない。こんな記事を書いた日経の中西豊紀記者さんは何が言いたかったのだろう。

そして最後にこんな図が
2017-6-21ロボット問題まとめ 

だが中西記者さんにはお気の毒ながら、これは結論が出ている。
若し機械と戦うなら・・・最後はラッダイト運動になる。機械の打ち壊しだ。

ラッダイト運動
2017-6-21ラッダイト運動 


ではロボットとヒトはどういう関係になるのか。
・ ヒトがロボットを作る
・ ヒトがロボットを使い、メンテナンスをする⇒これが重要
・ ヒトがロボットを改良進化させ、最後は廃棄する
要するに、人間が機械を、ロボットを使うのである。

私はこの状態を、「現代の生産ラインは保全マンがモノを作るんだ」、こんな言い方をしていました。言うは易くですが、これを実地で行うにはとんでもない努力が要ります。保全マンには毎日の勉強と訓練が欠かせません。
特に現代の保全マンは例えば溶接ロボットのメンテのためには「手作業で溶接がきちんとできるだけの溶接スキルが必要」、こんな事が言えます。難しいですね。


さてそれでは私が一番違和感を感じるのは、本文中に有ったこんなグラフ。

2017-6-21ロボット問題 

このグラフは、付加価値額の伸びに対し雇用者数が頭打ち、こう言いたいためのグラフだ。

しかし考えて欲しい。もし付加価値額の伸びと同じ割合で雇用者数も伸びていたら・・・
この会社は何の改善もせず、仕事量の増には「人海戦術で対応」していると解釈される。現在の厳しい産業でこれは致命傷と言って良い。いくらアメリカの経営がのんびりしていても、今時こんな事はしていないはずだ。
特にアメリカの自動車メーカーは日本との競争の過程で日本式の生産方式を学んでいる。GMならトヨタとの合弁会社NUMMI(今は提携解消されたが)、フォードはマツダとの提携でしっかり学んでいるはずだ。更にトヨタ生産方式はMITでリーン生産方式と名づけられて普及されている。この件はGEでのリーン生産方式について以下ブログで紹介しました。
日本は孤立国では無かった

この記事を見るとアメリカの生産方式も相当部分日本式を取り入れ、量が増えても自動化などで簡単には人を増やさなくてもやっていける。そんな実態が有るのだと思う。
そして新聞記者さんは勉強不足なので、こんな産業の体質の変化が分からないのだ。


所で冒頭書いたこの件が従業員の教育問題に関係するという話、こんな例で考えてみたい。

例えばある「溶接工程」を考えてみる。
従来⇒溶接工は与えられた部分の溶接をするだけ、量が増えれば残業なり人員増加で対応する。勿論教育も必要だが、担当溶接工程だけ。
要点は・・・言われたことをやるだけ、いわば奴隷労働である

ロボット導入後⇒仲間の溶接工の一人は溶接ロボットのメンテナンスで残ったが、部品の清浄度とかシールドガスの管理だとか、それなりに大変らしい。俺たちは新しい切削加工工程を担当。当然新しい工程をイチから覚えねばいけない、とても大変だ。しかし俺たちの仕事は良い車を作ってお客様の期待に応える、その為にこの工程はこんな風にやってゆく。こんな考え方で取り組んでいる。当然ながらCS(customer satisfaction, 顧客満足度)などというものを勉強していかねばいけない。品質管理だの6σ(6シグマ)だのと面倒だなあ・・・。
恐らくこんな事が工場では起こっているだろう。それに耐えて雇用は守られている、こんな発言になっていると思う。
実は最近ナショジオ(ナショナル ジオグラフィック:National Geographic ドキュメンタリー専門のテレビチャンネル)を見ているとこんな番組がしょっちゅう放映されている。ヒトの意識が変わってきた、その一つの現れなのだと思う。
そして要点は
仕事に目的をもって取り組んでいる。仕事の目的が会社の方向と合致している。労働の尊厳というものが有る仕事と言える。

こんな事が言えると思う。

一寸ネガティブな事例を考えたい。エアバッグのトラブルを抱える「タカタ」である。私は問題点を報道で知るだけなのだが、知らない会社でもないので問題が一刻も早く解決してほしいと願っていた。だが民事再生法の適用を申請せねばいけない所まで追い込まれた、残念である。
タカタの製品のうち、メキシコ工場製だけが問題を起こした、しかも原因が良くわからないのだという。率直な感想はメキシコの罠に嵌ったなあ、こんな感想だ。残念ながらメキシコは民度から見てもモノづくりに不向きな国柄。例えばこんな事例がある。
VWのディーラーで日本に輸入されるVWの整備をされていた整備士の方から昨年暮れに聞いた話。日本に入ってくるVWはモデルごとに生産国が分かるのだが、最悪の品質がメキシコ工場製のクルマ。酷いものでは4枚のドアの取り付けボルトが全部ガタガタに緩んでいたこともあったと言っていた。
まあこんなクルマが工場の門を出られる体質の国がメキシコ、そう理解してよいと思う。


こんな体質の所に日本式の物作りなど定着させるのは大変である。私はそんな時、全人格で勝負だぞ、一挙手一投足まで教え込むくらいの覚悟でかからないと教えきれない。そんな事を言ってきました。しかし言うのは簡単ですが実際は並大抵ではない。これからの日本人の課題ですね。

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2017-01-12 10:30

VW、世界販売首位へ 16年、1031万台 トヨタ超えほぼ確実


 一昨年9月に発覚したVWの排ガス不正問題。この続報が絶えて久しいのだが、それでも2016年の世界販売台数はVWが世界一になったらしい・・・???。

最初に其れを伝える報道から

<以下引用>

VW、世界販売首位へ 16年、1031万台 トヨタ超えほぼ確実
2017.1.11 00:38     

 ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は10日、2016年のグループの世界販売台数が前年比3・8%増の1031万2400台だったと発表した。VWとしては過去最高。通年で4年連続世界販売1位のトヨタ自動車を抜いて首位に立つことがほぼ確実になった。

 VWは15年9月に発覚した排ガス規制逃れ問題の影響や一部新興国の景気減速に苦しめられているが、中国市場で販売を大きく伸ばした

 トヨタは昨年12月、16年のグループ世界販売台数が1%減の1009万台になるとの見通しを示していた。

 VWの地域別は、問題が最初に明るみに出た米国が2・6%減、景気の冷え込むロシアが4・3%減。ブラジルも33・9%減と大きく落ち込んだが、規模の大きい中国市場が12・2%増で全体の販売台数を押し上げた。(共同)
(引用者注:日本のVW販売台数は13.8%減)
<引用終り>


 VW頑張ってますねえ。まあ何はともあれ車が売れ、決算も黒字に転換したそうで、目出たいことでは無いですか。頑張ったVWさん、おめでとう!。

所でせっかく世界一になったんですから、VWさんもそろそろ世界一らしい事をやったらどうなんでしょうか。
それはあの排ガス不正問題の中身をきちんと公表することです。
該当車両は1100万台と言います。とてつもない台数ですよね。
でもこの排ガス不正車、リコールはどうなったんでしょうか???。それから排ガス対策はいつのクルマからやるんでしょうか。
普通なら排ガス対策前と後でこんなに性能が変わったとか、そんなレポートが有っても可笑しくないのですが、まったくありません。

これは下衆の勘繰りですが、VWさんは全部頬かむりをして逃げたつもり、アメちゃんにはシコタマ罰金を払ったんだからいいだろ、こんな所なのではないでしょうか。
その為の免罪符が世界ナンバーワンの勲章。不正はあったんだが、それでも販売台数世界一だ、だからもうこの話はチャラ。こんな所と、これは下衆の勘繰り、本当かどうかは皆さんで考えてください。
でもこんな事がまかり通ると、その裏返しでドイツ辺りの反日が益々酷くなりそうで心配ではあります。

参考記事
フォルクスワーゲンみそぎなき黒字回復、排ガス不正はなかったことに?
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/06/post-5367_1.php

Newsweekでも問題にして記事にしているのだが、その後も何の音さたも無し・・・

トヨタHV、欧州販売40%増 VW不正で追い風 ディーゼル車は「消えゆく存在」

ディーゼル車は「消えゆく存在」、この一言が大いに気になるのです。実は現在のディーゼル車は一昔前の物とは全く違う、実に素晴らしいもので、私のタイでの経験でも素晴らしいものです。
その顛末は以下ブログ参照ください
VWの不祥事発覚に思う事

現在のコモンレール・ディーゼルではどうしてもクリヤー出来なかった反ガス規制。マスコミからは「消えゆく存在」とまで言われているが、しかし最近マツダが全く革新的技術で排ガス規制をクリヤーするディーゼルを出してきている。
新しいディーゼルで排ガス規制がクリヤーできる日を期待したいところです。

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2016-10-03 17:25

トヨタとVWの「苦い過去」

 ドイツの話をいろいろ書いてきたのだが、もう一度VWについて考えてみたい。
VWによる排ガス規制逃れ問題、大きな問題なのだが最近あまり報道がない。しかしVWはどうも日本のメーカーとはかなり違う考え方で車づくりをしているのではないだろうか。
ちょうどいい事例がある。トヨタが過去に2度VWと提携したことがある。その苦い経験などを踏まえて考えてみたい。

最初に現在のクルマのビッグ・スリーはトヨタ・VW・GM。
その世界販売台数はこんな風になっている。

2016-10-3世界の自動車メーカー別販売台数ランキング

世界全体で見るとトヨタ・VW・GMはほぼドングリの背比べ状態、この図は2015年だが、2016年1月~8月を見るとVWがトップだが、その差はごくわずか。

さて世界全体はそうだが、特にトヨタとVWの国別販売状況は大きく異なる。
ざっくり言ってトヨタは日本25%、アメリカ25%、中国10%、その他40%と言ったところ。
一方にVWは欧州40%、中国40%、その他20%、こんな風でVWはアメリカでまったく売れていない。

Yuyuuさんが以下ブログで指摘されているが、VWのアメリカでのシェアーは僅か2%ほど。
米独・冷凍チキン戦争と日本車の進出
http://yuyuu2013.blog.fc2.com/blog-entry-4415.html


しかし歴史を紐解けば、第二次大戦後真っ先に対米輸出を始めたのはVWだった。その当時のクルマは初代VWビートル(通称カブトムシ)だった。
そしてこの輸出は大成功で、アメリカからは実に好意的に迎え入れられ、ドイツ本国で1978年に生産終了しているのに今なお人気がある。

2016-10-2アメリカに愛されたビートル

そんなVWがいち早くアメリカでの現地生産に乗り出したのが1976年、生産した車は空冷リアエンジンのビートルの後継車ゴルフ(水冷・フロントエンジン・フロントドライブ)のアメリカ版「ラビット」だった。生産したのはペンシルベニア工場。

2016-10-2初代米国生産VWラビット

しかしこのアメリカ進出は失敗だった。生産した車はVWの初代ゴルフを一部変えたものなので決して悪い車ではないはず。
しかし品質は劣悪で不人気者になってしまい販売不振。85年には2代目ゴルフ・ジェッダを生産開始したが人気は回復せず。
結局VWは進出10年でアメリカから撤退した。

こんな事情が現在に続くVWのアメリカでの販売不振のルーツである。

その後20数年たって、2011年にVWは新しい工場を建設した。テネシー州チャタヌーガにこの工場はある。
以下参照ください。
http://tansoku159.blog.fc2.com/blog-entry-304.html

このエントリーを見ていただくと分かるが、VWのアメリカ工場の人件費は当時のトヨタやホンダの工場の約半分。
これが私にはとけない疑問点なのだが、この件はちょっと置いておきます。


さて本論です。
トヨタとVWは過去に2回業務提携しています。
一つはVW車の販売をトヨタ系列で行うけんでトヨタDUO店、2010年に販売終了しています。
もう一つがガソリンエンジンの直噴技術(筒内噴射技術)でトヨタのD-4エンジンの技術をVWに供与するものでした。
この件は以下参照ください。
http://d-wise.org/b9910/car.pdf


散々前置きが長くなりましたが、そんな経緯に関してこんな記事があります。

2016-10-3トヨタとVWの苦い過去
http://news.livedoor.com/article/detail/10307753/


しかし幸いなことにこの記事がアーカイブで見ることが出来た。そこでこれを紹介したい。
元記事は「週刊現代」2015年7月4日号より。


<以下引用>
https://web.archive.org/web/20150707010154/http://news.livedoor.com/article/detail/10307753

トヨタとフォルクスワーゲン社の「苦い過去」 国民性の違い浮き彫りに

2015年7月4日 6時0分

ざっくり言うと

これまでに2度フォルクスワーゲン社と業務提携を結んだことのあるトヨタ
トヨタ側の社員が技術を教えても、VW側が教えることは一切なかったという
時間になるとすぐに仕事を切り上げて帰るなど、日本とは正反対の姿勢だった

【戦後70年特別企画】 ドイツ人と日本人。同じ敗戦国なのに、なぜ世界の評価がこんなに違うのか

2015年7月4日 6時0分 現代ビジネス

70年前、戦争に敗れた時点では、まだ同じスタートラインにいたはずだった。合理的に突き進んだドイツと、似ているようで「和」を尊んできた日本。辿り着いた先にはまるで違う評価が待っていた。

トヨタを悩ませた「壁」
「トヨタはこれまでに2度フォルクスワーゲン社(以下VW)と業務提携を結びました。その間、VWのドイツ人とは技術面から営業面まで様々に協力をしてきたのですが……。最後まで分かり合えることはありませんでした。よくドイツ人も日本人に似て、勤勉で真面目だっていうじゃないですか。確かに仕事に対してはそうだったのですが、人間としては根本的に違うんです」(トヨタ自動車幹部社員)

日本とドイツ-。2つの国は国際社会の中で、しばしば「似ている」と言われる。共に第二次世界大戦の敗戦国ながら、戦後、焼け野原となった自国を科学技術によって立て直し、先進国・経済大国として世界を引っ張ってきた。両国とも世界的に有名な自動車メーカーが多数存在する。

だが、その頂点に君臨する「トヨタ」と「VW」が提携した時、そこで互いが感じたのは、越えようもない「高い壁」の存在だったという。

前出のトヨタ社員が続ける。

「特に技術職の社員は相当辛い目にあったようです。トヨタ側は自社で培った技術を惜しみなく教えるのですが、VW側は一切教えてくれませんでした。『自分たちが世界一の自動車メーカーだ。トヨタから学ぶことなどないし、教える必要もない』と考えていたのでしょう。

でも、仕事中は無駄な会話は全くしないし、緊張感があるから作業効率は圧倒的に高い。決まった時間になるとすぐに仕事を切り上げて帰るし、日本とは何から何まで正反対でした」


いまやドイツは「EUの事実上のリーダー国」であり、経済的にも政治的にも世界に存在感を示している。一方で、日本は「アジア一の経済大国」という肩書を中国に奪われてしまい、かつての輝きは取り戻せないままでいる。

なぜ、両国間の評価には、ここまで差がついてしまったのだろうか。

その理由は先ほどの国民性の違いにあるのかもしれない。「したたかなドイツ人」と、「優しすぎた日本人」。それが両者を語る上でのキーワードだ。
・・・以下略・・・
(詳細は上掲リンク先参照ください、徒に長い駄文ですが・・・)

「週刊現代」2015年7月4日号より

<引用終り>


この記事は昨年9月のVW排ガス不正問題が明るみに出る前の物ですので、そんなつもりで見てください。
そしてこんな所が今回のVW排ガス不正問題につながっているのですが、まったく別の分野でドイツ銀行の問題も根は同じではないかと思うのです。

VWは車の販売で大変頑張っていますが、これが裏目に出なければいいのですが、どうでしょうか。
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2016-07-06 09:17

テスラ自動運転車の事故

 アメリカでは自動運転できる車が市販されていて、先進技術だと騒ぎになっているが、その自動運転車が死亡事故を起こした。
そしてその事故の概要が報道されていた。
亡くなった人には大変お気の毒だが、これからのモノ造りには大いに考えさせられる事例だ。

<以下引用>
http://jp.reuters.com/article/tesla-autopilot-dvd-idJPKCN0ZJ0Z1

2016年 07月 4日 07:48 JST
テスラ車死亡事故、自動運転中にDVD鑑賞の可能性

2016-7-6テスラ事故写真

[ウィリストン(米フロリダ州) 1日 ロイター] - 米電気自動車(EV)メーカー、テスラ・モーターズ(TSLA.O)の自動運転支援機能「オートパイロット」搭載車による死亡事故で、フロリダ州の複数の高速道路パトロール当局者は1日、事故車内からDVDプレーヤーが見つかったことを明らかにした。  

当局者は電話取材に対し、「車内にポータブルDVDプレーヤーがあった」と説明。ただ、車載カメラは見つからなかったという。  

事故に巻き込まれたトラックの運転手の弁護士はロイターに対し、目撃者の話として、事故後にDVDプレーヤーから映画「ハリーポッター」が流れていたことを明らかにした。  

トラック運転手の弁護士は「ビデオに関しては、事故発生直後に現場を訪れた目撃者がいるが、現時点ではそれを検証できない」と指摘。「ただ、この目撃者は現場に到着した際、ハリーポッターが流れていたと話していた」と語った。  

事故車となったセダン「モデルS」の2015年モデルの運転手が道路を見ていたのかどうかという疑問は、テスラにとって重大な意味がある。同社は、オートパイロットの安全性に関して連邦当局から予備調査を受けている。  

オートパイロット搭載車は運転しなくても、車線内を走行し、スピードを維持できる。同社は1日に声明を出し、「オートパイロットは路上での最先端のドライバー支援システムだ。ただ、これにより、テスラ車が自律走行車になったり、運転車が責任を放棄できたりするわけではない」との見解を示した。  

事故原因については、当局者が最終的な判断を下すまで数週間かかる可能性がある。

<引用終り>


最初にこの事故を起こした車、テスラ「モデルS」はこんな車。

2016-7-5テスラモデルS

かっこいい車ですね。見るだけでほれぼれします。
しかしこの車の概要を知らないとこの事故は分からない。
テスラ「モデルS」はこんな車。
車幅2.2m、車重2.6トンとバカでかい車、当然高価でもあるだろう。
こんなでっかい車でタッチスクリーンのモニターがあるが、カーナビ無し、CDプレーヤーも無し

こんな車なので「車内にポータブルDVDプレーヤーがあった」、こんなことも納得できる。


この事故は起こるべくして起こった事故と言える。
自動車に限らず、自動運転は事故の危険と隣り合わせ。工場にロボットが導入された初期には事故が多発したことを思い出す。
だからどこでもカーメーカーは自動運転には非常に慎重だ。
自身の工場のロボットなどで自動運転の怖さを身にしみて感じているためだ


私はクルマの自動運転は日本の高速道路などのような所でしか成り立たないと思っている。

上掲記事の写真で見るとアメリカらしく郊外の広い道路で建物の点在しているところ。大型おトレーラーが出入りするようなところである。
こんなところを車内にポータブルDVDプレーヤーを持ち込んでそれを見ながら車を走らせている。当然前など見ていない。

現代のハイテクのネガティブな側面が現れた事故なのだと思っている。
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2016-05-22 08:11

「現場の限界認めないといけない」、モノ造りで心すべきこと

 「現場の限界認めないといけない」、こんな事をSUBARUの富士重工社長が言っている事が昨日(5月21日)報道されている。
これは三菱自動車の燃費不正に関しての読売新聞の報道なのだが、大変興味深い記事だ。

全文はこんな感じ、5月21日の読売新聞経済面(8面)記事

2016-5-22読売新聞5月21日縮小版

記事は三菱の問題で、そこに同じ自動車メーカーの社長としての考え方を聞かれた際の回答として記事になっている。
大変興味深い話なので、吉永社長の話を引用したい。


<以下読売新聞より引用>
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20160520-OYT1T50168.html?from=ytop_main3


富士重工社長「現場の限界認めないといけない」
2016年05月21日 11時05分

 富士重工業の吉永泰之社長は読売新聞のインタビューに応じ、三菱自動車の燃費偽装問題に関連し、「燃費に限らず、現場が『今の実力では限界』と言ったら、認めてあげないといけない」と述べた。

 目標達成のために経営陣が部下に過度なプレッシャーを与えることを戒めたものだ

 三菱自を巡っては、軽自動車の燃費目標が開発現場にとって重荷となり、不正に手を染めたとみられている。吉永氏は「取り繕う文化はダメだ」と強調。その上で自身については「『(目標を)絶対に達成しろ』とは言わないように気をつけている」とも述べた。

 富士重工業は創業100周年を機に、2017年4月から社名を「SUBARU」に変更する。主に車のブランドとして知られる「スバル」を採用することについて、「規模は小さいが魅力あるブランドになるため、社員の力を結集したい」と狙いを語った。

<引用終り>


目標必達、誰でも一度は言ったり聞いたりした言葉である。
がしかし、この言葉の中にこんな不正問題の真因が潜んでいる。これが三菱問題の真相のようだ。

『今の実力では限界』と言ったら、認めてあげないといけない」
これを安易に認めれば、皆が「出来ません、出来ません」と言いだして、これならサボった方が勝。
しかしそれを、どうしても無理なものを無理やりやらせると不正が起こる。

これは各自動車メーカーがこの問題で散々苦労してきた。
例えばトヨタは生産販売台数にこだわって失敗し、豊田章男社長は「もっといい車を造ろうよ」に目標の大転換を図った。
つい最近もホンダが矢張り「生産販売台数目標にこだわり過ぎた」と反省し、新社長のもと立て直しに取り組んでいる。
VWだって排ガス不正問題の真因はこんな所だ。

そしてこんな問題は意外な問題をクローズアップさせている。
人の評価、企業の評価で減点主義の弊害である。

ある持ち点を持っていて、目標未達だと減点。目標達成してもある範囲は持ち点の範囲なので特別評価しない。
こんな評価システムが結構アチコチに有る。
例えば「休まず働かず」をモットーにしている痴呆公務員などはこの典型だろう。
働かなければ、「ノープレー、ノーミス」で減点されない、だから働かない事が美徳になっている。

目標必達、これが無ければ企業の発展はない、当たり前の話である。
がしかし、そこにはある限度があり、人の能力や経営資源にも限界がある。
そんな事を考えさせられる話である。
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2016-02-09 17:22

混沌とする米VWディーゼル車オーナーへの補償案

 VWがドイツでリコール作業開始したと報道され、それを2月6日にエントリーした。
「VWが独でリコール開始<排ガス不正問題」
http://tansoku159.blog.fc2.com/blog-entry-1224.html


しかしそのリコールの詳細についてはさっぱり分から無かったが、アメリカでのリコールがどうなるかが垣間見える話が有った。

その前段として、アメリカでのリコールはVWのリコール計画が米規制当局によって却下されている。
「カリフォルニア州、VWのリコール計画却下」
http://tansoku159.blog.fc2.com/blog-entry-1214.html

そして、そのカリフォルニアでのリコールを如何するか、今回実に興味深い話が報道されている。

VWのリコールがどんなものか、そんな事が推測がつくものだ。

<以下引用>

VW賠償担当者、米オーナー9割が受け入れる提案目指す=独紙
ロイター 2月8日(月)11時1分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160208-00000026-reut-bus_all


 2月7日、独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)のディーゼル車排ガス不正問題で、同社補償基金の責任者であるケネス・ファインバーグ氏は、米国のVWディーゼル車オーナー、約60万人の9割程度が受け入れる補償案を提示するとの考えを示した。

[フランクフルト 7日 ロイター] - 独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)のディーゼル車排ガス不正問題で、同社補償基金の責任者であるケネス・ファインバーグ氏は、米国のVWディーゼル車オーナー、約60万人の9割程度が受け入れる補償案を提示するとの考えを示した。

独紙フランクフルター・アルゲマイネ日曜版が伝えた。

ファインバーグ氏は同紙に対し、VWは対象車のオーナーに対して現金を支払うのか、車の買い取りをするのか、車の修理あるいは交換を行うのか、まだ決めていないと発言。

VWと当局が意見の相違を乗り越えない限り、私は手出しができない」と語り、60─90日以内に補償基金を設立するという自身の目標を達成できる可能性は低いとした。

これまで、英BP<BP.L>のメキシコ湾原油流出事故や米ゼネラル・モーターズ(GM)<GM.N>の点火スイッチ不具合問題などの補償基金の責任者を務めてきた同氏は、VWの案件では、大多数のオーナーが最終的な提案を受け入れるとの見方を示した。

「過去に担当したBPやGMのケースでは、90%以上が私の提案を受け入れた。VWでもこの水準を目指したい」と語り、VWが補償水準の設定にあたり、同氏に全権を委ねていると明らかにした。

また、基準値以上の排ガス放出による健康被害の訴えを賠償対象とするかどうかについては「含めない方向に傾いている」とした。

排ガス問題の財務面への影響が依然見通せないことから、VWの株価は年初来26%下げている。

<引用終り>


私が注目しているのはこの部分。
VWは対象車のオーナーに対して現金を支払うのか、車の買い取りをするのか、車の修理あるいは交換を行うのか、まだ決めていない

リコール計画が不十分と指摘されたことに関して、「現金を支払い」、「車の買い取り」、「車の修理あるいは交換」のどれにするか決めていない、これは凄い事である。
これでは売った車が使い物にならないという事を言っているようなもの。

このリコールに関しては色々エントリーしてきたのだが、まあ技術的な事も含めこんなエントリーを参照してください。
http://tansoku159.blog.fc2.com/blog-entry-1168.html

それを踏まえて、上掲の様に「現金を支払い」、「車の買い取り」、「車の修理あるいは交換」、こんな事が未定ではこの問題は解決には相当時間がかかる筈だ。
若し「車の買い取り」なんてことにでもなれば、アメリカは対象が48万台だが全世界では1100万台。
これは一企業で負担できる台数ではない。恐らく何らかの政治決着しかないであろう。

更に厄介なのはこの件が一企業だけではなく、他のメーカーや部品メーカーへの波及は避けられない、更に官僚にも波及する筈だ。
この問題を長年取り組んできたNPOにICCT(International Council on Clean Transportation:国際クリーン交通委員会)という組織がある。ここがアメリカの規制当局と協力して問題提起したという経緯がある。
多分欧州ではお役人もみんなグル、だからこんな風になったのだと思う。根の深い話である。
ICCT(International Council on Clean Transportation:国際クリーン交通委員会)が2014年に公表したレポートはこれです。
「最新ディーゼル車のリアルワールドにおける排出ガス」(英文です)
http://www.theicct.org/sites/default/files/publications/ICCT_PEMS-study_diesel-cars_20141013.pdf

私が排ガス問題で心配するのは日本のカーメーカーには排ガス問題で痛い目に遭った経験があるから。
もう40年も前の話、悪名高いマスキー法の関連で日本では昭和50年・51年規制と言う車の排ガス規制が有った。
これがムチャクチャな難物で各メーカー四苦八苦で対応したのだが、排ガス規制のせいでクルマの動力性能や燃費はガタ落ち。
この規制該当車では「スポーツカーの新車を買って峠道を走ったら軽四にスイッと抜かれてしまった」、こんな話が沢山出てくる位酷かった。
VWも排ガス規制を完全にクリヤーしようとするとこんな可能性があるのではないだろうか。


この問題に関してもう一つ私が心配している事、それは最近ドイツでは猛烈な反日旋風が吹き荒れているらしい事で、どうも2012年秋の中国での反日デモ、2012年12月の安倍政権誕生辺りがその引き金らしい事。
こんな事がVW問題に絡んでこないだろうか、全く関係のない話だが何が起こるか分からないのが今のご時世。
この件は別途エントリーします。
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2016-02-06 16:48

VWが独でリコール開始<排ガス不正問題

 昨年9月に明るみに出たVWの排ガス不正問題。やっとその排ガス不正のリコール修理がドイツで始まった事が報道された。
以下それを報道する時事の記事から

<以下引用>

独でリコール開始=VW排ガス不正
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201602/2016020300608&g=int
 【フランクフルト時事】ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は、排ガス不正車の国内でのリコール(回収・無償修理)を1月末から始めた。不正が発覚した米国では、規制当局がリコール計画を不十分として認めず、開始のめどが立っていないが、欧州では先行して進めていく方針。
 ドイツでのリコール計画は、昨年12月に独連邦自動車局が承認済み。問題となったエンジンを搭載したディーゼル車のうち、不正なソフトウエアの修正で済む排気量2000ccの一部車種から着手。1200ccは6月末をめどに始める。一部ハードウエアの改修が必要な1600ccは9月末までに実施する予定。
 全世界の不正対象車1100万台のうち、8割近くを占める850万台が欧州連合(EU)域内にある。国別でも地元ドイツが240万台と最多。(2016/02/03-15:13)

<引用終り>

今回のリコール作業は最初にソフト入れ替えだけの車種「2.0TDI」から始め、「1.6TDI」ではソフトだけでなく、「エアフロートランスフォーマー」と呼ばれる部品の追加を行うと公表された。
(ソース:http://response.jp/article/2016/02/03/269063.html

これが追加する「エアフロートランスフォーマー」という部品。エアーフローメーターの所に取り付けるとの事。
2016-2-6VWリコールでの追加部品


この報道で感じること、それはユーザーが一番知りたい事が全く公表され無いまま進んでいる事だ。
ユーザーが一番知りたい事、それはこのリコール改修の前と後で燃費とか加速がどの程度変わるか、そしてその保証・補償はどうなっているかという事である。

先月「カリフォルニア州、VWのリコール計画却下」をエントリーした。

アメリカの規制当局は「修理後に走行性能や排ガス値、安全性にどういった影響が出るかについて十分な説明がなされていない」と指摘している。この状況は変わっていないのだ。
もう一つ、アメリカではリコール車に対して1000ドルの金券を渡すと報道されている。しかしヨーロッパ内ではこれは言及されていない。
しかし「欧州顧客にも補償を EU、米国と同じ対応要請」と報道されている。
(ソース:http://www.sankei.com/economy/news/160122/ecn1601220009-n1.html

こんな状況でこのリコール実施、顧客が素直にリコールに応ずるだろうか。
燃費は悪くなるらしい、性能も悪くなるらしい、補償もないらしい・・・(このアンダーライン部分は推定ですが)
幾ら自国の誇りVWでも、顧客にとっては迷惑以外の何物でもない訳だ。

所で昨年10月にこんなエントリーをした。
「根の深いVW不正問題」

此処にこんなグラフを紹介した。
民間の環境保護団体が車の排ガス規制が可笑しい、そう言う事で実際に路上を走っていた車を調べたもの。

2015-10-3欧州の乗用車排ガス実測データby八重樫さん

実際の使用状態での排気ガス中のNOx濃度をガソリン車(左側・青色)とディーゼル車(右側・赤色)で表したモノ。
横軸は測定した車両の年式、縦軸はNOx濃度、
左側の青四角印はガソリン車の実測値、階段状に下がっているのがNOx規制値。
右側の赤四角印はディーゼル車の実測値、階段状の線は段階的に強化されたNOx規制値。

これを見るとガソリン車は段階的に強化された規制値と実測値がよく合っている。規制が守られた証拠である。
しかしディーゼル車は規制値が段階的に厳しくなってきているが、実測値は古い年式のクルマも新しい年式のクルマも大して変わらない。規制が全く守られていないのだ。
見出しに[emissions enforcement is non-existent]と書いてある。排ガス規制は存在しないと言う意味で非常に強い言い方だ。

今回のVWリコールはこれに対し答えを出さない限り問題が収束することは無い。
先はまだまだ長い困難な道ではないだろうか。
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2016-01-13 17:44

カリフォルニア州、VWのリコール計画却下

 フォルクスワーゲンの排ガス不正問題は中々真相が見えてこない。しかしアメリカ加州から凄い話が聞こえてきた。
VWがカリフォルニア州政府に提出したリコール計画が却下されたのだと言う。

この話を見て私はエマニュエル・トッドの意見を思い出した。
ドイツとアメリカは基本的価値観を共有していないとか、ドイツには根深い反米感情があるなどと言う事だ。
最初に排ガス問題を伝える日経記事から

<以下引用>

カリフォルニア州、VWのリコール計画却下
2016/1/13 4:45 (2016/1/13 10:35更新)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFK12H5N_S6A110C1000000/

 【デトロイト=中西豊紀】米カリフォルニア州大気資源局(CARB)は12日、独フォルクスワーゲン(VW)が提出した排ガス不正車のリコール(回収・無償修理)計画を却下したと発表した。内容が法的な基準を満たしていなかったためだと説明している。米国でのVWの信頼回復には打撃になりそうだ。

 VWは2015年11月、排気量2リットルのディーゼル車についてCARBと米環境保護局(EPA)にリコール計画を提出した。それぞれの局は14日までに内容を精査し、計画を認めるかどうか判断する方針を示していた。

 CARBは却下の理由として「法的な要求とは差があり詳細さを欠いている」と指摘。さらに「修理後に走行性能や排ガス値、安全性にどういった影響が出るかについて十分な説明がなされていない」と、技術面での開示姿勢を厳しく評価した。排気量3リットルの車は2月に別の計画提出を受けたうえで評価する方針だ。

 CARBは「今回はより広範な対策を求める措置でもある」という立場で、新たなリコール計画が提出され、それが要件を満たせば承認することを示唆している。CARBがVW側に走行性能を落とさずリコールすることを求めている可能性がある。その場合、「エンジンの交換が必要で事実上不可能」(日系メーカー幹部)で、かなり高いハードルだといえる。

 CARBはカリフォルニア州で独自の環境規制に基づく車を承認している。今回のリコール計画の却下で、VWは引き続き同州でディーゼル車を販売できない。

 一方、全米での販売規制を担当するEPAは、まだ姿勢を明らかにしていない。VWのマティアス・ミュラー社長は13日にワシントンでEPAのマッカーシー長官と面談する予定だ。

 VWの排ガス不正によるリコールをめぐっては2015年末、独連邦自動車局(KBA)がソフトウエアの交換を中心とした計画を承認したばかり。CARBは12日の発表で「VWは環境規制を欺こうという決断をし、それを覆い隠そうとした」と厳しい言葉でVWを非難した。「だます気はなかった」(ミュラー社長)と繰り返すVW側と米当局との溝は深い。

<引用終り>


トンデモナイ話である。それだけカリフォルニア州政府の不信感が強いと言う事だろう。

所で冒頭述べたエマニュエル・トッド氏はこんな事を言っている。
これは週刊現代2015年10月17日号に載った記事。

「VW事件から見えてくる ドイツ最大の弱点」
http://gendai.ismedia.jp/articles/premium01/45706


<以下抜粋引用>

トッド氏は本誌に、続けて言う。

「私はさきほど技術的な評判はあまり問題ではないと言いました。なぜかといえば、排ガスをごまかすための装置というものを作れること自体、技術的に妙技であるといえるからです。

では、私が真に問題と考えるのはなにか。

それは、諸問題を単にテクニカル(技術的)なものとして扱い、モラル(道徳)の面を忘れてしまうという古くからのドイツの傾向です。フォルクスワーゲンのスキャンダルが起きて、世界中の人々はそんなドイツの特質を思い出したでしょう。知っての通り、この種の『中身のない合理性』は、それ自体が危険なのです
・・・中略・・・

「もう一点、付け加えて言いましょう」

トッド氏は言う。

フォルクスワーゲンのスキャンダルは、ドイツ人のアメリカに対する根深い感情について多くのことを教えてくれます。ドイツ人は心の底で、かなり反米の気持ちを強く持っています。ドイツ人はおそらく、リベラルなアメリカの価値観を受け入れないでしょう

<引用終り>

厄介な話である。しかしトッド氏の話を読んでみると確かになるほどと思い当たる。

がしかし、ドイツもアメリカも日本にとっては大事な友好国。(ドイツの反日は一寸別として)
そして中国が破綻寸前のこんな時の揉め事は大変不味いのだ。
この問題が厄介な方向に行かなければいいのだが・・・
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2015-11-02 19:22

自動運転は見果てぬ夢?

 車の自動運転が最近急にクローズアップされている。
東京モーターショーでも話題になっているようだが、機械の自動運転は工場のロボットや自動搬送車などでいろいろ経験してきた。
工場で使っているロボットなどは沢山の事故を経験し、結局人とロボットを完全に分離することで(つまりロボットを織の中に入れてしまう事で)安全に使えるようになった。

所でクルマの自動運転に関して心配されていたことが現実になってきたようだ。

<以下Sankeiーbizより引用>

自動運転「無謀動画」が氾濫 テスラの警告無視 後部座席でチェスや読書…
SankeiBiz 11月2日(月)11時25分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151102-00000501-fsi-bus_all

 米電気自動車メーカーのテスラ・モーターズが導入した新しい「自動運転技術」について、一般公道で無謀な実験を行ったユーザーたちが、続々とその様子を捉えた動画を投稿サイトにアップしている。ハンドルから手を離して新聞を読んだり、運転席から離れて後部座席でふんぞり返ったり…。中には事故を起こしかけた危険なシーンも投稿されている。テスラ側は「システムは未完であり、完全な自動運転ができるわけではない。自動運転中に起きた事故については一切責任を負わない」と警告しているのだが、一部の気の早いユーザーには現状が理解されていないようだ。

・・・以下略、詳細は上掲リンク先参照ください・・・

ではそのテスラSはどんな車かというと

<以下引用>
http://gigazine.net/news/20151016-tesla-model-s-autopilot-review/
2015年10月16日 23時00分00秒
ついに「自動運転(オートパイロット)」を搭載したテスラ「モデルS」実車レビューいろいろまとめ

2015-11-2テスラモデルS

自動運転が可能になりました | テスラモーターズジャパン
http://www.teslamotors.com/jp/blog/your-autopilot-has-arrived
2015-11-2テスラモデルSの自動運転

<引用終り>


 クルマは大変便利なものだが、一つ間違えれば人命にかかわる大事故を起こす。発売したクルマがクルマの構造や機能に関する事故を起せばメーカーの責任が厳しく糾弾される。
クルマのメーカーは何処もそんな経験を持っている。
しかし最近参入した新規メーカーテスラはどうも車の使われ方を勘違いしているようだ。

テスラ側は「システムは未完であり、完全な自動運転ができるわけではない。自動運転中に起きた事故については一切責任を負わない」と警告、こんな事を言っているが、これで事故が起こったら責任は無いと言えないのがクルマメーカーの辛い所。
若し「システムは未完」と言うのなら発売すべきではない。当たり前だ。

こんなモノで事故が起こればメーカーにとっては命取り、これから大問題になるのではないだろうか。
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2015-10-19 19:44

ドイツ問題の現地からの声

 今回のフォルクスワーゲンのはガス不正について、ドイツ問題と言う側面から10月1日にこんなエントリーをした。
ドイツ問題とVW不正
http://tansoku159.blog.fc2.com/blog-entry-1170.html


所で週刊現代10月17日号に興味深い記事が2件あった。

最初は裏の桜さんが取り上げたこんな記事
「日本人から見りゃ、ルーズベルトだって同じだよ」
http://sakuraura.blog.fc2.com/blog-entry-3593.html

この記事では以下の緊急インタビューが中心になっている。
【緊急インタビュー!仏学者エマニュエル・トッド「VW事件から見えてくる ドイツ最大の弱点」~やっぱりドイツが世界をダメにする?】

エマニュエル・トッドはソ連の崩壊を人口問題から分析、そして崩壊を言い当てたことで一躍有名になった人学者。そしてハンチントンが文明の衝突で日本を唯一の一国一文明としたことに対し、日本とドイツには類似点があると指摘している、そんな学者だ。

そして裏の桜さんの指摘も事の核心に迫る話、貴重な意見だとおもう。


さてここからが本題。週刊現代10月17日号にはもう一つこんな記事。

日本人が知らない「EUの盟主」ドイツの正体
~VW事件を生み出した「傲慢」「自賛」体質とは

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/45705

此処にドイツ在住の川口マーン恵美さんが現地の状況を詳細に語っている。
大変貴重な意見なので以下川口さんの意見全文を引用。

<以下引用>

 ドイツ人というのは、私が見る限り、正しい人間でありたいという願望のとても強い人たちです。倫理的でありたい、正しい行動を取りたい。つまり、周囲から尊敬される人になりたいのです。

そして、正しいと思う行動を取れるとき、彼らは大変幸せで、心洗われた気分になり、自己陶酔に陥る。そういう場合のドイツ人の自画自賛たるや、相当なものです。

さらに彼らの奇妙なところは、ときどき皆がこぞって、突然、理性をかなぐり捨ててしまうことです。そして、倫理観だけを前面にかざし、自己礼賛とともに、非合理の極みに向かって猪突猛進していく。こういう状態になった時のドイツ人は、大変情緒的で、絶対に他の意見を受け付けません。

その良い例が、ドイツの脱原発です。

そもそも、遥か遠い福島で起こった原発事故で、日本人以外でこれほど大騒ぎした国民はドイツ人の他にはいません。ドイツではガイガーカウンターまで売れたのです。

その挙句、'11年6月に、2022年リミットでの脱原発を決め、政治家も国民も一丸になった。彼らの心は、自分たちは自然を愛し、拝金主義とは一線を画す気高い国民であるという誇らしさで満たされました。

しかし、です。

政府は、原発の電気を再生エネルギーで賄うつもりでしたが、再エネはいくら増えても一大産業国の電力を安定供給することはできません。何しろお天気次第ですから。そのため、再エネは急増していながら、結局、原発の減る分は火力で賄っています。ですから今、ドイツでは、再エネの買い取りのための賦課金で電気代が高騰するばかりか、CO2も増えています。

さらに、北ドイツの風力電気を南ドイツの電気消費地に運ぶ送電線は住民の反対で進まず、とにかく問題山積みです。2022年までにCO2をこれ以上増やさず、どうやって原発を止めれば良いのか。これもすべては、政治家と国民の一時の自己陶酔の結果なのです。

非難されるとすぐ攻撃する

2015-10-19メルケル首相

最近、欧州全体を移民問題が騒がせています。この移民問題へのドイツ政府の対応を見ていても、ドイツ人の悪い癖が出ていると感じます。

9月初旬、シリアやアフガニスタンからの移民が漂流し、本当に気の毒なことになっていました。それを見たドイツのメルケル首相は「政治難民の受け入れに上限はない」と大見得をきって、難民のドイツへの移送を決めた。

国民の多くもそれを支持し、それをドイツメディアが人道的と褒め称えた。ドイツはいっぺんに、ウェルカム・トゥー・ジャーマニー一色になりました。

しかし、まもなくバイエルン州のミュンヘン中央駅に続々と難民が到着し始めると、ドイツはパニックに陥ります。そして、一時的にドイツ—オーストリア間の国境を閉めるという事態にまで発展。主要道路でも国境での検問が始まり、あちこちで大渋滞も起きました。

9月だけでバイエルン州には、17万人の難民が入ったようです。ドイツ全体では、今年1年で100万人近くになるだろうと言われています。メルケル首相の人道主義が難民に希望を与えたからです。

しかし、すぐに破綻するこの善行は、本当に「英断」だったのでしょうか。他のEU諸国ではメルケル首相のスタンドプレーに対する批判が続出しています。それに対してドイツは、他国にも難民の引き取りを促す。非難されるとたちまち攻撃に転ずるのも、ドイツ人の特徴です。

そして、フォルクスワーゲンの不正問題です。燃費が良くて、パワーがあって、なおかつ環境によい。そんなディーゼルエンジンを作り上げ、世界中で大儲けしたいという野望があったことは間違いありません。フォルクスワーゲンの経営陣にとっては、心がくすぐられるチャレンジに映ったのでしょう。

実際には、なかなかそんな夢のようなディーゼルエンジンは開発できない。しかし、自分たちにはできるはず。そう思っているうちに魔が差した?要は、ばれなければ良い……。

もし、彼らがこんな考えにとらわれていたのだとしたら、何かが狂ってしまっていたとしか思えません。おそらく不正をしていたという自覚もなかったのではないでしょうか。これは傲慢なことです。

東西ドイツの統一は1990年。西ドイツが東ドイツという破産国を抱え込む形でしたから、ドイツは経済的に一時困窮しました。'98年から'05年まで首相を務めたシュレーダー氏は『アジェンダ2010』という大胆な構造改革を断行し、それまでの「手厚い社会保障」にすらメスを入れました。

その後、改革の効果はゆっくりと現れ始め、2010年頃になって初めて成長という果実をもたらしました。ですからドイツ人には、自分たちが進めてきた構造改革に対する強い自負があります。だから、南欧の破綻国にもそれを強いるのです。

しかし今、EUではドイツのやり方に批判の声が聞かれます。ドイツの交易はEU圏内がメインなので、ドイツが輸出超過になれば、EU内には必ず輸入超過になる国が出る。そもそも、異なる経済力の国が同じ通貨を使えば、経済力のあるドイツにとってユーロは常に安く、輸出は伸びる一方です。そして、他の国々はいつの間にか、輸出など夢に見るしかなくなってしまいました。

しかし、ドイツ人からすれば、この事実は受け入れがたい。自分たちが成長できたのは勤勉と努力の結果だと思っています。ギリシャをはじめとする南欧の国々の経済が低迷しているのは、彼ら自身の責任だと考えるわけです。

そこで援助の条件に、過酷な金融引き締めを要求し、「上から目線」、つまり傲慢だと憎まれる。両者の意見は、今や完全にすれ違ってしまっています。

驕れる者は久しからず

フォルクスワーゲンの不正問題は、ドイツ人の「高い鼻」を折るには十分な一大事件です。ドイツ国内はまさにパニック状態が続いています。

倫理的に正しい国民であったはずのドイツ人が、よりによって不正をしていたということは、ドイツ人を非常に戸惑わせています。ドイツ人はドイツ車に強いアイデンティティーを感じています。中でも、国民車であるフォルクスワーゲンはドイツ人の誇りそのものです。ドイツ人にとってはフォルクスワーゲンの醜聞は自分自身の醜聞なのです。下手に弾劾すれば、自分自身を弾劾することになりかねない。

そのうえ、ドイツ人は、「実務的」にもどうすればよいのかわからずに、困惑しています。

ドイツでは消費者のクレームに対応するのは、メーカーではなく販売会社です。しかし、今回、販売会社もいわば被害者で、今のところクレームに対応する術を持ちません。現在の法律では米国のような集団訴訟はできませんが、今、メーカーに対してそれをできるようにしようという声さえ上がりはじめました。

フォルクスワーゲン社が一刻も早く対策を打ち出さなければ、あちこちで不満が募り、ますます事態が混乱するでしょう。

そうした中で、私が危惧しているのは、ドイツ人がこの危機を抜け出すために、外部に「敵」を見出すのではないかということです。

たとえば、ドイツの成功をねたんで陥れようとする国=米国、ドイツの不幸を利用しようとする姑息な国=日本、といった風に、です。

不正が発覚した後の9月22日のこと。ドイツの公共放送ZDFのニュース番組に経済専門家が登場し、いかにも憎々しいといった風に次のように語っていました。

「今回の事件で我々の車の品質に傷がつけば、他国のメーカーの力が増す。そうなれば、『ワンダフル!』と言いながら、他国のメーカーがその隙間に入り込む。たとえば、トヨタだ!」

ドイツの公共放送がトヨタを名指しで、ドイツの災いを喜ぶ「敵」として扱っているわけです。彼らは惻隠の情という言葉を知りません。

他にも「おやっ?」と思うことはあります。不正発覚当初、野党の緑の党が、「国交大臣は、この不正を知っていたのではないか」と指摘したのに、与党にさりげなく否定されたまま、以後、その話が一切出ないことです。

ドイツでは、産業界と政界は非常に関係が深い。言い換えれば、産業界と政界が協力し合っているから、ドイツ経済はここまで順調に発展したのです。ただ、「協力」はときに、限りなく「癒着」に近づく場合も多い。

ドイツの自動車関連産業は7人に1人が働くまさに基幹産業で、ドイツ政府と手を取り合って進んできた歴史があります。中でもフォルクスワーゲンは、本社を置くニーダーザクセン州政府が同社株の20%を保有する大株主で、監査役会には州知事が加わっています。

しかも、新たに分かってきた情報では、不正ソフトは'07年あたりから、すでに問題になっていたというのです。知っていた政治家がいたとしても、不思議ではありません。なのに、それを追及する声が一切出てこないのは、かえって不自然です。

フォルクスワーゲンはこれまでずっと、政界の全面的バックアップを享受してきたはずです。しかも、ドイツ経済の強化に貢献してきたのは自分たちとの自負もある。だから、自分たちの不正が摘発されるわけはないという思いあがりがあった可能性はないでしょうか。

戦後、何もないところから始めたドイツと日本は、両者とも経済大国として蘇りました。そして、ドイツはこの15年、政治大国としても軍事大国としても急激に伸びてきました。その間に、どこかに歪みも生まれたのでしょう。今回の事件を見ると、驕れる者は久しからずという言葉が、ふと頭に浮かぶのです。

<引用終り>


川口マーン恵美さんの意見は実に素晴らしいと思います。流石現地に居なければわからない意見。

そしてその心配していたアメリカ憎し、これは既に始まっています。
ロイターの以下記事参照ください。
アングル:排ガス不正でVW擁護するドイツ、反米感情も再燃
http://jp.reuters.com/article/2015/10/16/angle-vw-scandal-germany-idJPKCN0SA0E220151016

そしてもう一つが日本憎し、これも実際はもう始まっていると見るべきかと思います。
此処に興味深いデータがあります。イギリスBBCが毎年実施している世界に良い影響を与えた国は何処か、そんな調査です。

これの2014年のデータです。
http://www.globescan.com/images/images/pressreleases/bbc2014_country_ratings/2014_country_rating_poll_bbc_globescan.pdf

此処で全体を纏めるとこうなっています。

2015-10-19世界に対する良い影響2014

日本は五位です。日本人はこんなグラフを見ても一喜一憂しませんのであまり心配しませんが、実は詳細に見るとこんな風になっています。

これは日本に対する印象を国別に纏めたもの。

2015-10-19世界に対する良い影響の日本に対する見方2014

一番下をみてください。日本に対する印象をボロクソに評価している国があります。韓国と中国。
いやあ、酷いもんですねえ・・・
こんな韓国に莫大な援助をしていたのが日本、こんな中国に矢張り莫大な援助をしていた国、そして呆れたことに未だにODAで援助している国が日本。
日本は本当にお人よしなんですねえ・・・(苦笑)
尚こんな中韓の異常値を除けば、日本の総合ランキングは五位どころではないのが分かると思います。

さて所でもう一つ、日本をボロクソに評価している国があります。表の中ほどにある国、ドイツです
イギリスやフランスと比べて極端に評価が低いですね。
日本人から見るとドイツは利害で衝突することもあまりないと考えがちですが、そんな事ではこの異常な低評価は説明がつきません。特にポジティブが少ない事もさることながらネガティブが非常に多い、こんな評価になっています

ドイツの日本憎しはもう既に始まっていると考えるべきでしょう。
さてさてこんな困ったチャン、如何したもんですかねえ。
  1. 自動車
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  3. CM(19)

2015-10-16 09:24

VW排ガス・スキャンダルの引き金を引いたもの

 フォルクスワーゲンの排ガス・スキャンダルがますます深刻な状況で、遂にドイツ政府が「強制リコール」に踏み出したと報道されている。
独政府、VWに来年のリコール開始指示 国内240万台対象
http://jp.reuters.com/article/2015/10/15/volkswagen-emissions-recall-idJPKCN0S90NG20151015

詳細は上掲記事を見ていただくとして、要は「VW案のユーザーが自主的に修理に持ち込むのではなく強制的に修理しろ」、こんな事らしい。
ことほど左様に大変な状況のようだが、そのスキャンダルの引き金を引いたものの一つがプリウスショックではないかと思っている。

そんな事の分かるブログ記事が有ったので紹介したい。
書いた方はプリウスの設計者「八重樫武久さん」。

<以下抜粋引用>

二代目プリウス欧州カーオブザイヤー受賞
10月 11 2015 Published by Takehisa Yaegashi under プリウス開発秘話
http://www.cordia.jp/blog/?p=1839

プリウス、ハイブリッド開発で様々な賞をいただき、その授賞式やフォーラム、環境イベント、広報宣伝イベントにも数えきらないほど出席しました。その中で、一番印象深いイベントは2005年1月17日スウェーデンのストックホルムで開催された“2005年欧州カーオブザイヤー受賞式”です。クルマとしての受賞式ですので、パワートレイン担当は本来は黒子、海外でのクルマ関係の受賞式にはそれまで出席はしませんでしたが、この欧州カーオブザイヤー受賞式だけは、自分で手を挙げストックホルムまで出かけて行き、受賞式に参加しました。

初代の開発エピソードは以前のブログでもお伝えしてきましたが、”21世紀に間に合いました”のキャッチフレーズで量産ハイブリッドとして脚光を浴びたスタートでした。しかし、当時の開発現場の実態としては京都COP3のタイミング1997年12月生産販売開始にやっとの思いで間に合わせたというのが正直なところです。

・・・以下初代プリウスに関する部分は省略、詳細は上掲リンク先参照ください・・・


二代目は、そんな中で欧米でも普通に走れるハイブリッド車を目指しましたが、振り返ると初代は無我夢中の技術チャレンジであっという間に過ぎ去っていきましたが、二代目の開発はそれ以外の苦労が多かった印象です。様々な制約、費用回収の要求からのコスト低減要求、さらに様々な外乱の中で、グローバルスタンダードの志しを下ろさず、知恵を絞り抜いて取り組んだ開発でした。

それだけ、いろいろあった2代目プリウスの開発でしたので、2005年欧州カーオブザイヤーの受賞はなにより感激した出来事でした。欧州販売開始は2003年末からでしたので、選考委員もしっかり欧州で走り込んだうえでの審査だったと思います。非常に高い得点で2005年カーオブザイヤーに選ばれました。

その選考委員の採点表欄をみると、初代後期型ではゼロ、もしくは非常に低い点数を付けた選考委員の方々が、この2代目プリウスには高い点をつけ、コメント欄に前回の低い点を付けたことが間違いで、ここまでの進化を見抜けなかったとのコメントが複数ありました。このコメントを読み、欧州でも評価してもらえるクルマにすることができと嬉しさがこみ上げてきました。これが自ら受賞式出席に手をあげ、寒い冬の観光にも不向きな1月中旬、ブリュッセルから一泊二日、トンボ帰りの受賞式でしたがストックホルムの受賞式に参加した背景です。

冒頭の選考委員会委員長Mr. Rey Huttonのスピーチの中で

「トヨタは(自動車としての)厳しい道を学んできた。カーオブザイヤーの審査委員は、2000年プリウスも候補としたが、その投票は割れていた。当時では、プリウスが将来のビーコン(引用者注: beacon 、標識、かがり火、航空標識などの意味、将来の方向を指し示すものと言う意味と思われる)と見なした委員と、ハイブリッドのアイデアは見当違いと片づけた委員に分かれていた。新型プリウスは2000年には無かった大部分を持つようになった。今回は、32の候補車の中で、過去最高得点の一つ139点を獲得し、58人の審査員のうち39名がトップとした。」

などとこの受賞を紹介してくれました。

その後、当時の技術担当副社長がトロフィーを受け取るのを見守り、一緒に写真撮影を行い、多くの選考委員の方々と話しをすることができました。そのディナーで味わったワインは、それまでもその後も味わうことのあった有名シャトーのワインよりも美味しかったことが忘れられない思い出です。(写真2)

2015-10-16プリウス欧州カーオブザイヤー授賞式

写真2(2005欧州カーオブザイヤー)

このブログを書きながら、はたと思い至ったことがあります。この欧州カーオブザイヤーの受賞式は2005年1月、これがひょっとすると今大騒ぎになっているVWスキャンダルの引き金の一つになったのではとの思いです。

プリウスハイブリッドが米国で、欧州で認知度が高まり、急激に販売を伸ばし始めたのもこの頃からです。講演会、フォーラムでの欧米エンジニアの態度、目線に変化を感じ始めたのもこの時期からのような気がします。特に、欧州のエンジニア、ジャーナリストは、審査員のコメント、委員長のスピーチにあったように2000年のモデルまでは、ハイブリッドを収益無視の広告宣伝用のシステム、欧州では通用しないとの意見が主流であったのに対し、この2003年二代目でその見方が変わったように思います。

当時は、欧州でも認知されたことを喜ぶばかりでしたが、そこまでインパクトを与えたとすると、それから10年、3代目から4代目をこの世界にサプライズを与えたインパクトを引き継げているか、次の機会には振り返ってみたいと思っています。

この二代目プリウスは、このブログのように、2005年欧州カーオブザイヤー受賞の他、北米カーオブザイヤーも受賞しました。しかし、本家本元日本ではカーオブザイヤーを逃してしまいました。日本のエンジニアである私にとっても残念なことでした。

二代目のハイブリッド開発は、様々な制約はありましたが、我々には我慢のエコカーから欧州(ドイツアウトバーンを除き)で普通に心配なく走れるエコカーの実現の目標にはブレはありませんでした。しかし、今振り返ると、社内では走りの良さをアピールポイントにしたいとの声が強すぎ、走り系のモータージャーナリストから、欧州車との対比で拒否反応があったことも原因かとも思っています。

今回の騒ぎで思い出したことが、あたりか、外れは判りませんが、時代を切り拓くつもりでやったことは確かです。フェアな土俵で、その次の時代にも安全・安心、自由に快適に移動そのものも楽しめるFuture Mobilityを巡る、世界自動車エンジニアのチャレンジを期待します。

<引用終り>


八重樫さんは二代目プリウス発売当時の欧州での雰囲気を実に詳細に語っておられる。正に全く新しいクルマが登場した、そんな雰囲気だったのだろう。
そしてこの事は欧州だけでなくアメリカでも注目された。
一番大きかったのがアメリカの著名な俳優ディカプリオがアカデミー賞の授賞式にプリウスで乗り付けた事だった。
「オスカー」受賞の為に豪華リムジンで乗り付け、赤じゅうたんの上を歩く、そんな映画人の夢の場にプリウスで登場したこと、これは当時大センセーションを巻き起こしたモノだった。

しかし二代目プリウスは八重樫さんが仰っておられるように「ドイツのアウトバーンのような高速走行には弱い、燃費も思ったほどよくならない」、こんな問題も内在していた。(この解決策の為三代目プリウスは排気量を1500⇔1800にアップ)

こんな事でVWはディーゼル化を推進、そして今回のスキャンダルに至った、VWは2004年~5年頃からこんな不正をしていたようなので、タイミング的にも丁度合う訳だ。

しかし不思議なのはこの当時トヨタとVWは提携関係にあった。
ガソリンエンジンの直噴化技術とそれに伴うNOx対策技術はトヨタからVWに提供されている。
(トヨタとVW技術提携、1999年にトヨタD-4エンジン技術がNOx処理技術も含め技術供与)
http://d-wise.org/b9910/car.pdf
(この資料はfcq821 さんに紹介いただきました)

またこの頃トヨタ系の販売店でVWを売っていたこともご記憶の方があると思います。確かこの提携関係は2010年頃まで続いたはず・・・。
ライバルであると同時に提携関係でもあった、そんな関係だった事も有った訳です。

一体何がVWを此処まで狂わせてしまったのか、疑問はつきません。

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2015-10-10 10:20

独VW不正車リコールに対する懸念

 しばらく間があいてしまいました。ヘマをして書きかけのモノを消してしまい、書きなおすのも面倒だしなあ、怠け者の繰り言です。
しかしFC2は下書き機能が弱い、下書き機能は使いにくいので使っていなかった、こんな事が裏目に出てしまいました。


所でそうこうしている内に懸念している話が報道されてきました。
最初にこんな話から。

<以下ロイターより引用>
http://jp.reuters.com/article/2015/10/09/analysis-vw-recall-us-idJPKCN0S30QG20151009?pageNumber=2&sp=true

2015年 10月 9日 17:46 JST
焦点:独VW不正車リコール、米所有者が「妨害」も
 10月8日、独フォルクスワーゲンはどのような解決策を提示しようと、米国ではリコールを強制できない州があり、対象車の一部所有者がリコールに応じない可能性もある。

[サンフランシスコ 8日 ロイター] - 排ガス不正問題という自社最大のスキャンダルを引き起こした独フォルクスワーゲン。同社がどのような解決策を提示しようと、米国ではリコール(無償回収・修理)を強制できない州があり、対象車の一部所有者がリコールに応じない可能性もある。

米国では、VWのパサート、ゴルフ、ジェッタの2009─15年モデル約48万2000台が対象となる。修理されると性能や燃費が悪くなる可能性が高いため、一部の所有者は、たとえ車が法定基準を40倍上回る排気ガスを吐き出し続けようとも、リコールを拒否する可能性がある。リコールを強制できる手段もほとんどない。

米国で対象となるVWのディーゼル車が最も多かった3州のうち、一番多かったカリフォルニア州だけがリコールに応じない車の登録更新を認めていない。同州に続くテキサス州とフロリダ州では、そもそもディーゼル車の排ガス基準がない。

米環境保護局(EPA)によれば、車両登録に必要な排ガス検査を受ける前に、リコールに応じたという証明を大気浄化法によって求められているのは、全米でわずか17州だという。

EPAは、残りの33州で証明が必要ないかどうかについては確認できなかった。テキサス州の排ガス点検プログラムにはディーゼル車は含まれていない。一方、フロリダ州では現在、そのようなプログラムさえない。排ガス検査を受ける必要のない州が、ほかにどれくらいあるのかも不明だという。

EPAは、リコールは実施されるとしている。

<「大きなにんじん」が必要>

一方、「この車は最高」と語るのは、フロリダ州に住むパサートのディーゼル車の持ち主だ。プライバシー上の問題からトーマスとだけ名乗るこの男性は、「ただしそれは、車の性能によるところが大きい。性能を保つためにリコールを無視するか、リコールに応じて買った当時の性能を失うか選択する立場に置かれたことに困惑している」と話す。

全米自動車販売業者協会(NADA)の広報担当者、ジャレッド・アレン氏は、フロリダ州のような抜け穴のせいで、米国でのリコール完了率は70%程度にとどまっていると指摘。「消費者が対象車を乗り続けられることに関連した執行システムがない」と述べた。

ドイツ規制当局はリコール計画の提出期日を7日に設定。その翌日にはVW米国法人の最高経営責任者(CEO)が米下院公聴会で証言する。

VWファンのウェブサイト「VWVortex」では、リコールに応じさせるには顧客の前に「大きなにんじん」をぶら下げなくてはだめだと主張する所有者もいる。

例えば、ロイヤリティープログラムや下取り、金銭的なインセンティブなどがそうだ。VWは先週、販売業者に対し、下取りを希望する顧客1人当たりに2000ドル(約24万円)の「ロイヤリティーボーナス」を提供すると通知した。

その額が十分なのか疑わしいと、先に登場したフロリダ在住のトーマスさんはみている。「再販で受ける損失はそれよりもはるかに大きいだろう

EPAはVWにリコールを命じる権限をもつ。だが、リコールに応じるよう顧客に強制できる権限には限りがある

この件についてEPAは、リコールは必ずしも車の所有者に修理を求めるものではないと、ロイターに文書で回答。自動車メーカーは四半期ごとに、リコール回収率をまとめた報告書を同局に提出しなければならないとしている。

しかし、リコールに従わないことのリスクは明らかであり、「修理しなければ、連邦政府の排ガス基準を超えた有害物質が排出されるかもしれない」という。

カリフォルニア州の場合、リコールに応じなければ車両の登録更新は許可されない。更新は年に1回行われるため、所有者は最大1年間は修理しないで済む。

ロサンゼルス在住のデービッド・ロージングさんは「できるだけ長く待つつもりだ。ほかの人の車のバグがすべて修正され、カリフォルニア州の期日ぎりぎりに自分の車は『修理』してもらう」と語った。

しかし、テキサスやフロリダを含むほとんどの州ではそのような法律がなく、環境保護主義者からは不満の声が上がっている。

「テキサスとフロリダが(カリフォルニアと)同じことをせず、EPAも強制しないなら、ちょっと驚きだ」と、米自然資源防衛協議会(NRDC)エネルギー・輸送プログラムのディレクター、ローランド・ウォン氏は語った。

問題が安全性に関することではなく、排出ガスであることが、リコール回収率に影響している可能性がある。安全性に関わるリコールでさえ、強制ではないために多くの所有者が車をディーラーのもとへ修理に持ってこないという。

現在、リコール回収率を調査している米自動車工業会によると、2000─13年の安全性に関わるリコールの99%で、米道路交通安全局(NHTSA)は無条件の運転自粛勧告を出していなかった。

つまり、VWが金銭的なインセンティブなどで顧客をリコールに応じさせようとしない限り、規制当局は祈ることしかほとんど何もできないのが現状だ。

「規制当局は命令を下し、采配を振るうべきだ。さもなくば、VWが主導権を握っているように思える」と、非営利団体「生物多様性センター」の弁護士であるクリステン・モンセル氏は語った。

<引用終り>


 こんな事はアメリカだけでは無い、VWがリコールする全ての国で起こり得る。
特に大気汚染で深刻なヨーロッパでは事が深刻になる。メーカーとしてはリコールしなければならない。
そして環境問題からはそんな汚い排気ガスを出す車など走ってもらっては困る。
しかしユーザーとしては走行性能は悪化する、燃費は悪くなる、そんなリコールには応じられないと考えるのも無理ではない。
更に売ろうにも中古車価格が下落する。そうなれば上掲記事にあるような「大きなニンジン」が必要になるのは当然だ。
ディーゼル車のユーザーにとって最悪の状態になる事が予想されている。

しかもVWとしては困った事に「どの程度性能が悪化するか、未だに公表していない、多分当分出来ない」と言う事である。

今ドイツはパニック状態と聞くが、この先どうなるのであろうか。
この問題の厄介なのは修理して元の性能を確保できるなら問題ない。しかし修理して元の性能が悪化する、つまり今まで使っていた快適なクルマが「環境に対する規制違反」という虚構の上に成り立っていたマボロシだった、こんな事が現実になる事である。

自分たちが今までこれこそドイツの技術の優秀さだ、そう信じていたものが根底から破壊される。
VWの、ディーゼル車への信頼が破壊されると言うより、自分たちの長年築き上げた文化が否定されることになったと言える。

私が特に気にしている事。こんな不正を発生させた原因の奥底にゲルマン人の国民性、民族性が潜んでいるかもしれない事だ。
ナチス・ヒットラーの台頭を許した、あの「みんなで渡れば怖くない」が此処でも起こっているのではないだろうか。

こんな心配は実は今トンデモナイ大移民問題にも共通することなのではないだろうか。
心配な事ではある。
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2015-10-03 15:06

根の深いVW不正問題

 VWの不正ソフト問題でドイツが大揺れに揺れていると報道されているが、そんな状況が具体的にわかるデータが出てきた。
プリウスの設計者OBの八重樫さんと言う方のブログに興味深いデータがあった。
八重樫さんは昨年11月、ベルリンで今回の問題を取り上げた環境NPO、ICCTの方と話合いをしてきたのだと言う。
その時入手した欧州の自動車の排気ガス中のNOx(窒素酸化物)のデータである。

大変興味深く、この問題の根の深さが分かるのでそれを紹介。

最初に八重樫さんのブログはコレ
「クリーンならぬ、ダーティ-・ディーゼル:その2」
http://www.cordia.jp/blog/?p=1822

此処にこんなグラフがある。

2015-10-3欧州の乗用車排ガス実測データby八重樫さん

実際の使用状態での排気ガス中のNOx濃度をガソリン車(左側・青色)とディーゼル車(右側・赤色)で表したモノ。
横軸は測定した車両の年式、縦軸はNOx濃度、
左側の青四角印はガソリン車の実測値、階段状に下がっているのがNOx規制値。
右側の赤四角印はディーゼル車の実測値、階段状の線は段階的に強化されたNOx規制値。

これを見るとガソリン車は段階的に強化された規制値と実測値がよく合っている。規制が護られた証拠である。
しかしディーゼル車は規制値が段階的に厳しくなってきているが、実測値は古い年式のクルマも新しい年式のクルマも大して変わらない。規制が全く守られていないのだ。
見出しに[emissions enforcement is non-existent]と書いてある。排ガス規制は存在しないと言う意味で非常に強い言い方だ。


もう一つがコレ
新車の年度ごとの規制値と実際の排出量を比較したもの

2015-10-3欧州の乗用車排ガス実測データby八重樫さん2

左上から2000年のEURO3、右上が2005年のEURO4、左下が2009年のEURO5、右下が2014年のEURO6を現わす。
赤色点線の吹き出しが規制値、グレーの雲形吹き出しが実際の排出量である。

左上2000年の場合、規制値0.5に対し現実は1.0、右上2005年は規制値0.25に対し実際は0.8、左下2009年は規制値0.18に対し実際は0.8と何ら変わらず、右下2014年は規制値0.08に対し実際は0.6.
規制値に対し何倍のNOxを出しているかの比率では15年前より悪化。
実に2014年になっても実際の排出量は2000年の規制値すら満足しない、こんな現実を表わしている。


こんな問題が出てくる背景には年々悪化する大都市の環境悪化が有るのだろう。
これは2015年3月18日のパリの空、エッフェル塔が霞んでいる。見やすいように白の矢印を付けましたが見えるでしょうか。

2015-10-3スモッグに霞むパリの空15年3月18日
http://jp.wsj.com/articles/SB11871187576556893798304580533032371808768

記事によれば、余りにもスモッグが酷いので車のナンバー末尾の偶数と奇数で分け、乗り入れ規制をしているとか。

そう言えば日本だって昔はこんな事も有った。

2015-10-3スモッグに霞む銀座1959年
1959年(昭和34年)1月の銀座、和光の時計の文字盤さえ見えない・・・ 

しかし日本の高度成長期と同じようなスモッグが欧州の大都市を覆っている。ヨーロッパは環境先進国と言う話は全くのマボロシだったのだ。

この問題を最初に取り上げた時、ロンドンに3週間ほど滞在した人が洗濯すると水が真っ黒になる、こんな話をっ紹介した。
そこにいつも興味深いコメントを寄せてくださるNINJA300さんがこんな事をコメント下さった。
ご自身のロンドン滞在経験から、ロンドンでは顔を拭くとタオルが真っ黒になるとの事、この様に環境の悪い所、そんな事が良く分かるエピソードです。


冒頭紹介した排ガスのデータ、こんなモノが漏れ出てくると言う事は現地ではもっとすごいデータが把握されていると思って間違いない。そんな上でこんなデータを突き付けても、環境や産業を管轄する政府当局がさっぱり動かないのだろう。
マスコミなどをプッシュしても「規制値には合格したクリーンなクルマだ」、こんな事を言うばかりだったのではないか。
この問題は自動車メーカーだけでなく政治家や各方面の官僚、更にはマスコミも巻き込んだ問題になると思う。

ドイツは大変な問題を抱え込んだものだが、多分日本にも何らかの影響があると思う。
移民問題と並んで、目が離せない事態ではある。



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2015-10-01 19:22

ドイツ問題とVW不正

  ヨーロッパに200年位前から「ドイツ問題」と言うものがあるのだと言う。
確かにWW1もWW2もそうなのだが、今もその問題があると言う意見がある。今回のフォルクスワーゲンのディーゼルエンジン排気ガス不正問題も確かにそうだ。
所でそのドイツ問題とはどういうものか、最初はそんな所から。

少々古いが、最初に2011年12月のフォーリン・アフェアーズ (Foreign Affairs) 記事から。

注:フォーリン・アフェアーズ (Foreign Affairs) は、アメリカの外交問題評議会(CFR)が発行する外交・国際政治専門の隔月発行政治雑誌。こんな問題に関して最も権威の高いとされている雑誌です。

<以下抜粋引用>

ヨーロッパの新しいドイツ問題
―― 指導国なきヨーロッパ経済の苦悩
 フォーリン・アフェアーズ リポート 2011年12月号
http://www.foreignaffairsj.co.jp/essay/201112/Blyth.htm

 20世紀の多くの時期を通じて、「ドイツ問題」がヨーロッパのエリートたちを苦しめてきた。他のヨーロッパ諸国と比べて、ドイツが余りに強靱で、その経済パワーが大きすぎたからだ。こうして、NATOと欧州統合の枠組みのなかにドイツを取り込んでそのパワーを抑えていくことが戦後ヨーロッパの解決策とされた。だが、現在のドイツ問題とはドイツの弱さに派生している。ユーロ危機を引き起こしている要因は多岐にわたるが、実際には一つのルーツを共有している。それは、ドイツがヨーロッパにおける責任ある経済覇権国としての役割を果たさなかったことだ。

・・・中略・・・

 西洋文明の礎を築き、最初に民主主義を経験したギリシャ人とローマ人が、皮肉にも選挙の洗礼を受けていないテクノクラートたちに経済の運営を委ねている。基盤の弱い民主主義プロセスを経た指導者が、外国の債権者の圧力によって強靱な指導者に置きかえられるという1930年代の気配も漂い始めている。

引用者注:「1930年代の気配」と言うのはヒットラー・ナチスの登場だと思います。ヒットラーは1933年ワイマール憲法のもとで首相に指名され、1934年大統領の権限も継承した総統に就任。

・・・以下略、全文は有料記事なので読めませんが、此処までは上掲リンク先で読めます・・・
<引用終り>


大変興味深い論考である。
私が特に注目しているのは「他のヨーロッパ諸国と比べて、ドイツが余りに強靱で、その経済パワーが大きすぎた」というこのくだり。
これこそVW不正問題の根本にも共通する問題では無かったか

そしてもう一つ、「皮肉にも選挙の洗礼を受けていないテクノクラートたちに経済の運営を委ねている」、この事も今回のVW不正問題の大きな要因では無かったか。
VWは暴走した。その理由は技術開発の遅れであり、経営トップが関与していなければこんな不正は起こらない。しかしもう一つ環境規制当局のテクノラートもこの件は分かっていた筈だ。
しかしVWとその周りの政治家や官僚が余りにも大きなパワーを持ちすぎていたことが事の背景にある。

ブルームバーグによれば
「発覚に至る過程は2013年にさかのぼる。ディーゼルエンジンによる大気汚染を心配した欧州当局が、米国で販売された欧州車の路上走行での排ガス検査を望んだ」、つまりこの問題を解決する能力が自分らには無いと考え、アメリカにタレこんだ・・・、こうではないだろうか。
元記事:http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NV6OMU6K50YC01.html
引用エントリー:http://tansoku159.blog.fc2.com/blog-entry-1167.html


所でこんな事は他の自動車メーカーも分かっていて、トヨタはEUの規制当局に問題提起していたことが報道されている。
興味深い記事なので全文引用する。

<以下引用>

トヨタもVWの不正に抗議していた
大西 孝弘
2015年10月1日(木)
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/093000094/?rt=nocnt

 トヨタ自動車が数年前から、独フォルクスワーゲン(VW)のディーゼル車の排ガス性能に疑問を持ち、欧州の規制当局に取り締まりを要請していたことが「日経エコロジー」の取材で明らかになった。

 背景にはディーゼル車の開発において、VWと同じような燃費や走行性能を求めると、排ガス性能が発揮できなかったことがある。競合他社のデータと比べてもVWが不正ソフトを使っていなければ説明できないデータだったという。

 しかし、規制当局は動かなかった。実際、2013年の欧州委員会共同研究センターの調査で、不正ソフトを見つけていたと欧米メディアが報じている。EUではこうしたソフトは以前から違法としていたが、「規制当局は問題を追及しなかった」(英紙フィナンシャル・タイムズ)という。

 不正が明るみになったのは、欧州ではなく米国だった。環境NPO(非営利法人)のICCT(International Council on Clean Transportation)や米ウェストバージニア大学の調査からVWの排ガス性能に疑念が持たれ、最終的には米環境保護局(EPA)がVWの不正を発表した。

2015-10-1VW不正by日経ビジネス1

 以前から同業他社はVWに疑いの目を向けてきた。ディーゼル車のエンジンや排ガス技術は基本的に大きな差がない。それにも拘わらず、燃費や走行性能で差がついているならば、疑問を抱かざるを得なかった。

 フォルクスワーゲンの不正の背景に自動車業界に共通する課題が浮かび上がる。

 1つは実燃費向上に対するプレッシャーだ。

 排ガス問題でも注目されたICCTが9月24日に発表した報告書が、再び自動車業界で注目を集めている。

 ICCTは報告書で測定データに基づき、カタログ燃費と実燃費のかい離が広がっている問題を提起した。カタログ燃費とは規定の試験モードに基づき、認定された燃費だ。実燃費とは実際に走行してみた際の燃費だ。従来からその差の大きさが問題視されてきたが、ICCTは実際の測定データに基づくかい離を公表した。

 下のグラフをご覧いただきたい。企業ごとのかい離率のグラフだ。かい離があるのはもはや前提である。ポイントは全社平均のかい離率から各社がどの程度の差があるかだ。試験以外のリアルワールドでは基準値の40倍のNOxをまき散らしていたと報じられたVWだが、カタログ燃費と実用燃費のかい離率は他社に比べて小さい。毎年の全社平均値より下回っているのは、VWグループと小型車が主力の仏フィアットと仏プジョーシトロエングループ(PSA)だけだ。この対象車はディーゼル車以外も含まれるが、欧州で走行しているクルマを対象としたため、ディーゼル車が多いと見られる。

 実際、これまでVWは実燃費の良さを売りにしてきた。VW日本法人のホームページでも、他社と比較しながら実燃費の良さをアピールしている。

 これは基盤とする欧州市場の特長がありそうだ。欧州の自動車事情に詳しいコンサルタントは「欧州の顧客は自動車の性能に厳しく、実燃費へのプレッシャーが強い」と話す。その中でフォルクスワーゲンは排ガス性能を犠牲にしてでも、実燃費を向上させようとした構図が浮かび上がる。

燃費とNOxは二律背反の関係

 ディーゼル車において、燃費とNOx(窒素酸化物)は二律背反の関係にある。エンジンの燃焼効率を上げれば燃費が向上する一方で、空気中の窒素と酸素が反応し、NOxが発生しやすくなる。それを様々な技術を使って両立させようとしているが、どうしても二律背反の要素は残ってしまう。

 特にこのジレンマを抱えるのが排ガス浄化装置の1つである再循環装置(EGR)だ。EGRは排ガスの一部をエンジンに戻し、エンジンの燃焼温度を下げてNOxの発生を抑える。EGRを機能させ過ぎると排ガスの循環量が増え、「燃費が最大で3~4割悪化する」(日本自動車研究所のエネルギ・環境研究部の土屋賢次部長)。

 そこで実際には、EGRを「適度に」使って燃費の悪化を抑えつつ、残りは後処理装置でNOxを低減するのが一般的だ。VWは不正ソフトを用いて試験以外ではEGRなどを使わず、燃費向上を実現する一方で、NOxをまき散らしていたと見られている。

 もう一つの共通の課題が耐久性だ。ディーゼルエンジンの研究に長年取り組んできた早稲田大学理工学術院の大聖泰弘教授はVWの不正発覚後すぐにこの問題を指摘していた。「EGRを使うと使わない場合に比べて燃費の悪化だけでなく、エンジンの劣化が早くなる」と話す。VWの不正によって、快走を続けてきたディーゼル車の技術的課題が改めて認識されることになった。

ICCTが公表した自動車各社のカタログ燃費と実燃費のかい離率

2015-10-1VW不正by日経ビジネス2

 試験時とリアルワールドでのデータの違いは、排ガスだけでなく燃費でもある。VWはディーゼル車において燃費を優先したとするならば、環境よりカネを選んだとの批判を受けざるを得ないだろう。 なぜなら、燃費は直接消費者の便益になり、自動車の購入動機につながるが、排ガス性能は購入動機になることはあまりないからだ。規制をクリアするのは義務であるため、できるだけコストを減らしたいとの意思が働く。皮肉なことに、VWは環境軽視のしっぺ返しを制裁金や賠償、ブランド毀損などの巨額資金流出という形で受ける。

他の環境規制への波及も

 試験時と実態の格差が問題となってきたのは、自動車の排ガス規制が初めてではない。これまで大気汚染や水質汚染、化学物質汚染など様々な環境規制が同様の問題を抱えてきた。常に汚染を測定するとコストがかかりすぎるからだ。2兆円を超えるとも言われる巨額制裁金がVWに科されれば、環境規制をより厳格に適用するという動きが世界的に広がりそうだ。

<引用終り>


先週25日のエントリー「VWの不祥事発覚に思う事 2015-09-25」でコモンレール・ディーゼルの思い出などを書いた。
http://tansoku159.blog.fc2.com/blog-entry-1166.html

コモンレール・ディーゼルは運転してみれば実に素晴らしい。音も静かだし、動力性能は抜群である。しかも燃費も良い、その上ディーゼル特有の黒煙も少ない。いい事ずくめなのだ。
こんな素晴らしい新技術が日本では売れない、そんな話を目の当たりにした。
このクルマ、トヨタ・ハイラックス・ヴィーゴが売り出されたのが2004年の事。
丁度其の頃VWはソフトの不正を決断したのだろう。

その根底に強大なドイツのパワー(ドイツ問題)が有る事が良く分かった。難しい話である。

さてこの問題、まだまだ新たな事実が出てくるのではないだろうか。注意して見ていきたい。
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2015-09-28 18:03

欧州の大気汚染<ディーゼルが問題

 先月(2015年8月)、ロンドンに3週間ほど語学留学に行った人の話を聞いた。語学学校にホームステイ先を紹介してもらい、そこに泊まって毎日語学研修。空き時間は色々ロンドン見物で土産話はとても面白かった。
そんな面白い話の中で本人もこれには驚いたと言う事がある。
汚い話で恐縮だが、鼻の穴が真っ黒になり、鼻水も黒くなる。その人は名古屋市在住で職場も名古屋市内。しかし今迄こんな経験は一度もしたことが無かったと言う。
更に驚いたのがズボンなどを洗うと水が真っ黒になること。あまりにも酷いので二度洗いをしてやっと普通になったとの事。

私もその話を聞いて、昔はロンドンは石炭を焚くので町が真っ黒、これは聞いた事がある。今でも結構石炭を使っていると聞いたが、そんな事かねえ。こんな認識だった。(笑)
しかし調べてみたらトンデモナイ。ロンドンもパリも物凄い大気汚染であることが分かった。
原因はディーゼル車の排気ガスが主なモノであるとの事。
そうこうしている内にフォルクスワーゲンの悪質な不正ソフト問題が明るみに出てきた。矢張りそうか・・・


これた大玄さんから頂いた情報での大気汚染の写真。
http://www.news-us.jp/article/426669960.html
これはフランス・パリの写真

2015-9-28パリの大気汚染写真


参考までに日本の現代、スカイツリーから見た筑波山

2015-9-28スカイツリーから見た筑波山

ほぼ同じところを江戸時代末には・・・ これは深川洲崎五万坪

2015-9-28深川洲崎五万坪
スカイツリーは墨田区押上、深川洲崎=東京都現代美術館辺りで江東区三好、だから距離にして3キロ位。

しかし東京に江戸時代の空を蘇らせた、石原慎太郎元知事は偉かったなあ・・・


所でロンドンはと言うと、これは先月(15年8月のロンドン

2015-9-2815年8月のロンドン塔とタワーブリッジ

いつもどんより曇っていて綺麗な空の写真が撮れなかったのだとか・・・


さて本題に戻って欧州の大気汚染である。
実は欧州の大気汚染の状況は公表されていないので具体的には良く分からない。調べても一番最近のモノでも2014年3月のモノが最新の様だ

<以下引用>

パリの大気汚染が危険水準に、20年ぶり自動車運転規制へ
http://jp.reuters.com/article/2014/03/17/l3n0me0al-paris-car-idJPTYEA2G03820140317

[パリ 16日 ロイター] -フランス政府は17日、首都パリの大気汚染が危険水準に達したとして、20年ぶりとなる自動車の運転規制に踏み切る。

パリはフランスのディーゼル車補助金制度や自家用車台数の多さなどを背景として、欧州の他の大都市に比べてスモッグに見舞われやすい。最近は季節外れの暖かさと晴天が1週間続き、汚染が悪化していた。

今回導入した制度では、ドライバーはナンバープレートが偶数か奇数かに応じて隔日しか運転を許されない。先週はパリの空気が目に見えてかすんだため、公共自転車や電気自動車の共有制度が無料化されていた。

マルタン・エコロジー相は16日、記者会見し、17日には大気汚染が悪化する恐れがあるとし、規制は市民の安全を確保する狙いだと述べた。

欧州環境機関(EEA)の13日の発表によると、微小粒子状物質「PM」の濃度はパリで147マイクログラムに達したのに対し、ブリュッセルは114、アムステルダムは104、ベルリンは81、ロンドンは79.7だった

野党や自動車関連団体は今回の措置について、3月末に迫った地方選を前に、社会党が連立を組むヨーロッパエコロジー・緑の党の圧力に負けた形だと批判している。

<引用終り>

このPMの濃度だが、日本の環境基準はというと日平均で35以下である。
不要不急の外出を控えるなどの行動をとる基準(暫定基準)は日平均で70超、注意喚起情報が出るのは午前中早めの段階は朝5時~7時で1時間値85超、午後は5時~12時で1時間値80超である。

欧州の主要都市のPM濃度は
>微小粒子状物質「PM」の濃度はパリで147マイクログラムに達したのに対し、ブリュッセルは114アムステルダムは104ベルリンは81ロンドンは79.7だった

つまり主要都市のPM濃度は日本なら外出を控えると言うレベルを超えている。特にパリが酷い。

そしてもう一つ、この記事で見逃せない事がある。
野党や自動車関連団体は今回の措置について、3月末に迫った地方選を前に、社会党が連立を組むヨーロッパエコロジー・緑の党の圧力に負けた形だと批判している。

この様にひどい大気汚染に対し、自動車関連団体が対策をする代わりに政府の政策を批判しているのだ。
そしてこの記事から1年半後、今回の不祥事が発覚した。

更にこの不祥事、政府がこの規制の抜け穴を助長するように動いていたと言う事も報道され始めた。
政府を挙げて、「大気汚染対策より自動車の売り上げが大事」という政策だ。

今後さらにいろんな問題が噴出してくると思う。
日本メーカーがディーゼルが欧州であれだけ売れながらもそれに追随しなかった、それだけの理由があったと言う事だろう。
尚マツダのスカイアクティブは圧縮比を「16訂正します;圧縮比は14(2.2L)、14.8(1.5L)です、団塊ノンポリさんに指摘いただきました、ご指摘ありがとうございます」という極端な低圧縮比を採用している。矢張りこれが正解だったんだろう。
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2015-09-27 15:41

ディーゼル車の排出ガス規制

 フォルクスワーゲンの排出ガス規制の不正問題で皆さんから色々コメントを頂いたのだが、余りにも専門的な話なので理解の為どんな事が問題なのか概要を知る範囲で纏めてみたい。
と言っても私もその道の専門家ではないので、まあ常識にちょっと付け加えただけのものですが・・・


最初にガソリンエンジンとディーゼルエンジンの違いと如何してガソリン車が問題にならないかを簡単に。

ガソリンエンジンはガソリンが燃料でスパークプラグの火花で点火、ガソリンと空気を一定の割合になるよう混合し(空燃比という)運転する。排気ガスにはCO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)、NOx(窒素酸化物)を含み三元触媒で浄化。(最終的にCO2、H2O、N2になる)

ディーゼルエンジンは軽油が燃料でガソリンエンジンより強く圧縮し、加圧した燃料を噴射。点火は圧縮した空気の高熱で自然着火。運転の調整は噴射する燃料の量で調整する。排気ガスはCO、HC、NOx、PM(粒子状物質)を含む。
このCO、HCはガソリンエンジン同様綺麗に燃焼させれば少なくなり、触媒でも簡単に除去可能。厄介なのがNOxとPM。
特にNOxは空気中の窒素と酸素がくっついたもので、燃料をきれいに燃やすほど発生する。これがこの問題の一番の根っこ。


ディーゼルの前に如何してガソリンエンジンが問題にならないかを説明。
ガソリンエンジンにはCO、HC、NOxを同時に除去する三元触媒が使われている。
これはエンジンの中でガソリンと空気の混合割合(空燃比と言う)と三元触媒でCO、HC、NOx除去の割合のグラフ

2015-9-27空燃比

横軸が燃料と空気の混合割合で、右に行くほど空気が多い。
縦軸はCO、HC、NOxの触媒での除去の割合を示す。
空気と燃料の最適な混合割合(理論空燃比と言う)は14.7、そしてその理論空燃比にごく近い14.6辺りのごく狭い範囲にCO、HC、NOxを90%以上除去できる範囲がある・・・ウィンドウという。

このウィンドウの発見が三元触媒がその後の排気ガス対策の救世主となった。まさに技術面での奇跡だった。

もうこんな古い話は殆ど誰も意識しないで車に乗っているが、こんな経緯がある訳だ。

さて今度はディーゼルである。ガソリン車に比べてディーゼルの方が難しいのは上掲のような奇跡的はデバイスが無いためである。
そんな中で日本とヨーロッパのディーゼル車の排気ガス規制値の推移を見てみたい。

2015-9-27日欧の排ガス規制比較
http://www.jaf.or.jp/qa/others/knowledge/11.htm

この図の緑色が欧州、青色が日本である。
欧州ではユーロ4、ユーロ5、ユーロ6と規制がきつくなっている。
日本でも同様だが、日本の方が遥かにキツイ。日本の2009年の規制値に対し、欧州は2014年のユーロ6で5年遅れで追いついてきたと言った所。
しかしVWはこの規制値に合格できないと言う事だろう。

問題はNOxとPM、そしてPM(粒子状物質)高温で燃やせば除去できるのだが、それをするとNOxがどんどん増えてくる。
そしてNOxを除去できる技術は現在2種類が使われている。
一つは尿素水を噴射する方法、尿素がアンモニアになり、それがN0xを還元しN2と水にすると言うモノ。

尿素水は商品名「アドブルー」、見た目は水である。しかし尿素水用のタンクが必要でスペースの小さい乗用車には苦しい。
またマイナス11度で結晶化するなど取り扱いも難しいものである。

この仕組みは裏の桜さんの以下のブログ
http://sakuraura.blog.fc2.com/blog-entry-3570.html

この中にボッシュのシステムを紹介する動画があるので参照してください。
https://youtu.be/lGB97AisRSo

尚尿素SCRシステムは以下wikiも参照
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%BF%E7%B4%A0SCR%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0


そしてもう一つのシステムがこんなもの
NOx吸蔵還元触媒
https://ja.wikipedia.org/wiki/NOx%E5%90%B8%E8%94%B5%E9%82%84%E5%85%83%E8%A7%A6%E5%AA%92

一言でいえば運転状況によってNOxを触媒内に貯めこみ、運転状況が変わった時それを吐き出して浄化すると言うモノ。

しかし高価なプラチナなど貴金属を多用するためコストが高く、運転状況でNOxをため込むために大きな容量が必要。
そして燃料の中の硫黄分によって触媒が劣化しやすく、メンテも大変なシステムだ。

恐らくVWはこんな触媒の開発が上手く出来なかったのだろう。

こんな所がこの話の概要です。

最後に一つ追加、9月25日付の読売新聞にこんな記事がある。

2015-9-27読売新聞記事

lこの記事の赤枠で囲った排ガス規制値の日米欧の数値比較表、嘘が書いてあるわけではないが上掲日欧の比較表と比べてみてほしい。読売記事の表では欧州の規制値が紆余曲折が有ったことが分からない、新聞記事と言えども注意すべきものと言う見本として理解してほしい。

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2015-09-26 18:11

独VWの排ガス不正-「ごまかし」はこうして暴かれた<ブルームバーグ記事


 フォルクスワーゲンの排出ガス不正問題はますます深刻の度を増しているが、この不正がどのように暴かれたのか、そんな事の分かる記事があった。この記事はよもぎねこさんにコメント欄で教えていただいたのだが、私が疑問に思っていたことも大体わかる。
貴重な記事なので全文紹介したい。

最初にブルームバーグの記事から

<以下引用>
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NV6OMU6K50YC01.html

独フォルクスワーゲンの排ガス不正-「ごまかし」はこうして暴かれた
2015/09/25 03:06 JST

2015-9-26VW不正の記事写真byブルームバーグ

    (ブルームバーグ):マルティン・ウィンターコルン氏のフォルクスワーゲン(VW)でのキャリアを終わらせた同社の不正は、今年9月3日にロサンゼルスのオフィス施設の一角で暴かれた。
何カ月もの言い逃れの末に、VWの技術者たちがやっと、カリフォルニア州環境保護局の大気資源委員会の調査官らに秘密を打ち明けた。排ガス検査でごまかしをするための「装置」を車に取り付けていたというのだ。そのことを1年以上、大気資源委員会および米環境保護局に隠してきた。
発覚に至る過程は2013年にさかのぼる。ディーゼルエンジンによる大気汚染を心配した欧州当局が、米国で販売された欧州車の路上走行での排ガス検査を望んだ。米国での路上検査の結果は欧州のものよりも試験場での検査結果に近いだろうと考えたからだ。ところがそうはならず、カリフォルニア州が調査に乗り出すことになった。最後には25人の技術者がほとんど専業で取り組んだ結果、VWが検査結果をごまかすためのソフトウエアを使っていることが発覚。このソフトは少なくとも1100万台の車に搭載されていた。
ワシントンとベルリン、サンフランシスコにオフィスを持つ非営利団体の国際クリーン交通委員会(ICCT)が欧州当局から排ガス検査の実施を委託された。ICCTは13年の早い時期にウェストバージニア大学の代替燃料・エンジン・排ガスセンターで研究者らを雇用した。1989年から、エンジン排ガスと代替燃料の使用について研究している同センターが、VWのパサートとジェッタを含めた3車種のディーゼル乗用車を検査することになった。
同センターで研究する助教授のアービンド・ティルベンガダム氏は「最初からメーカーの不正を見つけようとしていたわけではない。何か違った発見をすることを期待して検査していただけだ」と話した。
パサートとジェッタに加えBMWの「X5」を使って2013年3-5月にかけて試験したところ、VW車は試験場では排ガス規制の法的基準を満たすのに、路上では基準よりはるかに多くの窒素酸化物を排出することが分かった。センターは14年5月に研究結果を公表し、カリフォルニア州の大気資源委員会が調査を開始した。
委員会の調査官らはVWの技術者たちと何カ月も会議を繰り返し、VWは同年12月に約50万台をリコール、それによって問題が解決すると伝えた。しかし委員会が再び検査すると、修理後も状況はほとんど変わっていなかった。委員会のスタッフはVWに答えを求め続けたが、VW側は検査の方法や検査機器の調整に問題があったと言うばかりだった。
しかし検査を何回やり直しても路上と試験場で結果が異なり、あまりの不可解さに調査官らは車のコンピューターに格納されているデータを調べ始めた。そしてついに、ハンドルの動きなどから排ガス検査中であるかどうかを識別するソフトウエアを発見。VWは09-15年にかけてこのソフトを、エンジンをコントロールするモジュールに組み込んでいたのだった。
さらに9回の会議で調査妨害を続けた揚げ句、VWの技術者は今年9月3日にとうとう、白状した。「われわれが集めた証拠とデータの蓄積の前に、彼らは文字通り言い訳の種が尽きた」と大気資源委員会のスタンリー・ヤング報道官が述べた。
原題:How Smog Cops Busted Volkswagen and Brought Down Its CEO(抜粋)

<引用終り>

上掲写真は元記事に有ったものだが、排ガスの測定は普通こんな風に行う。エンジンを始動し、決められた走行パターンに合うようにエンジンを運転する。その時は無負荷状態では駄目なので車輪を回し、必要な負荷をかける。
この時車輪は回っているがクルマは動いていない。
だからこんな台上試験の時は「エンジンは動いている、車輪は回っている、しかしクルマは動いていない」、こうなっている。

現代のクルマはABS(Anti‐lock Break System)がついているので、車輪の回転は常にセンサーで検知している。
では車が動いていない事は如何して検知するか。
クルマが動いたら必ずハンドル(ステアリング・ハンドル)を動かす。例え10メーターでも動かしたら必ず動かす筈だ。
しかし台上試験でステアリング・ハンドルを動かしたら・・・ クルマは試験機から飛び出す筈で危険極まりない。
(注:前輪駆動、又は四輪駆動のクルマの場合)
だからステアリング・ハンドルの動きが確認できればいい訳だ。

所で最近のクルマはパワーステアリングが従来の油圧式から電動式に変わってきた。狙いは油圧ポンプをエンジンで駆動する必要が無いのでその分パワーロスが少ないためだ。3~5%の燃費改善になるようだ。
そしてこの電動パワステにはステアリング部にセンサーがついている。

これは国産車の一例(だからVWとは違うが、センサーが何処にあるかの参考用として)

2015-9-26電動パワステの一例これは日本のモノ(JTEKT)

この様にVWでも最近は電動パワステだと思うので、此処からステアリングの動きを読み取り、実走行かベンチ試験かを判断するようにしていたのだろう。


さてこの問題、リコールで制御ソフトを変更すれば、クルマの性能は悪くなるだろうし、耐久性も劣る筈だ(だから不正をした)。
リコールと言われてユーザーが簡単に応ずるかどうか、これまた難しい問題を抱えたものだ。
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2015-09-25 19:59

VWの不祥事発覚に思う事

 フォルクスワーゲンがアメリカ環境保護局(EPA)から、ディーゼル車の排ガス規制を不正にクリアしていたと指摘されています。
世界各国で1100万台が関係している可能性があるといわれ、大問題となっている。

最初の報道は
「アメリカ環境保護局は18日、フォルクスワーゲンが、排ガス規制を逃れるため、2008年からことしにかけて、アメリカで販売したディーゼル車およそ50万台に、試験場などでの検査の際に有害物質の排出量を大幅に低くする不正なソフトウエアを搭載していたと発表。」というもの。そして「フォルクスワーゲン側も20日、不正を認め、謝罪しました。」
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150922/k10010244221000.html

この制裁金だけで最大でおよそ180億ドル(日本円でおよそ2兆1600億円)に上る巨額なものになる恐れを指摘され、これだけで驚きだが、更にこの問題はアメリカだけでなく全世界で1100万台が対象になると報道され、更に驚きが広がっている。
株価も最初に2日間で35%下落、更に下落が加速している。

更に問題はVW以外にBMWにも波及しそうである。
http://www.tv-tokyo.co.jp/mv/wbs/newsl/post_97972


しかしこの話を聞いて私としては積年の疑問がやっと解けた、そんな思いがある。
問題の発端は車の排気ガス規制強化とディーゼルエンジンの画期的な技術革新にある。この技術革新、コモンレールと言う技術だ。そしてこの技術は日本のデンソー(旧日本電装)が世界で初めて開発に成功、しかし日本ではトラック用として細々と生産していたのだがその後ボッシュが乗用車用に開発。この為ヨーロッパでは爆発的にディーゼル乗用車の普及が加速。現在ではヨーロッパの乗用車販売の半分がディーゼル車になっている。

現在の乗用車のエンジンで見ると日本とアメリカはガソリンエンジンでハイブリッドが増えてきた。
しかしヨーロッパではハイブリッドはほとんど普及せず、ディーゼルが半数になる勢いである。
このディーゼル普及のキーポイントがコモンレールと呼ばれるエンジンの燃料噴射技術。

日本車では大量生産車種としては2004年に発売されたこんな車から採用されている。

ハイラックスヴィーゴ(VIGO)と言うクルマ

2015-9-25ハイラックスvigo

見たことのないクルマだと思います。2004年から発売していますが日本国内では売られていない、しかしタイを始め全世界で生産、輸出されており、トヨタでは「ヴィッツ、カローラ、カムリと並んでこのハイラックスヴィーゴは四天王と呼ばれる年産百万台規模のクルマ」だった。(注:この当時はこれが四天王、しかしその後プリウス・アクアのハイブリッド勢が此処に割り込んできています)
そしてこのクルマのエンジンに採用されたのがコモンレール技術。この当時でコモンレールにかかる圧力は1800気圧という超高圧の凄い技術。

そしてこの技術で出来た車に乗ってみると実に素晴らしい。
最初に気が付くのがディーゼルと思えない音の静かさ、ディーゼル特有のガラガラと言う音が殆ど気になりません。
走り出してみるとパワフルな事もガソリンエンジン車と同等かそれ以上。タイなどの郊外のハイウエイでは130キロ以上で平気で巡航できます。しかも燃費も良い。
そしてディーゼル特有の黒煙も非常に少ない。上掲写真のクルマは後ろに荷台はあるモノのまるで乗用車。
実は私のタイでの仕事の最後がこのクルマの関連だった。だからこのクルマには忘れられない思いがある。


所でそのコモンレールと言ってもよく分からないのでどんな技術かを紹介。
これはデンソーの資料から
http://www.denso.co.jp/ja/products/oem/ptrain/diesel/commonrail/

ディーゼルエンジン コモンレールシステム

コモンレールシステムは、サプライポンプで高圧にした燃料をレール(蓄圧室)内に蓄え、ECU制御のもとにタイミングよくインジェクタから各気筒に適切な噴射量を噴射するシステムです。

高い燃料噴射圧力により、燃料を微粒にしますので、燃料の粒が小さくなり中心部の燃え残りがなくなり粒子状物質の発生を抑えます。

燃料の高圧噴射化に伴い噴射率(単位時間あたりの噴射量)も増加しますが、噴射から燃焼開始までの遅れ(着火遅れ)は、一定時間以下には短縮できません。そのため着火までに噴射された燃料が増加、つまり初期の噴射率が多すぎるため、着火と同時に爆発的な燃焼が起きてしまい、NOx及び騒音を増加させてしまいます。

そこで、パイロット噴射を行うことにより、初期の噴射率を必要最小限に抑え、爆発の初期燃焼を緩和しNOx 及び騒音を低減させています。

2015-9-25コモンレールシステム
<引用終り>

そしてこのコモンレール、余りにも難しいものなのでデンソーとボッシュしか製造出来ないと聞いていました。
しかし今回調べてみるとメーカーは他にもう2社、ドイツのシーメンスとアメリカのデルファイ(GMの電装部門が独立した会社)でも製造しています。ただし色んな資料を見てもこの2社の事は殆ど出て来ない、多分ボッシュの技術供与で製造しているのではないかと推測します。
そして今回問題のVW用はシーメンスが製造しているようです。


さてここからが私のタイでの思い出話。
上掲ハイラックスVIGO(通称IMV)の生産準備を検討していた頃です。デンソーの旧知の方と親しく話をする機会がありました。タイでこんなモノを作るんだと言われても私には理解する知識も無い話でしたが、これがコモンレールシステムでした。しかし如何しても気になった事、日本では排出ガス規制でどうしても製造できない、しかし世界には規制が問題ない国もある。だからタイに工場を作ってこのシステムを量産するんだとの事。
IMVは世界戦略車で生産量はカローラ並、だから日本にも無い工場を作ると言う壮大な話で、何社かの部品メーカーも一緒に進進出すると聞きました。
その後しばらくして、ある巨大工業団地の経営会社のトップの方と話をする機会がありました。そのトップの方はデンソーがタイに巨大工場を作る。是非とも自分の所に誘致しよう、特別な優遇をして誘致するんだと言っていました。
結局デンソーはタイ国最大の工業団地であるアマタナコーン工業団地に決定。アマタナコーン工業団地にはデンソーを満足させる用地が無かった、それで工業団地サイドでは隣接する高速道路の反対側を買収して工業団地を造成、高速道路には橋をかけて使えるようにとの優遇ぶり。大いに驚いたものです。

その後の日本と欧州の自動車メーカーの技術が全く分かれてしまいました。日本はハイブリッド、欧州はコモンレール・ディーゼルです。
ドイツからは事あるごとにハイブリッドに対する問題点が指摘されてきました。曰く高速走行では燃費が良くない、ディーゼルの方が上だと。だからトヨタのプリウスも2代目は1.5L、3代目は1.8Lですが、排気量アップの主な理由は高速走行時の燃費改善と公表されています。

これは私の個人的感想ですが、あの凄い技術力のデンソーでさえ排気ガス規制の問題で苦労しているディーゼル乗用車。ドイツが凄いのか、メーカーのボッシュが凄いのか・・・、でもデンソーとボッシュは永年提携関係だしなあ・・・
この疑問が解けませんでした。

今回のフォルクスワーゲンの不祥事発覚、これで長年の謎が解けました。
あんな事をしなければクリヤーできない排気ガス規制、だからトヨタとホンダがハイブリッドを推進してきた訳だと。

しかしこのVWの不祥事、他のカーメーカーへの波及は間違いないでしょう。多分こんな大問題ですが、更に大きな問題に発展するのではないか、その時日本メーカーが巻き込まれない事を願っています。<
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2015-06-23 22:15

街角で見かけたクルマ

 今日クルマの車検だったので夕方引取りに行った。
その道すがらふと見かけたのがこのクルマ。 ん? 何だこのクルマ。

2015-6-23シボレーフリートライン1948年型縮小版

フロントガラス(正確にはウィンドーシールド)の上にはサンバイザーがついている。ヘッドライトにもヘッドライトバイザーが・・・
ヘッドライトなんかにバイザーが要るかと言う話しは置いといて・・・
リヤーフェンダーにはスパッツまでついている・・・、 う~~ん 無駄のカタマリの様なクルマだが・・・

シボレー フリートライン 1948年型、そうか 車齢67年なのか・・・

このガレージのオヤジさんが出てきたので聞いてみた。現在レストア中なのだとか。チャンとナンバーもついている。

日本車やヨーロッパ車と違ってアメ車はまだ部品が有るので、レストアは比較的容易なのだとか。

現代の目から見ると、この時代のクルマは無駄のカタマリ。しかしソレでいいんだろうなあ。

無駄もまた良きかな・・・。
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2015-04-30 17:17

世界の車に「日本の技術」・・・ボンネットを開けてみよ!<中国の報道です


 世界の携帯電話の中では日本のメーカーはどうも元気が無いように見えるが、実は世界の携帯電話の中身を見ると肝心な所は必ず日本の部品が使われている。
所でこんな事が携帯電話だけでなく自動車の世界でもじわじわと日本製部品の力が認められてきた。

知る人ぞ知ると言う話しなのだが、そんな一部始終をサーチナが報道しているので紹介。

<以下引用>
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2015&d=0421&f=business_0421_009.shtml

世界の車に「日本の技術」・・・ボンネットを開けてみよ!=中国メディア
【経済ニュース】 2015/04/21(火) 06:32


 中国の大手ポータルサイト、捜狐は19日「日本を罵るなかれ。フォルクスワーゲンもこれら日本製品を使っている」と題する記事を発表した。

 記事は、フォルクスワーゲンだけでなく、ゼネラルモーターズなども日本製の重要な部品を使っていると指摘した。

 まずターボチャージャーではIHIや三菱重工業の製品が使われていると説明。日本製は品質がよく安価と指摘し、「信じないなら(ボンネットを開けて)見てみればよい」と論じた。

 トランスミッションについてはアイシン精機を紹介。欧州ブランド車としてはフォルクスワーゲン、ボルボ、サーブ、オペル、ランドローバー、プジョーに使われており、上海GMも、アイシン精機製品を使っている車種があると紹介。

 中国では、自動車用の鋼板は自国を代表する製鉄会社の宝鋼が生産するようになったと認識されている。記事は、宝鋼の自動車用鋼板は、新日本製鉄の技術によってつくられていると指摘。フォルクスワーゲン車も日本の技術による宝鋼の鋼板を用いていると紹介した。

 さらに、レーザー溶接ロボットやそれ以外の製造用ロボットでも「日本製が最高の品質」であり、「フォルクスワーゲンの生産ラインは、すべて日本製ロボットを使っている」と紹介。

 自動車用半導体については、日本で生産され空輸されている。記事は、2011年の東日本大震災発生後の状況を紹介。日本国内の生産がストップしたため、中国におけるドイツ系自動車会社も完成車の生産を停止をせざるをえなくなったという。

 記事は最後の部分で「今の時代に、技術に国境はない。本当に自動車を理解している人は、精密機械製造の分野で、日本には実際に優れた部分があると知っていると論じた。

◆解説◆
 捜狐は上記記事の属性を「自動車文化>新科技>安全技術」とし、「安全技術」のジャンルで掲載した。中国では日本車に対する批判が続いている。このところは「安全性が低い」との主張が多くなった。

 一方で、日本車批判に対する反論も、発表されつづけている。多くは「日本車批判に根拠はない」、「日本車の安全性は国際的にも認められている」、「中国市場で劣った車を販売して、日本企業が得る利益はない」といった内容だ。

 捜狐が上記記事を「安全技術」のカテゴリーで発表したことは、日本車批判を目にする読者を念頭に置き、自動車分野における日本企業の優秀さを改めて紹介する意図があった可能性がある。(編集担当:如月隼人)

<引用終り>


自動車で中身の部品が全部日本製などという事はそう簡単にはおこらない。
スマートフォンなどとは中身が違いすぎるのだ。
しかしそれでもエンジンに次ぐ重要部品、トランスミッションがこんな状況。
日本頑張れ! です。
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2015-03-03 17:32

GMがタイ・インドネシアで乗用車生産から撤退

 GMがタイ・インドネシアでの乗用車生産を打ち切る事が報道されている。
中でもGMタイ工場は私もほんの僅かながら縁が有ったので、そんな意味でも灌漑深い。
でもGMブランドと言っても小型車はGMが開発したクルマではない。
乗用車はコリアンカーである。それにシボレーのバッジを付けた車なのだ。


最初はタイからの撤退を報道するロイターの報道から。

<以下引用>

米GM、タイで年央までに小型車「シボレー・ソニック」生産停止
2015年 02月 27日 19:05 JST

 2月27日、米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)は年央までにタイで小型車「シボレー・ソニック」の生産を停止すると発表した。
[27日 ロイター] - 米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)は27日、年央までにタイで小型車「シボレー・ソニック」の生産を停止すると発表した。ラヨーン県にあるGMのタイ工場での年産能力は18万台だが、これを縮小する。

GMはスタッフの「自発的離職プログラム」を開始するとしたが、詳細は明らかにしていない。GMはタイで約3200人を雇用する。

GMは26日、6月末までにインドネシアで小型MPV(多目的車)「シボレー・スピン」の生産を停止し、約500人を雇用するジャカルタ郊外のブカシ工場を閉鎖することを明らかにしていた。

http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPKBN0LV0Y520150227

<引用終り>


もう一つ、こちらはインドネシアからの撤退を報道する日経の報道

<以下引用>

GM、インドネシア生産「再撤退」 シボレー工場閉鎖
2015/2/27 9:25

 【ジャカルタ=渡辺禎央】米ゼネラル・モーターズ(GM)は26日、インドネシアで「シボレー」ブランドの乗用車の生産を打ち切ると発表した。工場を6月末までに閉鎖。東南アジア最大の市場性に目をつけ2013年に再参入したが、わずか2年で「再撤退」する。日系車が9割以上を占めるなか、販売・部品調達網の構築で歯が立たなかった。

 工場はジャカルタ郊外で、ミニバン「スピン」を国内外向けに生産している。GMが05年に撤退した跡地に1億5千万ドル(約180億円)を投じ、年産能力4万台で13年前半に再開した。

 撤退の理由は素材や部品の調達コストを下げるのが難しいため。競争激化で製造・販売の台数が増えず、大量調達によるコスト削減が進まない。今後は輸入車の販売に注力するが、価格競争力の低下をイメージ戦略などで補えるかが焦点だ。

 GMは2日、中国・上海汽車集団との同国合弁会社を通じ、インドネシアに年産能力15万台の工場を設ける計画を発表したばかり。GMが独自に運営するシボレー工場の設備を合弁事業に転用する可能性もあり、上海汽車との事業を踏まえてのアジア生産の再編の側面もある。

 インドネシアの14年の新車販売は約120万台。GMは1万台で、シェアは0.8%にすぎない。それでも現地生産により価格を150万円程度と日系車並みに抑えたスピンは、13年に1万1千台を販売し、同社の全車種だと前年比3倍弱の1万5600台に急増した。

 14年は前年比で36%減り、市場全体(同2%減)に比べて苦戦した。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM27H0G_X20C15A2EAF000/

<引用終り>


GMタイ工場で現在生産しているのはシボレー・コロラドという1トンピックアップとその派生のSUV、そして乗用車ではシボレー・ソニック、そしてシボレー・スピンも準備中だった筈。
シボレー・コロラドはいすゞの人気車種D-MAXという1トンピックアップのOEM。
いすゞがGM傘下だった頃に決まったものが現在も続いているモノ。
いすゞD-MAXはコモンレールのディーゼルエンジンを搭載し、性能・耐久性とも優れたクルマでトヨタのタイラックス・VIGOと並ぶ人気車種。
当然海外にも輸出されている。
シボレーの皮をかぶった日本車と言っても良いだろう。


参考までにこれがいすゞD-MAX
(シボレー・コロラドも同じです)
2015-3-3いすずD-MAX
ディーゼルと言っても昔の黒煙モクモクではありません。排気ガスも綺麗、走りは素晴らしい。
下手な乗用車は全くついていけないくらい良く走ります。
流石コモンレールディーゼルです。
尚名前のD-MAXはディーゼルーMAXと言う意味ですが、タイ語ではディー・マーク(とても良い)と聞こえます。



もう一つのシボレー・ソニックはベースがGMコリア(旧大宇)のGM・アベオ、つまり隠れたコリアンカー。

GMタイ工場は創業以来約15年くらい、最初はドイツのオペル・ザフィーラを組み立てていたが途中からコリアンカーに切り替えてきた。
しかし15年たっても、現在タイでの乗用車のシェアーは昨年の場合2.0%(約7500台/年)でトヨタのシェアー41%、ホンダのシェアー25%に全く歯が立たない状態。
まあこれに見切りをつけたのであろう。


次はインドネシアの方。
インドネシアも事情は同じだが、確かGMインドネシア工場は2013年5月頃から操業していたはず。
生産開始わずか2年で撤退とは思い切った事をしたものだ。

インドネシアで生産している車はシボレー・スピン。
シボレー・スピンと言ってもなじみがないがブラジルで2012年に開発されたMPV。
但しベースとなるプラットフォームはシボレー・ソニックと共通、つまりコリアンカーの土台にブラジル産の車体を乗っけた車と言った所。
このクルマで日本車の牙城、インドネシアで勝負しようとしたようだ。

残念ながら同じ土俵、同じ価格帯で勝負してはGMの苦戦は無理もない。
また近くのオーストラリアからもGMは撤退しており、この地区では拠点が無くなってしまった。
(注:オーストラリアはGMだけでなくトヨタも撤退している。理由は人件費がムチャクチャ高騰してしまった事。)

GMは方針がふらふらしてサッパリ分からないが、今回もその様だ。
この先どうなることやら・・・・
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